説明

会計処理装置及びコンピュータプログラム

【課題】
会計処理装置と自動釣銭機の電源を共通化するにあたり、最大消費電力を抑えること。
【解決手段】
一実施形態に係る会計処理装置は、動作電源を生成する電源ユニットと、この電源ユニットから動作電源の供給を受けて動作する第1のハードウェアと、前記電源ユニットから動作電源の供給を受けて動作する前記第1のハードウェアとは異なる第2のハードウェアと、前記第1のハードウェア及び前記第2のハードウェアのいずれか一方を動作させ、当該一方の動作の完了後に当該他方を動作させる制御手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、各種取引の会計に使用される会計処理装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の販売や役務の提供を行う店舗においては、POS(Point Of Sales)端末やECR(Electric Cash Register)等の会計処理装置を用いて取引の会計が行われている。一般的な会計処理装置は、バーコードスキャナ等により客が購入しようとする商品や役務(以下、商品等)の登録を受け付け、登録された商品等の合計代金を算出してディスプレイに表示し、その代金の支払を受け付け、取引の詳細情報が印刷されたレシートをレシートプリンタにより発行して、一取引の会計を終了する。また、会計処理装置は、硬貨や紙幣からなる釣銭を自動的に排出する自動釣銭機とともに、使用されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−272026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の会計処理装置及び自動釣銭機の電源ユニットは、それぞれ別個に設けられている。すなわち、会計処理装置が備える上記プリンタやディスプレイは会計処理装置の電源ユニットからの電源供給を受けて動作し、自動釣銭機はそれ専用の電源ユニットからの電源供給を受けて動作している。そこで、会計処理装置と自動釣銭機とを一体化し、プリンタやディスプレイ、及び、自動釣銭機に対して1つの電源ユニットから動作電源を供給しようとすると、当該電源ユニットの最大消費電力が高くなる。そうすると、電源ユニットを大型化しなければならない等、各種の不都合が生じる。
【0005】
このような事情から、会計処理装置と自動釣銭機の電源を共通化するにあたり、最大消費電力を抑えるための手段を検討する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る会計処理装置は、動作電源を生成する電源ユニットと、この電源ユニットから動作電源の供給を受けて動作する第1のハードウェアと、前記電源ユニットから動作電源の供給を受けて動作する前記第1のハードウェアとは異なる第2のハードウェアと、前記第1のハードウェア及び前記第2のハードウェアのいずれか一方を動作させ、当該一方の動作の完了後に当該他方を動作させる制御手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態に係るPOS端末の外観斜視図。
【図2】同POS端末の制御回路を示すブロック図。
【図3】同POS端末が備えるRAMに形成されるフラグを説明するための図。
【図4】同POS端末が実行する設定処理のフローチャート。
【図5】同POS端末が実行する会計処理のフローチャート。
【図6】同POS端末が実行する会計処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態においては、会計処理装置の一例として、商品の販売や役務の提供を行う店舗にて使用される釣銭機一体型のPOS端末を開示する。
【0009】
図1は、本実施形態に係るPOS端末1の外観斜視図である。このPOS端末1の本体上面は、手前側(操作者の立ち位置側)に傾斜しており、この傾斜面上に、キーボード8、店員側ディスプレイ9、カードリーダ11、レシートプリンタ12等が設けられている。また、POS端末1の背面側には、図1には示されていないが、客側に表示面が向けられた客側ディスプレイ10が設けられている。
【0010】
キーボード8は、商品登録の開始を宣言するためのPLU(Price Look Up)キー、取引の締めを宣言するための締めキー、0〜9の数字を置数するためのテンキー等で構成されている。また、キーボード8には、例えば店員が所持する鍵が挿入されたときに回動可能となる鍵スイッチ8aが設けられている。この鍵スイッチ8aの回動により、POS端末1の動作モードが、例えば商品登録業務を行う商品登録モード、各種の設定を行うメンテナンスモード、POS端末1を休止状態に移行させる休止モードなどの間で切り替わる。
【0011】
商品登録モードにおいては、POS端末1の操作責任者の登録が要求され、この登録を行わないと商品登録業務を行えないようになっている。操作責任者が登録されていない状態において、例えばキーボード8を操作すること、あるいは後述のバーコードスキャナ6(図2参照)により店員が所持する名札に印刷されたバーコードを読み取ることなどで店員の識別情報が入力されると、CPU2の制御の下で、当該識別情報で示される店員が操作責任者として登録される。その後、キーボード8の操作によって操作責任者の登録解除が宣言されたり、鍵スイッチ8aによりPOS端末1の動作モードが商品登録業務以外のモードに切り替えられたりすると、CPU2の制御により、操作責任者の登録が解除される。
【0012】
店員側ディスプレイ9は、例えばタッチパネル付きのLCD(Liquid Crystal Display)であり、登録された商品に関する情報、取引の合計金額、客からの支払額、釣銭額、操作ガイダンス、POS端末1の設定に関する情報等を選択的に表示する。客側ディスプレイ10は、例えばタッチパネル付きのLCDであり、登録された商品に関する情報、取引の合計金額、客からの支払額、釣銭額、客向けのコマーシャル情報等を選択的に表示する。
【0013】
カードリーダ11は、例えば磁気タイプのカードリーダであり、スライド溝にスライドされたクレジットカードやポイントカードから、クレジット情報やポイント情報等を読み取る。レシートプリンタ12は、例えば複数の発熱素子に選択的に通電して発熱させることで感熱紙を発色させ、文字や図形を印刷するサーマルプリンタであり、取引の締めが宣言されたときに、購入商品に関する情報、合計代金、支払金額、釣銭額、店舗情報、登録中の操作責任者に関する情報等をレシート用紙に印刷し、レシート排出口12aから発行する。
【0014】
また、POS端末1の手前側端部付近には、硬貨投入口101、紙幣投入口102、釣銭排出口103、硬貨受皿104等が設けられている。硬貨投入口101及び紙幣投入口102には、会計処理において客から支払われた硬貨及び紙幣がそれぞれ投入される。釣銭排出口103からは、会計処理において客に返却すべき釣銭(紙幣、硬貨の双方を含む)が排出される。排出された硬貨は、硬貨受皿104に貯留され、排出された紙幣は、釣銭排出口103にて一端を狭持された状態で静止する。
【0015】
図2は、本実施形態に係るPOS端末1の制御回路を示すブロック図である。POS端末1は、制御の中枢として機能するCPU(Central Processing Unit)2を備える。このCPU2には、チップセットやバスライン等を介してROM(Read Only Memory)3、RAM(Random Access Memory)4、通信I/F(Interface)5、バーコードスキャナ6、HDD(Hard Disk Drive)7、キーボード8、店員側ディスプレイ9、客側ディスプレイ10、カードリーダ11、レシートプリンタ12、自動釣銭機13等が接続されている。
【0016】
ROM3には、POS端末1に会計処理等の動作を実現させるためのコンピュータプログラムを始めとし、各種の固定的データが記憶されている。
【0017】
RAM4は、POS端末1のメインメモリとして機能するものであり、処理場面に応じて種々の作業用記憶エリアが形成される。
【0018】
通信I/F5は、店舗内のLAN(Local Area Network)やインターネットに接続された各種機器との間で、通信ケーブル5aを介して各種のデータを送受信する。バーコードスキャナ6は、例えば店員が手持で操作するハンディタイプのスキャナであり、バーコードを光学的に読み取る。このバーコードスキャナ6によって商品に付されたバーコードを読み取ることにより、当該商品の識別情報であるPLUコードが入力される。
【0019】
HDD7には、各種のアプリケーションファイルやデータベースが記憶される。自動釣銭機13は、硬貨入金ユニット131、紙幣入金ユニット132、硬貨出金ユニット133、紙幣出金ユニット134等を備えている。
【0020】
硬貨入金ユニット131は、硬貨投入口101に投入された硬貨をPOS端末1の内部に搬送して金種別に計数し、それら硬貨の合計金額を算出するとともに、それら硬貨を図示せぬ硬貨収納部に収納する。紙幣入金ユニット132は、紙幣投入口102に投入された紙幣をPOS端末1の内部に搬送して金種別に計数し、それら紙幣の合計金額を算出するとともに、それら紙幣を図示せぬ紙幣収納部に収納する。
【0021】
硬貨出金ユニット133は、CPU2によって算出される釣銭額のうち、硬貨で客に返却すべき金額に相当する枚数・種別の硬貨を上記硬貨収納部から取り出し、釣銭排出口103から排出する。紙幣出金ユニット134は、CPU2によって算出される釣銭額のうち、紙幣で客に返却すべき金額に相当する枚数・種別の紙幣を上記紙幣収納部から取り出し、釣銭排出口103から排出する。
【0022】
なお、POS端末1が備える各ハードウェア、すなわちCPU2、ROM3、RAM4通信I/F5、バーコードスキャナ6、HDD7、キーボード8、店員側ディスプレイ9、客側ディスプレイ10、カードリーダ11、レシートプリンタ12、及び自動釣銭機13等は、電源ユニット14にて生成される動作電源の供給を受けて動作する。
【0023】
電源ユニット14は、商用交流電源等の外部電源20からコンセントを介して電力を取り込み、それをAC−DC変換する等して上記動作電源を生成する。電源ユニット14は、例えばPOS端末1の最大消費電力が定格電力値となるように設計されている。POS端末1の起動時において、RAM4には、図3に示すようにフラグF1、F2、F3が形成される。これら各フラグF1〜F3は、例えばオペレーティングシステムのシャットダウン時にHDD7に保存し、オペレーティングシステムの起動時にHDD7からRAM4にロードするなどして、POS端末1への電源投入が停止された後でもその値が保持されるようになっている。
【0024】
フラグF1は、会計処理において、自動釣銭機13による釣銭排出と、レシートプリンタ12によるレシート発行とを実行する順序を示すものであり、「0」が釣銭排出、レシート発行の順を示し、「1」がレシート発行、釣銭排出の順を示す。フラグF2は、会計処理において、店員側ディスプレイ9の省電力制御のON/OFFを示すものであり、「0」が省電力制御ONを示し、「1」が省電力制御OFFを示す。フラグF3は、会計処理において、客側ディスプレイ10の省電力制御のON/OFFを示すものであり、「0」が省電力制御ONを示し、「1」が省電力制御OFFを示す。
【0025】
次に、POS端末1の動作について説明する。鍵スイッチ8aにてPOS端末1の動作モードをメンテナンスモードに切り替え、キーボード8の操作や店員側ディスプレイ9へのタッチ操作によりフラグF1〜F3の設定が選択されると、図4のフローチャートに示す流れの設定処理が開始される。この設定処理は、CPU2がROM3に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0026】
設定処理において、先ずCPU2は、会計処理における自動釣銭機13及びレシートプリンタ12の動作順序の設定を受け付ける(ステップS101)。このとき操作者は、キーボード8の操作や店員側ディスプレイ9へのタッチ操作により、「0」(釣銭排出、レシート発行の順),「1」(レシート発行、釣銭排出の順)のいずれかを置数することで、動作順序を指定できる。ステップS101の後、CPU2は、指定された動作順序を判定する(ステップS102)。このときCPU2は、「0」が指定されているならば(ステップS102の「0」)、RAM4のフラグF1を「0」にセットし(ステップS103)、「1」が指定されているならば(ステップS102の「1」)、RAM4のフラグF1を「1」にセットする(ステップS104)。
【0027】
次に、CPU2は、会計処理における店員側ディスプレイ9の設定を受け付ける(ステップS105)。このとき操作者は、キーボード8の操作や店員側ディスプレイ9へのタッチ操作により、「0」(省電力制御ON),「1」(省電力制御OFF)のいずれかを置数することで、店員側ディスプレイ9の設定を指定できる。ステップS105の後、CPU2は、指定された設定を判定する(ステップS106)。このときCPU2は、「0」が指定されているならば(ステップS106の「0」)、RAM4のフラグF2を「0」にセットし(ステップS107)、「1」が指定されているならば(ステップS106の「1」)、RAM4のフラグF2を「1」にセットする(ステップS108)。
【0028】
次に、CPU2は、会計処理における客側ディスプレイ10の設定を受け付ける(ステップS109)。このとき操作者は、キーボード8の操作や店員側ディスプレイ9へのタッチ操作により、「0」(省電力制御ON),「1」(省電力制御OFF)のいずれかを置数することで、客側ディスプレイ10の設定を指定できる。ステップS109の後、CPU2は、指定された設定を判定する(ステップS110)。このときCPU2は、「0」が指定されているならば(ステップS110の「0」)、RAM4のフラグF3を「0」にセットし(ステップS111)、「1」が指定されているならば(ステップS110の「1」)、RAM4のフラグF3を「1」にセットする(ステップS112)。以上で設定処理が終了する。その後、この設定処理にて設定された内容に従い、POS端末1が動作する。
【0029】
鍵スイッチ8aにてPOS端末1の動作モードを商品登録モードに切り替え、操作責任者が登録されると、図5,図6のフローチャートに示す流れの会計処理が開始される。この会計処理は、CPU2がROM3に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0030】
会計処理において、先ずCPU2は、客が購入しようとする商品の登録を受け付けるとともに(ステップS201)、登録完了を待つ(ステップS202のNo)。このとき、バーコードスキャナ6にて商品に付されたバーコードを読み取ったり、店員側ディスプレイ9に表示されたプリセットキーにて購入商品が指定されたりすると、その商品のPLUコードが入力され、このPLUコードに対応する商品情報(商品名、価格等)がHDD7に記憶された商品マスタ等から取得され、RAM4に形成された商品登録バッファに登録される。
【0031】
キーボード8に設けられた小計キーが操作されると、この取引における商品登録が完了する(ステップS202のYes)。このときCPU2は、商品登録バッファに登録された各商品の価格を合計して当該取引の合計代金を算出し、店員側ディスプレイ9及び客側ディスプレイ10に表示させる(ステップS203)。そして、CPU2は、代金の支払を受け付ける状態で(ステップS204)、支払完了を待つ(ステップS204のNo)。ここでは、現金、クレジットカード、電子マネー、商品券など、種々のメディアによって代金が支払われてよいが、以下の説明においては特に現金で代金が支払われる場合について述べる。
【0032】
現金にて代金が支払われる場合、操作者である店員は、客から現金を預かり、そのうちの硬貨を硬貨投入口101に投入し、紙幣を紙幣投入口102に投入する。そうすると、自動釣銭機13の硬貨入金ユニット131が投入された硬貨を計数し、紙幣入金ユニット132が投入された紙幣を計数する。
【0033】
CPU2は、これら各入金ユニット131,132によって計数された金額の合計を、客からの支払金額として店員側ディスプレイ9及び客側ディスプレイ10に表示させる。その後、キーボード8に設けられた締めキーが操作されると、CPU2は、代金の支払が完了したとの判断の下で(ステップS205のYes)、上記支払金額からステップS203にて算出した合計金額を減算し、釣銭額を算出するとともに、算出した釣銭額を店員側ディスプレイ9及び客側ディスプレイ10に表示させる(ステップS206)。店員側ディスプレイ9及び客側ディスプレイ10に釣銭額等を表示させた状態で、CPU2は、RAM4に記憶されたフラグF2の値を判定する(ステップS207)。フラグF2の値が「0」である場合(ステップS207の「F2=0」)、CPU2は、店員側ディスプレイ9の輝度を、現在の輝度から低下させる(ステップS208)。一方、フラグF2の値が「1」である場合には(ステップS207の「F2=1」)、店員側ディスプレイ9の輝度を低下させない。
【0034】
続いて、CPU2は、RAM4に記憶されたフラグF3の値を判定する(ステップS209)。フラグF3の値が「0」である場合(ステップS209の「F3=0」)、CPU2は、客側ディスプレイ10の輝度を、現在の輝度から低下させる(ステップS210)。一方、フラグF3の値が「1」である場合には(ステップS209の「F3=1」)、客側ディスプレイ10の輝度を低下させない。その後、図6のフローチャートに移り、CPU2は、RAM4に記憶されたフラグF1の値を判定する(ステップS211)。
フラグF1の値が「0」である場合(ステップS211の「F1=0」)、CPU2は、自動釣銭機13に釣銭排出処理を実行させる(ステップS212)。この処理においては、ステップS206にて算出された釣銭額のうち硬貨で払い出すべき金額に相当する種別・枚数の硬貨を硬貨出金ユニット133が釣銭排出口103から排出し、同釣銭額のうち紙幣で払い出すべき金額に相当する種別・枚数の紙幣を紙幣出金ユニット134が釣銭排出口103から排出する。
【0035】
釣銭排出処理が実行されている間、CPU2は、その完了を待つ(ステップS213のNo)。自動釣銭機13は、釣銭の排出を完了したならば、その旨を知らせる信号をCPU2に出力する。この信号を受信したことを以って、CPU2は、釣銭排出処理が完了したと判定する(ステップS213のYes)。そして、CPU2は、レシートプリンタ12にレシートの発行処理を実行させる(ステップS214)。この処理において、レシートプリンタ12は、商品登録バッファに登録された商品情報、ステップS203にて算出された合計代金、ステップS204にて受け付けた支払金額、ステップS206にて算出された釣銭額、店舗情報、操作責任者に関する情報等を用紙に印刷し、印刷後の用紙をレシートとしてレシート排出口12aから発行する。
【0036】
レシート発行処理が実行されている間、CPU2は、その完了を待つ(ステップS215のNo)。レシートプリンタ12は、レシートを発行し終えたならば、その旨を知らせる信号をCPU2に出力する。この信号を受信したことを以って、CPU2は、レシート発行処理が完了したと判定する(ステップS215のYes)。一方、ステップS211において、フラグF1の値が「1」である場合(ステップS211の「F1=1」)、CPU2は、レシートプリンタ12にレシートの発行処理を実行させる(ステップS216)。この処理において、レシートプリンタ12は、ステップS214と同様にレシートを発行する。
【0037】
レシート発行処理が実行されている間、CPU2は、その完了を待つ(ステップS217のNo)。そして、レシートプリンタ12から処理の完了を知らせる信号を受信したことを以って、CPU2は、レシート発行処理が完了したと判定し(ステップS217のYes)、自動釣銭機13に釣銭排出処理を実行させる(ステップS218)。この処理においては、硬貨出金ユニット133及び紙幣出金ユニット134がステップS212と同様に釣銭に相当する額の硬貨及び紙幣を排出する。
【0038】
釣銭排出処理が実行されている間、CPU2は、その完了を待つ(ステップS219のNo)。そして、自動釣銭機13から処理の完了を知らせる信号を受信したことを以って、CPU2は、釣銭排出処理が完了したと判定する(ステップS219のYes)。このように、本実施形態においては、CPU2がフラグF1の値に応じて自動釣銭機13による釣銭の排出及びレシートプリンタ12によるレシートの発行のいずれか一方を実行させ、当該一方の動作の完了を待って当該他方の動作を実行させる。
【0039】
フラグF1が「0」である場合においてレシート発行処理が完了したと判定したとき(ステップS215のYes)、及び、フラグF1が「1」である場合において釣銭排出処理が完了したと判定したとき(ステップS219のYes)、CPU2は、RAM4に記憶されたフラグF2の値を判定する(ステップS220)。フラグF2の値が「0」である場合(ステップS220の「F2=0」)、CPU2は、店員側ディスプレイ9の輝度を、現在の輝度から上昇させ、ステップS208にて低下させる以前の状態に戻す(ステップS221)。一方、フラグF2の値が「1」である場合には(ステップS220の「F2=1」)、店員側ディスプレイ9の輝度を変化させない。
【0040】
さらに、CPU2は、RAM4に記憶されたフラグF3の値を判定する(ステップS222)。フラグF3の値が「0」である場合(ステップS222の「F3=0」)、CPU2は、客側ディスプレイ10の輝度を、現在の輝度から上昇させ、ステップS210にて低下させる以前の状態に戻す(ステップS223)。
【0041】
一方、フラグF3の値が「1」である場合には(ステップS222の「F3=1」)、客側ディスプレイ10の輝度を変化させない。以上で、1取引に対する会計処理が終了する。
【0042】
このように、本実施形態における会計処理では、自動釣銭機13とレシートプリンタ12を同時に動作させない。なお、会計処理以外の処理にて自動釣銭機13とレシートプリンタ12を動作させる必要がある場合であっても、ステップS211〜S219と同様に、CPU2がフラグF1の値に応じて自動釣銭機13による釣銭の排出及びレシートプリンタ12によるレシートの発行のいずれか一方を実行させ、当該一方の動作の完了を待って当該他方の動作を実行させる。
【0043】
本実施形態に係るPOS端末1は、上記のような会計処理が行われていないときに、POS端末1全体の消費電力を低減する省電力モードへ移行する機能を備えている。省電力モードにおいては、POS端末1が備えるデバイスの少なくとも一部を、会計処理が行われているときよりも低い電力で動作させるか、あるいは各デバイスのうちの少なくとも一部の動作を停止させることで、各デバイスによる消費電力を低減させる。具体的には、省電力モードに移行したときに、店員側ディスプレイ9及び客側ディスプレイ10の輝度を低下させるかあるいは消灯したり、レシートプリンタ12が有する印刷ヘッドの余熱を中断したりすることで、消費電力を低減させればよい。
【0044】
省電力モードへは、例えば鍵スイッチ8aの操作によって休止モードが指定されたときや、商品登録モードにおいて操作責任者が登録されていないときに移行する。あるいは、キーボード8、店員側ディスプレイ9、客側ディスプレイ10等に対する操作が一定時間なされない場合に、省電力モードへ移行するようにしてもよい。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係るPOS端末1は、従来は別々の電源ユニットから電源供給を受けて動作していた自動釣銭機13とPOS端末1の各部とを、同一の電源ユニット14からの電源供給を受けて動作するよう構成した。
【0046】
自動釣銭機13に釣銭を排出させるとき、及び、レシートプリンタ12によりレシートを印刷・発行させるときには、多大な電力を要する。しかしながら、本実施形態では、自動釣銭機13及びレシートプリンタ12が同時に動作しないので、POS端末1の最大消費電力を抑えることができる。その結果、電源ユニット14ひいてはPOS端末1の小型化が可能となる。
【0047】
また、本実施形態に係るPOS端末1は、省電力制御がONされているとき、自動釣銭機13及びレシートプリンタ12の動作時に店員側ディスプレイ9及び客側ディスプレイ10の輝度を低下させる。このようにすれば、自動釣銭機13及びレシートプリンタ12の動作時における消費電力をより低減できる。
【0048】
また、自動釣銭機13及びレシートプリンタ12を動作させる順番や、店員側ディスプレイ9及び客側ディスプレイ10の省電力制御のON/OFFは、設定処理においてフラグF1〜F3の値を設定することで、容易に変更可能である。したがって、店舗の運営に合致した処理を、作業員によるメンテナンス等を介さずに実現できる。また、本実施形態に係るPOS端末1は、鍵スイッチ8aの操作等に応じて省電力モードに移行するため、営業時間中のトータルの消費電力を節約できる。
【0049】
上記実施形態に開示された構成は、実施段階において各構成要素を適宜変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0050】
上記実施形態では、店員が操作するタイプのPOS端末を例示した。しかしながら、上記実施形態にて開示した自動釣銭機13及びレシートプリンタ12に関わる構成やディスプレイの省電力制御に関わる構成を、客自身が操作して会計処理を進行するセルフタイプのPOS端末やECR等に適用してもよい。
【0051】
上記実施形態では、自動釣銭機13と、レシートプリンタ12とが同時に動作しないようにする場合を例示した。しかしながら、レシートプリンタ12に限らず、その他にも消費電力が比較的大きいハードウェアをPOS端末1が備える場合、そのハードウェアと、自動釣銭機13とが同時に動作しないように会計処理等を進行してもよい。
【0052】
上記実施形態の構成において、店員側ディスプレイ9や客側ディスプレイ10の省電力制御がONされているとき、基本的には各ディスプレイ9,10の輝度を低下させ、店員や客が必要とする情報、例えば合計代金や釣銭額が算出されたときに限り、各ディスプレイ9,10の輝度を上昇させて、所定時間だけ各ディスプレイ9,10にこれらの情報を表示させるようにしてもよい。また、このように各ディスプレイ9,10の輝度を上昇させるタイミングや、上昇させる期間は、設定処理においてユーザが自由に設定できるようにしてもよい。
【0053】
上記実施形態では、CPU2がメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、設定処理や会計処理等を実現するとした。しかしながら、これに限らず上記コンピュータプログラムを所定のネットワークからPOS端末1にダウンロードしてもよいし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものをPOS端末1にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROMやUSBメモリ等を利用でき、かつPOS端末1に内蔵あるいは接続されたデバイスが読み取り可能な記録媒体であれば、その形態はどのようなものであってもよい。また、このように予めインストールやダウンロードにより得る機能は、POS端末1内部のオペレーティングシステム等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
F1〜F3…フラグ、1…POS端末、2…CPU、3…ROM、4…RAM、8a…鍵スイッチ、9…店員側ディスプレイ、10…客側ディスプレイ、12…レシートプリンタ、13…自動釣銭機、14…電源ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作電源を生成する電源ユニットと、
この電源ユニットから動作電源の供給を受けて動作する第1のハードウェアと、
前記電源ユニットから動作電源の供給を受けて動作する前記第1のハードウェアとは異なる第2のハードウェアと、
前記第1のハードウェア及び前記第2のハードウェアのいずれか一方を動作させ、当該一方の動作の完了後に当該他方を動作させる制御手段と、
を備えていることを特徴とする会計処理装置。
【請求項2】
前記第1のハードウェアは、釣銭を排出する釣銭機であり、
前記第2のハードウェアは、取引に関する情報が印刷されたレシートを発行するレシートプリンタであることを特徴とする請求項1に記載の会計処理装置。
【請求項3】
前記第1のハードウェア及び前記第2のハードウェアの動作順序を設定する設定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1のハードウェア及び前記第2のハードウェアのうち、前記設定手段によって設定された動作順序の早い一方を動作させ、当該一方の動作の完了後に当該他方を動作させることを特徴とする請求項1に記載の会計処理装置。
【請求項4】
取引に関する情報を表示する表示部をさらに備え、
前記制御手段は、前記釣銭機による動作が行われている間、前記表示部の輝度を低下させることを特徴とする請求項2に記載の会計処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、当該会計処理装置にて会計に関する処理が行われていないとき、当該会計処理装置の消費電力を低減する省電力モードに移行することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1に記載の会計処理装置。
【請求項6】
動作電源を生成する電源ユニットと、この電源ユニットから動作電源の供給を受けて動作する第1のハードウェアと、前記電源ユニットから動作電源の供給を受けて動作する前記第1のハードウェアとは異なる第2のハードウェアと、を備えたコンピュータに、
前記第1のハードウェア及び前記第2のハードウェアの動作順序を設定する設定機能と、
前記第1のハードウェア及び前記第2のハードウェアのうち、前記設定機能によって設定された動作順序の早い一方を動作させ、当該一方の動作の完了後に当該他方を動作させる制御機能と、
を実現させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−29952(P2013−29952A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165017(P2011−165017)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】