説明

介護用水洗トイレユニット

【課題】既存の室内に簡便に設置でき、被介護者のプライバシーが保護され、かつ介護者が外側から被介護者の健康状態を把握できる水洗トイレユニットを提供する。
【解決手段】水洗トイレユニット1は、四辺形の底板10に取り付けられた水洗座便器3に、排便者が腰掛けた姿勢で頭部の一部が外側から見える程度の高さの囲い板11で三方が囲われ、残る一方に該囲い板11と同程度の高さの開閉入出扉12を備え、該水洗座便器3の給水口および排水口が、建物床板を通って配管された給水管14および排水管15に結合できるよう配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行等が不自由な人や患者の室内に後付けされる介護用水洗トイレユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、先進国を中心に高齢化が進行している。それに伴い、食事,入浴,排泄等の介護を必要とする被介護者の数が増加している。
【0003】
中でも、排泄は、毎日数回必ず行わなければならない行為である。歩行の不自由な被介護者と介護者は、排泄の度に、ベッドからトイレまで移動する必要があり、大変な労力を使う。また、移動が間に合わず途中で排泄してしまった場合、介護者の負担はいっそう増える。さらに、通常のトイレでは、扉を閉めると介護者は外側から被介護者の状態を把握することができない。排泄中に被介護者の容態が悪くなった場合、介護者はそのことに逸早く気付けない。
【0004】
そのため、トイレまで移動せずに排泄が可能な簡易トイレ(おまる)が広く使用されている。しかし、簡易トイレは、給水管や排水管が備えられていないため、使用後に介護者が排泄物を処理しなければならない。介護者にとって、排泄物の処理は手間がかかり、また臭気による精神的苦痛を伴う。一方、被介護者にとっても、排泄行為は肌を露出するため、精神的苦痛を伴う。両者が身内でない場合、それらの苦痛はさらに大きくなる。
【0005】
特許文献1には、収納庫の一側に設けられた開閉可能な板の内側に便器が備えられ、収納庫に備えられた水洗タンクと便器とが可撓給水管で連結されるとともに、便器と排水導管とが可撓排水管で連結され、収納庫から便器の出し入れが可能な可動床水洗トイレが示されている。しかし、このトイレは、設備が大掛かりであるし、使用の際にトイレを覆う囲いが無いため、被介護者のプライバシーが守られない。
【0006】
【特許文献1】特開平9−201385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、既存の室内に簡便に設置でき、被介護者のプライバシーが保護され、かつ介護者が外側から被介護者の健康状態を把握できる水洗トイレユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された水洗トイレユニットは、四辺形の底板に取り付けられた水洗座便器に、排便者が腰掛けた姿勢で頭部の一部が外側から見える程度の高さの囲い板で三方が囲われ、残る一方に該囲い板と同程度の高さの開閉入出扉を備え、該水洗座便器の給水口および排水口が、建物床板を通って配管された給水管および排水管に結合できるよう配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載された水洗トイレユニットは、請求項1に記載されたもので、該水洗座便器の両側に、便座から囲い板に到るまで、便座の高さと略同等の落下防止板で覆われていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載された水洗トイレユニットは、請求項1、または2に記載されたもので、四辺形の底板の形状が略畳1畳または半畳の大きさより若干小さくなっており、畳1畳または半畳をはがした部屋に適合して設置されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載された水洗トイレユニットは、請求項1,2,または3に記載されたもので、該開閉入出扉を該水洗座便器の正面側に備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水洗トイレユニットは、給水口及び排水口を建物内の給水管及び排水管にそれぞれ結合するだけで、既存の室内に簡便に設置される。
【0013】
また、便座が囲い板及び開閉入出扉で囲われているので、排便中の被介護者のプライバシーが保護される。また、囲い板及び開閉入出扉は、排便者が腰掛けた姿勢で頭部の一部が外側から見える程度の高さである。したがって、介護者は排便中の被介護者の健康状態を把握することができる。
【発明を実施するための好ましい形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0015】
本発明を適用するトイレユニットの一実施態様が図1に示してある。
【0016】
トイレユニット1は、被介護者の寝室に設置されている。トイレユニット1は、主に、水洗座便器3,手洗器6,底板10,囲い板11及び開閉入出扉12からなる。トイレユニット1は、四角形の底板10上に水洗座便器3が備えられている。
【0017】
水洗座便器3は、周囲を囲い板11及び開閉入出扉12で囲われている。また、水洗座便器3は、給水口及び排水口を備えており、給水管14及び排水管15と連結されている。囲い板11の内側には、手摺9が備えられている。また、囲い板11の外側には手洗器6が備えられている。手洗器6は、やはり給水管14及び排水管15と連結されている。
【0018】
本発明を適用するトイレユニットは以下のように設置される。
【0019】
トイレユニット1を室内の床板に置く。床下を開け、給水口及び排水口に建物内の給水管14及び排水管15をそれぞれ結合させる。これにより、トイレユニット1を簡便に設置することができる。
【0020】
本発明を適用するトイレユニットは以下のように使用される。
【0021】
介護者は、開閉入出扉12を開く。被介護者は、介護者に連れ添われトイレユニット1内に入り、便座4に腰掛ける。介護者は、開閉入出扉12を閉める。囲い板11及び開閉入出扉12が便座4を十分に囲っているので、排泄中、被介護者は介護者から陰部を見られる心配が無い。一方、トイレユニット1の外側にいる介護者は、被介護者の頭部が見えることから、被介護者の健康状態を確認できる。したがって、万一被介護者の容態が悪くなっても、介護者は迅速に対応することができる。
【0022】
図2に本発明を適用する別なトイレユニットを示す。トイレユニット1は、便座4と囲い板11との両側の隙間に落下防止板17が架け渡されている。したがって、被介護者が便座4に腰掛ける際、誤って隙間に落下し挟まることが無い。また、落下防止板17は便器方向に勾配が設けられている。そのため、被介護者が便器の外で排泄をしてしまっても、排泄物を簡便に洗い流すことができる。
【0023】
本発明のトイレユニットは洋室にも和室にも使用できる。和室に使用する場合は、畳を外してトイレユニットを設置する。トイレユニットの底板が畳一畳又は半畳の大きさより若干小さいと、位置合わせがしやすく、また底板と建物の床との段差も減るため、好ましい。
【0024】
該開閉入出扉が該水洗座便器の正面側に備えられていると、被介護者の出入りがしやすいため、好ましい。
【0025】
また、底板に排水溝が設けられ、排水管と連結されていてもよい。これにより、被介護者が底板上で排泄をしてしまっても、排泄物を簡便に洗い流すことができる。
【0026】
また、トイレユニットの上部に換気扇を設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を適用する水洗トイレユニットの一実施態様を示す図である。
【図2】本発明を適用する別な水洗トイレユニットを示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1はトイレユニット、3は水洗座便器、4は便座、6は手洗器、9は手摺、10は底板、11は囲い板、12は開閉入出扉、14は給水管、15は排水管、17は落下防止板、20はベッドである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四辺形の底板に取り付けられた水洗座便器に、排便者が腰掛けた姿勢で頭部の一部が外側から見える程度の高さの囲い板で三方が囲われ、残る一方に該囲い板と同程度の高さの開閉入出扉を備え、該水洗座便器の給水口および排水口が、建物床板を通って配管された給水管および排水管に結合できるよう配置されていることを特徴とする水洗トイレユニット。
【請求項2】
該水洗座便器の両側に、便座から囲い板に到るまで、便座の高さと略同等の落下防止板で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の水洗トイレユニット。
【請求項3】
四辺形の底板の形状が略畳1畳または半畳の大きさより若干小さくなっており、畳1畳または半畳をはがした部屋に適合して設置されることを特徴とする請求項1、または2に記載の水洗トイレユニット。
【請求項4】
該開閉入出扉を該水洗座便器の正面側に備えていることを特徴とする請求項1、2、または3に記載の水洗トイレユニット。

【図1】
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【図2】
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