説明

人工的に着色された毛髪の色の知覚の向上

本明細書の発明は、人工的に着色された毛髪の色の知覚を向上するためのアミノシリコーンの使用を包含する。また包含されるものは、使用方法、パーツのキット及び製品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の着色に関する。本明細書の発明は、人工的に着色された毛髪の色の知覚を向上させる。
【背景技術】
【0002】
毛髪を人工的に着色することは、先行技術において十分に記載されており、多種多様な色合いが、毛髪着色キットとしてそのような趣旨で市販されている。消費者は、これらの異なる色合いが提供する選択の程度に満足しているが、総体的に、耐久性のあるより強烈な色彩を提供する必要性が存在する。
【0003】
新たな染料分子を同定する更なる研究に着手する代わりに、本明細書の発明者たちは、人工的に着色された後の毛髪にアミノシリコーンを適用することが、人工着色された毛髪の耐久性のある向上された色の知覚を提供することを見出した。
【0004】
アミノシリコーンの使用はこの分野では周知である(例えば、EP1312342及びEP1312350を参照)が、人工的に着色された後の毛髪へのこれらのシリコーンの適用が、着色された毛髪の耐久性のある向上された色の知覚を提供することは報告されたことがない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シリコーン類は、一般にエマルション類として処方されるが、本発明者たちは、更に、利益及びその持続時間は、使用されるシリコーンが、アミノシリコーンの溶液である組成物として提供される場合に最大になることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の実施形態において、本発明は、人工的に着色された毛髪の向上された色の知覚を提供するためのアミノシリコーンの使用を包含する。
【0007】
第2の実施形態において、本発明は、アミノシリコーンの溶液である組成物を包含する。
【0008】
第3の実施形態において、本発明は、人工的に着色された毛髪の色の知覚を向上する方法であって、前記着色された毛髪にアミノシリコーンの溶液である組成物を適用する工程を含む方法を包含する。
【0009】
第4の実施形態において、本発明は、毛髪を着色する1個又は数個の第1構成成分及び前記第1構成成分で着色された毛髪の色の知覚を向上させる第2構成成分を含み、前記第2構成成分が上記処方のアミノシリコーンの溶液であるパーツのキットを包含する。
【0010】
第5の実施形態において、本発明は、例えば、パーツのキットにおける第2構成成分として本明細書に用いるのに好適な製品を包含し、前記物品は、アミノシリコーンを含むスポンジ又は拭き取り布のような基材を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(利益)
本発明は、更なる染料又は発色団又は漂白剤を使用することなく、人工的に着色又は漂白された毛髪の増強又は向上された色の知覚の利益を提供する。当業者には、この光学的改善/色の向上を記載するために、「増強された色の強度」、「改善された色利益」、「彩度シフト」、「増強された色調」、「増強された彩度」、「増強された色の明度」、「増強された色の鮮やかさ」、「増強された色の深み」が挙げられるが、それらには限定されない他の用語が使用できることは明白であろう。そして、「微妙な毛髪の色調を向上させ、自然の毛髪の色を提供する」、「くすみを取り除き、本来の色を輝かせることができる」、「より明るい光沢もたらす」、「健康的な色」、「もっと質感のある色」のような種々の販売用の謳い文句を消費者に利益を伝えるために開発することができる。
【0012】
本明細書で使用する時、表現「人工的に着色された毛髪」及び「着色された」と「着色する」などの関連する全ての用語は、その広い意味で、すなわち毛髪を実際に着色すること、並びに毛髪を単に漂白することを包含すると理解されるべきである。
【0013】
アミノシリコーンの溶液である本明細書の好ましい組成物によって、人工的に着色された毛髪の改善された色の知覚の効果は、数回の洗浄サイクルにわたって特に耐久性をもつ。毛髪を着色する消費者は、典型的には4〜6週間毎に着色するので、2回の着色の間にシリコーンの新たな適用の必要性がない可能性がある。しかし消費者は、2回の着色の間にアミノシリコーンを適用することを選択してもよい。
【0014】
この文脈において、色の知覚を向上させる産業的に許容される幾つかの方法がある。CIE LC hカラーシステムが、色を測定する標準的な方法として使用される(参照:産業色試験(Industrial Colour Testing)、20頁、ハンス(Hans)G.フォルツ(Volz)、ISBN3−527−30436−3)。この方法を使用して、例えば、ディフューザー測定形状に基づくミノルタ(Minolta)3600dのような手持ち式分光光度計を用いてL及びC値をモニタリングすることにより、毛髪繊維の光学特性における改善を評価することが可能である。しかし、本明細書で使用されるより有用な測定は、クルベルカ−ムンク関数K/Sの使用である。この値は、また、物質の比色特性を評価するために許容されている方法である(参照:産業色試験(Industrial Colour Testing)、98頁、ハンス(Hans)G.フォルツ(Volz)、ISBN3−527−30436−3)。
【0015】
(アミノシリコーン類)
本発明で有用なアミノシリコーン類には下記が挙げられるが、それらには限定されない:
【0016】
【化1】

式中、
m及びnは、合計(n+m)が2〜2000の範囲である数字であり、nは、1〜1999の範囲の数字であり、mは、1〜1999の範囲の数字であり、R1、R2、R3は、同一又は異なっていてもよく、ヒドロキシルラジカル、C1〜C4アルコキシラジカル及びメチルから選択される。
【0017】
Aは、直鎖及び分枝鎖のC3〜C8アルケニルラジカルである。
【0018】
R4は、H、フェニル、直鎖若しくは分枝鎖のC1〜C4アルキルラジカル、ベンジル又は好ましくは直鎖若しくは分枝鎖の(C2〜C8)NH2から選択される。R4は、また、アミド基又は他のヘテロ原子を含有することができる。
【0019】
Gは、H、フェニル、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、好ましくはメチルから選択される。
【0020】
上記のアミノシリコーンは、ランダム又はブロック型のものであってもよい。
【0021】
(II)末端アミノ基を有するアミノシリコーン類:
【0022】
【化2】

式中、
R1、R2、R4、A、Gは、上記で定義されたとおりであり、m及びnは、合計(m+n)が1〜2000の範囲である数字であり、nは、1〜1999の範囲の数字であり、mは、0〜1999の範囲の数字であり、R5=Me又はA−NH−R4である。
【0023】
上記のアミノシリコーンは、ランダム又はブロック型のものであってもよい。
【0024】
(III)本発明の組成物で使用されてもよい他のアミノシリコーンは、下記の一般式で表され、
【0025】
【化3】

式中、R3は、C1〜C18の一価炭化水素ラジカル、好ましくはメチルのようなアルキル又はアルケニルラジカルであり;R4は、炭化水素ラジカル、好ましくはC1〜C18アルキレンラジカル又はC10〜C18アルキレンオキシラジカル、より好ましくはC1〜C8アルキレンオキシラジカルであり;Q-は、ハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物であり;rは、約2〜約20、好ましくは約2〜約8の数字であり;sは約20〜約200、好ましくは約20〜約50の数字である。
【0026】
(IV)環状構造:
【0027】
【化4】

式中、Rは、1〜10個の炭素原子から成るアルキル基及び6〜10個の炭素原子から成るアリール基から選択され、R2、R4、Aは、上記で定義されている。a+bは、4を超えることができ、bは、0と異なる。
【0028】
(V)以下のように本明細書下記で使用される、極性官能置換基が一価有機基A1、A2、A3及びA4中又は上に組み込まれているペンダント又はグラフト型の有機変性シリコーン類:
【0029】
【化5】

【0030】
(VI)また含まれるものは、本明細書下記で使用される、これらの極性官能置換基が二価有機基A1、A2、A3及びA4中又は上に組み込まれているブロックコポリマー型の有機変性シリコーン類である。
【0031】
【化6】

式中、mは、1以上であり、nは、約50〜2000であり、pは、約0〜50であり、qは、約0〜50であり、rは、約0〜50であり、sは、約0〜50であり、ここで、p+q+r+sは、1以上であり、B1は、H、OH、アルキル又はアルコキシ基である。Gは、H、フェニル、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、好ましくはメチルから選択される。
【0032】
ランダム又はブロックコポリマー型の上記官能化シリコーン類は、また、当業者によりシルセスキオキサン又はT基として知られているMeSiO3/2及びQ基として知られているSiO4/2を含むシリコーン分枝鎖基を組み込むことができる。
【0033】
有機基A1、A2、A3及びA4は、0〜50個のヘテロ原子、特にO、N、S、Pと一緒に3〜150個の炭素原子を含む、直鎖、分枝鎖、又は単−若しくは多環式脂肪族、単若しくは多不飽和のアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロ脂肪族又はヘテロオレフィン性部分であってもよく、−1.0〜+1.5のハメットシグマパラ(Hammett sigma para)値を有する電子吸引性、電子中性、又は電子供与性基から選択される1つ以上の極性置換基を組み込むことができ、例えば、以下で定義される基α1、α2、α3、及びα4;Sα1、SCN、SO2α1、SO3α1、SSα11、SOα1、SO2Nα1α2、SNα1α2、S(Nα1)α2、S(O)(Nα1)α2、Sα1(Nα2)、SONα1α2を包含するS−結合基;Oα1、OOα1、OCN、ONα1α2を包含するO−結合基;Nα1α2、Nα1α2α3+、NC、Nα1Oα2、Nα1Sα2、NCO、NCS、NO2、N=Nα1、N=NOα1、Nα1CN、N=C=Nα1、Nα1Nα2α3、Nα1Nα2Nα3α4、Nα1N=Nα2を包含するN−結合基;COX、CON3、CONα1α2、CONα1COα2、C(=Nα1)Nα1α2、CHO、CHS、CN、NC、及びXを包含するその他の種々の基を含む非イオン性、双性イオン性、カチオン性又はアニオン性であることができ、A1、A2、A3及びA4のうちの少なくとも1つは、アミン官能基を含有しなければならない。
【0034】
α1、α2、α3、及びα4は、0〜50個のヘテロ原子、特にO、N、S、Pと一緒に、3〜150個の炭素原子を含む、直鎖、分枝鎖、又は単−若しくは多環式脂肪族、単若しくは多不飽和のアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロ脂肪族又はへテロオレフィン性部分であってもよい。
【0035】
XはF、Cl、Br又はIである。
【0036】
Hは、水素であり、Oは、酸素であり、Nは、窒素であり、Cは、炭素であり、Sは、硫酸塩であり、Clは、塩素であり、Brは、臭素であり、Iは、ヨウ素であり、Fは、フッ素である。
【0037】
ハメットシグマパラ(Hammett sigma para)値は、「ハメット方程式(Hammett Gleichung)」、レンプ・ケミ・レキシコン(Rompp Chemie Lexikon)、ゲオルク・シーム出版社(Georg Thieme Verlag)、シュツットガルト(Stuttgart)、ニューヨーク、第9版、1995年で考察されている。
【0038】
記載されている本発明で用いられる好ましい極性官能置換基には、ポリオキシアルキレン(ポリエーテル)、第一級及び第二級アミン、アミド、第四級アンモニウム、カルボキシル、スルホネート、スルフェート、炭水化物、ホスフェート、及びヒドロキシルが挙げられるが、それらには限定されない。より好ましくは、本発明の極性官能置換基には、ポリオキシアルキレン、第一級アミン及び第二級アミン、アミド及びカルボキシルが挙げられるが、それらには限定されない。
【0039】
別の極めて好ましい極性官能置換基は、下記式
【0040】
【化7】

又は
−NYR1
のアミン−、ポリオール−型であり、式中、R1は、それぞれ、水素原子及び式−R2NY2の基から成る群から独立して選択され、Yは、それぞれ独立して、水素原子又はY’であり、Y’は、それぞれ
下記式
−CH2CH(OH)R2−OH
の基であり、式中、R2は、独立して、1〜10個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であるが、但し全てのYがHではない。
【0041】
より好ましくは、Y1は、式−CH2CH(OH)CH2OHの基であり、官能化シリコーンはペンダント型であり、ここで、nは、200〜500であり、pは、20〜50であり、そしてq、r及びs、は0と等しい。
【0042】
本発明の好適な官能化シリコーン類には、ワッカー・シリコーンズ(Wacker Silicones)からのADM1100及びADM1600、ダウ・コーニング社(Dow Corning Corporation)からのDC2−8211、DC2−8822、DC2−8822A、DC8803、DC2−8040、DC2−8813、DC2−8630及びDC2−8566、シンエツ社(Shin-Etsu Corporation)からのKF−862、KF−861、KF−862S、KF−8005、KF−8004、KF−867S、KF−873、及びX−52−2328、並びにGEバイエル・シリコーンズ(GE Bayer Silicones)からのTSF4702、TSF4703、TSF4704、TSF4705、TSF4707、TSF4708、TSF4709、F42−B3115、SF1708、SF1923、SF1921、SF1925、OF TP AC3309、OF7747、OF−NH TP AI3631、OF−NH TP AI3683のような商標名で市販されている、アミン官能性をもつ有機変性シリコーン類が挙げられるが、それらには限定されない。
【0043】
VII)本明細書に用いるのに好適な他のアミノシリコーン類は、米国特許第5,792,825号に開示されている。
【0044】
VIII)本明細書に用いるのに好適な他のアミノシリコーン類は、米国特許第6,136,215号に開示されている。
【0045】
本明細書のアミノシリコーン類は、耐久性添加剤と一緒に使用できる。耐久性添加剤は、極性繊維基材上で、特に基材が永続的染色中、漂白中、及びパーマネントウエーブ中に生じるような化学処理によって既に損傷した毛髪である場合、より耐久性があるように官能化シリコーン類を変性することができる。耐久性添加剤は、官能化シリコーンと混和性でなければならず、混合物は、
0を超える(Tanδ)-1を有し、
Tanδ=G”/G’であり、
G’は、貯蔵弾性率であり、
G”は、損失弾性率である。
【0046】
Tanδは、エネルギー損失とエネルギー貯蔵の比率を説明し、ここでTanδ=G”/G’であり、G”は、損失弾性率であり、G’は、貯蔵弾性率である。G”及びG’は、力学的レオロジー特性を用いて確立達成され、次にレオメーターの振動掃引によって測定される。力学的レオロジー特性の測定に関するさらなる情報は、「化粧品及び洗面用品のレオロジー特性(Rheological Properties of Cosmetics and Toiletries)」、デニス・ラバ(Dennis Laba)、化粧品科学及び技術シリーズ(Cosmetic Science and Technology Series)、第13巻、マーセル・デッカー社(Marcel Dekker,Inc.)、ISBN0−8247−9090−1で見出すことができる。
【0047】
疑問を避けるため、(Tanδ)-1は1/(Tanδ)と全くの等価物である。
【0048】
好ましくは、本発明による耐久性添加剤は、1つ以上のオルガノシロキサン樹脂を含む。理論に束縛されるものではないが、オルガノシロキサン樹脂は、官能化シリコーン流体内で粘弾性(vicoelasticity)を生じる三次元網状組織を作りだすと考えられており、これにより流体の接着性が高まり、従って繊維基材の耐久性が高まる。好ましくは、オルガノシロキサン樹脂は水に不溶性である。
【0049】
本発明の耐久性添加剤に含まれてもよいオルガノシロキサン樹脂は、R3SiO1/2「M」単位、R2SiO「D」単位、RsiO3/2「T」単位、SiO2「Q」単位の組み合わせを、RnSiO(4-n)/2(ここで、nは1.0〜1.50の値であり、そしてRは、メチルのようなC1〜4低級アルキルラジカル及びフェニルラジカルから選択される)の関係を満足させる、相互の比率で含む。またシラノール又はアルコキシ官能基が樹脂構造中に存在してもよい。
【0050】
更に好ましくは、オルガノシロキサン樹脂は、1官能性R3SiO1/2「M」単位及び4官能性SiO2「Q」単位の繰り返しを含み、別名「MQ」樹脂として既知である。この場合では、「M」と「Q」の官能性単位の比は、有利には、0.7からであり、nの値は1.2である。これらのようなオルガノシロキサン樹脂は、GEバイエル・シリコーンズ(GE Bayer Silicones)から入手可能なSR1000及びワッカー・シリコーンズ(Wacker Silicones)から入手可能なワッカー(Wacker)803として市販されている。
【0051】
好都合なことには、本発明のオルガノシロキサン樹脂は、約25℃で固体であり、1,000〜10,000g/molの分子量範囲を有する。
【0052】
組成物は、アミノシリコーンの溶液である。
【0053】
本発明の好ましい実施形態において、本明細書のアミノシリコーンは産業上の分野で最も一般的に使用されているエマルションと対照的に、溶液の形態で提供される。本明細書のシリコーン溶液は、アミノシリコーン又はその混合物の組成物全体の3重量%〜50重量%、好ましくは3重量%〜30重量%、より好ましくは3重量%〜10重量%、最も好ましくは4重量%〜10重量%含むことができる。
【0054】
本明細書のアミノシリコーン類が溶解できる好適な有機溶媒は、揮発性シリコーン類、軽質流動イソパラフィン類、非極性揮発性油類、低級アルキルアルコール類及び多価アルコール類から選択される。
【0055】
非極性の揮発性液体シリコーン油類は、米国特許第4,781,917号で開示されている。更に、種々の揮発性シリコーン物質の記載が、トッド(Todd)ら、「化粧用揮発性シリコーン流体(Volatile Silicone Fluids for Cosmetics)」、化粧品及び洗面用品(Cosmetics and Toiletries)、91:27〜32(1976年)で見出される。揮発性シリコーン類は、線状若しくは環状構造、又は両方の組み合わせを有するものから選択される。揮発性シリコーン油類は、式(V)に対応する環状揮発性シリコーン類から成る群から選択され、
【0056】
【化8】

式中、Rは、それぞれ、1〜10個の炭素原子から成るアルキル基及び炭素原子6〜10個から成るアリール基から独立して選択され、そしてxは3〜7の値を有する。
【0057】
好ましい揮発性シリコーン類は、式(VI)に対応する線状構造のものであり、
【0058】
【化9】

式中、Rは、上記で記載されたとおりであり、そしてyは、1〜7の値を有する。
【0059】
線状揮発性シリコーン類は、一般に25℃で5×10-62/s(5センチストーク)未満の粘度を有するが、環状シリコーン類は、25℃で約1×10-52/s(10センチストーク)未満の粘度を有する。揮発性シリコーン油類の例には、様々な粘度のシクロメチコン類、例えば、ダウ・コーニング(Dow Corning)200、ダウ・コーニング244、ダウ・コーニング245、ダウ・コーニング344、及びダウ・コーニング345(ダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)から市販);SF−1204及びSF−1202シリコーン流体(Silicone Fluids)(G.E.シリコーンズ社(G.E.Silicones)から市販)、GE7207及び7158(ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Co.)から市販);並びにSWS−03314(SWSシリコーンズ社(SWS Silicones Corp.)から市販)が挙げられる。
【0060】
より好ましいものは、種々の粘度のジメチコン類、例えば、DC200(6.5×10-7〜2×10-62/s(0.65−2cSt))である。
【0061】
本明細書に用いるのに好適な揮発性シリコーン類は、市販されているか、又は既知の方法により製造される。有用な生成物には、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、低粘度トリメチル末端ブロックポリジメチルシロキサン類、シクロメチコン、ジメチコン、ポリジメチル環状シロキサン類及びこれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。
【0062】
本明細書で有用な低級アルキルアルコール類は、1〜6個の炭素数を有する一価アルコール類、好ましくはエタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な多価アルコール類には、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0063】
本発明で特に有用な非極性で揮発性の油類は、シリコーン油類、炭化水素類、及びこれらの混合物から成る群より選択される。このような非極性で揮発性の油類は、例えば、化粧品、科学、及び技術(Cosmetics,Science,and Technology)、第1巻、27〜104で開示されている。本発明に有用な非極性で揮発性の油類は、飽和若しくは不飽和のいずれであってよく、脂肪族の特徴を有していてよく、直鎖若しくは分枝鎖であってよく、又は脂環式若しくは芳香族の環を含有してもよい。好ましい非極性の揮発性溶媒の例には、イソドデカン及びイソデカン(例えば、プレスパース社(Presperse Inc.)から入手可能なペルメチル(Permethyl)−99A)、C7〜C8からC12〜C15のイソパラフィン類(例えば、エクソン・ケミカルズ(Exxon Chemicals)から入手可能なイソパル・シリーズ(Isopar Series))、オクチルメチコン(例えば、シルソフト(Silsoft)034))、ヘキシルメチコン、カプリリルメチコン、フェニルトリメチコン、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールヘキシルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテルが挙げられる。
【0064】
本明細書の組成物は、利益物質又は補助剤が組成物の性能又は貯蔵寿命を除去するか、著しく低減することがない限り、任意成分を更に含んでもよい。追加の成分には、例えば、芳香剤、ビタミン類、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双極性界面活性剤;安定剤、カチオン性ポリマー類、非イオン性ポリマー類、アニオン性ポリマー類、複合コアセルベートカプセル類、高分子増粘剤、油類、皮膚軟化剤、湿潤剤、保湿剤、防腐剤、ハーブ及び植物抽出物、キレート化剤、UVフィルター類、及び当業者の周知の他の通常の補助剤を挙げてもよい。
【0065】
しかし、本明細書の発明は、最も広い意味において、アミノシリコーン類の溶液の使用に限定されないことに留意するべきである。アミノシリコーン類の溶液は、最大限の強度及び耐久性を提供するが、当業者は、アミノシリコーン類を、例えば典型的にはエマルションであるコンディショナーの中に配合することを選択することもできる。その時のアミノシリコーンは、コンディショナーの中の唯一のシリコーンであることができる、又は別の非アミノシリコーンが存在することができる。アミノシリコーンがコンディショナーとして、又はコンディショナーの中に配合されているような場合には、コンディショナーは、コンディショニング利益、並びにたとえより低い強度及び/又は耐久性であったとしても、色向上利益を提供するであろう。
【0066】
(パーツのキット)
本発明の1つの実施形態において、パーツのキットが提供される。事実、本発明の組成物は、例えば2回の着色の間に使用される独立型(stand-alone)製品として消費者に提供されてもよい。しかし、組成物は、下記の「方法」の記載で更に説明されるように、着色の直後に最も都合よく提供される。従って、本発明の好ましい実施形態は、毛髪着色キットの伝統的な構成成分と、アミノシリコーンを含む追加の構成成分とを含むパーツのキットである。この追加の構成成分は、好ましくはアミノシリコーンの溶液として処方される、すなわち追加の構成成分は、好ましくは本発明の組成物として提供される。そしてこの追加の構成成分は、好ましくは、下記で更に説明される製品としてか、又はスプレーとして提供される。
【0067】
典型的には、酸化染色のプロセスの際に、毛髪への適用の前に一緒に混合される2つの構成成分が提供される。第1構成成分は、通常、過酸化水素のような酸化剤を含み、第2構成成分は、酸化染料前駆体及びカップラー(高pH、典型的には約10で緩衝されている)のような染色物質を含む。毛髪に接触した後、混合物は、求められる色変換を起こすのに適した時間放置される。毛髪の酸化染色の考察は、「ヘアケアサイエンス(The Science of Hair Care)」、チャールズ・ズビアク(Charles Zviak)、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)、ニューヨーク、1986年で見出すことができる。この場合、本発明のパーツのキットは、そのような第1及び第2構成成分、並びにアミノシリコーンを含む第3構成成分を含む。典型的には、別個のコンディショナーが、着色剤がすすがれた後で濡れた毛髪に適用されるように設計された着色剤キットの中に供給され、本発明のパーツのキットは、この好ましい実施形態では、前記第1及び第2着色構成成分、コンディショナーである第3構成成分及びアミノシリコーンを含む第4構成成分を含む。
【0068】
(製品)
実施形態のうちの1つにおいて、本発明は、拭き取り布又はスポンジのような基材であって、上記で記載されたアミノシリコーン、好ましくは上記で記載されたシリコーンの溶液である組成物を含む製品を包含する。
【0069】
好適な拭き取り布類及びスポンジ類の非限定例には、不織布基材、織布基材、水流交絡不織布基材、空気交絡不織布基材、天然スポンジ類、合成スポンジ類、ポリマー刺激(nettled)メッシュ類、形成フィルム類、熱接着基材、化学固着基材などが挙げられる。基材は、平たいパッド類、厚いパッド類、薄いシート類、ボール形の用具、不規則形状の用具を含み、およそ1立方インチからおよそ数百立方インチまでの表面積の範囲のサイズを有する、多様な形状及び形態で作製されてもよい。正確なサイズは、所望の用途及び製品の特徴によって左右される。また、拭き取り布類及びスポンジ類、特に表面に物質を送達する拭き取り布類及びスポンジ類を対象とする多数の技術が存在する(例えば、PCT国際公開特許WO99/66793、米国特許第2003/0035824号、米国特許第2003/0086962号及び米国特許第6,338,855号を参照すること)。そのような既知の拭き取り布類及びスポンジ類のいずれも本明細書で用いるのに適している。基材は、制御された方法でアミノシリコーン類の有効量を送達すると考えられている。
【0070】
典型的には、本明細書に用いるのに好適な拭き取り布類又はスポンジ類には、組成物と拭き取り布の重量比1:4〜4:1でアミノシリコーン組成物が装填される。アミノシリコーンは、好ましくは基材上に装填されるが、別の実施形態では、基材は、別個に包装されたアミノシリコーンと一緒に提供され、アミノシリコーンは、使用の少し前か又は直前に基材上に装填される。
【0071】
別の実施形態において、本明細書の製品は、アミノシリコーンが含浸しているか又はアミノシリコーンを放出可能に含有している櫛又はブラシである。
【0072】
使用方法:
本発明の更なる実施形態において、本明細書のアミノシリコーン又は組成物を使用する場合の方法が提供される。本発明のアミノシリコーン又は組成物は、人工的に着色された毛髪の色の知覚を向上させるためにいつでも適用できる。乾燥した又は濡れた毛髪、好ましくは乾燥した毛髪にあらゆる好適な方法で適用できる。しかし便宜上、本発明のシリコーン又は組成物は、好ましくは、人工的に着色された毛髪に着色された直後に適用されるが、他の時でも適用される。従って、本発明のより好ましい実施形態は、毛髪が最初に着色され、次にすすがれ、次に任意にコンディショニングされ、次にすすがれ、次に乾燥され、次に本発明の組成物が前記着色された毛髪に適用される、使用方法である。
【実施例】
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
次に6gの組成物1、2、3又は4が、人工的に着色された毛髪に用いる基材に適用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工的に着色された毛髪の向上された色の知覚を提供するための、アミノシリコーンの使用。
【請求項2】
前記アミノシリコーンが、本明細書で定義されている式(I)〜(VIII)のいずれかにより示されるシリコーンである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
本明細書で定義されている式(I)〜(VIII)のいずれかにより示されるアミノシリコーンの溶液であって、前記アミノシリコーンを組成物全体の3重量%〜50重量%含む、組成物。
【請求項4】
前記アミノシリコーンの溶媒が、揮発性シリコーン類、軽質流動イソパラフィン類、非極性揮発性油類、低級アルキルアルコール類及び多価アルコール類から成る群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
アミノシリコーンを組成物全体の3重量%〜20重量%含む、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
人工的に着色された毛髪の色の知覚を向上する方法であって、前記着色された毛髪に請求項3〜5のいずれか1項に記載の組成物を適用する工程を含む方法。
【請求項7】
下記の工程:
− 最初に毛髪を着色する工程;次に
− 前記毛髪をすすぐ工程;次に
− 任意に前記毛髪をコンディショニングし、すすぐ工程;次に
− 前記毛髪を乾燥する工程、そして次に
− 本発明の組成物を前記毛髪に適用する工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
毛髪を着色する1個又は数個の第1構成成分及び前記第1構成成分で着色された毛髪の色の知覚を向上させる第2構成成分を含み、前記第2構成成分がアミノシリコーン、好ましくは請求項3、4又は5に記載の組成物を含む、パーツのキット。
【請求項9】
前記第2構成成分が前記アミノシリコーンを含むスプレーの形態である、請求項8に記載のパーツのキット。
【請求項10】
前記第2構成成分が前記アミノシリコーンを含む基材の形態である、請求項8に記載のパーツのキット。
【請求項11】
前記アミノシリコーンがコンディショナーとして、又はコンディショナーの中に配合されている、請求項8に記載のパーツのキット。
【請求項12】
請求項2に記載の式で示されるシリコーンを、好ましくは請求項3、4又は5に記載の組成物の形態で含む、拭き取り布又はスポンジを含む、製品。

【公表番号】特表2007−512388(P2007−512388A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542865(P2006−542865)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/040847
【国際公開番号】WO2005/063180
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】