説明

人形吊り下げ玩具

【課題】美感を維持しつつ、駆動機構への糸の絡まりを抑制する。
【解決手段】人形吊り下げ玩具であって、人形を収納するための容器と、容器のフタと、人形を吊り下げるために人形にその一端が結合された複数の吊り下げ部材と、複数の吊り下げ部材の少なくとも1つを駆動する、フタの内部に設けられた駆動機構とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、容器に収納された操り人形などの人形吊り下げ玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、あやつり人形をソレノイドやオルゴールによって駆動することが提案されている(特許文献1〜3)。
【0003】
特許文献1によれば、3つのソレノイドによって3本のあやつり糸を引き上げたり、引き下げたりすることで、人骨形のあやつり人形を揺動させることが提案されている。
【0004】
特許文献2によれば、マイクに入力された音やステレオから端子入力された音を増幅し、増幅された電圧の変化によってソレノイドを駆動することで、音が入力される限り、あやつり人形を踊らせつづけることが提案されている(出願当初明細書第2頁)。このあやつり人形は、人形支持具11から垂れ下がった吊り糸12によって吊られている。人形支持具11は動作補償用スプリング10によって吊られており、これにより人形が左右に大きく動き、手を叩いたりするという。
【0005】
特許文献3によれば、容器内に収納された人形の右手、頭部及び左手に結合された吊下紐をオルゴールによって揺動させることが記載されている。
【特許文献1】特開昭46−24838号公報
【特許文献2】実開昭54−17390号公報
【特許文献3】実用新案登録第3110565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のあやつり人形では、あやつり糸が本体や吊り糸に絡まってしまいやすい。加えて、特許文献1のあやつり人形では、3つのソレノイドが必要となるため、部品点数が増加してしまう。さらに、ソレノイドなどの駆動機構がむき出しとなっており、美感を損ねている。
【0007】
特許文献2に記載のあやつり人形では、人形の全長に対しあやつり糸や吊り糸の長さが長すぎるため、やはり絡まりやすい。とりわけ、動作補償用スプリングによってあやつり人形の動作が複雑となるため、あやつり糸が本体や吊り糸に絡まってしまいやすい。さらに、ソレノイドやスプリングなどの駆動機構がむき出しとなっており、駆動機構にあやつり糸が絡まる恐れがある。また、駆動機構が複雑なため、いったん糸が絡まると、解くのが困難となりやすい。なお、駆動機構がむき出しとなっているため、美感も損ねている。また、音が入力されつづける限り稼働するため、無駄に電力が消費されるおそれがある。
【0008】
特許文献3によれば、操り人形の本体と両手があやつり糸に吊られているにすぎず、右足と左足の動きに乏しい。また、オルゴールを含む駆動機構がやはりむき出しになっており、糸が絡まりやすい。とりわけ、オルゴールの歯車などに糸が絡まれば、解くのは極めて困難となろう。もちろん、駆動機構がむき出しとなっているので、美感を損ねている。さらに、右足と左足が容器の底に接地しているため、本体の動作と連動して騒音を生じる恐れがある。
【0009】
そこで、本発明は、このような課題および他の課題のうち、少なくとも1つを解決することを目的とする。なお、他の課題については明細書の全体を通して理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点によれば、
人形吊り下げ玩具であって、
人形を収納するための容器と、
前記容器のフタと、
前記人形を吊り下げるために該人形にその一端が結合された複数の吊り下げ部材と、
前記複数の吊り下げ部材の少なくとも1つを駆動する、前記フタの内部に設けられた駆動機構と
を含むことを特徴とする人形吊り下げ玩具が提供される。
【0011】
本発明の第2の観点によれば、
前記駆動機構は音を検出すると稼働を開始し、所定時間に渡り稼働すると停止し、さらに停止後に所定時間以上にわたりしきい値以上の音が入力されなくなると省電力モードに移行する制御手段を含み、
さらに、前記複数の吊り下げ部材の長さは、少なくとも前記駆動機構が停止した状態において前記人形の両足が前記ビン型容器の底から離間するような長さに設定されていることを特徴とする人形吊り下げ玩具が提供される。
【0012】
本発明の第3の観点によれば、
前記複数の吊り下げ部材は、
前記人形の右手を吊り下げる第1糸と、
前記人形の左手を吊り下げる第2糸と、
前記人形の右足を吊り下げる第3糸と、
前記人形の左足を吊り下げる第4糸と
を含み、
前記第3糸及び前記第4糸は前記人形の本体正面に対して前記第1糸及び前記第2糸よりも前方に位置していることを特徴とする記載の人形吊り下げ玩具が提供される。
【0013】
本発明の第4の観点によれば、
前記駆動機構は、
前記第1糸がその一端に係止され、前記第2糸がその他端に係止された第1シーソー部材と、
前記第3糸がその一端に係止され、前記第4糸がその他端に係止された第2シーソー部材と、
前記第1シーソー部材を駆動する駆動手段と、
前記第1シーソー部材の動きを前記第2シーソー部材へ伝達するとともに、前記第2シーソー部材の動きの方向を前記第1シーソー部材の動きの方向と異ならしめる動き変換手段と
を含むことを特徴とする人形吊り下げ玩具が提供される。
【0014】
本発明の第5の観点によれば、
前記動き変換手段は、
前記第1シーソー部材の回動軸となる第1軸部材と、
前記第1軸部材と平行に設けられ、連結部材によって該第1軸部材と連結され、前記第1シーソー部材がシーソー運動をすることで円弧運動する前記第2軸部材と、
前記第1軸部材と平行に設けられ、前記第2シーソー部材の回動軸となる第3軸部材と
を含み、
前記第2軸部材は前記第2シーソー部材と係合しており、該第2軸部材が円弧運動することで、前記第2シーソー部材が前記第3軸部材を中心としてシーソー運動をすることを特徴とする人形吊り下げ玩具が提供される。
【0015】
本発明の第6の観点によれば、
前記第1糸及び前記第2糸はそれぞれ、前記第1シーソー部材から取り外し可能な係止部材を介して、該第1シーソー部材に係止されていることを特徴とする人形吊り下げ玩具が提供される。
【0016】
本発明の第7の観点によれば、
前記第3糸及び前記第4糸はそれぞれ、前記第2シーソー部材から取り外し可能な係止部材を介して、該第2シーソー部材に係止されていることを特徴とする人形吊り下げ玩具が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の観点によれば、容器のフタの内部に人形を駆動するための駆動機構を設けているため、美感を維持しつつ、駆動機構への糸の絡まりを抑制することができる。また、あやつり糸が人形などに絡まったとしても、フタを容器から外すことで、絡まった糸を解きやすくなろう。
【0018】
本発明の第2の観点によれば、音を検出して人形を稼働させる場合であっても、電力の節約を達成しやすくなる。人形の両足が容器の底に接触しやすい場合、稼働停止後の待機状態において不慮の振動が発生すると、両足が容器の底を打って騒音が発生する。騒音が発生すると、人形が稼働しつづけてしまう。よって、人形の両足が容器の底に接触しにくい構造を採用することで、人形が稼働しつづけてしまうような事態を抑制できよう。
【0019】
本発明の第3の観点によれば、両手両足を吊るために複数の糸を用いたとしても、両手を吊る糸と両足を吊る糸が空間的に隔てられているため、これらの糸が絡まりにくくなっている。
【0020】
本発明の第4の観点によれば、第1シーソー部材の動きを第2シーソー部材に伝達できるため、モーターやソレノイドなどの駆動手段を1つにできる。また、駆動機構が小さくなり、容器のフタの内部に駆動機構を内蔵しやすくなる。さらに、第2シーソー部材の動きの方向を第1シーソー部材の動きの方向と異ならしめることができる。よって、単純な機構にもかかわらず、人形に複雑な動きを与えることができる。
【0021】
本発明の第5の観点によれば、比較的に簡単な構成により、動き変換手段を実現できるため、壊れにくく、しかも製造コストにおいて有利な玩具を提供できる。
【0022】
本発明の第6、第7の観点によれば、シーソー部材から取り外し可能な係止部材を介して、各糸がシーソー部材に係止されている。よって、糸が絡まりあっても、係止部材を取り外すことで、糸の絡まりを解きやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、実施形態に係る人形吊り下げ玩具の外観を示す正面図である。容器1は、人形を収納するためのビン型容器であり、透光性を有している。すなわち、容器1は、ビン(瓶)型形状を有している。なお、ビン型形状とは、略円筒形状で、一端が閉塞されている形状をいう。通常、容器において閉塞されている端部は「底」と呼ばれる。そして、開口している他端は「口」と呼ばれる。なお、容器1は透光性を有しているため、容器1の内部に収容される人形を外部から見ることができる。
【0024】
容器1の口には、フタ2が着脱可能に設けられている。フタ2にはテーパー形状が施されていてもよい。さらに、容器1の口の内面と接触する面には、ゴムなどの弾力性のある素材が設けられていてもよい。これは、フタ2の着脱を容易にしつつ、不慮の取り外れを抑制するためである。
【0025】
あやつり人形の本体は、胴体3と頭部4とから構成されている。胴体3、頭部4、右手5、左手6、右足7及び左足8は、例えば、ABS樹脂などにより構成される。胴体3と右手5を結ぶ右腕9、胴体3と左手6を結ぶ左腕10、胴体3と右足7を結ぶ右脚11、及び、胴体3と左足8を結ぶ左脚12は、例えば、ポリアミド系合成繊維(例:ナイロン(登録商標))などの糸により形成される。
【0026】
右手5は、あやつり糸15の一端に結合されている。あやつり糸15は、人形の右手を吊り下げる第1糸の一例である。このあやつり糸15の他端は、後述する円筒部材を介して第1シーソーの一端に結合されている。
【0027】
左手6は、あやつり糸16の一端に結合されている。あやつり糸16は、人形の左手を吊り下げる第2糸の一例である。あやつり糸16の他端は、後述する円筒部材を介して第1シーソーの他端に結合されている。あやつり糸15、16は、人形を吊り下げるために、人形にその一端が結合された複数の吊り下げ部材の一例でもある。
【0028】
右足7は、あやつり糸17の一端に結合されている。あやつり糸17は、人形の右足を吊り下げる第3糸の一例である。あやつり糸17の他端は、後述する円筒部材を介して第2シーソーの一端に結合されている。左足8は、あやつり糸18の一端に結合されている。あやつり糸18は、人形の左足を吊り下げる第4糸の一例である。あやつり糸18の他端は、後述する円筒部材を介して第2シーソーの他端に結合されている。
【0029】
あやつり糸17、18は、それぞれ足のつま先又は甲の前方よりに結合されることが望ましい。これによって、あやつり糸17、18を、手を吊るためのあやつり糸15、16よりも前方に配置させることができる。すなわち、これらを空間的に離間させることで、あやつり糸同士の絡まりを抑制することができる。
【0030】
なお、頭部4は、吊り糸19によってフタ2に結合されている。あやつり糸17、18及び吊り糸19は、人形を吊り下げるために人形にその一端が結合された複数の吊り下げ部材の一例でもある。
【0031】
あやつり糸15〜18は、フタ2の内部に設けられた駆動機構によって駆動されるが、吊り糸19は駆動されない。ただし、吊り糸19が駆動機構によって駆動されるあやつり糸に変更されてもよい。
【0032】
図2は、実施形態に係る人形吊り下げ玩具の外観を示す左側面図である。上述したように、あやつり糸17、18は、人形の本体正面に対してあやつり糸15、16よりも前方に位置している。これは、あやつり糸の絡まりを抑制するためである。
【0033】
また、図2によれば、両足とも容器1の底から離間している。この離間状態は少なくとも駆動機構が停止した状態において維持されるよう、あやつり糸17、18の長さが設定されている。なお、離間状態は、右足7及び左足8が駆動されるときにも維持されるよう、あやつり糸17、18の長さが設定されてもよい。これらによって、不慮に右足7及び左足8が底に接触して発生しうる、誤動作の原因となる騒音を抑制できる。
【0034】
図1及び図2によれば、右足7及び左足8の甲にはそれぞれ球形のおもりが設けられている。これは、あやつり糸を上方に引っ張ったときに、右足7及び左足8の各つま先が上方に向かないようにするためである。
【0035】
図3は、実施形態に係るフタの内部を示した図である。フタ2は、上部と下部30に2分割される。下部30の内部には、第1シーソー31と、第2シーソー32が軸支されている。第1シーソー31の一端はあやつり糸15が係止されており、第1シーソー31の他端はあやつり糸16が係止されている。第2シーソー32の一端はあやつり糸17が係止されており、第2シーソー32の他端はあやつり糸18が係止されている。
【0036】
図4は、実施形態に係る第1シーソー(表面)を示した図である。第1シーソー31は、回動軸34が嵌挿されるように構成されており、この回動軸34を中心としてシーソー運動をする。回動軸34は、第1シーソー部材の回動軸となる第1軸部材の一例である。
【0037】
第1シーソー31の両腕の各先端には係止部39、33が設けられている。係止部39、33には、それぞれ後述する略円筒形状の係止部材が係止される。ちなみに、係止部39には、あやつり糸15が係止される。係止部33には、あやつり糸16が係止される。
【0038】
第1シーソー31には、2つの磁石36、37が設けられている。図2において見えている側にある、磁石36、37の各磁極は異なっている。第1シーソー31がフタ2に搭載されたときに、磁石36、37に対向する側には駆動手段としてのソレノイドが配置される。ソレノイドに流される電流の方向を切り替えることで、ソレノイドが発する磁界の向きが変化する。これが、第1シーソー31の駆動力となる。磁石36、37は、例えば、永久磁石であるが、ソレノイドなどの電磁石であってもよい。また、磁石36、37の一方を鉄などの強磁性体とし、他方を省略してもよい。
【0039】
図5は、実施形態に係る第1シーソー(裏面)を示した図である。回動軸34の下方には、回動軸34と平行にピン35が設けられている。また、ピン35は、連結部材38によって回動軸34に連結されている。第1シーソー31がシーソー運動すると、このピン35は、回動軸34を中心として円弧運動をする。このピン35は、第2シーソー32に駆動力を伝達する役割を果たす。このように、ピン35は、第1軸部材と平行に設けられ、連結部材によって第1軸部材と連結され、かつ、第1シーソー部材がシーソー運動をすることで円弧運動する第2軸部材の一例である。
【0040】
図6は、実施形態に係る第2シーソーを示した図である。第2シーソー32は、回動軸41が嵌挿されている。回動軸41は、回動軸34やピン35に対して平行に設けられている。第2シーソー32は、この回動軸41を中心としてシーソー運動する。よって、回動軸41は、第1軸部材と平行に設けられ、第2シーソー部材の回動軸となる第3軸部材の一例である。
【0041】
第2シーソー32の上部には、上述のピン35を受け入れるための従節43、44が設けられている。2つの従節43、44との間に設けられたU字形の溝部45にピン35が係合するようになっている。このように、第2軸部材(ピン35)は第2シーソー部材(第2シーソー32)と係合しているため、第2軸部材が円弧運動すると第2シーソー部材が第3軸部材(回動軸41)を中心としてシーソー運動をする。
【0042】
図7は、実施形態に係る第1シーソーと第2シーソーとの連携した動きを説明するための図である。図からわかるように、第1シーソー31の動きの方向と第2シーソー32の動きの方向は異なっている。すなわち、第1シーソー31が右肩上がり(左肩下がり)になれば、第2シーソー32が右肩下がり(左肩上がり)になる。反対に、第2シーソー32が右肩上がりになれば、第1シーソー31が右肩下がりになる。これは、回動軸34、41はそれぞれフタの軸受に軸支されているため、第1シーソー31の動きに連動してピン35が左右に円弧状に動けば、係合部となる溝部45を介して第2シーソー32が反対方向に動く。
【0043】
このように、回動軸34、ピン35、連結部材38、回動軸41、従節43、44及び溝部45などの部材は、一種のトグル機構的な動作をする。すなわち、これらの部材は、第1シーソー部材の動きを第2シーソー部材へ伝達するとともに第2シーソー部材の動きの方向を第1シーソー部材の動きの方向と異ならしめる動き変換手段の一例である。
【0044】
図8は、実施形態に係るソレノイドを示す図である。ソレノイド51は、上述した磁石36、37に対向する位置に設けられている。なお、ソレノイド51の略上方には、回動軸34の一端を受けるための軸受52が設けられている。また、回動軸34の他端を受けるための軸受53が、軸受52に対向するように設けられている。
【0045】
図9は、実施形態に係る第2シーソーの回動軸を受ける軸受を示す図である。回動軸41の軸受54、55は軸受53の略下方でフタ2のより内部(中心)側に設けられている。
【0046】
図10は、実施形態に係る第2シーソーのみが搭載された様子を示す図である。第2シーソー32は、第1シーソー31よりも搭載位置が低い。よって、組み立て時には、第2シーソー32が先にフタ2の内部に搭載される。
【0047】
図11は、実施形態に係るあやつり糸の係止部材の一例を示す図である。係止部材61は、ABS樹脂などの柔軟性のある素材により形成されており、略円筒形をしている。係止部材61は、一端から内部に向かって空間が形成されて(溝が掘られて)いる。この空間に、係止部39、32及び42などが係合する。係止部39、32及び42には、ピン状の突部が設けられており、係止部材61のうち側に設けられた凹部に嵌合する。すなわち、係止部は、係止部材によって挟持されている。
【0048】
また、係止部材61はABS樹脂などの柔軟性のある素材により形成されているため、係止部材61は係止部39、32及び42から容易に取り外し可能となっている。なお、係止部材61の一端には、あやつり糸が係止されている。吊り糸19にも同様の係止部材が採用されてもよい。
【0049】
図12は、実施形態に係る第2シーソーに係止部材が係止された様子を示す図である。第2シーソー32の各係止部には係止部材61が嵌合している。なお、第1シーソー31に関しても同様に各係止部には係止部材61が嵌合している。
【0050】
図13は、実施形態に係るあやつり糸を挿通するための4つの穴部を示している。穴部71ないし74は、それぞれあやつり糸15ないし18を挿通するためにフタ2の底部に設けられている。
【0051】
図14、15は、実施形態に係る人形が稼働したときの一例を示す図である。上述した第1シーソー31と第2シーソー32とが反対方向に動くため、手の動きと足の動きも反対方向となる。
【0052】
図16は、実施形態に係る制御部の構成例を示したブロック図である。この制御部は、ソレノイド51を除き、フタ2の上部に配置される。コントローラ80は、マイク81によって音を検出すると、ソレノイド51を駆動して駆動機構の稼働を開始させる。コントローラ80は、タイマー85によって駆動機構を所定時間に渡り稼働させたと判定すると、ソレノイド51への通電を停止する。これにより、駆動機構は停止する。さらに停止後に所定時間以上にわたりしきい値以上の音がマイク81から入力されなくなると、コントローラ80は省電力モードに移行する。省電力モードに移行すると、コントローラ80は、再度、電源スイッチ83が操作されるまで音の入力検出を停止する。これにより、電池82を節約できる。メモリ84には、人形の踊りパターンに相当するソレノイド51の駆動パターンが記憶されている。コントローラ80は、複数の駆動パターンから選択したものを用いてソレノイド51を駆動する。
【0053】
図17は、実施形態に係る駆動パターンの一例を示す図である。ここでは4つの駆動パターンA、B、C、Dが示されている。4つの駆動パターンA、B、C、Dが選択される確率は同一であってもよいが、異なってもよい。
【0054】
これらの駆動パターンにおいて、右手・左足又は左手・右足が2回以上連続して上昇することもある。このように連続駆動されるときに手足が上昇したままとなってもよいし、一回駆動するごとに一旦中立に戻ってから再び上昇してもよい。後者のほうが人形の動きがリズミカルになろう。
【0055】
図18は、実施形態に係る制御方法のフローチャートである。ステップS90において、電源スイッチ83がオンにされると、電池82から供給される電力にしたがってコントローラ80が動作を開始する。
【0056】
ステップS91において、コントローラ80は、タイマー85を用いて所定時間を計時し、所定時間が計時される前に音声がマイク81から入力されたか否かを判定する。音声が入力されると、ステップS92に進む。
【0057】
ステップS92において、コントローラ80は、マイク81からの入力される音声の監視を停止する。これは、人形の稼働によって発生する音によって、永久に人形が稼働することを防止するためである。
【0058】
ステップS93において、コントローラ80は、乱数を発生する。発生する乱数の数は、例えば、メモリ84に記憶されている駆動パターンの数に一致している。
【0059】
ステップS94において、コントローラ80は、発生した乱数に対応する駆動パターンをメモリ84から選択して読み出し、読み出した駆動パターンにしたがってソレノイド51を駆動する。
【0060】
ステップS95において、コントローラ80は、ソレノイド51の駆動を終了するか否かを判定する。例えば、タイマー85により駆動開始から所定時間が経過したか否かや、駆動パターンを所定回数繰り返したか否かなどを判定の基準とすることができる。駆動終了となれば、ステップS96に進む。
【0061】
ステップS96において、コントローラ80は、マイク81からの入力される音声の監視を再開する。
【0062】
ステップS97において、コントローラ80は、タイマー85を用いて所定時間を計時し、所定時間が計時される前に音声がマイク81から入力されたか否かを判定する。音声が入力されると、ステップS93に戻る。音声が入力されない場合は、ステップS98に進む。
【0063】
ステップS98において、コントローラ80は、省電力モードの一例であるオートパワーオフを実行する。オートパワーオフが実行されると、再び電源スイッチ83が操作されるまで、電池82の消費が抑えられる。なお、省電力モードとして、完全に電源の供給を断たずに、コントローラ80は、マイク入力の監視を間欠的に実行してもよい。そしても、マイク81に音声が入力されるとステップS92へ移行してもよい。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、駆動機構を容器のフタに内蔵することで、美感を維持しつつ、糸の絡まりを抑制できる。
【0065】
上述した実施形態では、人形を一例として説明したが、人形とは呼べない他の物体が採用されてもよい。また、本実施形態では、コントローラが検出する事象の例として、音を採用したが、音以外の物理事象(例:振動、光、電磁波など)が採用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施形態に係る人形吊り下げ玩具の外観を示す正面図である。
【図2】実施形態に係る人形吊り下げ玩具の外観を示す左側面図である。
【図3】実施形態に係るフタの内部を示した図である。
【図4】実施形態に係る第1シーソー(表面)を示した図である。
【図5】実施形態に係る第1シーソー(裏面)を示した図である。
【図6】実施形態に係る第2シーソーを示した図である。
【図7】実施形態に係る第1シーソーと第2シーソーとの連携した動きを説明するための図である。
【図8】実施形態に係るソレノイドを示す図である。
【図9】実施形態に係る第2シーソーの回動軸を受ける軸受を示す図である。
【図10】実施形態に係る第2シーソーのみが搭載された様子を示す図である。
【図11】実施形態に係るあやつり糸の係止部材の一例を示す図である。
【図12】実施形態に係る第2シーソーに係止部材が係止された様子を示す図である。
【図13】実施形態に係るあやつり糸を挿通するための4つの穴部を示している。
【図14】実施形態に係る人形が稼働したときの一例を示す図である。
【図15】実施形態に係る人形が稼働したときの一例を示す図である。
【図16】実施形態に係る制御部の構成例を示したブロック図である。
【図17】実施形態に係る駆動パターンの一例を示す図である。
【図18】実施形態に係る制御方法のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人形吊り下げ玩具であって、
人形を収納するための容器と、
前記容器のフタと、
前記人形を吊り下げるために該人形にその一端が結合された複数の吊り下げ部材と、
前記複数の吊り下げ部材の少なくとも1つを駆動する、前記フタの内部に設けられた駆動機構と
を含むことを特徴とする人形吊り下げ玩具。
【請求項2】
前記駆動機構は音を検出すると稼働を開始し、所定時間に渡り稼働すると停止し、さらに停止後に所定時間以上にわたりしきい値以上の音が入力されなくなると省電力モードに移行する制御手段を含み、
さらに、前記複数の吊り下げ部材の長さは、少なくとも前記駆動機構が停止した状態において前記人形の両足が前記容器の底から離間するような長さに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の人形吊り下げ玩具。
【請求項3】
前記複数の吊り下げ部材は、
前記人形の右手を吊り下げる第1糸と、
前記人形の左手を吊り下げる第2糸と、
前記人形の右足を吊り下げる第3糸と、
前記人形の左足を吊り下げる第4糸と
を含み、
前記第3糸及び前記第4糸は前記人形の本体正面に対して前記第1糸及び前記第2糸よりも前方に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の人形吊り下げ玩具。
【請求項4】
前記駆動機構は、
前記第1糸がその一端に係止され、前記第2糸がその他端に係止された第1シーソー部材と、
前記第3糸がその一端に係止され、前記第4糸がその他端に係止された第2シーソー部材と、
前記第1シーソー部材を駆動する駆動手段と、
前記第1シーソー部材の動きを前記第2シーソー部材へ伝達するとともに、前記第2シーソー部材の動きの方向を前記第1シーソー部材の動きの方向と異ならしめる動き変換手段と
を含むことを特徴とする請求項3に記載の人形吊り下げ玩具。
【請求項5】
前記動き変換手段は、
前記第1シーソー部材の回動軸となる第1軸部材と、
前記第1軸部材と平行に設けられ、連結部材によって該第1軸部材と連結され、前記第1シーソー部材がシーソー運動をすることで円弧運動する前記第2軸部材と、
前記第1軸部材と平行に設けられ、前記第2シーソー部材の回動軸となる第3軸部材と
を含み、
前記第2軸部材は前記第2シーソー部材と係合しており、該第2軸部材が円弧運動することで、前記第2シーソー部材が前記第3軸部材を中心としてシーソー運動をすることを特徴とする請求項4に記載の人形吊り下げ玩具。
【請求項6】
前記第1糸及び前記第2糸はそれぞれ、前記第1シーソー部材から取り外し可能な係止部材を介して、該第1シーソー部材に係止されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の人形吊り下げ玩具。
【請求項7】
前記第3糸及び前記第4糸はそれぞれ、前記第2シーソー部材から取り外し可能な係止部材を介して、該第2シーソー部材に係止されていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の人形吊り下げ玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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