説明

仮想エリア移動と実移動距離とをパラメータとして用いたネットワークゲームシステム

【課題】ユーザの実移動距離によって得られたポイントを、キャラクタの仮想エリア間の移動の短縮要素として設定可能なより娯楽性の高い「位置ゲー」(登録商標)を実現する。
【解決手段】仮想キャラクタを設定して、GPS付携帯電話端末で登録したホームグラウンドから近くのエリアから順番に買い付けを行わせる。その際に設定された買い付け時間を経過しないとホームグラウンドに帰還できないが、ユーザの実移動距離に合わせたポイントによって当該帰還時間を短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる位置ゲー(コロプラ社の登録商標)の一つとして、ゲーム内での仮想移動時間と実移動距離とを組み合わせたゲームに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末を用いて位置情報を登録させて、その位置情報に関連する情報を提供するシステムとしては、特開2009ー64214号公報(特許文献1)がある。
しかし、位置情報をパラメータとしてゲームの娯楽性を高めるものは存在しなかった。そこで、本出願人はWO2010/119866号(特許文献2)を提案している。
本出願人は、特願2011−005242号において、位置情報の登録によって新たなコンテンツデータファイルをダウンロードさせて娯楽性の高い携帯コンテンツを提供することを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−64214号公報
【0004】
【特許文献2】WO2010/119866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人は、特許文献2に記載された技術において、GPS機能を備えた携帯情報端末を用いて移動先毎に位置登録を行うことで、移動距離に対応したポイントを受ける仕組みや移動距離の不正操作を防止する仕組みを提案している。
しかし、本発明者らは移動距離に応じたポイントを得ることができるゲーム(所謂「位置ゲー」(本出願人の登録商標))において、娯楽性をさらに高いものにする必要があることを認識していた。
【0006】
たとえば、仮想キャラクタを設定して、当該仮想キャラクタを移動させて、その到着地毎にイベントを発生させるようなゲームも散見されるが、当該仮想キャラクタの移動は、ユーザの実移動距離を単純にそのままゲーム上で反映させて経験値等を付与するというような、面白味に欠けるものだった。
【0007】
本発明者らは、このような点から、ユーザによる実移動とキャラクタによる仮想移動とをどのように関連付けるかが重要であることを見いだした。
すなわち、本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ユーザの実移動距離によって得られたポイントを、キャラクタの仮想エリア間の移動の短縮要素として設定可能なより娯楽性の高い「位置ゲー」(本出願人の登録商標)を実現することを課題とする。

【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
本発明は、ユーザが所持する位置認識機能を備えた携帯端末と、該携帯端末とネットワークを介して接続されるゲームサーバとからなり、前記ゲームサーバには、ユーザを識別するためのユーザIDと、ユーザがホームグラウンドとして登録した初期位置情報と、移動後位置登録情報とが関連付けられたユーザテーブルと、当該ユーザ固有の仮想キャラクタの仮想位置情報と、移動可能指数と、当該仮想キャラクタと関連付けられた仮想価値指数とを関連付けたキャラクタ属性テーブルと、前記ホームグラウンドに近いエリアから次第に遠いエリアに段階的にホームグラウンドからの移動可能指数が設定され、そのエリア毎に取得可能な商品IDと、その値段とが関係付けられたエリアテーブルと、からなるテーブル群を有しており、前記ゲームサーバの中央処理装置が前記携帯端末から前記仮想キャラクタの特定のエリアへの移動指示を受け付けると、前記キャラクタ属性テーブルを参照して、ホームグラウンド位置から当該特定エリアへの移動が当該キャラクタが保有する移動可能指数の範囲内であるか否かを判定し、移動可能範囲内である場合には、当該特定エリアのエリアテーブルを参照して購入可能な商品IDと商品名とその値段とを表示させ、前記携帯端末からいずれかの商品IDを指定した購入指示があると、前記ゲームサーバの中央処理装置は、前記キャラクタ属性テーブルを参照して所持金を参照し、当該所持金が前記商品の値段よりも小さい場合には、当該商品を前記ユーザテーブルに登録して、前記所持金から値段を減算した金額でユーザテーブルの所持金を更新し、前記ユーザが前記携帯端末を用いて位置登録を行ったときには、前記中央処理装置は、前回の位置登録情報との差分から得られた移動距離に基づく移動可能指数をキャラクタ属性テーブルの移動可能指数に加算する処理を行う仮想エリア移動と実移動距離とをパラメータとして用いたネットワークゲームシステムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの実移動距離によって得られたポイントを、キャラクタの仮想エリア間の移動の短縮要素として設定することができ、より娯楽性の高い「位置ゲー」(本出願人の登録商標)を実現することができる。

【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態におけるシステム構成を示すハードウエアブロック図
【図2】実施形態のエリアテーブルを示す説明図
【図3】実施形態のキャラクタ属性テーブルを示す説明図
【図4】実施形態のユーザテーブルを示す説明図
【図5】実施形態の端末装置に表示される画面遷移を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図に基づいて説明する。
本実施形態のシステム構成は図1に示す通りであり、ネットワーク(NW)と基地局(BS1,BS2)とを介して互いに接続されるゲームサーバ(SV)と、端末装置(MP,MP2)とからなる。
【0012】
端末装置(MP,MP2)は、GPS(Global
Positioning System)を備えた携帯電話端末であり、具体的にはNTTドコモ社のiモード端末(NTTドコモ社の登録商標)、android端末(米国Google社の商標)等のスマートフォン等が用いられる。
【0013】
ネットワーク(NW)は汎用のTCP/IPによる所謂インターネットである。
【0014】
ゲームサーバ(SV)には、中央処理装置(CPU)およびメインメモリ(MM)を中心にバス(BUS)で接続された大規模記憶装置(HD)、ディスプレイ装置(DISP)、入力装置としてのキーボード(KEY)、GPSユニット(GPS)および通信インターフェース(I/F)を備えている。
【0015】
前記大規模記憶装置(HD)には、オペレーティングシステム(OS)とともに、サーバアプリケーションプログラム(APL)、ユーザテーブル(USTBL)その他各種テーブルやデータが設定されるメモリエリア(MEM)を有している。
【0016】
前記ユーザテーブル(USTBL)には、図4に示すように、ユーザID(UID)と、ホームグラウンド情報(HGPOINT)と、移動ポイント(RPOINT)と、所持商品IDと、値段とが関連付けて登録されるようになっている。
【0017】
ホームグラウンド情報(HGPOINT)とは、当該ユーザがホームグラウンドとして登録した位置情報であり、当該ユーザの自宅の住所または勤務先の住所等がこれに該当する。
【0018】
移動ポイント(RPOINT)とは、端末装置の移動距離に応じて付与されるポイントであり、当該端末装置を所持するユーザのGPSや基地局で認識される位置登録毎で得られる前回の位置との差分による距離情報をポイントに換算したものである。このような移動距離に応じたポイントの付与技術については、本発明者が「位置ゲー」(本出願人の登録商標)における不正防止技術として開示したWO2010/119866号公報に記載した技術を用いることができる。
【0019】
図2は、本実施形態の仮想エリアにおけるエリアテーブルを示したものである。ここではホームグラウンドとして「東京」を指定した場合について説明する。同図では、東京に対して群馬(BPOS1)を第1のエリア、青森(BPOS2)を第2のエリアとして特定する。このエリアテーブルもゲームサーバ(SV)の大規模記憶装置(HD)内に設定されている。エリアテーブルには、商品IDと買い付け商品(買い付け可能な商品)とその値段とが関連付けられて登録されている。
【0020】
図3は、キャラクタ属性テーブルを示している。このキャラクタ属性テーブルには、ユーザIDと、移動可能指数(T−CONT)と、仮想位置情報(BPOS)と、仮想所持金とが関連付けられて登録されるようになっている。
【0021】
本実施形態において、ユーザは、ゲームサーバ(SV)から配信され端末装置上に表示される仮想キャラクタ(たとえば「宇宙犬」(出願人の商標))をホームグラウンドからお使いに出して、各エリアで商品を買い付けることによって、仮想キャラクタが経営する店舗の品揃えを増やしてそれを他のユーザに売り込むことによって得られる対価で保有する仮想通貨を増やしていくことを楽しむネットワークゲームである。
【0022】
図5は、ユーザが所持する端末装置(MP,MP2)に表示される画面遷移を示している。同図左端画面にあるようにまずマイページが表示されると、ユーザ自身が選択した仮想キャラクタ(ここでは「宇宙犬」(出願人の商標))が店のカウンタ内でカウンタと棚に並べられた商品(ここでは金魚鉢でそれを象徴している)を販売している画像が表示されている。
【0023】
このメインページにおいて、ユーザが「買い付け」と表示されたボタン領域を指定して入力すると、「買い付け地方選択」画面が表示される。ゲーム開始の初期段階では、ホームグラウンドとして登録された「東京」から近隣のエリアにしか買い付けに行かせることはできない。ここで、「北関東」を選んだ場合、「近所」、「茨城」、「群馬」、「栃木」等の当該地方に属するエリアが表示され、これらのエリアのいずれか(たとえば同図では「群馬」)を選択すると、「群馬」における買い付けが実行される。このとき、当該エリア(たとえば「群馬」(BPOS1)のエリアテーブルで設定された買い付け可能商品が任意に選択されるようにしてもよいし、あるいはゲームサーバ(SV)からエリアテーブルに登録された買い付け可能商品の一覧がユーザの端末装置にダウロードされて買い付け可能商品の一覧の中から買い付けを希望する商品をユーザ自身が選択できるようにしてもよい。ここで商品の買い付けが可能か否かは、ゲームサーバ(SV)の中央処理装置(CPU)が、キャラクタ属性テーブルの「所持金」の数値と、当該エリア(ここでは「群馬」)のエリアテーブルの買い付け可能商品の「値段」の数値とを比較して「所持金」の数値が大きければ買い付けが可能であると判定する。買い付けが決定した場合には、キャラクタ属性テーブルの「所持金」の数値が、買い付け商品の「値段」の数値で減算された数値に更新されることになる。
【0024】
このようにして買い付けの実行が指示されると、端末装置の画面には、買い付けを完了して仮想キャラクタがホームグラウンドに帰還するまでの時間(同図では「10分」)が表示され、この時間が経過するまではユーザからの仮想キャラクタに対する次の行動指示は受け付けられない状態となる。この帰還時間は、ホームグラウンドと特定エリア(ここでは「群馬」)の距離によって異なっており、ホームグランドから遠いエリアほど期間時間が長く設定されている。
【0025】
一方、このときユーザが移動による位置登録の結果、所定の移動距離に基づく移動ポイント(RPOINT)を保有しているときにはこの移動ポイントを消費して(同図では「ロケットチャージ」と表現している)、前記期間時間を短縮させてホームグラウンドに帰還させて次の買い出しに出かけさせることが可能となる。この特定エリア(「群馬」)での買い付けが成功すると、「東京」→「群馬」への買い付けルートが開拓されたことになり、「ルート開拓」が画面上に表示される。
【0026】
このように、新たなルートが開拓されるということは、当該エリア(ここでは「群馬」)を新たな拠点としてさらに先の特定エリア(たとえば「青森」)に対して仮想キャラクタを買い付けに行かせることが可能となることを意味している。

【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、GPS機能を備えた携帯電話端末でのネットワークゲームに利用できる。
【符号の説明】
【0028】
CPU 中央処理装置
MM メインメモリ
BUS バス
DISP ディスプレイ
KEY キーボード
OS オペレーティングシステム
APL サーバアプリケーションプログラム
BS1,BS2 基地局
MP,MP2 端末装置(GPS付携帯電話端末)
NW ネットワーク
SV ゲームサーバ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持する位置認識機能を備えた携帯端末と、該携帯端末とネットワークを介して接続されるゲームサーバとからなり、
前記ゲームサーバには、ユーザを識別するためのユーザIDと、ユーザがホームグラウンドとして登録した初期位置情報と、移動後位置登録情報とが関連付けられたユーザテーブルと、
当該ユーザ固有の仮想キャラクタの仮想位置情報と、移動可能指数と、当該仮想キャラクタと関連付けられた仮想価値指数とを関連付けたキャラクタ属性テーブルと、
前記ホームグラウンドに近いエリアから次第に遠いエリアに段階的にホームグラウンドからの移動可能指数が設定され、そのエリア毎に取得可能な商品IDと、その値段とが関係付けられたエリアテーブルと、からなるテーブル群を有しており、
前記ゲームサーバの中央処理装置が前記携帯端末から前記仮想キャラクタの特定のエリアへの移動指示を受け付けると、前記キャラクタ属性テーブルを参照して、ホームグラウンド位置から当該特定エリアへの移動が当該キャラクタが保有する移動可能指数の範囲内であるか否かを判定し、
移動可能範囲内である場合には、当該特定エリアのエリアテーブルを参照して購入可能な商品IDと商品名とその値段とを表示させ、
前記携帯端末からいずれかの商品IDを指定した購入指示があると、前記ゲームサーバの中央処理装置は、前記キャラクタ属性テーブルを参照して所持金を参照し、当該所持金が前記商品の値段よりも小さい場合には、当該商品を前記ユーザテーブルに登録して、前記所持金から値段を減算した金額でユーザテーブルの所持金を更新し、
前記ユーザが前記携帯端末を用いて位置登録を行ったときには、前記中央処理装置は、前回の位置登録情報との差分から得られた移動距離に基づく移動可能指数をキャラクタ属性テーブルの移動可能指数に加算する処理を行う
仮想エリア移動と実移動距離とをパラメータとして用いたネットワークゲームシステム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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