説明

伸縮梯子付き消防自動車

【課題】ワイヤープーリーの取付構造の改良。製造コストが抑えられた伸縮梯子付き消防自動車の提供。
【解決手段】この伸縮梯子付き消防自動車30は、伸ワイヤ及び縮ワイヤを備える。各ワイヤは、プーリー55等に掛け回される。プーリー55等は、位置決め機構70を介して斜骨80に固定されている。位置決め機構70は、取付ボス78と、プーリー本体71を支持する保持具72の取付軸75と、位置決めリング79とを有する。取付軸75は、軸方向に沿って溝76が設けられている。位置決めリング79は、取付ボス78の端面に固定される。位置決めリング79の内周面に突片が形成されている。取付軸75が取付ボス78及び位置決めリング79に挿通された状態で、上記溝76に上記突片が嵌め込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮される梯子を搭載した消防自動車の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
消防自動車に搭載される伸縮梯子は、一般に、複数の梯子本体が入れ子状に組み合わされ、伸縮装置によって長手方向に伸縮されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。図9は、この伸縮装置の構造を模式的に示す図である。同図が示すように、伸縮装置1は、伸縮シリンダ2と、伸ワイヤ3〜6と、縮ワイヤ7〜10とを備えている。この伸縮梯子は5連構成であって、梯子本体11〜15を備えている。各梯子本体11〜15は入れ子状に組み合わされており、隣り合う梯子本体同士が相対的に長手方向にスライドするようになっている。
【0003】
伸縮シリンダ2は梯子本体11の下面に配置されており、そのシリンダロッドが梯子本体11の長手方向にスライドする。この伸縮シリンダ2が伸長することによって、伸ワイヤ3が引っ張られて梯子本体12が梯子本体11に対して伸長する。また、伸ワイヤ4は、梯子本体12の先端部に設けられたワイヤープーリー16に掛け回され、その両端が梯子本体11の先端部及び梯子本体13の後端部に連結されている。したがって、梯子本体12が伸長することによって、伸ワイヤ4が引っ張られて梯子本体13が梯子本体12に対して伸長する。さらに、伸ワイヤ5は、梯子本体13の先端部に設けられたワイヤープーリー17に掛け回され、その両端が梯子本体12の先端部及び梯子本体14の後端部に連結されている。したがって、梯子本体13が伸長することによって、伸ワイヤ5が引っ張られて梯子本体14が梯子本体13に対して伸長する。また、伸ワイヤ6は、梯子本体14の先端部に設けられたワイヤープーリー18に掛け回され、その両端が梯子本体13の先端部及び梯子本体15の後端部に連結されている。したがって、梯子本体14が伸長することによって、伸ワイヤ5が引っ張られて梯子本体15が梯子本体14に対して伸長する。
【0004】
同様に、伸縮シリンダ2が縮短することによって、縮ワイヤ7が引っ張られて梯子本体12が梯子本体11に対して縮短する。また、縮ワイヤ8は、梯子本体12の後端部に設けられたワイヤープーリー19に掛け回され、その両端が梯子本体11の先端部及び梯子本体13の後端部に連結されている。したがって、梯子本体12が縮短することによって、縮ワイヤ8が引っ張られて梯子本体13が梯子本体12に対して縮短する。さらに、縮ワイヤ9は、梯子本体13の後端部に設けられたワイヤープーリー20に掛け回され、その両端が梯子本体12の先端部及び梯子本体14の後端部に連結されている。したがって、梯子本体13が縮短することによって、縮ワイヤ9が引っ張られて梯子本体14が梯子本体13に対して縮短する。また、縮ワイヤ10は、梯子本体14の後端部に設けられたワイヤープーリー21に掛け回され、その両端が梯子本体13の先端部及び梯子本体15の後端部に連結されている。したがって、梯子本体14が縮短することによって、縮ワイヤ10が引っ張られて梯子本体15が梯子本体14に対して縮短する。
【0005】
図10は、上記ワイヤープーリー16の拡大正面図であり、図11は拡大側面図である。これらの図が示すように、ワイヤープーリー16は、ブラケット22を介して斜骨23に取り付けられている。このブラケット22は、円筒状のボス24を備えている。ワイヤープーリー16のプーリ本体25は、保持具26によって回転自在に保持されている。この保持具26は、固定軸27を備えており、この固定軸27が上記ボス24に嵌め込まれている。この固定軸27は、キー28を介してボス24に位置決め固定されている。これにより、プーリー本体25は、斜骨23に対して所定角度だけ傾斜され、伸ワイヤ4が梯子本体11と梯子本体13との間に掛け渡されるようになっている。なお、上記各ワイヤープーリー17〜21についても、同様の構造である。
【0006】
【特許文献1】特開平11−342221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記ワイヤプーリー16では、上記固定軸27は、斜骨23側に設けられたボス24にキー28を介して取り付けられているから、その取付構造が複雑であった。すなわち、上記ボス24及び上記固定軸27にキー溝が加工されなければならず、これらキー溝にキー28が嵌め込まれなければならない。しかしながら、特に上記ボス24へのキー溝の加工のコストが高く、その結果、伸縮梯子の製造コストひいては伸縮梯子付き消防自動車の製造コストが上昇してしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ワイヤープーリーの取付構造の改良により、製造コストが抑えられた伸縮梯子付き消防自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的が達成されるため、本発明に係る伸縮梯子付き消防自動車は、複数の梯子本体が入れ子状に組み合わされた伸縮梯子と、一の梯子本体の所定部に位置決め機構を介して位置決め固定されたワイヤープーリー及び当該ワイヤプーリーに巻き掛けられると共に、一端が当該一の梯子本体の外側に配置された梯子本体の所定部に連結され且つ他端が当該一の梯子本体の内側に配置された梯子本体の所定部に連結されたワイヤーを有する梯子伸縮装置とを搭載する伸縮梯子付き消防自動車である。上記位置決め機構は、上記ワイヤープーリーに設けられた取付軸と、上記一の梯子本体の所定部に設けられ、上記取付軸が挿通される筒状の取付ボスと、当該取付ボスに設けられ、上記取付軸が挿通される位置決めリングとを有する。当該位置決めリングは、上記取付軸に設けられた係合溝に係合する係合爪を備えている。
【0010】
この構成によれば、梯子伸縮装置によって伸縮梯子が伸縮される。このとき、入れ子状に組み合わされた複数の梯子本体のうち一の梯子本体の所定部にワイヤープーリーが設けられ、このワイヤープーリーにワイヤーが掛けられている。このワイヤーの一端が当該一の梯子本体の外側に配置された梯子本体に連結され、他端が当該一の梯子本体の内側に配置された梯子本体に連結されているから、当該一の梯子本体が当該一の梯子本体の外側に配置された梯子本体に対して相対的にスライドすると、当該一の梯子本体の内側に配置された梯子本体は、上記ワイヤーに引っ張られ、当該一の梯子本体に対して相対的にスライドする。このようにして、各梯子本体は、伸縮する。
【0011】
上記ワイヤープーリーは、位置決め機構によって上記一の梯子本体の所定部に位置決め固定されている。具体的には、上記一の梯子本体の所定部に設けられた取付ボスにワイヤープーリーの取付軸が挿通され、この取付軸は、上記取付ボスに設けられた位置決めリングによって位置決めされる。このとき、この取付軸に設けられた係合溝に位置決めリングの係合爪が係合し、取付軸は、その軸方向を回転中心として回転することが規制される。
【0012】
上記ワイヤープーリーは、上記ワイヤーが巻き掛けられるプーリー本体と、当該プーリー本体を保持すると共に上記取付軸が設けられた保持具とを有して構成され得る。上記係合溝は、上記取付軸の外周面に軸方向に延びるように設けられ、上記係合爪は、上記位置決めリングの内周面に径方向内側に突出する突片から構成されているのが好ましい。この構成では、上記係合溝及び突片は、簡単に加工され得るからである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ワイヤープーリーは、位置決めリングによって位置決め固定されるから、従来のように取付ボスの内壁面にキー溝が加工される必要がなく、したがって、ワイヤープーリーが梯子本体に対して簡単な構造で安価に位置決めされる。その結果、製造コストが抑えられた伸縮梯子付き消防自動車が提供され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る伸縮梯子付き消防自動車30(高所作業車)の側面図(艤装図)である。この伸縮梯子付き消防自動車30は、車両本体31と、車両本体31に架装された伸縮梯子32と、伸縮梯子32の先端に設けられたバスケット33とを備えている。
【0016】
車両本体31は、フレームを有するシャシー34と、フレームに搭載されたエンジン及び駆動装置並びにボディ35と、サブフレームを介してシャシー34に取り付けられたブーム支持装置36及びブーム起伏装置37と、サブフレームとブーム支持装置36との間に介在され、ブーム支持装置36を旋回させる旋回装置38とを備えている。車両本体31は、既知の構成である。上記伸縮梯子32は、梯体フレーム40を介してブーム支持装置36に支持されている。そして、ブーム起伏装置37は、起伏シリンダ41を備えており、この起伏シリンダ41が伸縮することによって梯体フレーム40が起伏中心軸42を中心に起伏する。すなわち、伸縮梯子32が起伏する。なお、起伏シリンダ41のストロークが所定の寸法に設定されることにより、伸縮梯子32の起伏角度が設定される。また、上記バスケット33も既知の構造を有する。バスケット33は、伸縮梯子32の先端に取り付けられている。このバスケット33は、火災現場において被災者の救助活動や消火活動に利用される。
【0017】
図2は、伸縮梯子32の分解図である。同図が示すように伸縮梯子32は、4つの梯子44〜47(梯子本体)を備えており、各梯子44〜47は既知の要領で組み立てられている。なお、本実施形態では伸縮梯子32は、4つの梯子を有する4段編成からなるが、伸縮梯子32を構成する梯子の数は、特に限定されるものではない。すなわち、伸縮梯子32は、上記梯体フレーム40に固定された第4段梯子44と、これに順次重ね合わされた第3段梯子45〜第1段梯子47とを有する。各梯子44〜47は、断面がC形に形成されており、それぞれ略相似形に形成されている。第3段梯子45は、第4段梯子44の内側に嵌め込まれており、第2段梯子46が第3段梯子45の内側に嵌め込まれている。同様に、第1段梯子47が第2段梯子46の内側に嵌め込まれている。第1段梯子47〜第3段梯子45は、それぞれ、第2段梯子46〜第4段梯子44に対して長手方向にスライド可能となっている。
【0018】
伸縮梯子32は、伸縮装置49を備えている。この伸縮装置49も既知の構成であり、伸縮シリンダ50、複数のプーリー及び複数のワイヤーを備えている。具体的には、伸縮シリンダ50が第4段梯子44の下面に取り付けられている。この伸縮シリンダ50は、伸縮自在である。伸縮シリンダ50の先端に可動プーリー51が設けられており、伸縮シリンダ50の伸縮に伴って可動プーリー51が第4段梯子44に沿って移動する。伸ワイヤー52は、第4段梯子44の先端及び後端に設けられたプーリー53に掛け回され、梯体フレーム40の先端と第3段梯子45の後端に固定されている。伸ワイヤー52は、可動プーリー51にも掛け回されており、可動プーリー51はいわゆる動滑車として機能する。
【0019】
伸ワイヤー54は、第3段梯子45の先端に設けられたプーリー55に掛け回され、第4段梯子44の先端部と第2段梯子46の後端部に固定されている。伸ワイヤー56は、第2段梯子46の先端に設けられたプーリー57に掛け回され、第3段梯子45の先端部と第1段梯子47の後端部に固定されている。
【0020】
したがって、伸縮シリンダ50が伸長すると、伸ワイヤー52が引っ張られて第3段梯子45が第4段梯子44に対して図中左側へスライドする。第3段梯子45がスライドすると、伸ワイヤー54が引っ張られて第2段梯子46が第3段梯子45に対して図中左側へスライドする。さらに、第2段梯子46がスライドすると、伸ワイヤー56が引っ張られて第1段梯子47が第2段梯子46に対して図中左側へスライドする。つまり、伸縮梯子32が伸長する。
【0021】
縮ワイヤー60は、第4段梯子44の先端と第3段梯子45の先端に固定されている。縮ワイヤー60は、可動プーリー51にも掛け回されており、可動プーリー51はいわゆる動滑車として機能する。
【0022】
縮ワイヤー62は、第3段梯子45の後端に設けられたプーリー63に掛け回され、第4段梯子44の先端部と第2段梯子46の後端部に固定されている。縮ワイヤー64は、第2段梯子46の後端に設けられたプーリー65に掛け回され、第3段梯子45の先端部と第1段梯子47の後端部に固定されている。
【0023】
したがって、伸縮シリンダ50が縮短すると、縮ワイヤー60が引っ張られて第3段梯子45が第4段梯子44に対して図中右側へスライドする。第3段梯子45がスライドすると、縮ワイヤー62が引っ張られて第2段梯子46が第3段梯子45に対して図中右側へスライドする。さらに、第2段梯子46がスライドすると、縮ワイヤー64が引っ張られて第1段梯子47が第2段梯子46に対して図中右側へスライドする。つまり、伸縮梯子32が縮短する。
【0024】
本実施形態の特徴とするところは、上記各プーリー55、57及び各プーリー63、65の構造であって、これら各プーリー55、57、63、65(ワイヤープーリー)は、後述される位置決め機構70を介して第3段梯子45及び第2段梯子46に位置決め固定されている点である。
【0025】
図3は、上記プーリー55の拡大正面図であり、図4は、拡大側面図である。これらの図が示すように、プーリー55は、プーリー本体71と、これを保持する保持具72とを備えている。そして、上記位置決め機構70は、この保持具72を位置決め固定することによって、プーリー本体71を図4が示すように第3段梯子45に対して傾斜させる。これにより、プーリー本体71に掛け回された上記伸ワイヤー54は、一端が第4段梯子44(第3段梯子45の外側に配置された梯子本体)の先端部に連結されると共に、他端が第2段梯子46(第3段梯子45の内側に配置された梯子本体)の後端部に連結される。
【0026】
上記保持具72は、プーリー本体71を挟持する一対の挟持板73、74と、これら挟持板73、74の後端に連続する取付軸75とを有する。挟持板73、74は、ピン77を備えており、このピン77の両端が各挟持板73、74に支持されている。このピン77は、プーリー本体71の中心を貫通しており、これにより、プーリー本体71は、ピン77によって回転自在に支持されている。上記取付軸75は、丸棒から構成されている。取付軸75は、図示されていないが、その外周面にねじが形成されている。この取付軸75の外周面に軸方向に沿って溝76(係合溝)が設けられている。この溝76は、取付軸75の後端から軸方向に沿って形成されている。
【0027】
上記位置決め機構70は、上記取付軸75と、第3段梯子45(一の梯子本体)の先端部に設けられた取付ボス78と、位置決めリング79とを備えて構成されている。図5及び図6は、それぞれ、取付ボス78の正面図及び拡大側面図である。図7及び図8は、それぞれ、位置決めリング79の正面図及び拡大側面図である。
【0028】
図5及び図6が示すように、取付ボス78は、筒状に形成されている。本実施形態では、取付ボス78は、断面が矩形のブロック状部材からなり、その中心に軸方向に沿って円形の貫通孔82が貫通形成されている。この貫通孔82の内径寸法は、上記取付軸75の外形寸法に対応されており、この取付軸75は、ぴったりと取付ボス78の内部に挿通されるようになっている。この取付ボス78は、図3が示すように、梯子45の先端部に配置された斜骨80に固定されている。なお、本実施形態では、斜骨80の補強のために、補強部材81が設けられている。ただし、この補強部材81は省略されていてもよい。
【0029】
また、図7及び図8が示すように、位置決めリング79は、円形の薄肉板からなり、中心に貫通孔83が設けられている。位置決めリング79の肉厚寸法は、1.0mm〜20.0mmの範囲で適宜設定され得る。位置決めリング79の内周面85に突片84(係合爪)が形成されている。この突片84は、上記内周面85に径方向内側に突出するように形成されている。この突片84は、本実施形態では略矩形に形成されているが、他の形状であってもよい。この突片84は、後述されるように、上記取付軸75に設けられた溝76(図3参照)に嵌め込まれるようになっている。したがって、突片84は、上記溝76の内周面形状に対応した外形形状を有するのが好ましい。
【0030】
図3及び図4が示すように、プーリー本体71を支持した保持具72の取付軸75は、取付ボス78の貫通孔82に挿通される。この取付ボス78の先端面に上記位置決めリング79が配置される。本実施形態では、2枚の位置決めリング79が設けられており、これらは、取付ボス78の先端面に例えば溶接等により固定される。なお、位置決めリング79は2枚に限定されるものではなく、1枚でもよいし、さらに多数設けられていてもよい。このとき、位置決めリング79が取付ボス78を貫通した取付軸75に係合する。具体的には、位置決めリング79の突片84が取付軸75に設けられた溝76に嵌め込まれる。これにより、取付ボス78に対する上記保持具72の姿勢が決定されることになる。換言すれば、上記位置決めリング79が取付ボス78に対して所定の姿勢となるように固定されることによって、図4が示すようにプーリー本体71が傾斜され、その結果、伸ワイヤー54は、前述のように第4段梯子44と第2段梯子46との間に掛け渡されることとなる。
【0031】
上記取付軸75の外周面にねじが形成されているから、上記取付ボス78及び位置決めリング79を貫通した取付軸75に、締付ナット86が螺合される。本実施形態では、もう一つの締付ナット87が設けられており、この締付ナット87が締付ナット86の緩み止めを行っている。
【0032】
なお、他のプーリー57、63及び65も当該プーリー55と同様の構成であって、上記位置決め機構70と同様の機構を介して第3段梯子45及び第2段梯子46に位置決め固定されている。したがって、他のプーリー57、63及び65の構造についての詳しい説明は省略される。
【0033】
本実施形態に係る伸縮梯子付き消防自動車30では、伸縮装置49によって伸縮梯子32が前述のように伸縮される。このとき上記プーリー55、57、63、65は、上記位置決め機構70によって梯子45、46の所定部に前述のように位置決め固定されている。具体的には、図3が示すように、上記取付ボス78にプーリー55の取付軸75が挿通され、この取付軸75は、上記取付ボス78に設けられた位置決めリング79によって位置決めされる。このとき、この取付軸75に設けられた溝76に位置決めリング79の突片84が係合し、取付軸75は、その軸方向を回転中心として回転することが規制される。取付軸75の取付ボス78に対する回転が規制されることにより、プーリー55の姿勢が維持される(図4参照)。
【0034】
すなわち、プーリー55は、位置決めリング79によって簡単且つ確実に位置決め固定される。したがって、従来のように取付ボスの内壁面にキー溝が加工される必要がなく、プーリー55が梯子45に対して簡単な構造で安価に位置決めされる。換言すれば、安価な位置決め機構70によってプーリー55(及びその他のプーリー57、63及び65)が第3段梯子45又は第2段梯子46の所定部に位置決め固定される。したがって、伸縮装置49の構造が簡単なものとなり、その結果、製造コストが抑えられた伸縮梯子付き消防自動車が提供され得る。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、伸縮梯子付き消防自動車に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る伸縮梯子付き消防自動車の側面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る伸縮梯子の分解図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る伸縮梯子に設けられたプーリーの拡大正面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る伸縮梯子に設けられたプーリーの拡大側面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る伸縮梯子に設けられた取付ボスの正面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る伸縮梯子に設けられた取付ボスの拡大側面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係る伸縮梯子に設けられた位置決めリングの正面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係る伸縮梯子に設けられた位置決めリングの拡大側面図である。
【図9】図9は、従来の伸縮梯子付き消防自動車の伸縮装置の構造を模式的に示す図である。
【図10】図10は、従来の伸縮梯子付き消防自動車の伸縮装置のワイヤープーリーの拡大正面図である。
【図11】図11は、従来の伸縮梯子付き消防自動車の伸縮装置のワイヤープーリーの拡大側面図である。
【符号の説明】
【0037】
30・・・伸縮梯子付き消防自動車
32・・・伸縮梯子
40・・・梯体フレーム
44・・・第4段梯子
45・・・第3段梯子
46・・・第2段梯子
47・・・第1段梯子
49・・・伸縮装置
50・・・伸縮シリンダ
51・・・可動プーリー
52・・・伸ワイヤー
53・・・プーリー
54・・・伸ワイヤー
55・・・プーリー
56・・・伸ワイヤー
57・・・プーリー
60・・・縮ワイヤー
62・・・縮ワイヤー
63・・・プーリー
64・・・縮ワイヤー
65・・・プーリー
70・・・位置決め機構
71・・・プーリー本体
72・・・保持具
73・・・挟持板
74・・・挟持板
75・・・取付軸
76・・・溝
77・・・ピン
78・・・取付ボス
79・・・位置決めリング
80・・・斜骨
81・・・補強部材
82・・・貫通孔
83・・・貫通孔
84・・・突片
85・・・内周面
86・・・締付ナット
87・・・締付ナット




【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の梯子本体が入れ子状に組み合わされた伸縮梯子と、
一の梯子本体の所定部に位置決め機構を介して位置決め固定されたワイヤープーリー及び当該ワイヤプーリーに巻き掛けられると共に、一端が当該一の梯子本体の外側に配置された梯子本体の所定部に連結され且つ他端が当該一の梯子本体の内側に配置された梯子本体の所定部に連結されたワイヤーを有する梯子伸縮装置とを搭載する伸縮梯子付き消防自動車であって、
上記位置決め機構は、
上記ワイヤープーリーに設けられた取付軸と、
上記一の梯子本体の所定部に設けられ、上記取付軸が挿通される筒状の取付ボスと、
当該取付ボスに設けられ、上記取付軸が挿通される位置決めリングとを有し、
当該位置決めリングは、上記取付軸に設けられた係合溝に係合する係合爪を備えている伸縮梯子付き消防自動車。
【請求項2】
上記ワイヤープーリーは、上記ワイヤーが巻き掛けられるプーリー本体と、当該プーリー本体を保持すると共に上記取付軸が設けられた保持具とを有し、
上記係合溝は、上記取付軸の外周面に軸方向に延びるように設けられ、
上記係合爪は、上記位置決めリングの内周面に径方向内側に突出する突片からなる請求項1に記載の伸縮梯子付き消防自動車。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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