説明

伝送器システム

【課題】2線式伝送器の消費電流として許容される消費電流で、信号絶縁回路を構成することを目的とする。
【解決手段】低消費電力タイプのフォトカプラを2個用い、1つはパルス幅変調信号で駆動、もう1つをその反転信号で駆動し、それぞれの出力のターンオン時の信号をパルス幅信号の前縁、後縁として取り出すことにより、精度良くパルス幅変調信号の絶縁を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差圧、圧力、温度、流量などの複数のプロセス量を電気信号に変換して、DC4〜20mAの統一信号として伝送する伝送器システムに関し、特に複数のプロセス量を計測する複合形の伝送器システムに係る。
【背景技術】
【0002】
複合伝送器の信号出力の形態として、図4に公知例を示す。図4の公知例は、複合伝送器のDC4〜20mAの主出力信号に、他のプロセス量のデジタル信号を重畳させ専用の信号変換器で、デジタル信号をアナログ信号に変換し、アナログ出力信号を複数個取り出すシステムである。この内容は、特許文献1に紹介されている。この例の場合、DC4〜20mAの主出力信号線にデジタル信号を重畳させるため、信号ケーブルは一対で済むという利点があるが、一般の計装用電源では機能を実現できず専用の変換器を必要とした。また、デジタル通信信号を受信しD/A変換して再発信するシステムであったため、ノイズに依る通信エラーや時間遅れなどが指摘されている。
【0003】
これらの問題を解決するため、図5に示す例が特許文献2に提案されている。これは、1つの伝送器内に複数のサブ出力回路を備えたものである。信号ケーブルは、出力数に応じて敷設しなければならないが、一般の計装用電源でプロセス量と1対1に対応するDC4〜20mAの出力信号が得られる。
【0004】
【特許文献1】特開平7−296288号公報
【特許文献2】特開2005−275492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この図5の例では、計装システム側の入力基板で入出力絶縁が取られているため、プロセスとの絶縁については問題が、サブ出力回路と主出力回路の間が絶縁されていないため、同一の計装用電源で駆動することができないと言う難点があった。一般に、複数の伝送器を使用するシステムにおいては、経済性を考慮し計装用電源1つで複数の伝送器を駆動し、計装システムにデータを取り込んでいる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みて複数の電流出力回路を持つ複合伝送器における複数の電流出力間の信号絶縁することができるようにした伝送器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の電流出力回路を持つ複合伝送器における複数の電流出力回路間に信号絶縁手段(回路)を設けるようにして前記課題を解決するようにした。
【0008】
DC4〜20mAの統一信号を出力する伝送器においては、内部回路の消費電流を少なくとも4mAとしなければならないため、従来少なくとも数mAの電流を消費する信号絶縁回路を搭載することは困難であった。これを解決するため本発明においては、近年入手できるようになった低消費電流タイプのフォトカプラを用いた。ただし、低消費電流タイプのフォトカプラは、応答時間が遅く、また経時変化も大きいため、通常の動作では誤差が大きくなり、パルス幅信号の絶縁手段としては使えない。本発明においては、フォトカプラを2個用いて、高速性の保証されたフォトトランジスタのターンオン特性のみを利用してパルス幅変調信号の絶縁を行うようにした。
【0009】
本発明は具体的には、複数のセンサによってそれぞれ検出された複数の物理量を電気信号に変換し、該電気信号を、伝送線を介して負荷に伝送する電流出力回路を有する伝送器システムにおいて、
第一の電源回路に接続され、前記電気信号として電圧信号に変換され選択された該電圧信号を電流信号に変換して出力する電圧/電流出力回路を備えた主電流出力回路と、第二の電源回路に接続され、電圧信号に変換され選択された該電圧信号を電流信号に変換して出力する電圧/電流出力回路を有し、前記主電流出力回路と信号絶縁回路を介して接続された第2の電流出力回路と、並びに前記主電流出力回路および第2の電流出力回路を共通して駆動する同一の計装用電源と、を備えることを特徴とする伝送器システムを提供する。
【0010】
前記伝送器システムは、前記信号絶縁回路は、2つのフォトカプラを並列して設け、それぞれフォトカプラ出力の立下り波形を使用して形成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、複数のセンサによってそれぞれ検出された複数の物理量を電気信号に変換し、該電気信号を、伝送線を介して負荷に伝送する電流出力回路を有する伝送器において、
第一の電源回路に接続され、電圧信号に変換され選択された前記電圧信号を電流信号に変換して出力する電圧/電流出力回路を備えた主電流出力回路と、第二の電源回路に接続され、電圧信号に変換され選択された前記電圧信号を電流信号に変換して出力する電圧/電流出力回路を有し、2つのフォトカプラを並列して設け、それぞれフォトカプラ出力の立下り波形を使用して形成した信号絶縁回路を介して接続された第2の電流出力回路と、を備えることを特徴とする伝送器を提供する。
【0012】
前記伝送器は、前記電気信号をパルス幅変調して出力する1チップマイコンと一方のフォトカプラの出力変化を捉えて起動するタイマー回路を備え、前記パルス幅変調された第2出力信号の反転信号を前記信号絶縁回路の第2のフォトカプラ駆動回路に入力し、第1のフォトカプラ出力の立下り波形で前記タイマー回路を駆動してパルス幅変調信号の前縁とし、第2のフォトカプラ出力立下り波形をパルス幅変調信号の後縁と成すようにして、絶縁されたパルス幅変調信号を得るようにしたことを特徴とする。
【0013】
本発明は、また、前記伝送器を有し、前記主電流出力回路および第2の電流出力回路を共通して起動する同一の計装用電源を備えることを特徴とする伝送器システムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の電流出力回路を持つ複合伝送器における複数の電流出力間の信号絶縁を行った伝送器システムを提供することができる。
【0015】
以上のようにして、本発明によれば、従来の複合伝送器の回路に500μA程度の消費電流増加で、かつ安価なフォトカプラと演算増幅器、出力トランジスタおよび数個の論理ICとタイマーICと用いて、信号絶縁回路および第2の電流出力回路を搭載できるため、計装用電源を共用化することができ計装システム全体の費用を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施例によれば、従来の複合伝送器の回路に500μA程度の消費電流増加で信号絶縁回路を搭載できるため、計装用電源を共用化することができ計装システム全体の費用を削減できる。現在の複合伝送器の信号処理には、ワンチップマイコンが使用されるのが一般的である。そして、汎用のワンチップマイコンには、複数のタイマー機能が内蔵されているので、このタイマーを利用してパルス幅変調(PWM変換)することにより、他のプロセス量を容易にD/A変換して電圧値とすることができる。また、PWM変換された信号をフォトカプラで絶縁することにより、主電流出力回路と補助電流出力回路が絶縁された複合伝送器とすることができる。
【0017】
従来、フォトダイオード/フォトトランジスタタイプの一般的なフォトカプラの、フォトダイオードの駆動電流は5〜10mAであり、複合伝送器の信号絶縁に使用するには、フォトダイオードの駆動だけで4mAを超えてしまうため使用できなかった。また、この種のフォトカプラのターンオン時間(ton)は、数μsから10μsであるが、オフするときの蓄積時間(ts)は数十μs、ターンオフ時間(toff)は数百μsのオーダーであり、パルス幅変調信号を絶縁する時の誤差の要因となっていた。
【0018】
近年、高効率形のフォトカプラが実用になり、フォトダイオードの駆動電流で500μA程度のものが使用できるようになった。そのため、DC4〜20mAの統一信号を出力する複合伝送器においても使用可能となった。しかし、応答時間は改善されていない。
【0019】
本発明を実施するための最良の形態の要点は、低消費電流タイプのフォトカプラを用いて、パルス幅変調信号を高精度に絶縁伝達するため、フォトカプラを2個用いて、応答速度の安定しているターンオン動作だけを利用して波形の伝達を行うところにある。他の信号絶縁回路を用いてもよい。
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の実施例である複合伝送器90を備えた伝送器システム70を示す図である。
図1において、まず主電流出力回路80について説明する。1は第1のセンサで例えば、差圧センサを示す。2は、第2のセンサで例えば、圧力センサを示す。3は、第3のセンサで例えば、温度センサを示す。4は、マルチプレクサで、1〜3のセンサの信号を選択する。5は、プログラマブルゲインアンプで、選択されたセンサの出力信号に適した増幅率に設定し増幅する。6は、A/Dコンバータで、センサの信号をデジタル変換する。7は、1チップマイコンで、演算機能の他、メモリ、通信機能、タイマー機能などを有し、温度影響補正、レンジ処理などの信号処理を行う。8は、電源回路(第一の電源回路)で、各回路に適した電源電圧を出力する。ここでは、1出力となっているが、アナログ系、デジタル系を最適化するため2出力としても良く、必要な場合、基準電圧源を設けてもよい。9は、平滑回路で1チップマイコンのPWM出力を平滑してアナログ信号出力を得る、1チップマイコンのPWM出力と合わせてD/A変換回路を構成するものである。もちろん、単独のD/A変換回路でもよい。10は、電圧/電流変換回路の演算増幅器で、11は、電流出力用のトランジスタを示し、アナログ電圧信号に変換されたセンサ信号を、DC4〜20mAの電流信号に変換して出力する。そして、12は、計装用電源、13は負荷抵抗を示す。
【0022】
以上の構成が、1出力形の伝送器の回路構成である。インテリジェントタイプにおける通信機能は、演算増幅器10の入力端子に送信信号を重畳させ、電源回路の入り口から受信信号を抽出する回路に導くことにより可能であるが、この図では除いてある。
【0023】
次に、追加の絶縁機能付き電流出力回路構成である第2の電流出力回路81について説明する。100は、パルス絶縁回路で、第2出力用PWM信号の絶縁を行う。108は、第2出力用の電源回路で、絶縁回路、平滑回路、電圧/電流変換回路に適した電圧を出力する。109は、第2出力用の平滑回路で、絶縁された第2出力用PWM信号を平滑してアナログ信号とする。近年の1チップマイコンは、一般に複数個のタイマーを有しているため、部品の追加なしで、第2のPWM出力を得ることができる。110は、第2出力用の電圧/電流出力回路の演算増幅器である。111は、第2出力回路の出力トランジスタである。そして、113は負荷抵抗を示す。計装用電源12は、主出力電流回路と第2の出力電流回路に共用のものとして構成しており、同一の計装用電源が使用できる。
【0024】
第2出力用PWM信号の絶縁回路については、図2、図3を用いて後述する。平滑回路109も前述したとおり、2次のローパスフィルターとすれば、約0.2sの時定数で、十分な平滑効果が得られる。そして、平滑されてアナログ信号になった第2出力信号を、電圧/電流変換回路に入力し、第2出力の電流出力信号が得られる。
【0025】
また、主電源回路からパルス絶縁回路に供給する電流は、フォトカプラを2個用いているが、交互に動作するため、1個分の500μAとなり、前述したように近年のマイコンおよび周辺ICを用いれば、この500μAを含んでも、伝送器の全体回路を容易に構成することができる。
【0026】
以上のように、伝送器システム70は、第一の電源回路8に接続され、前記電気信号として電圧信号に変換され選択された該電圧信号を電流信号に変換して出力する電圧/電流出力回路の演算増幅器10を備えた主電流出力回路80と、第二の電源回路108に接続され、電圧信号に変換され選択された該電圧信号を電流信号に変換して出力する電圧/電流出力回路の演算増幅器110を有し、主電流出力回路80と信号絶縁回路100を介して接続された第2の電流出力回路81と、並びに主電流出力回路80および第2の電流出力回路81を共通して駆動する同一の計装用電源112と、を備える。
【0027】
本発明の実施例の2個のフォトカプラを用いたパルス幅変調信号の信号絶縁回路を図2に示す。ここで用いたフォトカプラは、フォトダイオードの駆動電流として500μAで動作可能なものである。そして、フォトダイオードの駆動電流500μA、フォトトランジスタの負荷抵抗10kΩのとき、ターンオン時間約10μs、蓄積時間約50μs、ターンオフ時間約100μsの特性のものである。そして、ターンオン時間の負荷抵抗の変化は、約±1μsであるのに対し、蓄積時間、ターンオフ時間は数倍にも変化する。
【0028】
パルス幅変調信号の基本周波数は、マイコンのクロックを2,4576MHz、15ビット分解能として、2,4576×106/215=75Hzとすると、1周期は、1/75=13.3msとなる。一方、複合伝送器の演算周期を0.2sとすると、パルス幅変調信号を復調してアナログ信号にする平滑回路の時定数は、演算周期と同じく0.2sくらいが望ましい。そして、平滑回路におけるパルス幅変調信号の減衰率は、平滑後のリップルを考慮すると、1/1000から1/10000にするのが望ましく、この場合、時定数0.2sの2次の時定数回路を構成すると、パルス幅変調周波数75Hzにおける減衰率は約1/2200になり適当である。
【0029】
図2において、301〜306は抵抗器、307はCMOSインバータ、308、309はトランジスタ、310、311はフォトカプラである。そして、401〜403は抵抗器、404はコンデンサ、405〜407はCMOSインバータ、408はタイマーIC、409はCOMS OR回路である。このうち、抵抗器403とコンデンサ404は、タイマーICのタイマー出力時間を設定用である。
【0030】
次に、図2、図3を用いてパルス幅信号絶縁回路すなわちパルス絶縁回路100を用いた信号絶縁回路を説明する。図3は、図2の各部の波形を示す図である。図3において、波形(a)は、第2出力用PWM信号、波形(b)は、第1のフォトカプラの出力信号、波形(c)は、第1のフォトカプラの出力信号を論理Iとで取込み波形成形した後の波形、波形(d)は、第2のフォトカプラの出力信号、波形(e)は、第2のフォトカプラの出力信号を論理Iとで取込み波形成形した後の波形、波形(f)は、第1のフォトカプラの出力信号の立上りエッジで起動するタイマー出力波形、波形(g)は、波形(e)と波形(f)の論理和をとることにより、2個のフォトカプラを用いて、応答速度の安定しているターンオン動作だけを利用して得られる第2出力用PWM信号を絶縁伝送した波形を示す。
【0031】
まず、トランジスタ308に第2出力用のPWM信号が入力され第1のフォトカプラ310が駆動される、そしてトランジスタ309には、第2出力用のPWM信号の反転信号が入力され第2のフォトカプラ311が駆動される。すると、第2出力用のPWM信号の立上り時点(イ)では、第1のフォトカプラ310の出力信号は、図3波形(b)のように、ターンオン時間で追従するが、立下り時点(ロ)では、蓄積時間およびターンオフ時間を要し、大きく遅れた波形となる。
【0032】
一方、第2のフォトカプラ311の出力信号は、第2出力用のPWM信号の立上り時点(イ)では、図3波形(d)のように、蓄積時間、ターンオフ時間により大きく遅れるが、第2出力用のPWM信号の立下り時点(ロ)では、ターンオン時間で追従する。
【0033】
ここで、2個のフォトカプラのフォトダイオード駆動電流が、主電源回路から供給される電流であるが、2個のフォトカプラは交互に駆動されるため、主電源回路の消費電流の増加分は、1個分の500μAである。近年、マイコンおよび周辺ICの低消費電力化が進んだため、追加の500μAを含めて伝送器の全体回路を構成することは容易である。
【0034】
タイマー408は、第1のフォトカプラの出力を反転した信号が入力されているが、第1のフォトカプラのターンオン時に起動され、抵抗器403とコンデンサ404で決まる時間だけ出力するものである。このタイマーの出力時間は、DC4〜20mAの統一電流信号を出力する伝送器としては、4mA以下の信号に影響を与えない範囲であれば許容されるものである。前述のパルス幅変調信号の1周期13.3msと、電流出力信号との対応を0〜13.3ms=0〜24mAとする。電流信号範囲4〜20mAに対し、最大を24mAとするのは、バーンアウト時の出力範囲外の電流値設定などに利用するためと、フォトカプラの蓄積時間、ターンオフ時間による遅れで第1のフォトカプラがターンオフしなくなるのを防止するためである。そして、実際の設計値として、パルス幅変調信号の出力電流3mA相当値をタイマーの出力時間許容値とすると、13.3×(3/24)=1.67msとなる。そして、このタイマー408が出力している時間内に、第2のフォトカプラの出力が立ち上がれば、図3波形(e)と(f)の論理和を取ることにより、第2出力用のPWM信号の絶縁伝送された波形とすることができる。
【0035】
伝送波形の誤差については、フォトカプラのターンオン時の波形でパルスの前縁、後縁としているため、それぞれの遅れは約10μsであり、誤差としては、経年変化で現れてくる。ターンオン時間の経年変化を負荷抵抗変化と同等と考えると、±1μs程度であるため、誤差としては、出力信号範囲に相当するパルス幅13.3ms×16mA/24mA=8.9msに対して、0.01%のオーダーである。
【0036】
ここで、フォトカプラを通常の使い方で、パルス幅変調信号の絶縁手段に使用した場合の誤差を検討してみる。この場合は、図2の片側、例えば上側のみを使用した回路になり、パルス幅変調信号の入力波形を図3の(a)とすると、絶縁後の出力波形は、図3の(b)となる。この場合、蓄積時間、ターンオフ時間の経時変化は少なく見積もっても、500μsは考慮する必要がある。すると、経時変化は、出力信号範囲に相当するパルス幅8.9msに対して5.6%にもなり、使用できないことが分る。
【0037】
以上のように、本実施例の伝送器90は、第一の電源回路8に接続され、電圧信号に変換され選択された電圧信号を電流信号に変換して出力する電圧/電流出力回路の演算増幅器10を備えた主電流出力回路80と第二の電源回路108に接続され、電圧信号に変換され選択された電圧信号を電流信号に変換して出力する電圧/電流出力回路の演算増幅器108および2つのフォトカプラ310,311を並列して設け、それぞれフォトカプラ出力の立下り波形を使用して形成したパルス絶縁回路100を介して接続された第2の電流出力回路81と、を備える。
【0038】
また、この伝送器90は、電気信号をパルス幅変調して出力する1チップマイコンと一方のフォトカプラの出力変化を捉えて起動するタイマー回路を備え、パルス幅変調された第2出力信号の反転信号をパルス絶縁回路100の第2のフォトカプラ駆動回路に入力し、第1のフォトカプラ出力の立下り波形で前記タイマー回路を駆動してパルス幅変調信号の前縁とし、第2のフォトカプラ出力立下り波形をパルス幅変調信号の後縁と成すようにして、絶縁されたパルス幅変調信号を得るようにしている。従って、伝送器システム70は、主電流出力回路80および第2の電流出力回路81を共通して起動する同一の計装用電源12を備えることを特徴とする。
【0039】
以上のように、本実施例によれば、従来の複合伝送器の回路に500μA程度の消費電流増加で、かつ安価なフォトカプラと演算増幅器、出力トランジスタおよび数個の論理ICとタイマーICと用いて、信号絶縁回路および第2の電流出力回路を搭載できるため、計装用電源を共用化することができ計装システム全体の費用を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の全体の回路構成を示す図。
【図2】本発明のパルス信号絶縁回路を説明する図。
【図3】本発明のパルス信号絶縁回路の波形を説明する図。
【図4】従来技術を示す図。
【図5】従来技術を示す図。
【符号の説明】
【0041】
1…センサ1、2…センサ2、3…センサ3、4…マルチプレクサ、5…プログラマブルゲインアンプ、6…A/Dコンバータ、7…1チップマイコン、8…電源回路、9…平滑回路1、10…電圧/電流変換回路の演算増幅器、11…出力トランジスタ、12…計装用電源、13…負荷抵抗、70…伝送器システム、80…主電流出力回路、81…第2の電流出力回路、90…伝送器、100…パルス絶縁回路(信号絶縁回路)、109…平滑回路2、110…演算増幅器、111…出力トランジスタ、112…計装用電源、113…負荷抵抗。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサによってそれぞれ検出された複数の物理量を電気信号に変換し、該電気信号を、伝送線を介して負荷に伝送する電流出力回路を有する伝送器システムにおいて、
第一の電源回路に接続され、前記電気信号として電圧信号に変換され選択された該電圧信号を電流信号に変換して出力する電圧/電流出力回路を備えた主電流出力回路と、第二の電源回路に接続され、電圧信号に変換され選択された該電圧信号を電流信号に変換して出力する電圧/電流出力回路を有し、前記主電流出力回路と信号絶縁回路を介して接続された第2の電流出力回路と、並びに前記主電流出力回路および第2の電流出力回路を共通して駆動する同一の計装用電源と、を備えることを特徴とする伝送器システム。
【請求項2】
請求項1において、前記信号絶縁回路は、2つのフォトカプラを並列して設け、それぞれフォトカプラ出力の立下り波形を使用して形成することを特徴とする伝送器システム。
【請求項3】
複数のセンサによってそれぞれ検出された複数の物理量を電気信号に変換し、該電気信号を、伝送線を介して負荷に伝送する電流出力回路を有する伝送器において、
第一の電源回路に接続され、電圧信号に変換され選択された前記電圧信号を電流信号に変換して出力する電圧/電流出力回路を備えた主電流出力回路と、第二の電源回路に接続され、電圧信号に変換され選択された前記電圧信号を電流信号に変換して出力する電圧/電流出力回路を有し、2つのフォトカプラを並列して設け、それぞれフォトカプラ出力の立下り波形を使用して形成した信号絶縁回路を介して接続された第2の電流出力回路と、を備えることを特徴とする伝送器。
【請求項4】
請求項3において、前記電気信号をパルス幅変調して出力する1チップマイコンと一方のフォトカプラの出力変化を捉えて起動するタイマー回路を備え、前記パルス幅変調された第2出力信号の反転信号を前記信号絶縁回路の第2のフォトカプラ駆動回路に入力し、第1のフォトカプラ出力の立下り波形で前記タイマー回路を駆動してパルス幅変調信号の前縁とし、第2のフォトカプラ出力立下り波形をパルス幅変調信号の後縁と成すようにして、絶縁されたパルス幅変調信号を得るようにしたことを特徴とする伝送器。
【請求項5】
請求項4に記載した伝送器を有し、前記主電流出力回路および第2の電流出力回路を共通して起動する同一の計装用電源を備えることを特徴とする伝送器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−84272(P2008−84272A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266636(P2006−266636)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000233549)株式会社日立ハイテクコントロールシステムズ (130)
【Fターム(参考)】