説明

会合性水溶性セルロースエーテル

【課題】水性分散物、たとえば水不溶性結合剤を含有する水性組成物中で良好な増粘効果および有利な適用特性を有するセルロースエーテルの提供。
【解決手段】1重量%の濃度で測定された250〜20,000mPa.sのDP粘度、および8〜24の炭素原子の非置換のまたは置換された炭化水素基を含有する疎水性置換基の0.0001〜0.005の分子置換度MSを有する水溶性会合性セルロースエーテルであり、低含有量で良好な増粘効果および有利な適用特性を有し、水性装飾塗装組成物、水性紙塗工組成物、水性有機目止め組成物、水性セメントスラリー、水性洗浄剤組成物または水性パーソナルケア配合物に使用されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い平均重合度(DP)、および8〜24の炭素原子の炭化水素基を含有する疎水性置換基の低い置換度を有する会合性水溶性セルロースエーテルに関する。低い温度において、該セルロースエーテルは、特に水性分散物、たとえば水不溶性結合剤を含有する水性組成物中で良好な増粘効果および有利な適用特性を有する。
【背景技術】
【0002】
今日、水溶性セルロースエーテル、たとえば低いDPを有するセルロースエーテルは、水性分散物への増粘およびレオロジー剤としてしばしば使用される。このような分散物の例は、装飾塗装組成物、紙塗工組成物、目地材、およびセメント組成物である。しかし、低いDPを有するセルロースエーテルは、良好なレオロジー特性を与えるためには大量に加えられなければならない。セルロースエーテルは水溶性なので、分散物が乾いたときに水の影響の受け易さを最小にするために、たとえば装飾塗装組成物にできるだけ少ないセルロースエーテルを使用したいという一般的な要望がある。
【0003】
必要とされるセルロースエーテルの量の低減は、高いDPを有するセルロースエーテルを使用することによって達成されることができる。しかし、高いDPのセルロースエーテルがより良好な増粘効果および保水性を有するとしても、他のレオロジー特性、たとえば隠蔽力およびスパッター(はね)は十分ではない。スパッターを低減する方法は、低いDPを有する大量のセルロースエーテルを使用することである。
【0004】
会合性セルロースエーテル、すなわち約10超の炭素原子を有する大きい炭化水素基を含有する置換基および非常に低いDPを有するセルロースエーテルを使用することによって、スパッターは本質的に低減されることができる。低いDPの会合性セルロースエーテルは、高いICI粘度および良好なレベリング性に応じて隠蔽力にプラス方向の影響も与えるが、これは大量の添加を要求する。
【0005】
目地材には、高いDPのセルロースエーテルが、増粘および保水剤として少量で使用されることができる。残念ながら、目地材が垂直な表面に付与されたときに、保水剤は増加したたれをももたらす。この影響はしばしば、別の粘土の添加によって和らげられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
少量で加えられたときに、高いDPおよび8〜24の炭素原子の炭化水素基を含有する疎水性置換基の低い置換度を有する会合性水溶性セルロースエーテルが、水性分散物に独特の特性、たとえば高い保水性および増粘効果、低いスパッターおよびサギングたれ並びに/または良好な隠蔽力およびレベリング効果を与えることが今見出された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従う会合性水溶性セルロースエーテルは、粘度に換算して表現されおよび20℃で1重量%の濃度で測定された、250〜20,000mPa.s、好ましくは1.000〜15,000mPa.s、またもっとも好ましくは2,000〜15,000mPa.sのDP粘度、および8〜24の炭素原子、好ましくは10〜20の炭素原子の非置換のまたは置換された炭化水素基を含有する疎水性置換基(MS疎水性物)の0.0001〜0.005、好ましくは0.0002〜0.0035、またもっとも好ましくは0.0003〜0.0028の平均分子置換度(MS)を有する。非置換の炭化水素基は、脂肪族基または芳香族基、たとえばノニルフェニルまたはオクチルフェニルであることができる。置換された炭化水素基は、ヒドロキシル基またはフッ素基を含有することができる。
【0008】
慣用のレオメーター、たとえばRheolica Control Stressレオメーターを使用して、40mm、1°のコーンプレート測定系を用い、0.5Paのせん断応力および20℃の温度で、DP粘度は測定されることができる。この書類全体を通して使用されるDP粘度は、20℃で20重量%のジ(エチレングリコール)ブチルエーテルと80重量%の水とからなる溶媒系に重合体を溶解することによって測定される。純水中で得られた粘度に比較して、20重量%のポリ(エチレングリコール)ブチルエーテルを含有する水性溶液中で得られる、より高い粘度を補償するために、得られた粘度は次に因数2.7で割られた。疎水性基の平均分子置換度MSは、Landoll,L.M.著、J.Polym.Sci.誌、PartA:Polymer Chem.部、1982年、20巻、433頁によって記載された方法によって測定された。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に従う会合性水溶性セルロースエーテルは好ましくは、少なくとも800、好ましくは少なくとも850、またもっとも好ましくは少なくとも900の、および一般に最大でも8,000、好ましくは最大でも7,500、またもっとも好ましくは最大でも7,000の平均重合度(DP)を有する。従来技術で知られているようにセルロースエーテルの固有粘度から、DPは誘導されることができる。
【0010】
本発明に従うと、本発明のセルロースエーテルは、非イオン性またはイオン性でありおよび好適には式(I)の疎水性置換基を有し、
【化1】

ここで、Aは2〜3の炭素原子を有するアルキレンオキシ基であり、x、zおよびmは数0または1であり、nは数0〜7であり、ただしxおよびzが両方とも0であるときはnおよびmが両方とも0であることを条件とし、並びにRは6〜22、好ましくは8〜18の炭素原子の炭化水素基を表す。xが1であるときはz、n、およびmは好適には0であり、並びにzが1であるときはxは好適には0でありかつmは1である。RCHCH基およびRCH(OH)CH基は、上述の8〜24の炭素原子を有する非置換の炭化水素基および置換された炭化水素基を表す。
【0011】
炭化水素基RCHCHは、直鎖の脂肪族基、たとえばn−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−エイコシル、およびn−ドコシル、これらに対応する不飽和の脂肪族化合物、並びに8〜24の炭素原子および少なくとも1のメチルまたはエチル分枝を含有する分枝した脂肪族基であることができる。置換された炭化水素基RCH(OH)CHは、10〜24の炭素原子のα−不飽和脂肪族化合物のエポキシ化によって得られた10〜24の炭素原子のα−エポキシドから誘導されることができる。
【0012】
好適な疎水性置換基の例は、
【化2】

であり、ここでA、Rおよびnは、上記の式Iの説明で述べられた意味を有する。
【0013】
疎水性置換基に加えて、本発明に従うセルロースエーテルは、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、メチル、エチル、カルボキシメチル、および第1級、第2級、第3級または第4級アンモニウム基を有するカチオン性置換基からなる群から選ばれた1以上の置換基を含有する。セルロースエーテルが非イオン性セルロースエーテルであれば、該セルロースエーテルは0.2〜4.5のMSヒドロキシエチルを有する。好適には、非イオン性セルロースエーテルは50〜90℃、好ましくは55〜80℃の曇点温度を有する。このような非イオン性セルロースエーテルは、ヒドロキシエチルおよび疎水性置換基に加えて、通常メチルおよび/またはエチル置換基を含有する。よく適合化された曇点温度は、レオロジー特性にプラス方向の影響を与えることができ、セルロースエーテルの浄化および乾燥を促進するだろう。
【0014】
本発明のセルロースエーテルはアニオン性であることもでき、0.3〜1.4、好ましくは0.6〜1.0の平均置換度のカルボキシメチル基(DSカルボキシメチル)を有することができる。FChengらによってJ.Applied Pol.Sci.誌、61巻、1831〜1838頁(1996年)に明細に記されたように、300mHzのBruker社のNMR分光計を使用して、DSカルボキシメチルは測定される。カルボキシメチル置換基に加えて、アニオン性セルロースエーテルは、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、メチルおよび/またはエチルによって置換されることもできる。カチオン性セルロースエーテルは、通常アンモニウムイオンを含有する置換基を含有し、該アンモニウムイオンは第1級、第2級、第3級または第4級であることができる。MSアンモニウムは、典型的には0.01〜1.0である。第4級置換基が通常好まれる。カチオン性セルロースエーテル中のN+の量は、ケルダール(Kjeldahl)分析によって測定される。好ましくは、カチオン性セルロースエーテルはヒドロキシエチル置換基を含有するが、ヒドロキシプロピル、メチル、およびエチルからなる群から選ばれた置換基も存在することができる。
【0015】
本発明のセルロースエーテルは、それ自体知られた反応工程によって調製されることができる。たとえば、約250〜20,000mPa.sのDP粘度を有する水溶性セルロースエーテルが、アルカリ性条件下に好適な反応媒体中で次式の反応物質とさらに反応させられることができる。
【化3】

ここで、
【化4】

A、z、n、およびmは上述の意味を有する。反応後、反応媒体が除かれそして得られたセルロースエーテルは水および/または有機溶媒、たとえばアルコールで洗われて、反応中に生成した副生物が除かれることができる。
【0016】
本発明のセルロースエーテルは、少量で独特のレオロジー特性および高い増粘能力を有するので、いくつかの用途分野内で多くの配合物に好都合に使用されることができる。配合物は、溶液、エマルション、分散物または懸濁物の形態を有することができる。典型的な用途分野は、水性装飾塗装組成物、たとえばラテックス塗料;水性有機目止め組成物;水性パーソナルケア配合物、たとえばシャンプー、水性コンディショナー、および化粧品;水性洗浄剤組成物、たとえば硬質表面洗浄剤およびクリーニング用組成物;水性セメントスラリー、並びに水性紙塗工組成物、たとえばコーティング液である。
【0017】
水性紙塗工組成物では、セルロースエーテルは、非イオン性若しくはアニオン性またはこれらの組み合わせであることができる。好適な組成物は、たとえばラテックスおよび炭酸カルシウムおよび増粘剤としての本発明のセルロースエーテルを含有する水性コーティング液である。
【0018】
カチオン性セルロースエーテルは、優れた増粘および帯電防止特性、並びに皮膚および毛髪に付着する能力を有するので、水性パーソナルケア製品に好都合に使用されることができる。
【0019】
本発明のセルロースエーテルは、増粘剤としてだけでなく安定剤としても水媒体使用のつや消し、半つや消し、半光沢、および光沢塗料組成物への使用にも十分に適している。加えられるセルロースエーテルの量は、塗料組成物の成分並びにセルロースエーテルの置換度および粘度の両方に応じて色々であるが、通常には添加量は塗料組成物の0.1〜1.2重量%である。エマルション結合剤、たとえばアルキド樹脂並びにラテックス結合剤、たとえばポリ酢酸ビニル、酢酸ビニルとアクリル酸エステルとの共重合体、酢酸ビニルとエチレンとの共重合体、酢酸ビニルとエチレンと塩化ビニルとの共重合体、およびスチレンとアクリル酸エステルとの共重合体を含有する塗料配合物に、非イオン性およびアニオン性セルロースエーテルは、十分に使用されることができる。ラテックス結合剤は、しばしばアニオン性界面活性剤で安定化される。
【0020】
本発明は、以下の実施例によってさらに詳細に説明される。
[実施例1]
式RO(CO)H(ここで、Rはドデシルとテトラデシルとの混合である。)の酸化エチレン付加物1モル、およびエピクロルヒドリン1モルが、四塩化スズの存在下に70℃で反応させられた。反応後、水酸化ナトリウムの水中30重量%溶液が、反応混合物に80℃で加えられそして次式
【化5】

のグリシジルエーテル(ここで、Rは上述の意味を有する。)が得られそして水相から分離された。
【0021】
約10,000mPa.sのDP粘度のセルロースエーテルを与えると予想される溶解木材パルプの粉体が、100部の量で反応器に加えられた。反応器中の空気が排気されそして窒素、50重量%水溶液として70重量部の量の水酸化ナトリウム、塩化エチル(150部)、酸化エチレン(84部)、およびグリシジルエーテル(2.2部)で置換された。
【0022】
反応器温度は55℃まで増加され、そして反応器はこの温度に50分間保持され、その後反応器温度は105℃まで増加され、そしてそこに50分間保持された。得られたセルロースエーテルは、沸騰水で洗われ、そして酢酸で中和された。セルロースエーテルは、2.1のMSヒドロキシエチル、0.9のDSエチル、0.0025のMS疎水性物、および59℃の曇点温度を有していた。その温度で(1重量%の濃度の)重合体溶液相が相分離するところの曇点温度TCPは、目視検出によって測定された。サーモスタット付き水浴槽に浸漬された分光光度計のセル中に、溶液は置かれた。温度は2℃の段差で増加された。温度の各変化後にサンプルは、20分間平衡になるまで放置されその後観察された。その温度で1重量%のセルロースエーテル溶液が初めて濁りを帯びるところの温度として、TCPは定義される。
【0023】
エトキシおよびヒドロキシエトキシ基を酢酸中で臭化水素酸を用いて開裂し、エチルおよびヒドロキシエチル基が臭化エチルおよび1,2−ジブロモエタンを生成することによって、エチルおよびヒドロキシエチルの置換度は測定された。これらの臭化物の量は、次にガスクロマトグラフ法によって測定された。Hodges,K.L.著、AnalyticalChemistry誌、51巻(1979年)、2172頁およびStead Hindley著、J Chromatog.誌、(1969年)、470−475頁も参照せよ。
【0024】
[実施例2]
実施例1が繰り返されたが、約6,000mPa.sのDP粘度のセルロースエーテルを与えると予想される溶解木材パルプが使用された。セルロースエーテルは、2.1のMSヒドロキシエチル、0.8のDSエチル、0.0026のMS疎水性物、および61℃の曇点温度を有していた。
【0025】
[実施例3]
実施例2が繰り返されたが、グリシジルエーテルの量は2.0重量部であった。セルロースエーテルは、2.1のMSヒドロキシエチル、0.8のDSエチル、0.0018のMS疎水性物、および64℃の曇点温度を有していた。
【0026】
[実施例4]
実施例1が繰り返されたが、約15,000mPa.sのDP粘度のセルロースエーテルを与えると予想される溶解木材パルプが使用され、かつグリシジルエーテル中のアルキル基は、ヘキサデシルとオクタデシルとの混合によって置換された。このグリシジルエーテルは0.3重量部で加えられた。セルロースエーテルは、2.1のMSヒドロキシエチル、0.9のDSエチル、0.0004のMS疎水性物、および65℃の曇点温度を有していた。
【0027】
[実施例5]
実施例4が繰り返されたが、グリシジルエーテルの量は0.6重量部であった。セルロースエーテルは、2.1のMSヒドロキシエチル、0.8のDSエチル、0.0007のMS疎水性物、および65℃の曇点温度を有していた。
【0028】
[実施例6]
実施例4が繰り返されたが、グリシジルエーテルの量は1.2重量部であった。セルロースエーテルは、2.1のMSヒドロキシエチル、0.8のDSエチル、0.0012のMS疎水性物、および65℃の曇点温度を有していた。
【0029】
[実施例7]
水20g中の水酸化ナトリウム81gの溶液が、撹拌とともにリンターセルロース150gと水40gとの混合物に窒素雰囲気下に20℃で加えられ、引き続いて水20g中のクロロ酢酸103.9gの溶液、n−ブチルグリシジルエーテル60g、および次式のグリシジルエーテル16gが加えられた。
【化6】

【0030】
得られた混合物は85℃まで加熱され、そしてこの温度に26時間保持され、そしてそれから冷却され、そして酢酸で中和された。得られた粗セルロースエーテルは3回、それぞれエタノール65重量%の水性溶液、エタノール85重量%の水性溶液、およびエタノール80重量%とアセトン20重量%とを含有する溶液を用いて洗われ、そしてそれから乾燥された。セルロースエーテルは、0.9のDSカルボキシメチル、0.2のMSn−ブチルグリシジル、0.004のMS疎水性物を有していた。ブチルグリシジルエーテル基の置換度は、NMR分光計を使用することによってカルボキシメチル基の測定と同様な様式で測定された。
【0031】
[実施例8]
実施例1〜7で調製されたセルロースエーテル並びに比較のためのいくつかのセルロースエーテルが、水中粘度およびDP粘度に関して試験された。セルロースエーテルの濃度は1重量%であった。比較試験に使用されたセルロースエーテルは、下の表1に示される。40mm、1°のコーンプレート測定系を備えたRheolica社のControllStressレオメーターで0.5Paおよび20℃で、粘度測定は実施された。得られた粘度は下の表2に示される。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
疎水性物変性基の低いMS、たとえば0.0004でさえも粘度に本質的な寄与をすることを、該結果は示す。
【0035】
[実施例9および10]
これらの実施例では、下の表3に示された2の塗料配合物への増粘剤として、種々のセルロースエーテルが試験された。塗料配合物が105KUのストーマー(Stormer)粘度を達成するような様式で、セルロースエーテルの量は調整された。
【0036】
【表3】

【0037】
塗料配合物は、それらのICI粘度、レベリング性、およびスパッターに関して試験された。レベリング性およびスパッター(はね)への効果は、1〜10の尺度に従って試験パネルによって目視で測定された。レベリング性の尺度では、1は非常に不満足なレベリング性を、また10は申し分のないレベリング性を表し、一方スパッターの尺度では、1は高い程度のスパッターを、また10はスパッターが全くないことを表す。以下の結果が得られた。
【0038】
【表4】

【0039】
【表5】

【0040】
本発明のセルロースエーテルは、比較のセルロースエーテルよりも少ない量でおよび/またはより少ない量の疎水性置換基で使用されることができ、かつそれにもかかわらず少なくとも同等のおよびほとんどの場合により良好でさえあるICI粘度、スパッター、およびレベリング性を有することを、該結果は示す。
【0041】
[実施例11]
高粘性の目止めが以下の成分を混合することによって調製された。
成分 重量部
マグネシウムおよびカルシウムの炭酸塩 946.5
チョーク水和物 10
下の表6に従う増粘剤 5
酢酸ビニル−エテン−塩化ビニル(Mowilith DM 122) 30
殺菌剤 1
分散剤(ポリアクリル酸) 0.5
消泡剤 2
水 350
【0042】
目止めの流れ性は環試験(ring test)によって試験された。以下の結果が得られた。
【0043】
【表6】

【0044】
該結果から、本発明に従う目止め組成物の流れは、比較のセルロースエーテルを含有する組成物の流れよりも低いことが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20℃で1重量%の濃度で測定された250mPa.s〜20,000mPa.sのDP(平均重合度)粘度、および8〜24の炭素原子の非置換のまたは置換された炭化水素基を含有する疎水性置換基の0.0001〜0.005のMS(平均分子置換度)を有することを特徴とする、会合性水溶性セルロースエーテル。
【請求項2】
DP粘度が1,000mPa.s〜15,000mPa.sであり、かつMSが0.0003〜0.0028であることを特徴とする、請求項1に従うセルロースエーテル。
【請求項3】
疎水性置換基が、式
【化7】

(ここで、Aは2〜3の炭素原子を有するアルキレンオキシ基であり、x、zおよびmは数0または1であり、nは数0〜7であり、ただしxおよびzが両方とも0であるときはnおよびmが両方とも0であることを条件とし、並びにRは6〜22の炭素原子の炭化水素基を表す。)を有することを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項に従うセルロースエーテル。
【請求項4】
zが1であるときに、xが0でありかつmが1であることを特徴とする、請求項3に従うセルロースエーテル。
【請求項5】
ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、メチル、エチル、カルボキシメチル、およびアンモニウム含有置換基並びにこれらの混合からなる群から選ばれた置換基を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に従うセルロースエーテル。
【請求項6】
非イオン性セルロースエーテルであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に従うセルロースエーテル。
【請求項7】
0.8〜4.5のMSヒドロキシエチルを有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に従うセルロースエーテル。
【請求項8】
50℃〜90℃の曇点温度を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に従うセルロースエーテル。
【請求項9】
メチル置換基若しくはエチル置換基またはこれらの混合を含有することを特徴とする、請求項7〜8のいずれか1項に従うセルロースエーテル。
【請求項10】
0.3〜1.4のDSカルボキシメチル(平均置換度のカルボキシメチル)を有することを特徴とする、請求項1〜5、7、および8のいずれか1項に従うセルロースエーテル。
【請求項11】
水性装飾塗装組成物、水性紙塗工組成物、水性有機目止め組成物、水性セメントスラリー、水性洗浄剤組成物または水性パーソナルケア配合物において、増粘およびレオロジー剤として、請求項1〜7のいずれか1項に定義されたセルロースエーテルを使用する方法。
【請求項12】
塗料組成物がアルキドエマルションまたはラテックスを含有する、請求項11に従う使用方法。

【公開番号】特開2012−237002(P2012−237002A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−173126(P2012−173126)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2006−543520(P2006−543520)の分割
【原出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【Fターム(参考)】