説明

伐採材搬出装置及び搬送ロープと引掛ロープの接続方法

【課題】容易かつ迅速に伐採材を掛ける引掛ロープを牽引用の搬送ロープに着脱可能な伐採材搬出装置を提供する。
【解決手段】伐採地と集材地の間で閉ループ状に懸架され周回駆動して伐採材を牽引する搬送ロープ2を備えた伐採材搬出装置であって、搬送ロープ2は、軸心に沿った中空部1eが張力非作用状態で形成されるクロスロープ1から成り、さらに、搬送ロープ2よりも細径かつ短寸であって、中間部7cがU字弯曲状に形成されるように両端部7a,7bが搬送ロープ2に外周面から相反する長手方向Nに差し込まれて中空部1eに挿入される伐採材引掛用の引掛ロープ7を、搬送ロープ2の長手方向Nに多数本取着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伐採材搬出装置及び搬送ロープと引掛ロープの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過剰に繁殖した樹木や竹等を伐採した伐採材を、所定の集材地まで搬出するために、牽引用の搬送ロープを伐採地と集材地に懸架し、搬送ロープに沿って滑動する滑車装置に伐採材を掛けて、伐採材を集材地まで搬出する伐採材搬出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、滑車装置は設置が複雑であると共に重量が重く、また、多数の伐採材を順次搬出することが困難であったため、伐採地と集材地の間で牽引用の搬送ロープを閉ループ状に懸架して周回駆動させ、その搬送ロープに、伐採材を引掛けるために引掛ロープを、接続金具を介して取着し、取着した引掛ロープに伐採材を掛けて搬出作業を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−304594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、接続金具は、取り付けや取り外しに多大な時間や手間が費やされてしまうといった問題があった。また、現場の状況や伐採材の大きさに合わせて、引掛ロープの取付数や取付間隔(ピッチ)の変更を迅速に行うことが困難と言う問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、容易かつ迅速に伐採材を掛ける引掛ロープを牽引用の搬送ロープに着脱可能な伐採材搬出装置及び搬送ロープと引掛ロープの接続方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の伐採材搬出装置は、伐採地と集材地の間で閉ループ状に懸架され周回駆動して伐採材を牽引する搬送ロープを備えた伐採材搬出装置であって、上記搬送ロープは、軸心に沿った中空部が張力非作用状態で形成されるクロスロープから成り、さらに、上記搬送ロープよりも細径かつ短寸であって、中間部がU字弯曲状に形成されるように両端部が上記搬送ロープに外周面から相反する長手方向に差し込まれて上記中空部に挿入される上記伐採材引掛用の引掛ロープを、上記搬送ロープの長手方向に多数本取着したものである。
【0007】
また、本発明の搬送ロープと引掛ロープの接続方法は、伐採地と集材地の間で閉ループ状に懸架され周回駆動して伐採材を牽引する搬送ロープと、上記伐採材引掛用の引掛ロープと、の接続方法であって、張力非作用状態で軸心に沿って中空部が形成されるように上記搬送ロープとしてクロスロープを使用し、上記引掛ロープを、上記搬送ロープよりも細径かつ短寸に形成し、上記引掛ロープの両端部を上記搬送ロープの外周面から相反する長手方向に差し込んで上記中空部に挿入し、上記引掛ロープの中間部をU字弯曲状に形成して、上記搬送ロープの張力作用状態で上記中空部が縮径する締め付け力によって、上記両端部の抜け止めを行って接続した方法である。
【0008】
また、本発明の伐採材搬出装置は、伐採地と集材地の間で閉ループ状に懸架され周回駆動して伐採材を牽引する搬送ロープを備えた伐採材搬出装置であって、上記搬送ロープは、クロスロープから成り、さらに、上記搬送ロープよりも細径かつ短寸であって、中間部がU字弯曲状に形成されるように両端部が上記搬送ロープに外周面から軸心略直交方向に挿通されると共に該挿通された両端部が結束される上記伐採材引掛用の引掛ロープを、上記搬送ロープの長手方向に多数本取着したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搬送ロープの任意の位置に容易かつ迅速に引掛ロープを取着できる。また、引掛ロープ同士の間隔を容易に変更できる。搬送ロープが懸架される架設用滑車に、引掛ロープが引っ掛かることなく、スムーズに搬送ロープを周回駆動させることができる。搬送ロープに対して引掛ロープを容易にかつ迅速に着脱できる。そして、搬送ロープ及び引掛ロープの接続、片づけ、収納、架設等作業の迅速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を説明するための要部側面図である。
【図2】本発明を説明するための平面図である。
【図3】本発明の実施の一形態を示す側面図である。
【図4】引掛部を示す要部拡大側面図である。
【図5】搬送ロープと引掛ロープの接続前の状態を示す側面図である。
【図6】差込治具の一例を示す側面図である。
【図7】差込治具の使用状態を説明する側面図である。
【図8】本発明に係る搬送ロープと引掛ロープの接続方法を説明する側面図である。
【図9】本発明に係る搬送ロープと引掛ロープの接続方法を説明する側面図である。
【図10】本発明に係る搬送ロープと引掛ロープの接続方法を説明する側面図である。
【図11】本発明に係る搬送ロープと引掛ロープの接続方法を説明する側面図である。
【図12】本発明に係る搬送ロープと引掛ロープの接続方法を説明する側面図である。
【図13】搬送ロープの連結部を説明する側面図である。
【図14】搬送ロープの連結部を説明する側面図である。
【図15】他の実施形態の搬送ロープと引掛ロープの接続方法を説明する側面図である。
【図16】他の実施形態を示す要部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
本発明に係る伐採材搬出装置は、図1乃至図3の実施の一形態に示すように、伐採地Jで伐採した伐採材Wを、所定の集材地Sまで牽引する搬送ロープ2を備えた架線式の伐採材搬出装置である。
【0012】
搬送ロープ2と、搬送ロープ2を周回駆動させる回転ドラム5と、搬送ロープ2に適度な張り(テンション)を付与するウインチ(巻取り機)6と、パワーシャベル等の建設機械や林内作業車等のエンジンや油圧モータ又は電気モータ等の駆動源Eと、回転ドラム5とウインチ6を夫々操作可能な操作部4と、を備えている。駆動源Eと回転ドラム5とウインチ6と操作部4は、履帯を有する自走可能なパワーショベル等の建設機械や林内作業車等に設けられている。
【0013】
搬送ロープ2は、伐採地Jと集材地Sの間に設けた滑車3を有する多数の架設部30に懸架(張架)されている。この滑車3は、凹周溝を形成する上下一対の外鍔を有し、下方の外鍔はスプロケット状とする。
搬送ロープ2には、伐採材Wがフック部材等の掛け金具79を介して掛けられる多数本(10本以上)の引掛ロープ7が取着されている。言い換えると、搬送ロープ2には、伐採材Wが掛けられる引掛ロープ7から成る引掛部21が多数に箇所に付設されている。
【0014】
図4及び図5に示すように、搬送ロープ2は、引掛ロープ7よりも大径(自然状態の直径で12mm以上)かつ長寸(全周長50m以上)の搬送用のクロスロープ1である。
引掛ロープ7は、搬送ロープ2よりも小径(自然状態で10mm以下)かつ、短寸(100mm以上500mm以下)の引掛用のクロスロープ9である。引掛ロープ7は、両方の最先端を、粘着テープによる巻着、接着剤による接着、熱融着、のいずれか、又は、組合せによって、ほつれ止めを行うと共に先細状に形成している。
【0015】
搬送用のクロスロープ1と引掛用のクロスロープ9は、太さや長さが異なるだけで構成(構造)は同じであり、多数本の合成繊維から成るストランド10,10(90,90)を、2本(束)1組として、その組を交互に重ね合わせて(組み込んで)中空状(円筒網袋状)に形成された、六つ打ち、又は、八つ打ち、或いは12打ち合成繊維ロープとも呼ばれるものである。例えば、シーアンカー、ブイロープ、定置網等に使用されている。合成繊維は、例えば、ポリアシド系ナイロン、ポリエチレン、ビニロン、ポリプロピレン等である。十分な強度を得るために、12本(束)のストランド10,90から成るクロスロープ1,9(12打ち合成繊維ロープ)を使用するのが好ましい。搬送用のクロスロープ1は、張力非作用状態(自然状態や長手方向圧縮力作用状態)で、軸心に沿った中空部1eが形成される。
【0016】
図4に於て、引掛ロープ7は、中間部7cがU字弯曲状に形成されるように両端部7a,7bが搬送ロープ2に外周面から相反する搬送ロープ2の長手方向Nに差し込まれて中空部1eに挿入されている。
つまり、張力非作用状態又は小さな圧力作用状態下にて、一端7aが長手一方向N1に沿って中空部1eに差し込まれ、他端7bが長手他方向N2に沿って中空部1eに差し込まれている。引掛ロープ7を、搬送ロープ2の長手方向Nに多数本取着している。言い換えると、搬送ロープ2に、U字弯曲状の中間部7cをもって形成された引掛部21を付設している。
【0017】
ここで、本発明に係る搬送ロープ2と引掛ロープ7の接続方法は、図6乃至図10に示すように、棒状の挿入治具8を用いる。引掛ロープ7用の挿入治具8は、軽量・小型な携帯自在であって、図6及び図7に示すように、半球状の先端丸型に形成された先端部81と、先端部81から基端部84へ向かうストレート状の導入部(ストレート状ガイド部)82と、導入部82の直径から次第に拡径して基端部84と接するテーパ部83と、を有している。基端部84は導入部82より大径に形成され、基端面84a側に開口すると共に引掛ロープ7の端部が差し込まれる保持孔85を有している。また、保持孔85は、引掛ロープ7の自然状態乃至ラジアル方向圧縮縮径状態の直径より小さな寸法の内径寸法で形成されている。また、保持孔85は、引掛ロープ7の差込量を規制する当り用の底面85aを有している。また、基端部84及びテーパ部83を半割り状にするスリット86を設けている。
図7に示すように、例えば、引掛ロープ7の一端7aを保持孔85に差し込むと、スリット86によって保持孔85が拡径すると共に復元力(バネ力)によって、コレットのように挟持状に保持して抜けを防止する。
【0018】
図8に於て、引掛ロープ7の一方の最先端を、挿入治具8に挿入(接続)する。搬送ロープ2(の中間部)の長手一方向N1側を、長手方向Nに圧縮して蛇腹状に内径を拡径する。つまり、中空部1eを大きくする。また、ストランド10とストランド10の間の織目(編目)を広げる。搬送ロープ2と接続した挿入治具8の先端部81及び導入部82を、外周面から拡径した搬送ロープ2内に挿入する。さらに、挿入治具8の基端部84と共に引掛ロープ7の一方の最先端を挿入する。テーパ部83によって、搬送ロープ2の中空部1eが拡径してスムーズに基端部84が挿入される。
【0019】
図9に示すように、挿入治具8と引掛ロープ7の一方の最先端を、搬送ロープ2へ挿入した位置から長手一方向N1側に所定寸法差し込み、側面視で搬送ロープ2を斜めへ突き抜けるように、ストランド10とストランド10の織目から長手一方向N1側へ挿通させる。
【0020】
図10に示すように、引掛ロープ7から挿入治具8を取り外す。引掛ロープ7を長手他方向N2側へ引き戻し、引掛ロープ7の一端7aを切断せずに、搬送ロープ2内に収納させる。
【0021】
図11に示すように、引掛ロープ7の一端7aを挿入した搬送ロープ2を、長手方向Nに引っ張る。すると、搬送ロープ2の中空部1eが縮径し、引掛ロープ7の一端7aを締め付けて(圧接して)、引掛ロープ7の一端(差込部)7aは圧接摩擦力(締め付け摩擦力)によって、強力に接続され、引抜けることがない。
【0022】
そして、図12に示すように、引掛ロープ7の他端7bと挿入治具8を接続し、搬送ロープ2の中間部の長手他方向N2側を拡径させ、搬送ロープ2と接続した挿入治具8の先端部81及び導入部82を、外周面から拡径した搬送ロープ2の中空部1eに挿入し、引掛ロープ7の中間部7cをU字弯曲状に形成する。さらに、挿入治具8の基端部84と共に引掛ロープ7の他端7bを挿入する。一端7a側の場合と同様に挿入治具8を操作し、搬送ロープ2内に引掛ロープ7の他端7bを切断せずに収納させ、搬送ロープ2を長手方向Nに引っ張る。
【0023】
図4に示すように、引掛ロープ7の一端7aが搬送ロープ2の長手一方向N1側に接続され(長手一方向N1側で引掛ロープ7と搬送ロープ2が一本化され)、引掛ロープ7の他端7bが搬送ロープ2の長手他方向N2側に接続される(長手他方向N2側で引掛ロープ7と搬送ロープ2が一本化される)。
搬送ロープ2は、その使用状態下で、長手方向Nに強力な引張力が作用する。この引張力によって、クロスロープ1から成る搬送ロープ2は、その中空部1eが縮径するようにストランド10が絞り込まれる。これによって、挿入された引掛ロープ7の両端7a,7bは、圧接(締め付け)による摩擦力により、引抜けることがない(強力に接続される)。
【0024】
また、搬送ロープ2を長手方向Nに圧縮すれば、ストランド10とストランド10の間が開くと共に中空部1eが拡径して、引掛ロープ7の両端7a,7bがスムーズに引き抜かれる。搬送ロープ2と引掛ロープ7の接続は工具を必要とせず容易に解除され、搬送ロープ2に対して引掛ロープ7(引掛部21)を容易かつ迅速に着脱自在としている。
【0025】
次に、図1及び図2に示すように、搬送ロープ2は、複数乃至多数本の搬送用のクロスロープ1,1から成り、一方の搬送用のクロスロープ1(1A)と他方の搬送用のクロスロープ1(1B)を連結部20にて順次接続して閉ループ状(環状)に形成している。
【0026】
連結部20の構成及び形成方法(搬送用のクロスロープ1A,1B同士の接続方法)は、図13に示すように、2本の搬送用のクロスロープ1,1の内、一方の搬送用のクロスロープ1Aの一端部11側の先端12と、他方の搬送用のクロスロープ1Bの他端部13側の先端14を、接近させて配設する。各最先端は引掛ロープ7と同様に粘着テープ等によってほつれが防止されている。また、図6及び図7を用いて説明した引掛ロープ7用の挿入治具8と同様の構成(形状)で、大きさの異なる(各部の外径寸法及び保持孔の内径寸法が引掛ロープ7用よりも大きい寸法で形成された)搬送ロープ用の差込治具を用いる。
【0027】
先ず、他方の搬送用のクロスロープ1Bの先端14を、挿入治具に接続する。一方の搬送用のクロスロープ1Aの一端部11を、長手方向Nに圧縮して拡径すると共に、ストランド10とストランド10の間の織目を広げる。他方の搬送用のクロスロープ1Bの先端14と接続した挿入治具を、長手一方向N1側に、拡径した一方の搬送用のクロスロープ1Aの一端部11(の中空部1e)内へ挿入させる。一方の搬送用のクロスロープ1Aの一端部11に挿入した位置から長手方向に所定寸法差し込んだ後に、側面視斜め状にストランド10とストランド10の織目から長手一方向N1側に引いて挿通させる。他方の搬送用のクロスロープ1Bの先端14から挿入治具を取り外し、他方の搬送用のクロスロープ1Bを長手他方向N2側に引き戻し、他方の搬送用のクロスロープ1Bの先端14を、切断せずに、一方の搬送用のクロスロープ1Aの一端部11に収納させる。
【0028】
次に、一方の搬送用のクロスロープ1Aの先端12と挿入治具を接続し、他方の搬送用のクロスロープ1Bの他端部13を拡径させ、他方の搬送用のクロスロープ1Bの他端部13に、一方の搬送用のクロスロープ1Aの先端12を、切断せずに、収納させて、他方の搬送用のクロスロープ1Bの他端部13を長手方向Nに引っ張る。
【0029】
すると、図14に示すように、一方の搬送用のクロスロープ1Aの先端12が他方の搬送用のクロスロープ1Bの他端部13に接続(収納)され、他方の搬送用のクロスロープ1Bの先端14が一方の搬送用のクロスロープ1Aの一端部11に接続(収納)された、連結部20が形成される。そして、複数本の搬送用のクロスロープ1,1を、順次接続して(連結部20を形成して)閉ループ状の搬送ロープ2が形成される。
連結部20の両端部(位置)で2本のクロスロープ1A,1Bが一本化(合流)した合流部を形成し、連結部20の中間部(位置)で2本のクロスロープ1A,1B(の軸心)が1本ずつの分割状態で(2本に分岐して)配設される分岐部(分離部)を形成している。
このように、唇状(二股状)に連結部20を形成することで、連結した箇所(連結部20)の発見を容易かつ迅速にできると共に、分岐部にてクロスロープ1A,1Bを1本ずつ把持でき、分離作業を容易に行うことができる。
また、挿入治具8を差し込みやすく接続作業を迅速に行うことができる。
【0030】
また、飲込み(収納)側の搬送用のクロスロープ1A,1Bを長手方向Nに圧縮すれば、差し込んだ側の搬送用のクロスロープ1A,1Bが容易に引き抜かれ、連結部20の接続は容易に解除される。即ち、連結部20は、容易に接続・分離でき、かつ、長手方向Nの引張り力に強い。張力作用状態で中空部1eが縮径する締め付け力によって抜け止めが行われる。また、最も太い箇所でも搬送用のクロスロープ1の2本程度と成り、滑車3及び回転ドラム5との間で引っ掛かり等の不具合が防止される。
【0031】
次に、本発明の伐採材搬出装置及び搬送ロープと引掛ロープ接続方法の作用について説明する。
図1乃至図4に於て、搬送ロープ2が通過する架設ルートは、樹木や竹等伐採対象物の近傍を通るように設ける。集材地Sと伐採地Jの間(集材地Sから伐採地Jにわたって)で閉ループ状の搬送ロープ2は周回駆動する。回転ドラム5やウインチ6によって操作部4側へ引き寄せられることで、長手方向Nに適度な張力が作用する。この搬送ロープ2を懸架及び周回駆動させるための張力によって、中空部1eが縮径し、搬送ロープ2内に差し込まれた引掛ロープ7の両端7a,7b、及び、連結部20において差し込まれている搬送用のクロスロープ1の端部に、締め付け力が作用して、抜けが防止される。伐採材Wは、引掛ロープ7(引掛部21)に掛け金具79を介して連結され、搬送ロープ2によって牽引され集材地Sまで搬出される。
【0032】
搬送ロープ2から垂下状に突出したU字弯曲状の引掛部21が付設され、搬送ロープ2の外周面における上面側や左右側面側には、不要な突出部が存在せず、また、急激な段差部や結び目等が存在せず、さらに、引掛ロープ7は可撓性を有する変形自在なロープであるため、回転ドラム5や、滑車3に引っ掛かることがなくスムーズに搬送ロープ2が周回駆動する。
【0033】
また引掛ロープ7は搬送ロープ2に対して着脱可能であるので、引掛ロープ7同士のピッチを現場にて柔軟かつ容易に変更可能とし、効率の良い作業の実現に貢献する。
また、引掛ロープ7が搬送ロープ2内に差し込まれる長さ(差込寸法)が調整自在であり、U字状弯曲状の中間部7cの突出長さ(垂下寸法)を長く或いは短く調整自在としている。つまり。様々な種類の掛け金具79に柔軟に対応可能としている。また、一端7aと他端7bを接近又離間させて差し込むことで、幅狭、又は、幅広のU字弯曲状に形成可能としている。即ち、U字弯曲状の中間部7cの幅寸法を調整自在としている。言い換えると、引掛部21の大きさを容易に変更自在としている。
【0034】
また、搬送ロープ2の架設ルート近傍の伐採が終了し、次の伐採対象物の近傍まで、懸架ルートを延長・増設するため、或いは、障害物を避けるため、搬送ロープ2の長さを現場にて臨機応変に延長(増設)又は短縮する必要がある。延長した部分(新たに追加した搬送用のクロスロープ1)へ引掛ロープ7が容易に付設され、短縮した部分(不要となった搬送用のクロスロープ1)から引掛ロープ7が容易に分離される。
【0035】
また、搬送ロープ2の延長又は短縮は、搬送ロープ2の連結部20の接続を解除し、搬送用のクロスロープ1の本数を追加、或いは、減らして、順次連結部20を形成することで、所望長さの搬送ロープ2が得られる。特別な接続金具の使用や、複雑に編み込むアイスプライスを形成せずに、接続される。架設ルートを地形等の周囲の環境(状況)に柔軟に対応させて自由に(順次)変更できる。油圧カッター等の大型で駆動源が必要となるような切断機械や、連結用の接続金具が必要なく、迅速かつ安価に搬送ロープ2を延長・短縮作業を効率良く行うことができる。
【0036】
次に、他の実施形態は、搬送ロープ2の引掛部21が上述の実施形態と異なっており他は同じ構成である。
図15に示すように、引掛ロープ7の一端7aと他端7bを長手方向Nに所定の間隔をもって、中間部7cがU字弯曲状に形成されるように、搬送ロープ2(搬送用のクロスロープ1)の軸心略直交方向からストランド10とストランド10の間を挿通させ、搬送ロープ2を挿通した一端7aと他端7bを、図16に示すように、結束して、垂下状の吊り輪部を形成している。この吊り輪部をもって引掛部21を形成している。ストランド10とストランド10の間を上下方向(略鉛直方向)に挿通することで、長手方向の位置ズレを防止し、さらに、張力作用状態では、搬送ロープ2のストランド10とストランド10の間の締め力や、搬送ロープ2のストランド10と引掛ロープ7のストランド10との係合によって摩擦力を増加させている。
【0037】
なお、本発明は設計変更可能であって、搬送ロープ2内に、挿入治具8と共に引掛ロープ7の一端1a又は他端7bを収納した後、挿入治具8のみを引き抜いて、搬送ロープ2内に一端7a又は他端7bを残存させて接続する方法も良い。つまり、搬送ロープ2内に一端7a及び他端7bを導入後に、挿入治具8のみを搬送ロープ2から挿通させるように取り外す方法も良い。搬送ロープ2同士の接続(連結部20の形成)も同様に先端12,14を導入後に搬送ロープ2用の挿入治具のみを挿通させるように取り外す方法も良い。
【0038】
以上のように、本発明の伐採材搬出装置は、伐採地Jと集材地Sの間で閉ループ状に懸架され周回駆動して伐採材Wを牽引する搬送ロープ2を備えた伐採材搬出装置であって、搬送ロープ2は、軸心に沿った中空部1eが張力非作用状態で形成されるクロスロープ1から成り、さらに、搬送ロープ2よりも細径かつ短寸であって、中間部7cがU字弯曲状に形成されるように両端部7a,7bが搬送ロープ2に外周面から相反する長手方向Nに差し込まれて中空部1eに挿入される伐採材W引掛用の引掛ロープ7を、搬送ロープ2の長手方向Nに多数本取着したので、搬送ロープ2の任意の位置に容易かつ迅速に引掛ロープ7を取着できる。また、引掛ロープ7同士の間隔を容易に変更できる。搬送ロープ7が懸架される滑車3や回転ドラム5に引掛ロープ7が引っ掛かることなく、スムーズに搬送ロープ2を周回駆動させることができる。搬送ロープ2及び引掛ロープ7の接続、片づけ、収納、架設等作業の迅速化が図れる。搬送ロープ2から引掛ロープ7を着脱でき、引掛ロープ7の増減を容易に行うことができる。
【0039】
また、本発明の搬送ロープと引掛ロープの接続方法は、伐採地Jと集材地Sの間で閉ループ状に懸架され周回駆動して伐採材Wを牽引する搬送ロープ2と、上記伐採材W引掛用の引掛ロープ7と、の接続方法であって、張力非作用状態で軸心に沿って中空部1eが形成されるように搬送ロープ2としてクロスロープ1を使用し、引掛ロープ7を、搬送ロープ2よりも細径かつ短寸に形成し、引掛ロープ7の両端部7a,7bを搬送ロープ2の外周面から相反する長手方向Nに差し込んで中空部1eに挿入し、引掛ロープ7の中間部7cをU字弯曲状に形成して、搬送ロープ2の張力作用状態で中空部1eが縮径する締め付け力によって、両端部7a,7bの抜け止めを行って接続したので、搬送ロープ2の任意の位置に容易かつ迅速に引掛ロープ7を取着できる。また、引掛ロープ7同士の間隔を容易に変更できる。滑車3や回転ドラム5に引掛ロープ7が引っ掛かることなく、スムーズに搬送ロープ2を周回駆動させることができる。搬送ロープ2及び引掛ロープ7の接続、片づけ、収納、架設等作業の迅速化が図れる。搬送ロープ2から引掛ロープ7を着脱でき、引掛ロープ7の増減を容易に行うことができる。
【0040】
また、本発明の伐採材搬出装置は、伐採地Jと集材地Sの間で閉ループ状に懸架され周回駆動して伐採材Wを牽引する搬送ロープ2を備えた伐採材搬出装置であって、搬送ロープ2は、クロスロープ1から成り、さらに、搬送ロープ2よりも細径かつ短寸であって、中間部7cがU字弯曲状に形成されるように両端部7a,7bが搬送ロープ2に外周面から軸心略直交方向に挿通されると共に挿通された両端部7a,7bが結束される伐採材W引掛用の引掛ロープ7を、搬送ロープ2の長手方向Nに多数本取着したので、搬送ロープ2の任意の位置に容易かつ迅速に引掛ロープ7を取着できる。また、引掛ロープ7同士の間隔を容易に変更できる。引掛ロープ7用の接続金具がないため滑車3や回転ドラム5に引っ掛かることなく、スムーズに搬送ロープ2を周回駆動させることができる。搬送ロープ2及び引掛ロープ7の接続、片づけ、収納、架設等作業の迅速化が図れる。搬送ロープ2から引掛ロープ7を着脱でき、引掛ロープ7の増減を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
1 クロスロープ
1e 中空部
2 搬送ロープ
7 引掛ロープ
7a 一端
7b 他端
7c 中間部
J 伐採地
N 長手方向
S 集材地
W 伐採材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伐採地(J)と集材地(S)の間で閉ループ状に懸架され周回駆動して伐採材(W)を牽引する搬送ロープ(2)を備えた伐採材搬出装置であって、
上記搬送ロープ(2)は、軸心に沿った中空部(1e)が張力非作用状態で形成されるクロスロープ(1)から成り、
さらに、上記搬送ロープ(2)よりも細径かつ短寸であって、中間部(7c)がU字弯曲状に形成されるように両端部(7a)(7b)が上記搬送ロープ(2)に外周面から相反する長手方向(N)に差し込まれて上記中空部(1e)に挿入される上記伐採材(W)引掛用の引掛ロープ(7)を、上記搬送ロープ(2)の長手方向(N)に多数本取着したことを特徴とする伐採材搬出装置。
【請求項2】
伐採地(J)と集材地(S)の間で閉ループ状に懸架され周回駆動して伐採材(W)を牽引する搬送ロープ(2)と、上記伐採材(W)引掛用の引掛ロープ(7)と、の接続方法であって、
張力非作用状態で軸心に沿って中空部(1e)が形成されるように上記搬送ロープ(2)としてクロスロープ(1)を使用し、
上記引掛ロープ(7)を、上記搬送ロープ(2)よりも細径かつ短寸に形成し、
上記引掛ロープ(7)の両端部(7a)(7b)を上記搬送ロープ(2)の外周面から相反する長手方向(N)に差し込んで上記中空部(1e)に挿入し、上記引掛ロープ(7)の中間部(7c)をU字弯曲状に形成して、上記搬送ロープ(2)の張力作用状態で上記中空部(1e)が縮径する締め付け力によって、上記両端部(7a)(7b)の抜け止めを行って接続したことを特徴とする搬送ロープと引掛ロープの接続方法。
【請求項3】
伐採地(J)と集材地(S)の間で閉ループ状に懸架され周回駆動して伐採材(W)を牽引する搬送ロープ(2)を備えた伐採材搬出装置であって、
上記搬送ロープ(2)は、クロスロープ(1)から成り、
さらに、上記搬送ロープ(2)よりも細径かつ短寸であって、中間部(7c)がU字弯曲状に形成されるように両端部(7a)(7b)が上記搬送ロープ(2)に外周面から軸心略直交方向に挿通されると共に該挿通された両端部(7a)(7b)が結束される上記伐採材(W)引掛用の引掛ロープ(7)を、上記搬送ロープ(2)の長手方向(N)に多数本取着したことを特徴とする伐採材搬出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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