説明

仕上げられた繊維および編織布構造物

本発明は、(a)疎水性活性成分と、(b)皮膜形成ポリマーとから構成される混合物によって仕上げられていることを特徴とする、繊維および編織布構造物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に繊維製品分野に関し、とりわけ改善された着用快適さを備えた新規な仕上げ繊維および編織布、その製造方法、並びに仕上げ編織布用の活性成分と結合剤の混合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
「着用快適性」という用語は、特に、肌着類またはパンティーストッキングのような肌に直接着ける衣類が快適であること、即ち皮膚を刺激したり赤くしたりしないことに対する、もはや容易に満足しない消費者サイドの期待の高まりを意味する。一方、消費者は、そのような衣類が、疲労の兆候を克服するのを助けることおよびさわやかな香りを付与することあるいは肌荒れを防止することにおいて、皮膚の状態にプラスの作用を有することも期待している。したがって、着用中に皮膚に移動して皮膚に所望の作用を生じる美容活性成分を使用して、編織布、特に婦人用パンティーストッキング(これは、特に魅力的な消費者部門であると考えられる)を仕上げる試みが絶えずなされている。
【0003】
ここで、対応する活性成分が着用物から皮膚に移動する際に所望の作用が現れるにすぎない(即ち、多少とも長期間着用した後は、活性成分が衣類に存在しない)ことは極めて当然なことである。これは、そのような製品の製造会社が活性成分を選択する際に満たすべきいくつかの条件があることを意味する。なぜなら、性能、適用しうる量、特に経費を考慮しつつ、その作用を体験しうる製品および消費者が高くなった価格を支払う気持ちになる製品を得る妥協点を見出さなければならないからである。所望の作用を有する美容活性成分は一般に高価であるため、そして最終製品の仕上げに付加的コストを要するために、完成最終製品と着用者皮膚との接触以外に活性成分の不必要な損失が存在しないことが製造会社にとって特に重要である。なぜなら、そのような損失は消費者が高い代償を払った付加的着用快適性の有効期間をより短くするからである。活性成分の特に好ましくない損失形態は、そのように仕上げた繊維および編織布を洗濯する際に生じる。そのような損失を完全に防止することはできないが、対応する製品の製造会社は、活性成分が容易に溶解されないかまたは機械的に除去されないように、活性成分を繊維に適用することに特に関心を払っている。
【0004】
この課題に対する解決は、繊維フィブリル間にそれ自体が取り込まれ、または結合剤を用いて繊維に付与される、マイクロカプセル封入活性成分の使用にある。対応する系は、例えば、EP 0436729 A1、WO 01/098578 A1、US 6,355,263、DE 23 2318336 A1およびWO 03/093571(Cognis)によって知られている。しかし、マイクロカプセル化には、追加的な複雑さを仕上げ工程にもたらし、当然ながらそのコストを増大させる不都合がある。しかし、さらに深刻な事実は、多くのカプセル型は十分には安定でなく、活性成分の放出が早過ぎ、最悪の場合には付与工程それ自体の間に放出することである。逆に、特に安定なカプセルを特徴とする封入系を代わりに用いる場合には、長期の機械的応力付与後に初めて活性成分を放出し得るため、消費者は所期の健康効果をすぐに享受し得ない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明によって解決すべき課題は、最少努力で活性成分を付与でき、最初の着用の間に開始量を基準にして少なくとも20〜50重量%徐放され、5回の洗浄サイクル後に依然として繊維または編織布上に存在するようにして、繊維および編織布を適当な活性成分で仕上げを行うことであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(a)疎水性活性成分と、
(b)皮膜形成ポリマーと
の混合物によって仕上げられていることを特徴とする、繊維および編織布に関する。
【0007】
活性成分を予めマイクロカプセル化した場合に初めて、ある耐久性を有する繊維および編織布に活性成分を付与し得るという通常の技術的な予想に反して、驚くべきことに、皮膜形成性を有するタイプの高分子結合剤中に該成分を微分散させる場合に、カプセル化せずに疎水性活性成分を付与し得ることを見出した。本発明は、この所謂複合仕上げを通じて、一般に、結合剤および活性成分の性質に応じて、5〜10回の洗浄サイクル後でさえ、最初に付与された活性成分の10〜50重量が繊維上に残るという知見を包含する。また、マイクロカプセル化を行わないことにより、最初の着用の間に活性成分が徐放され、意図する効果を消費者が体験することもできることを確実とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
活性成分
基本的に、活性成分の選択は決定的に重要ではなく、専らその水溶性と皮膚上で達成されるべき効果に依存する。活性成分は、好ましくは、10g/L未満、とりわけ、1g/L未満の20℃での水中溶解度を有する。
保湿性を有し、蜂巣炎を妨げ、および/または皮膚上で鎮静作用を有する疎水性活性成分は、好適である。その代表例は、トコフェロール、カロチン化合物、ステロール、アスコルビン酸パルミテート、(デオキシ)リボ核酸およびその分裂生成物、β-グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、疑似セラミド、キトサン、メントール、整髪油および油成分、精油、植物性タンパク質およびその加水分解生成物、植物抽出物、複合ビタミン剤、防虫剤およびナノ化された無機物質または鉱物およびそれらの混合物である。
【0009】
トコフェロール
トコフェロールは、2位で4,8,12−トリメチルトリデシル基によって置換された、クロマン−6−オール(3,4−ジヒドロ−2H−1ベンゾピラン−6−オール)であると理解される。それらは、バイオキノンとしても知られる。その代表例は、プラスチキノン、トコフェロールキノン、ユビキノン、ボビキノン、Kビタミンおよびメナキノン(例えば2−メチル−1,4−ナフトキノン)である。ビタミンE群に由来するキノン、即ちα−、β−、γ−、δ−およびε−トコフェロール(これらのうち最後のものは当初の不飽和プレニル側鎖を有する、図を参照)は、好ましく用いられる。
【0010】
【化1】

【0011】
トコフェロールキノンおよびヒドロキノンおよびキノンのカルボン酸(例えば酢酸またはパルミチン酸など)によるエステルも、適当である。α-トコフェロール、トコフェロールアセテートおよびトコフェロールパルミテートおよびそれらの混合物を使用することが好ましい。
【0012】
カロチン化合物
カロチン化合物は、本質的には、カロチンおよびカロチノイドであるものと理解される。カロチンは、11x〜12x−不飽和トリテルペンの群である。3つの異性体α−、β−およびγ−カロチンは特に重要であって、これらは、同一の基本骨格が全て同一で9個の共役二重結合、8個のメチル分枝(とり得る環構造を含む)および分枝の片端にβ-イオノン構造を有し、もともと均質な天然材料と考えられていた。成分(b)として適当な多くのカロチン化合物を、全てとは言えないが以下に示す。
【0013】
【化2】

【0014】
【化3】

【0015】
既述の異性体のほかに、δ−、ε−およびζ−カロチン(リコピン)も適当であるが、β−カロチン(プロビタミンA)は広い分布(生物中では2つのレチナール分子へ酵素的に分裂する)を有しているため特に重要である。カロチノイドは、キサントフィルとしても知られ、その基本骨格が8個のイソプレン単位(テトラテルペン)から構成されるカロチンの酸素含有誘導体である。カロチノイドは、2個の中心メチル基が互いに1,6−位にあるような、2個のC20イソプレノピドからなるものと考え得る。その代表例は、(3R,6’R)−β−ε−カロチン−3,3’−ジオール(ルテイン)、(3R,3’S,5’R)−3,3’−ジヒドロキシ−β,κ−カロチン−6−オン(カプサンチン)、9’−シス−6,6’−ジアポカロチン二塩基酸−6’−メチルエステル(ビキシン)、(3S,3’S,5R,5’R)−3,3’−ジヒドロキシ−κ,κ−カロチン−6,6’−ジオン(カプソルビン)または3S,3’S−3,3’−ジヒドロキシ−β,β’−カロチン−4,4’−ジオン(アスタキサンチン)である。本発明におけるカロチン化合物には、カロチンおよびカロチノイドのほかに、例えば、3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−2,4,6,8−ノナテトラエン−1−オール(レチノール、ビタミンA1)および3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−2,4,6,8−ノナテトラエン−1−オール(レチナール、ビタミンA1アルデヒド)などのような分解生成物も含まれる。
【0016】
ステロール
ステロール(ステリンとしても知られる)は、C3原子に結合するヒドロキシル基を有するステロイドである。ステロールは通常、27〜30個の炭素原子および5/6位に二重結合を有する。二重結合の水素化によって、しばしばスタノールと称されるステロールとなり、これも本発明に包含される。図は、最もよく知られたステロールであるコレステロールの構造を示しており、動物ステロールの群に属する。
【0017】
【化4】

【0018】
その優れた生理学的性質のため、植物ステロール、所謂フィトステロールを使用するのが好適である。その具体例には、エルゴステロール、スチグマステロール、とりわけ、シトステロールおよびその水素化生成物、シトスタノールが含まれる。本発明はまた、ステロールエステル、とりわけ6〜26個の炭素原子および6個までの二重結合を含有する飽和または不飽和脂肪酸と上記ステロールの縮合生成物も包含する。
【0019】
キトサン
キトサンは、親水コロイドの群に属するバイオポリマーである。化学的に、これらは、分子量が異なる部分的に脱アセチル化されたキチンであり、該キチンは下記の理想化したモノマー単位を含有する:
【0020】
【化5】

【0021】
生物学的pHにおいて負に帯電している大部分の親水コロイドとは対照的に、キトサンは、この条件下においてカチオン性のバイオポリマーである。正に帯電したキトサンは、反対に帯電した表面と相互作用することができ、従って美容ヘアケアおよびボディケア製品ならびに医薬調製物において使用される。キトサンは、キチン、好ましくは安価な原材料として大量に得られる甲殻類の殻残渣から製造される。Hackmannらによって最初に記載された方法において、一般に、先ず、塩基の添加によってキチンを除タンパク質化し、無機酸の添加によって鉱物質を除去し、最後に、強塩基の添加によって脱アセチルし、分子量を広い範囲で分布させる。好ましい種類は、平均分子量10,000〜500,000ダルトンまたは800,000〜1,200,000ダルトンを有し、および/またはブルックフィールド粘度(グリコール酸中1重量%)5,000mPas未満、脱アセチル度80〜88%および灰分0.3重量%未満を有する。
【0022】
整髪油および油成分
適当な整髪油および油成分は、例えば下記のものである:6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールに基づくゲルベアルコール、直鎖C6-22脂肪酸と直鎖または分枝鎖C6-22脂肪アルコールとのエステルまたは分枝鎖C6-13カルボン酸と直鎖または分枝鎖C6-22脂肪アルコールとのエステル、例えば、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン酸ミリスチル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、ベヘン酸ミリスチル、エルカ酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、ベヘン酸セチル、エルカ酸セチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、ベヘン酸ステアリル、エルカ酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ベヘン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、パルミチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ベヘン酸オレイル、エルカ酸オレイル、ミリスチン酸ベヘニル、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸ベヘニル、オレイン酸ベヘニル、ベヘン酸ベヘニル、エルカ酸ベヘニル、ミリスチン酸エルシル、パルミチン酸エルシル、ステアリン酸エルシル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル、ベヘン酸エルシルおよびエルカ酸エルシル。
【0023】
下記のものも適当である:直鎖C6−22脂肪酸と分枝鎖アルコール(特に2−エチルヘキサノール)とのエステル;C18−38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖または分枝鎖C6−22脂肪アルコールとのエステル(特にリンゴ酸ジオクチル);直鎖および/または分枝鎖脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、二量体ジオールまたは三量体トリオール)および/またはゲルベアルコールとのエステル;C6−10脂肪酸に基づくトリグリセリド;C6−18脂肪酸に基づく液体モノ/ジ/トリグリセリド混合物;C6−22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(特に安息香酸)とのエステル;C2−12ジカルボン酸と、1〜22個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコール、または2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を有するポリオールとのエステル;植物油;分枝鎖第一級アルコール;置換シクロヘキサン;直鎖および分枝鎖C6−22脂肪アルコールカーボネート[例えばジカプリリルカーボネート(Cetiol(登録商標)CC)];6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールに基づくゲルベカーボネート;安息香酸と直鎖および/または分枝鎖C6−22アルコールとのエステル[例えばFinsolv(登録商標)TN];アルキル基あたり6〜22個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の対称または非対称のジアルキルエーテル[例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)];エポキシ化脂肪酸エステルのポリオールによる開環生成物;シリコーン油(シクロメチコーン、シリコンメチコーン型など);および/または脂肪族またはナフテン系炭化水素(例えば、スクアラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサン)。
【0024】
ナノ化した無機材料および鉱物
「ナノ粒子」とは、適当な製造方法を通じて、0.01〜0.1μmの平均粒度を有する粒子であるものと専門家によって理解される。超臨界溶液急速膨張(RESS法)によってナノ粒子を製造するためのかかる一方法は、例えば、「Proceedings World Congress on Particle Technology 3,Brighton,1998」におけるS.Chihlar,M.TuerkおよびK.Schaberの論説により知られている。ナノ粒子が凝集するのを防ぐため、適当な保護コロイドまたは乳化剤の存在下で出発物質を溶解させ、および/または保護コロイドまたは乳化剤の水性および/またはアルコール性溶液中へ、または代わって再溶解した乳化剤および/または保護コロイドを含有してもよい整髪油中へ該臨界溶液を膨張させることが望ましい。適当な保護コロイドは、例えば、ゼラチン、カゼイン、キトサン、アラビアゴム、リサルビン酸(Lysalbinsaeure)、デンプン、およびポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコールおよびポリアクリレートなどのポリマーである。
【0025】
別の適当なナノスケール粒子の製造方法は、蒸発法である。ここでは、キトサンをまず、適当な有機溶媒(例えばアルカン、植物油、エーテル、エステル、ケトン、アセタールなど)中に溶解する。次に、水または別の非溶媒中へ、必要に応じてその中へ溶解させた表面活性化合物の存在下に、溶液を導入すると、2つの非混和性溶媒が均一化することによりナノ粒子は沈殿し、有機溶媒は好適に蒸発する。o/wまたはo/wミクロエマルジョンを水溶液の代わりに使用してもよい。最初に述べた乳化剤および保護コロイドを、表面活性化合物として用いてもよい。
【0026】
ナノ粒子の別の製造方法は、所謂GAS法(ガス貧溶媒再結晶化)である。この方法は、溶解した物質を結晶化するために、高圧縮ガスまたは超臨界流体(例えば二酸化炭素)を非溶媒として用いるものである。出発物質の一次溶液中へ圧縮ガス相を導入してその中に吸収させると、液体の体積が増加し、溶解性が低下して、微粒子が沈殿する。
【0027】
PCA法(圧縮流体貧溶媒による沈殿)は、同様に適当である。この方法では、出発物質の一次溶液を超臨界流体中へ導入し、その結果、非常に微細な液滴が形成し拡散過程が生じて、非常に微細な粒子が沈殿する。
【0028】
PGSS法(ガス飽和溶液からの粒子)では、加圧ガス(例えば二酸化炭素またはプロパン)を導入することにより出発物質を融解させる。温度および圧力は、近臨界または超臨界条件に到達する。ガス相は固体中に溶解し、融解温度、粘度および表面張力を低下させる。ノズルを通過して膨張すると、冷却効果の結果として、非常に微細な粒子が形成される。
【0029】
ナノ粒子の別の製造方法は、GPCまたはPVS法(ガス相凝縮;物理蒸気合成)であり、そこでは、プラズマ蒸発金属を酸素で酸化し、制御凝縮が施される。
【0030】
本発明によると、活性成分はナノ化された酸化亜鉛であることが好ましく、これは通常の酸化亜鉛よりも驚くほど高い神経皮膚炎に対する活性を有する。したがって、本発明はまた、繊維および編織布を仕上げるため、および化粧用および/または医薬用調製物を製造するための、必要に応じてマイクロカプセル化された、ナノ化された酸化亜鉛の使用に関する。酸化亜鉛ナノ粒子は、典型的には0.1〜0.2μmの範囲の平均直径を有する。二酸化チタンおよび他のナノ金属酸化物およびナノ混合酸化物(例えばITOおよびATO)も適当である。
【0031】
最も広い行動プロファイルの観点からは、以下の活性成分:
・トコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、
・β-カロチン、レチノール、
・ホホバ油、
・植物性トリグリセリド、例えばヤシ油、パーム油、杏仁油またはヘーゼルナッツ油、
・精油、
・スクアラン、
・キトサン、
・メントール、
・植物性または動物性(絹)タンパク質およびその加水分解生成物、
・N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド(ディート)、および
・ナノ化された酸化亜鉛または二酸化チタン
を使用するのが特に好適であるが、その理由は、それらが単独または組み合わせて、
【0032】
・皮膚ヒドロリピッド層の平衡に寄与し、
・水分損失、従ってシワを予防し、
・皮膚を生き生きさせ、疲労の兆候を防止し、
・皮膚に柔軟な弾力のある感触を与え、
・皮膚のかわき、栄養分の補給および循環を向上させ、
・酸化ストレス、環境毒素、皮膚の老化およびフリーラジカルに対して作用し、
・水分および日光によって生じる脂肪の損失を補い、
・蜂巣炎を中和し、
・紫外線フィルターの耐水性を向上させ、
・日焼けを加速および長持ちさせ、
・防虫または殺虫し、並びに、最後に
・抗菌性、抗炎症性および抗神経皮膚炎症性を示す
からである。
【0033】
仕上げ繊維および編織布中の活性成分のパーセント含有量は、活性物質で表して、0.1〜10重量%、好ましくは0.25〜7.5重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%の間である。
【0034】
結合剤
本発明の目的に適する高分子の皮膜形成性結合剤は、下記:
・ポリウレタン、
・ポリエチルビニルアセテート、
・高分子メラミン化合物、
・高分子グリオキサル化合物、
・高分子シリコーン化合物、
・エピクロルヒドリン架橋ポリアミドアミン、
・ポリ(メタ)アクリレート、および
・高分子フルオロ炭素
からなる群から選択してよい。
【0035】
ポリウレタンおよびポリ酢酸ビニル
適当なポリウレタン(PU)およびポリエチルビニルアセテート(EVA)は、Cognis Deutschland GmbH & Co. KGから市販されているStabiflex(登録商標)およびStabicryl(登録商標)のシリーズによる市販品である。
【0036】
高分子メラミン化合物
メラミン(同義語:2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン)は、通常は、ジシアノジアミドの三量化によって、または二酸化炭素およびアンモニアの除去による尿素の環化によって製造される。本発明におけるメラミンは、メラミンと、ホルムアルデヒド、尿素、フェノールまたはそれらの混合物とのオリゴマーまたはポリマー縮合生成物であると理解される。
【0037】
高分子グリオキサル化合物
グリオキサル(同義語:オキサアルデヒド、エタンジアール)は、銀触媒の存在下での空気によるエチレングリコールの蒸気相酸化において生成する。本発明におけるグリオキサルとは、グリオキサルの自己縮合生成物(「ポリグリオキサール」)であると理解される。
【0038】
高分子シリコーン化合物
好適なシリコーン化合物は、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーン、およびアミノ-、脂肪酸-、アルコール-、ポリエーテル-、エポキシ、弗素-、グリコシド-および/またはアルキル-改質シリコーン化合物であり、それらは室温で液体および樹脂様の両方であってよい。他の好適なシリコーン化合物は、平均鎖長200〜300のジメチルシロキサン単位を有するジメチコーンと水素化シリケートとの混合物であるシメチコーンである。
アミノシロキサン、例えばCognis Deutschland GmbH & Co. KGによるCognis 3001を使用すると、特に好適である。これをH-シロキサン、例えばCognis Deutschland GmbH & Co. KGによるCognis 3002でさらに架橋すると、結合剤としての性能を一層高めることができる。
【0039】
エピクロルヒドリン架橋ポリアミドアミン
「フィブラボーン」または「湿潤紙力増強用樹脂」としても知られるエピクロロヒドリン架橋ポリアミドアミンは、編織布および製紙工業において周知である。これらは、下記の2つの方法によって製造するのが好ましい:
i)ポリアミノアミドを、(a)先ず、四級化に利用できる窒素に基づいて5〜30モル%の量の四級化剤と反応させ、(b)次に、得られた四級化ポリアミノアミドを、非四級化窒素の含有量に対応するモル量のエピクロロヒドリンで架橋するか、または
ii)ポリアミノアミドを、(a)先ず、架橋に利用できる窒素に基づいて5〜40モル%の量のエピクロロヒドリンと10〜35℃で反応させ、(b)中間生成物をpH8〜11に調節し、全モル比が架橋に利用できる窒素に基づいて90〜125モル%になるように、より多くのエピクロロヒドリンを用いて20〜45℃で架橋する。
【0040】
ポリ(メタ)アクリレート
ポリ(メタ)アクリレートは、アクリル酸、メタクリル酸、および任意にそれらのエステル(特に低級アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、異性体ブタノール、シクロヘキサノールなどとのエステル)の単独重合および共重合生成物であると理解され、それらは既知の方法、例えば紫外線中でのラジカル重合によって得られる。ポリマーの平均分子量は、一般に100〜10,000、好ましくは200〜5,000、特に400〜2,000ダルトンである。
活性物質として表される結合剤は、通常0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%、とりわけ1〜5重量%の量で繊維へ付与される。
【0041】
マイクロカプセル
本発明の好適な態様では、疎水性のカプセル未封入活性成分と上記結合剤を用いた他のカプセル封入活性成分の両方で、繊維および編織布を仕上げる。このような方法で、両方の作用機構の利点が組み合わされると共にそれらの欠点が中和される。カプセル未封入活性成分は直接、即ち最初の着用中に作用して消費者に所望の健康効果を与えるが、10回目の洗浄サイクル後には含有量が急速に減少してしまう。これに対し、マイクロカプセル封入活性成分は、特に高耐性のカプセル系を用いる場合、その活性成分を放出し始めるに過ぎない。
【0042】
「マイクロカプセル」または「ナノカプセル」とは、少なくとも1つの連続膜で囲まれた少なくとも1個の固体または液体コアを含有する直径約0.0001〜約5mm(好適には0.005〜0.5mm)の球形凝集体であると当業者には理解される。より正確には、それらは皮膜形成ポリマーで被覆された微細分散液体または固体相であり、その製造において、ポリマーを、乳化およびコアセルベーションまたは界面重合の後に、マイクロカプセル封入される物質上に堆積させる。別の方法において、溶融ワックスをマトリックス(マイクロスポンジ)に吸収させ、それを、微粒子として、皮膜形成ポリマーでさらに被覆してよい。第三の方法において、異なる電荷を有する高分子電解質で粒子を交互に被覆する(レイヤー・バイ・レイヤー法)。顕微鏡的に小さいカプセルを、粉末と同じ方法で乾燥させることができる。単一コアのマイクロカプセルの他に、連続膜物質に分散させた2個またはそれ以上のコアを含有する多コア凝集体(微小球としても知られる)も存在する。それに加えて、単一コアまたは多コアのマイクロカプセルを、さらに第2、第3などの膜で囲んでもよい。膜は、天然、半合成または合成の物質からなっていてよい。天然の膜物質は、例えば、アラビアゴム、寒天、アガロース、マルトデキストリン、アルギン酸およびその塩、例えばアルギン酸ナトリウムまたはカルシウム、脂肪および脂肪酸、セチルアルコール、コラーゲン、キトサン、レシチン、ゼラチン、アルブミン、シェラック、多糖類、例えばデンプンまたはデキストラン、ポリペプチド、タンパク質水解物、ショ糖およびワックスである。半合成の膜物質は、特に化学的に改質されたセルロース、特にセルロースエステルおよびエーテル、例えば、セルロースアセテート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、およびデンプン誘導体、特にデンプンエーテルおよびエステルである。合成の膜物質の例は、ポリマー、例えば、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンである。
【0043】
既知のマイクロカプセルの例は、下記の市販製品である(膜物質を括弧内に示す):Hallcrest Microcapsules(ゼラチン、アラビアゴム)、Coletica Thalaspheres(海洋コラーゲン)、Lipotec Millicapseln(アルギン酸、寒天)、Induchem Unispheres(ラクトース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、Unicerin C30(ラクトース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、Kobo Glycospheres(改質デンプン、脂肪酸エステル、リン脂質)、Softspheres(改質寒天)、Kuhs Probiol Nanospheres(リン脂質)、PrimaspheresおよびPrimasponges(キトサン、アルギン酸塩)およびPrimasys(リン脂質)。キトサンマイクロカプセルおよびその製造方法は、本願の出願人によって出願された先の特許出願[WO01/01926、WO01/01927、WO01/01928、WO01/01929]の対象である。
【0044】
マイクロカプセルを製造するために、通常は、ゲル形成剤、好ましくは寒天の1〜10重量%、好ましくは2〜5重量%水溶液を調製し、還流下に加熱する。カチオン性ポリマー(好適にはキトサン)0.1〜2重量%(好ましくは0.25〜0.5重量%)、および活性物質0.1〜25重量%(好ましくは0.25〜10重量%)を含有する第2の水溶液を、沸騰温度(好ましくは80〜100℃)において添加する(この混合物をマトリックスと呼ぶ)。従って、マイクロカプセルへの活性物質の装填も、カプセルの重量に基づいて0.1〜25重量%でありえる。所望であれば、水不溶性成分、例えば無機顔料を、この段階で添加して、通常は水性または水性/アルコール性分散液の形態において粘度を調節することができる。それに加えて、活性成分を乳化させるかまたは分散させるために、乳化剤および/または可溶化剤をマトリックスに添加することも有効でありえる。ゲル形成剤、カチオン性ポリマーおよび活性成分からのマトリックスの調製後に、マトリックスを強力剪断によって油相に任意に極微細分散させて、次のカプセル封入工程において小さい粒子を形成させることもできる。これに関して、マトリックスを40〜60℃の範囲の温度に加熱し、一方、油相を10〜20℃に冷却するのが特に有利であることがわかった。実際のカプセル封入、即ちマトリックス中のカチオン性ポリマーをアニオンポリマーに接触させることによる膜の形成を、最後の必須の段階で行う。このために、油相に任意に分散させたマトリックスを、約1〜50重量%、好ましくは10〜15重量%のアニオン性ポリマー水溶液で洗浄し、必要であれば、その際にまたは後に油相を除去するのが好ましい。得られた水性調製物は、通常、1〜10重量%のマイクロカプセル含有量を有する。いくつかの場合において、ポリマー溶液が、他の成分、例えば乳化剤または防腐剤を含有することが好都合なこともある。濾過した後に、好ましくは約0.01〜1mmの平均直径を有するマイクロカプセルを得る。カプセルを篩にかけて、均一サイズ分布を確実にするのが好ましい。このようにして得たマイクロカプセルは、製造に関連した限度内のあらゆる形を有しうるが、実質的に球形であるのが好ましい。別法によれば、アニオン性ポリマーをマトリックスの製造に使用してもよく、カチオン性ポリマー(特にキトサン)を使用してカプセル封入を行ってもよい。
【0045】
別法によれば、カチオン性ポリマーだけを使用し、pKs値より高いpH値で凝集する性質を利用して、カプセル封入を行ってもよい。
【0046】
本発明に従ってマイクロカプセルを製造するための第二の別法は、初めにo/w型エマルジョンを調製することを含んでなる。該エマルジョンは、油成分、水および活性成分に加えて、有効量の乳化剤を含有する。マトリックスを形成させるために、適量のアニオン性ポリマー水溶液を、激しく撹拌しながらこの調製物に添加する。キトサン溶液を添加することによって膜を形成させる。全工程を、弱酸性pH3〜4で行うのが好ましい。必要であれば、無機酸の添加によってpHを調節する。膜の形成後に、例えば、トリエタノールアミンまたは他の塩基を添加することによって、pHを5〜6に上げる。これによって粘度の増加を生じ、この粘度は、下記のような他の増粘剤を添加することによって維持することができる:例えば多糖類、特に、キサンタンゴム、グアールゴム、寒天、アルギン酸塩およびチロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、比較的高い分子量の脂肪酸のポリエチレングリコールモノおよびジエステル、ポリアクリレート、ポリアクリルアミドなど。最後に、例えば、デカンテーション、濾過または遠心分離によって、マイクロカプセルを水性相から分離する。
【0047】
第三の別法では、好ましくは固体、例えば結晶質コアの回りに、逆帯電した高分子電解質でこのコアを層に被覆することによって、マイクロカプセルを形成させる。欧州特許EP1064088B1(Max−Planck協会)を参照。
【0048】
PVMMA系マイクロカプセルを製造する他の方法は、DE3512565A1(BASF)およびUS4,089,802(NCR Corp.)に記載されている。これら既知の方法では、ポリアクリレート水溶液を、例えば、パラフィンと混合し、その後、メラミンとホルムアルデヒドの予備凝縮物を添加する。
【0049】
産業上の利用
疎水性活性成分および皮膜形成ポリマーの調製物は、繊維およびあらゆる種類の編織布(即ち最終製品および半完成製品の両方)を、製造工程中または製造工程後に仕上げして、皮膚への着用快適性を向上させるために使用される。繊維または編織布を構成する材料の選択は、ほとんど限定されない。好適な材料は、あらゆる一般的な天然および合成の材料およびそれらのブレンド、特に、綿、ポリアミド、ポリエステル、ビスコース、ポリアミド/エラスタン、綿/ライクラ、および綿/ポリエステルである。編織布の選択も同様に限定されないが、皮膚に直接接触する製品、特に、下着、水着、寝巻き、ストッキングおよびパンティーストッキングを仕上げするのが合理的である。
【0050】
適用法
本発明はまた、繊維および編織布を仕上げるための第1の方法であって、基材を、疎水性活性成分および皮膜形成ポリマーおよび必要に応じて他のマイクロカプセル封入活性成分および乳化剤を含有する水性調製物で含浸させる方法にも関する。繊維または編織布の含浸は、例えば、所謂排出法によって行うことができる。市販の洗濯機において、または繊維産業で通常使用する染色機において、これを行うことができる。
【0051】
別法として、本発明はまた、繊維および編織布を仕上げるための第2の方法であって、疎水性活性成分および皮膜形成ポリマーおよび必要に応じて他のマイクロカプセル封入活性成分および乳化剤を含有する水性調製物を、圧力塗布によって付与する方法にも関する。この方法においては、処理される繊維/編織布を、マイクロカプセル封入活性成分および結合剤を含有する浸漬浴に通し、調製物をプレスでの加圧下に付与する。この技術はパジングとして知られている。
【0052】
活性成分の濃度は、通常、液体または浸漬浴に基づいて0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%である。含浸は、活性成分を繊維または編織布に装填するために、圧力塗布より低い濃度を一般に必要とする。
【0053】
最後に、本発明は、繊維および編織布を仕上げるための、
(a)疎水性活性成分と、
(b)皮膜形成性活性成分と、必要に応じ、
(c)他のマイクロカプセル封入活性成分
を含有する混合物の使用に関する。
【実施例】
【0054】
実施例1
モノイデタヒチ(ティアラフラワーの活性成分を有する精製ヤシ油)とビタミンEの重量比9:1での活性成分混合物を、様々な高分子結合剤(Stabiflex:ポリウレタン、Cognis3001、3002=ポリシロキサン)と混合し、得られた混合物を圧力塗布によって綿編織布へ塗布した。活性物質と繊維の重量に基づき、活性成分を1重量%の量で、結合剤を3重量%の量で使用した。全ての編織布試料を140℃で2分間乾燥した。綿編織布を通常の洗濯機中、40℃で全10回洗浄し、繊維に残った活性成分の量を様々な洗浄サイクルの後に測定した。結果(3回一組の試験による四捨五入平均値)を表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
実施例2
綿に代えてポリアミド/ライクラ(90:10)ブレンドを用いて、実施例1を繰り返した。結果(3回一組の試験による四捨五入平均値)を表2に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
実施例3
工業用ステロール混合物(Generol(登録商標)R、Cognis Deutschland GmbH & Co. KG)を、様々な高分子結合剤と混合し、圧力塗布によってポリアミド/ライクラブレンドへ塗布した。活性物質と繊維の重量に基づき、ステロールを1重量%の量で、結合剤を3重量%の量で使用した。全ての編織布試料を140℃で2分間乾燥した。綿編織布を通常の洗濯機中、40℃で全10回洗浄し、繊維に残ったステロールの量を様々な洗浄サイクルの後に測定した。結果(3回一組の試験による平均値)を表3に示す。
【0059】
【表3】

【0060】
実施例4〜9
ナノスケール金属酸化物(実施例4〜8)を製造するため、二酸化炭素を60barの定圧下で容器から取り出し、活性炭と分子篩が充填されたカラム中で精製した。液化後、隔膜ポンプによって3.5L/hの一定搬送速度で、COを所要の超臨界圧に圧縮した。その後、溶媒を予熱器中で必要な温度T1とし、金属石鹸が充填された抽出カラム(スチール、400ml)中へ導入した。得られた超臨界の、即ち流体の混合物を、レーザー延伸ノズル(長さ830μm、直径45μm)によって、温度T2で、乳化剤または保護コロイドの4重量%水溶液を含有するプレキシグラス霧箱中へ噴霧した。流体媒質は蒸発して、保護コロイド中にカプセル封入された分散ナノ粒子を残した。実施例9に従ってナノ粒子を製造するために、40℃かつ40mbarの減圧下で、ココグルコシドの4重量%水溶液へ激しく撹拌しながら酸化亜鉛の1重量%分散体を滴加した。ナノ粒子を含有する分散体を残しながら、蒸発する溶媒を冷却トラップ中で凝縮させた。プロセス条件と平均粒度範囲(PSR、3−WEM法によって光度的に測定)を下表4に示す。
【0061】
【表4】

【0062】
実施例10
水中に分散したナノ化酸化亜鉛(粒子直径0.1〜0.2μm)を、様々な高分子結合剤と混合し、圧力塗布によってポリアミド/ライクラブレンドへ塗布した。活性物質と繊維の重量に基づき、酸化亜鉛を1重量%の量で、結合剤を1重量%の量で使用した。全ての編織布試料を140℃で2分間乾燥した。その後、試料を通常の洗濯機中、40℃で全10回洗浄し、繊維に残った酸化亜鉛の量を様々な洗浄サイクルの後に測定した。結果(3回一組の試験による平均値)を表5に示す。
【0063】
【表5】

【0064】
実施例11
カプセル未封入ビタミンEとマイクロカプセル封入されたビタミンE(Primaspheres、Cognis Iberia S.L.)を、様々な高分子結合剤と混合し、圧力塗布によって綿編織布へ塗布した。活性物質と繊維の重量に基づき、活性成分を1重量%の量で、結合剤を3重量%の量で使用した。綿編織布を通常の洗濯機中、40℃で全10回洗浄し、繊維に残った活性成分の量を様々な洗浄サイクルの後に測定した。結果(3回一組の試験による平均値)を表6に示す。
【0065】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)疎水性活性成分と、
(b)皮膜形成ポリマーと
の混合物によって仕上げられていることを特徴とする、繊維および編織布。
【請求項2】
トコフェロール、カロチン化合物、ステロール、アスコルビン酸、(デオキシ)リボ核酸およびその分裂生成物、β-グルカン、レチノール、ビサボロール、アラントイン、フィタントリオール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、疑似セラミド、キトサン、メントール、整髪油および油成分、精油、植物性タンパク質およびその加水分解生成物、植物抽出物、複合ビタミン剤、防虫剤、ナノ化された無機物質および鉱物およびそれらの混合物からなる群から選択される活性成分によって仕上げられていることを特徴とする、請求項1に記載の繊維および編織布。
【請求項3】
活性成分(活性物質として表される)を0.1〜10重量%の量で含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の繊維および編織布。
【請求項4】
ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、高分子メラミン化合物、高分子グリオキサル化合物、高分子シリコーン化合物、エピクロルヒドリン架橋ポリアミドアミン、ポリ(メタ)アクリレートおよび高分子フルオロ炭素およびそれらの混合物からなる群から選択される結合剤によって仕上げられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維および編織布。
【請求項5】
結合剤(活性物質として表される)を0.5〜15重量%の量で含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維および編織布。
【請求項6】
仕上げのための混合物は、成分(c)として、さらにマイクロカプセル封入活性成分を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維および編織布。
【請求項7】
疎水性活性成分と皮膜形成ポリマーと必要に応じてマイクロカプセル封入活性成分を含有する水性調製物によって基材を含浸するか、または、排出法によって該調製物を基材へ塗布する、繊維または編織布の仕上げ方法。
【請求項8】
疎水性活性成分と皮膜形成ポリマーと必要に応じてマイクロカプセル封入活性成分を含有する水性調製物を、圧力塗布によって塗布する、繊維および編織布の仕上げ方法。
【請求項9】
(a)疎水性活性成分と、
(b)皮膜形成ポリマーと、必要に応じ、
(c)他のマイクロカプセル封入活性成分と
を含有する混合物の、繊維および編織布を仕上げるための使用。
【請求項10】
ナノ化された亜鉛および/またはチタンのジオキシドの、繊維および編織布を仕上げるための使用。
【請求項11】
ナノ化された亜鉛および/またはチタンのジオキシドの、化粧用および/または医薬用の調製物を製造するための使用。
【請求項12】
ナノ化された亜鉛および/またはチタンのジオキシドはマイクロカプセル化されていることを特徴とする、請求項10または11に記載の使用。

【公表番号】特表2008−508444(P2008−508444A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524227(P2007−524227)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008092
【国際公開番号】WO2006/015718
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】