説明

位置センサ

【課題】
【解決手段】2つのコイル(1、3)を備え、第1のコイル(送信コイル1)にはそれが一定の電磁場を放射するように特定の周波数が供給され、この電磁場が第2のコイル(受信コイル3)によって受信されおよび/または検出される位置センサは、第2のコイル(3)の軸が、第1のコイル(1)の軸に対して角度を成し、好ましくは第1のコイル(1)の軸に対して90°の角度をなして配置されている位置センサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信コイルによって放射されて受信コイルを用いて検出される電磁場の磁場強度測定により2つの対向する物体の相対的な変位および/または相対位置を測定可能とする、非接触に動作する距離センサに関する。
具体的には、本発明は、2つのコイルを有する位置センサに関するもので、そのうち第1のコイル(送信コイル)にはそれが一定の電磁場を放射するように特定の周波数が供給され、当該電磁場が第2のコイル(受信コイル)によって受信、あるいは、検出される。
【背景技術】
【0002】
2つの対象の相対変位を測定するセンサは一般に知られている。
異なる測定原理が存在し、それぞれの原理は特定の利点と欠点とを有する。
精度、分解能、温度依存、測定速度、長期安定性、許容電力損失などの要件、および、支配的な環境条件に依存して、最良の分解能が選択されなければならない。
この点に関して、精密光学素子分野の位置および変位測定において、極めて高い要求がある。
これは、ナノメートルおよびサブナノメートル範囲の精度を伴い、2つの適用領域が特に重要である。
【0003】
半導体の製造におけるマイクロポジショニング、および、天体観測用の反射望遠鏡における分割ミラーの相対位置調整、である。
これまで幾つかの異なる原理が使用されてきた。
【0004】
光学センサを用いて非常に正確な測定を行うことができる。容量センサも非常に正確である。
その一例がFR2844048−A1に記載されている。
両方の原理の主な欠点は、湿気および塵埃の影響に測定が依存することである。
それらも、原則として反射望遠鏡で用いるのに適さない。
渦電流損失原理にしたがって作用するパスセンサは水および塵埃に対して無反応であるが、測定の温度依存性は、非常に高い費用をかけて、やっと必要な精度を補償できるにすぎない。
【0005】
フランス未審査出願FR2907211A1は、対向するミラーセグメント上に取り付けられた導電性測定対象をコイル配列の配置により上述の課題を解決する。
この場合、測定対象が、配列の個々のコイルに対する位置に応じた関数としてもたらすインダクタンスの変化が評価される。
この配列を用いて、3軸で測定を行うことができる。
この配置の欠点は、比較的大きい構造であり、したがって、例えば温度変化によって生じる機械的変形への大きな依存性である。
コイルおよび測定対象の温度依存性の導電率の役割も無視できない。
【0006】
したがって、一次および二次コイル(送信および受信コイル)による変圧器原理が唯一の可能性として残る。
【0007】
この目的のため、US4,816,759は、直列に接続される2つの送信コイルに給電する発振器と、それぞれが並列キャパシタを備えて発振回路を構成する2つの受信コイルとを有する配置について記載する。
2つの送信コイルのうちの一方はミラー要素の面上に取り付けられる。
対応する受信コイルは対向するミラー要素の面上に配置される。
第2の送信−受信対は、ミラー要素の2つの面に沿って同じ高さでオフセットされて逆送信−受信方向に配置される。
送信側と受信側との間の変位が位相測定によって評価される。
測定信号の位相位置のゼロ通過により、ここではミラーセグメントの平行平面の一致が得られる。
この原理は、セグメントの平行度を調整するのに本質的に適しているが、セグメント相互間に関する角度および距離のような他の更なる情報を提供しない。
【0008】
WO2007/006910は、直列に接続された2つの一次コイル(送信コイル)と対向する2つの二次コイル(受信コイル)とを用いた変圧器原理について記載する。
コイルはフラット(平面)コイルとして配列され、送信コイルおよび受信コイルのそれぞれが互いに隣接して互いに平行に配置される。
送信コイルには、AC信号がそれぞれ逆位相で供給される。
この原理を用いると、2つの受信電圧の差分を測定して正確なゼロ点の記録が得られる。
同時に、2つの受信電圧を加算することにより2つのミラー要素間の距離を測定することができる。
ミラーセグメントの互いに対する平行度の測定における距離依存性は、差分電圧と加算電圧との比率を形成することにより排除できる。
しかしながら、角度依存性については排除できない。
【0009】
更なる欠点は、コイルのために必要とされる大きな表面である。なぜなら、例えば熱膨張による機械的変形が無視できない役割を果たすからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の基礎を成す課題は、従来技術で以前から直面される欠点を可能な限り多く回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、2つのコイルを有し、第1のコイル(送信コイル)に一定の電磁場を放射するように特定の周波数が供給され、この電磁場が第2のコイル(受信コイル)によって受信され、あるいは、検出される位置センサを含む。
これは、2つのコイルを有し、第1のコイル(送信コイル)にはそれが一定の電磁場を放射するように特定の周波数が供給され、この電磁場が第2のコイル(受信コイル)によって受信され、あるいは、検出される位置センサを含む。
【0012】
本発明の基礎を成す原理は以下の通りである。
【0013】
2つのコイルは変圧器を形成しており、一方のコイルが一次コイル(送信コイル)として作用し、第2のコイルが二次コイル(受信コイル)として作用する。
コイル間の結合関係は、2つのコイルの相互の相対位置が変わるときに変化する。
2つのコイルは、それらが互いに直角になるように配置され、送信コイルの軸は受信コイルの平面に対して平行に配置される。
【0014】
図2の記述によれば、送信コイル1には一定の振幅の高周波AC電圧が供給される。
同じ周波数の電圧が交番電磁場により受信コイル3に誘導される。
電圧のレベルはコイルの結合状態に依存し、この場合、コイルの結合状態は、コイルの互いの相対位置に依存する。
【0015】
特別な配置(図6)では、測定される対象の位置が幾つかのコイルを用いて決定されるようになっている。
2つの送信コイル1a、1bには、同一若しくは異なる周波数で、且つ、同一若しくは異なるが、一定の振幅の交流電圧が供給される。
等しく供給されるコイルを、並列または直列に接続できる。
送信コイル1bと対向する受信コイル3に、電圧が誘導される。
受信コイル5、6にも電圧が誘導される。
これらの受信コイル5、6は、互いに平行に位置合わせされるとともに、送信コイル1aに対向して配置される。
測定は、受信コイル3を用いてz方向について、受信コイル5、6を用いてxおよびy方向について実行することができる。
すなわち、x方向における送信コイル1aと平行な受信コイル5、6の変位は、E5およびE6からの信号の差(E5−E6)に比例する。
一方、y方向での送信コイル1aに対する受信コイル5、6の距離の変化は、E5およびE6からの信号の和(E5+E6)に比例する。
【0016】
送信コイル1a、1bは公知の発振回路を用いて駆動される。
コイルに並列キャパシタを補ってそれらのコイルを共振駆動させることは、感度が特に高く、必要電流が低いので有益である。
【0017】
本発明に係る測定配置は、特に、非常に高い分解能が達成されるような(測定に関する)極めて高い感度によって特徴付けられる。
測定範囲が500μmにある典型的な配置において、サブナノメートル範囲の分解能を得ることができる。
必要とされるコイル寸法は比較的小さい。
【0018】
EMC放射を減少させるため、送信コイル1a、1bを逆位相で動作させることができる。
電磁場は離れた場所で減衰するので、混信効果も離れた場所では減少される。
受信コイル3の混信に対する感度を減らすために、E3からの信号とE5、E6からの和信号との比率、すなわち、E3/(E5+E6)が測定のために使用される。
したがって、受信コイル3、5、6に同様に作用する混信の影響が大きく排除される(例えば、EMC障害、または、特に温度効果)。
同一の効果を達成するために受信コイル3、5、6が相互に十分近接して配置されるということが求められる。
同じようにして、5、6の差と和との間の比((E5−E6)/(E5+E6))を形成するという比率形成によって、x方向の変位の測定に関して混信効果の補償が達成される。
【0019】
本発明は、特定の実施例を用いて最も良く説明できる。
【0020】
位置を3方向で検出する、すなわち、センサユニットAに対するセンサプレートBの距離変化(y方向)、または、センサユニットAに対するセンサプレートBの変位(x方向)、または、z方向、の変位を検出する、ために適切な測定機構が使用され得る。
コイル相互の相対配置によって、方向x、y、zに関する3つの独立した信号を発生させることができる。
コンパクトな構造を得るとともに補償に必要な同一の効果を達成するためにコイルを相互に近接して配置することが有益である。
コイルは、例えば、普通の回路基板上のフラット(平面)コイルとして形成することができる。
これにより、製造が特に簡単で費用効率が高くなるが、温度安定性や長期安定性は特に高くはない。
配置がコンパクトで有益となるように、コイルを駆動させて評価するための電子回路を回路基板上に配置することもできる。
他の実施例は、コイルがセラミック基板上のフラット(平面)コイルとして既知の方法により製造されるという事実によって特徴付けられる。
【0021】
コイルがセラミック多層基板上に製造されて、コイルがサンドイッチ構造の内部に位置すれば特に有益である。
このとき、コイルは、セラミック多層の製造プロセスで起こる密閉封入によって周囲から完全に密封される。
これにより、特に長期安定性で温度安定性に優れた構造のコイルが得られる。
したがって、製造されたコイルは、優れた(密閉封入された)環境安定性および長期安定性によって特徴付けられる。
これは、測定組立体(Messanordnung)の高い分解能が活用できれば正に利点である。
コイルが円形コイルとしてではなく長方形表面を有するコイルとして設計されれば特に有益である。
このとき、コイル表面内に結果として生じる電磁場はほとんど一定である。
例えば、y方向における測定、の評価中、結果として得られる測定値は、y方向における電磁場強度の減少にのみ依存し(距離にほぼ反比例する)、コイル形状に依存せず、そのため、評価に対して望ましい効果を与える。
【0022】
前述した測定組立体は、非常に正確な距離または位置が測定され、任意の場所で使用できる。
2番目に記載した組立体は、特に高い分解能および安定性要件が優先される場所での3つ全ての空間座標での測定に特に適する。
【0023】
この例は以下の通りである。
【0024】
半導体製造(ウエハステージ)におけるマイクロポジショニング:この場合、半導体製造中に、ウエハを露光軸に対して非常に正確に位置合わせしなければならない。
現在の半導体プロセスで使用される構造幅が次第に小さくなるにつれて、品質担保のために正確な位置決めが必要である。
EUV放射を用いて作用する更なる露光システムは、ピコメートル範囲の位置決め精度を必要とする。
本測定配置を用いると、これが可能である。
【0025】
反射望遠鏡における分割ミラーの位置決め:現代の反射望遠鏡は、もはや1つの大型ミラーから成っておらず、ハニカム状に配置される多数の個々のミラーから成っている。
個々のミラーは、天体観察中に光が正確に焦点に合焦されるように互いに正確に位置合わせされなければならない。
これらの望遠鏡を用いて観察される大きな距離に起因して、個々のミラーの位置決め精度は数ナノメートルである。
その結果、ミラーは、焦点での合焦を達成するために3つの全ての空間的方向で正確に位置合わせされなければならない。
【0026】
ここで、本発明の指示を有利に構成して変更する異なる可能性が存在する。
この目的のために、一方では請求項1に従属する複数の請求項の記載が参照され、他方では、図面を参照する本発明の好ましい実施例に関する以下の説明が参照される。
図面を参照した本発明の好ましい実施例の説明と併せて、教示(Lehre)の変形および好ましい実施例も一般的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来技術から知られる組立体(Ordnung)配置の概略図。
【図2】本発明の実施例の概略図。
【図3】本発明の実施例の概略図。
【図4】図1および図2の組立体の組み合わせとしての本発明の実施例の概略図。
【図5】本発明の実施例の概略図。
【図6】3つの測定軸へ拡張された本発明の実施例の概略図。
【図7】本発明の実施例の概略図。
【図8】本発明の実施例の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1の記述によれば、好適な長方形コイル(1)に一定の電磁場を放射するように一定振幅の特定周波数(S)が供給される。
これは、送信コイルの軸と同一の軸となるように配置される第2の受信コイル(2)によって受信される。
受信電圧(E2)は、送信コイル(1)と受信コイル(2)との間の距離、すなわち、y方向の距離に直接に依存する。
【0029】
この電圧は、距離に非線形的に依存し、距離の増大に伴って連続的に減少する。
コイル間の距離を逆相測定できるように、計算、または、回路によって特性が線形化されなければならない。
【0030】
図2は本発明に係る配置の実施例を示している。
完全な長方形コイル(1)には、それが一定の電磁場を放射するように一定振幅の特定周波数(S)が供給される。
これは、その軸が送信コイル(1)の軸に対して90°垂直方向(z)に位置する第2の受信コイル(3)によって受信される。
【0031】
受信コイル(3)が長方形コイル(1)に対して中心に位置する場合には、発生する磁力線がいずれも受信コイル(3)と交差しないため、誘導電圧(E3)がコイル端に生じない。
非対称的に作用する磁場を用いると、コイル端に電圧が生じ、該電圧は、平行なポジショニング変位(方向z)に伴って中心位置の両側の特定の範囲にわたって直線的に変化し、その際、中心位置を通過するときに位相位置を送信信号に対して180°回転する。
このようにすると、簡単なセンサを実現することができ、該センサを用いて2つのコイルの互いに対する平行な変位を測定することができ、達成できる測定経路は送信コイルのコイル直径よりも幾分小さい。
誘導される受信電圧は、既に説明したように、中心領域で線形であり、該領域の端部へ向かって次第に非線形性を増大する。
このとき、測定経路上における勾配の特性は、コイルの基本距離に依存する。
【0032】
図3の記述によれば、好適な長方形コイル(1)には、それが一定の電磁場を放射するように一定振幅の特定周波数が供給される(S)。
これは、送信コイル(1)の軸に対して、水平方向(x)で90°に軸が位置付けされる第2のコイル(4)によって受信される。
【0033】
図2と同様に、第2のコイル(4)が長方形コイル(1)に対して中心に位置する場合には、誘導電圧(E4)がコイル端に生じない。
非対称的に作用する磁場を用いると、コイル端に電圧が生じ、該電圧は、平行な位置変位(方向x)に伴って中心位置の両側の特定の範囲にわたって直線的に変化し、その際、中心位置を通過するときに位相位置を送信信号に対して180°回転する。
このようにすると、簡単なセンサを実現することができ、該センサを用いて2つのコイルの互いに対する平行な変位を測定することができ、得られる測定経路は送信コイルのコイル直径よりも幾分小さい。
誘導される受信電圧は、既に説明したように、中心領域で線形であり、該領域の端部へ向かって次第に非線形性を増大する。
このとき、測定経路上における勾配の特性は、コイルの基本距離に依存する。
【0034】
図4は、図1および図2の組立体の組み合わせを示している。
2つの受信コイル(2)および(3)が互いに入れ子状に組み込まれている。
受信コイル(3)のコイル面が受信コイル(2)の軸上に位置する。
受信電圧(E3)の勾配の特性が長方形コイル(1)までの距離に依存しないために、電磁場強度を第2の受信コイル(2)を用いて測定しなければならない(受信電圧E2)。
2つの受信電圧の比(E3/E2)を形成することにより、z方向の位置測定の距離非依存性が特定の変位範囲にわたって実現される。
このとき、支配的な電磁場方向から生じる位相回転に起因して、ゼロ通過時に符号が逆になる点に留意しなければならない。
【0035】
図5は、配置の他の可能性、すなわち、2つの送信コイル(1a)および(1b)の使用を示しており、これらのコイルは同じ平面(1ab)上に互いに隣り合って配置される。
2つの受信コイル(2)および(3)も、互いに隣り合って同じ距離を隔てて位置し、機械的に強固に接続される。
送信コイルには一定のAC電圧(S)が同時に供給される。
図4の場合と同様、z方向の位置測定の距離非依存性が比率形成(E3/E2)によって達成されることがここでも適用される。
【0036】
同様に、コイル(4)および受信コイル(2)の組み合わせも可能であり発明とみなされる。
【0037】
図6は、3つの測定軸に拡張される本発明の他の実施例を示している。
【0038】
送信コイルの必要数を最小にするため、2つの受信コイル(5)および(6)を互いに非常に近接させて配置する可能性が存在する。
これは、x方向、または、z方向のいずれかに関して行うことができる。
2つのコイルがそれらの共通軸が図6に示されるようにx方向に延びるように配置される場合には、以下が適用される。
【0039】
すなわち、結果として生じる2つの受信電圧(E5)および(E6)の和から、送信コイル(1a)までの距離、したがって2つの送信コイル(1a)および(1b)が位置する平面(1ab)までの距離に関する信号が得られる。
2つの電圧の差(E5−E6)が、x方向における送信コイル(1)の中心に対する位置を与える。
したがって、この場合も、比率形成((E5−E6)/(E5+E6))により、x方向の位置の測定は、平面(1ab)に対する2つのコイルの距離に依存しない。
同時に、z方向の位置に関する距離に依存しない測定値を比率(E3/(E5+E6))を用いて同様に決定することができる。
これらの組立体の全ては、送信コイルをケーブルを介してAC電源に接続することを必要とする。
【0040】
図7は、本発明の他の実施例、すなわち、ケーブル接続を不要にする他の可能性を示している。
給電のための受信コイルとして機能する付加コイル(1c)が送信コイルと同じ平面上に配置される。
受信コイル(3)、(5)および(6)に対して機械的に接続される送信コイル(7)がコイル(1c)と対向して位置する。
一定のAC電圧(SS)を供給することにより、この送信コイル(7)によって一定の電磁場が放射される。
このときコイル(1c)に誘導される電圧は、直接的な電気接続によって2つの送信コイル(1a)および(1b)に送給される。
【0041】
図8の記述によれば、本発明の更なる実施例との関連で、例えば2つのセンサユニットA(受信コイル)およびB(送信コイル)の組み立て中に生じる、角度に依存する測定エラー(角度α)を補償できる。
この目的のため、更なる受信コイル8を2つの受信コイル5、6の間の中心に位置決めする可能性がある。
この場合も、受信電圧E5、E6の和が、例えば組み立て中に2つのセンサユニットA、Bの互いに対する正確な位置合わせを可能にするためにy方向の測定距離を与え、また、角度αにも依存する受信電圧E8および差分電圧(E5−E6)を同時に測定して機械的調整によりゼロに設定できる。
したがって、極めて正確な較正が可能である。
【0042】
また、何らかの角度エラーの存在によって生ずる差分電圧(E5−E6)は、2つのセンサユニットA、Bのx方向の変位にも一定のままである。
その結果、機械的な位置合わせによってエラーを排除する代わりに、演算によってエラーを排除できる。
この場合、角度αの関数としての差分電圧(E5−E6)で生み出されると同時に同じ比率で受信電圧E8に生じる角度エラーkは、マッチング係数mが乗じられて信号E8から差し引かれる。
【0043】
この場合のx方向の変位は、電圧比(E8−k×m)/(E5+E6)を用いて測定される。
【0044】
これらの全ての組立体の感度を最適化するため、その共振が使用周波数に調整される発振回路へコイルを完結するようにキャパシタを並列接続することが有益である。
これは、送信コイルの送信側で必要とされる供給電流を減少させるとともに、送信コイルに対して接近した間隔を隔てて、送信電圧よりもほんの僅かだけ小さいか大きい受信電圧(受信コイルのインダクタンスが送信コイルのそれよりも大きいとき)を受信側に与える。
したがって、非常に良好な信号対雑音比が得られる。
【0045】
当然ながら、これらの組立体は単なる例を表す。
原則として、このタイプの他の組立体が考えられる。
【符号の説明】
【0046】
1、1a、1b 送信コイル
2 受信コイル
3 受信コイル
4 受信コイル
5 受信コイル
6 受信コイル
8 受信コイル
1ab 平面
S AC電圧
E2 受信電圧
E3 受信電圧
E4 受信電圧
E5 受信電圧
E6 受信電圧
E8 受信電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の電磁場を放射するように特定の周波数が供給される第1のコイル(送信コイル)と、該電磁場を受信又は検出する第2のコイル(受信コイル)との2つのコイルを有する位置センサであって、
前記第2のコイルの軸は、前記第1のコイルの軸に対して角度をなし、好ましくは前記第1のコイルの軸に対して90°の角度をなすことを特徴とする位置センサ。
【請求項2】
前記第1のコイルが長方形コイルとして形成されていることを特徴とする請求項1記載の位置センサ。
【請求項3】
前記第2のコイルが長方形コイルとして形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の位置センサ。
【請求項4】
前記第1のコイルの軸と同じ方向に軸を合わせられた第3のコイルが前記第2のコイルに対して機械的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の位置センサ。
【請求項5】
前記第3のコイルが長方形コイルとして形成されていることを特徴とする請求項4記載の位置センサ。
【請求項6】
前記第3のコイルが前記第1のコイルの電磁場を受信または検出することを特徴とする請求項4または請求項5記載の位置センサ。
【請求項7】
前記第2および第3のコイルが互いに入れ子状に組み込まれ、一方のコイルのコイル平面が他方のコイルの軸上に位置することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の位置センサ。
【請求項8】
第4のコイルが一定の電磁場を放射し、この電磁場が前記第3のコイルによって受信されまたは検出され、前記第3のコイルが第4のコイルに機械的に接続され、前記第4のコイルの軸が前記第1および第3のコイルの軸と同じ方向に位置し、前記第1および第4のコイルは、互いに隣り合って位置する前記第2および第3のコイルと互いに同じ距離を隔てて隣り合って位置することを特徴とする請求項4または請求項5記載の位置センサ。
【請求項9】
前記送信コイルには一定のAC電圧が同時に供給されることを特徴とする請求項8記載の位置センサ。
【請求項10】
2つの受信コイルが互いに非常に近接して配置され、すなわち、x方向で互いに隣接して、あるいは、z方向で互いに隣接して配置され、それらの共通の軸が同じ方向に延びていることを特徴とする請求項9記載の位置センサ。
【請求項11】
3つの受信コイルが互いに非常に近接して配置され、すなわち、x方向で互いに隣接して、あるいは、z方向で互いに隣接して配置され、それらの共通の軸が同じ方向に延びていることを特徴とする請求項9記載の位置センサ。
【請求項12】
給電用の受信コイルとしての機能を果たす付加コイルが1または複数の送信コイルと同じ平面上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の位置センサ。
【請求項13】
前記受信コイルに好ましくは機械的に強固に接続された送信コイルが前記付加コイルに対して配置し、好ましくは一定のAC電圧を供給することにより一定の電磁場が前記送信コイルを介して放射され、前記付加コイルに誘導される電圧が直接的な電気接続によって前記2つの送信コイルへ送給されることを特徴とする請求項12記載の位置センサ。
【請求項14】
前記送信コイルの電磁場方向は、それらが大きな距離で互いにエラーを減少するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の位置センサ。
【請求項15】
前記コイルが発振回路へ完結されることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の位置センサ。
【請求項16】
前記コイルが複数のセラミック層上、または、複数のセラミック層内に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の位置センサ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2012−519287(P2012−519287A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552318(P2011−552318)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【国際出願番号】PCT/DE2010/000096
【国際公開番号】WO2010/099770
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(592093648)マイクロ−エプシロン・メステヒニク・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カー・ゲー (11)
【氏名又は名称原語表記】MICRO−EPSILON MESSTECHNIK GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG & COMPAGNIE KOMMANDITGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】