説明

人工ゼオライトを含む培養土改良材及び培養土

【課題】
地力の低下した培養土に混ぜるだけで培養土の地力を回復する人工ゼオライトを含む培養土改良材と、該培養土改良材を含んだ培養土と、を提供する。
【解決手段】
人工ゼオライト又は活性炭様の未燃焼炭素を含むようにして製造した人工ゼオライトと、有機肥料と、水溶性のミネラルと、を含み、地力の低下した培養土に混合することによって、培養土の地力を改良することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人工ゼオライトを含む培養土改良材及び培養土に係り、より詳しくは、人工ゼオライトと植物の生長に必要な栄養成分とを含む培養土改良材、及び前記培養土改良材を用いて製造した人工ゼオライトを含む培養土に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、園芸は住宅の庭などの土地を利用して行われてきたが、近年は、高層住宅など土地のない住宅が増えてきた。高層住宅の住人は土地を持っていないために、培養土を購入し、鉢やプランターなどのコンテナ(容器)を用いるか、あるいは鉢に植えられた花や観葉植物等を購入して園芸を行うことが多い。
【0003】
高層住宅の住人にとって、使用した培養土を使用する度に毎回捨てるのはもったいないし、捨てる場所にも苦労するので、一度使用した培養土を再利用することが望ましい。しかし、一度使用した培養土は、そのまま再利用しても植物がよく育たない場合が多い。このように変化してしまった培養土を、地力の低下した培養土という。
【0004】
培養土の地力が低下する理由として、鉢やプランターなどのコンテナでは、庭などの地面を利用する植物栽培に比べて、少量の培養土を用いて効率よく大量の植物を栽培するために、培養土の有機物やミネラルが足りなくなってしまうこと、土の粒が微細化するなどで変性して通気性、通水性(水はけ)、保水性、肥料保持力等が下がってしまっていること、土壌病害虫が繁殖してしまっていることが多いこと、などを挙げることができる。
【0005】
酸性土壌の土壌改良材として、人工ゼオライトが報告されている(例えば特許文献1参照)。培養土として、人工ゼオライト混合培養土が報告されている(例えば特許文献2参照)。人工ゼオライトを含有する土壌改良材として、根腐れ防止用栽培材が報告されている(例えば特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2007−2007号公報
【特許文献2】特開2004−131327号公報
【特許文献3】特開平8−9771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
地力の低下した培養土の地力を復活させる従来の方法としては、例えば、使用し終わった鉢やプランターなどのコンテナから土を取り出し、植物の根を取り除き、日光消毒し、所定量の新しい用土や培養土改良材を混合する方法がある。しかし、従来の方法は、手軽に園芸を楽しむ場合には煩雑であった。そのために、地力の低下した培養土と混ぜ合わせるだけで培養土の地力を回復できる培養土改良材の開発が望まれていた。
【0008】
特許文献1、3には、人工ゼオライトを用いる土壌改良材が記載されている。人工ゼオライトは根腐れを防止するので、培養土の再利用には有効である。しかし、培養土に人工ゼオライトを添加するだけでは、有機物やミネラルは減少したままなので、これらを追加しなければならず、煩雑である。特許文献2は人工ゼオライトを含む園芸用培養土に関するものである。
本発明の目的は、地力の低下した培養土に混ぜるだけで培養土の地力を回復する人工ゼオライトを含む培養土改良材と、該培養土改良材を含んだ培養土と、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を解決するための本発明の人工ゼオライトを含む培養土改良材は、人工ゼオライトと有機肥料とを含むことを特徴とする。
また本発明は、人工ゼオライトと、水溶性の第1鉄イオン(Fe2−)塩又は/及び第2鉄イオン(Fe3−)塩と、を含む。
更に本発明は、人工ゼオライトは活性炭様の未燃焼炭素を含むものである。
【0010】
更に本発明の培養土は、前記土壌改良材と、軽石、ピートモス、ココピート、堆肥、パーライト、赤玉土、腐葉土、バーミキュライト、バーク、バーク堆肥、椰子がら、くん炭から選択された1以上の用土と、を混合してなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、人工ゼオライト又は活性炭様の未燃焼炭素を含むようにして製造した人工ゼオライトと、有機肥料と、水溶性のミネラルと、から成る人工ゼオライトを含む培養土改良材を、地力の低下した培養土に混合することによって、培養土の地力を改良することができる。
【0012】
人工ゼオライトの吸着能により過剰施肥による肥料焼けがなくなり、肥料と水分との保持力が向上し、更に、栽培時に植物から生じる土中の有機酸等の有害物質が除かれ、有機肥料により、培養土中の有機物が補給され、土壌細菌が活性化され、鉄分を添加することによって、培養土中のミネラルの欠乏とバランスが改善される。これによって地力の低下した培養土の地力を改良することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明に述べる培養土改良材は、人工ゼオライト又は活性炭様の未燃焼炭素を含む人工ゼオライトと、有機肥料と、水溶性のミネラルと、から成り、地力の低下した培養土に混合することによって、該培養土の地力を改良することができる改良材である。
【0014】
本発明にのべる人工ゼオライトは、肥料成分の吸着力が強く、土に添加すると肥料の流失を防ぎ、肥料を徐々に供給することができるために、植物の成長を助けることができる。また、人工ゼオライトは多量の可溶性のケイ素とカルシウムを含むので、培養土のミネラルの補給に有効である。更に、人工ゼオライトは、農薬や重金属などの土壌汚染物質を吸収することができるので、土壌を浄化することができる。
植物を栽培する場合に、与えた肥料が植物または土に吸収されないで流れてしまうと、地下水から川や海に流出し、アオコや赤潮の発生など環境汚染の原因となるが、人工ゼオライトは、肥料の流出による環境汚染を防ぐことができる。
【0015】
前記人工ゼオライトとは、珪酸成分および/またはアルミニウム成分を含有する産業廃棄物、珪酸およびアルミニウムを非結晶性の珪酸アルミニウム塩として含む自然廃棄物、産業廃棄物の焼却灰または可燃性廃棄物の焼却灰等に珪酸富化材あるいはアルミニウム富化材を混合してアルカリ条件下で加熱または加圧反応させて得られた陽イオン交換能を有する物質である。
【0016】
生成する人工ゼオライトの結晶型は、原料の珪礬比、即ちSiOとAlのモル比によって変わる。主として生成するのは、ヒドロキシソーダライト、フィリップサイト、ホージャサイトなどである。また、その他の生成物としては、ゼオライトAなどを少量含むこともある。非ゼオライト成分として、未燃焼炭素由来の活性炭類似物質、鉄分、その他の不純物及びゼオライトに至るまでの中間生成物なども共存する。本発明を実施するに際しては、吸着能力に優れたフィリップサイトを主とする人工ゼオライトを用いるのが好ましい。
【0017】
本発明にのべる人工ゼオライトは、陽イオン置換型の人工ゼオライトである。好ましい例として、Ca2+、イオンMg2+イオン、Fe2+イオン、及びFe3+イオンの内の1以上で置換した人工ゼオライトを挙げることができる。更に、より好ましい具体例として、火力発電所の石炭燃焼滓を原料として製造されたCa2+イオンで置換した人工ゼオライトを、例示することができる。
【0018】
本発明に述べる水溶性ミネラルは、植物の生長に必要なミネラル成分であって、具体的には鉄とカルシウムとマグネシウムとケイ素とである。これらのミネラルは、植物の三大肥料といわれる窒素、リン酸、カリに次いで重要なものである。植物にとって硫黄も重要な元素であるが、硫黄は加え過ぎると培養土の酸性化が起こるので、本発明では添加しない。
これらのミネラルを植物に供給する場合は水に可溶な状態で供給しなければならない。
【0019】
前記鉄が欠乏すると、葉が葉脈を残して黄色くなるクロロシスが植物の新生部位に生成し、植物の成長が止まる。植物を露地栽培する場合は鉄分の欠乏は起こらないといわれているが、プランターや鉢などのコンテナを用いる場合は、土を繰り返し使用すると欠乏することが多い。
水溶性鉄塩を加える場合、第1鉄イオン(Fe2−)塩又は第2鉄イオン(Fe3−)塩の何れでもよい。第2鉄イオン(Fe3−)塩より第1鉄イオン(Fe2−)の方が土壌の酸性化が少なく、又は第2鉄イオン(Fe3−)は不溶性の酸化第2鉄として析出しやすいので、第1鉄イオン(Fe2−)塩がより好ましい。通常、第1鉄イオン(Fe2−)は空気中の酸素によって酸化されて第2鉄イオン(Fe3−)に変わってしまうが、本発明に於いては、人工ゼオライトが第1鉄イオン(Fe2−)を保護して、第1鉄イオン(Fe2−)が安定化される。
【0020】
本発明に加える水溶性鉄塩の量は、人工ゼオライトに対する鉄分としての重量%で0.01〜10%、好ましくは0.1〜5%である。
前記鉄は、Ca2+イオンで置換した人工ゼオライトの代わりに、Feイオンで置換した人工ゼオライトを用いることによっても加えることができる。
【0021】
前記カルシウムは、Ca2+イオンで置換した人工ゼオライトに含まれているので、培養土にCa2+イオンで置換した人工ゼオライトを加えることによって、別途にカルシウムを追加しなくても、培養土中のカルシウムを補給することができる。Ca2+イオンで置換した人工ゼオライト以外の人工ゼオライトを用いる場合はCa2+イオンを加えることが望ましい。
【0022】
前記ケイ素は、人工ゼオライト中に含まれているので、本発明に於いては、培養土に人工ゼオライトを加えることによって、別途ケイ素を追加しなくても、培養土中のケイ素を補給することができる。
【0023】
前記マグネシウムは、人工ゼオライト中に少量含まれているので、本発明に於いては、マグネシウムは特に追加しない。Mg2+イオンで置換した人工ゼオライトを加えることによって、別途マグネシウムを追加しなくても、培養土中のマグネシウムを補給することができる。栽培している植物に、下葉が落ちるなどのマグネシウム欠乏症が出た場合には、マグネシウムを別途に加えることが望ましい。
このように、人工ゼオライトと鉄分を混ぜ合わせることによって、培養土にミネラルをバランスよく補給することができる。
【0024】
本発明にのべる人工ゼオライトは、また、活性炭様の未燃焼炭素を含む人工ゼオライトである。人工ゼオライトは元来未燃焼炭素由来の活性炭類似物質を含むが、本発明で述べる活性炭様の未燃焼炭素を含む人工ゼオライトは、ゼオライトを製造する際の空気の供給量を制限して、炭素の燃焼を防ぎ、未燃焼炭素由来の活性炭類似物質含有量が多くなるようにしたものである。
活性炭類似物質は土壌の中の汚染物質を吸着するので、人工ゼオライト中の活性炭類似物質によって培養土改良材の効力を増大させることができる。
【0025】
前記活性炭様の未燃焼炭素の量は、活性炭様の未燃焼炭素を含む人工ゼオライトに対する重量%において1〜20%であり、より好ましくは2〜15%であり、最も好ましくは3〜10%である。
本発明に使用する人工ゼオライト又は活性炭様の未燃焼炭素を含む人工ゼオライトの使用量は、重量%に於いて、人工ゼオライトを含む培養土改良材の20〜95%であり、より好ましくは40〜90%であり、最も好ましくは60〜80%である。
【0026】
本発明に述べる有機肥料は、有機物を原料とする肥料であって油粕、魚粕、糠、堆肥、馬糞、牛糞、鶏糞、人糞尿、骨粉、肉骨粉、等の生肥料及び、これらを発酵処理した肥料である。
好ましい有機肥料として、粒状有機肥料とアミノ酸肥料とを例示することができる。
前記粒状有機肥料とは、牛糞又は鶏糞を発酵させて粒状化したものである。粒状発酵鶏糞は、発酵鶏糞をハンマーミルで粉砕し、ペレッタで造粒し、篩い分けたものである。粒状牛ふん堆肥は、牛ふん堆把に土壌改良材などの添加物を加え、ペレッタで造粒し、篩い分けたものである。
【0027】
前記アミノ酸肥料は、ボカシ肥料とも言われ、有機肥料に水を加えて発酵させたものである。原料となる有機肥料は、油カス、米糠、鶏糞、魚カス、骨粉など多様である。無機肥料を加えることもある。有機肥料を発酵させることによって、肥料中の養分が分解されて植物に吸収、利用されやすくなり、葉の色を向上させる。また、前記アミノ酸肥料は微生物の栄養源になり、土中の菌が増加し、土を団粒化する。
本発明に使用する有機肥料の使用量は、重量%に於いて、人工ゼオライトを含む培養土改良材の5〜98%であり、より好ましくは10〜60%であり、最も好ましくは20〜40%である。
【0028】
本発明に述べる人工ゼオライトを含む培養土とは、用土に前記人工ゼオライトを含む培養土改良材を混合して得られた培養土である。
前記培養土とは、あらかじめ栽培する植物に合わせてそのまま使用できるように単用土を混合した混合用土または単用土である。
前記の単用土としては、軽石、ピートモス、ココピート、堆肥、パーライト、赤玉土、腐葉土、バーミキュライト、バーク、バーク堆肥、椰子がら、くん炭等を例示することができる。
【0029】
前記の軽石とは、火山から溶岩が急冷される際に含有されるガスが放散して多孔質の海綿状となった岩石のことであり、通気性に優れている。
前記のピートモスは、湿地の水ゴケ類などが堆積して泥炭化したもので、腐葉土と類似した性質を有しており、均質でほぼ無菌であり、室内栽培養土として適している。しかしながら、ピートモスは、強酸性で微量元素をほとんど含有せず、微生物を活性化する力が弱い点で腐葉土とは異なっている。
【0030】
前記のココピートは、ココナッツ果実の堅い殻からマットやロープを作る繊維を取った残りを、3〜5年間堆積、醗酵させたものである。ピートモスに代わる土壌改良材で、一見ピートモスに似ているが、ピートモスを凌ぐ特性を有する土壌改良材として広く使われている。
【0031】
前記の堆肥は、食品かす、わら、ごみ、落葉、排せつ物等を積み重ね、腐らせて作った肥料のことをいい、牛ふんを発酵・乾燥させた牛ふん肥料等を例示することができる。堆肥には若干の肥料分が含有されているが、植物を生育させるに足る量ではない。また、改良用土としては、腐葉土と同様の働きをするものである。
【0032】
前記のパーライトは、黒曜石や真珠岩を細かく砕き高温高圧で処理して得られた多孔質で軽い人工の砂礫である。通気性、排水性に優れ、通気性の悪い用土の物理的特性を改善するのに効果的である。また、前記のパーライトは、鉢土の軽量化に利用できるが、保水性、保肥性が良くないので保水性、保肥性を向上させる場合には、粒子サイズを細かくする必要がある。
【0033】
前記の赤玉土は、関東ローム層において、黒土の下層、鹿沼土の上層に存在し、有機物を含まず、弱酸性の粘質の火山灰土を大、中、小の粒径にふるい分けたものである。赤土そのものは粒度が小さく通気性が良くないが、粒状の赤玉土は、ほぼ無菌の弱酸性土で、通気性、保水性、保肥性に富み、コンテナ用土として優れている。
前記の腐葉土は、落葉を腐食・発酵させた堆肥の一種ある。他の用土と混ぜて使用され、土中の微生物を活性化させると共に土の通気性を増加させる。
【0034】
前記のバーミキュライトは、蛭石を高温処理し、膨張させたものであり、無菌で、均質なものが得られる。前記の蛭石は、薄板が層状に集まった形状をしており、その層間に水分や養分を蓄えることができ、通気性も備えている。
【0035】
前記のバークは、バークチップ(針葉樹類の樹皮のチップ)を砕き、細片化したもので、通気性に優れており、軽石よりも保肥性がある。改良土としては、椰子がらと同様の働きを有するものである。
【0036】
前記バーク堆肥とは、樹木の皮の部分(バーク)を発酵させて作った土壌改良材のことである。樹木の植栽や農産物の植え込み時に土壌に混合すると、土中の保肥性、保水性、通気性が高まり樹木・農産物の育成に良い。また土中微生物のバランスの改善にも繋がり、連作障害等の発生を抑制する効果もある。
前記の椰子がらは、椰子の殻を砕き、細片化したものであり、作用としては、通気性に優れ、バークよりも保肥性、保水性に優れている。
【0037】
前記のくん炭は、籾殻をいぶし焼きにし、炭化させたものであり、通気に優れており、根ぐされ防止効果を有するものである。ほぼ無菌の弱酸性土で、通気性、保水性、保肥性に富み、コンテナ用土として優れている。
【0038】
培養土における単用土の混合比率は任意である。
本発明の人工ゼオライトを含む培養土に用いる人工ゼオライトを含む培養土改良材の使用量は、重量%に於いて、人工ゼオライトを含む培養土の1〜20%であり、より好ましくは1〜10%である。
【実施例1】
【0039】
(配合例)
Ca2+イオンで置換した人工ゼオライト又は活性炭様の未燃焼炭素を含む人工ゼオライトに、有機肥料又は/及び硫酸第1鉄を混合してA〜Fの人工ゼオライトを含む培養土改良材を製造し、表1に示した。
【0040】
【表1】

【実施例2】
【0041】
長期間使用して地力の弱った培養土のモデルとして、排水処理場で排出された汚泥を乾燥したものを用いた。
汚泥1kg当たり50gの人工ゼオライトを含む培養土改良材Aを混合した培養土を用い、元肥として化成肥料(重量%で窒素8%、燐酸8%、カリウム8%を含有する)をプランター当たり80g施肥し、ミニトマトの栽培を行った。栽培時の条件としては、気温20〜28℃のもとで90cm×30cmのプランターを用い、移植する苗の本数を3本とした。
比較例1,2として、人工ゼオライトを含む培養土改良材Aを含有しない培養土2個も準備し、比較例1には元肥として化成肥料(重量%で窒素8%、燐酸8%、カリウム8%を含有する)をプランター当たり80g施肥した。比較例1,2のそれぞれの土にミニトマトの苗を実施例2と同様に移植し栽培を行った。実施例2及び比較例1、2には毎日給水した。
70日後に、実施例2では1株当たり平均24.4個の完熟したミニトマトの収穫があったが、比較例1では1株当たり平均7.6個の未熟なミニトマトしか収穫できず、比較例2の苗は枯死した。
【実施例3】
【0042】
重量%で、人工ゼオライトを含む培養土改良材A4%、バーク堆肥20%、赤玉土20%、軽石20%、ピートモス14%、ココピート10%、パーライト12%、からなる培養土を用い、元肥として化成肥料(重量%で窒素8%、燐酸8%、カリウム8%を含有する)
をプランター当たり80g施肥し、ビオラの栽培を行った。栽培時の条件としては、気温0〜15℃のもとで90cm×30cmのプランターを用い、移植する苗の本数を10本とした。
比較例3として人工ゼオライトを含有しない培養土を準備し、元肥として化成肥料(重量%で窒素8%、燐酸8%、カリウム8%を含有する)をプランター当たり80g施肥し、それぞれの土にビオラの苗を前記と同様に移植し、栽培を行った。
苗移植後、20日、40日、60日、80日、及び130目に各株の直径(最大径)と高さとを測定した。結果を表2に示す。130日目の花の数は、実施例3では149個であり、比較例3では63個であった。
【0043】
【表2】

【実施例4】
【0044】
重量%で、人工ゼオライトを含む培養土改良材A4%、バーク堆肥20%、赤玉土20%、軽石20%、ピートモス14%、ココピート10%、パーライト12%、からなる培養土を用い、元肥として化成肥料(重量%で窒素8%、燐酸8%、カリウム8%を含有する)をプランター当たり80g施肥し、パンジーの栽培を行った。栽培時の条件としては、気温0〜15℃のもとで90cm×30cmのプランターを用い、移植する苗の本数を10本とした。
比較例4として人工ゼオライトを含有しない培養土を準備し、元肥として化成肥料(重量%で窒素8%、燐酸8%、カリウム8%を含有する)をプランター当たり80g施肥し、それぞれの土にパンジーの苗を前記と同様に移植し、栽培を行った。
苗移植後、20日、40日、60日、80日、及び130目に各株の直径(最大径)と高さとを測定した。結果を表3に示す。130日目の花の数は、実施例4では84個であったが、比較例4では29個であった。
【0045】
【表3】

【実施例5】
【0046】
重量%で、人工ゼオライトを含む培養土改良材A4%、バーク堆肥20%、赤玉土20%、軽石20%、ピートモス14%、ココピート10%、パーライト12%、からなる培養土を用い、元肥として化成肥料(重量%で窒素8%、燐酸8%、カリウム8%を含有する)
をプランター当たり80g施肥し、モンシロチョウの幼虫である青虫の食害にあったキャベツの栽培を行った。栽培時の条件としては、気温10〜20℃のもとで90cm×30cmのプランターを用い、移植する苗の本数を10本とした。
比較例5として人工ゼオライトを含有しない培養土を準備し、それぞれの土にモンシロチョウの幼虫である青虫の食害にあったキャベツの苗を前記と同様に移植し、元肥として化成肥料(重量%で窒素8%、燐酸8%、カリウム8%を含有する)をプランター当たり80g施肥し、栽培を行った。
苗移植後、20日、40日、60日、80日、及び130目に各株の直径(最大径)と高さとを測定した。結果を表4に示す。表4によれば、青虫の食害を受けた比較例5のキャベツはそのまま枯死したが、実施例5のキャベツは、40日後には根、葉とも青虫の食害から回復して本来の生長速度と丈夫な葉を取り戻した。
【0047】
【表4】

【実施例6】
【0048】
汚泥1kg当たり50gの人工ゼオライトを含む培養土改良材Cを混合した培養土を用い、元肥として化成肥料(重量%で窒素8%、燐酸8%、カリウム8%を含有する)をプランター当たり80g施肥し、ほうれん草の栽培を行った。栽培時の条件としては、気温15〜20℃のもとで90cm×30cmのプランターを用い、移植する苗の本数を10本とし、毎日給水して栽培を行った。
苗移植後60日目の観察によれば、実施例6のほうれん草は、比較例6のほうれん草と同等の生長を示し、大きさと葉の色は比較例6のほうれん草と大差なかった。
【実施例7】
【0049】
汚泥1kg当たり50gの人工ゼオライトを含む培養土改良材Eを混合した培養土を用い、元肥として化成肥料(重量%で窒素8%、燐酸8%、カリウム8%を含有する)をプランター当たり80g施肥し、ほうれん草の栽培を行った。栽培時の条件としては、気温15〜20℃のもとで90cm×30cmのプランターを用い、移植する苗の本数を10本とし、毎日給水して栽培を行った。
苗移植後60日目の観察によれば、実施例7のほうれん草は、比較例6のほうれん草より大きく成長した。
【実施例8】
【0050】
汚泥1kg当たり50gの人工ゼオライトを含む培養土改良材Fを混合した培養土を用い、元肥として化成肥料(重量%で窒素8%、燐酸8%、カリウム8%を含有する)をプランター当たり80g施肥し、ほうれん草の栽培を行った。栽培時の条件としては、気温15〜20℃のもとで90cm×30cmのプランターを用い、移植する苗の本数を10本とし、毎日給水して栽培を行った。苗移植後60日目の観察によれば、実施例8のほうれん草は、比較例6のほうれん草より大きく成長し、葉の色も比較例6のほうれん草より濃かった。
【0051】
[比較例6]
比較例3と同じ培養土を用い、元肥として化成肥料(重量%で窒素8%、燐酸8%、カリウム8%を含有する)をプランター当たり80g施肥し、それぞれの土にほうれん草の苗を前記と同様に移植し、ほうれん草の栽培を行った。栽培時の条件としては、気温15〜20℃のもとで90cm×30cmのプランターを用い、移植する苗の本数を10本とした。毎日給水して栽培を行った。
【0052】
[比較例7]
乾燥した汚泥を用い、元肥を与えずにほうれん草の栽培を行った。栽培時の条件としては、気温15〜20℃のもとで90cm×30cmのプランターを用い、移植する苗の本数を10本とし、毎日給水して栽培を行った。苗は成長せずに枯死した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工ゼオライトと有機肥料とを含むことを特徴とする人工ゼオライトを含む培養土改良材。
【請求項2】
人工ゼオライトと水溶性の第1鉄イオン(Fe2−)塩又は/及び第2鉄イオン(Fe3−)塩とを含むことを特徴とする人工ゼオライトを含む培養土改良材。
【請求項3】
前記人工ゼオライトは、活性炭様の未燃焼炭素を含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の人工ゼオライトを含む培養土改良材。
【請求項4】
水溶性の第1鉄イオン(Fe2−)塩又は/及び第2鉄イオン(Fe3−)塩を更に含んでなることを特徴とする請求項1又は3に記載の人工ゼオライトを含む培養土改良材。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の人工ゼオライトを含む培養土改良材と、軽石、ピートモス、ココピート、堆肥、パーライト、赤玉土、腐葉土、バーミキュライト、バーク、バーク堆肥、椰子がら、くん炭から選択された1以上の用土と、を混合したことを特徴とする人工ゼオライトを含む培養土。

【公開番号】特開2009−213446(P2009−213446A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63268(P2008−63268)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(300044827)
【Fターム(参考)】