説明

付加型サングラス

【課題】 どのような既存のメガネに対しても簡単に装着でき、且つその装着力を向上させることができる付加型サングラスを提供する。
【解決手段】 金属製の薄板を折り曲げて形成された板バネ2に、第1レバー支持部3と、第2レバー支持部4と形成し、これらに前レバー5及び後レバー6を組み付けて前記板バネ2と両レバー5、6とが一体的に動作するようにする。また、板バネ2の内面2cの前レバー5側の面にレンズホルダ支持部材11の一端部をネジ12にて固定し、これにより区画され空間Zに、略コ字状に形成され、両先端部に色付きサングラス15が固定されたレンズホルダ13の支持部13aを挿通して、付加型サングラス1を構成する。これにより、既存のレンズ8の表裏面を両レバー5、6にて挟むようにして装着力を向上させ、更に既存のメガネ17の形状を問わずに装着できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存のメガネに対して後付け可能な付加型サングラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の付加型サングラスとしては、例えば次のような構成が知られている。即ち、図6に示すように、この付加型サングラス100は、一対の遮光レンズ(サングラス)101と、これら遮光レンズ101を保持するフレーム102とを有している。フレーム102は、つる(耳に掛ける部分)は有さない構成となっており、その両端部と中央部とにそれぞれマグネット103が取付けられている。
このような構成の付加型サングラス100は、前記遮光レンズ101をメガネ104の(度入り)レンズ105に対して、前面から重ね合せるようにすることで、前記マグネット103がメガネ104のフレーム106に磁着し、これにより前記付加型サングラス100が前記メガネ104に装着されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−128620号広報(特に、段落「0008」及び図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような付加型サングラス100は、メガネ104に対して簡単に装着できるというメリットがある。しかし一方で、次のようなデメリットを有していた。即ち、付加型サングラス100は、メガネ104に対してマグネット103の磁着のみで装着される構成であるので、その装着力が非常に弱い。更に、メガネ104におけるレンズ105の形状、フレーム106の形状、或いは材質によっては装着できない場合があり、装着できる対象数が限られていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、どのような既存のメガネに対しても簡単に装着でき、且つその装着力を向上させることができる付加型サングラスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、一対のレンズを有するメガネに対して後付される付加型サングラスにおいて、前記レンズの表裏面を挟込む一対の挟みレバーと、薄板を折り曲げることにより形成され前記挟みレバーを常に閉方向に付勢しながら支持する板バネと、この板バネに取付けられたレンズホルダ支持部材と、このレンズホルダ支持部材に回動可能に支持されたレンズホルダと、このレンズホルダに支持される遮光レンズとを備えたことを特徴とする(請求項1の発明)。
この場合、付加型サングラスの装着は、挟みレバーによって既存のメガネのレンズを表裏面から挟み込む構成であるので、既存のメガネのフレーム形状や材質を問うことなく、簡単に装着することができる。また、挟みレバーは板バネによって常に閉方向(レンズを挟む方向)に付勢されるので、既存のメガネに対する装着力を向上させることができる。
【発明の効果】
【0005】
以上のように、本発明の付加型サングラスによれば、どのような既存のメガネに対しても簡単に装着でき、且つその装着力を向上させることができるという優れた効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の第1の実施例を図1〜図3を参照して説明する。
図1に示すように、付加型サングラス1は、金属製の薄板を折り曲げて、断面視が逆三角フラスコ状に形成された板バネ2(いわゆる、クリップのような構成)を有している。この板バネ2は、その形状により、両先端を近接させる方向に付勢力が発生するように構成されている。板バネ2には、図2にも示すように、その両側端面から一部突出した耳部2aを、外方に向かって略カール状に折り曲げることにより形成された一対の第1レバー支持部(側方支持部)3と、両先端面から一部突出した耳部2bを、同じく外方に向かって略カール状に折り曲げることにより形成された一対の第2レバー支持部(下方支持部)4とを有している。なお、前記第1レバー支持部3及び第2レバー支持部4は、板バネ2の表裏面に形成されるものである。
【0007】
板バネ2の表面(図1中、(a)では図面の表面、(b)では左面)において、第1レバー支持部3及び第2レバー支持部4には、挟みレバーに相当する前レバー5が組み付けられている。なお、板バネ2の裏面にも挟みレバーに相当する後レバー6が組み付けられているが、互いの構成は同様であるので、以下には前レバー5の構成についてのみ説明する。
前レバー5は、金属性の線材を曲げ加工することにより、略U字の形状に形成されている。この前レバー5の両側部の途中には、クランク形状をなす一対の段部7が形成されている。前レバー5は、その両側面が第1レバー支持部3に支持され、更に前記段部7が第2レバー支持部4に支持されることにより、板バネ2に対して位置決めされて組み付けられている。これにより、前レバー5と板バネ2とは一体となって動作するようになっていると共に、前レバー5及び後レバー6は、常に閉方向(図1中、矢印A方向)に付勢されるようになっている。
前レバー5の板バネ2への組み付けは、まず前レバー5の両側部を抑えて収縮させ、この両側部を第1レバー支持部3の間に配置させる。そして、この状態で段部7を第2レバー支持部4に嵌合(いわゆる、位置決めのため)させた後に、両側部の収縮を解放して当該両側部を弾性反発力により第1レバー支持部3に当接させる。
前レバー5の両先端、換言すれば既存のレンズ(図3参照、詳細は後述する)8と当接する箇所には、略球状をなす樹脂9が取付け(コーティング)られている。なお、前レバー5の上端側(図1中、上端側)は、つまみ部10として形成されている。
【0008】
板バネ2において、前レバー5が取付けられる側の内面2c(図1(b)中、左方側)、には、断面視で凸部11a(支持部)を有するレンズホルダ支持部材11が配設されている。このレンズホルダ支持部材11は、その上端側が板バネ2に対しネジ12にて固定されており、凸部11aが形成されている下方側は自由端となっている。そして、レンズホルダ支持部材11の上端側をネジ12にて固定することにより、前記凸部11a(自由端)側は前記板バネ2の内面2c方向に常時付勢力が付与される構成となっており、更に凸部11aと前記内面2cとで空間Z(図1(b)参照)が区画されるようになっている。
前記空間Zには、レンズホルダ支持部材11が固定される際に、金属製の線材を折り曲げることにより略コ字状に形成されたレンズホルダ13が挿通され、支持されるようになっている。このレンズホルダ13において、レンズホルダ支持部材11に支持される支持部13aの断面は、図2(b)に示す(なお、図2(b)は(a)のX−X線に沿う断面
図)ように、一部に偏平部を有する概略楕円形に形成されている。レンズホルダ13の両先端部には、レンズ固定部14が形成されている。
【0009】
このレンズ固定部14には、図1(a)に示すような、略矩形状の色付きサングラス(遮光レンズ)15の一角部がネジ16により固定されている。そして、この支持部13aは前記凸部11aによって常時内面2c側に付勢されているので、その回動位置により、色付きサングラス15は上方に跳ね上げられる上方位置(図1(b)中、二点鎖線)と、下方に下げられる下方位置(図1(b)中、実線)とに回動されると、夫々の位置で節度が付与されるようになっている。
【0010】
次に、図3を参照しながら、上記のように構成された付加型サングラス1を、既存のメガネ17に(後付け)装着する方法を説明する。なお、図3において、既存のメガネ17は側面から見ている。
使用者は、まず前レバー5及び後レバー6の両つまみ部10、10をつまみ、この状態で、両レバー5、6を支持する板バネ2の弾性反発力に抗しながら当該両つまみ部10、10が互いに近接する方向(図3中、B方向)へ力を加えていく。すると、両レバー5、6の両先端が徐々に離間する方向へと移動するのに伴って、板バネ2の両先端も徐々に離間する方向へと広がっていく。使用者は、この状態で付加型サングラス1を既存のメガネ17の上方で、且つ両レバー5、6が、フレーム18に支持された一対のレンズ8を挟むような位置に移動させる。それから、付加型サングラス1をゆっくり既存のメガネ17に被せ、両レバー5、6の樹脂9、9が既存のメガネ17のレンズ8に対して高さ方向に一致する位置まで下降させる。そして、今度は両つまみ部10、10に加えていた力を徐々に緩める。
【0011】
すると、板バネ2の弾性復元力によって、両レバー5、6の先端の樹脂9が、レンズ8の表裏面を徐々に挟みこむようになり、これにより付加型サングラス1は、既存のメガネ17に対して装着される。そして、使用者は、この状態で既存のメガネ17を通常通りかけて使用する。ここで、平時の場合、つまり使用者が眩しさを感じないときには、当該使用者は色付きサングラス15の端面を摘まんで当該色付きサングラス15を上方に跳ね上げた状態で使用する。一方、使用者が眩しいと感じた場合、前記使用者は、色付きサングラス15の端面を摘まんで当該色付きサングラス15を下方に下げて使用する。このような動作により、使用者は、視界の明るさを所望の光の強さに調整する。
【0012】
以上のような、本実施例の付加型サングラス1によれば、まず、その装着を前レバー5及び後レバー6(いわゆる、クリップのような構成)によって既存のレンズ8を表裏面から挟み込むように構成したので、既存のメガネ17の形状や材質を問うことなく、簡単に、且つ確実に装着することができる。また、両レバー5、6は板バネ2にて常に閉方向(レンズ8を挟む方向)に付勢される構成であるので、付加型サングラス1の装着力を向上させることができる。
また、前レバー5及び後レバー6の付勢力を当該両レバー5、6を組み付ける板バネ2によって得るようにした。このため、軸心を有するコイルバネのような複雑で、且つ機構が複雑なものを使用しなくてもよいので、構成を簡素化することができると共に、メンテナンスも容易にすることができる。
【0013】
次に、本発明の第2の実施例を図4及び図5を参照しながら説明する。なお、上記第1の実施例と同様な箇所には同符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図4に示すように、付加型サングラス20のレンズホルダ支持部材21は、断面視で下方側に凹部を有し、全体としては略矩形箱状をなしている。このレンズホルダ支持部材21は、板バネ2の内面2c(図4参照)のうち、後レバー6側の面(図4(b)では、右側の面)、この場合、使用者の視線方向とは反対側の面に、ボルト12にて固定されている。
このレンズホルダ支持部材21に回動可能に支持されるレンズホルダ24は、第1の実施例におけるレンズホルダ13の支持部13aと同様な形状に構成される支持部24a(図5参照)の両側面より、2本の腕部24b、24bが前方側(図4(b)中、左側)に延びている。そして、レンズ支持部24c、24cが、それら腕部24b、24bの先端から左右方向(図5(a)中、左右方向)に延びるように形成されている。レンズ支持部24c、24cには、調光レンズ22(詳細は後述する)の上端部がボルト22a及びナット22b(図5参照、図4では説明の便宜上、省略している)によって取り付けられている。
【0014】
調光レンズ22は、互いに同じ構成をなしているため、以下においては、左側の調光レンズ22についてのみ説明する。図4(a)に示すように、全体としては略矩形状をなす調光レンズ22は、図5に示すような、透光性を有する第1カバー25を備えている。この第1カバー25は略矩形状をなしており、上方両隅には、前述したボルト22aを挿入するボルト挿入孔26が形成されていると共に、裏面(図5中、後方の面)には、同一形状をなす不動偏光板27が配設されている。
【0015】
この不動偏光板27も、上方両隅にボルト挿入孔26が形成されており、その裏面には可動偏光板28が配設されている。可動偏光板28は、全体としては略円形をなすものであり、その外周部の一部には円弧状の切欠部29が形成されると共に、その一部は、前記第1カバー25及び不動偏光板27の下面よりも突出するように構成されている。この切欠部29は、可動偏光板28の回動範囲に応じて形成されるものであるが、本実施例では全周に亘って形成するようにしている。
【0016】
可動偏光板28の裏面には、透光性を有する第2カバー30が配設されている。この第2カバー30は、略矩形状をなしており、上方両隅には、ボルト挿入孔26が形成されている。また、第2カバー30の中央には、前述した可動偏光板28を収容支持するための収容部31が形成されている。この収容部31は、可動偏光板28の形状に沿って第2カバー30の厚み方向に概ね円形の凹みをなしているため、可動偏光板28は(第2カバー30の)収容部31に支持されながら回動可能になっている。
【0017】
以上のように第1カバー25、不動偏光板27、可動偏光板28、第2カバー30を配列して調光レンズ22を形成し、前記各ボルト挿入孔26及びレンズホルダ24(レンズ支持部24c、24c)にボルト22aを挿入し、ナット22bにて締めつけることにより、全部材が一体的に構成される。なお、このような構成の調光レンズ22を支持するレンズホルダ24は、支持部24aによって、上方に跳ね上げられる上方位置(図4(b)中、二点鎖線)と、下方に下げられる下方位置(図4(b)中、実線)とを節度的に回動可能になっている。
【0018】
このような構成の付加型サングラス20においては、既存のメガネ(図示せず)に装着した状態で、使用者が視界が暗い、或いは眩しいと感じた場合、前記使用者は、調光レンズ22の端面を摘まんで当該調光レンズ22を上方に跳ね上げたり、或いは下方に下げたりして調整する。更に、光の加減によって、使用者が調光レンズ22における光の透過率を調整したいという状態になったら、前記使用者は、切欠部29を触認しながら可動偏光板28を指にて回動させ、2枚の偏光板27、28が重なる角度に応じて所望の調光を行った時点で可動偏光板28の回動をやめるといった動作を、光の強さが変化する毎に行うようにする。
【0019】
以上のような第2の実施例によれば、上記第1の実施例と同様な効果を得られると共に、調光度合いを細かく調整することができる。なお、可動偏光板28は、第1カバー25及び不動偏光板27の上面から突出させるようにしてもよい。
また、上記第1及び第2の実施例において、レンズホルダ13に対して調光レンズ22を使用したり、或いはレンズホルダ24に色付きサングラス15を使用するようにしてもよい。
また、支持部13aの偏平度合いは、特に限定するものではなく、例えば複数の節度を持つような偏平度合いを付与するようにしてもよい。
また、付加型サングラス1、20を装着する既存のメガネ17のレンズ8は、度入りであっても、度入りでなくても、どちらでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、(a)は付加型サングラスの正面図、(b)は側面図
【図2】(a)は要部の分解斜視図、(b)は(a)のX−X線に沿う断面図
【図3】既存のメガネへの装着時における側面図
【図4】本発明の第2の実施例を示す図1相当図
【図5】図2相当図
【図6】従来例を示す斜視図
【符号の説明】
【0021】
図面中、1は付加型サングラス、2は板バネ、3は第1レバー支持部(側方支持部)、4は第2レバー支持部(下方支持部)、5は前レバー(挟みレバー)、6は後レバー(挟みレバー)、7は段部、9は樹脂、11はレンズホルダ支持部材、13はレンズホルダ、15は色付きサングラス(遮光レンズ)、20は付加型サングラス、21はレンズホルダ支持部材、22は調光レンズ(遮光レンズ)、24はレンズホルダ、25は第1カバー、27は不動偏光板、28は可動偏光板、30は第2カバーである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のレンズを有するメガネに対して後付される付加型サングラスにおいて、
前記レンズの表裏面を挟込む一対の挟みレバーと、
薄板を折り曲げることにより形成され前記挟みレバーを常に閉方向に付勢しながら支持する板バネと、
この板バネに取付けられたレンズホルダ支持部材と、
このレンズホルダ支持部材に回動可能に支持されたレンズホルダと、
このレンズホルダに支持される遮光レンズとを備えたことを特徴とする付加型サングラス。
【請求項2】
前記挟みレバーは、線材を曲げ加工することにより形成されるものであり当該挟みレバーにおいて前記レンズと当接する箇所には樹脂が取付けられていることを特徴とする請求項1記載の付加型サングラス。
【請求項3】
前記挟みレバーは、略U字の形状をなし、両側部の途中にクランク形状をなす一対の段部を有し、
前記板バネは、その両側端面から一部突出した耳部を折り曲げることにより形成された側方支持部と、両先端面から一部突出した耳部を折り曲げることにより形成された下方支持部とを有し、
前記挟みレバーは、その両側面が前記側方支持部に支持され、前記一対の段部が前記下方支持部にそれぞれ支持されることにより前記板バネに組み付けられていることを特徴とする請求項2記載の付加型サングラス。
【請求項4】
前記レンズホルダにおいて、前記レンズホルダ支持部材に支持される部分の断面が、一部に偏平部を有する概略楕円形状に形成されており、
前記レンズホルダ支持部材は、その一端側が前記板バネに固定され、他端部に形成された支持部に付与される付勢力により前記レンズホルダを支持することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の付加型サングラス。
【請求項5】
前記遮光レンズは、重ね合わせた状態で配置される不動偏光板及び可動偏光板と、
これら2枚の偏光板の両面側を覆い、透光性を有する材質で構成される第1及び第2カバーとを備えて構成され、
前記不動偏光板は、前記第1カバー側に固定され、
前記第2カバーは、前記可動偏光板を回動可能に収容支持し、
前記可動偏光板は円形をなし、その外周端部の一部は、前記第1及び第2カバーの上端もしくは下端の少なくとも一方より突出するように配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の付加型サングラス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−301287(P2006−301287A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122705(P2005−122705)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(501278423)野場電工株式会社 (18)
【Fターム(参考)】