説明

仕上げ剤組成物

【課題】衣類を室内で乾燥させた際に生じる生乾きのニオイを抑制することが可能である仕上げ剤組成物を提供すること。
【解決手段】A)抗菌性化合物0.1〜10%及びB)酸化防止剤0.01〜10%を含む仕上げ剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯時に用いる繊維製品等に対して防臭効果を付与する仕上げ剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の洗濯では人体に由来する皮脂やタンパク質などの汚れが完全に除去されずに残ってしまう。
その状態の衣類を室内に干して乾燥させる場合、完全に乾燥するまでに時間がかかるため、干している間に菌が繁殖したり、落としきれなかった汚れが空気中の酸素などで変質したりすることで、衣類が不快なニオイを発生する問題がある。
この問題を解決するために抗菌剤を配合することで雑菌の繁殖を抑制し、衣類が不快なニオイを発することを抑制する技術が開示されている(特許文献1〜5)。また、植物抽出物を配合し衣類が不快なニオイを発することを抑制する技術が開示されている(特許文献6)。しかしながら、不快なニオイの発生原因はいまだ解明されておらず、菌の繁殖を抑制するだけでは不十分であった。
【0003】
【特許文献1】特開2001−146681号公報
【特許文献2】特開2001−192969号公報
【特許文献3】特開2002−339249号公報
【特許文献4】特開2004−143638号公報
【特許文献5】特開2005−187973号公報
【特許文献6】特開2002−212877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、衣類を室内で乾燥させた際に生じる生乾きのニオイを抑制することが可能である仕上げ剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、抗菌性化合物と酸化防止剤を特定量含有する仕上げ剤で処理することにより上記課題を効率的に解決できるとの知見のもとになされたものである。
即ち、本発明は、(A)抗菌性化合物、(B)酸化防止剤を特定量含有することを特徴とする仕上げ剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、衣類を室内で乾燥させた際に生じる生乾きのニオイを抑制することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の(A)成分の抗菌性化合物は、木綿金巾#2003に該化合物1重量%を均一に付着させた布を用いJIS L 1902「繊維製品の抗菌性試験法」の方法で抗菌性試験を行い阻止帯が見られる化合物である。このような化合物としては「香粧品、医薬品防腐・殺菌剤の科学」(吉村孝一、滝川博文著、フレグランスジャーナル社、1990年4月10日発行)の501頁〜564頁に記載されているものから選択することができる。
本発明の(A)成分としては、以下に例を示すが、これに限定されない。
トリクロサン類、ビス−(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、トリクロロカルバニリド、8−オキシキノリン、デヒドロ酢酸、安息香酸エステル類、クロロクレゾール類、クロロチモール、クロロフェン、ジクロロフェン、ブロモクロロフェン、ヘキサクロロフェン、及びジアルキル(C8〜C12)ジメチルアンモニウム塩、アルキル(C8〜C12)ジメチルベンジルアンモニウム塩、モノアルキル(C12〜C20)トリメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウム塩等の4級アンモニウム化合物などが挙げられる。
【0008】
これらの中でも部屋干し時の生乾き臭を効果的に抑制する観点から、特開平11−189975号記載のトリクロサン類、ジアルキル(C8〜C12)ジメチルアンモニウム塩、アルキル(C8〜C12)ジメチルベンジルアンモニウム塩、モノアルキル(C12〜C20)トリメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウム塩等の4級アンモニウム化合物、フェノール系化合物が好ましく、さらに(B)成分である酸化防止剤を可溶化することができることからもジアルキル(C8〜C12)ジメチルアンモニウム塩、アルキル(C8〜C12)ジメチルベンジルアンモニウム塩がもっとも好ましい。
トリクロサン類の具体例として、チバスペシャリティケミカルズ社製の商品名IRGACARE MP、TINOSAN HP100などで販売されているトリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、ジクロロヒドロキシジフェニルエーテル、モノクロロヒドロキシジフェニルエーテルが例示できる。ジアルキル(C8〜C12)ジメチルアンモニウム塩の具体例としてはライオンアクゾ社製の商品名アーカード210−50、アーカード2C−75などで販売されているジデシルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ジココイルジメチルアンモニウムが例示できる。また、アルキル(C8〜C12)ジメチルベンジルアンモニウム塩の具体例としてはライオンアクゾ社製の商品名アーカードCB−50で販売されているモノアルキル(ヤシ)ジメチルベンジルアンモニウムクロライドを例示できる。さらにフェノール系化合物の具体例としては大阪化成(株)社製の商品名ビオゾールで販売されているイソプロピルメチルフェノールや2−イソプロピル−5−メチルフェノール、メチルフェノールを例示することができる。
本発明の組成物中、(A)成分の配合量は、0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜10質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%である。0.1質量%未満では防臭効果が不充分となる場合があり、10質量%を超えると効果が飽和に達するため不経済である。
【0009】
本発明で用いる(B)成分は酸化防止剤である。酸化防止剤としては、一般に知られている天然系酸化防止剤、合成系酸化防止剤ともに使用できる。具体的にはアスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート等のアスコルビン酸誘導体、没食子酸プロピル、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、クエン酸エステル、ハイドロキノン、三級ブチルハイドロキノン、酢酸トコフェロール等の天然のトコフェロール系化合物、没食子酸の長鎖エステル(C8〜C22)、例えば没食子酸ドデシル、イルガノックス系化合物(例えば、チバスペシャルティケミカル(株)から入手可能)ビスフェノール系化合物(例えば、川口化学工業(株)から購入できるアンテージシリーズ)、クエン酸イソプロピル、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンスルホン酸/ナトリウム塩、ジメトキシフェノール、カテコール、メトキシフェノール、カロチノイド、フラン類、アミノ酸類等が挙げられる。
この中で、仕上げ剤組成物の外観や保存安定性の観点から、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、ビスフェノール系化合物、アスコルビン酸誘導体、メトキシフェノール、トコフェロール系化合物等が好ましい。
本発明の組成物中、酸化防止剤の配合量は、0.01〜10質量%の範囲で使用されることが好ましい。好ましくは0.1%〜10%、特に好ましくは1%を超え、5%以下の範囲である。この範囲にあると部屋干し時の生乾き臭を効果的に抑制することができる。
【0010】
本発明の組成物は、さらに(C)成分として、シリコーン化合物を含有することができる。このシリコーン化合物は、繊維製品に吸着した時に、柔軟性、滑らかさを付与することが可能であれば特に限定されない。一般的に繊維処理に使用されているシリコーン化合物としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、ポリグリセロール変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、及びアミノ変性シリコーンなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
このシリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であっても分岐や架橋していてもよい。また、変性シリコーン化合物は1種類の有機官能基により変性されていても構わないし、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。
【0011】
シリコーン化合物はオイルとして使用でき、また任意の乳化剤によって分散された乳化物としても使用できる。さらに、(C)成分のシリコーン化合物を繊維へ吸着させる効果を高め、柔軟性、滑らかさを高める点から、(C)成分のシリコーン化合物は、非イオン性であることが好ましく、より好ましい例としては、ジメチルシリコーン、カルビノール変性シリコーン、ポリグリセロール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン及びアミノ変性シリコーンが挙げられる。
このなかでも特に好ましいシリコーン化合物として、柔軟性付与の観点から、ポリエーテル変性シリコーンや分子量10万以上のジメチルシリコーンを挙げることができる。これらのシリコーンは、ポリエーテル基を有しない低分子量のジメチルシリコーンに比べ、キシミ感が少なく良好な柔軟性を有する。好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、アルキル(炭素数1〜3)シロキサンとポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜5が好ましい)の共重合体が挙げられる。このうち、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのランダム又はブロック共重合体など)の共重合体が好ましい。このようなものとして、下記一般式(I)又は (II)で表される化合物が挙げられる。
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、M、N、a及びbは平均重合度であり、Rは水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Mは10〜10000、好ましくは100〜300、Nは1〜1000、好ましくは1〜100、かつM>Nであることが好ましく、aは2〜100、好ましくは2〜50、bは0〜50、好ましくは0〜10が好ましい。Rとしては水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
一般式(I)で表されるポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えばポリオキシアルキレンアリルエーテル等の、炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを白金触媒下、付加反応させることにより製造することができる。従って、ポリエーテル変性シリコーン中には未反応のポリオキシアルキレンアルキルエーテルやSi−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンがわずかに含まれる場合がある。Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは反応性が高いため、ポリエーテル変性シリコーン中の存在量として30ppm以下(−Hの量として)で存在していることが好ましい。
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、A、B、h、及びiは平均重合度であり、Rはアルキル基を表し、R’は水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Aは5〜10000、Bは2〜10000であることが好ましく、hは2〜100、iは0〜50が好ましい。Rとしては炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。R’としては水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。また、式(II)で表わされるブロック共重合体の重量平均分子量は、柔軟性、滑らかさの観点から15,000〜100,000,000であることが好ましい。
【0016】
上記線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させることにより製造することができる。
本発明で用いるポリエーテル変性シリコーンオイルの具体的な例としては、東レ・ダウ コーニング(株)製のSH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22−008、SF8421、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−2222、信越化学工業(株)製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452、等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0017】
本発明で用いる(C)成分のシリコーン化合物の配合量は特に限定されないが、柔軟性、滑らかさ及び組成物の粘度の点から、組成物の全質量をベースとして、3〜70質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは6〜40質量%である。これにより、柔軟性、滑らかさなどの効果を優秀なものとすることができ、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性を良好なものとすることができる。
【0018】
本発明の(D)成分は、(C)成分のシリコーン化合物を繊維へ吸着させる効果を有するものである。カチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、水に溶解した時にカチオン性を有するものが使用し得るが、特にカチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、アミノ基、アミン基、第4級アンモニウム基から選ばれる1種以上のカチオン性基を有する水溶性高分子化合物が好ましい。なお、本発明において、水溶性高分子とは、25℃の水100gに対し、高分子化合物1gを加えたときに、その液が濁らず透明であるものをいう。
(D)成分のカチオン性を有する水溶性高分子化合物は、カチオン化度が0.1%以上のものが好ましく、例えば0.1〜35%であるのがよく、特に2.5%以上が好ましく、例えば2.5〜15%であるのがよい。カチオン化度がこのような条件を満たすことにより、共存するシリコーン化合物を繊維へ吸着させる効果を優秀なものとすることができ、かつ、多量の配合が必要となって経済的でないケースを防止することができる。
【0019】
ここで、カチオン化度とは、高分子化合物がカチオン性モノマーの重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体、及びノニオン性重合体の一部をカチオン性基で変性又は置換したもの(カチオン化セルロースなど)の場合には下記式(1)により、また、高分子化合物がカチオン性モノマーとアニオン性モノマーの共重合体、及びカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体の場合には、下記式(2)により算出される値と定義する。
カチオン化度(%)=X×Y×100 …式(1)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数]
カチオン化度(%)=X×(Y−Z)×100 …式(2)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数
Z:高分子化合物1g中に含まれるアニオン性基のモル数
(Zのアニオン性基とは、高分子鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。具体的には、アクリル酸中のカルボン酸などである。ただし、カチオン性基の対イオンは含まない。)]
【0020】
カチオン化度の算出例として、下記式(III)で表されるMERQUAT280(NALCO社製)の場合を示す。
X:14(窒素原子の原子量)
Y:4.95×10-3(カチオン性基の1g中の重量:0.8gとカチオン性基の分子量より算出)
Z:2.78×10-3(アニオン性基の1g中の重量:0.2gとアニオン性基の分子量より算出)
式(2)より、
カチオン化度(%)=
14×(4.95×10-3−2.78×10-3)×100=3.0
である。
【0021】
【化3】

【0022】
(MERQUAT280)
塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸との質量比=80:20
よって、上記記載のカチオン化度の算出法によれば、ノニオン性モノマーの重合体やアニオン性モノマーの重合体のカチオン化度は0%となる。
(D)成分の水溶性高分子は、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーメーションクロマトグラフィ法で測定される重量平均分子量が、1,000〜5,000,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは5,000〜500,000である。これにより粘度の上昇を抑えて使用性を優秀なものとすることが可能となる。
【0023】
(D)成分の例としては、MERQUAT100(NALCO社製)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業(株))、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、MERQUAT550 JL5(NALCO社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、MERQUAT280(NALCO社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、レオガードKGP(ライオン(株)製)等のカチオン化セルロース、LUVIQUAT−FC905(B・A・S・F社製)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、LUGALVAN−G15000(B・A・S・F社製)等のポリエチレンイミン、ポバールCM318((株)クラレ製)等のカチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられるが、水に溶解時にカチオン性を有する高分子化合物であればよく、本例に限定されるものではない。
【0024】
この中で、シリコーンの付与する柔軟性などの風合いを妨げない観点から、(D)成分単独で吸着した時に繊維に付与する剛性の小さいものが好ましい。
特に好ましい高分子としては、下記一般式(IV)に示すジメチルジアリルアンモニウム塩を重合して得られるカチオン性高分子である。この高分子の構造は、通常、下記一般式(V)又は下記一般式(VI)で表わされる。また、一般式(V)の構造単位と一般式(VI)の構造単位が共に含まれていてもよい。
【0025】
【化4】

【0026】
(式中X-は、塩化物イオン、臭化物イオンなどの任意のマイナスイオンを示す。)





【0027】
【化5】

【0028】
【化6】

【0029】
(式中、c、dは、各々平均重合度であり、各々6〜30000の範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜6000、さらに好ましくは30〜3000の範囲である。)
このような高分子の例としては、MERQUAT100(NALCO社製)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業(株)製)、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等が挙げられる。
本発明の(D)成分としては、上記のカチオン性を有する水溶性高分子化合物を1種単独で用いてもよいし、混合物として用いることもできる。
(D)成分の配合量は特に限定されないが、繊維製品に剛性を付与しない範囲のものとするのが好ましく、例えば、組成物の全質量をベースとして、0.1〜30質量%とするのがよく、さらに好ましくは0.5〜10質量%とするのがよい。(D)成分の配合量をこのような範囲のものとすることにより、シリコーンの吸着促進効果を高めて、柔軟性、滑らかさなどの効果を十分なものとすることが可能となり、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性の面で良好なものとすることができる。
【0030】
本発明の仕上げ剤組成物中において、(C)成分:(D)成分の質量比は、99:1〜50:50の範囲内である。好ましくは95:5〜60:40、さらに好ましくは90:10〜70:30の範囲である。このような範囲内の比とすることにより、ポリエステル、綿等の衣類に対し柔軟性、滑らかさ等の風合いの優れた機能が得られる。尚、(D)成分の割合がこの範囲内にあることにより、洗濯のすすぎ工程で本発明の仕上げ剤組成物を用いた場合にシリコーンの繊維への吸着性を良好なものとすることができる。
また、本発明の仕上げ組成物は、洗濯のすすぎ工程で仕上げ処理を行う際の全使用水量に対し、(C)成分の濃度が5ppm〜5000ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは10ppm〜300ppmとなるような量で使用され、(D)成分の濃度は0.5ppm〜100ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは3ppm〜30ppmとなるような量で使用される。
【0031】
また、本発明の仕上げ剤組成物には組成物の外観を透明にするため、また、保存安定性を高めるために、非イオン性界面活性剤および水溶性溶剤を配合することができる。
非イオン性界面活性剤としては、炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、炭素数8〜20のアルキルアミン、またはアルキルアミドのアルキレンオキシド付加物、炭素数8〜20の飽和または不飽和脂肪酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールのモノ、ジ、トリ、テトラエステル体またはそれらの混合物などが挙げられる。中でも下記一般式(VII)で表される非イオン性界面活性剤が好ましい。
1−T−[(R2O)p−H]q (VII)
(式中、R1は、炭素数10〜18、好ましくは12〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R2は炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。pは平均付加モル数であり、2〜50、好ましくは5〜30、特に好ましくは5〜20の数を示す。Tは−O−、−N−、−NH−、−N(C24OH)−、−CON−、−CONH−又はCON(C24OH)−であり、Tが−O−、−NH−、−N(C24OH)−、−CONH−、又は−CON(C24OH)−の場合は、qは1であり、Tが−N−又は−CON−の場合は、qは2である。)
【0032】
上記一般式(VII)の化合物の具体例として、下記一般式(VIII)、(IX)、(X)、(XI)で表される化合物を挙げることができる。
1−O−(C24O)r−H (VIII)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、rは平均付加モル数であり、2〜50、好ましくは5〜30の数である。)
1−O−(C24O)s(C36O)t−H (IX)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、s及びtは平均付加モル数であり、sは2〜40、好ましくは5〜30の数であり、tは1〜20、好ましくは1〜10の数である。(C24O)と(C36O)はランダム又はブロック付加体であってもよい。)
【0033】
【化7】

【0034】
(式中、R1は前記と同じ意味であり、u及びvは平均付加モル数であり、u+vの合計は2〜60、好ましくは2〜40の数である。
非イオン性界面活性剤の配合量は、組成物の全質量をベースとして、0.1〜20質量%とするのがよく、特に0.5〜15質量%、更に1〜10質量%が好ましい。このような配合量とすることにより、保存安定性の向上効果を十分なものとすることができ、かつ、効果が飽和に達した際の余分な添加を抑えて経済性を図ることが可能となり、さらに仕上げ処理時の泡立ちの点からも好ましいものとすることができる。
【0035】
水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート及び下記一般式(X)で表わされる水溶性溶剤から選ばれる溶媒成分を配合することが好ましい。
3−O−(C24O)y−(C36O)z−H (X)
(式中、R3は、炭素数1〜8、好ましくは2〜6のアルキル基又はアルケニル基である。y及びzは平均付加モル数であり、yは2〜50、好ましくは2〜30、zは0〜50、好ましくは0〜20の数を示す。)
中でも好ましい例としては、エタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノプロピレングリコールモノブチルエーテル[C49(C36O)(C24O)2H]等が挙げられる。
これらの水溶性溶剤の配合量は、組成物の全質量をベースとして、0.1〜98質量%とするのがよい。ディスペンサーなどを用いて繊維製品に噴霧する商品形態の場合には場合には5〜98%、好ましくは10〜98%である。また、洗濯機を用いて、仕上げ処理を行う商品形態の場合は0.1〜20質量%、好ましくは5〜15質量%とすることができる。
【0036】
本発明では、組成物の芳香のために香料を添加することができる。使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994 )および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等で見られ、それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
【0037】
本発明では、組成物の着色のために染料を添加することができる。染料は特に限定されないが、添加の容易さから水溶性染料が好ましく、中でも酸性染料、直接染料から選ばれる水溶性染料の1種又は2種以上であることが好ましい。添加できる染料の具体例は、例えば染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善(株))、染料ノート第22版((株)色染社)、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編、1988年11月28日発行、(株)薬事日報社)等に記載されており、それらを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。染料の配合量は、組成物の全質量をベースとして、好ましくは0.01〜50ppm、より好ましくは0.1〜30ppmとすることができる。このような配合量とすることにより、仕上げ剤組成物に着色された色が非常に薄くなるのを防止でき、着色効果を充分なものとすることができる一方で、仕上げ剤組成物に着色された色が濃くなりすぎるのを防止できる。
【0038】
本発明では、消泡剤を配合することができる。消泡剤としては、例えばシリコーン系消泡剤、アルコール系消泡剤、エステル系消泡剤、鉱油系消泡剤、植物油系消泡剤、及び合成油系消泡剤等が挙げられるが、仕上げ剤計量時の泡立ちを抑えて計量性を向上させる観点からシリコーン系の消泡剤が好ましい。シリコーン系消泡剤としては、オイル型消泡剤、コンパウンド型消泡剤、自己乳化型消泡剤、エマルション型消泡剤、粉末型消泡剤及び固形型消泡剤等が挙げられ、この中でも、自己乳化型消泡剤及びエマルション型消泡剤が好ましい。消泡剤の配合量は特に限定されないが、組成物の全質量をベースとして、0.1ppm〜1質量%とすることができ、さらに好ましくは1ppm〜0.05質量%とすることができる。
【0039】
本発明の仕上げ剤組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の家庭用仕上げ剤に使用されている添加剤などを使用することができる。そのような添加剤として、具体的には、炭素数14〜18の炭化水素基を1〜3個分子内に含んでいるカチオン性界面活性剤、食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等の水溶性塩、流動パラフィン、尿素、炭化水素、非イオン性セルロース誘導体、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、pH調整剤等が挙げられる。なお、アニオン性界面活性剤、アニオン性高分子化合物は、配合する場合には、(D)成分のカチオン性を有する水溶性高分子化合物の含有量よりも低い量で配合するのがよい。
【0040】
本発明の仕上げ剤組成物のpHは特に限定されないが、2〜8の範囲であることが好ましく、3〜6の範囲であることがより好ましい。必要に応じて、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
本発明の組成物は、(A)成分と(B)成分とを、必要により(C)成分、(D)成分等の任意成分と共に混合することにより製造することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、下記例で%は質量%を示す。
【実施例】
【0041】
以下の表1に記載の(A)抗菌性化合物、表2に記載の(B)酸化防止剤、表3に記載の(C)シリコーン化合物及び表4に記載の(D)カチオン性を有する水溶性高分子、また、場合により表5に記載の共通成分を用いた。なお、共通成分中に記載した香料A
〜Cの組成は表6に記載した。
実施例1〜4、比較例1〜2に記載の組成物の調製方法
表1、2に記載の(A)成分と(B)成分を表7に記載の所定量を200mLビーカーにとり、表5に記載の共通成分1をいれ、スターラーを用いて攪拌し、均一溶液を100g調製した。
実施例5〜10に記載の組成物の調製方法
(A)成分と(B)成分(C)成分、および表5に記載した共通成分を、表8に記載の所定量を500mLビーカーにとり、これを撹拌羽を用いて十分に撹拌した。次に、撹拌しながら、イオン交換水を添加し、さらに撹拌しながら、表4に記載の(D)カチオン性を有する水溶性高分子化合物を添加し撹拌後、均一になるまで十分に撹拌して、400gの仕上げ剤組成物を調製した。
【0042】
〔生乾き臭抑制効果の評価法〕
実施例1〜4、比較例1〜2
家庭で半年間以上、着用と洗濯を繰り返した使用した肌シャツ(綿100%)を半裁し、市販衣料用洗剤「トップ」(ライオン(株)製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤)で5分洗浄し(洗剤は標準使用量、浴比30倍、25℃の水道水使用)、ためすすぎを3分間2回行なった。
市販の「しわスッキリスプレー」の容器を洗浄した後に、表7に記載した実施例1〜4、比較例1〜2の組成物を充填し、半裁した一方の肌シャツに均一に噴霧するように5回噴霧した。また、半裁したもう一方は比較例1の組成物を同様に5回噴霧した。
その後、湿度90%、25℃で12時間放置した後の肌シャツの臭いを10人のパネラーにより下記の基準で判定し、平均点を求めた。平均点が1.0〜2.0点を◎、0.5〜0.9点を○、−0.5〜0.4点を△、−0.5点以下を×として判定した。
【0043】
実施例5〜10、比較例3
家庭で半年間以上、着用と洗濯を繰り返した使用した肌シャツ(綿100%)を半裁し、市販衣料用洗剤「トップ」(ライオン(株)製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤)で5分洗浄し(洗剤は標準使用量、浴比30倍、25℃の水道水使用)、ためすすぎを3分間2回行なった。その際、半裁した一方のみ、ためすすぎ2回目に、表8に示す仕上げ剤組成物を水量30リットルに対して10g加えて、仕上げ処理(浴比30倍、25℃の水道水使用、3分)を行った。又、半裁したもう一方はためすすぎ2回目に、比較例3の組成物で処理を行なった。その後、脱水し、湿度90%、25℃で12時間放置した後の肌シャツの臭いを10人のパネラーにより下記の基準で判定し、平均点を求めた。平均点が1.0〜2.0点を◎、0.5〜0.9点を○、−0.5〜0.4点を△、−0.5点以下を×として判定した。
【0044】
+2:対照(比較例の仕上げ剤処理)よりはっきり臭いが少ない
+1:対照よりやや臭いが少ない
0 :対照とほぼ同じ
−1:対照の方がやや臭いが少ない
−2:対照の方がはっきり臭いが少ない
【0045】
〔柔軟性の評価法〕
(試験布の調製)
市販の綿タオル(綿100%)を市販衣料用洗剤「トップ」(ライオン(株)製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤)により、家庭用二槽式洗濯機を用いて洗浄15分(洗剤は標準量使用、浴比30倍、45℃水道水)→脱水5分の工程を2サイクル繰り返した後、流水すすぎ15分→脱水5分の工程を5回繰り返し、自然乾燥したものを試験布とした。
【0046】
(仕上げ剤による処理)
上記処理を行った、綿タオル100gを各々市販衣料用洗剤「トップ」(ライオン(株)製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤)で15分洗浄し(洗剤は標準使用量、浴比30倍、25℃の水道水使用)、ためすすぎ2回目に、表8に示す仕上げ剤組成物を水量3リットルに対して1.5g加えて、衣料の仕上げ処理(浴比30倍、25℃の水道水使用、3分)を行った。その後、20℃、40%RHの条件で自然乾燥し、以下の評価を行った。
柔軟性の評価は、仕上げ剤を使用せずに処理した綿タオルを対照として専門パネラー10人による官能一対比較を行い、以下に示す評価基準で評価を行った。
+2:対照よりはっきり良好
+1:対照よりやや良好
0 :対照とほぼ同じ
−1:対照の方がやや良好
−2:対照の方がはっきり良好
その評点の平均をとり、1.5〜2.0点を◎、1.0以上〜1.4点を○、0.5〜0.9点を△、0.4点以下を×とした。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
なお、C−1は次の様に合成した。すなわち、(CH33SiO(CH3CH3SiO)210(CH3HSiO)9Si(CH3)3で表されるハイドロジェンシロキサン828g、平均組成CH2=CHCH2O(CH2CH2O)9Hで表されるアリル化ポリエーテル210g、エチルアルコール726g及び塩化白金酸のClを中和したものを白金がアリル化ポリエーテルに対して重量で5ppmとなるように秤量して、反応温度80℃で攪拌し5時間反応させた。反応終了後、減圧留去することにより、ポリエーテル変性シリコーンを得た。このポリエーテル変性シリコーン90gに対して、10gのブチルカルビトールを添加して使用した。





【0051】
【表4】








































【0052】
【表5】










【0053】
【表6】











【0054】
【表7】

【0055】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の全質量を基準にして、A)抗菌性化合物を0.1〜10%、及びB)酸化防止剤を0.01〜10%含むことを特徴とする仕上げ剤組成物。
【請求項2】
(B)成分の配合量が、組成物の全質量を基準にして、1%を超え、5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の仕上げ剤組成物。
【請求項3】
さらに(C)成分としてシリコーン、(D)成分としてカチオン性を有する水溶性高分子を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の仕上げ剤組成物。

【公開番号】特開2007−254902(P2007−254902A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76941(P2006−76941)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】