説明

仮設トイレ

【課題】給水設備のない場所においても使用することができるとともに、貯水タンクへの外部からの水の補給を可及的に減らすことができ、しかも貯水タンク内の水を有効に活用しうるようにした仮設トイレを提供する。
【解決手段】汚物処理装置2内の空気を吸引して、その空気中に含まれる湿気を除湿水として除去し、除湿水を排水口より、また除湿された乾燥空気を排気口より排出するようにした除湿機と、除湿機における排水口に排水管をもって接続され、除湿水を貯留する貯水タンク44と、貯水タンク44に貯留された除湿水を水洗式の便器4に給水する足踏み式のポンプ50と、除湿機における排気口と汚物処理装置2における空気取入口とに接続され、除湿機の排気口から排出される乾燥空気を汚物処理装置2内に再循環させる再循環管とを備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設トイレ、特に、汚物処理装置用の除湿機を備える仮設トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土木作業現場や災害地等において、一時的に設置される仮設トイレには、汚物と分解促進物質とを攪拌するようにした汚物処理装置を設けたものがある(例えば特許文献1参照)。
この従来の仮設トイレは、汚物処理装置内の分解促進物質である微生物の分解浄化作用を有効に発揮できるようにするため、微生物棲息母材の含水率を水分センサにより検出し、含水率が高い場合は、除湿器により除湿し、含水率が低い場合は、給水タンク内の水を、処理槽内に給水するようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−575537
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、仮設トイレは、建築現場や山岳地等の給水設備のない場所に設置されることが多く、そのような場合には、給水タンクに頻繁に水を補給することは困難である。
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、給水設備のない場所においても使用することができるとともに、貯水タンクへの外部からの水の補給を可及的に減らすことができ、しかも貯水タンク内の水を有効に活用しうるようにした仮設トイレを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 攪拌翼を作動させることにより、汚物を、分解促進物質とともに攪拌して、分解処理するようにした汚物処理装置の上方に、便器を含むトイレユニットを取り付けた仮設トイレにおいて、前記汚物処理装置内の空気を吸引して、その空気中に含まれる湿気を除湿水として除去し、前記除湿水を排水口より、また除湿された乾燥空気を排気口より排出するようにした除湿機と、前記除湿機における排水口に排水管をもって接続され、除湿水を貯留する貯水タンクと、この貯水タンクに貯留された除湿水を水使用装置に給水する給水手段と、前記除湿機における排気口と汚物処理装置における空気取入口とに接続され、除湿機の排気口から排出される乾燥空気を汚物処理装置内に再循環させる再循環管とを備えるものとする。
【0007】
このような構成とすると、除湿機から排出される除湿水を貯水タンクに貯留して、この水を有効に活用しうるようにしてあるので、給水設備のない場所においても仮設トイレを設置することができるとともに、貯水タンクへの外部からの水の補給を可及的に減らすことができる。
しかも、除湿機から排出される乾燥空気を汚物処理装置内に再循環させるようにしてあるので、汚物処理装置内における汚物の分解処理を促進させることができる。
【0008】
(2) 上記(1)項において、給水手段を、除湿水を便器に洗浄水として供給するポンプとする。
【0009】
このような構成とすると、便器を水洗式とすることができるだけでなく、貯水タンクに貯留した除湿水を便器の洗浄水として使用できるので、水の有効利用を図ることができる。
しかも、汚物とともに汚物処理装置に供給された便器の洗浄水は、汚物処理装置内における汚物の分解処理に寄与することができ、さらに、そこから蒸発した水分は、除湿機から除湿水として再度貯水タンクに貯留され、再循環を繰り返すことができ、水の有効利用が図れる。
【0010】
(3) 上記(2)項において、ポンプを、足踏み式のものとする。
【0011】
このような構成とすると、人力により、便器を少量の水で洗浄することができる。
【0012】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、汚物処理装置に、その内部の湿度または分解促進物質の含水率を検出する湿度または水分検出手段を設け、この湿度または水分検出手段が、予め定めた設定湿度または設定含水率以下となったとき、貯水タンク内の水を、給水手段により、汚物処理装置内に供給するようにする。
【0013】
このような構成とすると、汚物処理装置内の分解促進物質の含水率を一定に保つことができ、汚物を効率よく分解処理することができる。
因みに、分解促進物質の含水率が高すぎても、低すぎても、分解処理能力が低下することは、上記特許文献1に記載されているとおりである。
【0014】
(5) 上記(4)項において、トイレユニットが、小便器と大便器とを備えるものとし、前記小便器に貯尿タンクを接続し、貯尿タンク内の尿を、電磁弁を介して汚物処理装置内に導くようにし、前記貯尿タンクに、貯尿タンク内に尿が貯留されていることを検出する貯尿センサを設け、この貯尿センサが貯尿を検出しており、かつ湿度または水分検出手段が、予め定めた設定湿度または設定含水率以下となったことを検出したとき、汚物処理装置内への貯水タンク内の水の供給に先だって、前記電磁弁を開いて、貯尿タンク内の尿を、電磁弁を介して汚物処理装置内に供給するようにする。
【0015】
このような構成とすると、尿をも、水分として汚物処理装置内における汚物の分解処理に有効に活用することができ、貯水タンクに貯留した水の使用を低減することができる。
仮設トイレから外部に自然放出する水分量と、汚物処理装置に供給される屎尿の水分量とがバランスすると、原理的には、貯水タンクへの外部からの水の補給は不要となる。
【0016】
(6) 上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、汚物処理装置を、回転軸に設けた攪拌翼を回転させることにより、汚物を、分解促進物質とともに攪拌して、分解処理するようにした汚物処理槽と、該汚物処理槽が着脱自在に設けられ、かつ前記回転軸を回転させる駆動手段が設けられたベースと、前記駆動手段の出力部材に設けられ、かつ前記汚物処理槽をベースにおける正規の装着位置に装着したとき、前記回転軸に相対回転不能として係合するようにしたカップリングとを備えるものとする。
【0017】
このような構成とすると、駆動手段をベースに設置したままで、汚物処理槽のみを、駆動手段から切り離して、ベースから取り出し、新しい分解促進物質を収容した別の汚物処理槽と交換したり、メンテナンス作業を行ったりすることができる。
また、汚物処理槽をベースにおける正規の装着位置に装着するだけで、汚物処理槽の回転軸が、カップリングに相対回転不能として係合し、駆動手段と連係されるので、回転軸と駆動手段の出力部材とを、ボルト・ナット等をもって連結する必要がなく、作業効率がよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、給水設備のない場所においても使用することができるとともに、貯水タンクへの外部からの水の補給を可及的に減らすことができ、しかも貯水タンク内の水を有効に活用しうるようにした仮設トイレを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の仮設トイレの第1の実施形態を斜め前方より見た斜視図である。
【図2】汚物処理装置より汚物処理槽を前方に引き出し、かつ除湿機を情報に分離して示す斜視図である。
【図3】汚物処理装置の平面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】図3のVI−VI線断面図である。
【図7】汚物処理装置に、汚物処理槽搬送車を接続したときの斜視図である。
【図8】本発明の仮設トイレの第2の実施形態における制御系統を模式的に示す系統図である。
【図9】図8に示す制御系統の作用を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の第1の実施形態を、図1〜図7を参照して説明する。
図1に示すように、この仮設トイレ1は、汚物処理装置2上に、床板3、水洗式の大便器とした便器4、前面に扉5を備える外装体6等からなるトイレユニット7を装着したものよりなっている。
なお、トイレユニット7は、本発明には直接関係しないので、それについての詳細な説明は省略する。
【0021】
図1〜図6に示すように、汚物処理装置2は、底板8と、両側板9、9と、後面板10とを有し、上面と前面とが開放するベースである筐体11を備えている。
【0022】
底板8の前端両側部には、図示しないフォークリフトのフォークを挿入しうる受孔8a、8aが設けられている。
筐体11内における後面板10より若干前方には、左右方向を向く仕切板12が設けられている。
【0023】
図1に示すように、筐体11の前面には、ステップ13を備える前面板14が、その両側部を複数のボルト15をもって両側板9、9の前端面に固着することにより、着脱可能として装着されている。この前面板14は、後述する汚物処理槽が前方に移動するのを阻止する役目をしている。
【0024】
図2に示すように、筐体11における仕切板12より前方において、両側板9、9の内側面上部には、前後方向を向く左右1対のローラーコンベヤ16、16が設けられている。各ローラーコンベヤ16は、各側板9の内面に固着した前後方向を向く上向コ字状の枠材16a内に、複数のローラ16bを、その一部が上方に突出するようにして、前後に並べて、左右方向を向く軸16cをもって枢支したものよりなっている。
【0025】
筐体11における仕切板12より前方の画室内には、汚物処理槽17が、左右のローラーコンベヤ16、16に沿って、前方に引き出し可能として、着脱自在に設けられている。
汚物処理槽17は、前後方向を向く2個の上向半円筒体を左右に接合した形状とした正面視上向B型の底板18と、両側板19、19と、前面板20と、後面板21とからなる、上面が開放した箱状をなし、両側板19、19の上端に設けた外向鍔部22、22を、左右のローラーコンベヤ16、16上に載置することにより、前後方向に軽力で移動させうるようになっている。
【0026】
汚物処理槽17内には、前後方向を向く左右1対の回転軸23、23が、前面板20と後面板21とに設けた軸受装置24をもって、汚物処理槽17より前後対称をなして前後に突出するようにして、回転自在に設けられている。
【0027】
各回転軸23は、六角軸その他の非円形断面のもので、その両端に尖先部23aが形成され、かつ軸受装置24を挿通するべき部分に、小径軸部(図示略)が形成されている。
【0028】
各回転軸23は、前後部の軸受装置24、24とともに、汚物処理槽17から上方に取り外すことができるようになっている。そのための具体的な構造に関しては、本発明と直接関係しないため、図示および詳細な説明は省略する。
【0029】
図2〜図4に示すように、汚物処理槽17内における各回転軸23には、複数の攪拌翼25が、回転軸23の軸線方向に適宜の間隔を置いて取り付けられており、左右の回転軸23、23を、後述する駆動手段により、互いに逆方向に回転させることによって、各回転軸23に取り付けられた攪拌翼25により、汚物処理槽17内に収容した分解促進物質26と、便器4より落下した汚物(図示略)とを攪拌して、汚物を分解処理しうるようになっている。
【0030】
分解促進物質26としては、微生物が生息するおが屑、もみ殻、杉チップ等のいわゆるバイオチップを使用するのが好ましい。
【0031】
筐体11における後面板10と仕切板12と両側板9、9とによって囲まれた部屋の底板8上には、駆動手段としての左右1対のギヤードモータ27、27が、左右の回転軸23、23の間隔と等しい間隔をもって設けられている。
【0032】
各ギヤードモータ27の前方を向く出力軸28の前端部には、トーションダンパ29を介して、カップリング30(図2参照)が接続されている。
トーションダンパ29としては、入力軸29aと出力軸29bとが、タイヤ状の弾性体29cを介して接続され、出力軸29bが入力軸29aに対して、所要量だけ偏心および偏角しうるようにした公知のものを用いるのが好ましい。
【0033】
カップリング30は、トーションダンパ29の出力軸29bと一体的に形成されており、この例では、回転軸23のいずれの端部もが相対回転不能として嵌合しうるようにした公知の十二角ソケットとしてあるが、回転軸23の端部と補形をなす六角孔、またはその他の非円形孔を設けたものとすることもできる。
【0034】
左右のトーションダンパ29、29およびカップリング30、30は、仕切板12に設けた左右1対の通孔31、31より前方に臨むように、または通孔31、31を通って仕切板12より前方に突出するように配設され、汚物処理槽17を、図3および図4に示すような筐体11における正規の装着位置に装着したとき、左右の回転軸23、23の後端部が、相対回転不能として嵌合するようにしてある。
また、左右の回転軸23、23は、汚物処理槽17の前後の端部より同様に突出させてあるので、汚物処理槽17の前後の向きを反転させて筐体11の正規位置に装着したときにも、左右の回転軸23、23の端部は、カップリング30、30に嵌合することができる。
【0035】
筐体11における底板8の上面中央部には、汚物処理槽17を底面より加温する前後方向を向くヒータ32が設けられている。
また、仕切板12の上部には、複数の排気孔33が、左右方向に並べて設けられ、仕切板12の下部中央には、1個の空気取入口34が設けられている。
【0036】
図4〜図6に示すように、筐体11における後面板10と仕切板12と両側板9、9とによって囲まれた部屋の上部には、上面が排気孔33より下位となるようにした補助底板35が、後面板10と仕切板12との対向面に設けた複数のブラケット36上に載置されて支持されている。
【0037】
後面板10と仕切板12と両側板9、9との上端には、下面のみが開口する補助室カバー37が着脱可能として設けられ、この補助室カバー37と後面板10と仕切板12と両側板9、9と補助底板35とにより、密閉空間(排気孔33を除く)の補助室38が形成されている。
【0038】
補助室38内の補助底板35上には、除湿機39が設けられている。
図2、および図4〜図6に示すように、除湿機39は、前後両側面に吸気口40(後面のものは図示略)を備え、この吸気口40より吸気した空気中に含まれる湿気を除湿水として除去し、この除湿水を、前面下部に設けた排水口41より排出し、また、除湿された乾燥空気を、一側面上部に設けた排気口42より排出するようになっている。
【0039】
除湿機39の排水口41に接続した可撓性の排水管43は、補助室カバー37の側面下縁に設けた切欠き37aを通して、外部に引き出され、その先端部は、筐体11の側方の地面等に載置した貯水タンク44の給水口44aに接続されている。
【0040】
除湿機39の排気口42に接続した可撓性の排気ダクト45は、排気口42から真下に向かい、その下端は、補助底板35の一側部に設けた接続口46に接続されている。
接続口46は、補助底板35の下面に設けた左右方向を向く送気ダクト47の一側端部に連通されている。
【0041】
送気ダクト47における補助底板35の中央部側の端部の底面には、下方を向く可撓性ダクト48の上端が接続され、この可撓性ダクト48の下端部は、前方に屈曲させられて、仕切板12の空気取入口34に後方より接続されている。
【0042】
この排気ダクト45、送気ダクト47、および可撓性ダクト48により、除湿機39の排気口42から排出される乾燥空気を汚物処理装置2内に再循環させる再循環管49が形成されている。
【0043】
図1に示すように、トイレユニット7内における便器4の横の床板3上には、貯水タンク44に貯留された除湿水を、水使用装置としての水洗式便器4に給水する、給水手段としての足踏み式のポンプ50が設けられている。
【0044】
このポンプ50は、吸込管51をもって貯水タンク44の注水口44bに接続され、かつ送水管52をもって便器4に接続され、本体53より前方に突出するペダル54を踏み込むことにより、貯水タンク44に貯留された除湿水を、便器4内に噴出させて、便器4内を洗浄しうるようになっている。
【0045】
除湿機39の排気口42から、再循環管49を通して、仕切板12の空気取入口34より汚物処理装置2内に送給された乾燥空気は、図3および図4に矢印で示すように、ヒータ32部分に送られ、ヒータ32によって熱せられた後、汚物処理槽17の前面板20と、筐体11の前面を塞ぐ前面板14との間の空間を通って上昇し、さらに、床板3の下面に沿って後方に反転し、汚物処理槽17内の加温された分解促進物質26から発生する湿気とともに、汚物処理槽17の後方の排気孔33から、補助室38内に進入し、ここで除湿機39の吸気口40より除湿機39内に吸引される。
【0046】
除湿機39の吸気口40より吸引された空気は、除湿機39内において除湿され、その除湿水は、排水口41より排水管43を通って、貯水タンク44に貯留される。
【0047】
除湿機39の排気口42より排出される乾燥空気は、上記のように、再循環管49を通して、仕切板12の空気取入口34より汚物処理装置2内に送給され、上記経路を繰り返し循環させられる。
【0048】
貯水タンク44に貯留された除湿水は、トイレ使用者が用便後にポンプ50のペダル54を踏み込むことにより、吸込管51により吸い上げられ、かつ送水管52より便器4に圧送されて、便器4内を洗浄し、洗浄後、汚物とともに汚物処理槽17内に落下する。
【0049】
汚物処理槽17内においは、分解促進物質26と汚物と便器4の洗浄水とが、ヒータ32により加温された環境下で、攪拌翼25により緩速で攪拌されることにより、汚物が効果的に分解される。
【0050】
このように、除湿機39から排出される除湿水を貯水タンク44に貯留して、この水を有効に活用しうるようにしてあるので、給水設備のない場所においても仮設トイレ1を設置することができるとともに、貯水タンク44への外部からの水の補給を可及的に減らすことができる。
【0051】
しかも、除湿機39から排出される乾燥空気を汚物処理装置2内に再循環させるようにしてあるので、汚物処理装置2内における汚物の分解処理を促進させることができる。
【0052】
この実施形態においては、給水手段を、除湿水を便器4に洗浄水として供給する足踏み式のポンプ50としてあるので、便器4を水洗式とすることができるだけでなく、貯水タンク44に貯留した除湿水を便器4の洗浄水として使用でき、水の有効利用を図ることができる。
【0053】
しかも、汚物とともに汚物処理装置2に供給された便器4の洗浄水は、汚物処理装置2内における汚物の分解処理に寄与することができ、さらに、そこから蒸発した水分は、除湿機39から除湿水として再度貯水タンク44に貯留され、再循環を繰り返すことができ、水の有効利用が図れる。
【0054】
一定の使用期間経過後、または処理限界を超えて使用したとき等には、図1に示すボルト15を外して、前面板14を、ステップ13とともに、筐体11から外し、それによって開いた筐体11の前端開口部に、図7に示す荷車状の汚物処理槽搬送車45を接続し、その状態で、汚物処理槽17を前方に引き出すのと同時に、汚物処理槽搬送車55に移載し、その後、汚物処理槽搬送車55を、予め待機しておいたトラック等の場所まで移動させてトラック等に移載する。
【0055】
その後、予め用意しておいた、新しい分解促進物質26を収容した交換用の汚物処理槽17を、上記の、または上記のものとは別の汚物処理槽搬送車55に載置して、空になっている上記汚物処理装置2まで運び、その筐体11の前端開口部に汚物処理槽搬送車55を、上記と同様に接続し、交換用の汚物処理槽17を、汚物処理槽搬送車55から筐体11側へ移載する。
【0056】
交換用の汚物処理槽17が、正規の装着位置まで後方に押し込まれる直前に、各回転軸23の後端の尖先部23aがカップリング30に進入し、尖先部23aの自動求心作用により、各回転軸23の後端部は、カップリング30と相対回転不能として、確実に接続される。
このときの各回転軸23の後端部とカップリング30とのわずかな偏心や偏角は、トーションダンパ29により吸収されるので、回転軸23の後端部とカップリング30との接続は、円滑かつ迅速に行われる。
【0057】
その後、ステップ13とともに、前面板14をボルト15によって筐体11の前面に固定すれば、メンテナンス作業が終了する。
このように、前面板14を外して、使用済みの汚物処理槽17と交換用の汚物処理槽17とを入れ替えるだけで、メンテナンス作業を簡単かつ迅速に行うことができるので、辺境地や山間部等に設置した仮設トイレ等に好適である。
【0058】
使用済みの汚物処理槽17は、トラック等により工場等に持ち帰り、各回転軸23を、攪拌翼25や軸受装置24等とともに、汚物処理槽17から外し、その後に汚物処理槽17内に残った汚物と分解促進物質26とを、簡単に取り出すことができる。
また、このような作業を、現場において行う必要がないので、メンテナンス作業が著しく軽減される。
【0059】
汚物処理槽搬送車55は、本発明には直接関係しないので、その大まかな構成のみを簡単に説明すると、この汚物処理槽搬送車55は、図7に示すように、左右1対の車輪56、56を有する台車57と、台車57を汚物処理装置2の前方における正規の移載位置に位置させたとき、汚物処理装置2における左右のローラーコンベヤ16、16の前端より一直線状に整合するようにして、台車57に設けられた左右1対のローラーコンベヤ58、58と、ローラーコンベヤ58、58の後端部の高さが、ローラーコンベヤ16、16の前端部の高さと一致するべく、台車57の後端部の高さを調整する高さ調整手段59と、台車57の後端部に設けられ、筐体11の左右の側板9、9のいずれか一方の前端部側面に左右方向より当接することにより、ローラーコンベヤ58、58の後端部が、ローラーコンベヤ16、16の前端部と左右方向に整合するべく、台車57の後端部を、筐体11の前端部に対して左右方向に位置決めする位置決め手段50とを備えている。
【0060】
図8は、本発明の仮設トイレの第2の実施形態における制御系統を模式的に示す系統図である。なお、図8に示すもの以外の構成は、第1の実施形態と同一であり、その同一の構成部材については、第1の実施形態におけるのと同一の符号を付して説明する。
【0061】
この仮設トイレ1においては、トイレユニット7内に、便器4の他に、小便器61を設け、この小便器61に貯尿タンク62を接続し、貯尿タンク62内の尿を、電磁弁63を設けた給液管64を介して汚物処理槽17内に導くようにし、また、貯尿タンク62内に、貯尿タンク62内に尿が貯留されていることを検出する貯尿センサ65を設けてある。
【0062】
汚物処理槽17には、その内部の分解促進物質26の含水率を検出する水分センサ(水分検出手段)66が設けられている。この水分センサ66は、例えば、上記特許文献1に記載されているものと同一のものとすることができる。
この水分センサ66に代えて、汚物処理装置2内の湿度を検出する湿度計(湿度検出手段)(図示略)を用いてもよい。
【0063】
貯水タンク44とポンプ50とを結ぶ吸込管51には、貯水タンク44内の水を、汚物処理槽17に供給する送水管67が分岐接続されており、この送水管67には、電動ポンプ68が設けられている。
【0064】
CPU等により形成された制御装置69の入力側には、上記貯尿センサ65および水分センサ66が接続され、同じく出力側には、電磁弁63および電動ポンプ68が接続されている。
【0065】
次に、制御装置69と制御系統全体の作用を、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、ギヤードモータ27、除湿機39その他の、図8に示されていない電気設備の制御に関しては、詳細な説明は省略する。
【0066】
水分センサ66が、汚物処理槽17内の分解促進物質26の含水率が予め定めた下限値以下になったことを検出し(ステップS1)、そのとき、貯尿センサ65が、貯尿タンク62内の液位が予め定めた下限値以上であること、すなわち、貯尿タンク62内に尿が一定量以上貯留されていることを検出していると(ステップS2)、制御装置69内のタイマ(図示略)が計時をスタートする(ステップS3)と同時に、電磁弁63が開弁かれ(ステップS4)、貯尿タンク62内の尿は、給液管64を通って、汚物処理槽17に内に供給され、汚物処理槽17内に水分が補給される。
【0067】
タイマが計時をスタートしてから、予め定めた第1設定時間t1が経過すると(ステップS5)、電磁弁63が閉弁され(ステップS6)、汚物処理槽17内への尿の供給は停止される。
【0068】
第1設定時間t1は、1回当りに汚物処理槽17内に供給され尿の最適供給量が、給液管64を通過する時間に基づいて定めるのが好ましい。
【0069】
第1設定時間t1の経過後、第2設定時間t2が経過する(ステップS7)までは、電磁弁63の開弁作動および電動ポンプ68の作動は停止させられ(ステップS8)、第2設定時間t2が経過すると(ステップS7)、水分センサ66による上記ステップS1からの再度の作動が可能となる。
【0070】
第2設定時間t2は、汚物処理槽17内への1回分の尿または後述する貯水タンク44内の水の供給後に、汚物処理槽17内の分解促進物質26の含水率が適正値に戻るまでに必要な時間に基づいて定めるのがよい。
【0071】
ステップS5において、タイマが第1設定時間t1を計時する以前に、貯尿センサ65が、貯尿タンク62内の液位が予め定めた下限値より小であること、すなわち、貯尿タンク62内に尿が一定量以上貯留されていないことを検出すると(ステップS9)、電磁弁63は閉弁され(ステップS10)、汚物処理槽17内への尿の供給は停止され、それと同時に、電動ポンプ68は作動させられて(ステップS11)、貯水タンク44内の水が、吸込管51および送水管67を通って、汚物処理槽17内へ供給される。
【0072】
このときの電動ポンプ68による単位時間当たりの水の供給量は、電磁弁63の開弁時における給液管64からの尿の供給量に近づけておくのが好ましい。
【0073】
その後、タイマが第1設定時間t1を計時すると(ステップS12)、電動ポンプ68の作動は停止させられ(ステップS13)、汚物処理槽17内への水の供給は停止させられる。
【0074】
その後、第2設定時間t2が経過するまでは(ステップS7)、上記と同様に、電磁弁63の開弁作動および電動ポンプ68の作動は停止させられる(ステップS8)。
【0075】
ステップS2において、貯尿センサ65が、貯尿タンク62内の液位が予め定めた下限値より小であること、すなわち、貯尿タンク62内に尿が一定量貯留されていないことを検出していると、タイマは計時をスタートし(ステップS14)、それとほぼ同時に、電動ポンプ68が作動させられて(ステップS14)、貯水タンク44内の水が、吸込管51および送水管67を通って、汚物処理槽17内へ供給される。
【0076】
その後は、上記ステップS12、S13と同様に、タイマが第1設定時間t1を計時すると(ステップS12)、電動ポンプ68の作動は停止させられ(ステップS13)、汚物処理槽17内への水の供給が停止させられる。
【0077】
本発明の第2の実施形態によると、水分センサ66が、予め定めた設定含水率以下となったとき、貯水タンク44内の水を、電動ポンプ68等の給水手段により、汚物処理装置2内に供給するようにしてあるので、汚物処理装置2内の分解促進物質26の含水率を一定に保つことができ、汚物を効率よく分解処理することができる。
【0078】
また、貯尿センサ62が貯尿を検出しており、かつ水分センサ66が設定含水率以下となったことを検出したとき、汚物処理装置2内への貯水タンク44内の水の供給に先だって、電磁弁63を開いて、貯尿タンク62内の尿を、電磁弁63を介して汚物処理装置2内に供給するようにしてあるので、尿をも、水分として、汚物処理装置内における汚物の分解処理に有効に活用することができ、貯水タンクに貯留した水の使用を低減させることができる。
仮設トイレから外部に自然放出する水分量と、汚物処理装置に供給される屎尿の水分量とがバランスすると、原理的には、貯水タンクへの外部からの水の補給は不要となる。
【0079】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、例えば、次のような幾多の変形した態様での実施が可能である。
(A) 足踏み式のポンプ50に代えて、電動式のポンプを用い、これを図8に示す電動ポンプ68と共用する。
(B) 貯水タンク44を、トイレユニット7内、または補助室38内に配設する。
(C) 水使用装置を、手洗い用の給水装置その他とする。手洗い用の給水装置とする場合は、その前段に殺菌装置や濾過装置を設けるのが好ましい。
(D) 貯水タンク44に、雨水をも貯留するようにする。
(E) 除湿機の除湿能力を切り換え可能とし、汚物処理装置内の湿度または分解促進物質の含水率の程度に応じて、除湿機の除湿能力を切り換えるようにする。
【符号の説明】
【0080】
1 仮設トイレ
2 汚物処理装置
3 床板
4 便器(水使用装置)
5 扉
6 外装体
7 トイレユニット
8 底板
8a 受孔
9 側板
10 後面板
11 筐体(ベース)
12 仕切板
13 ステップ
14 前面板
15 ボルト
16 ローラーコンベヤ(ベース側ガイドレール)
16a 枠材
16b ローラ
16c 軸
17 汚物処理槽
18 底板
19 側板
20 前面板
21 後面板
22 外向鍔部
23 回転軸
23a 尖先部
24 軸受装置
25 攪拌翼
26 分解促進物質
27 ギヤードモータ(駆動手段)
28 出力軸
29 トーションダンパ
29a 入力軸
29b 出力軸
29c 弾性体
30 カップリング
31 通孔
32 ヒータ
33 排気孔
34 空気取入口
35 補助底板
36 ブラケット
37 補助室カバー
37a 切欠き
38 補助室
39 除湿機
40 吸気口
41 排水口
42 排気口
43 排水管
44 貯水タンク
44a 給水口
44b 注水口
45 排気ダクト
46 接続口
47 送気ダクト
48 可撓性ダクト
49 再循環管
50 ポンプ(給水手段)
51 吸込管
52 送水管
53 本体
54 ペダル
55 汚物処理槽搬送車
56 車輪
57 台車
58 ローラーコンベヤ
59 高さ調整手段
60 位置決め手段
61 小便器
62 貯尿タンク
63 電磁弁
64 給液管
65 貯尿センサ
66 水分センサ(水分検出手段)
67 送水管
68 電動ポンプ
69 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
攪拌翼を作動させることにより、汚物を、分解促進物質とともに攪拌して、分解処理するようにした汚物処理装置の上方に、便器を含むトイレユニットを取り付けた仮設トイレにおいて、
前記汚物処理装置内の空気を吸引して、その空気中に含まれる湿気を除湿水として除去し、前記除湿水を排水口より、また除湿された乾燥空気を排気口より排出するようにした除湿機と、
前記除湿機における排水口に排水管をもって接続され、除湿水を貯留する貯水タンクと、
この貯水タンクに貯留された除湿水を水使用装置に給水する給水手段と、
前記除湿機における排気口と汚物処理装置における空気取入口とに接続され、除湿機の排気口から排出される乾燥空気を汚物処理装置内に再循環させる再循環管
とを備えることを特徴とする仮設トイレ。
【請求項2】
給水手段を、除湿水を便器に洗浄水として供給するポンプとした請求項1記載の仮設トイレ。
【請求項3】
ポンプを、足踏み式のものとした請求項2記載の仮設トイレ。
【請求項4】
汚物処理装置に、その内部の湿度または分解促進物質の含水率を検出する湿度または水分検出手段を設け、この湿度または水分検出手段が、予め定めた設定湿度または設定含水率以下となったことを検出したとき、貯水タンク内の水を、給水手段により、汚物処理装置内に供給するようにした請求項1〜3のいずれかに記載の仮設トイレ。
【請求項5】
トイレユニットが、小便器と大便器とを備えるものとし、前記小便器に貯尿タンクを接続し、貯尿タンク内の尿を、電磁弁を介して汚物処理装置内に導くようにし、前記貯尿タンクに、貯尿タンク内に尿が貯留されていることを検出する貯尿センサを設け、この貯尿センサが貯尿を検出しており、かつ湿度または水分検出手段が、予め定めた設定湿度または設定含水率以下となったことを検出したとき、汚物処理装置内への貯水タンク内の水の供給に先だって、前記電磁弁を開いて、貯尿タンク内の尿を、電磁弁を介して汚物処理装置内に供給するようにした請求項4記載の仮設トイレ。
【請求項6】
汚物処理装置を、回転軸に設けた攪拌翼を回転させることにより、汚物を、分解促進物質とともに攪拌して、分解処理するようにした汚物処理槽と、該汚物処理槽が着脱自在に設けられ、かつ前記回転軸を回転させる駆動手段が設けられたベースと、前記駆動手段の出力部材に設けられ、かつ前記汚物処理槽をベースにおける正規の装着位置に装着したとき、前記回転軸に相対回転不能として係合するようにしたカップリングとを備えるものとした請求項1〜5のいずれかに記載の仮設トイレ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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