説明

伸縮性不織布

【目的】優れた伸縮性と柔軟性を有し、十分な強度を有するとともに、不織布の膠着性の
改善された伸縮性不織布を提供する。
【構成】エラストメリックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体から選ばれる
少なくとも1種の熱可塑性エラストマー成分(A)とポリプロピレン樹脂(B)の混合物
を溶融紡糸することにより得られる、優れた伸縮性と柔軟性を有し、十分な強度を有する
とともに、不織布の膠着性の改善された伸縮性不織布。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性エラストマー弾性繊維からなる不織布に関するものであり、伸縮性
、柔軟性に優れる伸縮性不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、さまざまな不織布が提案され、多くの分野で利用されている。この中で熱可塑性エラストマーからなる伸縮性不織布は、優れた伸縮性、柔軟性、通気性を有し、近年その用途が拡大している。例えば、使い捨て紙おむつ、生理用ナプキンなどの衛生材料、救急絆創膏、ハップ剤基布、サポーター、包帯などの医療用材料、その他、手袋、インナーキャップ、スポーツ衣料材料など幅広い分野で利用されている。
【0003】
これらの不織布には、伸縮性、柔軟性、回復性などが要望されるが、これらの性能を満
足するものとしては、ポリウレタン、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマ
ー、ポリオレフィンエラストマー等の熱可塑性エラストマーの伸縮性不織布が提案されて
きている。しかしながら上記素材のポリウレタン、ポリエステルエラストマー、ポリアミ
ドエラストマーは樹脂の性質から吸湿性を有するため、不織布製造工程での樹脂の乾燥処
理工程が必要であり、微量水分の混入による生産操業性への影響および最終不織布製品へ
の影響、樹脂中の水分率の管理の煩わしさなどの問題が挙げられる。また、樹脂によって
、耐熱性、耐光性、耐薬品性、耐加水分解性、リサイクル性などに問題がある。これらの
問題のない原料樹脂を使用した伸縮性不織布が求められてきており、上記問題を解決する
方法として、ポリオレフィン系エラストマーを使用することで、水分率の管理の負担を軽
減し、かつ、熱分解による生産性の低下などを避けることが検討されている。
【0004】
特にポリプロピレンは、安価で、機械的特性、耐湿性及び耐熱性に優れていることから
、繊維分野においても広く使用されている。よりしなやかで風合いの優れた繊維を得るた
めに、比較的柔らかいポリプロピレンである、シンジオタクチックポリプロピレンを用い
る方法が提案されている。特開平8−176369号公報には、成形性を改良する目的で
、アイソタクチックポリプロピレンにシンジオタクチックポリプロピレンを配合して得ら
れる繊維が開示されているが、柔軟性において十分ではなく、しなやかさ、風合い及び伸
縮性の点で必ずしも満足のいくものではない。
【0005】
特開平5−171556号公報には、エチレン・α−オレフィン共重合体を用いた弾性
不織布が提案されている。しかしながら、この弾性不織布には弾性性能が低いという問題
がある。
【0006】
特開平8−013237号公報には、ビニル結合量が30%以下のポリブタジエンブロ
ックとイソプレン・ブタジエンからなる共重合体ブロックからなる水添ブロック共重合体
とオレフィン系重合体を含有する弾性繊維が提案されているが、この弾性繊維には、イソ
プレンを含むことから、粘着性があり、さらに得られた製品には、アンチブロッキング性
が悪いという問題がある。
【0007】
特開平9−105056号公報には、エチレン・α−オレフィン共重合体とスチレン/
エチレン・ブチレン/スチレンブロック共重合体とを含む組成物からなるメルトブロー不
織布が提案されている。しかしながら、メルトブロー法で比較的高温度で樹脂を加工する
ためスチレンブロックの破壊が起こりやすく、得られる不織布の伸縮性が低下、満足する
アンチブロッキング性を有する不織布が得られないという問題がある。
【0008】
特開平11−117165号公報には、アンチブロッキング性を改善するために、低密
度ポリエチレンとスチレン/エチレン・ブチレン/スチレンブロック共重合体とポリプロ
ピレンを含む組成物をメルトブロー法にて不織布としたものが提案されている。しかしな
がら、ポリプロピレンを含むことで弾性性能が阻害され満足する弾性をもつものにならな
い。
【0009】
特開平11−12908号公報には水添ジエン系重合体と数平均分子量20000以下
の結晶性低分子量ポリオレフィンとを含有する伸縮性不織布が提案されているが、この伸
縮性不織布は、その製造が困難な上、破断伸度が200%未満で、大変脆く、伸縮性が低
く、かつ、伸長時の応力が極端に高いという問題がある。
【0010】
【特許文献1】特開平8−176369号公報
【特許文献2】特開平5−171556号公報
【特許文献3】特開平8−013237号公報
【特許文献4】特開平9−105056号公報
【特許文献5】特開平11−117165号公報
【特許文献6】特開平11−12908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、これらの欠点を解消し、優れた伸縮性と柔軟性を有し、十分な強度を
有するとともに、不織布の膠着性(アンチブロッキング性)の改善された伸縮性不織布を
提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、エラストメリックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体からなる熱可塑性エラストマー(A)とポリプロピレン樹脂(B)との混合物を溶融紡糸することにより、優れた伸縮性と柔軟性を有し、十分な強度を有するとともに、不織布の膠着性の改善された伸縮性不織布が得られることを見出し、本発明を完成した。本発明は以下により構成される。(1)エラストメリックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性エラストマー成分(A)およびホモポリプロピレン樹脂(B)の混合物からなる伸縮性不織布であって、前記熱可塑性エラストマー成分(A)とホモポリプロピレン樹脂(B)の混合重量比[(A)/(B)]が50/50〜95/5である伸縮性不織布。(2)熱可塑性エラストマー成分(A)のMFR値が50〜400(g/10分)であり、ポリプロピレン樹脂(B)のMFR値が25〜200(g/10分)であり、これらMFR値の比[MFR(A)/MFR(B)]が1〜10である伸縮性不織布。(3)伸縮性不織布の単位目付あたりの破断強度(1g/mあたり)が3.5N/cm以上、破断伸度が300%以上、単位目付あたりの引裂強度(1g/mあたり)が1.5N/cm以上、50%伸長回復率が80%以上である伸縮性不織布。(4)伸縮性不織布がメルトブロー法によって作られたものである伸縮性不織布。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、優れた伸縮性と柔軟性を有し、十分な強度を有するとともに、不織布の
膠着性の改善された伸縮性不織布を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明の不織布を構成する樹脂について説明
する。伸縮性不織布に用いる熱可塑性樹脂は、エラストメリックポリプロピレン、プロピ
レン・エチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性エラストマー成分(A)
およびホモポリプロピレン樹脂(B)の混合物から成る。
【0015】
本発明に用いるエラストメリックポリプロピレンとは、ポリマー鎖が結晶性のアイソタ
クチックポリプロピレンもしくはシンジオタクチックポリプロピレンと非晶性のアタクチ
ックポリプロピレンから構成されたステレオブロック構造のポリプロピレンのことである
。ハードセグメントにアイソタクチックポリプロピレンもしくはシンジオタクチックポリ
プロピレン、ソフトセグメントにアタクチックポリプロピレンをもつ構造を有する。
【0016】
エラストメリックポリプロピレンには、ホモポリマーおよびコポリマーが含まれ、コポ
リマーはプロピレン単位に加えて、分子中にプロピレン単位以外の他のオレフィン単位、
例えば、エチレン、ブチレン、ペンテンまたはヘキセン単位を含有したものである。これ
らは鎖構造中に実質的に立体規則性ブロック配列を有し、ポリマー鎖中に選択的に配列さ
れた例えばアイソタクチックポリプロピレンおよびアタクチックポリプロピレン序列のブ
ロックより成る。プロピレンもしくは該プロピレンと他のα−オレフィンとの触媒反応に
より重合もしくは共重合することによって製造される。
【0017】
樹脂のMFR値は50〜400(g/10分)であることが好ましい。この範囲にある
と、生産性に優れ、伸縮性、強度、風合いなどが良好な不織布が得られるので好ましい。
【0018】
本発明に用いる熱可塑性エラストマー成分としてのプロピレン・エチレン共重合体は、プロピレン・エチレンランダム共重合体もしくはプロピレン・エチレンブロック共重合体、または、プロピレン・エチレンランダム共重合体とプロピレン・エチレンブロック共重合体との混合物である。プロピレン・エチレンブロック共重合体は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ(エチレン−co−プロピレン)がブレンドの状態で存在しているのではなく、ポリプロピレンセグメント、ポリエチレンセグメント、ポリ(エチレン−co−プロピレン)セグメントが化学的に結合(共有結合)しているものである。本発明に用いるプロピレン・エチレン共重合体のMFR値は50〜400(g/10分)であることが好ましい。この範囲にあると、生産性に優れ、伸縮性、強度、風合いなどが良好な不織布が得られるので好ましい。
【0019】
本発明のホモポリプロピレン樹脂(B)はポリプロピレンの単独重合体である。樹脂の
MFR値は25〜200(g/10分)であることが好ましく、より好ましくは25〜100(g/10分)である。この範囲にあると、生産性に優れ、また、不織布の膠着防止性能が優れた不織布となるので好ましい。
【0020】
本発明の伸縮性不織布を構成する樹脂組成物の混合比は、エラストメリックポリプロピ
レン、プロピレン・エチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性エラストマ
ー成分(A)およびホモポリプロピレン樹脂(B)の混合重量比[(A)/(B)]が5
0/50〜95/5である必要があり、好ましくは60/40〜90/10である。熱可
塑性エラストマー成分(A)は不織布の伸縮性、回復性へ寄与し、ホモポリプロピレン樹
脂(B)は不織布の強度、伸長応力、膠着防止性の付与に寄与する。特に、ホモポリプロ
ピレン樹脂(B)の不織布中の含有量が多くなると、不織布を構成する弾性繊維の強度は
向上するが、伸縮性、回復性は阻害され、繊維間の接着性が低下するため不織布のウエッ
ブ形成が悪化する。反対にホモポリプロピレン樹脂(B)の不織布中の含有量が少なくな
ると、不織布の強度は不十分となり、不織布の膠着が発生して、ハンドリングに問題を生
じる。
【0021】
また、エラストメリックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体から選ばれる
少なくとも1種の熱可塑性エラストマー成分(A)とホモポリプロピレン樹脂(B)を混
合して使用する際のそれぞれの樹脂のMFR値の比[MFR(A)/MFR(B)]は1
〜10であることが好ましい。この範囲にあると、それぞれの樹脂の熱溶融時の相溶性が
良好で不織布製造の操業性に優れるので好ましい。
【0022】
本発明の伸縮性不織布の製造に用いられる成分(A)と成分(B)とからなる組成物に
は、必要に応じてヒンダードフェノール系、各種アミン系の酸化防止剤、ベンゾトリアゾ
ール系、ヒンダードアミン系の紫外線吸収剤、アミドワックス、モンタン酸ワックス等の
平滑剤、各種カルボジイミド化合物等の加水分解防止剤、酸化チタンなどの艶消剤、ベン
ガラ等の各種顔料、着色剤、黄変防止剤等のポリマー添加剤、防カビ剤、抗菌剤、その他
各種の改良剤等を必要に応じて添加配合することができる。
【0023】
本発明の伸縮性不織布の製造方法はスパンボンド紡糸法、メルトブロー紡糸法等の公知
の製造方法が挙げられるが、得られる不織布の伸縮性、柔軟性の点で、メルトブロー紡糸
法が好ましい。
【0024】
メルトブロー紡糸の一般的な方法を説明する以下のようになる。熱可塑性樹脂を押出機
で溶融し、ギアポンプで溶融ポリマーを計量した後、一列に配した紡糸ノズル孔から吐出
する。ノズル孔の両側に配したスリットから高温加熱気体を高速で噴射し、その高速気体
流によりノズル孔から押し出されたポリマーを細化、冷却して連続したフィラメントを形
成させる。細化されたフィラメントは実質的に集束されることなく、移動するコンベアネ
ットの捕集装置上で気体流と分離され、該ネット上に積層される。積層されたフィラメン
トは自己の有する熱により積層された状態でその接触点が融着により接合される。捕集装
置上に積層後冷却固化する前又は後にローラー等を用い加熱加圧して接合せしめてもよい
。フィラメント相互間の接触点の接合を強固にするためには紡糸ノズルから捕集装置上に
積層する位置までの間隔は余り長くない方がよく、10〜100cmに設定するのがよい
。ノズルと捕集装置の間に気体流の誘導通路を設けることも出来るが、なくても差支えな
い。
【0025】
本発明の伸縮性不織布は、熱可塑性樹脂からなるフィラメントが実質的に繊維長手方向に亘って集束することなく開繊して積層されていることが好ましい。単糸が開繊されずに集束された状態で融着されていると、不織布の均一性が低下しまた柔軟性が著しく損われる。
【0026】
本発明の伸縮性不織布は、繊維径が5〜30μm、目付が20〜1200g/m、破
断強度(1g/mあたり)が3.5N/cm以上、破断伸度が300%以上、単位目付
あたりの引裂強度(1g/mあたり)が1.5N/cm以上、50%伸長回復率が80
%以上であることが好ましい。この範囲にあると不織布の生産性に優れ、得られる不織布
の実用における強度・伸縮性・風合いが良好なものとなる。また他の特長は、優れた通気
性を有することであり、通気度としては5〜200cc/cm/sであることが好まし
い。
【実施例】
【0027】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。実施
例の説明中の不織布の評価は下記に示す方法により測定を実施した。
【0028】
樹脂のMFR測定:メルトフローレイト(MFR)の測定JIS K 7210に準拠
し、230℃、荷重21.2Nで測定した。
【0029】
不織布の平均繊維径:走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布表面の500倍拡
大写真を撮影し、50本の繊維の直径を測定し平均値を平均繊維径とした。
【0030】
不織布の目付および厚さ:JIS L1906 「一般長繊維不織布 試験方法」に準
拠して測定した。目付は100×100mmの試験片を採取し、重量を測定して1m
たりに換算した。厚みはダイアルシックネスゲージ(尾崎製作所製)を用いて測定した。
【0031】
不織布の破断強度および破断伸度:JIS L1906 「一般長繊維不織布 試験方
法」に準拠して測定した。幅25mm、長さ200mmの試験片を採取し、引張試験機(
オリエンテック製)を用いて、チャック間を100mmに設定して試験片を固定した。引
張速度300mm/minで伸長させ、試験片が破断時の1cm幅、1g/m(単位目
付)あたりの強度および伸度を測定した。
【0032】
不織布の通気度:JIS L1906 「一般長繊維不織布 試験方法」のフラジール
形法に準拠して測定した。約200×200mmの試験片を採取し、通気性試験機(TE
XTEST製)を用いて測定した。
【0033】
不織布の伸張回復率:JIS L1096 「一般織物試験方法」に準拠して測定した
。ただし、本発明における評価は伸度50%での回復率とし、幅25mm、長さ200m
mの試験片を採取し、引張試験機(オリエンテック製)を用いて、チャック間を100m
mに設定して試験片を固定した。引張速度300mm/minで50%まで伸長させた後
、クロスヘッドを伸長時と同じ速度で元の位置に戻し、不織布にかかる応力を0とした。
再び同じ速度で50%まで伸長させ、応力負荷が再び始まる時の不織布の伸びた長さをL
mmとした。伸長回復率は下記の式に従って求めた。
伸長回復率(%)=((50−L)/50)×100
不織布の引裂強度:JIS L1906 「一般長繊維不織布 試験方法」に準拠して
測定した。
【0034】
[比較例1]
プロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2120)を215℃の押出
機で溶融してギアポンプで計量し、直径0.5mmの孔を2mmピッチで一列に配したメ
ルトブローノズルから吐出させた。ノズルの1ホール当たり0.3g/minの吐出条件
でポリマーを押し出し、ノズルの両側から吹き出す加熱エア(236℃)にて細化・固化
することによってフィラメントを形成し、このフィラメントをノズルから20cm離れた
位置にある移動コンベアネット上に吹き付けた。目付が75.2g/m、平均繊維径が
20μmの不織布を得た。この時の紡糸温度は218℃であった。不織布の捲取後に膠着
を発生した。
【0035】
表1、表2に不織布の紡糸状況および不織布物性測定結果を示す。
【0036】
[実施例1]
比較例1のプロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2120、MFR
=70)にポリプロピレン樹脂(出光石油化学製Y−6005GM、MFR=60)を5
%添加して220℃の押出機で溶融混練し、以下は、比較例1と同様にして不織布を作製
した。目付75.0g/m、平均繊維径が22μmの不織布を得た。紡糸温度は220
℃で、紡糸状況は良好であった。
【0037】
[実施例2]
実施例1のプロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2120、MFR
=70)にポリプロピレン樹脂(出光石油化学製Y−6005GM、MFR=60)を1
0%添加して225℃の押出機で溶融混練し、以下は、比較例1と同様にして不織布を作
製した。目付74.7g/m、平均繊維径が20μmの不織布を得た。紡糸温度は22
3℃で、紡糸状況は良好であった。
【0038】
[実施例3]
実施例1のプロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2120、MFR
=70)にポリプロピレン樹脂(出光石油化学製Y−6005GM、MFR=60)を2
0%添加して235℃の押出機で溶融混練し、以下は、比較例1と同様にして不織布を作
製した。目付75.2g/m、平均繊維径が21μmの不織布を得た。紡糸温度は23
2℃で、紡糸状況は良好であった。
【0039】
[実施例4]
実施例1のプロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2120、MFR
=70)にポリプロピレン樹脂(出光石油化学製Y−6005GM、MFR=60)を5
0%添加して245℃の押出機で溶融混練し、以下は、比較例1と同様にして不織布を作
製した。目付75.4g/m、平均繊維径が22μmの不織布を得た。紡糸温度は24
2℃で、紡糸状況は良好であった。
【0040】
[比較例2]
実施例1のプロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2120、MFR
=70)にポリプロピレン樹脂(出光石油化学製Y−6005GM、MFR=60)を6
7%添加して255℃の押出機で溶融混練し、以下は、比較例1と同様にして不織布を作
製した。目付75.1g/m、平均繊維径が20μmの不織布を得た。紡糸温度は25
2℃で、紡糸においてノズルからのポリマー吐出状態は良好であったが、糸切れが発生し
て得られた不織布は均一なものではなかった。
【0041】
[実施例5]
実施例1のプロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2120、MFR
=70)にポリプロピレン樹脂(出光石油化学製Y−2000G、MFR=20)を20
%添加して235℃の押出機で溶融混練し、以下は、比較例1と同様にして不織布を作製
した。目付75.1g/m、平均繊維径が22μmの不織布を得た。紡糸温度は233
℃で、紡糸においてノズルからのポリマー吐出状態は良好ではなく、ショット・糸切れが
多発し、得られた不織布は均一なものではなかった。
【0042】
[比較例3]
比較例1においてプロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2330、
MFR=300)を使用して210℃の押出機で溶融混練し、以下は、比較例1と同様に
して不織布を作製した。目付75.4g/m、平均繊維径が22μmの不織布を得た。
紡糸温度は203℃で、紡糸状況は良好であった。しかしながら、不織布の捲取後に膠着
を発生した。
【0043】
[実施例6]
比較例2のプロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2330、MFR
=300)にポリプロピレン樹脂(出光石油化学製Y−6005G、MFR=60)を1
0%添加して210℃の押出機で溶融混練し、以下は、比較例1と同様にして不織布を作
製した。目付75.4g/m、平均繊維径が20μmの不織布を得た。紡糸温度は20
7℃で、紡糸状況は良好であった。
【0044】
[実施例7]
比較例2のプロピレン・エチレン共重合体(エクソンモービル製VM2330、MFR
=300)にポリプロピレン樹脂(出光石油化学製Y−6005GM、MFR=60)を
20%添加して210℃の押出機で溶融混練し、以下は、比較例1と同様にして不織布を
作製した。目付76.0g/m、平均繊維径が22μmの不織布を得た。紡糸温度は2
10℃で、紡糸状況は良好であった。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、優れた伸縮性と柔軟性を有し、十分な強度を有するとともに、不織布の膠着
性の改善された伸縮性不織布を提供することができ、繊維製品として、例えば、使い捨て
おむつ用部材、生理用品用伸縮性部材、伸縮性テープ、絆創膏、衣服用伸縮性部材、帽子
、マスク、手袋、サポーター、伸縮性包帯、湿布材基布、振動吸収材、指サック、フィル
ター、セパレーター等の用途に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストメリックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体から選ばれる少なくと
も1種の熱可塑性エラストマー成分(A)およびホモポリプロピレン樹脂(B)の混合物
からなる伸縮性不織布であって、前記熱可塑性エラストマー成分(A)とホモポリプロピ
レン樹脂(B)の混合重量比[(A)/(B)]が50/50〜95/5であることを特
徴とする伸縮性不織布。
【請求項2】
エラストメリックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体から選ばれる少なくと
も1種の熱可塑性エラストマー成分(A)のMFR値が50〜400(g/10分)であ
り、ポリプロピレン樹脂(B)のMFR値が25〜200(g/10分)であり、これらMFR値の比[MFR(A)/MFR(B)]が1〜10である請求項1に記載の伸縮性不織布。
【請求項3】
伸縮性不織布の単位目付あたりの破断強度(1g/mあたり)が3.5N/cm以上、
破断伸度が300%以上、単位目付あたりの引裂強度(1g/mあたり)が1.5N/
cm以上、50%伸長回復率が80%以上である請求項1又は2に記載の伸縮性不織布。
【請求項4】
伸縮性不織布がメルトブロー法によって作られたものである請求項1〜3のいずれか1項
に記載の伸縮性不織布。