説明

人工臼歯の置換用咬合面部の作製方法

【課題】 機能咬合を得るための咬合面部と底部とが接合部で仮接合された人工臼歯を用いて、咬合面側形状を有する咬合面部を得た後、得られた咬合面部に基づき、咬合面部と異なる耐摩耗性に優れた置換材料からなる置換用咬合面部を、機能咬合の得られた咬合面部の咬合面側形状の相違にも高精度に追従して迅速に製造することのできる方法を提供する。
【解決手段】 機能咬合が得られた咬合面部に換わる置換用咬合面部をCAD/CAMシステムを利用して製造する方法であって、CADシステムが、前記咬合面部の三次元形状データに基づき置換用咬合面部の置換材料に応じた設計データを取得する工程、CAMシステムが、前記設計データに基づき置換用咬合面部製造手段に応じた置換用咬合面部のCAMデータを取得する工程、置換用咬合面部製造手段が、前記CAMデータに基づき制御され置換用咬合面部を製造する工程を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人工臼歯の置換用咬合面部の作製方法に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、機能咬合が得られた咬合面部と底部との二重構造を有する人工臼歯の前記咬合面部とは異なる耐摩耗性に優れた置換材料からなる置換用咬合面部をCAD/CAMシステムによって製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂、または合成樹脂とセラミックの複合材料の何れかからなり、機能咬合の印記が得られた後に取り外されて金属、セラミック、コンポジットレジン等の中より選ばれた材料に置換される咬合面部と、合成樹脂、セラミック、合成樹脂とセラミックとの複合材料の何れかである底部との二重構造よりなる、例えば、図13に示される人工歯が開発されている(特許文献1)。
【0003】
図13は、機能咬合を得るための咬合面部51と底部52とが接合部53で仮接合された下顎第1大臼歯用の人工臼歯54を示している。咬合面部51は裏側に維持突起55を備えている。咬合面部51の外形形状は、機能咬合を得るための咬合面側形状と底部52との合わせ面側形状を有する。咬合面部51と底部52との間に分離用フィルム56を介在させ、維持突起55を底部52の凹部57に嵌合させた状態で、咬合面部51と底部52とが接合部53で仮接合されている。接合部53は人工臼歯54の頬・舌側にそれぞれ設けられている。分離用フィルム56に代え、分離用離型剤を底部52に設けてもよい。
機能咬合を得るための咬合面部51と底部52とが接合部53で仮接合された人工臼歯は、各臼歯毎に、複数形状、複数サイズ、複数色調等を組み合わせた種類をメーカー側で製造し、歯科医院、歯科技工所等に提供し、患者に応じて適宜選択されて使用される。
【0004】
図14は、下顎第1大臼歯用の人工臼歯54の基底面が義歯床59に埋設された義歯60を示し、これを患者が通常の生活における食物を介しての自然の咀嚼(通常咀嚼)を1週間から1ヵ月間行ない、咬合面側が摩耗し、患者にとって最適な機能咬合の印記が得られたと判断したら、仮接合されている頬側と舌側の接合部53を研摩用のレジンポイントで削除し、咬合面部51を人工臼歯54の底部52から取り外す。そして、分離用フィルム56は取り除く。分離用離型剤の場合は適宜の工具で剥離させて、除去する。次いで、取り外した咬合面部51を金属等の置換材料からなる置換用咬合面部に置換する。例えば、置換材料が金属やキャスタブルセラミックの場合、咬合面部51にスプルーを付与し通法に従って耐火性の型材で埋没し、金属やキャスタブルセラミックの置換用咬合面部を鋳造する。鋳造した置換用咬合面部は通法に従ってサンドブラストと最終仕上げ研摩を行なう。得られた置換用咬合面部は、義歯60の人工臼歯54の底部52と歯科用接着材を用いて接着する。置換材料がコンポジットレジン等の場合、石膏や印象材で咬合面部51の精密な陰型を作り、通法に従ってコンポジットレジン等を硬化させ、置換用咬合面部を得る。得られた置換用咬合面部は、義歯60の人工臼歯54の底部52と歯科用接着材を用いて接着する。このようにして得られた機能咬合するメタル、キャスタブルセラミック、コンポジットレジン等からなる置換用咬合面部を有する人工歯は、非常にバランスが良く耐久性に優れている。
【0005】
しかしながら、機能咬合を得るための咬合面部と底部とが接合部で仮接合された人工臼歯を用いて、咬合面部に機能咬合を得た後、得られた咬合面部に基づき、耐摩耗性に優れた置換材料からなる置換用咬合面部を製造することは、患者毎に適した機能咬合の得られた咬合面部の咬合面側形状が異なり、また、前記したように、金属やキャスタブルセラミックでは、咬合面部へのスプルー付与を初めとする多くの手作業を必要とし、コンポジットレジン等では咬合面部の陰型作製を初めとする多くの手作業を必要とし、時間がかかる。また、これらの置換用咬合面部は、高い寸法精度が要求されるため、歯科技工士の高い技能を必要とするが、歯科技工士の熟練度によるばらつきがあることから、必ずしも満足の行く、置換用咬合面部が得られていない状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2694223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上記のような実情に鑑み鋭意研究の結果創案されたものであり、機能咬合を得るための咬合面部と底部とが接合部で仮接合された人工臼歯を用いて、患者毎に異なる咬合面側形状を有する咬合面部を得た後、得られた咬合面部に基づき、咬合面部と異なる耐摩耗性に優れた置換材料からなる置換用咬合面部を、歯科技工士の高い技能や熟練を要しなくても、患者毎に異なる機能咬合の得られた咬合面部の咬合面側形状の相違にも高精度に追従して迅速に製造することのできる方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は、(1)合成樹脂、または合成樹脂とセラミックの複合材料の何れかからなり、機能咬合が得られた咬合面部と底部との二重構造を有し、前記咬合面部と底部が接合部で接合された人工臼歯の前記咬合面部と置換するための金属、セラミック、コンポジットレジンの中より選ばれた置換材料からなる置換用咬合面部をCAD/CAMシステムを利用して製造する方法であって、CADシステムが、前記咬合面部の三次元形状データに基づき置換用咬合面部の置換材料に応じた設計データを取得する工程、CAMシステムが、前記設計データに基づき置換用咬合面部製造手段に応じた置換用咬合面部のCAMデータを取得する工程、置換用咬合面部製造手段が、前記CAMデータに基づき制御され置換用咬合面部を製造する工程を含むことを特徴とする。
この発明における置換材料である「金属」としては、チタン、コバルトクロム合金を例示することができるが、これ等に限られるものではない。
この発明における置換材料である「セラミック」としては、ジルコニア、アルミナを例示することができるが、これ等に限られるものではない。
(2)前記(1)において、前記咬合面部の三次元形状データが、前記機能咬合が得られた咬合面部と底部との二重構造を有する人工臼歯の接合部が削除されて前記底部から取り外された前記咬合面部の咬合面側形状と底部との合わせ面側形状を含む全体形状が計測手段により計測された計測データに基づいてCADシステムで取得された三次元形状データであることが好ましい。
(3)前記(1)において、前記咬合面部の三次元形状データが、前記機能咬合が得られた咬合面部と底部との二重構造を有する人工臼歯の前記接合部の形状を含む前記咬合面部の咬合面側形状が計測手段により計測された計測データに基づく三次元形状データと、記憶部から読み出された機能咬合の印記前の設計段階における前記咬合面部の底部との合わせ面側形状に対応する三次元形状データに基づきCADシステムで取得された三次元形状データであることが好ましい。
(4)前記(1)、(2)または(3)において、前記置換用咬合面部の置換材料に応じた設計データを、前記CAMシステムが通信手段を介して取得するようにしてもよい。
(5)前記(1)、(2)、(3)または(4)において、前記置換用咬合面部製造手段が、置換材料のブロックの切削・研削手段であってもよい。
(6)前記(1)、(2)、(3)または(4)において、前記置換用咬合面部製造手段が、置換材料の積層造形手段であってもよい。
積層造形手段としては、光造形法、粉末法、シート積層法、インクジェット法等に適した積層造形手段が例示できる。置換材料に応じて、適宜な積層造形手段を選択すればよい。
(7)前記(5)または(6)において、前記置換材料がジルコニアであることが好ましい。
(8)前記(1)において、前記CADシステムが、前記咬合面部の三次元形状データを反転させ、該反転させた三次元形状データに基づき置換用咬合面部の置換材料に応じた成形型の設計データを取得する工程、CAMシステムが、前記設計データに基づき置換用咬合面部成形型の製造手段に応じた置換用咬合面部成形型のCAMデータを取得する工程、置換用咬合面部成形型製造手段が、前記CAMデータに基づき制御され置換用咬合面部成形型を製造する工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、機能咬合を得るための咬合面部と底部とが接合部で仮接合された人工臼歯を用いて、患者毎に異なる咬合面側形状を有する咬合面部を得た後、得られた咬合面部に基づき、咬合面部と異なり摩耗に対し耐久性のある置換材料からなる置換用咬合面部を、CAD/CAMシステムを利用することで、歯科技工士の高い技能や熟練によらず、迅速にかつ高精度に製造することができる。
より具体的な発明の効果については、後述する実施の形態等から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明に用いる置換用咬合面部を製造するためのシステムの一例を示す概略図である。
【図2】計測手段としてのレーザー光を用いた三次元計測装置を示す斜視図である。
【図3】図1に示すシステムによる置換用咬合面部を製造する方法の一例を示すフローチャートである。
【図4】図1に示すシステムによる置換用咬合面部を製造する方法の他例を示すフローチャートである。
【図5】図3のフローチャートにおいて、置換材料をジルコニアとし、半焼結のジルコニアブロックをNC切削・研削加工装置によって加工し、置換用咬合面部を製造する方法を示すフローチャートである。
【図6】図5のフローチャートにおける置換材料を示し、(a)は半焼結ジルコニアブロック、(b)は切削・研削された半焼結置換用咬合面部の斜視図である。
【図7】図3のフローチャートにおいて、置換材料をジルコニアとし、粉末ジルコニアを積層造形装置によって積層造形し、置換用咬合面部を製造する方法を示すフローチャートである。
【図8】図7のフローチャートのステップS34における置換用咬合面部の説明図である。
【図9】図3のフローチャートにおいて、置換材料をチタンとし、チタンブロックをNC切削・研削加工装置によって加工し、置換用咬合面部を製造する方法を示すフローチャートである。
【図10】図3のフローチャートにおいて、置換材料をジルコニアとし、粉末ジルコニアを成形する成形型をNC切削・研削加工装置によって加工し、置換用咬合面部を製造する方法を示すフローチャートである。
【図11】図10のフローチャートにおける(a)はステップS54、(b)はステップS55、(c)はステップS56に対応する説明図である。
【図12】この発明に用いる置換用咬合面部を製造するためのシステムの他例を示す概略図である。
【図13】従来の機能咬合の印記が得られた後に取り外されることになる咬合面部と底部とからなる下顎第1大臼歯である人工臼歯の一例で、(a)は分解斜視図、(b)は斜視図、(c)は頬舌面を示す説明図である。
【図14】図13に示す人工臼歯を用いた義歯を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態を示し、さらに詳しくこの発明について説明する。もちろんこの発明は以下の実施の形態によって限定されるものではない。
なお、この発明の実施の形態において、置換用咬合面部製造手段によって製造される置換用咬合面部は、適宜の後処理によって置換用咬合面部として使用できるものをも含むものとしている。
【0012】
図1に示すように置換用咬合面部を製造するためのシステムは、計測手段1、CADシステム2、記憶部3、CAMシステム4、置換用咬合面部製造手段5を備えている。CADシステム2は、計測手段1、記憶部3、CAMシステム4と接続しており、置換用咬合面部製造手段5は、CAMシステム4に接続している。
図1に示す置換用咬合面部を製造するためのシステムは、特定の置換材料に適した専用のシステムとしての構成を示しており、置換用咬合面部製造手段5も1種類の置換材料の場合について説明している。例えば、後述するように、置換材料をジルコニアとし、半焼結ジルコニアブロックを切削・研削加工して置換用咬合面部を製造する除去加工に適したものといえる。
【0013】
置換用咬合面部を製造するためのシステムとしては、計測手段1、CADシステム2、記憶部3、CAMシステム4、置換用咬合面部製造手段5が一箇所で一体となったものが例示できるがこれに限られるものではない。
例えば、分散型、すなわち、計測手段1が計測センター(歯科医院、歯科技工所等)に設置され、計測手段1によって計測された機能咬合が得られた咬合面部の計測データがインターネット回線、専用回線等の通信手段を介して、CADシステム2、記憶部3、CAMシステム4、置換用咬合面部製造手段5を備えた設計・加工センターに送信されるようになっていてもよい。この場合、計測データをUSBメモリー等の可搬性メモリーに保存し、これを輸送して、設計・加工センターで計測データを取り込むようにしてもよい。
設計・加工センターが、設計センターと加工センターに分散され、設計センターによって得られた設計データがインターネット回線、専用回線、イーサーネット回線等の通信手段を介して、加工センターに送信されるようになっていてもよい。
これら設計・加工センター、設計センター、加工センター等は、規模の大きな技工所、企業が該当することになる。
【0014】
次に、図1に示す置換用咬合面部を製造するシステムの個々の構成要素について説明する。
計測手段1によって、機能咬合が得られた咬合面部の計測データ(「三次元座標データ」ともいう。)を得ることができる。
機能咬合が得られた咬合面部は、歯科医院にて患者から義歯を取り出し、さらに、接合部を除去し、底部から取り外した状態で計測手段1によって計測すればよい。この場合は、患者は、置換用咬合面部が製造され、置換用咬合面部が底部に接着された義歯を得、得られた義歯を口腔内に装着するまでの間、仮義歯を使用することになる。また、歯科医院にて患者から取り出した義歯から機能咬合が得られた咬合面部を取り外すことなく、接合部の形状を含む咬合面部の咬合面側形状を計測手段1で計測する場合は、得られた計測データと、機能咬合を得るための咬合面部の設計段階で、メーカーによって取得されている底部との合わせ面側形状に対応する三次元形状データ(設計時のデータ)を利用することになる。この場合は、計測が終われば、義歯は患者に返却され、患者は、そのまま義歯を使用できる。その後、置換用咬合面部が製造された段階で、接合部を除去し、機能咬合が得られた咬合面部を取り外し、置換用咬合面部を底部に接着することになる。なお、義歯を口腔内に装着したまま接合部の形状を含む咬合面部の咬合面側形状を計測手段1で計測してもよい。
【0015】
計測手段1としては、被測定物の三次元形状を測定することのできるものであればよく、非接触式の計測手段が好ましいが、接触式の計測手段であってもよい。
非接触式の計測手段としては、レーザー光を用いた三次元計測装置が好ましい。
【0016】
図2に示すレーザー光を用いた三次元計測装置10は、載置台11の上部に設置された被計測物装着具12に装着された被計測物13を、回転テーブル14により回転テーブル14の回転軸の軸心であるZ軸廻りに回転させたり、XYテーブル15によりX軸方向及びY軸方向に移動させたりすると共に、更には被計測物の形状の三次元座標を計測する計測部16の一つのレーザーセンサ17自体をもZ軸上の所望の点を中心としてこのZ軸を含む同一平面上を回転移動させながら、計測部16の一つのレーザーセンサ17により被計測物の表面にレーザ光を照射すると共に、この被計測物の表面から反射してくるレーザ光を受光し、計測部16によりこのレーザ光を受光した際のレーザーセンサ17の位置、レーザ光の受光角度、レーザ光の受光量や照射から受光までの時間等に基づいて被計測物の表面の各点の三次元座標を計測し、これらの複数の計測点を基に被計測物の形状の三次元座標データ(点群データ)を得ることができるようになっているものである(特開2006−126033号公報参照)。
底部から取り外した状態の機能咬合が得られた咬合面部をレーザー光を用いた三次元計測装置10を用いて計測する場合は、被計測物装着具12に、例えば、維持突起を歯科用ユーティリティワックス等で仮固定して行えばよい。
【0017】
また、計測手段としては、被測定物の撮影した画像に基づきコンピュータにより三次元座標データを得るようにした非接触式の測定装置等適宜のものが採用できる。
【0018】
計測手段1は、ハードディスク等適宜の記憶部を備え、計測された計測データを保存できるようになっていてもよい。
なお、計測された三次元座標データを記録媒体に記録して、CADシステムにおいて記録媒体に記録されたら三次元座標データを読み込むようになっていてもよい。
【0019】
CADシステム2は、図示していないが、通常、キーボード、マウス等の入力装置、ディスプレイ、プリンター等の出力装置を備えている。
CADシステム2は、CADソフトにより計測手段1によって計測された機能咬合が得られた咬合面部の計測データ(三次元座標データ)を取り込み、咬合面部の三次元形状データを取得し、記憶部3から置換材料の特性等の各種のデータを取り込み、置換材料に応じた設計データを取得するようになっている。
記憶部3には、機能咬合の印記前の設計段階における咬合面部の底部との合わせ面側形状に対応する三次元形状データも保存されている。記憶部3には、設計段階における接合部の三次元データ、設計段階における咬合面部の咬合面側形状の三次元データ、設計段階における咬合面部全体の三次元データ等が、必要に応じ、保存されていてもよい。
【0020】
臼歯は、患者によって臼歯のサイズが異なること、および、臼歯の種類は、第1小臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯、第2大臼歯、第3大臼歯が、上顎左右、下顎左右合計20種あることから、臼歯サイズを、例えば、S、M、Lの3種とした場合、機能咬合の印記前の設計段階での咬合面部の底部との合わせ面側形状に対応する三次元形状データとしては、20×3=60種分が記憶部3に保存されている。また、第3大臼歯については、咬合面の設計をしないこともあり、この場合は、16×3=48種分が記憶部3に保存されていることになる。左右の臼歯を対称形状とした場合は、半分の数を記憶部3に保存することでよい。なお、臼歯サイズを、S、M、Lの3種だけでなく、男女、年齢、色調等に応じた分類をも含めると、更に多種類のデータを記憶部に保存することが必要となることはいうまでもない。
【0021】
計測データが、接合部が削除されて底部から取り外された咬合面部の全体形状を計測手段1により計測された咬合面側形状と咬合面部と底部との合わせ面側形状を含むデータである場合、咬合面部の三次元形状データは、計測データに基づきCADシステム2で取得されることになる。なお、この発明において、「咬合面側形状」とは、咬合面だけの形状に限られず、咬合面とその周囲の形状を含む形状の意味でも用いられている。
【0022】
また、計測データが、機能咬合が得られた咬合面部と底部との二重構造を有する人工臼歯の接合部の形状を含む咬合面部の咬合面側形状を計測したデータである場合、咬合面部の三次元形状データは、計測データに基づく三次元形状データと、記憶部3から読み出された機能咬合の印記前の設計段階における咬合面部の底部との合わせ面側形状に対応する三次元形状データに基づきCADシステムで取得されることになる。
【0023】
なお、計測手段1が、接合部が削除されて底部から取り外された咬合面部の全体形状を計測するものに限られる場合は、記憶部3に機能咬合の印記前の設計段階における前記咬合面部の底部との合わせ面側形状に対応する三次元形状データが保存される必要はない。
【0024】
また、記憶部3には、CADシステム2で、咬合面部の三次元形状データに基づき置換材料に応じた置換用咬合面部の設計データが取得することができるように、置換材料の特性等の各種の置換用咬合面部の設計に使用されるデータが保存されている。
【0025】
なお、記憶部3としては、機能咬合の印記前の設計段階における咬合面部等のデータが保存されている人工歯メーカーのサーバー内の記憶部であってもよい。この場合は、サーバー内の記憶部からインターネット回線、専用回線、イーサーネット回線等の通信手段を介してデータが読み出される。
例えば、後述するように、置換材料をジルコニアとし、半焼結ジルコニアブロックを切削・研削加工して置換用咬合面部を作製する場合、咬合面部の三次元形状データと、記憶部3から取り込まれた半焼結ジルコニアの完全焼結による収縮率に基づき、収縮率を見込んだ置換用咬合面部の設計データが取得されることになる。なお、半焼結ジルコニアブロックをNC切削・研削加工装置に保持するためのレストに関するデータが置換用咬合面部の設計データに付加される計算がなされる。
【0026】
置換用咬合面部を底部に歯科用接着材で接着する際に、接着材層の厚さ調節等が必要な場合は、接着材層の分をオフセットをかけた設計データを取得する計算がなされる。
置換用咬合面部の設計においては、通常、咬合面部等がディスプレイに三次元グラフィック表示(例えば、ソリッドモデルとして表示)され、三次元形状を確認することができるようになっている。
なお、CADシステムで得られた置換用咬合面部の設計データは、記憶部に保存してもよい。
【0027】
CADシステムとCAMシステムが分散して別々のコンピューターを使用している場合は、通常、CAMシステム4もキーボード、マウス等の入力装置、ディスプレイ、プリンター等の出力装置を備えることになるが、分散していない場合は、CADシステムと共用することになる。
CAMシステム4は、CAMソフトにより置換用咬合面部の設計データを取り込み、置換用咬合面部製造手段5を制御するCAMデータを取得するようになっている。
例えば、置換用咬合面部製造手段5がNC切削・研削加工装置であって、被加工対象物が半焼結ジルコニアブロックの場合は、CAMデータとして、NC切削・研削加工装置の加工制御データが取得される。
なお、CAMシステムは、CAMデータを保存するためのハードディスク等の記憶部を備え、得られた置換用咬合面部のCAMデータを保存するようになっていてもよい。
【0028】
置換用咬合面部製造手段5は、置換用咬合面部のCAMデータを取り込み、CAMデータに基づき、置換用咬合面部を製造する。
例えば、置換用咬合面部製造手段5がNC切削・研削加工装置であって、被加工対象物が半焼結ジルコニアブロックの場合は、NC切削・研削加工装置に装着された半焼結ジルコニアブロックが加工制御データに基づき切削・研削される。
【0029】
次に、図1に示す置換用咬合面部を製造するためのシステムを使用して置換用咬合面部を製造する方法を説明する。
図3は、接合部が削除され、底部から取り外された機能咬合が得られた咬合面部の全体形状が、計測手段1により計測され、計測された計測データを用いて置換用咬合面部を製造する方法を示すフローチャートである。
【0030】
咬合面部と底部との二重構造の人工臼歯が義歯床に埋設された義歯(図14参照)が1週間から1ヶ月使用され、咬合面側が摩耗し、患者にとって最適な機能咬合の印記が得られたと判断したら、接合部を研摩用のレジンポイントで削除し、咬合面部を人工臼歯の底部から取り外す。そして、分離用フィルムは取り除く。分離用離型剤の場合は適宜の工具で剥離させて、除去する。
【0031】
計測手段1において、接合部が削除され、底部から取り外された機能咬合が得られた咬合面部の全体を計測し、咬合面側形状と咬合面部と底部との合わせ面側形状を含む咬合面部の全体形状の計測データを取得する(ステップS1)。
CADシステム2では、ステップS1で取得された計測データを取り込み、咬合面部の三次元形状データを取得し、三次元形状データに基づき、置換用咬合面部の材料、置換用咬合面部製造手段に応じた設計データを取得する(ステップS2)。
CAMシステム4では、ステップS2で取得された設計データを取り込み、置換用咬合面部製造手段を制御するCAMデータを取得する(ステップS3)。
置換用咬合面部製造手段5では、ステップS3で取得されたCAMデータを取り込み、CAMデータに基づき置換用咬合面部製造手段が制御され、置換用咬合面部が製造される(ステップS4)。
【0032】
図4は、義歯から機能咬合が得られた咬合面部を取り外すことなく、接合部の形状を含む咬合面部の咬合面側形状を計測手段1により計測され、得られた計測データと、機能咬合を得るための咬合面部の設計段階で、メーカーによって取得されている底部との合わせ面側形状に対応する三次元形状データ(設計時のデータ)を利用して置換用咬合面部を製造する方法を示すフローチャートである。
【0033】
咬合面部と底部との二重構造の人工臼歯が義歯床に埋設された義歯(図14参照)が1週間から1ヶ月使用され、咬合面側が摩耗し、患者にとって最適な機能咬合の印記が得られたと判断したら、咬合面部を底部から取り外すことなく、計測手段1により計測して、接合部の形状を含む咬合面部の咬合面側形状の計測データを取得する(ステップS11)。
【0034】
CADシステム2では、ステップS11で取得された計測データを取り込み、CADソフトにより、咬合面側形状から接合部の形状を除去する処理がなされ、接合部の形状が除去された咬合面側形状の三次元形状データを取得する。そのためには、例えば、記憶部3に保存された設計段階における接合部の三次元データを使用すればよい。一方、記憶部3に保存されている機能咬合が得られた咬合面部に対応する機能咬合の印記前の設計段階における咬合面部の底部との合わせ面側形状に対応する三次元形状データを読み出す。そして、取得された前記咬合面側形状の三次元形状データと、記憶部3から読み出された底部との合わせ面側形状に対応する三次元形状データとに基づき、例えば、データの重ね合わせ処理により、咬合面部の全体形状の三次元形状データを取得する。そして、取得された咬合面部の全体形状の三次元形状データに基づき、置換用咬合面部の材料、置換用咬合面部製造手段に応じた設計データを取得する(ステップS12)。もちろん、ステップS11で得られた接合部の形状を含む咬合面部の咬合面側形状の計測データと、記憶部3に保存されている設計段階においてメーカーによって取得されている咬合面部全体の三次元データ、接合部の三次元データとを、例えば、重ね合わせ処理等を行うことで、機能咬合の得られた咬合面部の三次元データを取得してもよいことはいうまでもない。
【0035】
CAMシステム4では、ステップS12で取得された設計データを取り込み、置換用咬合面部製造手段を制御するCAMデータを取得する(ステップS13)。
置換用咬合面部製造手段5では、ステップS13で取得されたCAMデータを取り込み、CAMデータに基づき置換用咬合面部製造手段が制御され、置換用咬合面部が製造される(ステップS14)。
【0036】
より具体的に説明する。
図5は、図3において、置換材料をジルコニアとし、半焼結のジルコニアブロックをNC切削・研削加工装置によって加工し、置換用咬合面部を製造する方法を示すフローチャートである。
計測手段1において、接合部が削除され、底部から取り外された機能咬合が得られた咬合面部の全体を計測し、咬合面側形状と咬合面部と底部との合わせ面側形状を含む咬合面部の全体形状の計測データを取得する(ステップS21)。
【0037】
CADシステム2では、ステップS21で取得された計測データを取り込み、咬合面部の三次元形状データを取得し、三次元形状データに基づき、置換用咬合面部の材料をジルコニアとし、半焼結ジルコニアブロックの完全焼結における収縮率を見込んだNC切削・研削加工用の設計データを取得する(ステップS22)。この場合、通常、半焼結ジルコニアブロックをNC切削・研削加工装置に保持するためのレストに関するデータが置換用咬合面部の設計データに付加される計算がなされる。必要に応じ、接着材層の分のオフセットをかけた設計データを取得する計算がなされる。
【0038】
CAMシステム4では、ステップS22で取得された設計データを取り込み、NC切削・研削加工装置を制御するCAMデータ(加工制御データ)を取得する(ステップS23)。
【0039】
NC切削・研削加工装置では、ステップS23で取得されたCAMデータを取り込み、CAMデータに基づきNC切削・研削加工装置が制御され、図6(a)に示すレスト21付きの半焼結ジルコニアブロック22が切削・研削されて図6(b)に示すレスト21付きの半焼結置換用咬合面部23が製造される(ステップS24)。なお、レスト21は、この後、除去される。
【0040】
切削・研削加工された半焼結置換用咬合面部を、通法に従い完全焼結し置換用咬合面部を得る(ステップS25)。
置換用咬合面部の形状修正、研磨等の後加工を通法に従い行う(ステップS26)。
置換用咬合面部を底部に歯科用接着材を用いて接着する(ステップS27)。
【0041】
半焼結ジルコニアブロックをNC切削・研削加工装置によって加工し、置換用咬合面部を製造する方法について説明したが、複数の置換用咬合面部の設計データを用い、半焼結ジルコニアディスクに複数の置換用咬合面部を製造するようにしてもよい。
完全焼結ブロックは難加工性なため、高価な高硬度の切削・研削具や超音波加工具等を必要とし、また、長時間の加工が必要となるが、半焼結ジルコニアブロックは、切削・研削加工性が良好なことから、切削・研削具も安価ですみ、高精度な加工が短時間で行える利点がある。
【0042】
図7は、図3において、置換材料をジルコニアとし、粉末ジルコニアを、積層造形装置によって積層造形し、置換用咬合面部を製造する方法を示すフローチャートである。
計測手段1において、接合部が削除され、底部から取り外された機能咬合が得られた咬合面部の全体を計測し、咬合面側形状と咬合面部と底部との合わせ面側形状を含む計測データを取得する(ステップS31)。
【0043】
CADシステム2では、ステップS31で取得された計測データを取り込み、咬合面部の三次元形状データを取得し、三次元形状データに基づき、置換用咬合面部の材料をジルコニアとし、粉末ジルコニアを積層造形と焼結における変化率(収縮率等)を見込んだ積層断面集合体の設計データを取得する(ステップS32)。必要に応じ、接着材層の分のオフセットをかけた設計データを取得する計算がなされる。
【0044】
CAMシステム4では、ステップS32で取得された設計データを取り込み、積層造形装置を制御するCAMデータを取得する(ステップS33)。
【0045】
積層造形装置では、ステップS33で取得されたCAMデータを取り込み、CAMデータに基づき積層造形装置が制御され、図8に示す置換用咬合面部が製造される(ステップS34)。
置換用咬合面部を、通法に従い完全焼結し置換用咬合面部を得る(ステップS35)。
置換用咬合面部の形状修正、研磨等の後加工を通法に従い行う(ステップS36)。
置換用咬合面部を底部と歯科用接着材を用いて接着する(ステップS37)。
【0046】
図9は、図3において、置換材料をチタンとし、チタンブロックを、NC切削・研削加工装置によって加工し、置換用咬合面部を製造する方法を示すフローチャートである。
計測手段1において、接合部が削除され、底部から取り外された機能咬合が得られた咬合面部の全体を計測し、咬合面側形状と咬合面部と底部との合わせ面側形状を含む咬合面部の全体形状の計測データを取得する(ステップS41)。
【0047】
CADシステム2では、ステップS41で取得された計測データを取り込み、咬合面部の三次元形状データを取得し、三次元形状データに基づき、置換用咬合面部の材料をチタンとし、チタンブロックのNC切削・研削加工用の設計データを取得する(ステップS42)。この場合、通常、チタンブロックをNC切削・研削加工装置に保持するためのレストに関するデータが置換用咬合面部の設計データに付加される計算がなされる。必要に応じ、接着材層の分のオフセットをかけた設計データを取得する計算がなされる。
【0048】
CAMシステム4では、ステップS42で取得された設計データを取り込み、NC切削・研削加工装置を制御するCAMデータ(加工制御データ)を取得する(ステップS43)。
【0049】
NC切削・研削加工装置では、ステップS43で取得されたCAMデータを取り込み、CAMデータに基づきNC切削・研削加工装置が制御され、チタンブロックが切削・研削されて置換用咬合面部が製造される(ステップS44)。なお、レストは、この後、除去される。
置換用咬合面部の形状修正、研磨等の後加工を通法に従い行う(ステップS45)。
置換用咬合面部を底部と歯科用接着材を用いて接着する(ステップS46)。
【0050】
図10は、図3において、置換材料をジルコニアとし、粉末ジルコニアを充填して、成形するための置換用咬合面部の成形型を製造する手段、例えば、NC切削・研削加工装置によって加工し、置換用咬合面部を製造する方法を示すフローチャートである。
計測手段1において、接合部が削除され、底部から取り外された機能咬合が得られた咬合面部の全体を計測し、咬合面側形状と咬合面部と底部との合わせ面側形状を含む咬合面部の全体形状の計測データを取得する(ステップS51)。
【0051】
CADシステム2では、ステップS51で取得された計測データを取り込み、咬合面部の三次元形状データを取得し、三次元形状データに基づき、置換用咬合面部の材料をジルコニアとし、粉末ジルコニアを充填して、成形するために、ジルコニアの完全焼結における収縮率を見込んだ成形型(陰型)の設計データを取得する(ステップS52)。成形型(陰型)の三次元形状データは、咬合面部の三次元形状データを反転させることで得られる。なお、必要に応じ、接着材層の分のオフセットをかけた設計データを取得する計算がなされる。
【0052】
CAMシステム4では、ステップS52で取得された設計データを取り込み、NC切削・研削加工装置を制御するCAMデータ(加工制御データ)を取得する(ステップS53)。
【0053】
NC切削・研削加工装置では、ステップS53で取得されたCAMデータを取り込み、CAMデータに基づきNC切削・研削加工装置が制御され、図11(a)に示す置換用咬合面部成形型31、31が製造される(ステップS54)。成形型には、合成樹脂を用いると安価となる。
なお、置換用咬合面部成形型を積層造形装置で製造してもよい。
【0054】
得られた成形型31、31に粉末ジルコニアを図11(b)に示すように充填し置換用咬合面部32を成形する(ステップS55)。
図11(c)に示すように成形型31、31から置換用咬合面部32を取り出す(ステップS56)。
置換用咬合面部を完全焼結させて、置換用咬合面部を得る(ステップS57)。
置換用咬合面部の形状修正、研磨等の後加工を通法に従い行う(ステップS58)。
置換用咬合面部を底部と歯科用接着材を用いて接着する(ステップS59)。
【0055】
置換材料がコンポジットレジンの場合は、未硬化なコンポジットレジンを重合硬化させることから、例えば、前記した、図7、図10の方法に準じて行うことができることから、詳細な説明は省略するが、これに限られるものではない。
【0056】
置換用咬合面部を製造するためのシステムは、図1に示す特定の置換材料に適した専用のシステムに限られず、複数の置換材料に適した汎用のシステムであってもよい。
図12は、複数の置換用咬合面部製造手段を有する置換用咬合面部を製造するためのシステムを示している。
【0057】
図12に示すように置換用咬合面部を製造するためのシステムは、計測手段41、CADシステム42、記憶部43、CAMシステム44、置換用咬合面部製造手段45、置換用咬合面部製造手段46を備えている。CADシステム42は、計測手段41、記憶部43、CAMシステム44と接続しており、置換用咬合面部製造手段45、置換用咬合面部製造手段46は、それぞれ、CAMシステム44に接続している。
【0058】
置換用咬合面部製造手段45は、NC切削・研削加工装置、置換用咬合面部製造手段46は、積層造形装置が例示できる。
【0059】
記憶部43には、複数の置換材料に応じた置換用咬合面部の設計データを得ることができるように、置換材料に応じた必要なデータ等が格納されている。
【0060】
置換材料、置換用咬合面部製造手段が指定されると、それに適した処理が行われるようになっている。置換材料、置換用咬合面部製造手段が指定された場合の複数の置換材料に適した汎用のシステムにおける置換材料、置換用咬合面部製造手段が指定された場合の各構成の動作は、置換材料、置換用咬合面部製造手段が指定された図1の専用システムの動作と同様なことから、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0061】
1 計測手段
2 CADシステム
3 記憶部
4 CAMシステム
5 置換用咬合面部製造手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂、または合成樹脂とセラミックの複合材料の何れかからなり、機能咬合が得られた咬合面部と底部との二重構造を有し、前記咬合面部と底部が接合部で接合された人工臼歯の前記咬合面部と置換するための金属、セラミック、コンポジットレジンの中より選ばれた置換材料からなる置換用咬合面部をCAD/CAMシステムを利用して製造する方法であって、
CADシステムが、前記咬合面部の三次元形状データに基づき置換用咬合面部の置換材料に応じた設計データを取得する工程、
CAMシステムが、前記設計データに基づき置換用咬合面部製造手段に応じた置換用咬合面部のCAMデータを取得する工程、
置換用咬合面部製造手段が、前記CAMデータに基づき制御され置換用咬合面部を製造する工程を含むことを特徴とする人工臼歯の置換用咬合面部の製造方法。
【請求項2】
前記咬合面部の三次元形状データが、前記機能咬合が得られた咬合面部と底部との二重構造を有する人工臼歯の接合部が削除されて前記底部から取り外された前記咬合面部の咬合面側形状と底部との合わせ面側形状を含む全体形状が計測手段により計測された計測データに基づいてCADシステムで取得された三次元形状データであることを特徴とする請求項1記載の人工臼歯の置換用咬合面部の製造方法。
【請求項3】
前記咬合面部の三次元形状データが、前記機能咬合が得られた咬合面部と底部との二重構造を有する人工臼歯の前記接合部の形状を含む前記咬合面部の咬合面側形状が計測手段により計測された計測データに基づく三次元形状データと、記憶部から読み出された機能咬合の印記前の設計段階における前記咬合面部の底部との合わせ面側形状に対応する三次元形状データに基づきCADシステムで取得された三次元形状データであることを特徴とする請求項1記載の人工臼歯の置換用咬合面部の製造方法。
【請求項4】
前記置換用咬合面部の置換材料に応じた設計データを、前記CAMシステムが通信手段を介して取得することを特徴とする請求項1、2または3記載の人工臼歯の置換用咬合面部の製造方法。
【請求項5】
前記置換用咬合面部製造手段が、置換材料のブロックの切削・研削手段であること特徴とする請求項1、2、3または4記載の人工臼歯の置換用咬合面部の製造方法。
【請求項6】
前記置換用咬合面部製造手段が、置換材料の積層造形手段であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の人工臼歯の置換用咬合面部の製造方法。
【請求項7】
前記置換材料がジルコニアであることを特徴とする請求項5または6記載の人工臼歯の置換用咬合面部の製造方法。
【請求項8】
前記CADシステムが、前記咬合面部の三次元形状データを反転させ、該反転させた三次元形状データに基づき置換用咬合面部の置換材料に応じた成形型の設計データを取得する工程、
CAMシステムが、前記設計データに基づき置換用咬合面部成形型の製造手段に応じた置換用咬合面部成形型のCAMデータを取得する工程、
置換用咬合面部成形型製造手段が、前記CAMデータに基づき制御され置換用咬合面部成形型を製造する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の人工臼歯の置換用咬合面部の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−217622(P2012−217622A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86391(P2011−86391)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000181228)株式会社ジーシーデンタルプロダクツ (15)
【Fターム(参考)】