人形の関節構造及び該関節構造を備えた人形
【課題】 関節を屈曲させた際に各部材間に生じる隙間を狭くすることができる人形の関節構造を提供する。
【解決手段】 一対の外装部材と両外装部材の間に位置付けられる関節部材とが各部材の中空部に通された弾性体によって互いに牽引されることによって連結されている人形の関節構造において、いずれか一方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面を切り欠いてなる切欠部を形成し、関節部材から一方の外装部材の先端部に形成された切欠部を塞ぐように干渉緩和片を伸ばし、関節を所定角度以上屈曲させない状態において干渉緩和片が一方の外装部材の外装面の一部となり、関節を所定角度以上屈曲させた状態において他方の外装部材の外装面が干渉緩和片と干渉して干渉緩和片が一方の外装部材の内方へと沈み込むことで切欠部に窪みが形成されて該窪みに他方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面が嵌り込むようにする。
【解決手段】 一対の外装部材と両外装部材の間に位置付けられる関節部材とが各部材の中空部に通された弾性体によって互いに牽引されることによって連結されている人形の関節構造において、いずれか一方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面を切り欠いてなる切欠部を形成し、関節部材から一方の外装部材の先端部に形成された切欠部を塞ぐように干渉緩和片を伸ばし、関節を所定角度以上屈曲させない状態において干渉緩和片が一方の外装部材の外装面の一部となり、関節を所定角度以上屈曲させた状態において他方の外装部材の外装面が干渉緩和片と干渉して干渉緩和片が一方の外装部材の内方へと沈み込むことで切欠部に窪みが形成されて該窪みに他方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面が嵌り込むようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、人形の関節構造及び該関節構造を備えた人形に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
周知のとおり、人形を人体の各関節に相当する部分において分割して複数の部材から構成し、各部材に設けられた中空部にゴム紐やコイルスプリングなどの長尺状の弾性体を通して牽引することにより、各部材を連結した構造の人形が多数開発されている。
【０００３】
例えば、後出特許文献１には、人体の上肢又は下肢における関節部材を模した人形における関節の一方側接合部と他方側接合部とが圧接状態で連結されて一方向へ屈曲できるようになっている関節構造であって、一方側接合部は前記一方向へ向かって傾斜した切断面の縁周端面を該切断面の上側周端面部から両側周端面部に渡って細幅状に残した山裾部と該切断面から盛り上がるように形成された丸山型嵌合凸部とからなり、他方側接合部は一方側接合部の丸山型嵌合部を跨いで摺動可能に覆う外形が逆Ｕ両側辺部によって鳥口型二股状になったドーム型嵌合凹部とからなり、該ドーム型嵌合凹部の鳥口型二股先端面はそれぞれ山裾部の両側周端面部に当接して当該鳥口型二股先端面を支点として前記関節が屈曲・伸展できるようになっている関節構造が開示されている。
【０００４】
また、後出特許文献２には、人形の脚を構成する脚部が複数の部材に分割されており、爪先側先端に位置付けられる部材以外の他の部材には互いに連通する中空が設けられており、爪先側先端に位置付けられる部材から伸びる弾性体を他の部材の中空へ通して牽引することによって各部材を圧接状態にて連結してなる人形の脚部構造において、前記他の部材における人形の大腿を構成する部材と人形の下腿を構成する部材とが人形の膝関節を構成する部材を介して連結されており、人形の膝関節を構成する部材の上部には膝皿部の上面を前側縁端から両側縁端に渡って細幅状に残してなる上面裾部と該上面から突出した上膝嵌合凸部とが形成されており、下部には膝皿部の下面を前側縁端から両側縁端に渡って細幅状に残してなる下面裾部と該下面から突出した下膝嵌合凸部とが形成されており、人形の大腿を構成する部材の下端部には上膝嵌合凸部が嵌る上膝嵌合凹部が形成されていると共に該上膝嵌合凹部は後側縁部が切り欠かれて二股状になっており、上膝嵌合凹部の両二股縁部は上面裾部に接触して該両二股縁部を支点として屈曲・伸展できるようになっており、人形の下腿を構成する部材の上端部には下膝嵌合凸部が嵌る下膝嵌合凹部が形成されていると共に該下膝嵌合凹部は後側縁部が切り欠かれて二股状になっており、該下膝嵌合凹部の両二股縁部は下面裾部に接触して該両二股縁部を支点として屈曲・伸展できるようになっていることを特徴とする人形の脚部構造が開示されている。
【特許文献１】特許第３７６９６８７号公報
【特許文献２】特開２００６−１５８５４２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、前記特許文献１に開示された関節構造においては、関節をある程度屈曲させると、一方側接合部の屈曲方向側に位置する山裾部が他方側接合部の屈曲方向側に位置する逆U字状側辺部に接触するため、関節の屈曲角度を深くするためには、他方側接合部における屈曲方向側に位置する逆U字状側辺部の切り込みを深くする必要があるが、切り込みを深くすると、関節を伸展させた際に、関節の屈曲方向側に大きな窪みが形成されて見栄えが悪くなるため、関節の外観を美しく維持しようとすると、自ずと関節の屈曲角度を浅くする必要があった。
【０００６】
一方、前記特許文献２に開示された人形の関節構造においては、人形の大腿を構成する部材の下端部に形成された上膝嵌合凹部が人形の関節を構成する部材の上部に形成された上膝嵌合凸部に嵌っていると共に、人形の下腿を構成する部材の上端部に形成された下膝嵌合凹部が人形の関節を構成する部材の下部に形成された下膝嵌合凸部に嵌っているため、関節の屈曲する支点が二箇所となり、関節の屈曲角度を深くすることができるが、人形に接する観者が最も注意深く観察する関節の伸展方向側に二つの接合線が現れてしまい、また、接合線が一つしか現れないように各部材を成形すると、関節を屈曲させた際に、各部材の接合位置に大きな隙間が生じてしまう。
【０００７】
そこで、本発明は、関節の伸展・屈曲状態における外観が美しく、関節を屈曲させた際に各部材間に生じる隙間を狭くすることができる人形の関節構造を提供することを技術的課題として、その具現化をはかるべく、試作・実験を繰り返した結果、中空状に形成された一対の外装部材と両外装部材の間に位置付けられる中空状に形成された関節部材とが各部材の中空部に通された弾性体によって互いに牽引されることによって屈曲できるように連結されている人形の関節構造において、いずれか一方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面を先端に達するまで切り欠いてなる切欠部を形成し、関節部材から一方の外装部材の先端部に形成された切欠部を塞ぐように干渉緩和片を伸ばし、関節を所定角度以上屈曲させない状態において干渉緩和片の表面が一方の外装部材の先端部における外装面の一部となり、関節を所定角度以上屈曲させた状態において他方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面が干渉緩和片と干渉して干渉緩和片の表面が一方の外装部材の内方へと沈み込むことで切欠部に窪みが形成されて該窪みに他方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面が嵌り込むようにすれば、関節を屈曲・伸展させた際に、各部材間に生じる隙間を狭くすることができるという刮目すべき知見を得、前記技術的課題を達成したものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【０００９】
即ち、本発明に係る人形の関節構造は、中空状に形成された一対の外装部材と両外装部材の間に位置付けられる中空状に形成された関節部材とが各部材の中空部に通された弾性体によって互いに牽引されることによって屈曲できるように連結されている人形の関節構造であって、いずれか一方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面を先端に達するまで切り欠いてなる切欠部が形成されており、関節部材から一方の外装部材の先端部に形成された切欠部を塞ぐように干渉緩和片が伸びており、関節を所定角度以上屈曲させない状態において干渉緩和片の表面が一方の外装部材の先端部における外装面の一部となっており、関節を所定角度以上屈曲させた状態において他方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面が干渉緩和片と干渉して干渉緩和片の表面が一方の外装部材の内方へと沈み込むことで切欠部に窪みが形成されて該窪みに他方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面が嵌り込むものである。
【００１０】
また、本発明は、前記人形の関節構造において、切欠部に嵌め込まれた干渉緩和片が切欠部に対して着脱可能に噛み合っているものである。
【００１１】
また、本発明に係る人形は、前記いずれかの関節構造を備えたものである。
【発明の効果】
【００１２】
本発明によれば、関節部材から一方の外装部材の先端部に形成された切欠部を塞ぐように干渉緩和片を伸ばし、この干渉緩和片が、関節を所定角度以上屈曲させない状態において一方の外装部材の先端部における外装面の一部となり、関節を所定角度以上屈曲させた状態において一方の外装部材の内方へと沈み込むようにしたので、関節の屈曲角度を深くした際に外装部材の屈曲方向側に必然的に形成される窪みを干渉緩和片の揺動によって必要に応じて開閉することができ、これにより、関節の伸展・屈曲いずれの状態においても美しい外観が維持される。
【００１３】
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【００１５】
実施の形態１．
【００１６】
図１は本実施の形態に係る関節構造を備えた人形である。図２は本実施の形態に係る人形の肘関節構造を示した分解斜視図である。図３は図２に示す肘関節部材の反対側を示した斜視図である。図４は図２に示す人形の肘関節構造の動作を示した側面図である。図５は図２に示す人形の肘関節構造の動作を示した縦断面図である。これらの図において、１は、人形の頭を構成する頭部材２と、人形の胴体を構成する三分割された胴体部材３と、人形の腕を構成する腕部材４と、人形の脚を構成する脚部材５とからなる人形である。頭部材２は、空洞状である。胴体部材３は、人形の胸を構成する胸部材６と、人形の腹を構成する腹部材７と、人形の腰を構成する腰部材８とからなっている。腕部材４は、人形の上腕を構成する上腕部材９（他方の外装部材）と、人形の肘関節を構成する肘関節部材１０（関節部材）と、人形の前腕を構成する前腕部材１１（一方の外装部材）と、人形の手首関節を構成する手首関節部材１２と、人形の手を構成する手部材１３とからなっている。脚部材５は、人形の大腿を構成する大腿部材１４と、人形の下腿を構成する下腿部材１５と、人形の足首関節を構成する足首関節部材１６と、人形の足を構成する足部材１７とからなっており、大腿部材１４は、股関節付近にて二分割されている。そして、手部材１３及び足部材１７以外の各部材は、隣接する部材に向かって開口する中空状に形成されており、左・右腕部材４，４は、左手部材１３に設けられた掛け具１８に引っ掛けられたＳ字状連結具１９に一端が固定された腕用弾性体２０の他端を左腕部材４を構成する各部材の中空部に通し、胸部材６を介して右腕部材４を構成する各部材の中空部に通した後、右手部材１３に設けられた掛け具１８に引っ掛けられたＳ字状連結具１９に固定することによって牽引状態で連結されている。また、頭部材２、胴体部材３及び左・右脚部材５，５は、頭部材２に設けられた掛け具２１に引っ掛けられたＳ字状連結具２２に一端が固定された一対の脚用弾性体２３，２３の他端を胴体部材３を構成する各部材の中空部を通し、左・右脚部材５，５を構成する各部材の中空部を通した後、左・右足部材１７，１７に設けられた掛け具２４，２４に引っ掛けられたＳ字状連結具２５，２５に固定することによって牽引状態で連結されている。
【００１７】
そして、本実施の形態に係る人形の肘関節構造は、上腕部材９の先端部２６と前腕部材１１の先端部２７とが両部材９，１１の間に位置付けられる肘関節部材１０と接合しており、上腕部材９の先端部２６と肘関節部材１０との摺動によって屈曲できるように連結されている。
【００１８】
上腕部材９の先端部２６には、先端面２８を長手方向に切り欠いてなる球面凹部２９が形成されており、球面凹部２９は天面において中空部３０と連通している。そして、球面凹部２９の開口縁３１は、膝関節の屈曲方向側に位置する後側縁部３２から膝関節の伸展方向側に位置する前側縁部３３に向かって傾斜したリング状に形成されている。
【００１９】
前腕部材１１の先端部２７には、肘関節の屈曲方向側に位置する外装面３４を他の外装面３５を残した状態で先端面３６に達するように切り欠いてなる切欠部３７が形成されており、切欠部３７は底面において中空部３８と連通している。そして、切欠部３７の開口縁３９は、肘関節の伸展方向側に位置するU字状前側縁部４０と、U字状前側縁部４０よりも深く抉られた肘関節の屈曲方向側に位置するＵ字状後側縁部４１とによって烏口型二股状に形成されている。
【００２０】
肘関節部材１０は、上腕部材９の球面凹部２９に対して摺動可能に嵌め込まれる球体部４２と、球体部４２から突出して前腕部材１１の切欠部３７を塞ぐように嵌め込まれる干渉緩和片４３とから構成されている。球体部４２には、肘関節を伸展・屈曲させた際に上腕部材９の中空部３０と対向するライン上を走るように形成されたスリット溝４４が干渉緩和片４３へと貫通して中空部４５となっており、また、干渉緩和片４３の付け根に当たる両側面に前腕部材１１の烏口型二股縁部４６，４６と接合する段差４７が形成されている。干渉緩和片４３は、前腕部材１１のＵ字状後側縁部４１と合致して前腕部材１１の外装面３４の役割を果たす外装部４８と、スリット溝４４と連通するガイド溝４９を挟んで伸びる内装部５０（図３参照）とから構成されており、また、開口嘴状に伸びる外装部４８の先端と内装部５０の先端とによって掛止溝５１が形成されている。
【００２１】
本実施の形態に係る人形の肘関節構造を構成する各部材を組み立てる場合には、先ず、上腕部材９の球面凹部２９に肘関節部材１０の球体部４２を嵌め込む。続いて、前腕部材１１のＵ字状後側縁部４１に肘関節部材１０の干渉緩和片４３における外装部４８を合致させると共に、前腕部材１１の烏口型二股縁部４６，４６を肘関節部材１０の球体部４２に形成された段差４７に接合させる。そして、上腕部材９の前側縁部３３を前腕部材１１のＵ字状前側縁部４０に接触させることで各部材９，１０，１１の中空部３０，３８，４５を直線状に連通させ、この連通した中空部３０，３８，４５に腕用弾性体２０を通して各部材９，１０，１１を互いに牽引して連結する。
【００２２】
次に、本実施の形態に係る人形の肘関節構造の動きを説明する。
【００２３】
肘関節の伸展状態においては、図５の（ａ）に示すように、肘関節部材１０の球体部４２を上腕部材９の球面凹部２９に対して摺動可能で嵌め込み、また、肘関節部材１０の干渉緩和片２３における外装部４８を前腕部材１１の切欠部３７におけるＵ字状後側縁部４１に合致させ、干渉緩和片４３の掛止溝５１をＵ字状後側縁部４１と噛み合わせると共に、肘関節部材１０の球体部４２における段差４７に前腕部材１１の烏口型二股縁部４６，４６を接合させる。これにより、Ｕ字状後側縁部４１に噛み合わされた干渉緩和片４３の外装部４８の表面が前腕部材１１の外装面３４に一致する。そして、上腕部材９の前側縁部３３を前腕部材１１のＵ字状前側縁部４０に接触させることで各部材９，１０，１１が伸展する。
【００２４】
肘関節を屈曲させると、図４に示すように、前腕部材１１は肘関節部材１０の球体部４２を回転軸として上腕部材９に対して回転する。
【００２５】
そして、肘関節を所定角度まで屈曲させると、図５の（ｂ）に示すように、上腕部材９の後側縁部３２が肘関節部材１０の干渉緩和片４３における外装部４８の表面と干渉し始める。そして、膝関節を所定角度以上に屈曲させると、図５の（ｃ）に示すように、上腕部材９の後側縁部３２によって肘関節部材１０の回転が規制されることにより、脚用弾性体２０の牽引によって維持されていた干渉緩和片４３の掛止溝５１と前腕部材１１のＵ字状後側縁部４１との噛み合わせが外れて前腕部材１１が烏口型二股縁部４６，４６を回転軸として回転する（図４参照）。これにより、干渉緩和片４３の内装部５０が切欠部３７の内面に接触する位置まで干渉緩和片４３が切欠部３７の内方へと沈み込み、切欠部３７に窪みが形成される。そして、当該窪みに上腕部材９の後側縁部３２が嵌り込んだ状態となる。
【００２６】
なお、肘関節の屈曲角度が増すに連れて干渉緩和片４３の内装部５０に形成されたガイド溝４９に腕用弾性体２０が入り込むことにより、各部材９，１０，１１に対して腕用弾性体２０による余計な牽引力が制御されている。
【００２７】
実施の形態２．
【００２８】
本実施の形態は前記実施の形態における前腕部材及び肘関節部材の変形例である。図６は本実施の形態に係る前腕部材と肘関節部材の連結構造を示した分解斜視図である。この図において、図１〜図４と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【００２９】
図６に示すように、本実施の形態においては、前腕部材１１における切欠部３７のＵ字状後側縁部４１に複数の丸形凹部５２が形成されており、肘関節部材１０における干渉緩和片４３の周面に複数の丸形凸部５３が形成されている。そして、肘関節部材１０は、干渉緩和片４３の周面を切欠部３７のＵ字状後側縁部４１に嵌め込んで丸形凸部５３と丸形凹部５２を噛み合わせた状態として切欠部３７の両側に位置する外装面３５に架け渡された軸ピン５４によって前腕部材１１に対して回転可能に固定される。
【００３０】
前記各実施の形態においては、肘関節に対して本発明に係る人形の関節構造を適用しているが、肘関節に限らず、膝、肩、手首、足首、股など他の関節に適用するこもできる。
【００３１】
また、本発明に係る人形の態様は、前記実施の形態１に係る人形の態様に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【００３２】
【図１】実施の形態１に係る関節構造を備えた人形である。
【図２】実施の形態１に係る人形の肘関節構造を示した分解斜視図である。
【図３】図２に示す肘関節部材の反対側を示した斜視図である。
【図４】図２に示す人形の肘関節構造の動作を示した側面図である。
【図５】図２に示す人形の肘関節構造の動作を示した縦断面図である。
【図６】実施の形態２に係る前腕部材と肘関節部材の連結構造を示した分解斜視図である。
【符号の説明】
【００３３】
１ 人形
２ 頭部材
３ 胴体部材
４ 腕部材
５ 脚部材
６ 胸部材
７ 腹部材
８ 腰部材
９ 上腕部材
１０ 肘関節部材
１１ 前腕部材
１２ 手首関節部材
１３ 手部材
１４ 大腿部材
１５ 下腿部材
１６ 足首関節部材
１７ 足部材
１８，２１，２４ 掛け具
１９，２２，２５ Ｓ字状連結具
２０ 腕用弾性体
２３ 脚用弾性体
２６，２７ 先端部
２８ 先端面
３０ 中空部
３１ 開口縁
３２ 後側縁部
３３ 前側縁部
３４ 外装面
３５ 外装面
３６ 先端面
３７ 切欠部
３８ 中空部
３９ 開口縁
４０ Ｕ字状前側縁部
４１ Ｕ字状後側縁部
４２ 球体部
４３ 干渉緩和片
４４ スリット溝
４５ 中空部
４６ 烏口型二股縁部
４７ 段差
４８ 外装部
４９ ガイド溝
５０ 内装部
５１ 掛止溝
５２ 丸形凹部
５３ 丸形凸部
５４ 軸ピン
【技術分野】
【０００１】
本発明は、人形の関節構造及び該関節構造を備えた人形に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
周知のとおり、人形を人体の各関節に相当する部分において分割して複数の部材から構成し、各部材に設けられた中空部にゴム紐やコイルスプリングなどの長尺状の弾性体を通して牽引することにより、各部材を連結した構造の人形が多数開発されている。
【０００３】
例えば、後出特許文献１には、人体の上肢又は下肢における関節部材を模した人形における関節の一方側接合部と他方側接合部とが圧接状態で連結されて一方向へ屈曲できるようになっている関節構造であって、一方側接合部は前記一方向へ向かって傾斜した切断面の縁周端面を該切断面の上側周端面部から両側周端面部に渡って細幅状に残した山裾部と該切断面から盛り上がるように形成された丸山型嵌合凸部とからなり、他方側接合部は一方側接合部の丸山型嵌合部を跨いで摺動可能に覆う外形が逆Ｕ両側辺部によって鳥口型二股状になったドーム型嵌合凹部とからなり、該ドーム型嵌合凹部の鳥口型二股先端面はそれぞれ山裾部の両側周端面部に当接して当該鳥口型二股先端面を支点として前記関節が屈曲・伸展できるようになっている関節構造が開示されている。
【０００４】
また、後出特許文献２には、人形の脚を構成する脚部が複数の部材に分割されており、爪先側先端に位置付けられる部材以外の他の部材には互いに連通する中空が設けられており、爪先側先端に位置付けられる部材から伸びる弾性体を他の部材の中空へ通して牽引することによって各部材を圧接状態にて連結してなる人形の脚部構造において、前記他の部材における人形の大腿を構成する部材と人形の下腿を構成する部材とが人形の膝関節を構成する部材を介して連結されており、人形の膝関節を構成する部材の上部には膝皿部の上面を前側縁端から両側縁端に渡って細幅状に残してなる上面裾部と該上面から突出した上膝嵌合凸部とが形成されており、下部には膝皿部の下面を前側縁端から両側縁端に渡って細幅状に残してなる下面裾部と該下面から突出した下膝嵌合凸部とが形成されており、人形の大腿を構成する部材の下端部には上膝嵌合凸部が嵌る上膝嵌合凹部が形成されていると共に該上膝嵌合凹部は後側縁部が切り欠かれて二股状になっており、上膝嵌合凹部の両二股縁部は上面裾部に接触して該両二股縁部を支点として屈曲・伸展できるようになっており、人形の下腿を構成する部材の上端部には下膝嵌合凸部が嵌る下膝嵌合凹部が形成されていると共に該下膝嵌合凹部は後側縁部が切り欠かれて二股状になっており、該下膝嵌合凹部の両二股縁部は下面裾部に接触して該両二股縁部を支点として屈曲・伸展できるようになっていることを特徴とする人形の脚部構造が開示されている。
【特許文献１】特許第３７６９６８７号公報
【特許文献２】特開２００６−１５８５４２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、前記特許文献１に開示された関節構造においては、関節をある程度屈曲させると、一方側接合部の屈曲方向側に位置する山裾部が他方側接合部の屈曲方向側に位置する逆U字状側辺部に接触するため、関節の屈曲角度を深くするためには、他方側接合部における屈曲方向側に位置する逆U字状側辺部の切り込みを深くする必要があるが、切り込みを深くすると、関節を伸展させた際に、関節の屈曲方向側に大きな窪みが形成されて見栄えが悪くなるため、関節の外観を美しく維持しようとすると、自ずと関節の屈曲角度を浅くする必要があった。
【０００６】
一方、前記特許文献２に開示された人形の関節構造においては、人形の大腿を構成する部材の下端部に形成された上膝嵌合凹部が人形の関節を構成する部材の上部に形成された上膝嵌合凸部に嵌っていると共に、人形の下腿を構成する部材の上端部に形成された下膝嵌合凹部が人形の関節を構成する部材の下部に形成された下膝嵌合凸部に嵌っているため、関節の屈曲する支点が二箇所となり、関節の屈曲角度を深くすることができるが、人形に接する観者が最も注意深く観察する関節の伸展方向側に二つの接合線が現れてしまい、また、接合線が一つしか現れないように各部材を成形すると、関節を屈曲させた際に、各部材の接合位置に大きな隙間が生じてしまう。
【０００７】
そこで、本発明は、関節の伸展・屈曲状態における外観が美しく、関節を屈曲させた際に各部材間に生じる隙間を狭くすることができる人形の関節構造を提供することを技術的課題として、その具現化をはかるべく、試作・実験を繰り返した結果、中空状に形成された一対の外装部材と両外装部材の間に位置付けられる中空状に形成された関節部材とが各部材の中空部に通された弾性体によって互いに牽引されることによって屈曲できるように連結されている人形の関節構造において、いずれか一方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面を先端に達するまで切り欠いてなる切欠部を形成し、関節部材から一方の外装部材の先端部に形成された切欠部を塞ぐように干渉緩和片を伸ばし、関節を所定角度以上屈曲させない状態において干渉緩和片の表面が一方の外装部材の先端部における外装面の一部となり、関節を所定角度以上屈曲させた状態において他方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面が干渉緩和片と干渉して干渉緩和片の表面が一方の外装部材の内方へと沈み込むことで切欠部に窪みが形成されて該窪みに他方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面が嵌り込むようにすれば、関節を屈曲・伸展させた際に、各部材間に生じる隙間を狭くすることができるという刮目すべき知見を得、前記技術的課題を達成したものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【０００９】
即ち、本発明に係る人形の関節構造は、中空状に形成された一対の外装部材と両外装部材の間に位置付けられる中空状に形成された関節部材とが各部材の中空部に通された弾性体によって互いに牽引されることによって屈曲できるように連結されている人形の関節構造であって、いずれか一方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面を先端に達するまで切り欠いてなる切欠部が形成されており、関節部材から一方の外装部材の先端部に形成された切欠部を塞ぐように干渉緩和片が伸びており、関節を所定角度以上屈曲させない状態において干渉緩和片の表面が一方の外装部材の先端部における外装面の一部となっており、関節を所定角度以上屈曲させた状態において他方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面が干渉緩和片と干渉して干渉緩和片の表面が一方の外装部材の内方へと沈み込むことで切欠部に窪みが形成されて該窪みに他方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面が嵌り込むものである。
【００１０】
また、本発明は、前記人形の関節構造において、切欠部に嵌め込まれた干渉緩和片が切欠部に対して着脱可能に噛み合っているものである。
【００１１】
また、本発明に係る人形は、前記いずれかの関節構造を備えたものである。
【発明の効果】
【００１２】
本発明によれば、関節部材から一方の外装部材の先端部に形成された切欠部を塞ぐように干渉緩和片を伸ばし、この干渉緩和片が、関節を所定角度以上屈曲させない状態において一方の外装部材の先端部における外装面の一部となり、関節を所定角度以上屈曲させた状態において一方の外装部材の内方へと沈み込むようにしたので、関節の屈曲角度を深くした際に外装部材の屈曲方向側に必然的に形成される窪みを干渉緩和片の揺動によって必要に応じて開閉することができ、これにより、関節の伸展・屈曲いずれの状態においても美しい外観が維持される。
【００１３】
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【００１５】
実施の形態１．
【００１６】
図１は本実施の形態に係る関節構造を備えた人形である。図２は本実施の形態に係る人形の肘関節構造を示した分解斜視図である。図３は図２に示す肘関節部材の反対側を示した斜視図である。図４は図２に示す人形の肘関節構造の動作を示した側面図である。図５は図２に示す人形の肘関節構造の動作を示した縦断面図である。これらの図において、１は、人形の頭を構成する頭部材２と、人形の胴体を構成する三分割された胴体部材３と、人形の腕を構成する腕部材４と、人形の脚を構成する脚部材５とからなる人形である。頭部材２は、空洞状である。胴体部材３は、人形の胸を構成する胸部材６と、人形の腹を構成する腹部材７と、人形の腰を構成する腰部材８とからなっている。腕部材４は、人形の上腕を構成する上腕部材９（他方の外装部材）と、人形の肘関節を構成する肘関節部材１０（関節部材）と、人形の前腕を構成する前腕部材１１（一方の外装部材）と、人形の手首関節を構成する手首関節部材１２と、人形の手を構成する手部材１３とからなっている。脚部材５は、人形の大腿を構成する大腿部材１４と、人形の下腿を構成する下腿部材１５と、人形の足首関節を構成する足首関節部材１６と、人形の足を構成する足部材１７とからなっており、大腿部材１４は、股関節付近にて二分割されている。そして、手部材１３及び足部材１７以外の各部材は、隣接する部材に向かって開口する中空状に形成されており、左・右腕部材４，４は、左手部材１３に設けられた掛け具１８に引っ掛けられたＳ字状連結具１９に一端が固定された腕用弾性体２０の他端を左腕部材４を構成する各部材の中空部に通し、胸部材６を介して右腕部材４を構成する各部材の中空部に通した後、右手部材１３に設けられた掛け具１８に引っ掛けられたＳ字状連結具１９に固定することによって牽引状態で連結されている。また、頭部材２、胴体部材３及び左・右脚部材５，５は、頭部材２に設けられた掛け具２１に引っ掛けられたＳ字状連結具２２に一端が固定された一対の脚用弾性体２３，２３の他端を胴体部材３を構成する各部材の中空部を通し、左・右脚部材５，５を構成する各部材の中空部を通した後、左・右足部材１７，１７に設けられた掛け具２４，２４に引っ掛けられたＳ字状連結具２５，２５に固定することによって牽引状態で連結されている。
【００１７】
そして、本実施の形態に係る人形の肘関節構造は、上腕部材９の先端部２６と前腕部材１１の先端部２７とが両部材９，１１の間に位置付けられる肘関節部材１０と接合しており、上腕部材９の先端部２６と肘関節部材１０との摺動によって屈曲できるように連結されている。
【００１８】
上腕部材９の先端部２６には、先端面２８を長手方向に切り欠いてなる球面凹部２９が形成されており、球面凹部２９は天面において中空部３０と連通している。そして、球面凹部２９の開口縁３１は、膝関節の屈曲方向側に位置する後側縁部３２から膝関節の伸展方向側に位置する前側縁部３３に向かって傾斜したリング状に形成されている。
【００１９】
前腕部材１１の先端部２７には、肘関節の屈曲方向側に位置する外装面３４を他の外装面３５を残した状態で先端面３６に達するように切り欠いてなる切欠部３７が形成されており、切欠部３７は底面において中空部３８と連通している。そして、切欠部３７の開口縁３９は、肘関節の伸展方向側に位置するU字状前側縁部４０と、U字状前側縁部４０よりも深く抉られた肘関節の屈曲方向側に位置するＵ字状後側縁部４１とによって烏口型二股状に形成されている。
【００２０】
肘関節部材１０は、上腕部材９の球面凹部２９に対して摺動可能に嵌め込まれる球体部４２と、球体部４２から突出して前腕部材１１の切欠部３７を塞ぐように嵌め込まれる干渉緩和片４３とから構成されている。球体部４２には、肘関節を伸展・屈曲させた際に上腕部材９の中空部３０と対向するライン上を走るように形成されたスリット溝４４が干渉緩和片４３へと貫通して中空部４５となっており、また、干渉緩和片４３の付け根に当たる両側面に前腕部材１１の烏口型二股縁部４６，４６と接合する段差４７が形成されている。干渉緩和片４３は、前腕部材１１のＵ字状後側縁部４１と合致して前腕部材１１の外装面３４の役割を果たす外装部４８と、スリット溝４４と連通するガイド溝４９を挟んで伸びる内装部５０（図３参照）とから構成されており、また、開口嘴状に伸びる外装部４８の先端と内装部５０の先端とによって掛止溝５１が形成されている。
【００２１】
本実施の形態に係る人形の肘関節構造を構成する各部材を組み立てる場合には、先ず、上腕部材９の球面凹部２９に肘関節部材１０の球体部４２を嵌め込む。続いて、前腕部材１１のＵ字状後側縁部４１に肘関節部材１０の干渉緩和片４３における外装部４８を合致させると共に、前腕部材１１の烏口型二股縁部４６，４６を肘関節部材１０の球体部４２に形成された段差４７に接合させる。そして、上腕部材９の前側縁部３３を前腕部材１１のＵ字状前側縁部４０に接触させることで各部材９，１０，１１の中空部３０，３８，４５を直線状に連通させ、この連通した中空部３０，３８，４５に腕用弾性体２０を通して各部材９，１０，１１を互いに牽引して連結する。
【００２２】
次に、本実施の形態に係る人形の肘関節構造の動きを説明する。
【００２３】
肘関節の伸展状態においては、図５の（ａ）に示すように、肘関節部材１０の球体部４２を上腕部材９の球面凹部２９に対して摺動可能で嵌め込み、また、肘関節部材１０の干渉緩和片２３における外装部４８を前腕部材１１の切欠部３７におけるＵ字状後側縁部４１に合致させ、干渉緩和片４３の掛止溝５１をＵ字状後側縁部４１と噛み合わせると共に、肘関節部材１０の球体部４２における段差４７に前腕部材１１の烏口型二股縁部４６，４６を接合させる。これにより、Ｕ字状後側縁部４１に噛み合わされた干渉緩和片４３の外装部４８の表面が前腕部材１１の外装面３４に一致する。そして、上腕部材９の前側縁部３３を前腕部材１１のＵ字状前側縁部４０に接触させることで各部材９，１０，１１が伸展する。
【００２４】
肘関節を屈曲させると、図４に示すように、前腕部材１１は肘関節部材１０の球体部４２を回転軸として上腕部材９に対して回転する。
【００２５】
そして、肘関節を所定角度まで屈曲させると、図５の（ｂ）に示すように、上腕部材９の後側縁部３２が肘関節部材１０の干渉緩和片４３における外装部４８の表面と干渉し始める。そして、膝関節を所定角度以上に屈曲させると、図５の（ｃ）に示すように、上腕部材９の後側縁部３２によって肘関節部材１０の回転が規制されることにより、脚用弾性体２０の牽引によって維持されていた干渉緩和片４３の掛止溝５１と前腕部材１１のＵ字状後側縁部４１との噛み合わせが外れて前腕部材１１が烏口型二股縁部４６，４６を回転軸として回転する（図４参照）。これにより、干渉緩和片４３の内装部５０が切欠部３７の内面に接触する位置まで干渉緩和片４３が切欠部３７の内方へと沈み込み、切欠部３７に窪みが形成される。そして、当該窪みに上腕部材９の後側縁部３２が嵌り込んだ状態となる。
【００２６】
なお、肘関節の屈曲角度が増すに連れて干渉緩和片４３の内装部５０に形成されたガイド溝４９に腕用弾性体２０が入り込むことにより、各部材９，１０，１１に対して腕用弾性体２０による余計な牽引力が制御されている。
【００２７】
実施の形態２．
【００２８】
本実施の形態は前記実施の形態における前腕部材及び肘関節部材の変形例である。図６は本実施の形態に係る前腕部材と肘関節部材の連結構造を示した分解斜視図である。この図において、図１〜図４と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【００２９】
図６に示すように、本実施の形態においては、前腕部材１１における切欠部３７のＵ字状後側縁部４１に複数の丸形凹部５２が形成されており、肘関節部材１０における干渉緩和片４３の周面に複数の丸形凸部５３が形成されている。そして、肘関節部材１０は、干渉緩和片４３の周面を切欠部３７のＵ字状後側縁部４１に嵌め込んで丸形凸部５３と丸形凹部５２を噛み合わせた状態として切欠部３７の両側に位置する外装面３５に架け渡された軸ピン５４によって前腕部材１１に対して回転可能に固定される。
【００３０】
前記各実施の形態においては、肘関節に対して本発明に係る人形の関節構造を適用しているが、肘関節に限らず、膝、肩、手首、足首、股など他の関節に適用するこもできる。
【００３１】
また、本発明に係る人形の態様は、前記実施の形態１に係る人形の態様に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【００３２】
【図１】実施の形態１に係る関節構造を備えた人形である。
【図２】実施の形態１に係る人形の肘関節構造を示した分解斜視図である。
【図３】図２に示す肘関節部材の反対側を示した斜視図である。
【図４】図２に示す人形の肘関節構造の動作を示した側面図である。
【図５】図２に示す人形の肘関節構造の動作を示した縦断面図である。
【図６】実施の形態２に係る前腕部材と肘関節部材の連結構造を示した分解斜視図である。
【符号の説明】
【００３３】
１ 人形
２ 頭部材
３ 胴体部材
４ 腕部材
５ 脚部材
６ 胸部材
７ 腹部材
８ 腰部材
９ 上腕部材
１０ 肘関節部材
１１ 前腕部材
１２ 手首関節部材
１３ 手部材
１４ 大腿部材
１５ 下腿部材
１６ 足首関節部材
１７ 足部材
１８，２１，２４ 掛け具
１９，２２，２５ Ｓ字状連結具
２０ 腕用弾性体
２３ 脚用弾性体
２６，２７ 先端部
２８ 先端面
３０ 中空部
３１ 開口縁
３２ 後側縁部
３３ 前側縁部
３４ 外装面
３５ 外装面
３６ 先端面
３７ 切欠部
３８ 中空部
３９ 開口縁
４０ Ｕ字状前側縁部
４１ Ｕ字状後側縁部
４２ 球体部
４３ 干渉緩和片
４４ スリット溝
４５ 中空部
４６ 烏口型二股縁部
４７ 段差
４８ 外装部
４９ ガイド溝
５０ 内装部
５１ 掛止溝
５２ 丸形凹部
５３ 丸形凸部
５４ 軸ピン
【特許請求の範囲】
【請求項１】
中空状に形成された一対の外装部材と両外装部材の間に位置付けられる中空状に形成された関節部材とが各部材の中空部に通された弾性体によって互いに牽引されることによって屈曲できるように連結されている人形の関節構造であって、いずれか一方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面を先端に達するまで切り欠いてなる切欠部が形成されており、関節部材から一方の外装部材の先端部に形成された切欠部を塞ぐように干渉緩和片が伸びており、関節を所定角度以上屈曲させない状態において干渉緩和片の表面が一方の外装部材の先端部における外装面の一部となっており、関節を所定角度以上屈曲させた状態において他方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面が干渉緩和片と干渉して干渉緩和片の表面が一方の外装部材の内方へと沈み込むことで切欠部に窪みが形成されて該窪みに他方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面が嵌り込むことを特徴とする人形の関節構造。
【請求項２】
切欠部に嵌め込まれた干渉緩和片が切欠部に対して着脱可能に噛み合っている請求項１記載の人形の関節構造。
【請求項３】
請求項１又は２のいずれかに記載の関節構造を備えた人形。
【請求項１】
中空状に形成された一対の外装部材と両外装部材の間に位置付けられる中空状に形成された関節部材とが各部材の中空部に通された弾性体によって互いに牽引されることによって屈曲できるように連結されている人形の関節構造であって、いずれか一方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面を先端に達するまで切り欠いてなる切欠部が形成されており、関節部材から一方の外装部材の先端部に形成された切欠部を塞ぐように干渉緩和片が伸びており、関節を所定角度以上屈曲させない状態において干渉緩和片の表面が一方の外装部材の先端部における外装面の一部となっており、関節を所定角度以上屈曲させた状態において他方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面が干渉緩和片と干渉して干渉緩和片の表面が一方の外装部材の内方へと沈み込むことで切欠部に窪みが形成されて該窪みに他方の外装部材の先端部における関節の屈曲方向側に位置する外装面が嵌り込むことを特徴とする人形の関節構造。
【請求項２】
切欠部に嵌め込まれた干渉緩和片が切欠部に対して着脱可能に噛み合っている請求項１記載の人形の関節構造。
【請求項３】
請求項１又は２のいずれかに記載の関節構造を備えた人形。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００８−２５９７７１（Ｐ２００８−２５９７７１Ａ）
【公開日】平成２０年１０月３０日（２００８．１０．３０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１０６５０４（Ｐ２００７−１０６５０４）
【出願日】平成１９年４月１３日（２００７．４．１３）
【出願人】（３９９１１０３６２）株式会社ボークス (14)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１０月３０日（２００８．１０．３０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年４月１３日（２００７．４．１３）
【出願人】（３９９１１０３６２）株式会社ボークス (14)
【Ｆターム（参考）】
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