人形、おもちゃのロボットなどの構成部材
【課題】人形、おもちゃのロボット、おもちゃの動物などの立体的構造体に用いられる構成部材、特に、屈曲、伸縮など任意な動きが可能な関節部などの可動部を備えた構成部材を提供する。
【解決手段】屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する関節部などの可動部と、可動部の両端部に配設された係止部と、可動部内に配置されかつ係止部に付勢して係止される弾性部材とを備え、蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、弾性部材の付勢力により可動部が両端側から収縮方向に牽引される。また屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する可動部と、可動部に着脱可能に装着される連結部と、可動部内に配置されかつ連結部に配設された係止部に付勢して係止される弾性部材とを備え、連結部を介して連結される蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、弾性部材の付勢力により可動部が両端側から収縮方向に牽引される。
【解決手段】屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する関節部などの可動部と、可動部の両端部に配設された係止部と、可動部内に配置されかつ係止部に付勢して係止される弾性部材とを備え、蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、弾性部材の付勢力により可動部が両端側から収縮方向に牽引される。また屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する可動部と、可動部に着脱可能に装着される連結部と、可動部内に配置されかつ連結部に配設された係止部に付勢して係止される弾性部材とを備え、連結部を介して連結される蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、弾性部材の付勢力により可動部が両端側から収縮方向に牽引される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形、おもちゃのロボット、おもちゃの動物などの構成部材、特に関節部などの可動部を備えた構成部材にかんする。
【背景技術】
【0002】
人形、おもちゃのロボット、おもちゃの動物などで手、足などの関節部などを可動にしたものが種々開発されている。例えば、肘部などの関節部を回動可能に軸着し、軸を中心に腕が回動するようにしたものがある。しかしこのような関節部では単純な回動に限定されるから、手、足などの自然な動きを表現することが困難であった。
【特許文献】特願2004−331039
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、人形、おもちゃのロボット、おもちゃの動物などの立体的構造体に用いられる構成部材、特に、屈曲、伸縮など任意な動きが可能な関節部などの可動部を備えた構成部材を提供する。また伸張状態から基本形態の収縮状態に容易に復帰することができる可動部を備えた構成部材を提供する。さらに複数の可動部を備え全体として所定長さを有するとともに、各可動部についても屈曲、伸縮など自然な動きが可能な構成部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するための手段は次のとおりである。すなわち、本発明にかかる人形、おもちゃのロボットなどの構成部材は、屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する関節部などの可動部と、可動部の両端部に配設された係止部と、可動部内に配置されかつ係止部に付勢して係止される弾性部材とを備え、蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、弾性部材の付勢力により可動部が両端側から収縮方向に牽引される。
【0005】
また屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する可動部と、可動部に着脱可能に装着される連結部と、可動部内に配置されかつ連結部に配設された係止部に付勢して係止される弾性部材とを備え、連結部を介して連結される蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、弾性部材の付勢力により可動部が両端側から収縮方向に牽引される。
【0006】
また屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する可動部と、可動部に着脱可能に装着される連結部と、可動部内に配置されかつ連結部に配設された係止部に着脱可能に係止して付勢される弾性部材とを備え、連結部を介して可動部を連結するとき、弾性部材を引張して付勢力を調整するとともに、可動部と分離された連結部の係止部に弾性部材を着脱可能に係止する。
【0007】
そして可動部の両端部に配設された係止部のほぼ中央部に弾性部材を係止し、屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する可動部が伸張状態にあるとき、可動部内に配置された弾性部材が可動部の実質上中心部に位置するようにした。また可動部の両端部に配設された中心位置決め部の中心孔に弾性部材を挿通し、屈曲、伸縮可能な蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、可動部内に配置された弾性部材が可動部の実質上中心部に位置するようにした。
【発明の効果】
【0008】
構成部材の関節部などの可動部は蛇腹構造を有するから、屈曲、伸縮を含む任意な動きが可能となる。また可動部は弾性部材の付勢力により伸張状態から安定した基本形態(収縮状態)に容易に復帰し、蛇腹構造の変形が防止される。複数の可動部の連結により所定の長さの構成部材が確保される。また各可動部の弾性部材の付勢力を調整することにより、屈曲、伸縮など各可動部の自然な動きが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
人形、おもちゃのロボット、おもちゃの動物などの構成部材1、特に関節部などの可動部2を備えた構成部材の実施の形態について図面を参照して説明する。図1乃至4において、構成部材1の可動部2は中空の蛇腹構造3を有する。蛇腹構造3により可動部2は屈曲、伸縮など任意な動きが可能である。1個の可動部2を備えた単体の構成部材1は、例えば、首部や腕の肘部など一部の関節部に用いることができる(図12参照、但し首部については図示せず)。可動部2は両端部に筒部4、4を有し、筒部4、4に端部材6が着脱可能に装着される。係止部5を有する端部材6は筒状であり、係止部5は軸心と直交する方向に配置された係止ピンである。係止部5は弾性部材を係止するものであればよく、係止ピンに限定されない。可動部2内に配置される弾性部材9は付勢可能な線状ゴム紐、スプリンブなどであり、弾性部材9の端部の掛け止め、結び付けなどにより付勢状態で係止ピン5に係止される。図示の場合、弾性部材9は輪状のゴム紐であり、端部材6の一対の小孔7、7に取外し可能に挿着される係止ピン5に係止される。そして蛇腹構造3を有する可動部2が直線状の伸張状態にあるとき、付勢された弾性部材9の付勢力により可動部2は両端側から収縮方向に牽引され、基本形態の収縮状態(図1、2、3参照)に復帰する。
【0010】
この場合、大きい不勢力に設定すると可動部2は自然に収縮状態に復帰するが、不勢力をやや小さく設定する一方、伸張状態の可動部2に若干力を加える(例えば、指先で可動部2を軽く収縮方向に押すなど)と、可動部2が収縮状態に復帰するようにしてもよい。いずれの場合も収縮状態への復帰により可動部2はその基本形態を維持することができ、蛇腹構造の不要な変形が防止される(後述の複数の可動部を連結した場合も同様)。
【0011】
構成部材1は可動部2を連結した構造とすることもできる。図5乃至8において、可動部2が連結部10を介して連結される。すなわち、筒状の連結部10の外径を可動部の端部(筒部)4の内径より若干小さいか(図5、6参照)、あるいは筒状の連結部の内径を可動部の端部(筒部)の外径より若干大きく形成し(図示せず)、連結部10の両端部に一対の可動部2の端部4をそれぞれ着脱可能に装着する。例えば、図7における連結部10bの両端部に一方の可動部の端部4と他方の可動部の端部4をそれぞれ装着する。これにより可動部2、2が連結部10を介して連結され、複数の可動部2を備えた所定長さの構成部材1が形成される。
【0012】
連結部10は係止部5を有し、蛇腹構造3の可動部2内に配置された弾性部材9が係止部5に係止される。弾性部材9が線状のゴム紐、スプリンブなど付勢可能なものであること、弾性部材9は可動部2の両端部に設けられた係止部5に係止されること、図示の場合、係止部は軸心と直交する方向に配置された係止ピン5であること、弾性部材9は端部の結び付け、掛け止めなどにより係止ピン5に係止されことなど、その基本的構成は前記単体の可動部2と同様である。そして蛇腹構造の可動部2が直線状の伸張状態にあるとき、付勢された弾性部材9により各可動部5は両端側から収縮方向に牽引され、基本形態(収縮状態)に復帰する(図5、6参照)。なお図8は、連結された構成部材1において、可動部2aは蛇腹構造が収縮状態、可動部2bは蛇腹構造が伸張状態、可動部2cは蛇腹構造が屈曲状態であることを示す。
【0013】
関節部であっても人形などの構造、種類によって肩部、肘部、手首など各部位の付勢力に強弱の差を設ける必要がある。すなわち、肩部の関節部には腕部全体の大きな負荷がかかる一方、安定した動きが要求されるから、付勢力を比較的に大きくする必要がある。また肘部の関節部には肩部より柔軟な動きが要求されるから、付勢力は肘部より小さくするのがよい。さらに手首の関節部には手の動きに対応した柔軟で微妙な動きが要求されるから、付勢力を最も小さくする必要がある。
【0014】
このような場合、人形などの組立て段階、つまり、連結部10を介して複数の可動部2を連結する際、可動部2内の弾性部材9の付勢力を適宜に調整することができる。すなわち、構成部材1は屈曲、伸縮可能な蛇腹構造3を有する可動部2と、可動部2に着脱可能に装着される連結部10と、可動部2内に配置されかつ連結部10に配設された係止部5に着脱可能に係止して付勢される弾性部材9とを備える。そして連結部10を介して可動部2を連結するとき、弾性部材9を引張して付勢力を調整する一方、可動部5と分離された連結部10b、つまり可動部2に装着されていない状態の連結部10bの係止部5に弾性部材9(端部)を着脱可能に係止する。
【0015】
付勢力の調整と弾性部材9の係止手段、方法は任意であるが、その具体例を示すと、弾性部材をゴム紐9、係止部を係止ピン5とした場合、まず連結部10aの係止ピン5にゴム紐9を係止する(図7参照)。係止方法としては可動部2に装着前の分離された連結部10aの係止ピン5にゴム紐9を巻くように配置する。そして中空の可動部2にゴム紐9を挿通する一方、連結部10bを隣接する可動部2(図7における連結部10bの右側の可動部2)の一端部4に装着する。連結部10bと可動部2は着脱可能である。また可動部2の他端部4から突出するゴム紐9を可動部2に装着前の分離された連結部10bの係止ピン5に巻くように配置するとともに、一対の係止ピン5、5間に掛け渡されたゴム紐9を先端側から引張し、弾性部材9の付勢力を適宜に調整する。調整されたゴム紐9は先端側に結び付け11などして輪状とする。そして連結部10bを可動部の端部4に装着すると、一対の係止部5、5に係止されかつ付勢力の調整された弾性部材9が可動部2内に配置される。連結部10bと可動部2は着脱可能である。他の可動部2を連結するときは、同様に、付勢力の調整された弾性部材を一対の係止部(図7では連結部10bの係止部5と右端の端部材6の係止部5)に係止するとともに、可動部を連結部、端部材にそれぞれ着脱可能に装着すればよい。
【0016】
可動部2は連結部10、端部材6に着脱可能に装着されるから、一旦連結した後の可動部2と連結部10との分離も可能である。そこで弾性部材の付勢力の調整は、可動部2の連結時だけでなく、連結後に可動部2を連結部10から分離して行うこともでき、弾性部材の付勢力の再調整や修理、取替えが可能(あるいは容易)となる。連結された状態で可動部2と可動部2および/または可動部2と連結部10を接着剤などで接着し、あるいは粘着テープによる簡易固着とすることもできる。また可動部2に装着された連結部10は端部4に強度、剛性を付与する。
【0017】
可動部2内に配置されるゴム紐などの線状の弾性部材9は、可動部2の実質上の中心部(軸心)に配置される。すなわち、まず弾性部材9は可動部2の両側にある係止部5(係止ピン)のほぼ中央に係止される(図2、6など参照)。また中心孔14を有する中心位置決め部13が可動部2の両側に配置され、中心孔14に挿通された弾性部材9が中心部に保持される。中心位置決め部13は可動部2の蛇腹構造部3に近接して設けるのが好ましい。中心位置決め部13は環状のものに限定されない。蛇腹構造の可動部2が直線状のとき、弾性部材9は可動部2のほぼ中心の軸心に位置するから、伸張状態の可動部2は付勢力により収縮状態(基本形態)に容易に復帰する。また可動部2が屈曲状態のときも弾性部材9と可動部2(内周面)との当接を制限し、蛇腹構造3の過度の変形を阻止する。
【0018】
図9乃至11は他の構造の係止部5を示す。すなわち、環状部15に嵌着された保持部16は半径方向の切欠部17を有し、環状部15内の保持部16が切欠部17に配置された線状の弾性部材9を押圧状態で保持する。切欠部17の弾性部材9は保持部16の中心部に配置するのが好ましい(図11参照)。環状部15は可動部の端部4に着脱可能に装着され、弾性部材9が係止部5のほぼ中心部に維持される。
【0019】
さらに中心位置決め部13が保持部16から可動部2(蛇腹構造部3)のほぼ中央位置まで延設されている。中心位置決め部13は先端12をやや細くした断面形状が円形の棒状であり、可動部2内において一方の中心位置決め部の先端12と、他方の中心位置決めの先端12が互いに対向して配置される。中心位置決め部13は軟質合成樹脂など適宜な可撓性を有し、保持部16の場合と同様に、半径方向の切欠部17の中心部に弾性部材9を保持する。そして可動部2を屈曲状態にするとき、中心位置決め部13が蛇腹構造3の極端な屈曲を防止する。例えば、端部4に隣接する部位からの蛇腹構造3の急激な屈曲などを防止し、自然で安定した曲げ状態が表現される。また可動部2へ延びる中心位置決め部13の復元力が可動部2の直線状態への復元を容易にする。なお複数の可動部は連結部を介することなく、係止部を有する端部の筒部同士の嵌合などにより着脱可能に装着し、互いに連結することもできる(図示せず)。
【0020】
構成部材1は胴部の基部19に取り付けられる。取付け手段は任意であるが、例えば、構成部材1の端部を胴部の基部19に形成された凹部20に嵌着し、あるいは接着剤により凹部20に固着する。金具などの固定具を介して取付けてもよい(図示せず)。また可動部2の外側に適宜な柔軟性を有する外装部を設けることもできる(図示せず)。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】 本発明にかかる1個の可動部を備える構成部材の縦断面図である。
【図2】 同構成部材の横断面図である。
【図3】 同構成部材の斜視図である。
【図4】 同構成部材を説明的に示す解斜視図である。
【図5】 本発明にかかる複数個の可動部を備える構成部材の縦断面図である。
【図6】 同構成部材の横断面図である。
【図7】 同構成部材を説明的に示す解斜視図である。
【図8】 同構成部材における収縮、伸張、屈曲状態の可動部を示す正面図である。
【図9】 構成部材における他の構造の可動部の縦断面図である。
【図10】 同可動部における係止部を示す斜視図である。
【図11】 同係止部における保持部を示す側面図である。
【図12】 本発明にかかる構成部材を人形の胴部に取り付けた状態を説明的に示す正面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 構成部材
2 可動部
3 蛇腹構造
4 端部の筒部
5 係止部
6 端部材
7 小孔
9 弾性部材
10 連結部
11 結び
13 中心位置決め部
17 切欠部
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形、おもちゃのロボット、おもちゃの動物などの構成部材、特に関節部などの可動部を備えた構成部材にかんする。
【背景技術】
【0002】
人形、おもちゃのロボット、おもちゃの動物などで手、足などの関節部などを可動にしたものが種々開発されている。例えば、肘部などの関節部を回動可能に軸着し、軸を中心に腕が回動するようにしたものがある。しかしこのような関節部では単純な回動に限定されるから、手、足などの自然な動きを表現することが困難であった。
【特許文献】特願2004−331039
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、人形、おもちゃのロボット、おもちゃの動物などの立体的構造体に用いられる構成部材、特に、屈曲、伸縮など任意な動きが可能な関節部などの可動部を備えた構成部材を提供する。また伸張状態から基本形態の収縮状態に容易に復帰することができる可動部を備えた構成部材を提供する。さらに複数の可動部を備え全体として所定長さを有するとともに、各可動部についても屈曲、伸縮など自然な動きが可能な構成部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するための手段は次のとおりである。すなわち、本発明にかかる人形、おもちゃのロボットなどの構成部材は、屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する関節部などの可動部と、可動部の両端部に配設された係止部と、可動部内に配置されかつ係止部に付勢して係止される弾性部材とを備え、蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、弾性部材の付勢力により可動部が両端側から収縮方向に牽引される。
【0005】
また屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する可動部と、可動部に着脱可能に装着される連結部と、可動部内に配置されかつ連結部に配設された係止部に付勢して係止される弾性部材とを備え、連結部を介して連結される蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、弾性部材の付勢力により可動部が両端側から収縮方向に牽引される。
【0006】
また屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する可動部と、可動部に着脱可能に装着される連結部と、可動部内に配置されかつ連結部に配設された係止部に着脱可能に係止して付勢される弾性部材とを備え、連結部を介して可動部を連結するとき、弾性部材を引張して付勢力を調整するとともに、可動部と分離された連結部の係止部に弾性部材を着脱可能に係止する。
【0007】
そして可動部の両端部に配設された係止部のほぼ中央部に弾性部材を係止し、屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する可動部が伸張状態にあるとき、可動部内に配置された弾性部材が可動部の実質上中心部に位置するようにした。また可動部の両端部に配設された中心位置決め部の中心孔に弾性部材を挿通し、屈曲、伸縮可能な蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、可動部内に配置された弾性部材が可動部の実質上中心部に位置するようにした。
【発明の効果】
【0008】
構成部材の関節部などの可動部は蛇腹構造を有するから、屈曲、伸縮を含む任意な動きが可能となる。また可動部は弾性部材の付勢力により伸張状態から安定した基本形態(収縮状態)に容易に復帰し、蛇腹構造の変形が防止される。複数の可動部の連結により所定の長さの構成部材が確保される。また各可動部の弾性部材の付勢力を調整することにより、屈曲、伸縮など各可動部の自然な動きが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
人形、おもちゃのロボット、おもちゃの動物などの構成部材1、特に関節部などの可動部2を備えた構成部材の実施の形態について図面を参照して説明する。図1乃至4において、構成部材1の可動部2は中空の蛇腹構造3を有する。蛇腹構造3により可動部2は屈曲、伸縮など任意な動きが可能である。1個の可動部2を備えた単体の構成部材1は、例えば、首部や腕の肘部など一部の関節部に用いることができる(図12参照、但し首部については図示せず)。可動部2は両端部に筒部4、4を有し、筒部4、4に端部材6が着脱可能に装着される。係止部5を有する端部材6は筒状であり、係止部5は軸心と直交する方向に配置された係止ピンである。係止部5は弾性部材を係止するものであればよく、係止ピンに限定されない。可動部2内に配置される弾性部材9は付勢可能な線状ゴム紐、スプリンブなどであり、弾性部材9の端部の掛け止め、結び付けなどにより付勢状態で係止ピン5に係止される。図示の場合、弾性部材9は輪状のゴム紐であり、端部材6の一対の小孔7、7に取外し可能に挿着される係止ピン5に係止される。そして蛇腹構造3を有する可動部2が直線状の伸張状態にあるとき、付勢された弾性部材9の付勢力により可動部2は両端側から収縮方向に牽引され、基本形態の収縮状態(図1、2、3参照)に復帰する。
【0010】
この場合、大きい不勢力に設定すると可動部2は自然に収縮状態に復帰するが、不勢力をやや小さく設定する一方、伸張状態の可動部2に若干力を加える(例えば、指先で可動部2を軽く収縮方向に押すなど)と、可動部2が収縮状態に復帰するようにしてもよい。いずれの場合も収縮状態への復帰により可動部2はその基本形態を維持することができ、蛇腹構造の不要な変形が防止される(後述の複数の可動部を連結した場合も同様)。
【0011】
構成部材1は可動部2を連結した構造とすることもできる。図5乃至8において、可動部2が連結部10を介して連結される。すなわち、筒状の連結部10の外径を可動部の端部(筒部)4の内径より若干小さいか(図5、6参照)、あるいは筒状の連結部の内径を可動部の端部(筒部)の外径より若干大きく形成し(図示せず)、連結部10の両端部に一対の可動部2の端部4をそれぞれ着脱可能に装着する。例えば、図7における連結部10bの両端部に一方の可動部の端部4と他方の可動部の端部4をそれぞれ装着する。これにより可動部2、2が連結部10を介して連結され、複数の可動部2を備えた所定長さの構成部材1が形成される。
【0012】
連結部10は係止部5を有し、蛇腹構造3の可動部2内に配置された弾性部材9が係止部5に係止される。弾性部材9が線状のゴム紐、スプリンブなど付勢可能なものであること、弾性部材9は可動部2の両端部に設けられた係止部5に係止されること、図示の場合、係止部は軸心と直交する方向に配置された係止ピン5であること、弾性部材9は端部の結び付け、掛け止めなどにより係止ピン5に係止されことなど、その基本的構成は前記単体の可動部2と同様である。そして蛇腹構造の可動部2が直線状の伸張状態にあるとき、付勢された弾性部材9により各可動部5は両端側から収縮方向に牽引され、基本形態(収縮状態)に復帰する(図5、6参照)。なお図8は、連結された構成部材1において、可動部2aは蛇腹構造が収縮状態、可動部2bは蛇腹構造が伸張状態、可動部2cは蛇腹構造が屈曲状態であることを示す。
【0013】
関節部であっても人形などの構造、種類によって肩部、肘部、手首など各部位の付勢力に強弱の差を設ける必要がある。すなわち、肩部の関節部には腕部全体の大きな負荷がかかる一方、安定した動きが要求されるから、付勢力を比較的に大きくする必要がある。また肘部の関節部には肩部より柔軟な動きが要求されるから、付勢力は肘部より小さくするのがよい。さらに手首の関節部には手の動きに対応した柔軟で微妙な動きが要求されるから、付勢力を最も小さくする必要がある。
【0014】
このような場合、人形などの組立て段階、つまり、連結部10を介して複数の可動部2を連結する際、可動部2内の弾性部材9の付勢力を適宜に調整することができる。すなわち、構成部材1は屈曲、伸縮可能な蛇腹構造3を有する可動部2と、可動部2に着脱可能に装着される連結部10と、可動部2内に配置されかつ連結部10に配設された係止部5に着脱可能に係止して付勢される弾性部材9とを備える。そして連結部10を介して可動部2を連結するとき、弾性部材9を引張して付勢力を調整する一方、可動部5と分離された連結部10b、つまり可動部2に装着されていない状態の連結部10bの係止部5に弾性部材9(端部)を着脱可能に係止する。
【0015】
付勢力の調整と弾性部材9の係止手段、方法は任意であるが、その具体例を示すと、弾性部材をゴム紐9、係止部を係止ピン5とした場合、まず連結部10aの係止ピン5にゴム紐9を係止する(図7参照)。係止方法としては可動部2に装着前の分離された連結部10aの係止ピン5にゴム紐9を巻くように配置する。そして中空の可動部2にゴム紐9を挿通する一方、連結部10bを隣接する可動部2(図7における連結部10bの右側の可動部2)の一端部4に装着する。連結部10bと可動部2は着脱可能である。また可動部2の他端部4から突出するゴム紐9を可動部2に装着前の分離された連結部10bの係止ピン5に巻くように配置するとともに、一対の係止ピン5、5間に掛け渡されたゴム紐9を先端側から引張し、弾性部材9の付勢力を適宜に調整する。調整されたゴム紐9は先端側に結び付け11などして輪状とする。そして連結部10bを可動部の端部4に装着すると、一対の係止部5、5に係止されかつ付勢力の調整された弾性部材9が可動部2内に配置される。連結部10bと可動部2は着脱可能である。他の可動部2を連結するときは、同様に、付勢力の調整された弾性部材を一対の係止部(図7では連結部10bの係止部5と右端の端部材6の係止部5)に係止するとともに、可動部を連結部、端部材にそれぞれ着脱可能に装着すればよい。
【0016】
可動部2は連結部10、端部材6に着脱可能に装着されるから、一旦連結した後の可動部2と連結部10との分離も可能である。そこで弾性部材の付勢力の調整は、可動部2の連結時だけでなく、連結後に可動部2を連結部10から分離して行うこともでき、弾性部材の付勢力の再調整や修理、取替えが可能(あるいは容易)となる。連結された状態で可動部2と可動部2および/または可動部2と連結部10を接着剤などで接着し、あるいは粘着テープによる簡易固着とすることもできる。また可動部2に装着された連結部10は端部4に強度、剛性を付与する。
【0017】
可動部2内に配置されるゴム紐などの線状の弾性部材9は、可動部2の実質上の中心部(軸心)に配置される。すなわち、まず弾性部材9は可動部2の両側にある係止部5(係止ピン)のほぼ中央に係止される(図2、6など参照)。また中心孔14を有する中心位置決め部13が可動部2の両側に配置され、中心孔14に挿通された弾性部材9が中心部に保持される。中心位置決め部13は可動部2の蛇腹構造部3に近接して設けるのが好ましい。中心位置決め部13は環状のものに限定されない。蛇腹構造の可動部2が直線状のとき、弾性部材9は可動部2のほぼ中心の軸心に位置するから、伸張状態の可動部2は付勢力により収縮状態(基本形態)に容易に復帰する。また可動部2が屈曲状態のときも弾性部材9と可動部2(内周面)との当接を制限し、蛇腹構造3の過度の変形を阻止する。
【0018】
図9乃至11は他の構造の係止部5を示す。すなわち、環状部15に嵌着された保持部16は半径方向の切欠部17を有し、環状部15内の保持部16が切欠部17に配置された線状の弾性部材9を押圧状態で保持する。切欠部17の弾性部材9は保持部16の中心部に配置するのが好ましい(図11参照)。環状部15は可動部の端部4に着脱可能に装着され、弾性部材9が係止部5のほぼ中心部に維持される。
【0019】
さらに中心位置決め部13が保持部16から可動部2(蛇腹構造部3)のほぼ中央位置まで延設されている。中心位置決め部13は先端12をやや細くした断面形状が円形の棒状であり、可動部2内において一方の中心位置決め部の先端12と、他方の中心位置決めの先端12が互いに対向して配置される。中心位置決め部13は軟質合成樹脂など適宜な可撓性を有し、保持部16の場合と同様に、半径方向の切欠部17の中心部に弾性部材9を保持する。そして可動部2を屈曲状態にするとき、中心位置決め部13が蛇腹構造3の極端な屈曲を防止する。例えば、端部4に隣接する部位からの蛇腹構造3の急激な屈曲などを防止し、自然で安定した曲げ状態が表現される。また可動部2へ延びる中心位置決め部13の復元力が可動部2の直線状態への復元を容易にする。なお複数の可動部は連結部を介することなく、係止部を有する端部の筒部同士の嵌合などにより着脱可能に装着し、互いに連結することもできる(図示せず)。
【0020】
構成部材1は胴部の基部19に取り付けられる。取付け手段は任意であるが、例えば、構成部材1の端部を胴部の基部19に形成された凹部20に嵌着し、あるいは接着剤により凹部20に固着する。金具などの固定具を介して取付けてもよい(図示せず)。また可動部2の外側に適宜な柔軟性を有する外装部を設けることもできる(図示せず)。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】 本発明にかかる1個の可動部を備える構成部材の縦断面図である。
【図2】 同構成部材の横断面図である。
【図3】 同構成部材の斜視図である。
【図4】 同構成部材を説明的に示す解斜視図である。
【図5】 本発明にかかる複数個の可動部を備える構成部材の縦断面図である。
【図6】 同構成部材の横断面図である。
【図7】 同構成部材を説明的に示す解斜視図である。
【図8】 同構成部材における収縮、伸張、屈曲状態の可動部を示す正面図である。
【図9】 構成部材における他の構造の可動部の縦断面図である。
【図10】 同可動部における係止部を示す斜視図である。
【図11】 同係止部における保持部を示す側面図である。
【図12】 本発明にかかる構成部材を人形の胴部に取り付けた状態を説明的に示す正面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 構成部材
2 可動部
3 蛇腹構造
4 端部の筒部
5 係止部
6 端部材
7 小孔
9 弾性部材
10 連結部
11 結び
13 中心位置決め部
17 切欠部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する関節部などの可動部と、可動部の両端部に配設された係止部と、可動部内に配置されかつ係止部に付勢して係止される弾性部材とを備え、蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、弾性部材の付勢力により可動部が両端側から収縮方向に牽引される人形などの構成部材。
【請求項2】
屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する可動部と、可動部に着脱可能に装着される連結部と、可動部内に配置されかつ連結部に配設された係止部に付勢して係止される弾性部材とを備え、連結部を介して連結される蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、弾性部材の付勢力により可動部が両端側から収縮方向に牽引される人形などの構成部材。
【請求項3】
屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する可動部と、可動部に着脱可能に装着される連結部と、可動部内に配置されかつ連結部に配設された係止部に着脱可能に係止して付勢される弾性部材とを備え、連結部を介して可動部を連結するとき、弾性部材を引張して付勢力を調整するとともに、可動部と分離された連結部の係止部に弾性部材を着脱可能に係止する人形などの構成部材。
【請求項4】
可動部の両端部に配設された係止部のほぼ中央部に弾性部材を係止し、屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する可動部が伸張状態にあるとき、可動部内に配置された弾性部材が可動部の実質上中心部に位置するようにした請求項3または4に記載の人形などの構成部材。
【請求項5】
可動部の両端部に配設された中心位置決め部の中心孔に弾性部材を挿通し、屈曲、伸縮可能な蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、可動部内に配置された弾性部材が可動部の実質上中心部に位置するようにした請求項3または4に記載の人形などの構成部材。
【請求項6】
可動部の両端部に配設された可撓性を有する中心位置決め部であって、中空の可動部内のほぼ中央位置まで延びる一方の中心位置決め部先端と他方の中心位置決め部先端が互いに対向して配置される請求項1に記載の構成部材。
【請求項1】
屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する関節部などの可動部と、可動部の両端部に配設された係止部と、可動部内に配置されかつ係止部に付勢して係止される弾性部材とを備え、蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、弾性部材の付勢力により可動部が両端側から収縮方向に牽引される人形などの構成部材。
【請求項2】
屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する可動部と、可動部に着脱可能に装着される連結部と、可動部内に配置されかつ連結部に配設された係止部に付勢して係止される弾性部材とを備え、連結部を介して連結される蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、弾性部材の付勢力により可動部が両端側から収縮方向に牽引される人形などの構成部材。
【請求項3】
屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する可動部と、可動部に着脱可能に装着される連結部と、可動部内に配置されかつ連結部に配設された係止部に着脱可能に係止して付勢される弾性部材とを備え、連結部を介して可動部を連結するとき、弾性部材を引張して付勢力を調整するとともに、可動部と分離された連結部の係止部に弾性部材を着脱可能に係止する人形などの構成部材。
【請求項4】
可動部の両端部に配設された係止部のほぼ中央部に弾性部材を係止し、屈曲、伸縮可能な蛇腹構造を有する可動部が伸張状態にあるとき、可動部内に配置された弾性部材が可動部の実質上中心部に位置するようにした請求項3または4に記載の人形などの構成部材。
【請求項5】
可動部の両端部に配設された中心位置決め部の中心孔に弾性部材を挿通し、屈曲、伸縮可能な蛇腹構造の可動部が伸張状態にあるとき、可動部内に配置された弾性部材が可動部の実質上中心部に位置するようにした請求項3または4に記載の人形などの構成部材。
【請求項6】
可動部の両端部に配設された可撓性を有する中心位置決め部であって、中空の可動部内のほぼ中央位置まで延びる一方の中心位置決め部先端と他方の中心位置決め部先端が互いに対向して配置される請求項1に記載の構成部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−126041(P2008−126041A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341930(P2006−341930)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(506420898)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(506420898)
【Fターム(参考)】
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