説明

仕掛絵本

【課題】紙芝居のように親子が向かい合うことで子供たちの表情を確認しながら、読み聞かせることができる絵本を提供する。
【解決手段】二つ折り構造の台紙1a・1bの内面には立体的に表現できるポップアップ構造体1d・1eを形成し、台紙1cの裏面は台紙1bと貼着される。仕掛絵本には物語の絵や図柄の欄、及び物語の文章欄を複数箇所設けることができ、それぞれが表紙や台紙1aを開いたり、ポップアップ動作をさせることにより順次現れてくる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、二つ折りされた台紙を開いた後で、任意に可変情報を立体的に表現できるポップアップ構造を有した絵本や紙芝居等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
絵本や紙芝居は、子供たちの創造力をのばすために効果的な教材として一般に用いられているが、読み聞かせる親や紙芝居業者は子供たちに心理状態を把握するため、子供たちの表情を観察しなければならない。
従来の絵本や紙芝居等は平面状に絵や文字が書かれており、絵本は親子が横に並び絵を見せながら同一平面状にある文字を読んで聞かせている。
紙芝居は子供たちと紙芝居業者又は親等が子供たちと向かい合って絵の書かれている紙を子供たちに見せながら、裏面の文字を読み聞かせながら1枚ずつ差し替えていくことをしていた。
しかし、この方法では絵本を読み聞かせるときに、横にいる子供たちの表情を観察することが難しく、紙芝居では子供たちの表情を観察することは容易であるが、紙を1枚ずつ差し替えることが慣れない者には難しいというものだった。
最近は、絵本を開くと人や動植物や建物がポップアップするものも市販されており、子供たちの創造力を効果的にのばすものが多くなってきているが、子供たちの心理状態を正確に観察することはまだまだ難しいのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−201479
【特許文献2】特開2001−30653
【特許文献3】特開2001−30655
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、紙芝居のように親子が向かい合うことで子供たちの表情を確認しながら、絵本を読み聞かせることができるものである。
【0005】
冊子体を開いた時に可変情報を立体的に表現できる書籍,雑誌,カタログ,パンフレット,ちらし,カード類(バースデー,グリーティング,クリスマス),電報台紙等の構成は、特開平9−201479号公報や、特開2001−30653号公報、特開2001−30655号公報等に開示されている。
【0006】
しかしながら、特開平9−201479号公報や、特開2001−30653号公報、特開2001−30655号公報のようなものでは、冊子体を開いた時に可変情報を立体的に表現させるだけであり、親子が向かい合って子供たちの表情を観察できるものではない。
本発明は、紙芝居のように親子が向かい合った状態で子供たちの表情を観察しながら読み聞かせることができる絵本を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の仕掛絵本はこのような問題を解決するために、次のような構成とした。
【0008】
物語の絵が書かれた二つ折り構造の台紙(1a)・(1b)内面に立体的に表現できるポップアップ構造体(1d)・(1e)を形成し、二つ折り構造のカード台紙外面(1c)に、摘み部用切り込み(3)を形成する。
【0009】
使用時においては、二つ折り状態にした台紙(1a)・(1b)を開くと物語の絵が表れ、この状態で摘み部用切り込み(3)から突出した摘み部(1f)を指で摘んで引くことにより人や動植物や建物等の描かれたポップアップ構造体(1d)・(1e)が起立する。
【0010】
ここで、摘み部用切り込み(3)から突出した摘み部(1f)やポップアップ構造体(1d)の突出した部分の裏側面他には物語の文章が書かれているため、摘み部(1f)面を親の手前に向けることで紙芝居を見せるように親子が向かい合うことができる。
【0011】
ページをめくる場合には、突出している摘み部(1f)を指で摘んで摘み部用切り込み(3)側に押し戻し起立状態のポップアップ構造体(1d)・(1e)をいったん寝かせることにより、次のページを開くことができる。
【発明の効果】
【0012】
この仕掛絵本は、親子が横に並んで読み聞かせる絵本や、向かい合って読み聞かせる紙芝居に比べて、親子が正面に向かい合うことから、子供たちの表情を観察することが容易であり、かつ、ページをめくることが容易なので、従来の紙芝居のような経験を要するものでもない。
【0013】
さらに、複数個所の文章欄は物語の文章だけでなく、親が子供に見せる表情やしぐさ等のコメントを付記することができるので、絵だけを見ている子供たちに極めて強い印象を与えることができ、創造力を効果的にのばすことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】仕掛絵本の台紙(1a)を開いた状態
【図2】仕掛絵本の摘み部(1f)を少し引いてポップアップ構造体(1d)・(1e)が起立し始めた状態
【図3】仕掛絵本の展開図
【図4】表紙の展開図
【図5】表紙を閉じた状態
【図6】仕掛絵本に表紙を付けて、台紙(1a)を開いた状態
【図7】仕掛絵本に表紙を付けて、摘み部(1f)を少し引いてポップアップ構造体(1d)・(1e)が起立し始めた状態
【図8】ポップアップ構造体(1d)・(1e)が起立し始めた状態の側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図2に示すように、二つ折り構造の台紙(1a)・(1b)の内面には立体的に表現できるポップアップ構造体(1d)・(1e)を形成し、台紙(1c)の裏面は台紙(1b)と貼着される。
【0016】
図1は仕掛絵本の台紙(1a)を開いた状態でありポップアップ構造体(1d)・(1e)は畳まれて、台紙(1c)とともに平面状になっている。ここで、摘み部用切り込み(3)から突出した摘み部(1f)を指で摘んで引くと図2のようにポップアップ構造体(1d)・(1e)が起立状態となる。図8にポップアップ構造体(1d)・(1e)が起立状態のときの側面図を示す。
【0017】
仕掛絵本の台紙(1a)を閉じるには、引き出した摘み部(1f)を摘み部用切り込み(3)に押し戻してポップアップ構造体(1d)・(1e)を平面状にしてから台紙(1a)を閉じることができる。
【0018】
図3はポップアップ動作をさせるための展開図である。台紙(1c)を台紙(1b)に貼着し、摘み部用切り込み(3)に摘み部(1f)を貫入させ、摘み部(1f)を引くことでポップアップ構造体(1d)・(1e)を起立させることにした。
【0019】
さて、図1乃至図3・図6・図7のとじしろ(4)は仕掛絵本として構成する際に使用する。パンフレット、ちらし、カード類(バースデー、グリーティング、クリスマス)等として使用する場合、とじしろ(4)は使用しなくてもよい。
【0020】
図4・図5はパンフレット、ちらし、カード類(バースデー、グリーティング、クリスマス)等として使用する場合の表紙である。この場合、台紙(1a)・(1b)の外側面と表紙(2a)・(2b)の内側面は貼着したほうが使いやすい。図6・図7に仕掛絵本と表紙を組み合わせて、台紙(1a)を開いた状態を示す。
【0021】
では、仕掛絵本としての具体的な使い方を説明する。この仕掛絵本には物語の絵や図柄を5箇所に描くことができる。物語の文章は4箇所あり、それぞれ順次現れてくる。
【0022】
図5において、まず表紙(2a)には第1の絵、表紙(2c)には第2の絵が描かれる。表紙(2c)を開くと、第1の文章が現れるので、物語のスタートである。
次に、図6のように表紙(2a)を開くと、台紙(1a)には第3の絵、平面状のポップアップ構造体(1d)・(1e)には第4の絵が現れる。ここで、台紙(1c)の表面には第2の文章が現れる。
【0023】
台紙(1c)の表面の第2の文章を読みながら摘み部用切り込み(3)から突出した摘み部(1f)を指で摘んでゆっくり引くと図7のようにポップアップ構造体(1d)・(1e)が引くのと同じ速度で起立状態となってくる。
【0024】
すると、摘み部(1f)には第3の文章・台紙(1b)には第5の絵が現れることになるのである。そして摘み部(1f)を全部引き出すころにはポップアップ構造体(1d)・(1e)はほとんど起立した状態になっており、ポップアップ構造体(1d)の突出した部分の裏側面に第4の文章が現れ、物語の最終部分となる。
【0025】
物語がまだ続く場合には、とじしろ(4)を用いて、たくさんのポップアップ構造体(1d)・(1e)を有した仕掛絵本を提供することができる。
【0026】
また、この例では表紙(2a)・(2b)と台紙(1a)・(1b)を貼着することにしたが、表紙と台紙の折り目を綴じることにすれば更に4面の絵や図柄あるいは文章の領域として用いることができる。
【0026】
このようにして、子供たちと向かい合って絵本を読み聞かせすることができるので、子供たちの表情を簡単に観察することができる。さらに、台紙(1c)の表面にある第2の文章やポップアップ構造体(1d)の突出した部分の裏側面に現れる第4の文章は物語の文章だけでなく、親が子供たちに見せる表情やしぐさ等のコメントを付記することができるので、絵だけを見ている子供たちに極めて強い印象を与えることができ、創造力を効果的にのばすことができるものである。
【符号の説明】
【0027】
1a 台紙(第3の絵)
1b 台紙(第5の絵)
1c 台紙(第2の文章)
1d ポップアップ構造体(表側:第4の絵、裏側:第4の文章)
1e ポップアップ構造体(第4の絵)
1f 摘み部(第3の文章)
2a 表紙(第1の絵)
2b 表紙
2c 表紙(表側:第2の絵、裏側:第1の文章)
3 摘み部用切り込み
4 とじしろ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数に折り畳み展開状態に開閉される台紙からなり、この台紙に簡易模型絵を展開状態の開きにて立体的にポップアップさせる構成からなる仕掛絵本であって、
台紙は、1枚の厚紙を中央で折り返して得られる内側片と外側片とを、一部分を接着材層を介して二重に貼り合わせた台紙であり、その中央を横切る折り目を介して二つ折りにした仕掛絵本において、
折り返しして得られる二重に貼り合わせた台紙の一部に切り込みを設けて、該切り込み部から露出した摘み部を引くことで簡易模型絵がポップアップすることを特徴とする仕掛絵本。
【請求項2】
前記の仕掛け絵本において、複数個所の絵の領域と複数個所の文章領域を有し、ポップアップすることで新たな絵の領域と新たな文章領域が現れることを特徴とする請求項1に記載の仕掛絵本。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−183124(P2011−183124A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68838(P2010−68838)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(506142004)有限会社高田紙器製作所 (4)
【出願人】(504082689)有限会社篠原紙工 (2)
【Fターム(参考)】