説明

伝動ベルトおよびその製造方法

【課題】耐久性が著しく向上した伝動ベルトを提供する、また、樹脂とゴムとを強固に固着し上記特性を十分に発揮できる伝送ベルトを容易に製造することが可能な伝送ベルトの製造方法を提供する。
【解決手段】ゴムからなる伝動ベルトであり、該伝動ベルトの少なくともプーリと接触する部分のゴムの表面にコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂が固着されていることを特徴とする伝動ベルトとする。また、ゴムからなる伝動ベルトの製造方法において、少なくともプーリと接触する部分のゴム表面にコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂を配する工程を含み、該工程において、未加硫ゴム表面に、アミド系溶剤を該樹脂重量に対して0.01〜6重量%含有する該樹脂を配し、これを加硫することによって該樹脂を該ゴム表面に固着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は伝動ベルトおよびその製造方法に関し、さらにはVベルト、平ベルト等の摩擦伝動ベルトや歯付きベルト等の噛合わせ伝動ベルトとして使用することができる伝動ベルトおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用、一般産業用等に幅広く使用される伝動ベルトとしては、Vベルト、平ベルト等の摩擦伝動ベルトや歯付きベルト等の噛合わせ伝動ベルトが知られている。例えば、歯付きベルトは、その耐久性を向上させるため、通常歯部と歯底部が設けられた歯ゴム層の表面に帆布が被覆されている。自動車用歯付ベルトは、エンジンの高出力化に伴い、ベルトへの負荷の増大及びエンジンルームのコンパクト化に伴う雰囲気温度の上昇など歯付ベルトの使用環境は近年特に厳しくなってきている為、さらなる耐久性の向上が要求されている。また、一般産業用に使用される伝動ベルトについても、射出成形機等の高負荷駆動用等取替え周期の延長を要求されている。
【0003】
特に、ベルトに高負荷が掛かるエンジン、又は産業用駆動装置を駆動する歯付ベルトは、高負荷の為、負荷を受ける歯底部の摩耗が大きく、その歯底部の摩耗から歯欠けが発生しやすい。また、高負荷によりプーリ軸が撓んだり、ベルトの片寄り走行が発生し、プーリフランジ等との摩擦によるベルト側面の異常摩耗及び側面の損傷による切断、歯欠けについても懸念される。
また、高負荷によりベルトが伸びて、オートテンショナーが作動せず、ベルトに適正な負荷が掛からなくなり、エンジンの正常な動作を妨げる現象が生じる。
【0004】
歯欠けの発生を改善するために、高強力タイプのナイロン6−6、アラミド繊維を素材した歯布の使用などの対策が施されているものの未だ十分ではない。そこで、特許文献1には歯布の一方の面にカットした短繊維を付着させ、摩擦係数を低下させ、耐久性を向上させる方法が提案されている。しかしながらこの方法では布と短繊維の接着が難しく、また接着作業も煩雑になり、さらに短繊維が脱落するといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−231977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記背景技術を鑑みたものであり、耐久性が著しく向上した伝動ベルトを提供すること、また、樹脂とゴムとを強固に固着し上記特性を十分に発揮できる伝送ベルトを容易に得ることが可能な伝送ベルトの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意検討した結果、プーリ接触部に特定の樹脂を付与したところ、伝動ベルトの耐久性が格段に向上することを見出した。
かくして、本発明によれば、ゴムからなる伝動ベルトにおいて、該伝動ベルトの少なくともプーリと接触する部分のゴムの表面にコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂が固着されていることを特徴とする伝動ベルトが提供される。
【0008】
また、ゴムからなる伝動ベルトの製造方法であって、少なくともプーリと接触する部分のゴム表面にコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂を配する工程を含み、該工程において、未加硫ゴム表面に、アミド系溶剤を該樹脂重量に対して0.01〜6重量%含有する該樹脂を配し、これを加硫することによって該樹脂を該ゴム表面に固着することを特徴とする伝動ベルトの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、摩擦係数を下げることにより、耐久性を向上させた伝動ベルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の伝動ベルトの評価に用いる耐久試験装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の伝動ベルトはゴムからなるものであり、該ゴムとしては、例えば、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、多硫化ゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴムなどが挙げられ、これらを単独で用いても良いし、ブレンドして用いても良い。
【0012】
なお、これらのゴムには、カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤、クマロン樹脂、フェノール樹脂等の有機充填剤、ナフテン系オイル等の軟化剤、老化防止剤、加硫助剤、加工助剤等を必要に応じて含まれていてもよい。特に無機充填剤を添加したゴムマトリックスを用いることが本発明の効果をより顕著に発揮することができる。
【0013】
本発明においては、上記伝動ベルトの少なくともプーリと接触する部分のゴムの表面にコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂が固着されていることが肝要である。上記樹脂がゴムの表面に固着していることにより、プーリとベルト表面との摩擦を低減することができ、耐久性が格段に向上した伝動ベルトを得ることができることを見出した。
【0014】
ゴム表面に固着される上記樹脂の厚みは、0.01〜1.5mmが好ましく、0.05〜1.0mmがより好ましい。該厚みが0.01未満では十分な耐久性を得難くなり、1.5mmを超えるとベルトが固くなりやすく好ましくない。
【0015】
本発明においては、上記コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂に、該樹脂重量に対してアミド系溶剤が10〜9999ppm含まれていてもよく、該アミド系溶剤が10以上含まれていることによって、樹脂の平滑性が向上する傾向にある。また、あまり溶剤の量が多くても好ましくなく9999ppm以下とすることが望ましい。
【0016】
アミド系溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン等を例示することができるが、取り扱い性や安定性等の点から、N−メチル−2−ピロリドンが最も優れている。
【0017】
本発明の伝動ベルトは、次の方法によって製造することができる。すなわち、少なくともプーリと接触する部分のゴム表面にコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂を配する工程を含み、該工程において、未加硫ゴム表面に、アミド系溶剤を該樹脂重量に対して0.01〜6重量%含有する該樹脂を配し、これを加硫することによって該樹脂を該ゴム表面に固着する製造方法である。
【0018】
上記製造に用いるコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂を製造する方法の一例を説明する。
上記樹脂をアミド系溶剤に溶解したドープを半乾半湿式紡糸法により凝固液中に押し出し、凝固液から凝固糸として引き取り、これを水洗し、乾燥した後、所望の長さにカットする。カット方法は特に規定されるものではなく、ギロチンカットでも、粉砕カットでも良いが、低コストで製造される粉砕カットが好ましい。カット長は0.1〜50mmが好ましく、ベルト製造時に加工し易い点から0.1〜8mmがより好ましい。
【0019】
上記凝固糸の水洗工程では、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドの凝固糸にアミド系溶剤を0.01〜6%の範囲で残留させる必要があるが、均一に水洗する方法としては0.1〜1%のアミド系溶剤の凝固液に浸漬し引き上げる方法や、ウォータージェットで凝固糸に水を吹き付ける方法が例示される。
【0020】
アミド系溶剤はコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド重量に対し0.01〜6%の範囲で含まれるが、好ましくは0.05〜3%、より好ましくは0.1〜2%の範囲である。アミド系溶剤が少なすぎると、ベルト製造工程で、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂がベルトに固着し難くなり成型にバラツキが出やすいる。逆にアミド系溶剤が多すぎると、ベルト成型後のアミド系溶剤の量が9999ppmを越えてしまう場合があり、好ましくない。
【0021】
以上のようにして得られたアミド系溶剤を特定量含むコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂は、未加硫ゴムの表面上にこれを添加付与し、例えば、温度を140〜200℃、時間を5〜30分、圧力1〜10MPaでプレス加圧することによって、該樹脂をプーリ部に接触する部分のベルト表面に固着させることができる。なお、加硫条件は、ベルトメーカの設備やベルトの種類によっても異なり、上記の条件には特に限定されない。
【0022】
ベルト成型後、アミド系溶剤残存量はコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂に対して10〜9999ppmであることが好ましい。10ppm以下であると、表面の平滑性が失われ、10000ppm(1%)以上残存すると、環境への放出が懸念され、好ましくない。
【0023】
また、本発明においては、ゴム表面に、アミド系溶剤を該樹脂重量に対して0.01〜6重量%含有する該樹脂を配し、架橋剤を含むレゾルシンホルマリンラテックス液を付与し、これを熱処理することによって該樹脂をゴム表面に固着させてもよい。該架橋剤としては、イソシアネートを好ましく例示することができる。
【0024】
本発明においては、帆布をゴム表面上に貼付け、さらに該帆布上にコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂を固着させることによって、より低摩擦で耐久性に優れた伝動ベルトを得ることができる。
【0025】
このとき使用する帆布の材質、構造は特に規定されないが、歯付きベルトの場合は、好ましくはベルトの長手方向に沿って延びる第1の糸と、ベルトの幅方向に沿って延びる第2の糸とが織られて構成された織物であり、例えば、平織、綾織、朱子織等により織られる。第1の糸は、伸縮性を有する複合糸であって、好ましくはナイロンまたは芳香族アラミド繊維糸を一方または両方含む複合糸である。第2の糸は、特にその材質が限定されるわけではないが、例えばポリウレタン、ナイロン、カーボン、ポリエステル、ポリエチレン、アラミド繊維等の合成繊維、または綿等の天然繊維から構成され、好ましくはナイロンで構成される。また、第2の糸は、フィラメント糸である。
【0026】
特に、帆布として材質にポリアミド系繊維であるナイロン、アラミド繊維を用いた場合、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂をこの上から固着させと高い接着・密着性を得られ、特に好ましい。
また、帆布はゴムに加硫接着することが好ましく、帆布にRFL(レゾルシンホルマリンラテックス)やゴム糊等の配合物を付与した後、ゴムと接合し加熱処理することが好ましい。
【0027】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各評価項目の測定値は下記の測定方法にしたがって求めた。
(1)ベルト成形後のアミド系溶剤の付着量
熱分解GCMSでアミド系溶剤(NMP)を定量し、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂重量に対する付着量として示した。
(2)耐久性
図1に示す耐久試験装置を用いて測定した。歯付きベルトを、従動プーリ1〜3、駆動プーリ4及びオートテンショナー5に図1に示すように掛けわたし、100℃の環境下で駆動プーリ4を4000(回/分)の速度で回転させた。耐久時間は、歯元のクラックや、歯欠けなどベルト機能が果たせなくなった時点とした。
【0029】
[実施例1〜4]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(以下NMP)112.9部、パラフェニレンジアミン1.506部、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル2.789部を常温下で反応容器に入れ、窒素中で溶解した後、攪拌しながらテレフタル酸クロリド5.658部を添加した。最終的に85℃で60分間反応せしめ、透明の粘稠なポリマー溶液を得た。次いで22.5重量%の水酸化カルシウムを含有するNMPスラリー9.174部を添加し、中和反応を行った。得られたポリマーの極限粘度は3.33であった。得られたポリマー溶液(ドープ)を用い、孔径0.15mm、孔数25ホールの紡糸口金から毎分2.5ccの割合で吐出し、エアーギャップと呼ばれる短い空隙部分を通した後、NMP濃度30重量%、温度50℃の水溶液中に紡出し、6m/分の速度で引き取って、凝固糸を得た。さらに、該凝固糸を0〜1%のNMP水溶液中を通過させ、その際、該凝固糸のNMP水溶液の浸漬時間を1秒〜10分の間で5段階で変更することによりNMP(アミド系溶剤)の付着量の異なるコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド糸条を作成した。これをメッシュミル(株式会社ホーライ製)で粉砕し、それぞれ表1に示す量のNMPが付着したカット長が0.5〜3mmのチップ状の樹脂とした。なお、表1には該樹脂重量に対するMNP付着量を歯付きベルト成形前のアミド系溶剤の付着量として示した。次に、得られたチップ状の樹脂を厚さ0.5mmの水添加NBRゴムシートの上にのせ、80℃のカレンダーロールにかけ、厚さ0.8mmのゴムシートを作成した。このゴムシートの片面にはNMPが付着したコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂の層が形成され、その厚みは0.2〜0.4mmであった。
【0030】
次に、得られたゴムシートを、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂が付着した側が、ベルト作製用金型に面するように巻き付けた。そして、その上から、SZ撚りの一対のコードをレゾルシンホルマリンラテックス及びイソシアネートにて接着処理された心線(ガラス繊維、直径1.2mm)を一定ピッチ(1.4mm)でスパイラルに一定張力で巻き付け、その上に、厚さ2.0mmの水添加NBRのゴムシートを貼り付けた。これを、加硫缶に投入して通常の圧入方式により160℃にて30分加圧加硫してベルト表面に歯形を形成させた後、ベルト背面を一定厚さに研磨し、ベルトを一定幅にカットして、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂がベルト表面に固着した歯付きベルトを得た。結果を表1に示す。
【0031】
[実施例5]
緯糸に、芯糸、芯糸の周囲に巻き付いている中間糸、およびこの中間糸のさらに外側に巻き付いている被覆糸から成る複合糸を用い、経糸にナイロン66糸を用いた。緯糸の複合糸において、芯糸に繊度が462dtexのポリウレタン弾性糸、中間糸に繊度が242dtexである芳香族ポリアミド繊維からなる牽切加工糸、被覆糸に繊度が110dtexである捲縮加工されたナイロン66糸を用いた。中間糸はS方向に、被覆糸はZ方向にそれぞれ巻かれ、それぞれの巻回数を450回/mとした。経糸には、繊度が231dtexのナイロン66のフィラメント糸を用いた。緯糸と経糸とは2/2綾織りで織り、緯糸が幅方向になるように織物を織成した。
【0032】
この織物を、ベルト作製用金型に面するように巻き付けた。そして、その上からSZ撚りの一対のコードをレゾルシンホルマリンラテックス及びイソシアネートにて接着処理された心線(ガラス繊維、直径1.2mm)を一定ピッチ(1.4mm)でスパイラルに一定張力で巻き付け、その上に、厚さ2.0mmの水添加NBRのゴムシートを貼り付けた。これを、加硫缶に投入して通常の圧入方式により160℃にて30分加圧加硫してベルト表面(プーリと接触する面)に歯形を形成させた後、ベルト背面を一定厚さに研磨し、ベルトを一定幅にカットして織物を含む歯付きベルトを得た。
【0033】
得られた歯付きベルトの表面(プーリと接触する面)に、実施例2で製造したNMPが1重量%付着したコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミドのチップ状の樹脂をのせ、150℃のニップロールで該樹脂と織物を圧着させた。これにイソシアネートを含むレゾルシンホルマリンラテックス液を浸漬し、150℃、3分乾燥後、230℃1分キュアーし、織物を含み、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂がベルト表面に固着した歯付きベルトを得た。レゾルシンホルマリンラテックスの付着量は歯付きベルト重量に対して8重量%であった。結果を表1に示す。
【0034】
[比較例1]
コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂を含有させなかった以外は実施例1と同様にして歯付きベルトを得た。結果を表1に示す。
【0035】
[比較例2]
NMPが付着するカット長が0.5〜3mmのチップ状の樹脂に代えて、NMPが付着していない直径12μmφ、繊維長1mmのテクノーラ繊維(帝人テクノプロダクツ製)のカット繊維を用いた以外は実施例1と同様にして歯付きベルトを得た。結果を表1に示す。
【0036】
[比較例3]
NMPが付着するカット長が0.5〜3mmのチップ状の樹脂に代えて、NMPが付着していない直径12μmφ、繊維長1mmのテクノーラ繊維(帝人テクノプロダクツ製)のカット繊維を用いた以外は実施例5と同様にして歯付きベルトを得た。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の伝動ベルトは、自動車用、一般産業用等に幅広く使用される高耐久性の伝動ベルトとして用いることができ、その産業上の利用価値が極めて高いものである。
【符号の説明】
【0039】
1〜3 従動プーリ
4 駆動プーリ
5 オートテンショナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムからなる伝動ベルトにおいて、該伝動ベルトの少なくともプーリと接触する部分のゴムの表面にコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂が固着されていることを特徴とする伝動ベルト。
【請求項2】
コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂が、該樹脂重量に対してアミド系溶剤を10〜9999ppm含む請求項1記載の伝動ベルト。
【請求項3】
アミド系溶剤がN−メチル−2−ピロリドンである請求項1または2記載の伝動ベルト。
【請求項4】
ゴムからなる伝動ベルトの製造方法であって、少なくともプーリと接触する部分のゴム表面にコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂を配する工程を含み、該工程において、未加硫ゴム表面に、アミド系溶剤を該樹脂重量に対して0.01〜6重量%含有する該樹脂を配し、これを加硫することによって該樹脂を該ゴム表面に固着することを特徴とする伝動ベルトの製造方法。
【請求項5】
ゴム表面に樹脂が固着した後の、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド樹脂に含まれるアミド系溶剤の量が、該樹脂重量に対して10〜9999ppmである請求項4記載の伝動ベルトの製造方法。
【請求項6】
アミド系溶剤がN−メチル−2−ピロリドンである請求項4または5記載の伝動ベルトの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−12798(P2011−12798A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159740(P2009−159740)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(303013268)帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【Fターム(参考)】