説明

位置情報取得装置、その制御方法及びプログラム

【課題】撮像装置と位置情報取得装置との通信にかかる無駄な電力の消費を削減する。
【解決手段】GPSユニット201のCPU202は、測位部203から位置情報を取得できたか否かを判定し、位置情報が取得できなかったと判定した場合、カメラユニット251に対して、無線通信送信部208から位置情報付与禁止信号を送信する。その後、CPU202は、電源制御部206を介して無線通信受信部207の供給電力を低下させる。一方、カメラユニット251では、GPSユニット201から位置情報付与禁止信号を受信している場合、画像データに位置情報が付与できないと判定し、表示部260を用いて画像に位置情報を付与できないことをユーザに通知する。その後、CPU252は、電源制御部254を介して無線通信送信部257の供給電力を低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに位置情報を付与するために撮像装置に位置情報を送信する位置情報取得装置、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GPS(Global Positioning System)等の位置情報取得手段を使い、撮影したときの位置情報を、取得した画像データに付与することができるデジタルカメラが知られている(例えば特許文献1を参照)。また、特許文献2等には、位置情報取得手段と、デジタルカメラとが分離されており、位置情報の送受信を無線通信にて行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−64169号公報
【特許文献2】特開2004−159048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2に記載された技術では、例えば位置情報取得手段が位置情報を取得できない状態においても、デジタルカメラと位置情報取得手段とが通信を行うため、通信にかかる無駄な電力を消費してしまうといった問題があった。
【0005】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、撮像装置と位置情報取得装置との通信にかかる無駄な電力の消費を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の位置情報取得装置は、撮像装置と通信可能な位置情報取得装置であって、衛星からのデータから位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記撮像装置から位置情報の要求を受信する受信手段と、前記撮像装置からの位置情報の要求に応じて、前記位置情報取得手段により取得した位置情報を送信する送信手段と、前記位置情報取得手段により位置情報を取得できたか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により位置情報を取得できなかったと判定した場合、前記撮像装置に対して、画像データに位置情報を付与しないように通知を行う制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像装置と位置情報取得装置との通信にかかる無駄な電力の消費を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係るGPSユニットの概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係るカメラユニットの概略構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係るGPSユニットの処理動作を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態に係るカメラユニットの処理動作を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係るGPSユニットの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る位置情報取得装置であるGPSユニット201の概略構成を示すブロック図である。図2は、第1の実施形態に係る撮像装置であるカメラユニット251の概略構成を示すブロック図である。本実施形態では、GPSユニット201とカメラユニット251とが別体で構成され、GPSユニット201とカメラユニット251とは無線通信で通信可能であり、相互に情報を伝達する。
【0010】
図1に示すように、GPSユニット201において、202はCPUであり、各部からの入力信号やプログラムに従ってGPSユニット201全体を制御する。203は測位部であり、衛星からのデータから測位情報(位置情報)を取得する。204は電池である。205は電源部(メイン電源)であり、GPSユニット201に電池204からの電力を供給する。206は電源制御部であり、CPU202からの情報に基づいて電源部205を制御する。
【0011】
207は無線通信受信部であり、カメラユニット251と無線で通信し、位置情報取得要求を受信する。208は無線通信送信部であり、カメラユニット251と無線で通信し、位置情報、位置情報付与禁止信号、位置情報要求禁止信号、及び位置情報要求許可信号を送信する。無線通信受信部207及び無線通信送信部208による無線通信の方式としては、例えば赤外線通信、Bluetooth、無線LAN等が用いられる。なお、無線通信受信部207及び無線通信送信部208は1つのハードウェアで構成してもよいし、複数のハードウェアで構成してもよい。
【0012】
209は比較器であり、位置情報の変化を求める。210はメモリであり、測位部203で測位した位置情報を記録する。
【0013】
図2に示すように、カメラユニット251において、252はCPUであり、各部からの入力信号やプログラムに従ってカメラユニット251全体を制御する。電源253、電源制御部254は、図1の電源部205、電源制御部206と同様の構成である。
【0014】
255は撮像部であり、画像データを取得する。256は無線通信受信部であり、GPSユニット201と無線で通信し、位置情報、位置情報付与禁止信号、位置情報要求禁止信号、及び位置情報要求許可信号を受信する。257は無線通信送信部であり、GPSユニット201と無線で通信し、位置情報取得要求を送信する。無線通信受信部256及び無線通信送信部257による無線通信の方式としては、例えば赤外線通信、Bluetooth、無線LAN等が用いられる。なお、無線通信受信部256及び無線通信送信部257は1つのハードウェアで構成してもよいし、複数のハードウェアで構成してもよい。
【0015】
258はカメラの操作部であり、モードダイヤル259、表示部260、レリーズスイッチ261を備える。モードダイヤル259は、静止画記録、動画記録、再生等のモードを選択するときに用いられる。表示部260は、撮影する画像を表示する電子ビューファインダの機能を有し、更には位置情報が取得可能であるか否かを表示する。レリーズスイッチ261は、撮影動作を指示するときに用いられる。
【0016】
262はメモリ制御部であり、画像データや位置情報の記録を制御する。263はメモリ部であり、画像データ用の画像メモリ264、位置情報用の位置情報メモリ265を備える。
【0017】
以下、図3、図4を参照して、第1の実施形態に係るGPSユニット201及びカメラユニット251の処理動作を説明する。まず、図3を参照して、GPSユニット201の処理動作について説明する。図3に示す処理動作は、GPSユニット201のCPU202が制御プログラムを実行することにより実現される。電源がONされた後(ステップS101)、測位部203を用いて測位を行う(ステップS102)。
【0018】
CPU202は、測位部203により位置情報を取得できたか否かを判定する(ステップS103)。ステップS103において位置情報を取得できなかったと判定した場合、ステップS104に進み、カメラユニット251に対して、無線通信送信部208から位置情報付与禁止信号を送信する。その後、CPU202は、無線通信受信部207の無線通信受信機能をOFFにする(ステップS105)。具体的には、電源制御部206を介して無線通信受信部207の電力をOFFにする(供給電力を低下させる)。これにより、無線通信受信部207の消費電力を削減することができる。
【0019】
ステップS103において位置情報を取得できたと判定した場合、ステップS106に進み、位置情報の変化の有無を判定する。ここでは、比較器209を用いて、メモリ210に記録されている前回取得した位置情報と、今回取得した位置情報とを比較して、今回取得した位置情報が前回取得した位置情報から変化があるか否かを判定する。ステップS106において位置情報に変化がない場合、ステップS107に進み、カメラユニット251に対して、無線通信送信部208から、位置情報の要求を禁止する位置情報要求禁止信号を送信する。その後、CPU202は、無線通信受信部207の無線通信受信機能をOFFにする(ステップS108)。具体的には、電源制御部206を介して無線通信受信部207の電力をOFFにする(供給電力を低下させる)。これにより、無線通信受信部207の消費電力を削減することができる。
【0020】
ステップS106において位置情報に変化がある場合、ステップS109に進み、CPU202は、カメラユニット251に対して、無線通信送信部208から、位置情報の要求を許可する位置情報要求許可信号を送信する。
【0021】
次に、CPU202は、ステップS102において取得した位置情報をメモリ210に記録する(ステップS110)。そして、カメラユニット251から位置情報取得要求があるか否かを判定する(ステップS111)。その結果、カメラユニット251から位置情報取得要求がない場合、ステップS102に戻り、測位部203を用いて測位を行う。位置情報取得要求がある場合、ステップS112に進み、カメラユニット251に対して、無線通信送信部208からメモリ210に記録した位置情報を送信する。
【0022】
次に、図4を参照して、カメラユニット251の処理動作について説明する。図4に示す処理動作は、カメラユニット251のCPU252が制御プログラムを実行することにより実現される。電源がONされた後(ステップS151)、CPU252は、画像に位置情報の付与が可能であるか否か、すなわちGPSユニット201から位置情報付与禁止信号を受信しているか否かを判定する(ステップS152)。
【0023】
ステップS152において位置情報が付与できないと判定した場合、すなわちGPSユニット201から位置情報付与禁止信号を受信している場合、ステップS153に進み、表示部260を用いて画像に位置情報を付与できないことをユーザに通知する。その後、CPU252は、無線通信送信部257の無線通信送信機能をOFFにする(ステップS154)。具体的には、電源制御部254を介して無線通信送信部257の電力をOFFにする(供給電力を低下させる)。これにより、無線通信送信部257の消費電力を削減することができる。そして、CPU252は、レリーズスイッチ261が押下されたか否かを判定する(ステップS155)。その結果、レリーズスイッチ261が押下されていない場合、ステップS152に戻る。レリーズスイッチ261が押下された場合、ステップS156に進み、撮像部255から画像データを取得し、この画像データに位置情報を付与せずに、画像メモリ264に保存する。
【0024】
ステップS152において位置情報が付与できると判定した場合、すなわちGPSユニット201から位置情報付与禁止信号を受信していない場合、ステップS157に進む。ステップ157で、CPU252は、位置情報要求の可否を判定する。ステップS157において位置情報要求ができないと判定した場合、すなわちGPSユニット201から位置情報要求禁止信号を受信している場合、ステップS158に進み、CPU252は、無線通信送信部257の無線通信送信機能をOFFにする。具体的には、電源制御部254を介して無線通信送信部257の電力をOFFにする(供給電力を低下させる)。これにより、無線通信送信部257の消費電力を削減することができる。そして、CPU252は、レリーズスイッチ261が押下されたか否かを判定する(ステップS159)。その結果、レリーズスイッチ261が押下されていない場合、ステップS152に戻る。レリーズスイッチ261が押下された場合、ステップS160に進み、撮像部255から画像データを取得し、この画像データに前回取得した位置情報を付与して、画像メモリ264に保存する。
【0025】
ステップ157において位置情報要求ができると判定した場合、すなわちGPSユニット201から位置情報要求禁止信号を受信していない場合、ステップS161に進む。ステップS161で、CPU252は、電源制御部254を介して無線通信送信部257に電力を供給し、GPSユニット201に対して、無線通信送信部257から位置情報取得要求を送信する。その後、GPSユニット201から無線通信受信部256を介して位置情報を取得し(ステップS162)、その位置情報を位置情報メモリ265に記録する(ステップS163)。そして、CPU252は、レリーズスイッチ261が押下されたか否かを判定する(ステップS164)。その結果、レリーズスイッチ261が押下されていない場合、ステップS152に戻る。レリーズスイッチ261が押下された場合、ステップS165に進み、撮像部255から画像データを取得し、この画像データに、ステップS163において位置情報メモリ265に記録された位置情報を付与して、画像メモリ264に保存する。
【0026】
以上説明したように、位置情報が取得できない状態では、GPSユニット201からカメラユニット251に位置情報付与禁止信号を送信し、GPSユニット201側の受信機能及びカメラユニット251側の送信機能をOFFにする。したがって、消費電力を削減することができる。
【0027】
また、位置情報に変化がない場合も、カメラユニット251側からの位置情報取得要求を禁止し、GPSユニット201側の受信機能及びカメラユニット251側の送信機能をOFFにする。したがって、消費電力を削減することができる。この場合は、以前に取得済みの位置情報を使うことで、画像データに位置情報を付与することができる。
【0028】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について説明する。図5は、第2の実施形態に係る位置情報取得装置であるGPSユニット201の概略構成を示すブロック図である。図1に示した第1の実施形態に係るGPSユニット201と同じ構成要素には同一の符号を付し、ここでの説明は省略する。第1の実施形態と異なる個所は、電池残量検知部211を備える点である。
【0029】
第2の実施形態は、GPSユニット201の電池残量が無くなって、カメラユニット251に位置情報を送信できない状態になったときに、カメラユニット251側で無駄な位置情報取得要求を行わせないようにする例である。電池残量検知部211は、GPSユニット201の電池残量を検出する。ここでは、位置情報付与禁止信号を最低限1回送信できるだけの電池残量に閾値レベルを設定し、この閾値レベルを超えたと検出された場合は、カメラユニット251に対して位置情報付与禁止信号を送信する。
【0030】
その後、GPSユニット201で電池残量が無くなり、GPSユニット201で位置情報を取得できない状態となっても、カメラユニット251では、図2のフローチャートに従い、ステップS152で位置情報が付与できないと判定する。この場合、ステップS153に進み、表示部260を用いて画像に位置情報を付与できないことをユーザに通知する。その後、CPU252は、無線通信送信部257の無線通信送信機能をOFFにする(ステップS154)。具体的には、電源制御部254を介して無線通信送信部257の電力をOFFにする(供給電力を低下させる)。これにより、無線通信送信部257の消費電力を削減することができる。
【0031】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置と通信可能な位置情報取得装置であって、
衛星からのデータから位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記撮像装置から位置情報の要求を受信する受信手段と、
前記撮像装置からの位置情報の要求に応じて、前記位置情報取得手段により取得した位置情報を送信する送信手段と、
前記位置情報取得手段により位置情報を取得できたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により位置情報を取得できなかったと判定した場合、前記撮像装置に対して、画像データに位置情報を付与しないように通知を行う制御手段とを備えたことを特徴とする位置情報取得装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記判定手段により位置情報を取得できたと判定した場合、前記撮像装置に対して、位置情報の付与を許可する通知を行うことを特徴とする請求項1に記載の位置情報取得装置。
【請求項3】
前記撮像装置と無線通信を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置情報取得装置。
【請求項4】
前記判定手段により位置情報を取得できなかったと判定した場合とは、前記位置情報取得手段により衛星からのデータから位置情報を取得できない場合であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の位置情報取得装置。
【請求項5】
前記位置情報取得手段により取得した位置情報を記録する記録手段と、
前記判定手段により位置情報を取得できたと判定した場合に、前記記録手段に記録されている前回取得した位置情報と、今回取得した位置情報とを比較する比較手段とを備え、
前記制御手段は、今回取得した位置情報が前回取得した位置情報から変化がない場合、前記撮像装置に対して、位置情報の要求を禁止する通知を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の位置情報取得装置。
【請求項6】
前記制御手段により位置情報を付与しないように通知を行う場合に、前記受信手段に供給する供給電力を低下させる電源制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の位置情報取得装置。
【請求項7】
前記制御手段により位置情報の要求を禁止する通知を行う場合に、前記受信手段に供給する供給電力を低下させる電源制御手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の位置情報取得装置。
【請求項8】
電池残量を検知する検知手段を備え、
前記制御手段は、前記検知手段により検知した電池残量が閾値レベルまで低下した場合、前記撮像装置に対して、画像データに位置情報を付与しないように通知を行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の位置情報取得装置。
【請求項9】
前記閾値レベルは、前記撮像装置に対して、画像データに位置情報を付与しないように通知を行うことが可能な電池残量であることを特徴とする請求項8に記載の位置情報取得装置。
【請求項10】
撮像装置と通信可能な位置情報取得装置であり、衛星からのデータから位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記撮像装置から位置情報の要求を受信する受信手段と、前記撮像装置からの位置情報の要求に応じて、前記位置情報取得手段により取得した位置情報を送信する送信手段とを備えた位置情報取得装置の制御方法であって、
前記位置情報取得手段により位置情報を取得できたか否かを判定するステップと、
前記ステップにより位置情報を取得できなかったと判定した場合、前記撮像装置に対して、画像データに位置情報を付与しないように通知を行うステップとを有することを特徴とする位置情報取得装置の制御方法。
【請求項11】
撮像装置と通信可能な位置情報取得装置であり、衛星からのデータから位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記撮像装置から位置情報の要求を受信する受信手段と、前記撮像装置からの位置情報の要求に応じて、前記位置情報取得手段により取得した位置情報を送信する送信手段とを備えた位置情報取得装置を制御するためのプログラムであって、
前記位置情報取得手段により位置情報を取得できたか否かを判定する処理と、
前記処理により位置情報を取得できなかったと判定した場合、前記撮像装置に対して、画像データに位置情報を付与しないように通知を行う処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−54769(P2012−54769A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195825(P2010−195825)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】