説明

伏越し構造

【課題】 雨水等の伏越し構造内に土砂や浮遊ゴミが堆積することを防止する。
【解決手段】 伏越し構造1を、上流側水路2より細く、かつそれぞれ同一の流路断面積からなる下向流部11、横向流部12及び上向流部13によって構成する。横向流部12の出口と下流側水路2の入口より下流側とに、上向流部13より細い排泥管4を連通させる。排泥管4は、上向流部13より上向き傾斜が緩くなり、かつ管径が細いため、横向流部12を流下してきた土砂を自動的に掻き揚げて、下流側水路2に排出することができる。また排泥管4の入口近傍底部に圧縮空気を定期的に噴出させて、土砂を強制的に掻き揚げることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水若しくは下水がそれぞれ流下する水路、または雨水及び下水が一緒に流下する合流式の水路において、地下道等の障害物の下を潜り抜ける伏越し構造に関し、特に伏越し構造内に堆積する浮遊ゴミや土砂等の除去手段を備える伏越し構造に関する。
【背景技術】
【0002】
降雨は、道路側溝等から路面下等に埋設した水路等を経て河海へ放流される。また下水も、路面下等に埋設した水路等を経て河海へ放流される。しかるに水路の途中に、河川または地下軌道や地下道等の地下構造物が、障害物として横切る場合も多い。このように水路の途中に障害物がある場合には、この障害物を越える手段として、従来から伏越し構造が採用されている。
【0003】
図18に、従来技術による典型的な伏越し構造の縦断面を示す。この伏越し構造の原型は、江戸時代からの伝承的な土木技術の継承であって、地下道等の障害物Aを挟む上流側水路402と、下流側水路403との間を、この障害物の下を潜り抜ける伏越し構造401で連結する。
【0004】
伏越し構造401は、入口側から順に、垂直に下降する上流側伏越し室411と、この伏越し室の下底に連通し、かつ障害物Aの下をほぼ水平に潜り抜ける横向流部412と、この横向流部の出口が連通して垂直に上昇する下流側伏越し室413とを備えている。なお下流側水路403は、下流側伏越し室413の上部に連通している。また横向流部412の流路断面積は、上流側水路402より20〜30%縮小してある。さらに上流側水路402の出口の底面高さと、下流側水路403の入口の底面高さとの間に、伏越し構造における損失水頭に相当する伏越し落差ΔHを付け、この落差に基づく静水圧によって、伏越し構造401内において下水や雨水を流下させている。
【0005】
ところが上述した伏越し構造401には、次の問題があった。すなわち縦穴状の上流側伏越し室411及び下流側伏越し室413の断面積は、横向流部412の流路断面積より、おおよそ3〜15倍大きくなっている。したがって上流側伏越し室411及び下流側伏越し室413内では、横向流部412の流速に対し、1/3〜1/15に流速が減少し、このため底部に土砂等が沈殿し易くなる。特に上流側伏越し室411では、垂直な下降流となるため、雨水や下水の沈降流に随伴して、土砂性懸濁物の沈殿をさらに促進させることになる。
【0006】
このように上流側伏越し室411や下流側伏越し室413の底部に、時間の経過と共に土砂等が堆積していくと、横向流部等の流れを閉塞するため、定期的に堆積した土砂等を外部に取り出すことが必要となり、このような土砂等の清掃には、大掛かりな設備や手間が掛かる。
【0007】
また上流側伏越し室411は、上述したように断面積が大きく流速が遅いため、上流側水路402から流入した木の葉や紙等の浮遊ゴミは、横向流部412に到達しないで、この上流側伏越し室の水面に浮遊して堆積し易くなる。このように上流側伏越し室411の水面に堆積した浮遊ゴミも、伏越し管401を閉塞させる原因となる。
【0008】
さらに伏越し構造401内は、流水の有無にかかわらず常に満水の状態であるため、上流側伏越し室411及び下流側伏越し室413の水面より上の空間は、相互の通気性が遮断されてしまう。したがって上流側伏越し室411の水面に堆積した浮遊ゴミは腐敗し易くなって、臭気ガスや硫化水素ガス等を発生させる。
【0009】
ここで上流側水路402や上流側伏越し室411が外気と遮断されている暗渠構造に場合には、発生した臭気ガスや硫化水素等の有害ガス等は、この上流側伏越し室内に滞留する。このような状態において、降雨により上流側水路402内の水位が上昇すると、上流側伏越し室411や上流側水路402内に滞留した臭気ガスや硫化水素ガス等が、この上流側水路の出口付近に移動集積する。特に硫化水素を含む空気は比重が大きいため、より高い位置にある上流側水路402の水面上に滞留した硫化水素を含む空気は、それより低い位置にある上流側伏越し室411の水面の上部付近へ移動する。
【0010】
このように上流側伏越し室411の水面の上部付近等に滞留した臭気ガスや硫化水素ガス等は、これらの開放点検等において地表に放出されたり、内部の点検や修理等の作業に支障が生じたりしないように、事前に大掛かりな除去作業が必要となる。
【0011】
そこで本発明者等は、分流式の下水道について、上述した上流側伏越し室411と下流側伏越し室413とを廃止して、伏越し構造をベント管で構成する手段を提案した(特許文献1参照。)。
【0012】
また特に雨水を流下する上流側水路が、上部に蓋のない開水路の場合には、木の葉や紙類等の浮遊ゴミが大量に流入するため、伏越し構造の起点部に、鋼鉄製の櫛目状スクリーンを設置して、この伏越し構造内に浮遊ゴミが流入することを防止する手段も採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−163622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した特許文献1に記載の手段は、伏越し構造を、下方に傾斜した下向流部と、障害物の下を潜り抜ける横向流部と、上方に傾斜する上向流部とからなるベント管で構成すると共に、このベント管を上流側下水管と下流側下水管とに外部から密閉した状態で連通させている。したがって下水の速度エネルギーと、位置エネルギーとの双方を有効利用することができるので、下水の流下力を増大させ、土砂等や浮遊ゴミが堆積することを防止できる。ところが、この特許文献1に記載のベント管は、下水を対象とするものであるため、大量の雨水を流下する伏越し構造に対しては、土砂等の堆積を防止することが困難であることが判明した。
【0015】
すなわち雨水を流下する水路は、豪雨等に対処するため流路面積が大きい水路が必要になり、伏越し構造をベント管で構成する場合には、その管径が5m以上になる場合もある。また伏越し構造の全長が500m以上になる場合もある。ところで雨水を流下する水路には、土砂が多量に流入するが、この流入した多量の土砂は、比重が大きいため、横向流部及び上向流部の底面に沿って流下する。しかるに横向流部及び上向流部は、管径が太くて長いため、流入した多量の土砂を横向流部内において下流側に押し流したり、上向流部内を上方に掻き揚げさせたりすることが困難になる。このため流入した多量の土砂の一部が、横向流部の底面に沿って堆積したり、横向流部の末端に堆積したりし易くなる。
【0016】
さらに雨水を流下する水路は、晴天時には、水量が極めて少なくなるため、ベント管内もほぼ止水状態になる。したがって流入した雨水に含まれる有機性のゴミ等が、伏越し構造内に長時間滞留して腐敗し易くなる。ここで伏越し構造を挟む上流側水路や下流側水路が暗渠の場合には、腐敗したガスが、これらの内部に充満し易くなる。
【0017】
なお大量の下水を流下する下水路に設けたベント管からなる伏越し構造においても、同等な問題が生じ得る。
【0018】
また上述した櫛目状のスクリーンは、上流側水路を直角に横断して、全流路断面を仕切るように設置されているため、このスクリーンに浮遊ゴミが引っ掛かって堆積すると、スクリーンが閉塞して通水能力が阻害されてしまう。したがって、スクリーンに堆積した浮遊ゴミを定期的に除去しないと、いわゆるゲリラ豪雨のように水量が急激に増大する場合には、スクリーンの上流側において上流側水路内の水が溢れ出して、浸水被害を誘発させる危険性がある。
【0019】
そこで本発明の第1の目的は、障害物の下を横切る横向流部に集積する土砂等を、下流側水路に自動的に排出できる伏越し構造を提供することにある。第2の目的は、第1の目的に加えて、従来技術による伏越し室の底部に土砂等が堆積すること、及び伏越し室の水面に浮遊ゴミが堆積することを防止できる伏越し構造を提供することにある。第3の目的は、第1及び第2の目的に加えて、横向流部に集積する土砂等を、下流側水路に強制的に排出できる伏越し構造を提供することにある。
【0020】
第4の目的は、第1〜第3の目的に加えて、集中豪雨等のように水量が急激に増えた場合であっても、氾濫等が生じない浮遊ゴミの除去手段を備えた伏越し構造を提供することにある。第5の目的は、伏越し構造内で発生するガスに対して、自動的に脱臭及び脱硫ができる伏越し構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決すべく、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、伏越し構造における横向流部の出口と、下流側水路の入口より下流側とにおいて連通する排泥管を、上方に向けて傾斜するように設け、この排泥管の流路断面積を上向流部の断面積より小さくすることによって、横向流部に集積する土砂等を、下流側水路に自動的に排出できることを見出し、これに基づき本発明を完成させた。
【0022】
すなわち本発明による伏越し構造は、雨水若しくは下水の水路、または雨水及び下水が合流する水路において、障害物の下を潜り抜ける伏越し構造であって、上流側水路の出口に連通すると共に下方に向かう下向流部と、この下向流部の出口に連通すると共に、上記障害物の下を横切る横向流部と、この横向流部の出口と下流側水路の入口とに連通すると共に上方に向かう上向流部と、上記横向流部の出口に一端部が連通すると共に、他端部が上記下流側水路の入口より下流側において連通する排泥管とを備えている。上記排泥管は、上方に向けて傾斜すると共に、その流路断面積が上記上向流部の流路断面積より小さいことを特徴としている。
【0023】
ここで上記発明の特徴を、より理解し易くするために、図19を参照しつつ、上記排泥管の作用を説明する。さて本発明による伏越し構造では、上向流部は、横向流部の出口と、下流側水路の入口とに連通している。一方排泥管の一端部は、上向流部と同様に横向流部の出口に連通し、他端部は、下流側水路の入口より下流側において連通している。すなわち排泥管の他端部は、上向流部が連通する下流側水路の入口よりも下流側に下った位置において、この下流側水路に連通する。したがって、上向流部が垂直な場合であっても、あるいは上方に傾斜する場合であっても、排泥管の上向きの傾斜は、必ず上向流部より緩やかになる。
【0024】
ところで上方に傾斜する排泥管内において、土砂を上方に掻き揚げるために必要となる水流の速度は、排泥管の直径及び排泥管の上方傾斜角度に反比例することが実験的に確かめられている。例えば、排泥管に45度の上り傾斜角があった場合、粒径5mmの土砂を掻き揚げるために必要な流速は、排泥管の内径が100mmの場合では1.20m/秒、200mmの場合では1.29m/秒となる。また排泥管の上方傾斜角度が緩いほど、排泥管内における同一流速に対して、土砂を垂直方向に掻き揚げる高さ分が少なくなるため、土砂を掻き揚げるために必要な流速を遅くすることができる。
【0025】
したがって、上述したように排泥管の傾きを上向流部より緩やかにし、かつ排泥管の流路面積を、上向流部の流路面積より小さくすれば、上向流部において土砂を掻き揚げることが困難な遅い水流の速度であっても、かかる排泥管を使用すれば土砂を掻き揚げることができる。すなわち横向流部の出口に集積した土砂を、上向流部では掻き揚げが困難な場合であっても、排泥管によって掻き揚げることができる。
【0026】
また雨水や下水の水路は、位置エネルギーによって雨水等を流下させるために、5/1000程度の下り勾配が付けてあり、上流側水路と下流側水路とにも同等な下り勾配が付けてある。しかるに上述したように、排泥管の一端部は、上向流部と同様に横向流部の出口に連通するが、他端部は、下流側水路の入口より下流側において連通している。したがって図19に示すように、排泥管の他端部が下流側水路に連通する位置の標高は、上向流部が下流側水路の入口に連通する位置の標高より、この下流側水路における下り勾配分Δhだけ低くなる。したがって排泥管の他端部が連通する位置における下流側水路内の水位は、上向流部の出口位置における水位よりほぼΔhだけ低くなる。
【0027】
また上述したように、伏越し構造では、上流側水路の出口の底面高さと、下流側水路の入口の底面高さとの高低差、すなわち伏越し落差ΔHに基づく静水圧によって、雨水や下水を流下させている。上述したように排泥管の他端部が連通する位置における下流側水路内の水位は、下流側水路の入口、すなわち上向流部の出口の水位より、ほぼ下流側水路における下り勾配分Δhだけ低くなっている。したがって排泥管の他端部が下流側水路に連通する位置の水位における落差は、上向流部の出口の水位における落差より、ほぼ下流側水路における下り勾配分Δhだけ大きくなる。このため排泥管内の流速は、上向流部内の流速より速くなって、排泥管による土砂の掻き揚げ力が、さらに増強する。
【0028】
以上により、横向流部の出口に集積した土砂を、上向流部では掻き揚げが困難な場合であっても、排泥管によって掻き揚げることができる。
【0029】
ここで「下方に向かう下向流部」は、下向流部が、傾斜しつつ降下する場合に限らず、垂直に降下する場合も含み、従来技術による上流側伏越し室も含まれる。「横切る横向流部」は、水平に横切る場合に限らず、下流側に向かって下り勾配を付けた場合も含み、直管の場合に限らず、曲管で形成する場合も含む。「上方に向かう上向流部」は、上向流部が、傾斜しつつ上昇する場合に限らず、垂直に上昇する場合も含み、従来技術による下流側伏越し室も含まれる。「下向流部」、「横向流部」及び「上向流部」の断面形状は、円形の場合に限らず、矩形や多角形等の他の断面形状も含む。「排泥管の流路断面積を上向流部の流路断面積より小さく」するのは、上述したように、排泥管における土砂等の掻き揚げ力を向上させるためである。
【0030】
ところで排泥管の上向き傾斜角度を、より緩くすると、土砂の掻き揚げ能力は増大するが、排泥管が長くなって掘削工事等に手間が掛かる。したがって排泥管の上向き傾斜角度は、上向流部の上向き傾斜角度と後述する流路断面積と費用対効果等とを考慮して、適正な角度に設定する。上向流部の上向き傾斜角度としては、20〜80度、望ましくは20〜60度、さらに望ましくは20〜45度とする。
【0031】
また排泥管の流路断面積は、上向流部の流路断面積より小さくすることが必要であるが、どの程度小さくするかは、上向流部の上向き傾斜角度や流入する土砂の量等に基づいて、最適な流路断面積に設定する。排泥管の流路断面積としては、上向流部の流路断面積の0.3〜3%、望ましくは0.6〜3%とする。なお排泥管の断面形状を円形とした場合、流路の内径は、100mm〜400mmとすることが望ましく、150mm〜200mmとすることがさらに望ましい。100mm未満であると、サイズが大きい石等が流入した場合には、掻き揚げることが難しくなり、400mmを超えると、上述したように、土砂を掻き揚げるために速い流速が必要になって、土砂を掻き揚げることが難しくなるからである。また上向流部の流路面積が大きくなる場合には、円断面形状の流路の内径が150mm〜200mmの排泥管を、複数本設けることも効果的である。
【0032】
さて上記下向流部、横向流部及び上向流部の流路断面積は、それぞれ上記上流側水路または上流側水路の流路断面積の0.5〜1.0倍とすることが望ましい。これにより、流速が遅くなる従来技術による伏越し室を省くことができるため、伏越し室の底部に土砂等が堆積したり、伏越し室の水面に浮遊ゴミが堆積したりすることを防止できる。
【0033】
なお「上流側水路の流路断面積の0.5〜1.0倍」としたのは、0.5倍未満では、雨水等の計画水量を流すことが困難となるからである。すなわち雨水等が流下する水路(上流側水路及び下流側水路)は、計画水量、つまり想定される最大水量の2倍を流下できる流路断面積に設定されているため、伏越し構造の流路断面積を上流側水路等の0.5倍以上にすれば、雨水等が計画水量に達しても、伏越し構造の流路内の流れ損失が、計画値以上になることを防止できるからである。また1.0倍より広くすると、伏越し構造の流路における流速が遅くなって、浮遊ゴミや土砂等が堆積し易くなると共に、伏越し構造を構築するコストが増大するためである。
【0034】
ところで降雨があっても、その降雨量が少ない場合には、下向流部の水位が
上流側水路の出口の底面より低くなって、実際上の伏越し落差が、上述した伏越し落差ΔHより小さくなり、排泥管における流速が、土砂等を十分掻き揚げることができる流速を下回る場合もある。あるいは排泥管による自動的な掻き揚げ能力を超えて、多量な土砂が流入する場合もある。かかる場合に対しては、排泥管の入口の近傍において、排泥管内に圧縮空気を供給すると、排泥管内を上昇する空気等に伴い、土砂等を強制的に掻き揚げることができる。
【0035】
すなわち、このような発明による伏越し構造は、圧縮空気供給装置と圧縮空気供給管とを備え、この圧縮空気供給管は、その一端部が上記圧縮空気供給装置に連通すると共に、他端部が、上記排泥管の入口の近傍であって、この排泥管の底部において開口している。そして上記圧縮空気供給装置は、所定の時期に上記圧縮空気供給管を介して圧縮空気を上記排泥管内に供給することを特徴とする。
【0036】
ここで「圧縮空気供給装置」は、いわゆるコンプレーサで空気を圧縮するものに限らず、圧縮ボンベのような圧縮空気を詰めた容器も含む。また地上等に据え付けるものに限らず、移動可能なものも含む。圧縮空気圧は、おおよそ0.8〜1.2MPag程度で足り、かつ定期的に使用するものであるため、移動可能なものが望ましい。「圧縮空気供給管は、・・・・他端部が、上記排泥管の底部・・・・において開口している」とは、圧縮空気供給管が、排泥管の外部に設けられており、その他端部が排泥管の底部の壁面に開口している場合に限らず、圧縮空気供給管が、排泥管の内部に挿設されており、その他端部が排泥管の底面近傍に開口している場合も含まれる。
【0037】
「所定の時期」としては、台風や雨季の後が効果的である。おおよそ毎年1〜2回程度が望ましいが、状況により、さらに回数を増やす場合も含む。
【0038】
ところで、例えば伏越し構造の横向流部が長く、雨水時における伏越し構造内における水流の速度が低い場合には、横向流部の底面上に土砂が堆積して、この堆積した土砂が、排泥管の入口まで流下し難くなることが考えられる。かかる場合には、横向流部の底面上に堆積した土砂を、強制的に排泥管の入口まで流下させて集積できる手段が望まれる。
【0039】
すなわち、このような発明による伏越し構造は、圧縮空気または圧力水の供給装置と、上記横向流部の底部に長手方向に沿って設けた供給管とを備え、この供給管は、その上側面に開口する、長手方向に配列した複数の噴出孔を有すると共に、上記供給装置に連通している。そして上記供給装置は、所定の時期に圧縮空気または圧力水を、上記供給管を介して、上記横向流部内に噴出させることを特徴とする。
【0040】
ここで「圧縮空気または圧力水の供給装置」のうち「圧縮空気の供給装置」には、いわゆるコンプレーサで空気を圧縮するものに限らず、圧縮ボンベのような圧縮空気を詰めた容器も含む。また「圧力水の供給装置」には、ポンプ等によって圧力水を送り出すものに限らず、例えば建屋の屋上に設置した貯水槽から、位置エネルギーを利用して圧力水を送り出すものや、水道水に掛かっている水圧によって圧力水を送り出すものも含まれる。
【0041】
「上記横向流部の底部に・・・設けた供給管」とは、横向流部の底部の内側面上に、供給管を配設する場合にかぎらず、例えば横向流部等をシールド工法等で形成する場合には、この横向流部の二次覆工コンクリートの底部の壁面内に装填する場合も含まれる。かかる場合には、横向流部における流れ損失を少なくすることができる。
【0042】
「所定の時期」とは、排泥管内に圧縮空気を供給する時期の直前が望ましい。また比較的多量の降雨があった場合は、その降雨の最中とすることも効果的である。
【0043】
さて上述したように横向流部は、常に満水の状態になっている。したがって
上記供給装置が圧縮空気を供給する場合には、横向流部に噴出した空気が集合して、空気塊を形成することが考えられる。横向流部に形成された空気塊は、下向流部や上向流部にも流れ込み、伏越し構造内における雨水や下水の流れを妨げる。したがって空気塊を外部に逃がす手段を設けることが望ましい。
【0044】
すなわち、このような発明による伏越し構造においては、上記供給装置は、圧縮空気を上記横向流部内に噴出させるものであって、さらにこの横向流部の上側部には、長手方向に沿って空気排出管が設けてあり、この空気排出管は、その下側面に開口する、長手方向に配列した複数の空気取入れ孔を有すると共に、上記上流側水路、下流側水路または外気に連通していることを特徴とする。なお上記空気排出管は、横向流部の上部の内側面上に配設する場合にかぎらず、上述した供給管と同様に、この横向流部の上部の壁面内に充填する場合も含まれる。また上述したように、横向流部には、下り勾配が付けてある場合が多い。かかる場合には、横向流部内に発生した空気塊は、この横向流部の入口側に移動する。したがって、空気排出管を、横向流部の全長にわたって設ける場合に限らず、入口側から下流側に向けて一定の長さ分だけ設けても有効である。
【0045】
ところで上記横向流部の底面に、凹形状の横断面を有する溝等を、長手方向に沿って形成すると、この溝等内に、土砂が集積し易くなる。そこで圧縮空気または圧力水を噴出させる供給管を、この溝等内に設ければ、より効果的に土砂を、横向流部の出口に流下して集積させることができる。すなわち、このような発明による伏越し構造は、上記横向流部の底部には、凹形状の横断面を有する土砂集積ピットが長手方向に沿って形成してあり、上記供給管は、上記土砂集積ピット内に設けてあることを特徴とする。
【0046】
ここで「凹形状の横断面を有する土砂集積ピット」には、例えば円形断面形状の横向流部の最下底面に、凹形状の横断面を有する溝を形成したものや、矩形断面形状を有する横向流部の底面を、この横向流部の両側面から中央部向けて、あるいは一方の側面から他方の側面に向けて下降傾斜させ、最も低位置にある中央部や他方の側面の近傍に、凹形状の横断面を有する溝を形成したものも含まれる。また「土砂集積ピット」は、横向流部の全長に亘って形成する場合に限らず、横向流部の出口から上流側に向かって、一定の長さ分だけ形成する場合も含む。
【0047】
さて上記上流側水路の少なくとも一部が開水路である場合には、落ち葉や紙類等の浮遊ゴミが、大量に上流側水路に流れ込み、これらの浮遊ゴミが伏越し構造内の流路を閉塞する恐れがある。したがってこれらの浮遊ゴミが、伏越し構造に流入しないようにするスクリーン等を、伏越し構造の手前に設ける必要があるが、上述したように、このスクリーン等に浮遊ゴミが堆積して、このスクリーンを閉塞しないようにする必要がある。
【0048】
そこで、このような発明による伏越し構造は、上記上流側水路の少なくとも一部は開水路であって、この上流側水路の出口より上流側には浮遊ゴミの除去手段を備え、この浮遊ゴミの除去手段は、上記上流側水路を斜めに横切って仕切る第1の通水性スクリーンと、この上流側水路の側面に開口するストックヤードとを備えている。また上記第1の通水性スクリーンは、横方向に所定の間隔を隔てて設けた垂直軸と、この垂直軸にそれぞれ回転自在に設けた回転部材と、水に浮く浮動部とを備え、この第1の通水性スクリーンは、上下方向の縦幅が20〜50cmであって、上記浮動部によって、その上端面が上記上流側水路の水面より上に浮揚する。
【0049】
上記ストックヤードは、上記第1の通水性スクリーン上で捕捉されて斜め下流側に押し流されてくる浮遊ゴミが流入する流入口と、この流入する浮遊ゴミを捕捉する第2の通水性スクリーンと、この第2の通水性スクリーンを通過した水が上記上流側水路に流出する流出口とを有する。
【0050】
ここで「回転部材」は、その形状を問わない。例えば球状のもの、円筒状のもの、あるいは算盤玉状のものが該当する。「浮動部」は、「回転部材」とは別に、浮動部材を設ける場合に限らず、「回転部材」を中空にしたり、水に浮く材料を利用したりして、浮動性を持たせる場合も含む。「第1の通水性スクリーンは、上下方向の縦幅が20〜50cm」としたのは、浮上ゴミは、水面だけでなく、水面下にも巻き込まれて流下するため、20cm未満であると、水面より下方位置を流下する浮上ゴミを、十分捕捉することが困難となるからである。また50cmより大きくすると、豪雨等により水量が増大したときに、第1の通水性スクリーンが浮上しても、この第1の通水性スクリーンの下に開口して、水だけを流下できる面積が少なくなるからである。
【0051】
「第2の通水性スクリーン」は、ある程度以上のサイズの浮遊ゴミを捕捉できる貫通孔を有する部材を意味し、例えば鋼鉄製の格子や、スリットを配列した鋼板が該当する。
【0052】
ここで上記浮遊ゴミの除去手段の作用を説明する。すなわち上流側水路を斜めに横切って仕切る第1の通水性スクリーンは、上下方向の縦幅が20〜50cmであって、浮動部によって、水位の上昇に伴って浮上し、この第1の通水性スクリーンより下方には、このスクリーンによって仕切られない流路が開口する。したがって、集中豪雨等の多量な水量が流入した場合は、水位の上昇に伴って第1の通水性スクリーンは浮上し、水面付近に浮遊するゴミを捕捉する。一方浮遊ゴミの混入が少ない、水面付近より下方を流下する大部分の雨水等は、第1の通水性スクリーンの下を潜り抜けることができる。したがって浮遊ゴミが一時的に堆積して、第1の通水性スクリーンの通水能力が低下しても、雨水等が上流側水路から溢れ出ることが防止できる。
【0053】
さらに上記第1の通水性スクリーンは、上流側水路を斜めに横切って仕切り、さらに横方向に所定の間隔を隔てて設けた垂直軸に、上下方向に移動自在に設けた回転部材を備えていることによって、この第1の通水性スクリーンの回転部材に捕捉された浮遊ゴミは、水流の力に押されて斜め下流方向に移動して、ストックヤードに流入口から流入する。したがって浮遊ゴミは、第1の通水性スクリーンに堆積しないため、この第1の通水性スクリーンの通水能力が保持される。
【0054】
また上記ストックヤードでは、流入する浮遊ゴミは、第2の通水性スクリーンによって捕捉され、この第2の通水性スクリーンを通過した水は、流出口から上流側水路に戻される。ここで上流側水路の側面には、十分の広さを有するストックヤードを容易に設けることができる。したがって、第2の通水性スクリーンに浮遊ゴミが捕捉されても、相当の期間、通水能力が大幅に減少することを回避できる。すなわち豪雨が降り続く程度の期間内で、第2の通水性スクリーンの通水能力が、大幅に減少しないようにすることが容易にできる。
【0055】
さて上述したように、伏越し構造内は、流水の有無にかかわらず常に満水の状態であるため、特に上流側水路が暗渠に場合には、伏越し構造内に堆積した浮遊ゴミ等は、腐敗し易くなって臭気ガスや硫化水素ガス等を発生させ、これらの有害ガスが上流側水路や下向流部の水面上の空間に滞留する。したがって、これらの有害ガスを除去しつつ、外部に排出する手段が望まれる。
【0056】
すなわち、このような発明による伏越し構造は、上記上流側水路は暗渠であって、脱臭脱硫装置、及びこの脱臭脱硫装置と上記上流側水路とに連通する通気経路を備え、この上流側水路内に滞留するガスは、この上流側水路の水位が上昇したときには、上記通気経路を介して上記脱臭脱硫装置に押し出されて脱臭及び脱硫されることを特徴とする。なお上記伏越し構造では、暗渠内の水位の変動によって、滞留するガスが脱臭脱硫装置に押し出されるが、吸引ファンを設けて、滞留するガスを、脱臭脱硫装置に強制的に送るようにしてもよい。
【発明の効果】
【0057】
第1に、流路断面積が上向流部の流路断面積より小さい排泥管を、上方に傾斜させつつ、横向流部の出口と下流側水路の入口より下流側とにおいて連通させることによって、この横向流部に堆積する土砂等を、自動的に下流側水路に排出することができる。第2に、さらに伏越し構造を構成する下向流部、横向流部及び上向流部の流路断面積を、上流側水路等の流路断面積以下にすることによって、伏越し構造内に浮遊ゴミや土砂等が堆積することを防止することができる。
【0058】
第3に、さらに上記排泥管の入口の近傍において圧縮空気を供給することによって、土砂等を強制的に掻き揚げて、下流側水路に排出することができる。第4に、横向流部の底部に長手方向に沿って、圧縮空気または圧力水の供給管を設け、この供給管から圧縮空気または圧力水を噴出させることによって、この横向流部の底部に堆積した土砂等を、この横向流部の出口、すなわち排泥管の入口に集積させることができるため、より効果的に、この横向流部に堆積する土砂等を掻き揚げて、下流側水路に排出することが可能となる。
【0059】
第5に、上記供給管が圧縮空気を噴出させる場合には、横向流部の上側部に長手方向に沿って空気排出管を設けることによって、この供給管から噴出した圧縮空気によって生成される空気塊を、容易に伏越し構造外に排出することが可能となるため、この空気塊によって伏越し構造が閉塞されることを防止できる。第6に、さらに凹形状の横断面を有する土砂集積ピットを、横向流部の底部に長手方向に沿って形成し、上記供給管を、この土砂集積ピット内に設けることによって、この横向流部に堆積する土砂等を、より効果的に排泥管の入口に集積させることができる。
【0060】
第7に、上流側水路の少なくとも一部が開水路の場合には、この上流側水路の
出口より上流側を、斜めに横切って仕切る第1の通水性スクリーンを設け、この第1の通水性スクリーンの上下方向の縦幅を20〜50cmとすると共に、この上流側水路の水位の変動に伴って浮動するように構成することによって、水面近くの浮遊ゴミをこのスクリーンで捕捉しつつ、浮遊ゴミの混入が少ない大部分の雨水等を、このスクリーンの下を潜り抜けて流下させることができる。したがって集中豪雨等の場合でも、上流側水路が溢れることを防止できる。
【0061】
また上記第1の通水性スクリーンを、回転部材を使用して構成すると共に、上流側水路の側面にストックヤードを設け、この第1の通水性スクリーンで捕捉される浮遊ゴミを、このストックヤードに自動的に流入させることによって、この第1の通水性スクリーンに浮遊ゴミが堆積することが防止できる。したがって第1の通水性スクリーンの通水能力が保持されるため、集中豪雨等の場合でも、上流側水路が溢れることを、さらに効果的に防止できる。またストックヤードに捕捉された浮遊ゴミは、集中豪雨等が止んで水位が低下したときに、安全かつ迅速に除去できる。
【0062】
第8に、上流側水路は暗渠の場合には、この上流側水路に連通する脱臭脱硫装置を備えることによって、この上流側水路の水位が上昇したときに、この上流側水路内に滞留するガスを自動的に脱臭脱硫装置に押し出して、脱臭及び脱硫することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】伏越し構造の全体を示す縦断面図である。
【図2】排泥管の入口近傍を示す一部縦断面図である。
【図3】他の排泥管の入口近傍を示す一部縦面図である。
【図4】他の排泥管の入口近傍を示す一部縦断面図である。
【図5】圧縮空気供給管の排泥管への取付け部分を示す一部縦断面図である。
【図6】圧縮空気の供給管と空気排出管とを示す一部縦断面図である。
【図7】圧縮空気の供給管と空気排出管とを示す横断面図である。
【図8】圧縮空気の供給管の一部拡大縦断面図である。
【図9】空気排出管の一部拡大縦断面図である。
【図10】土砂集積ピットの拡大横断面図である。
【図11】他の土砂集積ピットの拡大横断面図である。
【図12】他の土砂集積ピットの拡大横断面図である。
【図13】排泥管と排泥マンホールとの水位の説明図である。
【図14】浮遊ゴミ除去手段の上面図である。
【図15】浮遊ゴミ除去手段の一部拡大斜視図である。
【図16】浮遊ゴミ除去手段の側面図である。
【図17】脱臭脱硫装置回りを示す一部縦断面図である。
【図18】従来技術による伏越し構造の全体を示す縦断面図である。
【図19】上向流部と排泥管との水位を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1〜図17を参照しつつ、本発明による伏越し構造を説明する。最初に図1を参照しつつ、本発明による伏越し構造1の全体の構成について説明する。伏越し構造1は、雨水の水路において、障害物Aの下を潜り抜ける構造であって、その縦断面がUの字状のベント管で構成されている。すなわち伏越し構造1は、上流側水路2の出口に連通すると共に、下方に向かう下向流部11と、この下向流部の出口に連通すると共に、障害物Aの下を横切る横向流部12と、この横向流部の出口と下流側水路3の入口とに連通すると共に、上方に向かう上向流部13と、この横向流部の出口に一端部が連通すると共に、他端部がこの下流側水路の入口より下流側において連通する排泥管4とを備えている。
【0065】
なお伏越し構造1の保守点検や清掃等を行なうために、上流側水路2の出口及び下流側水路3の入口には、それぞれ上流側マンホールBと下流側マンホールCとが設けてある。また上流側水路2の出口の底面と、下流側水路3の入口の底面との間には、伏越し落差ΔHが設けてある。
【0066】
伏越し構造1は、下流側水路3の上方の地面に置いた移動可能な圧縮空気供給装置6と、圧縮空気供給管5とを備えている。圧縮空気供給管5は、地面に開口するハンドホールD内に設けた空気バルブを介して、その一端部が圧縮空気供給装置6に連通すると共に、他端部が、排泥管4の入口の近傍であって、この排泥管の底部において開口している。また横向流部12の底部には、長手方向に沿って圧縮空気の供給管7が設けてある。供給管7は、地面に開口するハンドホールE内に設けた空気バルブを介して、その一端部が圧縮空気供給装置6に連通している。なお横向流部12の底部には、後述するように、凹形状の横断面を有する土砂集積ピット12aが長手方向に沿って形成してあり、供給管7は、この土砂集積ピット内に設けてある。さらに横向流部12の上側部には、空気排出管8が、長手方向に沿って設けてあり、この空気排出管は、上流側水路2の出口に設けた上流側マンホールBに連通している。なおハンドホールD及びEは、それぞれ下流側マンホールCによって代替してもよい。
【0067】
また上流側水路2の少なくとも一部が開水路である場合には、この上流側水路の出口より上流側に、浮遊ゴミの除去手段9が設けてある。また上流側水路2が暗渠である場合には、脱臭脱硫装置10が、この上流側水路の上部に埋設されている。なお浮遊ゴミの除去手段9及び脱臭脱硫装置10の詳細については、後述する。
【0068】
ここで上流側水路2及び下流側水路3の内径は、それぞれ2300mmに形成してあり、伏越し構造1を構成する下向流部11、横向流部12及び上向流部13は、シールド工法等によるコンクリート構造であって、それぞれ内径が2000mmの円形の流路断面形状になっている。したがって伏越し構造1の流路断面積は、上流側水路2等の流路断面積の0.76倍と、細く形成してある。なお下向流部11及び上向流部13の傾斜角度は、45度に設定してある。また横向流部12は、1/1000〜6/1000の下り勾配が付けてある。
【0069】
さて排泥管4は、円断面形状の鋼鉄製パイプで、その直径は、150mm〜200mmに形成してある。また排泥管4の一端部は、図2に示すように、横向流部12の出口の底面、すなわち上向流部13の最下端の後壁面に連通している。なお図3に示すように、横向流部12の出口の底面に窪み12bを形成し、排泥管4の一端部を、この窪みの後端に連通するように設けてもよい。また図4に示すように、排泥管404を、既設の下流側伏越し室413内に、設けてもよい。すなわち排泥管404の一端部を、既設の横向流部412の出口の底部位置に開口させ、他端を下流側水路403の入口より後流側の底部に連通させる。
【0070】
排泥管4の他端部は、図1に示すように、上向流部13の出口より下流側において、下流側水路3に連通しているため、この排泥管の傾斜は、必然的に、この上向流部の上向き傾斜より緩くなる。なお排泥管4の内径や上向き傾斜角度は、上向流部13の内径や上向き傾斜角度等に応じて、それぞれ適正な寸法を選択する。この発明の実施の形態では、排泥管4の上向き傾斜角度を、略30度に設定する。また排泥管4を複数本にしてもよい。
【0071】
図5に示すように、排泥管4の入口より100mm〜300mm上方には、圧縮空気供給管5の下端部が連通している。すなわち圧縮空気供給管5は、呼び径13mmの塩化ビニールのパイプ51と、この下端に接合したエルボ管52で構成されている。エルボ管52は、排泥管4の底部に穿孔した開口穴に、ブッシング55を介して挿着されている。圧縮空気供給管5の内部には、内径が6mmで外径が10mmのウレタンホース53が装填されており、このウレタンホースを介して圧縮空気が供給される。またエルボ管52の先端は、排泥管4の下流側に向かっており、この先端の内径には、バルブ54が設けてある。バルブ54は、圧縮空気圧が掛かると開口して、この圧縮空気を排泥管4の下流側に向かって噴出し、圧縮空気圧が掛かっていないときには閉口して、雨水の浸入を防止する。なおバルブ54の開閉機能は、上述したハンドホールD内の空気バルブで代替してもよい。
【0072】
なお排泥管4が太い場合には、圧縮空気供給管5を、この排泥管の内部に設け、この排泥管の底部において、圧縮空気を下流側に向かって噴出させてもよい。また圧縮空気供給管5として、内径が6mmで外径が10mmの非腐食系鋼管を使用し、ウレタンホース53を装填しないで、この圧縮空気供給管を介して直接圧縮空気を供給してもよい。
【0073】
図6及び図7に示すように、横向流部12の底部には、この横向流部の長手方向に沿って、呼び径13mmのポリエチレン管からなる圧縮空気の供給管7が装填されている。また横向流部12の上側部には、呼び径13mmのポリエチレン管からなる空気排出管8が装填されている。
【0074】
図7に示すように、圧縮空気の供給管7の上側外面は、横向流部12の底面とほぼ面一になっており、この横向流部を流れる雨水の流れ損失の増加を抑えている。また図8に示すように、圧縮空気の供給管7の上側壁には、ほぼ60cm毎に噴射バルブ72が設けてある。噴射バルブ72は、先端が横向流部12の下流側に向かうエルボ形状であって、その先端内径には、圧縮空気圧によって開口するバルブ73が、挿着してあり、圧縮空気が掛からないときには、閉口して、雨水の浸入を防止する。なおバルブ73の開閉機能は、上述したハンドホールE内の空気バルブで代替してもよい。
【0075】
また図9に示すように、空気排出管8の下側外面も、横向流部12の上側内面とほぼ面一になっており、この横向流部を流れる雨水の流れ損失の増加を抑えている。また空気排出管8の下側面には、上述した圧縮空気の供給管7に設けた噴射バルブ72の間隔のほぼ2倍である180cm毎に、空気取り入れ孔81が開口している。したがって圧縮空気の供給管7から噴射された圧縮空気によって生じる空気塊Fは、横向流部12内部を満水の状態で流れる雨水との比重差によって、空気取り入れ孔81から空気排出管8内部に侵入し、図1に示すように、上流側マンホールBに排出される。なお上述した圧縮空気供給管5と同様に、圧縮空気の供給管7内にウレタンホースを装填し、このウレタンホースを介して圧縮空気を供給するようにしてもよい。
【0076】
さて図10に示すように、横向流部12の底面には、ほぼこの横向流部の全長に渡って、凹形状の横断面を有する土砂集積ピット12aを設け、上述した圧縮空気の供給管7を、この土砂集積ピット内に設けてある。このように横向流部12の最下面に土砂集積ピット12aを設ければ、この横向流部内に堆積する土砂は、この土砂集積ピットの凹形状の溝内に集積し易くなる。さらに上述したように、横向流部12には1/1000〜6/1000の下り勾配がつけてあるため、土砂集積ピット12a内に集積した土砂は、横向流部12を流下する雨水によって、容易に排泥管4の入口に搬送される。
【0077】
なお横向流部の断面形状が矩形の場合には、図11及び図12にそれぞれ示すように、土砂集積ピット112a、212aを設ける。ここで図11に示す横向流部112は、横幅が1.2m以上の場合である。すなわち横向流部112の横幅に余裕があるため、底面に、両側面から中央部に向かって略1/10の下り勾配を付け、この底面の中央部に、土砂集積ピット112aを設ける。なお土砂集積ピット112aの長さは、少なくとも横向流部112の入口から下流側に90m下った点から、この横向流部の出口までとすることが望ましい。
【0078】
一方図12に示す横向流部212は、横幅が1.2m未満の場合である。すなわち横向流部112の横幅に余裕がないため、底面中央部に土砂集積ピットを設けることが困難な場合には、底面に、一方の側面から他方の壁面に向かって略1/10の下り勾配を付け、この底面の最下点に土砂集積ピット212aを設ける。かかる場合には、土砂集積ピット212aの長さは、少なくとも横向流部212の直径の略5〜10倍とし、横向流部212の出口から上流側に向かって設けるのが望ましい。
【0079】
ところで伏越し構造1の下流側に、さらに別の伏越し構造が有る場合には、この伏越し構造の排泥管4によって掻き揚げられて、下流側水路3に流下された土砂が、この別の伏越し構造内に流れ込む。この別の伏越し構造が従来技術によるものである場合等は、上流側の伏越し構造1において、排泥管4によって掻き揚げた土砂を、下流側水路3に流下させないで排出することが望ましい。
【0080】
かかる場合は、図13に示すように、排泥管304の流路の途中に、排泥マンホールGを設け、土砂をこの排泥マンホールの底部に堆積させてから、雨水等を下流側水路に流下する。なお排泥マンホールGの底部に堆積した土砂は、定期的または排泥管304へ圧縮空気を供給する時に、地上に取り出す。すなわち下流側水路303の入口よりやや下流側において、この下流側水路からやや離れた脇側に排泥マンホールGを設けると共に、排泥管304を、上流側排泥管341と下流側排泥管342とに2分割する。そして上流側排泥管341は、排泥マンホールGの前側壁面に連通させ、下流側排泥管342は、この排泥マンホールGの後側壁面に連通させる。
【0081】
ここで上流側排泥管341の出口、すなわち排泥マンホールGに連通する位置における、この上流側排泥管の内側底面は、上向流部313の出口位置における内側底面の標高と同等以下に設定する。また下流側排泥管342の入口、すなわち排泥マンホールGに連通する位置における、この下流側排泥管の内側底面は、上流側排泥管341の出口位置における内壁底面の標高と同等以下に設定する。さらに下流側排泥管342の出口、すなわち下流側水路303に連通する位置における、この下流側排泥管の内側底面は、この下流側排泥管の入口位置における内側底面の標高と同等以下に設定してある。
【0082】
ここで上流側排泥管341の出口位置、排泥マンホールG、及び下流側排泥管342の出口位置における水位について説明する。すなわち図13に示すように、排泥マンホールG内の水位が、下流側排泥管342の出口位置における、この下流側水路の水位より高くならないと、この排泥マンホール内に流入した雨水は、この下流側排泥管を介して、この下流側水路に流出しない。すなわち排泥マンホールG内の水位は、ほぼ下流側排泥管342の出口位置における、この下流側水路の水位と同等になる。
【0083】
しかるに下流側水路303は、上述したように5/1000程度の下り勾配が付けてあるため、13図に示すように、排泥マンホールG内の水位は、上向流部313の出口位置における水位より、この下り勾配分Δbだけ低くなる。ここで上向流部313の出口位置における水位は、上述した伏越し落差ΔH基づき、上流側水路302(図示せず。)の水位よりΔaだけ低くなるが、排泥マンホールG内の水位は、Δaより、さらにΔbだけ低くなる。したがって、上流側排泥管304は、この落差Δbだけ、上向流部313より流速を速めることができため、より強力に、土砂を排泥マンホールG内に掻き揚げることができる。
【0084】
排泥マンホールGの断面積は、上流側排泥管304より大きくすることができるため、この排泥マンホール内に上流側排泥管304の外径と等しい流路を長手方向に形成し、この流路を深く掘り下げて土砂ピットとする。したがって排泥マンホールGに掻き揚げられた土砂を、この排泥マンホールの底部に堆積させることが可能になり、大部分の土砂が、下流側に放出されることを防止できる。なお排泥マンホールGの底部に堆積した土砂は、定期的または上流側排泥管304へ圧縮空気を供給する時に地上に取り出す。
【0085】
なお上流側排泥管341と下流側排泥管342とを、排泥マンホールG内において連絡管で連結し、この連絡管の上部に開閉可能な蓋を設けてもよい。かかる構成を採用すれば、圧縮空気供給管5から圧縮空気を上流側排泥管341に供給して、多量の土砂を強制的に掻き揚げる場合に限って、この連絡管の上部に設けた蓋を開けて、流出する土砂だけをすくい上げれば、多量の土砂が下流側水路に流出することを防止できると共に、排泥マンホールGの底部に土砂が、予想以上に堆積して、下流側排泥管342を閉塞することも回避できる。
【0086】
さて上流側水路2の少なくとも1部が開水路の場合には、伏越し構造1の入口の手前において、図14〜図16に示す通水能力が阻害されない浮遊ゴミの除去手段9が設けてある。さて図14に示すように、浮遊ゴミの除去手段9は、上流側水路2を、下流側に向かって概ね60度の角度で横切って仕切る第1の通水性スクリーン91と、この上流側水路の側面に開口するストックヤード93とを備えている。
【0087】
ここで図15に示すように、第1の通水性スクリーン91は、上桁91aと下桁(図示せず。)との間に、所定の間隔を隔てて設けた垂直軸91bと、この垂直軸にそれぞれ回転自在に設けた球状の回転部材91cと、水に浮く浮動部91dとを備えている。水に浮く浮動部91dは、円筒状の密閉容器からなり、上流側水路2の両面に設けた鋼管の支柱92、92内に、摺動自在に挿入されている。そして浮動部91dは、鋼管の支柱92に切削した縦溝92aを介して、第1の通水性スクリーン91の上桁91aと下桁とに連結されている。したがって第1の通水性スクリーン91は、図16に示すように、上流側水路2の水位の変動に伴って、上昇または下降する。
【0088】
ここで第1の通水性スクリーン91は、上下方向の縦幅が20〜50cmであって、上枠91aの部分が、上流側水路2の水面より上に浮揚するように、浮動部91dの浮力と取り付け位置とを設定してある。なお図16に示すように、第1の通水性スクリーン91の下方位置には、上流側水路2の底面に泥溜めピット22を設けて、重い転石等を堆積させ、定期的に排出するようにしてもよい。また回転部材91bを、中空または魚網用の浮きの材質を利用することによって、浮揚性を持たせてもよい。
【0089】
次にストックヤード93は、図14、図16に示すように、水平断面形状が台形の側室93aを、上流側水路2の一側面に設けたものであって、この側室が、この上流側水路の一側面に開口する側面のほぼ中央には、第1の通水性スクリーン91を支持する下流側の支柱92が位置している。側室93aにおいて、下流側の支柱92より下流側に位置する部分は、底面と上流側水路2へ開口する側面とを、第2の通水性スクリーン93b及び93cで、それぞれ仕切られている。なお側室93aの底面を仕切る第2の通水性スクリーン93bは、下向流部11における晴天時の水位より、5〜20cmだけ上方に位置している。
【0090】
したがって上述したように、算盤状の第1の通水性スクリーン91で捕捉された浮遊ゴミは、側室93aの開口する側面であって、下流側の支柱92より上流側に位置する流入口から、ストックヤード93内に流入し、この下流側の支柱の下流側に位置する第2の通水性スクリーン93b、93cで捕捉される。雨水は、第2の通水性スクリーン93b、93cを通過して、側室93aの開口する側面であって、下流側の支柱92から下流側に位置する流出口から、上流側水路2に流出する。
【0091】
次に図17に示すように、上流側水路2が暗渠の場合は、例えばこの上流側水路の出口の近傍に、脱臭・脱硫手段10を設ける。脱臭・脱硫手段10は、上流側マンホールBの付近の地中に、脱臭・脱硫槽10cを埋設し、この脱臭・脱硫槽の底部と、この上流側マンホールとを、通気経路10dによって連通させる。脱臭・脱硫槽10cの下段10aには、硫化水素等を除去する接触剤としてくず鉄等を充填する。また脱臭・脱硫槽10cの上段10bには、土壌菌により脱臭する土壌脱臭剤等を充填する。
【0092】
降雨等によって、上流側マンホールBや上流側水路2の水位が上昇すると、この上流側マンホールに充満する空気は、自動的に、通気経路10dを介して、脱臭・脱硫槽10cの底部に押し出される。押し出された空気は、最初に下段10aに充填したくず鉄等の層で脱硫され、次に上段10bに充填した土壌脱臭剤の層を通過して脱臭されて、外部に放出される。また上流側マンホールB等の水位が下降すると、脱臭・脱硫槽10cを介して、この上流側マンホール内に外気を吸引する。
【0093】
なお上流側マンホールB等の水位の上昇だけでは、空気を、脱臭・脱硫槽10cへ十分に押し出しができない場合には、送風ファン(図示せず。)を装着する。またこのファンの動力は、脱臭・脱硫槽10cの蓋部等から落下する雨滴によって駆動するように構成してもよい。脱臭・脱硫槽10cが大型になる場合は、太陽光発電等によってファンを駆動し、また強い恒風のある地域では、風速測定用等の風車をファンの動力としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
雨水等の伏越し構造内に土砂や浮遊ゴミが堆積することを防止できるため、雨水等の水路の敷設に関わる部品や装置の製造、及び土木工事等に関する産業に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1、401 伏越し構造
11、411 下向流部(上流側伏越し室)
12、112、212、412 横向流部
12a、112a、212a 土砂集積ピット
13、313、413 上向流部(下流側伏越し室)
2、402 上流側水路
3、303、403 下流側水路
341 上流側排泥管
342 下流側排泥管
4、304 排泥管
5 圧縮空気供給管
6 圧縮空気供給装置
7、107、207 供給管
8 空気排出管
9 浮遊ゴミの除去手段
91 第1の通水性スクリーン
91b 垂直軸
91c 回転部材
91d 浮動部
92 支柱
93 ストックヤード
93b,93c 第2の通水性スクリーン
10 脱臭脱硫装置
10c 脱臭脱硫槽
10d 通気経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水若しくは下水の水路、または雨水及び下水が合流する水路において、障害物の下を潜り抜ける伏越し構造であって、
上流側水路の出口に連通すると共に下方に向かう下向流部と、
上記下向流部の出口に連通すると共に上記障害物の下を横切る横向流部と、
上記横向流部の出口と下流側水路の入口とに連通すると共に上方に向かう上向流部と、
上記横向流部の出口に一端部が連通すると共に、他端部が上記下流側水路の入口より下流側において連通する排泥管とを備え、
上記排泥管は、上方に向けて傾斜すると共に、その流路断面積が上記上向流部の流路断面積より小さい
ことを特徴とする伏越し構造。
【請求項2】
上記下向流部、横向流部及び上向流部の流路断面積は、それぞれ上記上流側水路または上流側水路の流路断面積の0.5〜1.0倍である
ことを特徴とする請求項1に記載の伏越し構造。
【請求項3】
圧縮空気供給装置と圧縮空気供給管とを備え、
上記圧縮空気供給管は、その一端部が上記圧縮空気供給装置に連通すると共に、他端部が、上記排泥管の入口の近傍であって、この排泥管の底部において開口し、
上記圧縮空気供給装置は、所定の時期に上記圧縮空気供給管を介して圧縮空気を上記排泥管内に供給する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の伏越し構造。
【請求項4】
圧縮空気または圧力水の供給装置と、上記横向流部の底部に長手方向に沿って設けた供給管とを備え、
上記供給管は、その上側面に開口する長手方向に配列した複数の噴出孔を有すると共に上記供給装置に連通し、
上記供給装置は、所定の時期に圧縮空気または圧力水を上記供給管の噴出孔を介して上記横向流部内に噴出させる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の伏越し構造。
【請求項5】
上記供給装置は、圧縮空気を上記横向流部内に噴出させるものであって、
さらに上記横向流部の上側部には、長手方向に沿って空気排出管が設けてあり、
上記空気排出管は、その下側面に開口する長手方向に配列した複数の空気取入れ孔を有すると共に上記上流側水路、下流側水路または外気に連通している
ことを特徴とする請求項4に記載の伏越し構造。
【請求項6】
上記横向流部の底部には、凹形状の横断面を有する土砂集積ピットが長手方向に沿って形成してあり、
上記供給管は、上記土砂集積ピット内に設けてある
ことを特徴とする請求項4または5に記載の伏越し構造。
【請求項7】
上記上流側水路の少なくとも一部は開水路であって、この上流側水路の出口より上流側には浮遊ゴミの除去手段を備え、
上記浮遊ゴミの除去手段は、上記上流側水路を斜めに横切って仕切る第1の通水性スクリーンと、この上流側水路の側面に開口するストックヤードとを備え、
上記第1の通水性スクリーンは、横方向に所定の間隔を隔てて設けた垂直軸と、この垂直軸にそれぞれ回転自在に設けた回転部材と、水に浮く浮動部とを備え、
上記第1の通水性スクリーンは、上下方向の縦幅が20〜50cmであって、上記浮動部によって、その上端面が上記上流側水路の水面より上に浮揚し、
上記ストックヤードは、上記第1の通水性スクリーン上で捕捉されて斜め下流側に押し流されてくる浮遊ゴミが流入する流入口と、この流入する浮遊ゴミを捕捉する第2の通水性スクリーンと、この第2の通水性スクリーンを通過した水が上記上流側水路に流出する流出口とを有する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の伏越し構造。
【請求項8】
上記上流側水路は暗渠であって、脱臭脱硫装置、及びこの脱臭脱硫装置と上記上流側水路とに連通する通気経路を備え、
上記上流側水路内に滞留するガスは、この上流側水路の水位が上昇したときには、上記通気経路を介して上記脱臭脱硫装置に押し出されて脱臭及び脱硫される
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の伏越し構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−241427(P2012−241427A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112974(P2011−112974)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(598003829)株式会社東京設計事務所 (3)
【Fターム(参考)】