説明

伸縮作業いす

【課題】着座状態で多方向を向いての作業を可能にし作業効率を向上、維持させるとともに労働者の体への負担軽減を可能にする。
【解決手段】本願の伸縮作業いすは畝上、畝溝上で移動可能な座板と臀部安定板により労働者にあった作業位置で多方向に座り、移動しながらの作業を可能にした農作業用の実用的ないすである。車輪を設け移動しながらの手入れ、種蒔き、収穫作業をする事が出来る。畝幅、労働条件に合せて幅と高さを調整し、座板を労働者にあった位置に据え付けることで、一定方向に限定されていた作業範囲を開放した。一定方向を向いての作業を開放することにより労働者は自身にあった作業体勢で作業ができ、長時間の作業の場合は着座位置を変更しながら楽な体勢で作業を維持、継続することができる。また座板に臀部安定板を組付けることにより臀部が安定板に緩衝することで走行移動を補助し、また、体の安定性を図った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の伸縮作業いすは、多方向に着座し、移動しながら農作業を行うことが出来る。いすの両端には車輪がついており、農作業中に労働者にあった位置で着座移動しながら作物の手入れ、種蒔き、収穫作業を行うことが出来る。また、畝を跨ぐ事もでき、作物の高さや幅に応じて幅と高さを調節することが可能である。付属の車輪を使用形態に合せて交換することにより畝溝を着座移動しながらの作業も可能とした。
【背景技術】
【0002】
従来の農作業用作業台車には畝の上、畝溝上で体勢を維持できるものはある。しかし着座方向が一定方向に限られているものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開平10−42624特許公開2002−360034特許公開2003−250306
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業時に着座方向が一定方向に限定されているものが多い為、機能的不便を感じざる得なかった。作業中は長時間同じ体勢になるので一定方向の着座移動が体への負担を大きくし、作業効率の維持、向上が難しくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
狭い畝溝の範囲内での無理な体勢での作業や畝の上で作業することにおいて、それぞれ一定方向に限定されていた作業方向を開放し多方向に着座することにより作業効率の維持、向上を計り体への負担を軽減する。
【発明の効果】
【0006】
着座方向を多様化することにより、手入れ、種蒔き、収穫作業に合せて使い分けることが出来、作業による体への負担を軽減することを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】立面図で、左図は伸縮前、右図は座板可動時、幅、高さ伸縮後の図面。
【図2】平面図で、左図は伸縮前、右図は幅伸縮後、座板可動時の図面。
【図3】車輪一体型調整部材を交換時の立面図で、左図は伸縮前、右図は幅と高さ伸縮後の図面。
【図4】車輪一体型調整部材を交換時の平面図で、左図は伸縮前、右図は幅伸縮後、座板可動時の図面。
【図5】可動フレーム2ーaの平面図、立面図。座板、臀部安定板の平面図、立面図。
【図6】図1から図5の各部材図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面1から6の伸縮作業いすの実施形態を説明する。図1から図4において作業いす伸縮前の状態を左図、伸縮後の状態を右図と記す。図1は立面図で、1、座板 1−a、臀部安定板 2、フレーム 3、支持体 4、固定金具 5、幅調整金具 7、車輪カバー 7−a、泥よけ 8、高さ調整金具 9、車輪 10、車輪固定金具 11、筒状体 12、可動軸 13、高さ調整穴から構成される。図面2〜6の符号については6、車輪カバー 6−a、泥よけ 9ーa、車輪を付加し、同様とする。また以下説明にて2、3、4、5、13を可動フレーム2−aと称し、7、7−a、8、9、10、11部材を総称して車輪一体型調整部材14と称し、6、6−a、8、9ーa、10、11部材を総称して車輪一体型調整部材15と称す。
【0009】
座板1は図5に示す様に座板の両端を折り曲げて可動フレーム上に嵌め込む構造としており、可動フレーム2ーa上の範囲内で自由に移動が可能である。座板を移動することで作業方法を自由に選択し、労働者に合った着座位置の微調整も可能とする。座板1に付随する臀部安定板1−aを組付けることで座って可動する際に臀部に緩衝し、可動の補助と体の安定性を図った。同じ作業体勢では作業能率は低下するばかりでなく、体への負担が大きく作業の継続が困難となる。1の図示のもとで座板は縦20cm、横30cm程度に形成されているがこの数値は限定するものではない。
【0010】
フレーム2はパイプ材を使用し、可動軸12を固定する固定金具4、幅調整金具5、高さ調整穴13を設ける。またフレーム2に支持体3と可動軸12を組付け、可動フレーム2−aを形成する。フレーム2は支持体3を組付け図面6に示すように2分割となる。組付けたフレーム2に可動軸12を差込み、固定金具で固定する。可動フレーム2−aの幅を調整する際は幅調整金具5を緩締し可動フレームの幅を決め、高さ調整金具8を緩締し、適宜、高さ調整穴13に差込む。図示のもと4、5、8の調整金具は蝶ボルトを使用しているが、金具の種類は限定しない。
【0011】
車輪カバー6、7には土や泥の巻き込みを軽減し、円滑な走行を可能にするための泥よけ6−a、7−aを組付け、9、9−aの車輪は6、7に設けた車輪固定金具10で固定する。また高さ調整金具8を組付けた筒状体11を車輪カバー6、7に組付け固定する。組付方法は労働者が着座し荷重も考慮し、溶接、リベット等で固定する。009にて述べたように、これらを総称して車輪一体型調整金具14、15とする。14、15の筒状体11の組付け構造は同じである為、可動フレーム2−aに容易に組付け、交換が出来る。交換方法は高さ調整金具を緩締し可動フレームを上下抜差し、調整金具を締めつけながら高さ調整穴に差込む。高さ調整も同様の方法で可能とする。車輪一体型調整金具を用途に合わせて交換することで労働者の作業範囲を広げ、多方向への着座を可能とした。
【0012】
図1、2に示す車輪一体型調整部材14は主に畝を跨ぎ、作業する場合に使用する。図3,4に示す車輪一体型調整部材15は畝溝上で作業する場合に使用する。作物、畝の状態に合わせて高さ、幅、座板を移動し労働者に最適な作業方法を選択することが出来る。
【0013】
本願の伸縮作業いすは、作物の状態、労働者の作業体勢に合せて、座板1を移動し、可動フレーム2ーaの高さ、幅を調整し、車輪一体型調整部材14、15を交換することで、従来の一定方向の着座方向を開放し、多方向を向いて着座し作業することで労働者の体への負担を軽減し、作業効率の維持、向上を計る事の出来る人間工学的に無理のない、いすである。
【符号の説明】
【0014】
1、座板
1−a、臀部安定板
2、フレーム
2−a、可動フレーム
3、支持体
4、固定金具
5、幅調整金具
6、車輪カバー
6−a、泥よけ
7、車輪カバー
7−a、泥よけ
8、高さ調整金具
9、車輪
9−a、車輪
10、車輪固定金具
11、筒状体
12、可動軸
13、高さ調整穴
14、車輪一体型調整部材(6、6−a、8、9、10、11より形成)
15、車輪一体型調整部材(7、7−a、8、9ーa、10、11より形成)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多方向に着座する為の移動可能な座板と畝幅に合せて調整を可能とするフレーム、支持体、可動軸から形成される可動フレームを基本構造とし労働者、作物に合わせ高さ調整を可能とする2種類の車輪一体型調整部材を適宜組み込み、作業することで多様な着座による作業範囲を開放したことを特徴とする伸縮作業いすである。
【請求項2】
座板は可動フレーム上の自由な位置に据付可能とし、座板に組付けた臀部安定板により走行の補助、体の安定を図る。
【請求項3】
畝を跨越し、作業する場合は畝幅に合わせて可動フレームに採用した可動軸と幅調整金具を使用し幅を決める。可動フレームの調整機構部分にはフレームに穴を開け、ナットを溶接、接着、リベット等で固定する。幅を調整後、幅調整金具で可動軸を締付ける。その際、可動軸には穴はないので可動軸長の範囲で無段階で幅を調整できる構造とする。
【請求項4】
高さを調整するには、実施の形態で説明した車輪一体型調整部材009に構成される筒状体に設けた高さ調整金具を用いて可動フレームに設けた高さ調整穴に合わせて上下抜差し、高さ調整金具を調整穴に差込み締め込む。先の請求項1で述べたように車輪一体型調整部材は2種類あり畝を跨ぎ着座走行する方法と畝溝間を着座走行する方法である。車輪一体型調整部材に構成される車輪カバーには車輪についた土や泥を軽減させる泥よけを設けた。この2種類の車輪一体型調整部材の筒状体の車輪カバーへの組付け構造は同じである為、可動フレームへの付け替え作業も容易に行うことができる。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−5732(P2013−5732A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138975(P2011−138975)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(306031766)
【Fターム(参考)】