説明

人体内の対象体をスキャンする3次元超音波検査機および3次元超音波検査機の動作方法

【課題】人体内の対象体に対する3次元超音波データを取得し、正確なサジタルビューを探すことを可能にする3次元超音波検査機および3次元超音波検査機の動作方法を開示する。
【解決手段】3次元超音波検査機は、人体内の対象体をスキャンしたイメージデータを含む超音波データを生成するスキャン部と、前記生成された超音波データから前記対象体の中心点を検索し、前記検索された中心点を面上に位置させる仮想平面を前記超音波データに作成する処理部と、前記仮想平面に含まれたイメージデータを用いて前記超音波データを回転し、前記対象体に対するサジタルビューを決定する制御部を含んで構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、人体内の対象体をスキャンする3次元超音波検査機および3次元超音波検査機の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波システムは、人体の体表から体内の所定部位(すなわち、胎児または臓器などの対象体)に向けて超音波信号を送信し、体内の組織から反射される超音波信号の情報を用いて軟部組織の断層や血流に関するイメージを取得する装置である。
【0003】
このような超音波システムは、小型かつ低廉であり、リアルタイムで表示可能であり、X線などの被爆がなく、安全性の高いという長所を有している。また、X線診断装置、CT(Computerized Tomography)スキャナ、MRI(Magnetic Resonance Image)装置、核医学診断装置などの他の画像診断装置と共に広く用いられている。
【0004】
一方、ダウン症候群の胎児を識別する一般的な方法は、超音波システムによって胎児の項部透明帯(nuchal translucency、NT)の厚さを測定することである。この方法は、1992年にニコーライズ(Nicolaides)によって作られた方法であって、胎児に異常がある場合、項部の皮下組織に体液が蓄積されて項部透明帯が厚くなると知られている。
【0005】
特に、ダウン症候群を始めとする染色体異常や心臓の奇形を有する胎児である場合、項部透明帯が厚くなる場合が多い。したがって、医師は超音波システムによって胎児の項裏側の透明な部分の厚さを測定し、この部分の厚さが2.5mmを越える場合、絨毛膜生検や羊水穿刺法などの、より精密な方法によって胎児の異常を察知することができる。
【0006】
ダウン症候群の胎児を識別する他の方法として、口蓋と鼻背との間の角度、すなわち、FMF角度(Frontmaxillary Facial Angle)を測定する方法がある。正常児を78.1度とし、88.7度以上である場合にはダウン症候群である確率が極めて高い。その他、児頭大横径(BPD)、頭囲(HC)、腹囲(AC)、大腿骨長さ(FL)などを測定する様々な方法があり、このような方法によって妊娠週数と胎児体重の予測が可能になる。
【0007】
このように胎児の項部透明帯の厚さまたは口蓋と鼻背との間の角度を測定してダウン症候群の胎児を識別するためには、超音波データから胎児のサジタルビュー(sagittal view)を正確に取得する過程が先行されなければならない。
【0008】
しかし、従来には医師の経験値に依存してサジタルビューが決定されるため、胎児の項部透明帯の厚さまたは口蓋と鼻背との間の角度の測定が実際と異なってなされ、正確な診断が困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一実施形態の目的は、人体内の対象体に対する3次元超音波データから対象体の中心点を検索し、検索された中心点を面上に位置させる仮想平面に含まれたイメージデータを用いて超音波データを回転することによって、対象体に対する正確なサジタルビューを自動で探すことができる3次元超音波検査機および3次元超音波検査機の動作方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の一実施形態の目的は、対象体が胎児である場合、サジタルビューとして決定される超音波データから胎児の項部透明帯の厚さ、または胎児の鼻背と口蓋との間の角度(FMF angle)を測定し、胎児の異常の有無を正確に診断することを可能にする3次元超音波検査機および3次元超音波検査機の動作方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の一実施形態の目的は、施術者の操作に応じて超音波データを微細に回転させてサジタルビューを再決定することのできる3次元超音波検査機および3次元超音波検査機の動作方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明の一実施形態の目的は、対象体が胎児である場合、胎児の頭の方向を決定し、前記決定した頭の方向から胎児の鎌(falx)をスキャンしたデータが最も明るく出力されるデータにおける鎌の位置を基準軸に選定することによって、サジタルビューを探すための超音波データを回転させるのに根拠となる基準を設ける3次元超音波検査機および3次元超音波検査機の動作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するための3次元超音波検査機は、対象体をスキャンしたイメージデータを含む超音波データを生成するスキャン部と、前記生成された超音波データから前記対象体の中心点を検索し、前記検索された中心点を面上に位置させる仮想平面を前記超音波データに作成する処理部と、前記仮想平面上の前記超音波データに含まれた前記イメージデータを用いて前記超音波データを回転し、前記対象体に対するサジタルビューを決定する制御部とを含む。
【0014】
また、前述の目的を達成するための技術的な方法として3次元超音波検査機の動作方法は、対象体をスキャンしたイメージデータを含む超音波データを生成するステップと、前記生成された超音波データから前記対象体の中心点を検索するステップと、前記検索された中心点を面上に位置させる仮想平面を前記超音波データに作成するステップと、前記仮想平面上の前記超音波データに含まれた前記イメージデータを用いて前記超音波データを回転し、前記対象体に対するサジタルビューを決定するステップとを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態によれば、人体内の対象体に対する3次元超音波データによって正確なサジタルビューを自動に探すことができる。
【0016】
また、本発明の一実施形態によれば、対象体が胎児である場合、サジタルビューとして決定される超音波データから胎児の項部透明帯の厚さ、または胎児の鼻背と口蓋との間の角度を測定し、胎児の異常の有無を正確に診断することができる。
【0017】
また、本発明の一実施形態によれば、胎児の微細な動きを考慮してサジタルビューを再決定することができる。
【0018】
また、本発明の一実施形態によれば、胎児に対する診断において、超音波データから頭の方向を決定し、決定された頭の方向から胎児の鎌をスキャンしたイメージデータの明るさに応じた超音波データを回転させる根拠としての基準軸を選定することによて、サジタルビューがより信頼性のあるように決定される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る3次元超音波検査機の内部構成を示す図である。
【図2】本発明の一側において、人体内の対象体および対象体をスキャンして生成した超音波データを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る3次元超音波検査機の動作方法の順序を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る基準軸を設定するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態を添付された図面を参照して詳細に説明する。しかし、本発明が実施形態によって制限されたり限定されることはない。各図面に提示された同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る3次元超音波検査機の内部構成を示す図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る3次元超音波検査機100は、スキャン部110、処理部120、および制御部130を含んで構成してもよい。また、本発明の一実施形態に係る3次元超音波検査機100は、図示しない表示部(ディスプレイ部)を含んでいてもよい。
【0023】
まず、スキャン部110は、人体内の対象体をスキャンしたイメージデータを含む超音波データを生成する役割をする。すなわち、スキャン部110は、対象体に向けて超音波信号を送信し、対象体から反射される超音波信号の情報を用いて、対象体に関する超音波データを生成する。ここで、人体内の対象体は、胎児、臓器を含む概念であってもよい。すなわち、スキャン部110は、胎児、臓器などをスキャンして作成されたイメージデータを超音波データとして生成する役割をする。なお、超音波データは、2次元超音波映像および3次元超音波映像を含む。
【0024】
超音波データを生成する一例として、スキャン部110は、対象体に対して関心領域を設定し、設定された関心領域の内部にシードを位置させてもよい。このとき、対象体が胎児である場合、シードは胎児の項部透明帯(NT)の付近に位置してもよい。その後、スキャン部110は、3D超音波を用いて対象体をスキャンしてイメージデータを作成することによって、対象体に対する超音波データを生成してもよい。生成された超音波データのうち、対象体が占有する領域が作成されたイメージデータである。
【0025】
処理部120は、生成された超音波データから対象体の中心点を検索し、検索された中心点を面上に位置させる仮想平面を超音波データに作成する役割を行う。すなわち、処理部120は、検索された対象体の中心点(好ましくは重点)を含む仮想の平面を超音波データに作成することによって、後述するB−plane(例えば、胎児の頭の方向から眺めたイメージデータを表示する平面)を形成してもよい。
【0026】
一例として、人体内の対象体が「胎児」である場合、処理部120は、生成された超音波データから胎児の鼻背と関連する第1特異点を指定し、指定された第1特異点を用いて胎児の口蓋(palate)と関連する第2特異点を指定し、指定された第2特異点を基準として対象体の中心点、すなわち、胎児の頭の中心点を検索してもよい。
【0027】
より詳しく説明すれば、処理部120は、胎児の側面を示した「A−plane」上で胎児の項部透明帯の付近に位置するシードを基準として胎児の鼻背に関する第1特異点を探し、第1特異点を基準として胎児の口蓋に関する第2特異点を探してもよい。その後、処理部120は、第1特異点と第2特異点を用いて、「A−plane」上で胎児の頭の中心点を探してもよい。胎児の頭の中心点は、本発明者の長年の経験および実験によって実際の頭の中心と近接したと判断される超音波データ内の任意地点を定義すしてもよく、例えば、本発明者は、第1、2特異点を連結した仮想線上の点の中から第2特異点から数cm離れて位置する点を胎児の頭の中心点として求めるノウハウを保有している。
【0028】
続いて、処理部120は、検索された胎児の頭の中心点を含み、「A−plane」に垂直である「B−plane」(すなわち、仮想平面)を超音波データ内に作成してもよい。
【0029】
参考までに、処理部120は、既に公知にされたアルゴリズムと超音波データに対するイメージプロセッシングなどを適切に組み合わせて活用し、また長年の経験値、実験による累積データを用いて、前述した中心点を始め第1特異点と第2特異点を近似的に探すことができる。
【0030】
制御部130は、仮想平面に含まれたイメージデータを用いて超音波データを回転し、対象体に対するサジタルビューを決定する役割をする。すなわち、制御部130は、B−planeを回転すれば、B−planeと直角関係にあるA−planeが連動して回転し、このようなB−planeの回転によってA−planeがサジタルビューになるようにする。ここで、仮想平面に含まれたイメージデータは、対象体が胎児である場合、胎児の頭の方向から超音波データを見る時の対象体に相当する領域であってもよい。
【0031】
一例として、制御部130は、仮想平面に含まれたイメージデータに相応する図形をマッチングし、マッチングされた図形を構成する一軸(所定の軸)と、選定された基準軸(後述する)とが互いに平行するように超音波データを回転してもよい。
【0032】
基準軸は、超音波データを回転させて補正することによってサジタルビューになる基準となる一種の線としてもよい。基準軸を選定するために本発明の3次元超音波検査機100は、方向識別部160をさらに含んでもよい。
【0033】
方向識別部160は、対象体が胎児である場合、超音波データから胎児の頭の方向を識別する役割を行う。頭の方向の識別は、胎児の形態が不明な超音波データ内で胎児がどのような様態でスキャンされるかを確認するためのものである。
【0034】
方向識別部160による頭の方向の識別は、FMFの点数付与(scoring)作業によって頭の方向を推定する方法を活用する。すなわち、方向識別部160は、超音波データの側方向に対する複数のスライスデータを取得し、後述する測定部150によって測定された各スライスデータのFMFを考慮して胎児の頭の方向を決定する。
【0035】
頭の方向を識別する方向識別部160の動作について下記にて詳しく説明する。
【0036】
胎児の方向を推定するため、方向識別部160は、以下の1)〜4)に示すように、鼻背(Nasal bridge)をA−planeの各スライスデータで探知し、点数を付与する。
【0037】
1)トップハット変換(Top−hat Transform)
鼻背および口蓋を探知するために方向識別部160は、まず、トップハット変換を超音波データに適用する。
【0038】
トップハット変換の適用は、イメージ復元に活用される他の方式、例えば、エッジの検出や原画像に閾値を適用する方式の短所を補完するためである。すなわち、エッジの検出を適用する場合、胎児の境界線と超音波データの境界、また産婦の他の組織が胎児に対するイメージの復元時に共に復元され得るという問題がある。また、原画像に閾値を適用すれば、背景に比べて相対的に明るい胎児の皮膚または産婦の胎盤などが同時にイメージ復元される短所がある。
【0039】
このような妨害要素を除去するため、方向識別部160は、トップハット変換を適用して超音波データ内の胎児のイメージ復元を行う。トップハット変換を適用した具体的な実施形態は既に公知のもので代替し、ここでは省略する。
【0040】
2)適応閾値(Adapting thresholding)
先にトップハット変換を適用した映像に対して、方向識別部160は、全体映像の平均と標準偏差を適切に組み合わせた閾値を適用する。これによって、方向識別部160は、超音波データから鼻背と口蓋を含む明るい細目を抽出することができる閾値イメージを得る。
【0041】
写真1においては、超音波データに対して前述のトップハット変換と適応閾値を適用し、超音波データから鼻背と口蓋を区分する閾値イメージの実例を表している。
【0042】
<写真1>

【0043】
3)NBLの検出(鼻背ライン:Nasal Bridge Line)
方向識別部160は、閾値イメージでNBL(鼻背ライン)を探し、NBLの斜め角度から胎児の頭の方向を推定してもよい。
【0044】
例えば、写真1の閾値イメージ内のNBLは「\」の斜めを有し、方向識別部160は、口蓋との形成角度などを考慮して胎児の頭の方向をA−Plane上の左側に推定してもよい。
【0045】
4)点数付与(scoring)
胎児の頭周辺には胎児の腕と産婦の胎盤や他の組織の中に明るい領域が多く存在する。したがって、A−Plane上の超音波データのみでNBLを探して胎児の頭の方向を推定すれば、多くの間違いが発生し得る。胎児の鼻背や頬骨(zygomatic bone)は胎児の顔の表面に均等に分布するため、より正確な頭の方向を探すために方向識別部160は、超音波データplane(A−Plane)に基づいて超音波データの側方向に対する複数のスライスデータを取得し、取得された複数のスライスデータそれぞれに対してNBLを決定し、各スライスデータから推定された方向を点数付与する。
【0046】
例えば、10個のスライスデータが超音波データから取得される場合、方向識別部160は、各スライスデータに対する推定された頭の方向を、「左:右=7:3」のように点数付与してもよく、最終的に胎児の頭の方向を点数が相対的に高く付与されたスライスデータの左側に決定してもよい。
【0047】
その後、制御部130は、方向識別部160によって決定された頭の方向から胎児の鎌をスキャンした複数の基準イメージの中から、輝度(brightness intensity)が最も大きい1つの基準イメージ内の鎌の位置を基準軸に選定する。すなわち、制御部130は、頭の方向から胎児の鎌に対してスキャンした基準イメージが最も明るく出力される位置を、サジタルビューを取得するための基準軸として決定するようになる。
【0048】
写真2の下段左の映像のようにA−Planeが正中矢状(mid−sagittal)であれば、破線ウィンドウ領域、すなわち、大脳鎌(falx cerebri)領域が均等に明るく分布する。しかし、上段左の映像のように、正中矢状でなければ、同一の領域が均等に明るくなく、暗い領域が現れるようになる。
【0049】
制御部130は、このような特性を用いて頭の中心を基準として超音波データを移動、回転しながら鎌領域が最も明るくかつ均等に分布する場合を正中矢状、すなわちサジタルビューを決定するための基準軸と定めてもよい。
【0050】
<写真2>

【0051】
再び図1の制御部130による超音波データの回転に対して説明すれば、他の一例として、制御部130は、仮想平面に含まれたイメージデータに相応する図形をマッチングし、マッチングされた図形を構成する一軸と選定された基準軸との間の角度だけ超音波データを回転してもよい。
【0052】
例えば、制御部130は、イメージデータとマッチングされる図形を「楕円」として決定してもよい。このとき、制御部130は、対象体とマッチングされる図形を特定の色または特定の線にフォーカシングしてディスプレイ画面上に表示してもよい。また、イメージデータとマッチングされる図形が楕円と決定される場合、制御部130は、楕円の長軸と短軸、または周囲の長さのうちに少なくとも1つに関する情報をディスプレイ画面上に表示してもよい。
【0053】
制御部130は、対象体の中心点を通る「楕円」の長軸と、イメージデータの基準軸(すなわち、垂直側またはy軸)が互いに平行するよう超音波データを回転してもよい。すなわち、制御部130は、対象体の中心点を通る楕円の長軸と、イメージデータの基準軸(すなわち、垂直側またはy軸)がなす角度だけ超音波データを回転してもよい。
【0054】
このように、本発明の一実施形態によれば、人体内の対象体に対する3次元超音波データによって正確なサジタルビューを自動に探すことができる。
【0055】
また、制御部130は、施術者の操作に応じて超音波データを微細に回転させ、サジタルビューを再決定してもよい。したがって、対象体が胎児である場合、制御部130は、胎児の微細な動きを考慮した施術者の操作に応じて超音波データを微細に回転させ、より正確なサジタルビューを再決定することができる。
【0056】
他の実施形態として、本発明の3次元超音波検査機100は、シード設定部140と測定部150をさらに含んで構成してもよい。
【0057】
シード設定部140は、人体内の対象体が「胎児」である場合、回転によってサジタルビューにより決定される超音波データから、胎児の項部透明帯(NT)の周囲にシードを設定する機能を行う。
【0058】
また、測定部150は、サジタルビューにより決定される超音波データから、設定されたシードを基準として胎児の項部透明帯の厚さを自動に測定してディスプレイ画面に表示する機能を行う。
【0059】
これによって、施術者(または医師)は測定された胎児の項部透明帯の厚さに基づいて、胎児の異常の有無をより正確に診断することができるようになる。このとき、測定部150は、超音波データから胎児の項部透明帯を特定の色または特定の線にフォーカシングしてシードの付近に表示してもよい。
【0060】
他の実施形態として、測定部150は、サジタルビューにより決定される超音波データから、胎児の鼻背と関連する第1特異点と、胎児の口蓋と関連する第2特異点との間の角度を自動に測定してディスプレイ画面に表示してもよい。これによって、施術者(または医師)は、測定された角度(FMF angle)に基づいて胎児の異常の有無をより正確に診断することができる。このとき、測定部150は、超音波データから第1特異点と第2特異点を、特定の色または特定の線にフォーカシングして表示してもよい。
【0061】
このとき、測定部150は、施術者の操作に応じて超音波データが微細に回転されてサジタルビューが再決定される場合、測定された胎児の項部透明帯の厚さ、角度(FMF angle)、またはイメージデータにマッチングされた図形(例えば、「楕円」)の周囲の長さなどを修正してもよい。
【0062】
したがって、本発明の一実施形態によれば、対象体が胎児である場合、サジタルビューにより決定される超音波データから胎児の項部透明帯の厚さ、または胎児の鼻背と口蓋との間の角度を測定し、胎児の異常の有無を正確に診断することができるようになる。
【0063】
図2は、本発明の一側において人体内の胎児および胎児をスキャンして生成した超音波データを示す図である。
【0064】
図2には、人体内の胎児210、および胎児210をスキャンして生成した超音波データ220が示されている。同図に示すように、本発明の一実施形態に係る3次元超音波検査機は、3D超音波を用いて胎児210をスキャンすることによって超音波データ220を生成してもよい。このとき、生成された超音波データ220の中で胎児210に相当する領域がイメージデータであってもよい。このとき、シードは胎児210の項部透明帯230の付近に位置してもよい。
【0065】
3次元超音波検査機は、サジタルビューにより決定される超音波データ220から、設定されたシードを基準として胎児210の項部透明帯230の厚さを自動に測定してディスプレイ画面に表示してもよい。これによって、施術者(または医師)は、測定された胎児210の項部透明帯230の厚さに基づいて胎児210に対する異常可否をより正確に診断することができる。このとき、測定部150は、超音波データ220から胎児210の項部透明帯230を特定の色または特定の線にフォーカシングし、シードの付近に表示してもよい。
【0066】
図3は、本発明の一実施形態に係る3次元超音波検査機の動作方法の順序を示すフローチャートである。
【0067】
本発明の一実施形態に係る3次元超音波検査機の動作方法は、図1に示す3次元超音波検査機100によって実現されてもよい。以下は、図3に基づく説明では、前述した図1を参照して図3を説明することによって、発明の理解を図ることにする。
【0068】
ステップS310において、3次元超音波検査機100は、人体内の対象体をスキャンしたイメージデータを含む超音波データを生成する。
【0069】
ここで、人体内の対象体は、胎児または臓器が含まれてもよい。
【0070】
例えば、スキャン部110は、対象体に対して関心領域(すなわち、ROI)を設定し、設定された関心領域の内部にシードを位置させてもよい。対象体が胎児である場合、シードは胎児の項部透明帯(NT)の付近に位置してもよい。スキャン部110は、3D超音波を用いて対象体をスキャンすることによって、超音波データ(2次元超音波映像および3次元超音波映像を含む)を生成してもよい。このとき、生成された超音波データの中に対象体に相当する領域がイメージデータであってもよい。
【0071】
ステップS320〜ステップS330において3次元超音波検査機100は、生成された超音波データから対象体の中心点を検索し、検索された中心点を面上に位置させる仮想平面を超音波データに作成する。
【0072】
一例として、人体内の対象体が「胎児」である場合、処理部120は、生成された超音波データから胎児の鼻背と関連する第1特異点を指定し、指定された第1特異点を用いて胎児の口蓋と関連する第2特異点を指定し、指定された第2特異点を基準として対象体の中心点、すなわち、胎児の頭の中心点を検索してもよい。
【0073】
より詳しく説明すれば、処理部120は、胎児の側面を示した「A−plane」上で胎児の項部透明帯の付近に位置するシードを基準として胎児の鼻背に関する第1特異点を探し、第1特異点を基準として胎児の口蓋に関する第2特異点を探してもよい。その後、処理部120は、第1特異点と第2特異点を用いて、「A−plane」上で胎児の頭の中心点を探してもよい。続いて、処理部120は、検索された胎児の頭の中心点を含み、「A−plane」に垂直の「B−plane」(すなわち、仮想平面)を作成してもよい。
【0074】
参考として、処理部120は、選定されたアルゴリズムと超音波データに対するイメージプロセッシングを用いて、あるいは数年間の経験値、実験値による累積データを用いて、第1特異点と第2特異点および中心点を探すことができる。
【0075】
ステップS340から3次元超音波検査機100は、仮想平面に含まれたイメージデータを用いて超音波データを回転し、対象体に対するサジタルビューを決定する。
【0076】
ここで、イメージデータは、仮想平面から対象体(例えば、胎児)に相当する領域であってもよい。
【0077】
例えば、制御部130は、イメージデータとマッチングされる図形を「楕円」に決定してもよい。このとき、制御部130は、対象体とマッチングされる図形を特定の色または特定の線にフォーカシングしてディスプレイ画面上に表示してもよい。また、イメージデータとマッチングされる図形が楕円に決定される場合、制御部130は、楕円の長軸と短軸、または周囲の長さのうちの少なくとも1つに関する情報をディスプレイ画面上に表示してもよい。
【0078】
制御部130は、対象体の中心点を通る「楕円」の長軸と、イメージデータの基準軸(すなわち、垂直側またはy軸)が互いに平行するように超音波データを回転してもよい。
【0079】
基準軸を設定する過程に対して、図4を参照して詳しく説明する。
【0080】
図4は、本発明の一実施形態に係る基準軸を設定するフローチャートである。
【0081】
本発明の3次元超音波検査機100は、対象体が胎児である場合、超音波データの側方向に対する複数のスライスデータを取得する(S410)。ステップS410において3次元超音波検査機100は、A−Planeの超音波データを中心に超音波データの側方向に対する複数のスライスデータを取得する。
【0082】
その後、3次元超音波検査機100は、各スライスデータに対して胎児の鼻背と関連する第1特異点と、胎児の口蓋と関連する第2特異点との間の角度を測定する(S420)。ステップS420において3次元超音波検査機100は、鼻背と口蓋との間の角度(FMF angle)、特にFMF angleが形成される方向を測定する。
【0083】
続いて、3次元超音波検査機100は、各スライスデータに対して測定された複数の角度を考慮し、胎児の頭の方向を決定する(S430)。すなわち、ステップS430において3次元超音波検査機100は、各スライスデータで決定した頭の方向を点数付与し、付与された点数が多い方向に胎児の頭の方向を決定する。
【0084】
例えば、10個のスライスデータが超音波データから取得される場合、3次元超音波検査機100は、各スライスデータに対する推定された頭の方向を、「左:右=7:3」のように点数付与してもよく、最終的に点数が相対的に高く付与されたスライスデータの左側を、胎児の頭の方向に決定してもよい。
【0085】
また、3次元超音波検査機100は、決定した頭の方向から胎児の鎌をスキャンした複数の基準イメージの中から輝度が最も大きい1つの基準イメージ内の鎌の位置を基準軸に選定する(S440)。すなわち、ステップS440における3次元超音波検査機100は、頭の方向に胎児の鎌に対してスキャンした基準イメージが最も明るく出力される位置を、サジタルビューを取得するための基準軸として決定するようになる。
【0086】
再び図3に基づいて説明すれば、3次元超音波検査機100の制御部130は、対象体の中心点を通る楕円の長軸と、イメージデータの基準軸(すなわち、垂直側またはy軸)がなす角度だけ超音波データを回転してもよい。
【0087】
このように、本発明の一実施形態によれば、人体内の対象体に対する3次元超音波データによって正確なサジタルビューを自動に探すことができる。
【0088】
ステップS350において、3次元超音波検査機100は、施術者の操作に応じて超音波データを微細に回転させてサジタルビューを再決定する。
【0089】
したがって、対象体が胎児である場合、制御部130は、胎児の微細な動きを考慮した施術者の操作に応じて、超音波データを微細に回転させ、より正確なサジタルビューを再決定することができる。
【0090】
ステップS360において、3次元超音波検査機100は、人体内の対象体が「胎児」である場合、サジタルビューにより決定される超音波データから設定されたシードを基準として胎児の項部透明帯の厚さを自動に測定したり、あるいは胎児の鼻背と関連する第1特異点と、胎児の口蓋と関連する第2特異点との間の角度(FMF angle)を自動に測定する。
【0091】
また、測定部150は、測定された胎児の項部透明帯の厚さまたは角度(FMF angle)をディスプレイ画面(表示部)に表示することによって、施術者(または医師)が測定されたデータに基づいて胎児の異常の有無をより正確に診断することを可能にする。
【0092】
また、測定部150は、施術者の操作に応じて超音波データが微細に回転されてサジタルビューが再決定される場合、測定された胎児の項部透明帯の厚さ、角度(FMF angle)、またはイメージデータにマッチングされた図形(例えば、「楕円」)の周囲の長さなどを修正してもよい。
【0093】
したがって、本発明の一実施形態によれば、対象体が胎児である場合、サジタルビューにより決定される超音波データから胎児の項部透明帯の厚さ、または胎児の鼻背と口蓋との間の角度を測定し、胎児の異常の有無を正確に診断することができるようになる。
【0094】
このとき、測定部150は、超音波データから胎児の項部透明帯または第1特異点と第2特異点を特定の色または特定の線にフォーカシングし、シードの付近に表示することができる。
【0095】
また、本発明の実施形態は、多様なコンピュータにより行われるプログラム命令に実現され、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録されてもよい。前記コンピュータ読取可能な記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独または組み合わせて含むこともできる。前記媒体に記録されるプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知であり使用可能なものであってもよい。コンピュータ読取可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気−光媒体、およびROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行され得る高級言語コードを含む。
【0096】
上述したように、本発明は、たとえば限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような基材から多様な修正および変形が可能である。
【0097】
したがって、本発明の範囲は説明された実施形態に限定されて決められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等なものなどによって定められなければならない。
【符号の説明】
【0098】
100:3次元超音波検査機
110:スキャン部
120:処理部
130:制御部
140:シード設定部
150:測定部
160:方向識別部
210:胎児
220:超音波データ
230:項部透明帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象体をスキャンしたイメージデータを含む超音波データを生成するスキャン部と、
前記生成された超音波データから前記対象体の中心点を検索し、前記検索された中心点を面上に位置させる仮想平面を前記超音波データに作成する処理部と、
前記仮想平面上の前記超音波データに含まれた前記イメージデータを用いて前記超音波データを回転し、前記対象体に対するサジタルビューを決定する制御部と、
を含むことを特徴とする3次元超音波検査機。
【請求項2】
前記対象体が胎児である場合、
前記仮想平面に直交する方向に対する複数のスライスデータを取得する方向識別部と、
前記複数のスライスデータから、前記胎児の鼻背と関連する第1特異点と、前記胎児の口蓋と関連する第2特異点との間の角度を測定する測定部と、をさらに含み、
前記方向識別部は、前記複数のスライスデータそれぞれに対して測定された複数の角度に基づいて、前記胎児の頭の方向を決定することを特徴とする請求項1に記載の3次元超音波検査機。
【請求項3】
前記制御部は、前記決定した頭の方向から前記胎児の鎌をスキャンした複数の基準イメージのうち、輝度が最も大きい1つの基準イメージ内の前記鎌の位置を基準軸に選定することを特徴とする請求項2に記載の3次元超音波検査機。
【請求項4】
前記制御部は、前記仮想平面上の前記超音波データに含まれた前記イメージデータに相応する図形をマッチングし、前記マッチングされた図形を構成する所定の軸と前記選定された基準軸とが互いに平行するよう、前記超音波データを回転することを特徴とする請求項3に記載の3次元超音波検査機。
【請求項5】
前記マッチングされた図形が楕円である場合、前記制御部は、前記楕円の長軸と前記基準軸とが互いに平行するように前記超音波データを回転することを特徴とする請求項4に記載の3次元超音波検査機。
【請求項6】
前記制御部は、前記仮想平面上の前記超音波データに含まれた前記イメージデータに相応する図形をマッチングし、前記マッチングされた図形を構成する所定の軸と前記選定された基準軸との間の角度だけ前記超音波データを回転することを特徴とする請求項3に記載の3次元超音波検査機。
【請求項7】
前記対象体が胎児である場合、前記処理部は、前記生成された超音波データから前記胎児の鼻背と関連する第1特異点を指定し、前記指定された第1特異点を用いて前記胎児の口蓋と関連する第2特異点を指定し、前記指定された第2特異点を基準として前記対象体の中心点を検索することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の3次元超音波検査機。
【請求項8】
前記対象体が胎児である場合、
前記サジタルビューとして決定される前記超音波データから、前記胎児の項部透明帯の周囲にシードを設定するシード設定部と、
前記設定されたシードを基準として前記項部透明帯の厚さを測定する測定部と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の3次元超音波検査機。
【請求項9】
前記対象体が胎児である場合、前記サジタルビューとして決定される前記超音波データから、前記胎児の鼻背と関連する第1特異点と、前記胎児の口蓋と関連する第2特異点との間の角度を測定する測定部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の3次元超音波検査機。
【請求項10】
前記制御部は、施術者の操作に応じて前記超音波データを微細に回転させ、前記サジタルビューを再決定することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の3次元超音波検査機。
【請求項11】
対象体をスキャンしたイメージデータを含む超音波データを生成するステップと、
前記生成された超音波データから前記対象体の中心点を検索するステップと、
前記検索された中心点を面上に位置させる仮想平面を前記超音波データに作成するステップと、
前記仮想平面上の前記超音波データに含まれた前記イメージデータを用いて前記超音波データを回転し、前記対象体に対するサジタルビューを決定するステップと、
を含むことを特徴とする3次元超音波検査機の動作方法。
【請求項12】
前記対象体が胎児である場合、
前記仮想平面に直交する方向に対する複数のスライスデータを取得するステップと、
前記スライスデータから、前記胎児の鼻背と関連する第1特異点と、前記胎児の口蓋と関連する第2特異点との間の角度を測定するステップと、
前記複数のスライスデータそれぞれに対して測定された複数の角度に基づいて、前記胎児の頭の方向を決定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の3次元超音波検査機の動作方法。
【請求項13】
前記決定された頭の方向から前記胎児の鎌をスキャンした複数の基準イメージのうち、輝度が最も大きい1つの基準イメージ内の前記鎌の位置を基準軸に選定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の3次元超音波検査機の動作方法。
【請求項14】
前記対象体に対するサジタルビューを決定するステップは、
前記仮想平面上の前記超音波データに含まれた前記イメージデータに相応する図形をマッチングするステップと、
前記マッチングされた図形を構成する所定の軸と前記選定された基準軸とが互いに平行するように、前記超音波データを回転するステップと、
を含むことを特徴とする請求項13に記載の3次元超音波検査機の動作方法。
【請求項15】
前記マッチングされた図形が楕円である場合、前記超音波データを回転するステップは、前記楕円の長軸と前記基準軸とが互いに平行するように前記超音波データを回転するステップを含むことを特徴とする請求項14に記載の3次元超音波検査機の動作方法。
【請求項16】
前記対象体が胎児である場合、
前記対象体の中心点を検索するステップは、
前記生成された超音波データから前記胎児の鼻背と関連する第1特異点を指定するステップと、
前記指定された第1特異点を用いて前記胎児の口蓋と関連する第2特異点を指定するステップと、
前記指定された第2特異点を基準として前記対象体の中心点を検索するステップと、
を含むことを特徴とする請求項11に記載の3次元超音波検査機の動作方法。
【請求項17】
前記対象体が胎児である場合、
前記サジタルビューとして決定される前記超音波データから、前記胎児の項部透明帯の周囲でシードを設定するステップと、
前記設定されたシードを基準として前記項部透明帯の厚さを測定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の3次元超音波検査機の動作方法。
【請求項18】
前記対象体が胎児である場合、前記サジタルビューとして決定される前記超音波データから、前記胎児の鼻背と関連する第1特異点と、前記胎児の口蓋と関連する第2特異点との間の角度を測定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の3次元超音波検査機の動作方法。
【請求項19】
施術者の操作に応じて前記超音波データを微細に回転させ、前記サジタルビューを再決定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11ないし18のいずれかに記載の3次元超音波検査機の動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−183147(P2011−183147A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3019(P2011−3019)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(597096909)三星メディソン株式会社 (269)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG MEDISON CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】114 Yangdukwon−ri,Nam−myun,Hongchun−gun,Kangwon−do 250−870,Republic of Korea
【Fターム(参考)】