説明

伸縮梯子

【課題】中立位置での左右ロック部材の先端高さが合わせ易く、ロック動作の確実性、耐久性を向上できるようにする。
【解決手段】左右各ロック装置5は、上梯子3の支柱9,10に固定された取付台25と、取付台25に回動軸26を介して枢支されたロック部材27と、回動軸26にコイル巻き部48が外嵌していてロック部材27を上下回動したときに中立位置へ復帰させる巻きバネ28とを有している。前記巻きバネ28の両端バネ脚49,50は、取付台25に係合するとともに、前記ロック部材27が上回動したときに両端バネ脚49,50の一方を他方に対して巻き方向に移動してコイル巻き部48を巻き締め、かつロック部材27が下回動したときに両端バネ脚49,50の他方を一方に対して巻き方向に移動してコイル巻き部48を巻き締めるべくロック部材27と係合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸長状態をロック可能にした伸縮梯子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下梯子と、この下梯子に対して上下方向に伸縮自在な上梯子とを備えた伸縮梯子は公知であって、この種の伸縮梯子には、下梯子に対して上梯子を上方移動(伸長)させた後、上梯子が勝手に下降(収縮)しないようにロックするためのロック装置が設けられている。下梯子及び上梯子は、左右一対の支柱を上下複数段の踏み桟によって連結した構造となっており、ロック装置は、上梯子の左右一対の支柱それぞれに対して、左右対称とされたものが装備されている。
【0003】
左右の各ロック装置は、下梯子に対する上梯子の上方移動は許容するが下方移動は下梯子の踏み桟にロック部材を上方から係合させることで阻止して、伸長状態をロックする構成となっている(例えば、特許文献1等参照)。
すなわち、ロック部材は、上梯子に設けられた回動軸に対して上下どちら方向にも揺動自在に枢支されており、回動軸には、巻きバネがそのコイル巻き部を外嵌させて取り付けられている。この巻きバネは、一方のバネ脚をロック部材に係合し、他方のバネ脚を上梯子に対して係合し、ロック部材が上下揺動すると、巻きバネの巻き締め又は巻き戻しの復元力によって、揺動位置から上梯子に対して直角の中立位置に復帰させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3081014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来のロック装置では、上梯子の左側支柱に装備させるものと右側支柱に装備させるものとで、左右対称の巻きバネ(巻き締め方向が相対逆向きとなるもの)を2種、使用する必要があり、部品点数の多数化に繋がっていた。また、このような2種の巻きバネは、製作精度上の特性により、ロック部材が静止する位置(ロック部材が下梯子へ向けて突出する角度)に左右でズレを発生させることになり、動作のバラツキなどを生じさせていた。
【0006】
更に、上梯子を上方移動させる場合、ロック部材は、下梯子の踏み桟に下方から当接することにより静止状態から更に下方へ回動するが、このとき左右の巻きバネはいずれも巻き戻し(緩め)方向に外力を受けることになる。そのため、バネ自体の耐久性が低下(バネ力の低下や折損などを招来)しやすいという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ロック装置に関して低コスト化、動作の確実性、耐久性の向上など、各種問題を解決除去できるようにした伸縮梯子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る伸縮梯子1は、下梯子2に上梯子3を伸縮自在に保持し、上梯子3の左右各支柱9,10に、下梯子2に対する上梯子3の上方移動は許容するが下方移動は下梯子2の踏み桟8にロック部材27を上方から係合させることで阻止するロック装置5(5A,5B)を設けており、前記各ロック装置5(5A,5B)は、上梯子3の支柱9,10に固定された取付台25と、この取付台25に回動軸26を介して枢支された前記ロック部材27と、前記回動軸26にコイル巻き部48が外嵌していて前記ロック部材27を上下回動したときに中立位置へ復帰させる巻きバネ28とを有しており、前記巻きバネ28の両端バネ脚49,50は、取付台25に係合するとともに、前記ロック部材27が上回動したときに両端バネ脚49,50の一方を他方に対して巻き方向に移動してコイル巻き部48を巻き締め、かつロック部材27が下回動したときに両端バネ脚49,50の他方を一方に対して巻き方向に移動してコイル巻き部48を巻き締めるべくロック部材27と係合していることを特徴とする。
【0008】
このように巻きバネ28は、ロック部材27を上回動後に中立位置へ復帰させるときも、またロック部材27を下回動後に中立位置へ復帰させるときも、コイル巻き部48を巻き締めるようにしてバネ力を強める構成であり、上梯子3の左側支柱9に装備させるロック装置5(5A)と右側支柱10に装備させるロック装置5(5B)とで、同じもの(巻き締め方向が同じもの)を使用できることになる。
【0009】
これにより部品の共通化(少数化)や組み立ての容易化が可能となり、ロック装置5、ひいては伸縮梯子1の全体としての低コスト化が可能となる。また、上梯子3の左右の各支柱9,10にロック装置5(5A,5B)を装備させることで、巻きバネ28におけるバネ脚49,50の係合関係が反対向きになったとしても、ロック部材27を静止させる中立位置(ロック部材27が下梯子2へ向けて突出する角度)は、左右で正確に同一にできるので、見栄えや動作も左右のバラツキ無く良好となる。
【0010】
更に、ロック部材27が上下いずれの方向に回動するときも、巻きバネ28は巻き戻し(緩め)方向に外力を受けることはないので、バネ力の低下や折損なども起こりにくくなり、その耐久性が向上する。
前記取付台25には、回動軸26廻りに所定間隔をおいて配置されていて前記両端バネ脚49,50にそれぞれ係合する第1、第2の脚受け部42,43と、各脚受け部42,43に係合したバネ脚49,50がコイル巻き締め方向への移動を許容する第1、第2脚通路44,45とが設けられ、前記ロック部材27には、前記両端バネ脚49,50にそれぞれ係合してコイル巻き締め方向へ移動させる第1、第2の脚係合部60,61が形成され、中立位置にあるときに前記両脚係合部60,61に両端バネ脚49,50が係合されているものとすればよい。
【0011】
なお、前記取付台25は前記第1、第2の脚通路44,45が回動軸26廻りに180°偏位して形成され、この第1、第2の脚通路44,45は回動軸26廻りに近接する端部に前記第1、第2の脚受け部42,43が設けられ、前記巻きバネ28は両バネ脚49,50を閉脚させて取付台25の前記第1、第2の脚受け部42,43に係合され、前記ロック部材27の第1、第2の脚係合部60,61は上回動時及び下回動時に両端バネ脚49,50を相対的に開脚させる構成を採用することができる。
【0012】
または、前記取付台25は前記第1、第2の脚通路44,45が共通の脚通路として形成され、この共通脚通路の両端側に前記第1、第2の脚受け部42,43が設けられ、前記巻きバネ28は両バネ脚49,50を開脚させて取付台25の前記第1、第2の脚受け部42,43に係合され、前記ロック部材27の第1、第2の脚係合部60,61は上回動時及び下回動時に両端バネ脚49,50を相対的に閉脚させる構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る伸縮梯子は、中立位置での左右ロック部材の先端高さが合わせ易く、ロック動作の確実性、耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態のロック装置を示す側面図である。
【図2】(A)は伸縮梯子全体の正面図であり、(B)は右側面図である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】(A)はロック部材が上回動した状態を示す一部省略側面図であり、(B)は中立位置を示す側面図であり、(C)は下回動した状態を示す一部省略側面図である。
【図6】ロック部材係合状態を示す正面図である。
【図7】ロック装置の取付台の側面図である。
【図8】ロック装置の巻きバネの側面図である。
【図9】ロック装置のロック部材の側面図である。
【図10】ロック装置の底面図である。
【図11】(A)は第2実施形態のロック部材が上回動した状態を示す一部省略側面図であり、(B)は中立位置を示す側面図であり、(C)は下回動した状態を示す一部省略側面図である。
【図12】第2実施形態の取付台の側面図である。
【図13】第2実施形態のロック部材の側面図である。
【図14】第2実施形態のロック装置の底面図である。
【図15】(A)は第3実施形態のロック部材が上回動した状態を示す一部省略側面図であり、(B)は中立位置を示す側面図であり、(C)は下回動した状態を示す一部省略側面図である。
【図16】第3実施形態の取付台の側面図である。
【図17】第3実施形態の巻きバネの側面図である。
【図18】第3実施形態のロック部材の側面図である。
【図19】第3実施形態のロック装置の底面図である。
【図20】(A)は第4実施形態のロック部材が上回動した状態を示す一部省略側面図であり、(B)は中立位置を示す側面図であり、(C)は下回動した状態を示す一部省略側面図である。
【図21】第4実施形態の取付台の側面図である。
【図22】第4実施形態のロック部材の側面図である。
【図23】第4実施形態のロック装置の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1乃至図10は、本発明に係る伸縮梯子1の第1実施形態を示している。図2乃至図4に示すように、この伸縮梯子1は、下梯子2と、この下梯子2に対して長手方向移動自在(上下動自在)に保持された上梯子3と、下梯子2に対して上梯子3を昇降操作するための操作ロープ手段4と、下梯子2に対する上梯子3の上方移動は許容するが下方移動は阻止するロック装置5とを有している。
【0016】
下梯子2は、左右一対の支柱6,7と、これら両支柱6,7を連結する上下複数段の踏み桟8とを備えている。上梯子3も同様で、左右一対の支柱9,10と、これら両支柱9,10を連結する上下複数段の踏み桟11とを備えている。
図3及び図4に示すように、下梯子2の支柱6,7は、断面コ字状等の引き抜き条材を素材として互いの溝部6a,7aが左右方向内向きに対向するように配置され、これら各支柱6,7の下端部には接地部材12が取り付けられ、上端部には溝部6a,7aの上端部を塞ぐキャップ部材13が取り付けられている。
【0017】
また、下梯子2の踏み桟8は、断面が中空台形の引き抜きパイプ材により形成されており、その左右両端部は、左右の支柱6,7に対してそれらの各溝部6a,7a内へ差し込まれた状態で、各支柱6,7の前後溝壁を貫通させるようにしてリベット止めされている。この下梯子2には、中途高さにある上下2段の踏み桟8を上下方向に連結する状態で把手15が取り付けられている。
【0018】
上梯子3の支柱9,10は、断面コ字状等の引き抜き条材を素材として互いの溝部9a,10aが左右方向内向きに対向するように配置され、これら各支柱9,10の上下両端部には、溝部9a,10aの両端部を塞ぐキャップ部材16が取り付けられている。
また上梯子3の踏み桟11は、断面が中空台形の引き抜きパイプ材により形成されており、その左右両端部は、左右の支柱9,10に対してそれらの各溝部9a,10a内へ差し込まれた状態で、各支柱9,10の前後溝壁を貫通させるようにしてリベット止めされている。この上梯子3には、上方寄りの踏み桟11と左右の各支柱9,10とのコーナー部とを斜め方向に連結する状態でブレース17が取り付けられている。
【0019】
操作ロープ手段4は、下梯子2の一方の支柱7に対してその上部側面で回転自在に設けられた滑車19と、上梯子3の一方の支柱10に対してその下部側面に両端部が接続され、ロープ中途部を滑車19に巻き掛けた操作ロープ20とを有している。
また、上梯子3の両支柱9,10には、それらの下端部から下梯子2の両支柱6,7を抱えるように突出するガイド部材21が設けられ、下梯子2の両支柱6,7には、それらの上端部から上梯子3の両支柱9,10を抱えるように突出するガイド部材22が設けられている。これら各ガイド部材21,22は、下梯子2に対して上梯子3を上下動させるときに、それぞれ相手側の支柱に沿って摺動するようになっており、両梯子2,3間の並行間隔を一定にして摺動安定性を確保すると共に、摺動距離を制限(抜け止め)する作用を奏する。
【0020】
図1乃至図10において、ロック装置5は、上梯子3に対し、左側の支柱9に装備される左側ロック装置5Aと、右側の支柱10に装備される右側ロック装置5Bとがある。これら両ロック装置5A,5Bは基本構成は同じであるが、取付位置の違いによって左右対称となっている。以下では、主として左側ロック装置5Aについて説明する。
このロック装置5Aは、上梯子3の支柱9に固定される取付台25と、この取付台25に回動軸26を介して枢支されたロック部材27と、このロック部材27を上下回動したときに中立位置へ復帰させる巻きバネ28とを有している。
【0021】
取付台25は、左右方向(図4の左右方向、図10の上下方向)に所定間隔をおいて設けられた覆い側支持板32及び基礎側支持板33と、これら両支持板32,33を連結する連結部34と、基礎側の支持板33に対してその上辺部及び下辺部から突出して設けられた上下一対の台脚35,36と、これら各台脚35,36の突端部から上下外向きとなるように屈曲状に設けられた取付片37,38とを有し、上下の取付片37,38はリベット又はボルト等の締結具40を介して支柱9に固定されている。
【0022】
上下の台脚35,36によって、両支持板32,33の相互間スペースの一部又は全部は、溝部9aから溝外へ突出(露出)されている。
連結部34は、両支持板32,33の後辺部同士を連結し、両支持板32,33間に前方(下梯子2側)及び上下両方に開放されたスペースを形成しており、このスペース内にロック部材27と巻きバネ28とを配置している。前記回動軸26は、このスペースを横切るようにして両支持板32,33の中心間に架設される。
【0023】
覆い側の支持板32には、回動軸26廻りに所定間隔をおいて配置された第1脚受け部42及び第2脚受け部43と、第1脚受け部42から第2脚受け部43へ向かって延びる第1脚通路44と、第2脚受け部43から第1脚受け部42へ向かって延びる第2脚通路45とが形成されている。
第1,第2の脚通路44,45は、回動軸26の軸心(図7では回動軸26を架設するために形成された取付孔47の中心に相当)から一定の半径を保持させて外周部を円弧状に凹ませることにより、この凹んだ円弧状周縁部に沿ったスペースとして形成させてある。
【0024】
第1実施形態において、第1脚通路44と第2脚通路45とは、互いに連通して外見的な区別のない共通の脚通路として形成されている。また、この共通脚通路(第1,第2の脚通路44,45)は、支持板32の下辺部に配置されている。
これに対し、第1脚受け部42は、共通脚通路(第1,第2の脚通路44,45)の一端部(図7の左側)を径方向外方へ張り出させるようにした段差部分により、その内隅に形成したものであり、第2脚受け部43は、共通脚通路(第1,第2の脚通路44,45)の他端部(図7の右側)を径方向外方へ張り出させるようにした段差部分により、その内隅に形成したものである。すなわち、この共通脚通路(第1,第2の脚通路44,45)の両端側に前記第1,第2の脚受け部42,43が設けられている。
【0025】
図8に示すように、巻きバネ28は、コイル巻き部48と、このコイル巻き部48の両端側で径方向外方へ巻き出された一対のバネ脚49,50とを有したもので、コイル巻き部48が前記回動軸26に外嵌されるようになる。
両バネ脚49,50の無負荷時の開脚角度αは、30〜45°程度(第1実施形態ではα=38.5°とした)であり、両バネ脚49,50を近づけることにより閉脚させ、この開脚角度αを狭めるようにすることで、コイル巻き部48が巻き締められ、両バネ脚49,50を開脚させる方向で作用するバネ力が強まる。
【0026】
一方のバネ脚50は、コイル巻き部48から巻き出された後、回動軸26の軸心方向に沿ってコイル巻き部48の外周面を横切るように折曲されており(図10参照)、この折曲部によって係合部50aが形成されている。また他方のバネ脚49は、コイル巻き部48から巻き出された後、回動軸26の軸心方向に沿ってコイル巻き部48を横切らない方向(コイル巻き部48から離れる方向)に折曲されており、この折曲部によって係合部49aが形成されている。
【0027】
すなわち、この巻きバネ28において、両バネ脚49,50の各係合部49a,50aは、コイル巻き部48から互いに同じ方向へ並んで突出するようになっている。そのためこの巻きバネ28を、コイル巻き部48が回動軸26に外嵌する状態にして取付台25に取り付けたとき、両バネ脚49,50は、支持板32における前記第1,第2の脚受け部42,43にそれぞれ係合するようになる。このとき両バネ脚49,50は無負荷の開脚状態から少しだけ閉脚させて、弱いバネ力が生じた状態とされる。
【0028】
図9に示すように、ロック部材27は、中心部に回動軸26を挿通させる軸孔52が形成されたボス部53と、このボス部53から周方向の一方向へ向けて張り出し状に設けられたロック片部54とを有している。
ロック片部54は、恰も魚の尾びれのように、上下の両斜め方向へ鋭角三角形状に突出する一対の角部55,56を有して、これら両角部55,56の上下間に三角形状の切欠部57が形成された板片とされている。上角部55は突出量が小さく、下角部56は突出量が大きく形成されている。
【0029】
また、切欠部57は、図1に示すように、このロック片部54が斜め下方へ向けられたときに、下梯子2の踏み桟8に対して、その上面と背面との2面に線接触状態で係合するような内隅角で形成されている。
ボス部53は略円盤形に形成されており、その外周部には、巻きバネ28のバネ脚49に係合する第1脚係合部60と、バネ脚50に係合する第2脚係合部61とが形成されている。
【0030】
第1,第2の脚係合部60,61は、軸孔52の中心から一定の半径を保持させて外周部を円弧状に凹ませ、この凹ませ部分の両端部を径方向外方へ張り出させるようにした段差部により、その内隅に形成したものである。
図5(B)は、ロック部材27のボス部53を取付台25における覆い側の支持板32へ重ね、これらを回動軸26で串刺し状に位置合わせした状態で、ロック片部54が上梯子3から下梯子2へ向けて突出する中立位置を示している。
【0031】
この図5(B)から明かなように、ロック部材27の第1,第2の脚係合部60,61は、中立位置で丁度、下向きとなるように配置され、取付台25(支持板32)に設けられた第1,第2の脚受け部42,43とそれぞれ合致するようになっている。従って、回動軸26に巻きバネ28のコイル巻き部48を外嵌させることで、両バネ脚49,50は、開脚状態のまま、ロック部材27の第1,第2の脚係合部60,61と、取付台25の第1,第2の脚受け部42,43との両方に係合するようになっている。
【0032】
また、図5(A)に示すようにロック部材27を上回動させれば、ロック部材27の第2脚係合部61で巻きバネ28のバネ脚50を閉脚方向へ押し、このときバネ脚50は、取付台25の第2脚受け部43から共通脚通路(第2脚通路45に相当)を介して第1脚受け部42へ向けた移動が許容され、他方のバネ脚49に近づき、その結果、巻きバネ28はコイル巻き部48を巻き締めるようになる。
【0033】
反対に、図5(C)に示すようにロック部材27を下回動させれば、ロック部材27の第1脚係合部60で巻きバネ28のバネ脚49を閉脚方向へ押し、このときバネ脚49は、取付台25の第1脚受け部42から共通脚通路(第1脚通路44に相当)を介して第2脚受け部43へ向けた移動が許容され、他方のバネ脚50に近づき、その結果、巻きバネ28はコイル巻き部48を巻き締めるようになる。
【0034】
このように、ロック部材27は、中立位置から上下いずれの方向に回動するときにも、巻きバネ28のコイル巻き部48を巻き締めるようになっている。なお、ロック部材27が中立位置にあるときに、巻きバネ28は両バネ脚49,50を開脚させて、一方のバネ脚49を第1脚係合部60及び第1脚受け部42に係合させ、他方のバネ脚50を第2脚係合部61及び第2脚受け部43に係合させている。
【0035】
そのため、巻きバネ28は、ロック部材27を上回動後に中立位置へ復帰させるバネ力と、ロック部材27を下回動後に中立位置へ復帰させるバネ力とが略同じである。これらのことにより、ロック部材27の中立位置は正確且つ確実に維持されるものである。
このような構成の左側ロック装置5Aに対し、右側ロック装置5Bは前記したように基本構成は同じであるが、上梯子3への取付位置の違いによって左側ロック装置5Aとは左右対称の構造となっている。
【0036】
例えば右側ロック装置5Bの取付台25は、図4に示すように、上下の台脚35,36を有する基礎側の支持板33が右側配置とされ、第1,第2の脚受け部42,43及び共通脚通路(第1,第2の脚通路44,45)の設けられた覆い側の支持板32が左側配置とされている。
また、両支持板32,33の間で、巻きバネ28とロック部材27とが並ぶ左右方向の配置関係も、左側ロック装置5Aの場合とは相対逆になっている。
【0037】
但し、巻きバネ28は、前記したようにロック部材27が中立位置から上下いずれの方向に回動するときにも、コイル巻き部48を巻き締めるように用いられるもので、ロック部材27を上回動後に中立位置へ復帰させるバネ力と、ロック部材27を下回動後に中立位置へ復帰させるバネ力とは略同じである。
更に言えば、巻きバネ28は、コイル巻き部48から開脚状態で巻き出された両脚バネ脚49,50に、回動軸26の軸心方向に沿って互いに同じ方向へ並んで突出する係合部49a,50aが設けられたものである。
【0038】
このようなことから、巻きバネ28は、左側ロック装置5Aで使用する場合には、一方のバネ脚49を第1脚係合部60及び第1脚受け部42に係合させ、他方のバネ脚50を第2脚係合部61及び第2脚受け部43に係合させるものとし、右側ロック装置5Bで使用する場合には、一方のバネ脚49を第2脚係合部61及び第2脚受け部43に係合させ、他方のバネ脚50を第1脚係合部60及び第1脚受け部42に係合させるものとすることができる。
【0039】
すなわち、巻きバネ28は、左右のロック装置5A,5Bで互いに同じもの(共通部品)を使用できることになる。
次に、本発明に係る伸縮梯子1において、その使用状況に基づきながら主な作用を説明する。
伸縮梯子1を収縮させた状態において、滑車19から正面側へ垂れている操作ロープ20を下方に引き下げると、下梯子2に対して上梯子3が上方移動(伸張)する。このとき、左右のロック装置5A,5Bでは、ロック部材27の上角部55が下梯子2の踏み桟8に下から当接するようになり、これによりロック部材27は下回動する。
【0040】
ロック部材27の下回動により、図5(C)に示すように、ロック部材27の第1脚係合部60が巻きバネ28のバネ脚49を閉脚方向へ押し、バネ脚49が取付台25の第1脚受け部42から第2脚受け部43へ向けて移動し、即ち、バネ脚49がバネ脚50に対して巻き方向に移動する。従って、巻きバネ28はコイル巻き部48を巻き締めて、バネ力を強めるようになり、ロック部材27を上回動させようと付勢する。
【0041】
ロック部材27の上角部55が下梯子2の踏み桟8に当接している間、ロック部材27は下回動した状態を保持するが、上角部55が踏み桟8から外れると(踏み桟8の上側へ出るとき)、ロック部材27は巻きバネ28のバネ力で上回動する。これにより、下角部56が踏み桟8の背面に当接するようになる。
左右ロック部材27の先端高さ、即ち、左右上角部55の高さが上下にズレていると、踏み桟8から外れるタイミングが異なることになり、左右一方が踏み桟8から外れても、他方が踏み桟8に当接したままの状態が起こり得る。しかし、ロック部材27を上下どちらに揺動しても巻きバネ28を巻き締め方向に作用させると、中立位置の左右ロック部材27の先端高さを正確に一致させることができ、それによって踏み桟8から外れるタイミングを一致させることができる。
【0042】
そこで、下角部56が踏み桟8の背面に当接しているときに、操作ロープ20の引き下げ操作を止めて更に操作ロープ20を少し緩める(上梯子3の上方移動を中止して少し下降させる)ようにすると、ロック部材27の切欠部57が踏み桟8の上面と背面との2面に線接触状態で係合するようになる(図1参照)。これにより、ロック部材27が回動不能な状態に固化されるため、下梯子2に対する上梯子3の下方移動を阻止させることができる。
【0043】
なお、切欠部57が踏み桟8に係合した後も操作ロープ20の引き下げ操作(上梯子3を上方移動させる操作)を続ければ、下角部56も踏み桟8との係合を外すようになるので、上梯子3を所望するだけ上方移動させることができる。
一方、上昇後(伸張後)の伸縮梯子1を収縮させるには、操作ロープ20を少しだけ引き下げて、下梯子2に対して上梯子3を少しだけ上方移動させる。このとき、左右のロック装置5A,5Bでは、下梯子2の踏み桟8に対するロック部材27(切欠部57)の係合が解除され、下角部56が踏み桟8の背面を擦りながら上方へ移動するようになる。
【0044】
下角部56が踏み桟8から外れると(踏み桟8の上側へ出るとき)、ロック部材27は巻きバネ28のバネ力で上回動する。これにより、ロック部材27の第1,第2の脚係合部60,61と、取付台25の第1,第2の脚受け部42,43とが合致し、且つこれらに巻きバネ28の両バネ脚49,50が開脚状態で係合するようになって、ロック部材27は、中立位置を保持するようになる。
【0045】
この状態で操作ロープ20を緩めると、上梯子3が自荷重によって下降するようになる。このとき、左右のロック装置5A,5Bでは、ロック部材27の下角部56が下梯子2の踏み桟8に上から当接するようになり、これによりロック部材27は上回動する。
ロック部材27の上回動により、図5(A)に示すように、ロック部材27の第2脚係合部61が巻きバネ28のバネ脚50を閉脚方向へ押し、バネ脚50が取付台25の第2脚受け部43から第1脚受け部42へ向けて移動し、即ち、バネ脚50がバネ脚49に対して巻き方向に移動する。従って、巻きバネ28はコイル巻き部48を巻き締めて、バネ力を強めるようになり、ロック部材27を下回動させようと付勢する。
【0046】
ロック部材27の下角部56が下梯子2の踏み桟8に当接している間、ロック部材27は上回動した状態を保持するが、下角部56が踏み桟8から外れると(踏み桟8の下側へ出るとき)、ロック部材27は巻きバネ28のバネ力で下回動する。下角部56は上角部55よりも突出量が大きいため、ロック部材27の下回動時に上角部55が踏み桟8に当接することはない。これにより、上梯子3を下方移動させることができる。
【0047】
以上説明したところから明かなように、伸縮梯子1では、上梯子3の左右の各支柱9,10にロック装置5A,5Bを装備させることで巻きバネ28のバネ脚49,50の係合関係が反対向きになっても、ロック部材27を静止させる中立位置(ロック部材27が下梯子2へ向けて突出する角度)は左右で正確に同一にでき、ロック部材27が上下いずれの方向に回動するときも、巻きバネ28は巻き戻し(緩め)方向に外力を受けることはないので、その耐久性が向上する。
【0048】
また、巻きバネ28は左右のロック装置5A,5Bで互いに同じもの(共通部品)を使用でき、部品の少数化や組み立ての容易化が可能となるので、ロック装置5A,5Bの低コスト化が可能となる。
[第2実施形態]
図11乃至図14は、ロック装置5の第2実施形態を示している。以下では、主として左側のロック装置5Aについて説明する。
【0049】
第2実施形態のロック装置5が、前記第1実施形態のロック装置5と異なるところは巻きバネ28の装着向きにあり、その他の基本的な構成や作用効果などは第1実施形態と略同じである。
すなわち、前記第1実施形態では、ロック部材27が中立位置にあるとき(図1(B)参照)に巻きバネ28は両バネ脚49,50を下方へ向けて開脚させていたが、第2実施形態では、ロック部材27が中立位置にあるとき(図11(B)参照)に、巻きバネ28は両バネ脚49,50をロック部材27の突出方向とは反対向き(後方)へ向けて開脚させるようになっている。そして、ロック部材27が中立位置から上下一方へ回動すると、両バネ脚49,50の一方が他方に対して巻きバネ28の巻き方向に移動して、巻きバネ28を巻き締めする。
【0050】
このように巻きバネ28を装着するため、図12に示すように、取付台25では、基礎側の支持板33に対して、回動軸26の軸心(取付孔47の中心)から一定の半径を保持させた円弧状の長孔を形成させてある。すなわち、この円弧状長孔の両端位置を第1,第2の脚受け部42,43とし、円弧状長孔の孔内スペースを第1,第2の脚受け部42,43としている。第2実施形態でも、第1脚通路44と第2脚通路45とは、互いに連通して外見的な区別のない共通の脚通路として形成されている。
【0051】
また、図13に示すように、ロック部材27では、ボス部53の外周部のうち、ロック片部54とは反対向きとなる位置に対して円弧状凹ませ部分を形成させ、この凹ませ部分の両端部に第1,第2の脚係合部60,61が設けられている。
第2実施形態では、取付台25において基礎側の支持板33に第1,第2の脚受け部42,43及び共通脚通路(第1,第2の脚受け部42,43)を設けているので、図14に示すように、ロック部材27のボス部53は、取付台25における基礎側の支持板33へ重ね合わせるようにし、ボス部53と覆い側の支持板32との間に巻きバネ28を配置させるようにする。
【0052】
なお、基礎側の支持板33に第1,第2の脚受け部42,43及び共通脚通路(第1,第2の脚受け部42,43)を設けることは限定されるものではなく、覆い側の支持板32に第1,第2の脚受け部42,43及び共通脚通路(第1,第2の脚受け部42,43)を設けるようにしてもよい。
第2実施形態では、取付台25を上下方向で対称形とできるので、この取付台25についても左側ロック装置5Aと右側ロック装置5Bとで共通使用できるものとなり、この点で部品点数の一層の少数化が可能となる利点がある。
[第3実施形態]
図15乃至図19は、ロック装置5の第3実施形態を示している。以下では、主として左側のロック装置5Aについて説明する。
【0053】
第3実施形態のロック装置5Aが、前記第1実施形態のロック装置5Aと異なるところは巻きバネ28に生じさせるバネ力の作用方向(巻き構造)と、取付台25及びロック部材27における巻きバネ28の装着構造とにある。その他の基本的な構成や作用効果などは第1実施形態と略同じである。
すなわち、図17に示すように、巻きバネ28は側面視において、コイル巻き部48の両端側で径方向外方へ巻き出された一対のバネ脚49,50が、互いに開脚する方向へ突出しており、その突出の途中でクロスするようになっている。
【0054】
両バネ脚49,50のクロス角度βは、75〜90°程度(第3実施形態では83°とした)であり、このクロス角度βを広げるように両バネ脚49,50を開脚させることで、コイル巻き部48が巻き締められ、両バネ脚49,50を閉脚させる方向で作用するバネ力が強まる(即ち、このバネ力の作用向きが第1実施形態とは逆となっている)。
各バネ脚49,50に折曲した係合部49a,50aが形成され、これらがコイル巻き部48から互いに同じ方向へ並んで突出するようになっている点は第1実施形態の場合と同じである(図19参照)。
【0055】
このような巻きバネ28に対し、図16に示すように、取付台25には、覆い側の支持板32に対して、回動軸26(図17では回動軸26を架設するために形成された取付孔47を参照)廻りに180°偏位した2箇所へ振り分けられる配置で第1、第2の脚通路44,45が各別に形成されている。第3実施形態において、第1脚通路44は支持板32の下辺部に配置されたものとしてあり、第2脚通路45は支持板32の上辺部に配置されたものとしてある。
【0056】
これら第1,第2の脚通路44,45は、回動軸26の軸心(取付孔47の中心)から一定の半径を保持させて外周部を円弧状に凹ませることにより、この凹んだ円弧状周縁部に沿ったスペースとして形成させてある。
また、第1脚通路44の一端部(図16の右側)を径方向外方へ張り出させるようにした段差部分により、その内隅に第1脚受け部42が形成されており、第2脚通路45の一端部(図16の右側)を径方向外方へ張り出させるようにした段差部分により、その内隅に第2脚受け部43が形成されている。すなわち、これら第1,第2脚通路44,45において、回動軸26廻りに近接する右方の端部に第1,第2の脚受け部42,43が設けられている。
【0057】
巻きバネ28を、コイル巻き部48が回動軸26に外嵌する状態にして取付台25に取り付けるとき、両バネ脚49,50は、支持板32における前記第1,第2の脚受け部42,43にそれぞれ係合するようになる。このとき両バネ脚49,50は、図17に二点鎖線で示すように、無負荷時のクロス状態から少しだけ開脚させて、所定のバネ力が生じた状態とされる(第3実施形態では55°程度開いてβ=138°とした)。
【0058】
一方、図20に示すように、ロック部材27においてボス部53の外周部に形成される第1,第2の脚係合部60,61は、ロック部材27が中立位置となるとき、第1脚係合部60が下向きで、第2脚係合部61が上向きとなるように、背合わせとなる位置関係で配置されている。これにより、取付台25(支持板32)に設けられた第1,第2の脚受け部42,43とそれぞれ合致するようになっている。
【0059】
第3実施形態のロック装置5Aでは、図15(A)に示すようにロック部材27を上回動させれば、ロック部材27の第1脚係合部60で巻きバネ28のバネ脚49を開脚方向へ押し、このときバネ脚49は、取付台25の第1脚受け部42から第1脚通路44を介して当該第1脚受け部42と離反する方向へ移動が許容され、その結果、巻きバネ28はコイル巻き部48を巻き締めるようになる。
【0060】
反対に、図15(C)に示すようにロック部材27を下回動させれば、ロック部材27の第2脚係合部61で巻きバネ28のバネ脚50を開脚方向へ押し、このときバネ脚50は、取付台25の第2脚受け部43から第2脚通路45を介して当該第2脚受け部43と離反する方向へ移動が許容され、その結果、巻きバネ28はコイル巻き部48を巻き締めるようになる。
【0061】
このように、ロック部材27は、中立位置から上下いずれの方向に回動するときにも、巻きバネ28のコイル巻き部48を巻き締めるようになっている。なお、ロック部材27が中立位置にあるときに、巻きバネ28は両バネ脚49,50を閉脚させて、一方のバネ脚49を第1脚係合部60及び第1脚受け部42に係合させ、他方のバネ脚50を第2脚係合部61及び第2脚受け部43に係合させている。
【0062】
第3実施形態のロック装置5において、前記いた以外の動作状況やその作用効果などは第1実施形態と略同じであるので、ここでの詳説は省略する。
[第4実施形態]
図20乃至図23は、ロック装置5の第4実施形態を示している。主として左側のロック装置5Aについて説明する。ロック装置5は、巻きバネ28の装着向きと、取付台25及びロック部材27における巻きバネ28の装着構造とを除き、その他の基本的な構成や作用効果などは前記第3実施形態のロック装置5と略同じである。
【0063】
すなわち、前記第3実施形態では、ロック部材27が中立位置にあるとき(図15(B)参照)に巻きバネ28は両バネ脚49,50をロック部材27の突出方向とは反対向き(後方)へ向けて開脚させていたが、第4実施形態では、ロック部材27が中立位置にあるとき(図20(B)参照)に、巻きバネ28は両バネ脚49,50をロック部材27の突出方向と同じ向き(前方)へ向けて開脚させるようになっている。
【0064】
このように巻きバネ28を装着するため、図21に示すように、取付台25には、覆い側の支持板32に対して、回動軸26(取付孔47を参照)廻りに180°偏位して形成される第1、第2の脚通路44,45では、ロック部材27が中立位置で突出する方に近い端部(図21の左側)に第1,第2の脚受け部42,43が設けられている。第1脚通路44及び第1脚受け部42が支持板32の下辺部に配置されたものとしてあり、第2脚通路45及び第2脚受け部43が支持板32の上辺部に配置されたものとしてある点は、第3実施形態と同じである。
【0065】
また、図22に示すように、ロック部材27では、ボス部53からロック片部54が張り出すようになる根本部(括れ部)の上下内隅で、第1,第2の脚係合部60,61が設けられるようになっている。
ロック部材27が中立位置となるとき、第1脚係合部60が下向きで、第2脚係合部61が上向きとなるように、背合わせとなる位置関係で配置されている点は、第3実施形態と同じである。勿論、これら第1,第2の脚係合部60,61が、取付台25(支持板32)に設けられた第1,第2の脚受け部42,43とそれぞれ合致するようになっている点も、第3実施形態と同じである。
【0066】
第4実施形態のロック装置5Aでは、図20(A)に示すようにロック部材27を上回動させれば、ロック部材27の第2脚係合部61で巻きバネ28のバネ脚50を開脚方向へ押し、このときバネ脚50は、取付台25の第2脚受け部43から第2脚通路45を介して当該第2脚受け部43と離反する方向へ移動が許容され、その結果、巻きバネ28はコイル巻き部48を巻き締めるようになる。
【0067】
反対に、図20(C)に示すようにロック部材27を下回動させれば、ロック部材27の第1脚係合部60で巻きバネ28のバネ脚49を開脚方向へ押し、このときバネ脚49は、取付台25の第1脚受け部42から第1脚通路44を介して当該第1脚受け部42と離反する方向へ移動が許容され、その結果、巻きバネ28はコイル巻き部48を巻き締めるようになる。
【0068】
このように、ロック部材27は、中立位置から上下いずれの方向に回動するときにも、巻きバネ28のコイル巻き部48を巻き締めるようになっている。なお、ロック部材27が中立位置にあるときに、巻きバネ28は両バネ脚49,50を閉脚させて、一方のバネ脚49を第1脚係合部60及び第1脚受け部42に係合させ、他方のバネ脚50を第2脚係合部61及び第2脚受け部43に係合させている。
【0069】
第4実施形態では、取付台25を上下方向で対称形とできるので、この取付台25についても左側ロック装置5Aと右側ロック装置5Bとで共通使用できるものとなり、この点で部品点数の一層の少数化が可能となる利点がある。
本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
【0070】
例えば、伸縮梯子1の基本構成として、下梯子2と上梯子3だけによる2段伸縮が限定されるものではなく、2段以上の伸縮が可能とされたものにおいて、上下関係を成す梯子間で前記した各ロック装置5を適用することも可能である。
また、脚立や足場などに用いられる伸縮タイプの脚体として、本発明に係る伸縮梯子1を実施することもできる。
【符号の説明】
【0071】
1 伸縮梯子
2 下梯子
3 上梯子
5 ロック装置
8 下梯子の踏み桟
9 上梯子の左支柱
10 上梯子の右支柱
25 取付台
26 回動軸
27 ロック部材
48 コイル巻き部
28 巻きバネ
42 第1脚受け部
43 第2脚受け部
44 第1脚通路
45 第2脚通路
49 バネ脚
50 バネ脚
60 第1脚係合部
61 第2脚係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下梯子(2)に上梯子(3)を伸縮自在に保持し、上梯子(3)の左右各支柱(9,10)に、下梯子(2)に対する上梯子(3)の上方移動は許容するが下方移動は下梯子(2)の踏み桟(8)にロック部材(27)を上方から係合させることで阻止するロック装置(5)を設けており、
前記各ロック装置(5)は、上梯子(3)の支柱(9,10)に固定された取付台(25)と、この取付台(25)に回動軸(26)を介して枢支された前記ロック部材(27)と、前記回動軸(26)にコイル巻き部(48)が外嵌していて前記ロック部材(27)を上下回動したときに中立位置へ復帰させる巻きバネ(28)とを有しており、
前記巻きバネ(28)の両端バネ脚(49,50)は、取付台(25)に係合するとともに、前記ロック部材(27)が上回動したときに両端バネ脚(49,50)の一方を他方に対して巻き方向に移動してコイル巻き部(48)を巻き締め、かつロック部材(27)が下回動したときに両端バネ脚(49,50)の他方を一方に対して巻き方向に移動してコイル巻き部(48)を巻き締めるべくロック部材(27)と係合していることを特徴とする伸縮梯子。
【請求項2】
前記取付台(25)には、回動軸(26)廻りに所定間隔をおいて配置されていて前記両端バネ脚(49,50)にそれぞれ係合する第1、第2の脚受け部(42,43)と、各脚受け部(42,43)に係合したバネ脚(49,50)がコイル巻き締め方向への移動を許容する第1、第2脚通路(44,45)とが設けられ、
前記ロック部材(27)には、前記両端バネ脚(49,50)にそれぞれ係合してコイル巻き締め方向へ移動させる第1、第2の脚係合部(60,61)が形成され、中立位置にあるときに前記両脚係合部(60,61)に両端バネ脚(49,50)が係合されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮梯子。
【請求項3】
前記取付台(25)は前記第1、第2の脚通路(44,45)が回動軸(26)廻りに180°偏位して形成され、この第1、第2の脚通路(44,45)は回動軸(26)廻りに近接する端部に前記第1、第2の脚受け部(42,43)が設けられ、前記巻きバネ(28)は両バネ脚(49,50)を閉脚させて取付台(25)の前記第1、第2の脚受け部(42,43)に係合され、前記ロック部材(27)の第1、第2の脚係合部(60,61)は上回動時及び下回動時に両端バネ脚(49,50)を相対的に開脚させることを特徴とする請求項2記載の伸縮梯子。
【請求項4】
前記取付台(25)は前記第1、第2の脚通路(44,45)が共通の脚通路として形成され、この共通脚通路の両端側に前記第1、第2の脚受け部(42,43)が設けられ、前記巻きバネ(28)は両バネ脚(49,50)を開脚させて取付台(25)の前記第1、第2の脚受け部(42,43)に係合され、前記ロック部材(27)の第1、第2の脚係合部(60,61)は上回動時及び下回動時に両端バネ脚(49,50)を相対的に閉脚させることを特徴とする請求項2記載の伸縮梯子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−163012(P2011−163012A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27344(P2010−27344)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000136170)株式会社ピカコーポレイション (46)
【Fターム(参考)】