説明

伝送装置、伝送装置の設定システム、伝送装置の設定方法およびプログラム

【課題】ユーザが装置モードを選択するのみで期待する装置構成まで自動登録すること。
【解決手段】伝送装置100は、バックアップ領域103に、設定データを複数組記憶し、外部端末200からの指示に応じて任意の設定データを適用して自装置を起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送装置を対象装置モードの構成状態にするための設定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の基幹伝送装置では、対象装置モードの構成状態にするためには、装置を初期状態で起動した後、外部端末からユーザがコマンドを選択して設定することが必要であった。特に、伝送装置は一般的な他の情報処理装置に比べ複雑な設定が必要である。
【0003】
伝送装置では装置の初期状態としての構成管理データを持っている。このデータには装置内に実装されているパッケージの登録、装置間ならびに装置外部がからアクセスできるための設定、ログイン登録等の多数の設定項目が未登録であるため、伝送装置建設時にユーザがパラメータシートを確認しながら設定を実行している。
【0004】
ところが、この方法ではユーザが装置建設時に手動でパラメータシートを確認しながらの設定であるため、設定に相当数の時間が必要となり、設定ミスをした場合は途中で設定を戻すことができず、再度、装置を初期状態に戻してから再設定していた。そのため予定していた現地調整スケジュール内に伝送装置の立上げが完了しない問題が発生し、エンドユーザにまで迷惑を掛ける場合が考えられる。
【0005】
ここで、ホスト情報処理装置に接続するプログラムストアード方式の通信処理装置の制御プログラムを格納する複数の記憶手段と、これらの複数の記憶手段の内の一つを選択して主記憶とする選択手段と、この選択手段に選択指示をした後、初期化処理を起動する手段とを有し、記憶手段に記憶された複数の制御プログラムを選択的に起動する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、局データセーブ処理部と局データエリア管理部とバックアップファイルとを備え,バックアップファイルに局データ管理エリアと複数の局可変データを格納する複数の局データエリアを設け、局データセーブ処理部は局データの指定または指定の無いセーブの指示に応じて局データエリア管理部を起動し、局データ指定があると対応するバックアップファイルの局データエリアにメモリをセーブし、指定が無いと局データ管理エリアの情報により最旧の局データエリアを検出してメモリ情報をセーブするよう構成することで、交換機システムのデバッグ試験及び現局における局可変データのセーブ及びIPLの管理を誤りなく且つ効率的に管理することができる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、マスタ局には、通信路を介して複数台のスレーブ局が通信可能に結合され、各スレーブ局は、マスタ局から送信されてくるパラメータを内部メモリに登録し、また、各スレーブ局は、マスタ局から送信されてくるパラメータ番号に対応するパラメータデータを内部メモリから読み出して動作環境の設定を行うことで、システムに結合された各端末装置へのパラメータの設定および設定変更を容易に行えるマスタスレーブネットワークシステムを提供することができる技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平3−080734号公報
【特許文献2】特開平5−022410号公報
【特許文献3】特開平6−006863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来例においては次のような問題点があった。
【0009】
ユーザのレベルによっては、外部端末からユーザがコマンド設定するため設定ミスに気づかず、そのまま運用状態に入り、運用中に問題が発生することがあった。
【0010】
また、伝送装置建設時の現調工数が多くなり、また、社内での開発評価、出荷前の評価でも初期状態からの評価項目が削減できなかった。
【0011】
また、伝送装置は運用中に伝送路の損失に合わせて装置モードを変更することが多いため、その都度、装置データ状態を初期状態に戻してからユーザが手動で設定する必要があった。
【0012】
さらに、従来、伝送装置は複雑な設定が必要であるとユーザに思われており、ユーザの伝送装置に対する操作性のイメージ、ひいては競争力の強化の妨げとなるおそれもあった。
【0013】
本発明は、以上説明した問題点を解決するためになされたものである。その目的は、ユーザが装置モードを選択するのみで期待する装置構成まで自動登録することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、記憶領域に、設定データを複数組記憶し、端末からの指示に応じて任意の設定データを適用して自装置を起動する伝送装置を提供する。
【0015】
また、本発明は、マスタのユーザ用データファイルに加え、装置モードを管理するためのデータを追加し、この装置モード毎にデータファイルを保持し、機器出荷前に予め取得したパラメータシートをもとに装置モード毎のデータファイルを作成し、ユーザが装置を建設する際の対象の装置モードを選択しての端末からの指示に応じて、装置モードに対応したユーザデータファイルに設定されているデータをマスタのデータファイルにコピーし、そのデータで自装置を起動する伝送装置を提供する。
【0016】
また、本発明は、伝送装置は記憶領域に、設定データを複数組記憶し、端末からの指示に応じて任意の設定データを適用して自装置を起動する伝送装置の設定システムを提供する。
【0017】
また、本発明は、伝送装置はマスタのユーザ用データファイルに加え、装置モードを管理するためのデータを追加し、この装置モード毎にデータファイルを保持し、機器出荷前に予め取得したパラメータシートをもとに装置モード毎のデータファイルを作成し、ユーザが装置を建設する際の対象の装置モードを選択しての端末からの指示に応じて、装置モードに対応したユーザデータファイルに設定されているデータをマスタのデータファイルにコピーし、そのデータで自装置を起動する伝送装置の設定システムを提供する。
【0018】
また、本発明は、伝送装置が記憶領域に、設定データを複数組記憶し、端末からの指示に応じて任意の設定データを適用して自装置を起動する伝送装置の設定方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、伝送装置はマスタのユーザ用データファイルに加え、装置モードを管理するためのデータを追加し、この装置モード毎にデータファイルを保持し、機器出荷前に予め取得したパラメータシートをもとに装置モード毎のデータファイルを作成し、ユーザが装置を建設する際の対象の装置モードを選択しての端末からの指示に応じて、装置モードに対応したユーザデータファイルに設定されているデータをマスタのデータファイルにコピーし、そのデータで自装置を起動する伝送装置の設定方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザが伝送装置を建設する際のデータ設定の投入を行うことなく対応でき、ユーザの作業工数の削減ならびにデータ投入時のミスを無くすことができ、誤った状態での運用を回避することができる。また、運用中に伝送装置を別の装置構成に変更する場合も伝送装置に接続された架前端末から対象の装置モードを選択することで選択した装置モードの構成で立上げることができ、これにより、装置モード変更時についても装置導入時と同様な効果を得ることができる。また、社内での開発評価、出荷前の評価でも初期状態からの評価項目が削減できるため、評価工数と評価期間短縮にも効果がある。さらに、簡易な操作で設定が完了する為ユーザの伝送装置に対する操作性のイメージ向上と製品の競争力強化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には、同一の符号が付されている。
【0022】
まず、図1において、本実施の形態におけるユーザ別データ管理によるプリインストールモデルの実現手法を説明する。マスタのユーザ用データファイルに加え、装置モードを管理するためのデータを追加し、この装置モード毎にデータファイルを用意する。
【0023】
工場から出荷する前にお客様から頂いたパラメータシートをもとに装置モード毎のデータファイルを作成してから伝送装置の出荷を行う。
【0024】
ユーザが伝送装置を建設する際に対象の装置モードを選択したタイミングで、装置モードに対応したユーザデータファイルに設定されているデータをマスタのデータファイルにコピーし、そのデータで伝送装置を起動することで対象の装置モードのデータが設定された状態で立上げることができる。
【0025】
図2において、本実施の形態における伝送装置の設定システムの構成を説明する。光伝送を制御する伝送装置100、対象装置を制御する為のコマンド解析部101、制御データのデータ処理部102、制御データのバックアップ領域103、運用中の制御データのある運用データ領域104、装置を制御するコマンドを発行する外部端末200から構成されている。
【0026】
これらの各部はそれぞれ次に示す動作を実行する。
光伝送を制御する伝送装置100は、例えば、2.4G(ギガ)または10Gの40波分の光を波長多重化して数百キロの光伝送を制御する装置である。
【0027】
外部端末200では、ユーザが伝送装置に対する制御、監視を実行するためのGUIを具備している。コマンド解析部は、外部端末200から受信したコマンドを装置内部で使用するコマンドフォーマットに変換、また外部端末200に応答を返すときは外部フォーマットに変換を行う。
【0028】
制御データ処理部101は、コマンド解析部101から受信したコマンド内容を解析し、解析内容に応じた処理を実行する。
【0029】
バックアップ領域103は、伝送装置の制御に必要なデータをROM領域に保持しておき、装置起動時にデータを復元する際に使用する。
【0030】
運用データ領域104は、伝送装置が運用中に使用する制御データをRAM領域に保持して使用する。
【0031】
プリイントールモデルの仕組みを以下に説明する。
装置モード選択のためのGUIを外部端末200に用意し、ユーザがGUI上で装置モードAを選択して実行ボタンを押下した時点で、装置モード指定要求を伝送装置100(コマンド解析部101)に送信する。
【0032】
コマンド解析部101は、受信したコマンドを内部フォーマットに変換しデータ処理部102に送信する。
【0033】
データ処理部102は、コマンド解析部101から受信したコマンド内容を解析しバックアップ領域103内から装置モードAのデータを選択する。マスタのユーザデフォルトデータを運用データ領域104のテンポラリのユーザデータに退避後装置モードAのユーザデータをユーザデフォルトデータにコピーする。コピー完了後、データ処理部102はコマンド処理部101を経由して外部端末200に装置モード指定応答を送信する。
【0034】
外部端末200のGUI上で装置モードAのデータで良いかどうかユーザに確認する。確認NGの場合は、運用データ領域104のテンポラリのユーザ領域に退避したデータをバックアップ領域103のマスタのユーザデフォルトデータにコピーすることで、データを前の状態に復元する。
【0035】
次に、図3に示すように、ユーザがOKボタンを押下し、伝送装置100に装置再起動要求が送信され、コマンド処理部101を経由してデータ処理部102で装置の再起動を実行する。
【0036】
再起動後、データ処理部102ではバックアップ103のマスタのデータを運用データ領域104の運用データにコピーする。
【0037】
そして、運用データ領域104の運用データを光伝送用PKGであるA−PKG、B−PKG、C−PKGに設定することで光伝送が開始する。
【0038】
次に、図4を参照して本実施の形態の全体の動作について詳細に説明する。
【0039】
バックアップ領域103は、マスタのユーザデータ領域と装置モード別ユーザデータ管理領域があり、装置モード別ユーザデータ管理領域は、装置モードAユーザデータ、装置モードBユーザデータ、装置モードCユーザデータで構成する。
【0040】
運用データ領域104は、運用のユーザデータ領域とテンポラリのユーザデータ領域で構成する。
【0041】
装置モードAが選択された場合、マスタのユーザデータを運用データ領域104のテンポラリのユーザデータ領域に保持しておき、バックアップ領域103の装置モードAのユーザデータをマスタのユーザデータ領域にコピーする。なお、この時点で操作ミスがあり元の状態にロールバックしたい場合は、ロールバック用のコマンドを実行することで、運用データ領域104のテンポラリのユーザデータをバックアップ領域104のマスタのユーザデータ領域にコピーすることで復元できる。
【0042】
装置モードの選択に間違いが無ければ、装置の再起動を実行し、バックアップ領域103のマスタのユーザデータを運用データ領域104の運用のユーザデータにコピーし、A−PKG、B−PKG、C−PKGに設定することで光伝送が開通する。
【0043】
上記の本実施の形態によれば、ユーザからのパラメータシートにより装置モード毎に設定するデータが出荷前に決定しているため、工場から出荷する前に設定データをバックアップ領域103の装置モード別のユーザデータに設定する。どの装置モードの伝送装置が出荷されているかは、現地の局舎に入ってからわかるため、装置建設時に装置モードを選択して対象装置モードで起動することが可能となる。そのため装置建設時の現調工数の削減が可能な上、本装置の設定が複雑なこともあり、ユーザによる設定ミスを防止することができ、誤った状態での運用を回避することができる。しかもユーザ見れば、出荷前にプリインストール実行することになる為ユーザから追加費用を請求できる。当然、社内での開発評価、出荷前の評価でも初期状態からの評価項目が削減できるため、評価工数と評価期間短縮にも効果がある。
【0044】
また、本装置は運用中に伝送路の損失に合わせて装置モードを変更することが多いため、その都度、装置データ状態を初期状態に戻してからユーザが手動で設定する必要があったが、本方式を用いることで、変更する装置モードを選択して装置を再起動するのみで、新しい装置モードのデータに変更することが可能となる。これにより、装置モード変更時についても装置導入時と同様な効果を得ることができる。
【0045】
また、従来、伝送装置は複雑な設定が必要であるとユーザに思われていたが、今回装置モードを選択して再起動することで基本的な設定が完了する為ユーザの本装置に対する操作性のイメージ向上と本製品の競争力強化が図れる。
【0046】
また、運用中にデータ消失が発生した場合も、直前までのデータを自動バックアップしているため、運用データの復元が容易にできる。
【0047】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0048】
図5を参照すると、バックアップ領域はファイルシステムを搭載している為、装置モード別のユーザデータは3種類固定では無く、ユーザの種別データを別領域に保持しており、指定されたユーザの対象装置モードのユーザデータを選択することができる。そのため、ユーザ毎に異なる設定データを要求されたとしても、対象ユーザ用のファイルを追加することで期待する装置データで起動することができる。
【0049】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、伝送装置100および外部端末200の機能を実現するためのプログラムを各装置に読込ませて実行することにより各装置の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線などを介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0050】
上述する各実施の形態は、伝送装置100および外部端末200が1つのコンピュータシステムとして実現されている構成について説明したが、機能毎に複数の装置などが追加された構成にも適用可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施の形態における伝送装置の設定システムのユーザ別データ管理によるプリインストールモデルの実現手法を説明する図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における伝送装置の設定システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における再起動を実行した後の図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における処理動作を説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における伝送装置の設定システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0052】
100 伝送装置
101 コマンド解析部
102 データ処理部
103 バックアップ領域
104 運用データ領域
200 外部端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶領域に、設定データを複数組記憶し、端末からの指示に応じて任意の設定データを適用して自装置を起動することを特徴とする伝送装置。
【請求項2】
マスタのユーザ用データファイルに加え、装置モードを管理するためのデータを追加し、この装置モード毎にデータファイルを保持し、機器出荷前に予め取得したパラメータシートをもとに装置モード毎のデータファイルを作成し、ユーザが装置を建設する際の対象の装置モードを選択しての端末からの指示に応じて、装置モードに対応したユーザデータファイルに設定されているデータをマスタのデータファイルにコピーし、そのデータで自装置を起動することを特徴とする伝送装置。
【請求項3】
前記設定データをファイルシステムにより格納することを特徴とする請求項1または2記載の伝送装置
【請求項4】
伝送装置は記憶領域に、設定データを複数組記憶し、端末からの指示に応じて任意の設定データを適用して自装置を起動することを特徴とする伝送装置の設定システム。
【請求項5】
伝送装置はマスタのユーザ用データファイルに加え、装置モードを管理するためのデータを追加し、この装置モード毎にデータファイルを保持し、機器出荷前に予め取得したパラメータシートをもとに装置モード毎のデータファイルを作成し、ユーザが装置を建設する際の対象の装置モードを選択しての端末からの指示に応じて、装置モードに対応したユーザデータファイルに設定されているデータをマスタのデータファイルにコピーし、そのデータで自装置を起動することを特徴とする伝送装置の設定システム。
【請求項6】
前記設定データを前記伝送装置がファイルシステムにより格納することを特徴とする請求項4または5記載の伝送装置の設定システム。
【請求項7】
伝送装置が記憶領域に、設定データを複数組記憶し、端末からの指示に応じて任意の設定データを適用して自装置を起動することを特徴とする伝送装置の設定方法。
【請求項8】
伝送装置はマスタのユーザ用データファイルに加え、装置モードを管理するためのデータを追加し、この装置モード毎にデータファイルを保持し、機器出荷前に予め取得したパラメータシートをもとに装置モード毎のデータファイルを作成し、ユーザが装置を建設する際の対象の装置モードを選択しての端末からの指示に応じて、装置モードに対応したユーザデータファイルに設定されているデータをマスタのデータファイルにコピーし、そのデータで自装置を起動することを特徴とする伝送装置の設定方法。
【請求項9】
前記設定データを前記伝送装置がファイルシステムにより格納することを特徴とする請求項7または8記載の伝送装置の設定方法。
【請求項10】
コンピュータに請求項1から3のいずれか1項に記載の機能を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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