位置検知システムおよび位置検知方法、信号計測装置
【課題】動局装置が通信フレームを基地局装置へ送信してから、その後に通信フレームを前記基地局装置から受信するまでの時間差と、基地局装置が移動局装置から通信フレームを受信してから、その後に通信フレームを移動局装置へ送信するまでの時間差とに基づいて、移動局装置と基地局装置との距離を算出し、移動局装置の位置を検出する位置検知システムにおいて、通信フレームのうちの開始フレームと終了フレームの時間差の計測精度を向上させる位置検知システムを提供する。
【解決手段】複数のカウンタで入力した識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく時間差の算出の無効を示す信号を出力する。
【解決手段】複数のカウンタで入力した識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく時間差の算出の無効を示す信号を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置に対する移動局装置の位置を計測する位置検知システムおよび位置検知方法、信号計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、列車の高速化や無人化運転が進んでいる。こうした背景で列車を制御するには、当該列車の現在の位置に応じて列車の加減速を制御する必要がある。そのため、列車の制御システムは、経時的に変化する列車の位置を正確に特定する必要がある。
【0003】
ここで、特許文献1、特許文献2には、線路の沿線に設置された基地局装置と列車に設置された移動局装置との間で無線通信を行い、その下り通信と上り通信との遅延差を用いて列車の位置を特定する方法が開示されている。以下に、列車の位置を特定する具体的な処理を説明する。
【0004】
まず、基地局装置及び移動局装置は、それぞれ所定の間隔で通信フレームの送信を行う。基地局装置は、移動局装置から通信フレームを受信した時刻から、次回、移動局装置へ通信フレームを送信する時刻までの時間差T1を算出する。
また、移動局装置は、前回基地局装置に通信フレームを送信した時刻から、基地局装置から通信フレームを受信した時刻までの時間T2を算出する。そして、移動局装置は、次回、基地局装置に対して送信する通信フレームに、当該算出した時間差T2を示す情報を格納する。
通信フレームの受信時刻は、基地局装置及び移動局装置が通信フレームのフレームパルスを検出し、その検出時刻を特定することで行う。
なお、特許文献1に記載の方法を用いて列車の位置を特定する場合、上述した時間差T1及び時間差T2を算出するために、移動局装置が送信する通信フレームのフレームパルスと、基地局装置が送信する通信フレームのフレームパルスの送受信の時間間隔を算出する必要があるため、より正確な列車の位置を取得するためには、より精度の高い時間間隔を算出が必要となる。
【0005】
[関連する技術その1]
ここで、列車位置検知システムにおいて、列車に備えられた移動局装置が送信する通信フレームのフレームパルスと、沿線に設置された基地局装置が送信する通信フレームのフレームパルスの送受信の時間間隔を算出する一般的な方法としては、基地局装置が開始フレームパルス(例えば移動局装置が送信する通信フレームのフレームパルス)を移動局装置より受信した時刻と、基地局装置が終了フレームパルス(例えば基地局装置が送信する通信フレームのフレームパルス)を移動局装置へ送信した時刻との時間差を、別の高速なクロックで、サンプリング処理することでカウントしている。
【0006】
この、サンプリングをするためのクロック周波数が高い周波数であるほど、開始と終了のフレームパルス間隔を算出する精度は向上するため、より精度を向上させるためには、サンプリング用のクロック周波数を高い周波数にすれば良い。
しかしながら、通常、回路基盤設計で使用されるクロック生成用の水晶発振器は、周波数の速度に限界があることや、高い周波数のものを使用するためには、高額の水晶発振器を使用しなければならないなど、高い周波数を使用するためにも制約が生じる。
そのため、一般的な方法として、低い周波数のクロックを複数用いて、それぞれ位相をずらすことにより、サンプリング周波数を高い周波数のクロック相当で使用することが可能な方法がある。
【0007】
図9は、関連する技術その1の一例で、サンプリング用クロック125MHzを90度ずつずらしたクロックを4つ用意することで、4倍のサンプリング周波数の500MHz相当として、開始フレームパルス(以降「開始FP」と記載)と終了フレームパルス(以降「終了FP」と記載)を検出し、それらの時間差を算出している。また、この時の開始FPと終了FPの時間差を算出するブロック構成を図10に示す。
【0008】
図9,図10の例では、開始FPの立ち上がりから、終了FPの立ち上がりまでの間隔を算出している。また、開始FPの立ち上がりエッジの検出をトリガに入力したクロック数をカウントする各カウンタをゼロクリアし、カウントを開始させる。また、終了FPの立ち上がりエッジの検出をカウント終了トリガとし、各カウントを終了させ、値を保持させる。
【0009】
図10で示すような、入力のクロック(ここでは、125MHz)に対し、クロック生成部で各々の位相を90度ずつずらし、各カウンタ1〜4へ出力する。カウンタ1〜4では、開始FPから終了FPまでの間隔を90度ずつずらされたクロック1〜4によってそれぞれカウントしている。そして、終了FPの立ち上がり検出後、保持されたカウンタ値を加算部へ渡す。加算部では、それぞれのカウント値を合計し、その合計値が、開始FPと終了FPの時間間隔の算出値となる。なおこの例では、カウンタ1〜4の単位は、125MHzクロックでカウントすることから、1クロックは、1/125MHz=8nsecに相当する。なお、図9において、カウンタ1およびカウンタ2は、開始FPの検出タイミングとなったクロックから、終了FPの検出タイミングとなったクロックまでのカウント数が7であるとして加算部へ出力している。また、カウンタ3およびカウンタ4は、開始FPの検出タイミングとなったクロックから、終了FPの検出タイミングとなったクロックまでのカウント数が6であるとして加算部へ出力している。加算部はそれらのカウント数を合計し、1クロックが示す経過時間(8nsec)のカウンタ数分の1に乗算することにより、開始FPの検出タイミングから終了FPの検出タイミングまでの時間差を算出する。
【0010】
そして、このように、位相をずらした複数のクロックとカウンタを組み合わせて、それぞれのカウント値を合計させることで、実装するクロック周波数よりも高い周波数でサンプリングすることを可能とする技術が存在する。
【0011】
[関連する技術その1の問題点]
列車位置検知などのように、開始FPと終了FPの周波数の関係が非同期である場合は、互いのFPが送信されるタイミングが不確定であるため、例えば、基地局装置(または移動局装置)において開始FPを受信するタイミングと終了FPを送信するタイミングとが完全に重なってしまう場合もあり得る。このように開始FPを受信するタイミングと終了FPを送信するタイミングとが完全に重なった場合、基地局装置(または移動局装置)において、開始FPと終了FPのどちらを先に検出したかを判定することが困難であること、及び、各カウンタのゼロクリアに一定以上の時間を要するため、すぐに次のカウントを始められないこと、等から、当該タイミングが重なったことを検出して、カウンタ値を強制的に”0”(完全に重なった場合の算出期待値は、時間間隔=0であることから)とする方法が取られている。
【0012】
しかしながら、通信装置の信号伝送には、伝送信号のジッタ成分が少なからず生じるため、当然、開始FPや終了FPにもジッタ成分があることを考慮する必要がある。ジッタ成分を考慮すると、図11の様にジッタの範囲内においては、あるカウンタのクロックは、「開始FPをラッチ(取り込み)し、終了FPはラッチしない(取り込まない)」、「終了FPをラッチ(取り込み)し、開始FPはラッチしない(取り込まない)」、「開始FPも終了FPも両方をラッチ(取り込み)する」の3通りが考えられる。
【0013】
この状態は、非同期のクロックとラッチ対象のデータ(FP)の変化点が重なることによってレーシング状態が発生すること、また、物理的な信号線の基盤配線の違いや、FPGAやASIC等の内部配線の引き回し方法の違いから生じる各カウンタへの伝搬信号の遅延などの影響により、各々のカウンタが全く同じ処理になるとは限らないことから生じてしまう。ジッタの範囲内で、上述の3通りが取り得ると、図11の様に各カウンタの開始FP、終了FPが一致しない状況が生じるため、算出値(加算値)が期待値とは異なる異常な値となり、このようなエラー状況を精度よく判定する必要がある。なお、図11の例では、カウンタ4だけが、同じクロックで開始FPと終了FPがラッチしないタイミングであったため、異常値が算出される場合の例を示している。
【0014】
[関連する技術その2]
関連する技術その1にあるような問題を解決するための一例として、開始FPや終了FPを連続して認識した場合にエラーとみなす方法が知られている。
図12は関連する技術を説明する第4の図である。なお、図12においては、説明の便宜上、カウンタ2つで説明する。
図12より、開始FPの検出タイミングと終了FPの検出タイミングが重なる状況が連続した場合において、第1カウンタでは、1つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいては、終了FPの検出タイミングが先に位置し、また開始FPの検出タイミングが後に位置し、また、2つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいては、開始FPの検出タイミングが先に、また終了FPの検出タイミングが後に位置している。
他方、第2カウンタでは、1つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいては、終了FPの検出タイミングが先に、また開始FPの検出タイミングが後に位置し、2つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいては、終了FPの検出タイミングが先に、また、開始FPの検出タイミングが後に位置している。
【0015】
ここで、図12で示すように、第1カウンタにおいては、2つ目の開始FPと終了FPの検出タイミングが逆になっている。つまり、例えば基地局装置においては、開始FPを検出(受信)してから終了FPを検出(送信)するまでの時間差を用いて移動局装置の位置を算出することとなるが、2つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいては、開始FPの次に終了FPを検出するはずが、開始FPを先に検出してしまっているため、開始FPを連続して2回受信してしまうこととなり、このような場合には開始FPと終了FPの正確な時間差が計測できないこととなる。このように開始FPが連続した場合には、エラーとして判定することにより、時間差の算出や、移動局装置の位置の算出処理を破棄や無効とする対策が考えられる。
【0016】
[関連する技術その2の問題点]
しかしながら、関連する技術その2のような技術であっても、図13の様に開始FPと終了FPの検出タイミングが重なった場合が連続する状況において、1つ目と2つ目の開始FPと終了FPの検出タイミングが逆になり、その後3つ目以降の開始FPと終了FPの検出タイミングが2つ目の開始FPと終了FPのタイミングをそのまま維持した状態となった場合、第1カウンタと第2カウンタでは、開始FPと終了FPの検出タイミングが逆になる状況が継続して続くという問題がある。
つまり、第1カウンタでは、2つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいて、開始FPの検出タイミングが先に、また終了FPの検出タイミングが後に位置している。また、3つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいても、開始FPの検出タイミングが先に、終了FPの検出タイミングが後に位置している。
他方、第2カウンタでは、2つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいて、終了FPの検出タイミングが先に、また、開始FPの検出タイミングが後に位置し、また、3つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいて、終了FPの検出タイミングが先に、また、開始FPの検出タイミングが後に位置している。
【0017】
このような場合、第1カウンタでは、1つ目の開始FPと2つ目の開始FPとが連続して検出されたため、エラーと判定することとなる。しかしながら、3つ目のタイミングにおいては、開始FPまたは終了FPの連続検出は無いため、3つ目の開始FPと3つ目の終了FPの組み合わせによって、時間差を求めるためのカウントを行う。
他方、この時、第2カウンタでは、1つ目、2つ目、3つ目と、開始FPと終了FPのタイミングが逆になっていないため、2つ目の開始FPの検出タイミングと3つ目の終了FPの検出タイミングの組み合わせによって時間差を求めるためのカウント処理が行われる。
このように、各カウンタで、時間差を求めるために利用するFPが一致しない状況が生じるため、時間差の算出が期待値とは異なる異常な値となってしまい、このようなエラーの状況を精度良く把握する必要がある。
【0018】
[関連する技術その2の問題点その2]
図14は関連する技術を説明する第6の図である。
図14では、検出した開始FPが異常状態から正常状態に移行した場合の例を示している。この図14で示すように、異常な開始FPを検出している状況から、正常な開始FPを検出した場合、その正常な開始FPとその後の終了FPとの検出タイミングによって、直ちに時間差を算出するためのカウントを行うことが望ましいが、異常な開始FPを検出した直後に連続して開始FPを検出しているため、この場合にもエラーと判定され、直ちに時間差を算出するためのクロックのカウント値を有効な値として採用することができなくなってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特許第2738464号公報
【特許文献2】特開2007−331629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる位置検知システムおよび位置検知方法、信号計測装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、上述の課題を解決すべくなされたもので、移動局装置が通信フレームを基地局装置へ送信してから、その後に通信フレームを前記基地局装置から受信するまでの時間差と、前記基地局装置が前記移動局装置から通信フレームを受信してから、その後に通信フレームを前記移動局装置へ送信するまでの時間差とに基づいて、前記移動局装置と前記基地局装置との距離を算出し、前記移動局装置の位置を検出する位置検知システムであって、前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の開始に利用する開始フレームに、当該開始フレームの受信順に識別番号を付加する開始フレーム番号付加部と、サンプリング周波数が所定のタイミングずらされた複数のクロックをそれぞれ別々に入力する前記複数のカウンタであって、前記識別番号の付加済みの開始フレームと、前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の終了に利用する終了フレームとの信号を入力し、それら開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数をカウントする複数のカウンタと、前記複数のカウンタで入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、前記開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する識別番号不一致判定部と、を備えることを特徴とする位置検知システムである。
【0022】
また本発明は、移動局装置が通信フレームを基地局装置へ送信してから、その後に通信フレームを前記基地局装置から受信するまでの時間差と、前記基地局装置が前記移動局装置から通信フレームを受信してから、その後に通信フレームを前記移動局装置へ送信するまでの時間差とに基づいて、前記移動局装置と前記基地局装置との距離を算出し、前記移動局装置の位置を検出する位置検知システムにおける位置検知方法であって、前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の開始に利用する開始フレームに、当該開始フレームの受信順に識別番号を付加し、サンプリング周波数が所定のタイミングずらされた複数のクロックをそれぞれ別々に入力する前記複数のカウンタであって、前記識別番号の付加済みの開始フレームと、前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の終了に利用する終了フレームとの信号を入力し、それら開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数をカウントし、前記入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、前記開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく前記時間差の算出の無効を示す信号を出力することを特徴とする位置検知方法である。
【0023】
また本発明は、2つの信号フレームのうちの、当該信号フレームの検出の時間差の計測の開始に利用する開始フレームに、当該開始フレームの対向装置からの受信順に識別番号を付加する開始フレーム番号付加部と、サンプリング周波数が所定のタイミングずらされた複数のクロックをそれぞれ別々に入力する前記複数のカウンタであって、前記識別番号の付加済みの開始フレームと、前記信号フレームのうちの前記時間差の計測の終了に利用する終了フレームとの信号を入力し、それら開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数をカウントする複数のカウンタと、前記複数のカウンタで入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、前記開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する識別番号不一致判定部と、を備えることを特徴とする信号計測装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、検出した開始FPと終了FPの時間差の計測がエラーと判定されるべき状況であることを精度良く算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】位置検知システムの構成を示す図である。
【図2】列車位置検知処理の概要を示す図である。
【図3】基地局装置の機能ブロック図である。
【図4】第1の実施形態による時間差計測回路の詳細な回路構成を示す図である。
【図5】第1の実施形態による時間差計測回路の動作チャートを示す図である。
【図6】第1の実施形態によって生じる問題を説明するための図である。
【図7】第2の実施形態による時間差計測回路の詳細な回路構成を示す図である。
【図8】第2の実施形態による時間差計測回路の処理フローを示す図である。
【図9】関連する技術を説明するための第1の図である。
【図10】関連する技術を説明するための第2の図である。
【図11】関連する技術を説明するための第3の図である。
【図12】関連する技術を説明するための第4の図である。
【図13】関連する技術を説明するための第5の図である。
【図14】関連する技術を説明するための第6の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態による位置検知システムを図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による位置検知システムの構成を示す図である。
この図において、符号10は列車1に搭載された移動局装置、符号20は列車1の走行経路上(列車1の路側帯等)に設置された基地局装置である。基地局装置20は、走行経路上に所定の間隔(例えば数十,数百メートル間隔)で設置されており、列車1に搭載された移動局装置10と無線通信を行う。
【0027】
本実施形態においては、移動局装置10と基地局装置20との無線通信によって基地局装置20が、列車1の基地局装置20からの距離や、列車1の位置(列車の発車地点からの走行距離)などを算出する場合の例について説明するが、移動局装置10が列車1の基地局装置20からの距離や、列車1の位置を算出するようにしてもよい。また、本実施形態においては、列車の進行方向に設置されている基地局装置20と移動局装置10とが通信するものとして説明する。
【0028】
図2は列車位置検知処理の概要を示す図である。
次に、移動局装置10と基地局装置20によって列車の位置が算出される具体例について説明する。
図2(a)は列車位置算出処理の第1の例を示している。
この図2(a)は、移動局装置10がマルチフレーム(通信フレーム)Aをタイミングa1で送信して、基地局装置20がマルチフレームAをタイミングa2で受信し、また基地局装置20がマルチフレームAの受信後にマルチフレームBをタイミングa3で送信して、移動局装置10がマルチフレームBをタイミングa4で受信した場合の例を示している。
【0029】
この場合において、基地局装置20がマルチフレームAを移動局装置10より受信したタイミングa2から、その受信後にマルチフレームBを移動局装置10へ送信するタイミングa3までの時間差(移動局装置におけるマルチフレームズレ時間)をT1とする。また、移動局装置10がマルチフレームAを送信したタイミングa1から、マルチフレームBを基地局装置20より受信したタイミングa4までの時間差(基地局装置20におけるマルチフレームズレ時間)をT2とする。
移動局装置10はT2を算出すると、その値を、次に送信するマルチフレームに格納して基地局装置20へ送信し、基地局装置20は自身で算出したT1と受信したT2とを用いて、基地局装置20と移動局装置10との間の電波伝搬遅延時間T3を算出する。具体的にはT3は(T2−T1)÷2で算出することができる。そして、基地局装置20は、T3×c(cは光速)によって、基地局装置20からの移動局装置10(列車1)の距離Lを算出する。そして、基地局装置20の位置(列車1の発車位置からの相対座標)から、算出した距離Lを引くことにより、列車1の位置(発車位置からの相対位置)を算出することが可能となる。
なお、図2(a)の例はT2>T1の場合の例である。
【0030】
図2(b)は列車位置算出処理の第2の例を示している。
この図2(b)も、図2(a)と同様に、移動局装置10がマルチフレーム(通信フレーム)Aをタイミングa1で送信して、基地局装置20がマルチフレームAをタイミングa2で受信し、また基地局装置20が次にマルチフレームBをタイミングa3で送信して、移動局装置10がマルチフレームBをタイミングa4で受信した場合の例を示している。
【0031】
そして、図2(b)についても、図2(a)と同様に、基地局装置20がマルチフレームAを移動局装置10より受信したタイミングa2から、その受信後にマルチフレームBを移動局装置10へ送信するタイミングa3までの時間差(移動局装置におけるマルチフレームズレ時間)をT1とする。また、移動局装置10がマルチフレームAを送信したタイミングa1から、マルチフレームBの前に送信されたマルチフレームCを基地局装置20より受信したタイミングa4までの時間差(マルチフレームズレ時間)をT2とする。なお、図2(a)はT2>T1である場合の例であるが、図2(b)はT2≦T1である場合の例である。
そして、この場合、移動局装置10はT2を算出すると、その値を、次に送信するマルチフレームに格納して基地局装置20へ送信し、基地局装置20は自身で算出したT1とT2とを用いて、基地局装置20と移動局装置10との間の電波伝搬遅延時間T3を算出する。具体的にはT3は、(T2+Tm−T1)÷2で算出することができる。なお、Tmはマルチフレームの送信にかかる時間長である。そして、基地局装置20は、T3×c(cは光速)によって、基地局装置20からの移動局装置10(列車1)の距離Lを算出する。そして、基地局装置20の位置(列車1の発車位置からの相対座標)から、算出した距離Lを引くことにより、列車1の位置(発車位置からの相対位置)を算出することが可能となる。なお、図2(a)の例はT2>T1の場合の例である。
【0032】
ここで、図2で示したような処理によって列車の位置を算出するシステムにおいては、列車1の自動化、高速化に伴って、その精度を高める必要がある。そのため、本実施形態においては、基地局装置20や移動局装置10において、上記した時間差T1やT2の計測精度を高めることにより、列車1の位置の算出精度を高める。
【0033】
図3は基地局装置の機能ブロック図である。
この図が示すように、基地局装置20は、無線受信回路101、同期回路102、位相調整回路103、第1セレクタ回路104、データ抽出回路105を備えている。無線受信回路101、同期回路102、位相調整回路103からなる構成は、本実施形態においては、それぞれ2系統存在し、無線受信回路101にてマルチフレームを無線受信して、同期回路102が同期処理を行い、位相調整回路103が位相調整を行った上で、第1セレクタ回路104が何れかの系統の出力を選択してデータ抽出回路105へ出力し、データ抽出回路105が後段の回路へ出力する。なお基地局装置20が受信したマルチフレームには移動局装置10で計測された時間差T2が格納されている。データ抽出回路105はその時間差T2の情報を抽出して、後述する演算回路17へ出力する。
【0034】
また、基地局装置20は、送信系の回路からマルチフレームの送信タイミングを入力し、また、同期回路102からマルチフレームの受信タイミングを入力して、その時間差T1を計測する時間差計測回路106と、マルチフレームの送信ごとに算出される時間差T1の比較を行う第1前後比較回路111と、オフセット付加や時間差T1と時間差T2などの情報を用いて列車1までの距離Lの算出などを行なう演算回路107と、マルチフレームの送受信ごとに算出される距離Lの比較を行う第2前後比較回路108とを備えている。これら時間差計測回路106、第1前後比較回路111、演算回路107、第2前後比較回路108からなる構成も、本実施形態においては、それぞれ2系統存在し、1/2系比較回路109が、2つの系統の出力を比較し、第2セレクタ回路110(出力系統判定回路)が、何れかの系統の出力(列車1の基地局装置20からの位置の情報)を選択して後段の回路へ出力する。
【0035】
基地局装置20の処理についてより詳細に説明する。
移動局装置10がマルチフレームを送信すると、基地局装置20においては無線受信回路101がマルチフレームを受信し、同期回路102が同期処理を行って、時間差計測回路106へマルチフレームの受信タイミングを出力する。時間差計測回路106においては、マルチフレームを受信したタイミングと、自身が次にマルチフレームを送信するタイミングの信号を入力し、その時間差T1を計測する。
【0036】
他方、位相調整回路103、第1セレクタ回路104、データ抽出回路105を経て、移動局装置10からマルチフレームに格納されて送信された時間差T2の情報を演算回路107が入力する。また演算回路107は第1前後比較回路111から出力された時間差T1を入力する。そして、演算回路107は、オフセット付加の演算を行うとともに、時間差T1と時間差T2を比較してT2>T1か、またはT2≧T1かを判定し、その結果と、予め記憶している光速度Cを用いて、上述の図2を用いて説明した処理によって、列車1の基地局装置20からの距離Lを算出する。そして、演算回路107は、時間差T1と距離Lとを第2前後比較回路108へ出力する。そして前後比較回路108は、算出された距離Lの有効または無効を判定する。
【0037】
ここで、上述の処理においては、基地局装置20は、移動局装置10から送信されたマルチフレームを1回のマルチフレームの送受信による時間差T1の計測を開始するための開始フレームパルス(以下、開始FPと記載)、また、自身から送信するマルチフレームを1回のマルチフレームの送受信による時間差T1の計測を終了するための終了フレームパルス(以下、終了FPと記載)として利用している。なお、時間差T1を計測するにあたり、開始FPと終了FPの関係を逆にしてもよい。つまり、基地局装置20は、自身から送信したマルチフレームを1回のマルチフレームの送受信による時間差T1の計測を開始するための開始フレームパルス(以下、開始FPと記載)、また、移動局装置10から送信されたマルチフレームを1回のマルチフレームの送受信による時間差T1の計測を終了するための終了フレームパルス(以下、終了FPと記載)として利用するようにしてもよい。
【0038】
<第1の実施形態>
次に、第1の実施形態による位置検知システムの動作について説明する。
図4は、第1の実施形態による時間差計測回路の詳細な回路構成を示す図である。
上述した開始FPと終了FPを精度良く検出するために、時間差計測回路106は、図4で示す回路構成を有している。図4で示すように、時間差計測回路106は、開始FP受信部401、終了FP受信部402、開始FP番号付加部403(開始フレーム番号付加部)、クロック生成部404、第1カウンタ405、第2カウンタ406、第3カウンタ407、第4カウンタ408、識別番号不一致判定部409、エラー処理部410、加算部411、時間差算出部412を備えている。
【0039】
開始FP受信部401は、開始FP(移動局装置10から送信されたマルチフレームのパルス)の信号を受信する回路構成である。
また、終了FP受信部402は、終了FP(基地局装置20自身が移動局装置10へ送信するマルチフレームのパルス)の信号を受信する回路構成である。
また、開始FP番号付加部403は、開始FP受信部401の受信した開始FPに、当該開始FPのそれぞれの識別が可能なよう、受信順に識別番号を付加する回路構成である。
【0040】
また、クロック生成部404は、各々の位相を90度ずつずらしたクロック信号を、第1カウンタ405〜第4カウンタ408の4つのカウンタそれぞれに出力する回路構成である。
また、第1カウンタ405〜第4カウンタ408は、入力した開始FPから終了FPまでの間隔を、それぞれ90度ずつずらされたクロック1〜4のうちの自身に入力したクロックに基づいてカウントするとともに、入力した開始FPに付加されている識別番号を読み取って識別番号不一致判定部409へ出力し、またカウント値を加算部411へ出力する回路構成である。
【0041】
また、識別番号不一致判定部409は、第1カウンタ405〜第4カウンタ408それぞれより入力した開始FPの識別番号が不一致であるかを判定する回路構成である。
また、エラー処理部410は、識別番号不一致判定部409より不一致であることを示す信号を入力した場合に、エラー信号を出力する回路構成である。
また、加算部411は、第1カウンタ405〜第4カウンタ408よりそれぞれ入力したカウント値を加算し、その値を時間差算出部412へ出力する回路構成である。なお本実施形態においては、第1カウンタ405〜第4カウンタ408が入力する1クロックに基づくカウントの時間単位は、125MHzクロックでカウントすることから、1/125MHz=8nsecに相当する。そして、このクロックがそれぞれ90度ずつずらされているので、全てのカウンタを用いて500MHz相当のクロックによるFPの検出タイミングを計測することができる。
また、時間差算出部412は、入力したカウント値を用いて、開始FPの検出タイミングから終了FPの検出タイミングまでの時間差T1を算出する回路構成である。
【0042】
そして、このように、位相をずらした複数のクロックとカウンタを組み合わせて、それぞれのカウント値を合計させることで、実装するクロック周波数よりも高い周波数で、開始FPや終了FPのサンプリングすることを可能とする。
【0043】
次に、時間差計測回路106の動作について説明する。
まず、開始FP受信部401が開始FPを入力して開始FP番号付加部403へ出力する。開始FP番号付加部403では、入力した開始FPに識別番号を付加する。当該付加は、FPの識別が可能であればよいため、開始FPの信号に、最低でも1bitの識別番号を付加する。または、FPの周期の時間幅をフルカウントできるような幅を持った識別信号でも構わない。
【0044】
ここで、開始FPのパルス立ち上がりのタイミングと、終了FPのパルス立ち上がりのタイミングとが重なるような場合、終了FP受信部402において終了FPを入力する。そして、識別番号の付加された開始FPと、終了FPとが、第1カウンタ405〜第4カウンタ408にそれぞれ分岐して入力する。そして、第1カウンタ405〜第4カウンタ408は、それぞれ、開始FPをラッチしたタイミングを検出したクロックから、クロック数をカウントし、終了FPをラッチしたタイミングを検出したクロックまでのクロック数を加算部へカウント値として加算部411へ出力する。
【0045】
また、第1カウンタ405〜第4カウンタ408はそれぞれ開始FPから識別番号を取得し、識別番号不一致判定部409へ出力する。次に、識別番号不一致判定部409では、各カウンタから入力した識別番号を比較確認し、全て一致していない場合には識別番号不一致エラーとして判定し、エラー処理部へエラー処理通知を出力する。エラー処理部410では、エラー処理通知を受信すると、その時の加算部411での算出値をエラー処理(例えば無効処理や、破棄処理)するよう信号を出力する。そして、加算部411は各カウンタから入力したカウント値によって算出した合計カウント値のエラー処理を行う。これにより、時間差算出部412では、このときのカウント値を用いた時間差T1の算出結果をエラーとして処理する。
【0046】
図5は、第1の実施形態による時間差計測回路の動作チャートを示す図である。
図5の(A)で示すように、時間差計測回路106は、開始FPと終了FPの組み合わせを順次入力する。開始FPや終了FPにはジッタが発生し、時間差計測回路106内の各カウンタそれぞれでは、開始FPや終了FPの入力タイミングが変動することとなる。そして、図5(C)の第2カウンタ406に入力する信号例で示すように、今、開始FPと終了FPの入力タイミングが重なる場合であっても、ジッタ分、終了FPの入力が速いとする。このとき1つ目の終了FPの検出タイミングと重なって入力される開始FPの検出タイミングから、次の、終了FPの検出タイミングまでのクロック数のカウント値がそれら開始FPと終了FPの時間差に用いられる。そして、開始FPと終了FPが交互に入力する。
【0047】
このとき、図5(C)の第2カウンタ406に入力する信号例で示すように、第2カウンタ406は、開始FPを入力して、その開始FPに“1”の識別番号を付与し、その後に入力する開始FPの検出タイミングまでクロック数のカウント値n1を出力する。識別番号“1”の開始FPが入力し、次の開始FPの入力があるまでは、終了FPが入力した際に識別番号不一致判定部409へ出力する識別番号は“1”となるため、識別番号“1”の開始FPの次に終了FPを入力した際には、第2カウンタ406は識別番号不一致判定部409へ識別番号“1”を出力する。
【0048】
他方、図5(B)の第1カウンタ405に入力する信号例で示すように、第1カウンタ405は、開始FPを入力して、その開始FPに“1”の識別番号を付与し、その後に入力するはずの終了FPの検出タイミングまでクロック数をカウントし出力しようとするが、ジッタ等の影響により、識別番号“1”の開始FPの次に識別番号“2”の付与されることとなる開始FPが入力されたとする。そして、識別番号“2”の開始FPの入力後、次の開始FPの入力があるまでは、終了FPが入力した際に識別番号不一致判定部409へ出力する識別番号は“2”となるため、図5(B)で示すように、識別番号“2”の開始FPの次に直ちに終了FPを入力した際には、識別番号“2”の開始FPの検出タイミングから終了FPの検出タイミングまでのカウント値n2を加算部411へ出力するとともに、第2カウンタ406は識別番号不一致判定部409へ識別番号“2”を出力する。これにより、識別番号不一致判定部409においては、第1カウンタ405からは識別番号“2”が、第2カウンタ406からは識別番号“1”が入力されるため、不一致と判定し、エラー処理が行われる。
【0049】
また、第2カウンタ406は、先に入力した開始FPと終了FPの入力時の動作と同様に、開始FPを入力して、その開始FPに“2”の識別番号を付与し、その後に入力する開始FPの検出タイミングまでのクロック数のカウント値n3を加算部411へ出力する。識別番号“2”の開始FPの入力後、次の開始FPの入力があるまでは、終了FPが入力した際に識別番号不一致判定部409へ出力する識別番号は“2”となるため、識別番号“2”の開始FPの次に終了FPを入力した際には、第2カウンタ406は識別番号不一致判定部409へ識別番号“2”を出力する。
他方、図5(B)の第1カウンタ405に入力する信号例で示すように、第1カウンタ405は、入力した開始FPに“3”の識別番号を付与し、その後に直ちに入力する終了FPの検出タイミングまでのクロック数によるカウント値n4を加算部411へ出力する。識別番号“3”の開始FPが入力し、次の開始FPの入力があるまでは、終了FPが入力した際に識別番号不一致判定部409へ出力する識別番号は“3”となるため、識別番号“3”の開始FPの次に終了FPを入力した際には、第2カウンタ406は識別番号不一致判定部409へ識別番号“3”を出力する。
つまり、この場合、識別番号不一致判定部409においては、第1カウンタから識別番号“3”を入力し、第2カウンタから識別番号“2”を入力するため、それら入力した識別番号が不一致と判定することとなる。
【0050】
つまり、このように、開始FPと終了FPがほぼ重なるような状況下で、第1カウンタ405においてジッタ等の影響により開始FPが連続して入力してしまった場合には、第1カウンタ405と第2カウンタ406では、カウント値を出力するためにカウントする開始FPと終了FPの組み合わせが異なることがあり、このような現象によって各カウンタにおいて得られたカウント値が、エラーとされずに時間差T1の計算に用いられてしまっていた。しかしながら、本実施形態の動作のように、終了FPの入力前に入力した開始FPに付加された識別番号の一致、不一致を検出することにより、不一致となった場合にはエラーと処理するべきと判定している。これにより、時間差T1の計算に用いられる、開始FPから終了FPまでのクロック数のカウント値が正常な場合にのみ、そのカウント値を用いた時間差T1の計算が可能となり、開始FPの検出タイミングから終了FPの検出タイミングまでの時間差T1の検出精度を向上させることができる。
【0051】
<第2の実施形態>
図6は第1の実施形態によって生じる問題を説明するための図である。
第1の実施形態の構成によって、時間差T1の計算に用いられる開始FPから終了FPまでのクロック数のカウント値が、正常と判定された場合にのみ、そのカウント値を用いた時間差T1の計算が可能となり、開始FPの検出タイミングから終了FPの検出タイミングまでの時間差T1の検出精度を向上させることができるという効果は得られるものの、複数のカウンタのうちの何れかのカウンタにおいてのみ、入力されるべき開始FPや終了FPの入力が検出できない状況が生じた際に問題となる。
つまり、図6で示すように、開始FPにノイズ等が発生し、そのノイズの載った開始FPが第1カウンタ405から第4カウンタ408に入力されたとする。そして第2カウンタ406においては、回路上の不具合などの何らかの理由によってノイズの載った開始FPが検出できない状況が発生したとする。図6においては、説明の便宜上、第1カウンタ405、および第2カウンタ406の例についてのみ表示している。
【0052】
まず、図6(B)で示すように、ノイズの載った開始FPを第1カウンタ405が入力し、当該開始FPに識別番号“1”が付加されたものとする。第1カウンタ405では、次に終了FPを入力し、識別番号“1”の開始FPの検出タイミングから、その次に入力する終了FPの検出タイミングまでのクロック数に基づくカウンタ値n1を加算部411へ出力する。なお、終了FPの検出時には、その前に入力した開始FPの識別番号“1”を識別番号不一致判定部409へ出力する。
他方、図6(C)で示すように、第2カウンタ406においては、ノイズの載った開始FPを第2カウンタ406で取得できず、その後、終了FPを入力する。この場合、第2カウンタ406は、終了FPの入力に基づき、前に正常に取得した際に取得されている、開始FPに付加された識別番号を識別番号不一致判定部409へ出力することとなる。
【0053】
次に、図6(B)で示すように、正常な開始FPを第1カウンタ405が入力し、当該開始FPに識別番号“2”が付加されたものとする。この場合、第1カウンタ405では、次に終了FPを入力し、識別番号“2”の開始FPの検出タイミングから、その次に入力する終了FPの検出タイミングまでのクロック数に基づくカウンタ値n2を加算部411へ出力する。なお、終了FPの検出時には、その前に入力した開始FPの識別番号“2”を識別番号不一致判定部409へ出力する。
他方、図6(C)で示すように、第2カウンタ406では、正常な開始FPを入力し、当該開始FPに順に番号を付加するため、まだ前回の開始FPに付加するはずであった識別番号“1”を付加する。この場合、第2カウンタ406では、次に終了FPを入力し、識別番号“1”の開始FPの検出タイミングから、その次に入力する終了FPの検出タイミングまでのクロック数に基づくカウンタ値n3を加算部411へ出力する。また、終了FPの検出時には、その前に入力した開始FPの識別番号“1”を識別番号不一致判定部409へ出力する。
【0054】
これにより、第1カウンタ405からは識別番号“2”が識別番号不一致判定部409へ送信される一方、同じタイミングで第2カウンタ406からは識別番号“1”が識別番号不一致判定部409へ送信される。従って、識別番号不一致判定部409は、入力した識別番号が不一致であると判定することとなり、エラー処理が行われる。
同様に、次の開始FPと終了FPの組み合わせの入力においても、第1カウンタ405からは識別番号“3”が識別番号不一致判定部409へ送信される一方、同じタイミングで第2カウンタ406からは識別番号“2”が識別番号不一致判定部409へ送信される。従って、識別番号不一致判定部409は、入力した識別番号が不一致であると判定することとなり、エラー処理が行われる。
このように、複数のカウンタのうちのいずれかのカウンタにおいて、FPが取得できない状況が生じてしまった場合、各カウンタに入力される開始FPに付与される識別番号にずれが生じてしまい、エラー処理が続いてしまうこととなる。
【0055】
第1の実施形態によるこのような問題を解決するために、第2の実施形態においては、時間差計測回路106を図7で示す回路構成とする。
図7は、第2の実施形態による時間差計測回路の詳細な回路構成を示す図である。
次に、第2の実施形態による時間差計測回路の動作について説明する。
図7で示すように、時間差計測回路106は、開始FP受信部401、終了FP受信部402、開始FP番号付加部403、クロック生成部404、第1カウンタ405、第2カウンタ406、第3カウンタ407、第4カウンタ408、識別番号不一致判定部409、エラー処理部410、加算部411、時間差算出部412を備えている。これらの構成は第1の実施形態で説明した動作を行う。
【0056】
また、これらの構成に加え、第2の実施形態による時間差計測回路106では、タイマ413、FP連続検出部414(フレーム連続検出部)を備えている。
ここで、タイマ413は各カウンタで入力する開始FPの識別番号の不一致が続く時間を計測する回路構成である。
また、FP連続検出部414は、開始FPや終了FPが複数のカウンタのうちの何れかカウンタにおいて連続して検出されたかを判定する回路構成である。
【0057】
図8は、第2の実施形態による時間差計測回路の処理フローを示す図である。
次に、第2の実施形態による時間差計測回路106の動作について説明する。
まず、電源オンなどにより回路の動作が開始すると、開始FP受信部401が開始FPを入力して(ステップS801)、開始FP番号付加部403へ出力する。開始FP番号付加部403では、第1の実施形態と同様に、入力した開始FPに識別番号を付加する(ステップS802)。
【0058】
また、その後、開始FPのパルス立ち上がりのタイミングと、終了FPのパルス立ち上がりのタイミングとが重なるような状況において、終了FP受信部402において終了FPを入力する(ステップS803)。そして、識別番号の付加された開始FPと、終了FPとが、第1カウンタ405〜第4カウンタ408にそれぞれ分岐して入力する。そして、第1カウンタ405〜第4カウンタ408は、それぞれ、開始FPをラッチし、そのタイミングを検出したクロックから、クロック数をカウントし、終了FPをラッチし、そのタイミングを検出したクロックまでのクロック数を加算部へカウント値として加算部411へ出力する。
【0059】
また、第1カウンタ405〜第4カウンタ408はそれぞれ開始FPから識別番号を取得し、識別番号不一致判定部409へ出力する。また第1カウンタ405〜第4カウンタ408はそれぞれ開始FPまたは終了FPを連続して入力したかを判定し、開始FPまたは終了FPを連続して入力した場合にはFP連続検出部414へ信号を出力する。そして、FP連続検出部414は、複数のカウンタのいずれかより信号を入力したかを判定し、何れかのカウンタより信号を入力した場合にはエラーとして判定し、エラー処理部へエラー処理通知を出力する。なおこのエラー処理通知には、例えば、開始FPまたは終了FPを連続して入力したカウンタの識別番号や、開始FPと終了FPのどちらのFPを連続して入力したのかの情報が付加されている。また、識別番号不一致判定部409は、各カウンタから入力した識別番号を比較確認し、全て一致していない場合には識別番号不一致エラーとして判定し、エラー処理部へエラー処理通知を出力する。
【0060】
次にエラー処理部410では、FP連続検出部414や、識別番号不一致判定部409からエラー処理通知を入力すると、次に、開始FPを連続して検出したカウンタの数をFP連続検出部414より入力したエラー処理通知から判定する(ステップS804)。そして、エラー処理部410は、この判定において、開始FPを連続入力したと判定したカウンタが全部であると判定した場合、または、開始FPを連続入力したと判定したカウンタがないと判定した場合、次に、終了FPを連続して検出したカウンタの数をFP連続検出部414より入力したエラー処理通知から判定する(ステップS805)。そして、エラー処理部410は、この判定において、終了FPを連続して検出したカウンタが無い場合には、次に、識別番号不一致判定部409からエラー処理通知を入力したか(何れかのカウンタから入力した識別番号が不一致と判定されたか)を判定し(ステップS806)、識別番号不一致判定部409からエラー処理通知を入力していない場合には(識別番号の不一致なしの場合)、正常であるため、通常処理を行う(つまりカウント値の算出結果は有効)と判定し(ステップS807)、加算部411へは何も出力しない。そしてステップS803の処理に遷移する。
【0061】
また、エラー処理部410は、ステップS804において、開始FPを連続して検出したカウンタが一部のみにある場合、また、ステップS805において、終了FPを連続して検出したカウンタが有る場合、またステップS806において、識別番号不一致判定部409からエラー処理通知を入力したと判定した場合(識別番号の不一致ありの場合)には、エラー処理を行う(つまりカウント値の算出結果は無効)と判定し(ステップS808)、識別番号不一致判定部409からエラー処理通知を継続して入力したか(何れかのカウンタから入力した識別番号が不一致と判定された状況が継続したか)を判定する(ステップS809)。なお、エラー処理部410は、例えば前回の識別番号不一致判定部409における判定結果をメモリ等に記憶しておき、今回の識別番号不一致判定部409における判定結果と比較することで、エラー処理通知を継続して入力したか(何れかのカウンタから入力した識別番号が不一致と判定された状況が継続したか)を判定することができる。
【0062】
そして、エラー処理部410は、エラー処理通知を継続して入力した(何れかのカウンタから入力した識別番号が不一致と判定された状況が継続した)と判定した場合には、タイマのカウントを1プラスして(ステップS810)、タイマのカウント値が閾値以上であるかを判定する(ステップS811)。そして、エラー処理部410は、ステップS809において、識別番号不一致判定部409からエラー処理通知を継続して入力していない(何れかのカウンタから入力した識別番号が不一致と判定された状況が継続していない)と判定した場合、または、ステップS811において、タイマのカウント値が閾値以上でない場合には、ステップS803の処理に遷移する。なお、ステップS809において、識別番号不一致判定部409からエラー処理通知を継続して入力していない(何れかのカウンタから入力した識別番号が不一致と判定された状況が継続していない)と判定した場合には、タイマのカウントをクリア(ステップS812)した後に、ステップS803の処理に遷移する。これにより積算されたタイマのカウンタ値がクリア(ゼロ値へ更新)される。また、ステップS811においてタイマ値が閾値以上であると判定した場合には、開始FP番号付加部403へ、識別番号を初期値に戻すための識別番号リセット信号を出力する。これにより、次に開始FPを入力した場合には、初期値の識別番号が付与されることとなる。
【0063】
以上、第2の実施形態における処理について説明したが、第2の実施形態による時間差計測回路106の構成によれば、開始FPまたは終了FPの何れかを連続して入力したカウンタが1つでもある場合であって、その状況が継続した場合には、開始FP番号付加部にリセット信号を送って、開始FPへの識別番号の付与を初期値に戻すよう制御している。これにより、第1の実施形態の構成による効果が得られるとともに、複数のカウンタのうちの1つのカウンタにおいて、FPが取得できない状況が生じてしまった場合に、各カウンタに入力される開始FPに付与される識別番号にずれが生じてしまい、その後、エラー処理が続いてしまう現象を回避することができるようになる。
【0064】
なお、上述の各実施形態においては、基地局装置20の時間差計測回路105において、開始FPと終了FPの検出タイミングの時間差T1を精度良く計測するための例について説明したが、移動局装置10が基地局装置20より受信したマルチフレームと、移動局装置10自身が基地局装置20へ送信するマルチフレームをそれぞれ開始FPと終了FPとして、移動局装置10がそれらの時間差T2を計測して基地局装置20との距離を算出するための技術に適用するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、移動局装置10(列車)と基地局装置20の間で互いに通信されるマルチフレームを開始FPと終了FPとした場合の例について説明したが、2つの対向する信号計測装置間で通信する際の技術に応用してもよい。つまり、何らかの2つの対向する装置が互いに通信しあい、その通信の信号を精度良く計測するために、利用するようにしてもよい。
【0065】
この場合、信号計測装置は、上述した位置検知システムと同様に、2つの信号フレーム(FP)のうちの、当該信号フレームの検出の時間差の計測の開始に利用する開始フレーム(開始FP)に、当該開始フレームの対向装置からの受信順に識別番号を付加する開始FP番号付加部403と、サンプリング周波数が所定のタイミングずらされた複数のクロックをそれぞれ別々に入力する前記複数のカウンタであって、前記識別番号の付加済みの開始フレームと、前記信号フレームのうちの前記時間差の計測の終了に利用する終了フレーム(終了FP)との信号を入力し、それら開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数をカウントする複数のカウンタ405〜408と、前記複数のカウンタで入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、前記開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する識別番号不一致判定部409と、を備える。
【0066】
また信号計測装置は、第1カウンタ405〜第4カウンタ408それぞれが、開始FPを連続して入力したかを判定し、当該判定において、一部のカウンタにおいて開始FPを連続して入力したと判定した場合には、時間差の算出の無効を示す信号を出力するFP連続検出部414を備える。
【0067】
また信号計測装置は、第1カウンタ405〜第4カウンタ408それぞれが、開始FPを連続して入力したかを判定するとともに、FP連続検出部414が、終了FPを連続して入力したかを判定し、当該判定において、一部のカウンタにおいて終了FPを連続して入力したと判定した場合には、時間差の算出の無効を示す信号を出力する
【0068】
また信号計測装置において、識別番号不一致判定部409は、第1カウンタ405〜第4カウンタ408で入力した識別番号付加済みの開始FPのそれぞれの識別番号が一致していないことを所定の時間計測した場合には、開始FP番号付加部403へ、識別番号のリセット信号を出力し、開始FP番号付加部403は、識別番号のリセット信号を入力した場合には、識別番号をリセットし、次に入力した開始FPに識別番号の初期値を付加する。
【0069】
なお、上述の位置検知システムは内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した各処理の過程が、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われるようにしてもよい。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0070】
10・・・移動局装置
20・・・基地局装置
101・・・無線受信回路
102・・・同期回路
103・・・位相調整回路
104・・・第1セレクタ回路
105・・・データ抽出回路
106・・・時間差計測回路
107・・・演算回路
108・・・前後比較回路
109・・・1/2系比較回路
110・・・第2セレクタ回路
401・・・開始FP受信部
402・・・終了FP受信部
403・・・開始FP番号付加部
404・・・クロック生成部
405・・・第1カウンタ
406・・・第2カウンタ
407・・・第3カウンタ
408・・・第4カウンタ
409・・・識別番号不一致判定部
410・・・エラー処理部
411・・・加算部
412・・・時間差算出部
413・・・FP連続検出部
414・・・タイマ
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置に対する移動局装置の位置を計測する位置検知システムおよび位置検知方法、信号計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、列車の高速化や無人化運転が進んでいる。こうした背景で列車を制御するには、当該列車の現在の位置に応じて列車の加減速を制御する必要がある。そのため、列車の制御システムは、経時的に変化する列車の位置を正確に特定する必要がある。
【0003】
ここで、特許文献1、特許文献2には、線路の沿線に設置された基地局装置と列車に設置された移動局装置との間で無線通信を行い、その下り通信と上り通信との遅延差を用いて列車の位置を特定する方法が開示されている。以下に、列車の位置を特定する具体的な処理を説明する。
【0004】
まず、基地局装置及び移動局装置は、それぞれ所定の間隔で通信フレームの送信を行う。基地局装置は、移動局装置から通信フレームを受信した時刻から、次回、移動局装置へ通信フレームを送信する時刻までの時間差T1を算出する。
また、移動局装置は、前回基地局装置に通信フレームを送信した時刻から、基地局装置から通信フレームを受信した時刻までの時間T2を算出する。そして、移動局装置は、次回、基地局装置に対して送信する通信フレームに、当該算出した時間差T2を示す情報を格納する。
通信フレームの受信時刻は、基地局装置及び移動局装置が通信フレームのフレームパルスを検出し、その検出時刻を特定することで行う。
なお、特許文献1に記載の方法を用いて列車の位置を特定する場合、上述した時間差T1及び時間差T2を算出するために、移動局装置が送信する通信フレームのフレームパルスと、基地局装置が送信する通信フレームのフレームパルスの送受信の時間間隔を算出する必要があるため、より正確な列車の位置を取得するためには、より精度の高い時間間隔を算出が必要となる。
【0005】
[関連する技術その1]
ここで、列車位置検知システムにおいて、列車に備えられた移動局装置が送信する通信フレームのフレームパルスと、沿線に設置された基地局装置が送信する通信フレームのフレームパルスの送受信の時間間隔を算出する一般的な方法としては、基地局装置が開始フレームパルス(例えば移動局装置が送信する通信フレームのフレームパルス)を移動局装置より受信した時刻と、基地局装置が終了フレームパルス(例えば基地局装置が送信する通信フレームのフレームパルス)を移動局装置へ送信した時刻との時間差を、別の高速なクロックで、サンプリング処理することでカウントしている。
【0006】
この、サンプリングをするためのクロック周波数が高い周波数であるほど、開始と終了のフレームパルス間隔を算出する精度は向上するため、より精度を向上させるためには、サンプリング用のクロック周波数を高い周波数にすれば良い。
しかしながら、通常、回路基盤設計で使用されるクロック生成用の水晶発振器は、周波数の速度に限界があることや、高い周波数のものを使用するためには、高額の水晶発振器を使用しなければならないなど、高い周波数を使用するためにも制約が生じる。
そのため、一般的な方法として、低い周波数のクロックを複数用いて、それぞれ位相をずらすことにより、サンプリング周波数を高い周波数のクロック相当で使用することが可能な方法がある。
【0007】
図9は、関連する技術その1の一例で、サンプリング用クロック125MHzを90度ずつずらしたクロックを4つ用意することで、4倍のサンプリング周波数の500MHz相当として、開始フレームパルス(以降「開始FP」と記載)と終了フレームパルス(以降「終了FP」と記載)を検出し、それらの時間差を算出している。また、この時の開始FPと終了FPの時間差を算出するブロック構成を図10に示す。
【0008】
図9,図10の例では、開始FPの立ち上がりから、終了FPの立ち上がりまでの間隔を算出している。また、開始FPの立ち上がりエッジの検出をトリガに入力したクロック数をカウントする各カウンタをゼロクリアし、カウントを開始させる。また、終了FPの立ち上がりエッジの検出をカウント終了トリガとし、各カウントを終了させ、値を保持させる。
【0009】
図10で示すような、入力のクロック(ここでは、125MHz)に対し、クロック生成部で各々の位相を90度ずつずらし、各カウンタ1〜4へ出力する。カウンタ1〜4では、開始FPから終了FPまでの間隔を90度ずつずらされたクロック1〜4によってそれぞれカウントしている。そして、終了FPの立ち上がり検出後、保持されたカウンタ値を加算部へ渡す。加算部では、それぞれのカウント値を合計し、その合計値が、開始FPと終了FPの時間間隔の算出値となる。なおこの例では、カウンタ1〜4の単位は、125MHzクロックでカウントすることから、1クロックは、1/125MHz=8nsecに相当する。なお、図9において、カウンタ1およびカウンタ2は、開始FPの検出タイミングとなったクロックから、終了FPの検出タイミングとなったクロックまでのカウント数が7であるとして加算部へ出力している。また、カウンタ3およびカウンタ4は、開始FPの検出タイミングとなったクロックから、終了FPの検出タイミングとなったクロックまでのカウント数が6であるとして加算部へ出力している。加算部はそれらのカウント数を合計し、1クロックが示す経過時間(8nsec)のカウンタ数分の1に乗算することにより、開始FPの検出タイミングから終了FPの検出タイミングまでの時間差を算出する。
【0010】
そして、このように、位相をずらした複数のクロックとカウンタを組み合わせて、それぞれのカウント値を合計させることで、実装するクロック周波数よりも高い周波数でサンプリングすることを可能とする技術が存在する。
【0011】
[関連する技術その1の問題点]
列車位置検知などのように、開始FPと終了FPの周波数の関係が非同期である場合は、互いのFPが送信されるタイミングが不確定であるため、例えば、基地局装置(または移動局装置)において開始FPを受信するタイミングと終了FPを送信するタイミングとが完全に重なってしまう場合もあり得る。このように開始FPを受信するタイミングと終了FPを送信するタイミングとが完全に重なった場合、基地局装置(または移動局装置)において、開始FPと終了FPのどちらを先に検出したかを判定することが困難であること、及び、各カウンタのゼロクリアに一定以上の時間を要するため、すぐに次のカウントを始められないこと、等から、当該タイミングが重なったことを検出して、カウンタ値を強制的に”0”(完全に重なった場合の算出期待値は、時間間隔=0であることから)とする方法が取られている。
【0012】
しかしながら、通信装置の信号伝送には、伝送信号のジッタ成分が少なからず生じるため、当然、開始FPや終了FPにもジッタ成分があることを考慮する必要がある。ジッタ成分を考慮すると、図11の様にジッタの範囲内においては、あるカウンタのクロックは、「開始FPをラッチ(取り込み)し、終了FPはラッチしない(取り込まない)」、「終了FPをラッチ(取り込み)し、開始FPはラッチしない(取り込まない)」、「開始FPも終了FPも両方をラッチ(取り込み)する」の3通りが考えられる。
【0013】
この状態は、非同期のクロックとラッチ対象のデータ(FP)の変化点が重なることによってレーシング状態が発生すること、また、物理的な信号線の基盤配線の違いや、FPGAやASIC等の内部配線の引き回し方法の違いから生じる各カウンタへの伝搬信号の遅延などの影響により、各々のカウンタが全く同じ処理になるとは限らないことから生じてしまう。ジッタの範囲内で、上述の3通りが取り得ると、図11の様に各カウンタの開始FP、終了FPが一致しない状況が生じるため、算出値(加算値)が期待値とは異なる異常な値となり、このようなエラー状況を精度よく判定する必要がある。なお、図11の例では、カウンタ4だけが、同じクロックで開始FPと終了FPがラッチしないタイミングであったため、異常値が算出される場合の例を示している。
【0014】
[関連する技術その2]
関連する技術その1にあるような問題を解決するための一例として、開始FPや終了FPを連続して認識した場合にエラーとみなす方法が知られている。
図12は関連する技術を説明する第4の図である。なお、図12においては、説明の便宜上、カウンタ2つで説明する。
図12より、開始FPの検出タイミングと終了FPの検出タイミングが重なる状況が連続した場合において、第1カウンタでは、1つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいては、終了FPの検出タイミングが先に位置し、また開始FPの検出タイミングが後に位置し、また、2つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいては、開始FPの検出タイミングが先に、また終了FPの検出タイミングが後に位置している。
他方、第2カウンタでは、1つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいては、終了FPの検出タイミングが先に、また開始FPの検出タイミングが後に位置し、2つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいては、終了FPの検出タイミングが先に、また、開始FPの検出タイミングが後に位置している。
【0015】
ここで、図12で示すように、第1カウンタにおいては、2つ目の開始FPと終了FPの検出タイミングが逆になっている。つまり、例えば基地局装置においては、開始FPを検出(受信)してから終了FPを検出(送信)するまでの時間差を用いて移動局装置の位置を算出することとなるが、2つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいては、開始FPの次に終了FPを検出するはずが、開始FPを先に検出してしまっているため、開始FPを連続して2回受信してしまうこととなり、このような場合には開始FPと終了FPの正確な時間差が計測できないこととなる。このように開始FPが連続した場合には、エラーとして判定することにより、時間差の算出や、移動局装置の位置の算出処理を破棄や無効とする対策が考えられる。
【0016】
[関連する技術その2の問題点]
しかしながら、関連する技術その2のような技術であっても、図13の様に開始FPと終了FPの検出タイミングが重なった場合が連続する状況において、1つ目と2つ目の開始FPと終了FPの検出タイミングが逆になり、その後3つ目以降の開始FPと終了FPの検出タイミングが2つ目の開始FPと終了FPのタイミングをそのまま維持した状態となった場合、第1カウンタと第2カウンタでは、開始FPと終了FPの検出タイミングが逆になる状況が継続して続くという問題がある。
つまり、第1カウンタでは、2つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいて、開始FPの検出タイミングが先に、また終了FPの検出タイミングが後に位置している。また、3つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいても、開始FPの検出タイミングが先に、終了FPの検出タイミングが後に位置している。
他方、第2カウンタでは、2つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいて、終了FPの検出タイミングが先に、また、開始FPの検出タイミングが後に位置し、また、3つ目の開始FPと終了FPの組み合わせにおいて、終了FPの検出タイミングが先に、また、開始FPの検出タイミングが後に位置している。
【0017】
このような場合、第1カウンタでは、1つ目の開始FPと2つ目の開始FPとが連続して検出されたため、エラーと判定することとなる。しかしながら、3つ目のタイミングにおいては、開始FPまたは終了FPの連続検出は無いため、3つ目の開始FPと3つ目の終了FPの組み合わせによって、時間差を求めるためのカウントを行う。
他方、この時、第2カウンタでは、1つ目、2つ目、3つ目と、開始FPと終了FPのタイミングが逆になっていないため、2つ目の開始FPの検出タイミングと3つ目の終了FPの検出タイミングの組み合わせによって時間差を求めるためのカウント処理が行われる。
このように、各カウンタで、時間差を求めるために利用するFPが一致しない状況が生じるため、時間差の算出が期待値とは異なる異常な値となってしまい、このようなエラーの状況を精度良く把握する必要がある。
【0018】
[関連する技術その2の問題点その2]
図14は関連する技術を説明する第6の図である。
図14では、検出した開始FPが異常状態から正常状態に移行した場合の例を示している。この図14で示すように、異常な開始FPを検出している状況から、正常な開始FPを検出した場合、その正常な開始FPとその後の終了FPとの検出タイミングによって、直ちに時間差を算出するためのカウントを行うことが望ましいが、異常な開始FPを検出した直後に連続して開始FPを検出しているため、この場合にもエラーと判定され、直ちに時間差を算出するためのクロックのカウント値を有効な値として採用することができなくなってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特許第2738464号公報
【特許文献2】特開2007−331629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる位置検知システムおよび位置検知方法、信号計測装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、上述の課題を解決すべくなされたもので、移動局装置が通信フレームを基地局装置へ送信してから、その後に通信フレームを前記基地局装置から受信するまでの時間差と、前記基地局装置が前記移動局装置から通信フレームを受信してから、その後に通信フレームを前記移動局装置へ送信するまでの時間差とに基づいて、前記移動局装置と前記基地局装置との距離を算出し、前記移動局装置の位置を検出する位置検知システムであって、前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の開始に利用する開始フレームに、当該開始フレームの受信順に識別番号を付加する開始フレーム番号付加部と、サンプリング周波数が所定のタイミングずらされた複数のクロックをそれぞれ別々に入力する前記複数のカウンタであって、前記識別番号の付加済みの開始フレームと、前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の終了に利用する終了フレームとの信号を入力し、それら開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数をカウントする複数のカウンタと、前記複数のカウンタで入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、前記開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する識別番号不一致判定部と、を備えることを特徴とする位置検知システムである。
【0022】
また本発明は、移動局装置が通信フレームを基地局装置へ送信してから、その後に通信フレームを前記基地局装置から受信するまでの時間差と、前記基地局装置が前記移動局装置から通信フレームを受信してから、その後に通信フレームを前記移動局装置へ送信するまでの時間差とに基づいて、前記移動局装置と前記基地局装置との距離を算出し、前記移動局装置の位置を検出する位置検知システムにおける位置検知方法であって、前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の開始に利用する開始フレームに、当該開始フレームの受信順に識別番号を付加し、サンプリング周波数が所定のタイミングずらされた複数のクロックをそれぞれ別々に入力する前記複数のカウンタであって、前記識別番号の付加済みの開始フレームと、前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の終了に利用する終了フレームとの信号を入力し、それら開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数をカウントし、前記入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、前記開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく前記時間差の算出の無効を示す信号を出力することを特徴とする位置検知方法である。
【0023】
また本発明は、2つの信号フレームのうちの、当該信号フレームの検出の時間差の計測の開始に利用する開始フレームに、当該開始フレームの対向装置からの受信順に識別番号を付加する開始フレーム番号付加部と、サンプリング周波数が所定のタイミングずらされた複数のクロックをそれぞれ別々に入力する前記複数のカウンタであって、前記識別番号の付加済みの開始フレームと、前記信号フレームのうちの前記時間差の計測の終了に利用する終了フレームとの信号を入力し、それら開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数をカウントする複数のカウンタと、前記複数のカウンタで入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、前記開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する識別番号不一致判定部と、を備えることを特徴とする信号計測装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、検出した開始FPと終了FPの時間差の計測がエラーと判定されるべき状況であることを精度良く算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】位置検知システムの構成を示す図である。
【図2】列車位置検知処理の概要を示す図である。
【図3】基地局装置の機能ブロック図である。
【図4】第1の実施形態による時間差計測回路の詳細な回路構成を示す図である。
【図5】第1の実施形態による時間差計測回路の動作チャートを示す図である。
【図6】第1の実施形態によって生じる問題を説明するための図である。
【図7】第2の実施形態による時間差計測回路の詳細な回路構成を示す図である。
【図8】第2の実施形態による時間差計測回路の処理フローを示す図である。
【図9】関連する技術を説明するための第1の図である。
【図10】関連する技術を説明するための第2の図である。
【図11】関連する技術を説明するための第3の図である。
【図12】関連する技術を説明するための第4の図である。
【図13】関連する技術を説明するための第5の図である。
【図14】関連する技術を説明するための第6の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態による位置検知システムを図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による位置検知システムの構成を示す図である。
この図において、符号10は列車1に搭載された移動局装置、符号20は列車1の走行経路上(列車1の路側帯等)に設置された基地局装置である。基地局装置20は、走行経路上に所定の間隔(例えば数十,数百メートル間隔)で設置されており、列車1に搭載された移動局装置10と無線通信を行う。
【0027】
本実施形態においては、移動局装置10と基地局装置20との無線通信によって基地局装置20が、列車1の基地局装置20からの距離や、列車1の位置(列車の発車地点からの走行距離)などを算出する場合の例について説明するが、移動局装置10が列車1の基地局装置20からの距離や、列車1の位置を算出するようにしてもよい。また、本実施形態においては、列車の進行方向に設置されている基地局装置20と移動局装置10とが通信するものとして説明する。
【0028】
図2は列車位置検知処理の概要を示す図である。
次に、移動局装置10と基地局装置20によって列車の位置が算出される具体例について説明する。
図2(a)は列車位置算出処理の第1の例を示している。
この図2(a)は、移動局装置10がマルチフレーム(通信フレーム)Aをタイミングa1で送信して、基地局装置20がマルチフレームAをタイミングa2で受信し、また基地局装置20がマルチフレームAの受信後にマルチフレームBをタイミングa3で送信して、移動局装置10がマルチフレームBをタイミングa4で受信した場合の例を示している。
【0029】
この場合において、基地局装置20がマルチフレームAを移動局装置10より受信したタイミングa2から、その受信後にマルチフレームBを移動局装置10へ送信するタイミングa3までの時間差(移動局装置におけるマルチフレームズレ時間)をT1とする。また、移動局装置10がマルチフレームAを送信したタイミングa1から、マルチフレームBを基地局装置20より受信したタイミングa4までの時間差(基地局装置20におけるマルチフレームズレ時間)をT2とする。
移動局装置10はT2を算出すると、その値を、次に送信するマルチフレームに格納して基地局装置20へ送信し、基地局装置20は自身で算出したT1と受信したT2とを用いて、基地局装置20と移動局装置10との間の電波伝搬遅延時間T3を算出する。具体的にはT3は(T2−T1)÷2で算出することができる。そして、基地局装置20は、T3×c(cは光速)によって、基地局装置20からの移動局装置10(列車1)の距離Lを算出する。そして、基地局装置20の位置(列車1の発車位置からの相対座標)から、算出した距離Lを引くことにより、列車1の位置(発車位置からの相対位置)を算出することが可能となる。
なお、図2(a)の例はT2>T1の場合の例である。
【0030】
図2(b)は列車位置算出処理の第2の例を示している。
この図2(b)も、図2(a)と同様に、移動局装置10がマルチフレーム(通信フレーム)Aをタイミングa1で送信して、基地局装置20がマルチフレームAをタイミングa2で受信し、また基地局装置20が次にマルチフレームBをタイミングa3で送信して、移動局装置10がマルチフレームBをタイミングa4で受信した場合の例を示している。
【0031】
そして、図2(b)についても、図2(a)と同様に、基地局装置20がマルチフレームAを移動局装置10より受信したタイミングa2から、その受信後にマルチフレームBを移動局装置10へ送信するタイミングa3までの時間差(移動局装置におけるマルチフレームズレ時間)をT1とする。また、移動局装置10がマルチフレームAを送信したタイミングa1から、マルチフレームBの前に送信されたマルチフレームCを基地局装置20より受信したタイミングa4までの時間差(マルチフレームズレ時間)をT2とする。なお、図2(a)はT2>T1である場合の例であるが、図2(b)はT2≦T1である場合の例である。
そして、この場合、移動局装置10はT2を算出すると、その値を、次に送信するマルチフレームに格納して基地局装置20へ送信し、基地局装置20は自身で算出したT1とT2とを用いて、基地局装置20と移動局装置10との間の電波伝搬遅延時間T3を算出する。具体的にはT3は、(T2+Tm−T1)÷2で算出することができる。なお、Tmはマルチフレームの送信にかかる時間長である。そして、基地局装置20は、T3×c(cは光速)によって、基地局装置20からの移動局装置10(列車1)の距離Lを算出する。そして、基地局装置20の位置(列車1の発車位置からの相対座標)から、算出した距離Lを引くことにより、列車1の位置(発車位置からの相対位置)を算出することが可能となる。なお、図2(a)の例はT2>T1の場合の例である。
【0032】
ここで、図2で示したような処理によって列車の位置を算出するシステムにおいては、列車1の自動化、高速化に伴って、その精度を高める必要がある。そのため、本実施形態においては、基地局装置20や移動局装置10において、上記した時間差T1やT2の計測精度を高めることにより、列車1の位置の算出精度を高める。
【0033】
図3は基地局装置の機能ブロック図である。
この図が示すように、基地局装置20は、無線受信回路101、同期回路102、位相調整回路103、第1セレクタ回路104、データ抽出回路105を備えている。無線受信回路101、同期回路102、位相調整回路103からなる構成は、本実施形態においては、それぞれ2系統存在し、無線受信回路101にてマルチフレームを無線受信して、同期回路102が同期処理を行い、位相調整回路103が位相調整を行った上で、第1セレクタ回路104が何れかの系統の出力を選択してデータ抽出回路105へ出力し、データ抽出回路105が後段の回路へ出力する。なお基地局装置20が受信したマルチフレームには移動局装置10で計測された時間差T2が格納されている。データ抽出回路105はその時間差T2の情報を抽出して、後述する演算回路17へ出力する。
【0034】
また、基地局装置20は、送信系の回路からマルチフレームの送信タイミングを入力し、また、同期回路102からマルチフレームの受信タイミングを入力して、その時間差T1を計測する時間差計測回路106と、マルチフレームの送信ごとに算出される時間差T1の比較を行う第1前後比較回路111と、オフセット付加や時間差T1と時間差T2などの情報を用いて列車1までの距離Lの算出などを行なう演算回路107と、マルチフレームの送受信ごとに算出される距離Lの比較を行う第2前後比較回路108とを備えている。これら時間差計測回路106、第1前後比較回路111、演算回路107、第2前後比較回路108からなる構成も、本実施形態においては、それぞれ2系統存在し、1/2系比較回路109が、2つの系統の出力を比較し、第2セレクタ回路110(出力系統判定回路)が、何れかの系統の出力(列車1の基地局装置20からの位置の情報)を選択して後段の回路へ出力する。
【0035】
基地局装置20の処理についてより詳細に説明する。
移動局装置10がマルチフレームを送信すると、基地局装置20においては無線受信回路101がマルチフレームを受信し、同期回路102が同期処理を行って、時間差計測回路106へマルチフレームの受信タイミングを出力する。時間差計測回路106においては、マルチフレームを受信したタイミングと、自身が次にマルチフレームを送信するタイミングの信号を入力し、その時間差T1を計測する。
【0036】
他方、位相調整回路103、第1セレクタ回路104、データ抽出回路105を経て、移動局装置10からマルチフレームに格納されて送信された時間差T2の情報を演算回路107が入力する。また演算回路107は第1前後比較回路111から出力された時間差T1を入力する。そして、演算回路107は、オフセット付加の演算を行うとともに、時間差T1と時間差T2を比較してT2>T1か、またはT2≧T1かを判定し、その結果と、予め記憶している光速度Cを用いて、上述の図2を用いて説明した処理によって、列車1の基地局装置20からの距離Lを算出する。そして、演算回路107は、時間差T1と距離Lとを第2前後比較回路108へ出力する。そして前後比較回路108は、算出された距離Lの有効または無効を判定する。
【0037】
ここで、上述の処理においては、基地局装置20は、移動局装置10から送信されたマルチフレームを1回のマルチフレームの送受信による時間差T1の計測を開始するための開始フレームパルス(以下、開始FPと記載)、また、自身から送信するマルチフレームを1回のマルチフレームの送受信による時間差T1の計測を終了するための終了フレームパルス(以下、終了FPと記載)として利用している。なお、時間差T1を計測するにあたり、開始FPと終了FPの関係を逆にしてもよい。つまり、基地局装置20は、自身から送信したマルチフレームを1回のマルチフレームの送受信による時間差T1の計測を開始するための開始フレームパルス(以下、開始FPと記載)、また、移動局装置10から送信されたマルチフレームを1回のマルチフレームの送受信による時間差T1の計測を終了するための終了フレームパルス(以下、終了FPと記載)として利用するようにしてもよい。
【0038】
<第1の実施形態>
次に、第1の実施形態による位置検知システムの動作について説明する。
図4は、第1の実施形態による時間差計測回路の詳細な回路構成を示す図である。
上述した開始FPと終了FPを精度良く検出するために、時間差計測回路106は、図4で示す回路構成を有している。図4で示すように、時間差計測回路106は、開始FP受信部401、終了FP受信部402、開始FP番号付加部403(開始フレーム番号付加部)、クロック生成部404、第1カウンタ405、第2カウンタ406、第3カウンタ407、第4カウンタ408、識別番号不一致判定部409、エラー処理部410、加算部411、時間差算出部412を備えている。
【0039】
開始FP受信部401は、開始FP(移動局装置10から送信されたマルチフレームのパルス)の信号を受信する回路構成である。
また、終了FP受信部402は、終了FP(基地局装置20自身が移動局装置10へ送信するマルチフレームのパルス)の信号を受信する回路構成である。
また、開始FP番号付加部403は、開始FP受信部401の受信した開始FPに、当該開始FPのそれぞれの識別が可能なよう、受信順に識別番号を付加する回路構成である。
【0040】
また、クロック生成部404は、各々の位相を90度ずつずらしたクロック信号を、第1カウンタ405〜第4カウンタ408の4つのカウンタそれぞれに出力する回路構成である。
また、第1カウンタ405〜第4カウンタ408は、入力した開始FPから終了FPまでの間隔を、それぞれ90度ずつずらされたクロック1〜4のうちの自身に入力したクロックに基づいてカウントするとともに、入力した開始FPに付加されている識別番号を読み取って識別番号不一致判定部409へ出力し、またカウント値を加算部411へ出力する回路構成である。
【0041】
また、識別番号不一致判定部409は、第1カウンタ405〜第4カウンタ408それぞれより入力した開始FPの識別番号が不一致であるかを判定する回路構成である。
また、エラー処理部410は、識別番号不一致判定部409より不一致であることを示す信号を入力した場合に、エラー信号を出力する回路構成である。
また、加算部411は、第1カウンタ405〜第4カウンタ408よりそれぞれ入力したカウント値を加算し、その値を時間差算出部412へ出力する回路構成である。なお本実施形態においては、第1カウンタ405〜第4カウンタ408が入力する1クロックに基づくカウントの時間単位は、125MHzクロックでカウントすることから、1/125MHz=8nsecに相当する。そして、このクロックがそれぞれ90度ずつずらされているので、全てのカウンタを用いて500MHz相当のクロックによるFPの検出タイミングを計測することができる。
また、時間差算出部412は、入力したカウント値を用いて、開始FPの検出タイミングから終了FPの検出タイミングまでの時間差T1を算出する回路構成である。
【0042】
そして、このように、位相をずらした複数のクロックとカウンタを組み合わせて、それぞれのカウント値を合計させることで、実装するクロック周波数よりも高い周波数で、開始FPや終了FPのサンプリングすることを可能とする。
【0043】
次に、時間差計測回路106の動作について説明する。
まず、開始FP受信部401が開始FPを入力して開始FP番号付加部403へ出力する。開始FP番号付加部403では、入力した開始FPに識別番号を付加する。当該付加は、FPの識別が可能であればよいため、開始FPの信号に、最低でも1bitの識別番号を付加する。または、FPの周期の時間幅をフルカウントできるような幅を持った識別信号でも構わない。
【0044】
ここで、開始FPのパルス立ち上がりのタイミングと、終了FPのパルス立ち上がりのタイミングとが重なるような場合、終了FP受信部402において終了FPを入力する。そして、識別番号の付加された開始FPと、終了FPとが、第1カウンタ405〜第4カウンタ408にそれぞれ分岐して入力する。そして、第1カウンタ405〜第4カウンタ408は、それぞれ、開始FPをラッチしたタイミングを検出したクロックから、クロック数をカウントし、終了FPをラッチしたタイミングを検出したクロックまでのクロック数を加算部へカウント値として加算部411へ出力する。
【0045】
また、第1カウンタ405〜第4カウンタ408はそれぞれ開始FPから識別番号を取得し、識別番号不一致判定部409へ出力する。次に、識別番号不一致判定部409では、各カウンタから入力した識別番号を比較確認し、全て一致していない場合には識別番号不一致エラーとして判定し、エラー処理部へエラー処理通知を出力する。エラー処理部410では、エラー処理通知を受信すると、その時の加算部411での算出値をエラー処理(例えば無効処理や、破棄処理)するよう信号を出力する。そして、加算部411は各カウンタから入力したカウント値によって算出した合計カウント値のエラー処理を行う。これにより、時間差算出部412では、このときのカウント値を用いた時間差T1の算出結果をエラーとして処理する。
【0046】
図5は、第1の実施形態による時間差計測回路の動作チャートを示す図である。
図5の(A)で示すように、時間差計測回路106は、開始FPと終了FPの組み合わせを順次入力する。開始FPや終了FPにはジッタが発生し、時間差計測回路106内の各カウンタそれぞれでは、開始FPや終了FPの入力タイミングが変動することとなる。そして、図5(C)の第2カウンタ406に入力する信号例で示すように、今、開始FPと終了FPの入力タイミングが重なる場合であっても、ジッタ分、終了FPの入力が速いとする。このとき1つ目の終了FPの検出タイミングと重なって入力される開始FPの検出タイミングから、次の、終了FPの検出タイミングまでのクロック数のカウント値がそれら開始FPと終了FPの時間差に用いられる。そして、開始FPと終了FPが交互に入力する。
【0047】
このとき、図5(C)の第2カウンタ406に入力する信号例で示すように、第2カウンタ406は、開始FPを入力して、その開始FPに“1”の識別番号を付与し、その後に入力する開始FPの検出タイミングまでクロック数のカウント値n1を出力する。識別番号“1”の開始FPが入力し、次の開始FPの入力があるまでは、終了FPが入力した際に識別番号不一致判定部409へ出力する識別番号は“1”となるため、識別番号“1”の開始FPの次に終了FPを入力した際には、第2カウンタ406は識別番号不一致判定部409へ識別番号“1”を出力する。
【0048】
他方、図5(B)の第1カウンタ405に入力する信号例で示すように、第1カウンタ405は、開始FPを入力して、その開始FPに“1”の識別番号を付与し、その後に入力するはずの終了FPの検出タイミングまでクロック数をカウントし出力しようとするが、ジッタ等の影響により、識別番号“1”の開始FPの次に識別番号“2”の付与されることとなる開始FPが入力されたとする。そして、識別番号“2”の開始FPの入力後、次の開始FPの入力があるまでは、終了FPが入力した際に識別番号不一致判定部409へ出力する識別番号は“2”となるため、図5(B)で示すように、識別番号“2”の開始FPの次に直ちに終了FPを入力した際には、識別番号“2”の開始FPの検出タイミングから終了FPの検出タイミングまでのカウント値n2を加算部411へ出力するとともに、第2カウンタ406は識別番号不一致判定部409へ識別番号“2”を出力する。これにより、識別番号不一致判定部409においては、第1カウンタ405からは識別番号“2”が、第2カウンタ406からは識別番号“1”が入力されるため、不一致と判定し、エラー処理が行われる。
【0049】
また、第2カウンタ406は、先に入力した開始FPと終了FPの入力時の動作と同様に、開始FPを入力して、その開始FPに“2”の識別番号を付与し、その後に入力する開始FPの検出タイミングまでのクロック数のカウント値n3を加算部411へ出力する。識別番号“2”の開始FPの入力後、次の開始FPの入力があるまでは、終了FPが入力した際に識別番号不一致判定部409へ出力する識別番号は“2”となるため、識別番号“2”の開始FPの次に終了FPを入力した際には、第2カウンタ406は識別番号不一致判定部409へ識別番号“2”を出力する。
他方、図5(B)の第1カウンタ405に入力する信号例で示すように、第1カウンタ405は、入力した開始FPに“3”の識別番号を付与し、その後に直ちに入力する終了FPの検出タイミングまでのクロック数によるカウント値n4を加算部411へ出力する。識別番号“3”の開始FPが入力し、次の開始FPの入力があるまでは、終了FPが入力した際に識別番号不一致判定部409へ出力する識別番号は“3”となるため、識別番号“3”の開始FPの次に終了FPを入力した際には、第2カウンタ406は識別番号不一致判定部409へ識別番号“3”を出力する。
つまり、この場合、識別番号不一致判定部409においては、第1カウンタから識別番号“3”を入力し、第2カウンタから識別番号“2”を入力するため、それら入力した識別番号が不一致と判定することとなる。
【0050】
つまり、このように、開始FPと終了FPがほぼ重なるような状況下で、第1カウンタ405においてジッタ等の影響により開始FPが連続して入力してしまった場合には、第1カウンタ405と第2カウンタ406では、カウント値を出力するためにカウントする開始FPと終了FPの組み合わせが異なることがあり、このような現象によって各カウンタにおいて得られたカウント値が、エラーとされずに時間差T1の計算に用いられてしまっていた。しかしながら、本実施形態の動作のように、終了FPの入力前に入力した開始FPに付加された識別番号の一致、不一致を検出することにより、不一致となった場合にはエラーと処理するべきと判定している。これにより、時間差T1の計算に用いられる、開始FPから終了FPまでのクロック数のカウント値が正常な場合にのみ、そのカウント値を用いた時間差T1の計算が可能となり、開始FPの検出タイミングから終了FPの検出タイミングまでの時間差T1の検出精度を向上させることができる。
【0051】
<第2の実施形態>
図6は第1の実施形態によって生じる問題を説明するための図である。
第1の実施形態の構成によって、時間差T1の計算に用いられる開始FPから終了FPまでのクロック数のカウント値が、正常と判定された場合にのみ、そのカウント値を用いた時間差T1の計算が可能となり、開始FPの検出タイミングから終了FPの検出タイミングまでの時間差T1の検出精度を向上させることができるという効果は得られるものの、複数のカウンタのうちの何れかのカウンタにおいてのみ、入力されるべき開始FPや終了FPの入力が検出できない状況が生じた際に問題となる。
つまり、図6で示すように、開始FPにノイズ等が発生し、そのノイズの載った開始FPが第1カウンタ405から第4カウンタ408に入力されたとする。そして第2カウンタ406においては、回路上の不具合などの何らかの理由によってノイズの載った開始FPが検出できない状況が発生したとする。図6においては、説明の便宜上、第1カウンタ405、および第2カウンタ406の例についてのみ表示している。
【0052】
まず、図6(B)で示すように、ノイズの載った開始FPを第1カウンタ405が入力し、当該開始FPに識別番号“1”が付加されたものとする。第1カウンタ405では、次に終了FPを入力し、識別番号“1”の開始FPの検出タイミングから、その次に入力する終了FPの検出タイミングまでのクロック数に基づくカウンタ値n1を加算部411へ出力する。なお、終了FPの検出時には、その前に入力した開始FPの識別番号“1”を識別番号不一致判定部409へ出力する。
他方、図6(C)で示すように、第2カウンタ406においては、ノイズの載った開始FPを第2カウンタ406で取得できず、その後、終了FPを入力する。この場合、第2カウンタ406は、終了FPの入力に基づき、前に正常に取得した際に取得されている、開始FPに付加された識別番号を識別番号不一致判定部409へ出力することとなる。
【0053】
次に、図6(B)で示すように、正常な開始FPを第1カウンタ405が入力し、当該開始FPに識別番号“2”が付加されたものとする。この場合、第1カウンタ405では、次に終了FPを入力し、識別番号“2”の開始FPの検出タイミングから、その次に入力する終了FPの検出タイミングまでのクロック数に基づくカウンタ値n2を加算部411へ出力する。なお、終了FPの検出時には、その前に入力した開始FPの識別番号“2”を識別番号不一致判定部409へ出力する。
他方、図6(C)で示すように、第2カウンタ406では、正常な開始FPを入力し、当該開始FPに順に番号を付加するため、まだ前回の開始FPに付加するはずであった識別番号“1”を付加する。この場合、第2カウンタ406では、次に終了FPを入力し、識別番号“1”の開始FPの検出タイミングから、その次に入力する終了FPの検出タイミングまでのクロック数に基づくカウンタ値n3を加算部411へ出力する。また、終了FPの検出時には、その前に入力した開始FPの識別番号“1”を識別番号不一致判定部409へ出力する。
【0054】
これにより、第1カウンタ405からは識別番号“2”が識別番号不一致判定部409へ送信される一方、同じタイミングで第2カウンタ406からは識別番号“1”が識別番号不一致判定部409へ送信される。従って、識別番号不一致判定部409は、入力した識別番号が不一致であると判定することとなり、エラー処理が行われる。
同様に、次の開始FPと終了FPの組み合わせの入力においても、第1カウンタ405からは識別番号“3”が識別番号不一致判定部409へ送信される一方、同じタイミングで第2カウンタ406からは識別番号“2”が識別番号不一致判定部409へ送信される。従って、識別番号不一致判定部409は、入力した識別番号が不一致であると判定することとなり、エラー処理が行われる。
このように、複数のカウンタのうちのいずれかのカウンタにおいて、FPが取得できない状況が生じてしまった場合、各カウンタに入力される開始FPに付与される識別番号にずれが生じてしまい、エラー処理が続いてしまうこととなる。
【0055】
第1の実施形態によるこのような問題を解決するために、第2の実施形態においては、時間差計測回路106を図7で示す回路構成とする。
図7は、第2の実施形態による時間差計測回路の詳細な回路構成を示す図である。
次に、第2の実施形態による時間差計測回路の動作について説明する。
図7で示すように、時間差計測回路106は、開始FP受信部401、終了FP受信部402、開始FP番号付加部403、クロック生成部404、第1カウンタ405、第2カウンタ406、第3カウンタ407、第4カウンタ408、識別番号不一致判定部409、エラー処理部410、加算部411、時間差算出部412を備えている。これらの構成は第1の実施形態で説明した動作を行う。
【0056】
また、これらの構成に加え、第2の実施形態による時間差計測回路106では、タイマ413、FP連続検出部414(フレーム連続検出部)を備えている。
ここで、タイマ413は各カウンタで入力する開始FPの識別番号の不一致が続く時間を計測する回路構成である。
また、FP連続検出部414は、開始FPや終了FPが複数のカウンタのうちの何れかカウンタにおいて連続して検出されたかを判定する回路構成である。
【0057】
図8は、第2の実施形態による時間差計測回路の処理フローを示す図である。
次に、第2の実施形態による時間差計測回路106の動作について説明する。
まず、電源オンなどにより回路の動作が開始すると、開始FP受信部401が開始FPを入力して(ステップS801)、開始FP番号付加部403へ出力する。開始FP番号付加部403では、第1の実施形態と同様に、入力した開始FPに識別番号を付加する(ステップS802)。
【0058】
また、その後、開始FPのパルス立ち上がりのタイミングと、終了FPのパルス立ち上がりのタイミングとが重なるような状況において、終了FP受信部402において終了FPを入力する(ステップS803)。そして、識別番号の付加された開始FPと、終了FPとが、第1カウンタ405〜第4カウンタ408にそれぞれ分岐して入力する。そして、第1カウンタ405〜第4カウンタ408は、それぞれ、開始FPをラッチし、そのタイミングを検出したクロックから、クロック数をカウントし、終了FPをラッチし、そのタイミングを検出したクロックまでのクロック数を加算部へカウント値として加算部411へ出力する。
【0059】
また、第1カウンタ405〜第4カウンタ408はそれぞれ開始FPから識別番号を取得し、識別番号不一致判定部409へ出力する。また第1カウンタ405〜第4カウンタ408はそれぞれ開始FPまたは終了FPを連続して入力したかを判定し、開始FPまたは終了FPを連続して入力した場合にはFP連続検出部414へ信号を出力する。そして、FP連続検出部414は、複数のカウンタのいずれかより信号を入力したかを判定し、何れかのカウンタより信号を入力した場合にはエラーとして判定し、エラー処理部へエラー処理通知を出力する。なおこのエラー処理通知には、例えば、開始FPまたは終了FPを連続して入力したカウンタの識別番号や、開始FPと終了FPのどちらのFPを連続して入力したのかの情報が付加されている。また、識別番号不一致判定部409は、各カウンタから入力した識別番号を比較確認し、全て一致していない場合には識別番号不一致エラーとして判定し、エラー処理部へエラー処理通知を出力する。
【0060】
次にエラー処理部410では、FP連続検出部414や、識別番号不一致判定部409からエラー処理通知を入力すると、次に、開始FPを連続して検出したカウンタの数をFP連続検出部414より入力したエラー処理通知から判定する(ステップS804)。そして、エラー処理部410は、この判定において、開始FPを連続入力したと判定したカウンタが全部であると判定した場合、または、開始FPを連続入力したと判定したカウンタがないと判定した場合、次に、終了FPを連続して検出したカウンタの数をFP連続検出部414より入力したエラー処理通知から判定する(ステップS805)。そして、エラー処理部410は、この判定において、終了FPを連続して検出したカウンタが無い場合には、次に、識別番号不一致判定部409からエラー処理通知を入力したか(何れかのカウンタから入力した識別番号が不一致と判定されたか)を判定し(ステップS806)、識別番号不一致判定部409からエラー処理通知を入力していない場合には(識別番号の不一致なしの場合)、正常であるため、通常処理を行う(つまりカウント値の算出結果は有効)と判定し(ステップS807)、加算部411へは何も出力しない。そしてステップS803の処理に遷移する。
【0061】
また、エラー処理部410は、ステップS804において、開始FPを連続して検出したカウンタが一部のみにある場合、また、ステップS805において、終了FPを連続して検出したカウンタが有る場合、またステップS806において、識別番号不一致判定部409からエラー処理通知を入力したと判定した場合(識別番号の不一致ありの場合)には、エラー処理を行う(つまりカウント値の算出結果は無効)と判定し(ステップS808)、識別番号不一致判定部409からエラー処理通知を継続して入力したか(何れかのカウンタから入力した識別番号が不一致と判定された状況が継続したか)を判定する(ステップS809)。なお、エラー処理部410は、例えば前回の識別番号不一致判定部409における判定結果をメモリ等に記憶しておき、今回の識別番号不一致判定部409における判定結果と比較することで、エラー処理通知を継続して入力したか(何れかのカウンタから入力した識別番号が不一致と判定された状況が継続したか)を判定することができる。
【0062】
そして、エラー処理部410は、エラー処理通知を継続して入力した(何れかのカウンタから入力した識別番号が不一致と判定された状況が継続した)と判定した場合には、タイマのカウントを1プラスして(ステップS810)、タイマのカウント値が閾値以上であるかを判定する(ステップS811)。そして、エラー処理部410は、ステップS809において、識別番号不一致判定部409からエラー処理通知を継続して入力していない(何れかのカウンタから入力した識別番号が不一致と判定された状況が継続していない)と判定した場合、または、ステップS811において、タイマのカウント値が閾値以上でない場合には、ステップS803の処理に遷移する。なお、ステップS809において、識別番号不一致判定部409からエラー処理通知を継続して入力していない(何れかのカウンタから入力した識別番号が不一致と判定された状況が継続していない)と判定した場合には、タイマのカウントをクリア(ステップS812)した後に、ステップS803の処理に遷移する。これにより積算されたタイマのカウンタ値がクリア(ゼロ値へ更新)される。また、ステップS811においてタイマ値が閾値以上であると判定した場合には、開始FP番号付加部403へ、識別番号を初期値に戻すための識別番号リセット信号を出力する。これにより、次に開始FPを入力した場合には、初期値の識別番号が付与されることとなる。
【0063】
以上、第2の実施形態における処理について説明したが、第2の実施形態による時間差計測回路106の構成によれば、開始FPまたは終了FPの何れかを連続して入力したカウンタが1つでもある場合であって、その状況が継続した場合には、開始FP番号付加部にリセット信号を送って、開始FPへの識別番号の付与を初期値に戻すよう制御している。これにより、第1の実施形態の構成による効果が得られるとともに、複数のカウンタのうちの1つのカウンタにおいて、FPが取得できない状況が生じてしまった場合に、各カウンタに入力される開始FPに付与される識別番号にずれが生じてしまい、その後、エラー処理が続いてしまう現象を回避することができるようになる。
【0064】
なお、上述の各実施形態においては、基地局装置20の時間差計測回路105において、開始FPと終了FPの検出タイミングの時間差T1を精度良く計測するための例について説明したが、移動局装置10が基地局装置20より受信したマルチフレームと、移動局装置10自身が基地局装置20へ送信するマルチフレームをそれぞれ開始FPと終了FPとして、移動局装置10がそれらの時間差T2を計測して基地局装置20との距離を算出するための技術に適用するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、移動局装置10(列車)と基地局装置20の間で互いに通信されるマルチフレームを開始FPと終了FPとした場合の例について説明したが、2つの対向する信号計測装置間で通信する際の技術に応用してもよい。つまり、何らかの2つの対向する装置が互いに通信しあい、その通信の信号を精度良く計測するために、利用するようにしてもよい。
【0065】
この場合、信号計測装置は、上述した位置検知システムと同様に、2つの信号フレーム(FP)のうちの、当該信号フレームの検出の時間差の計測の開始に利用する開始フレーム(開始FP)に、当該開始フレームの対向装置からの受信順に識別番号を付加する開始FP番号付加部403と、サンプリング周波数が所定のタイミングずらされた複数のクロックをそれぞれ別々に入力する前記複数のカウンタであって、前記識別番号の付加済みの開始フレームと、前記信号フレームのうちの前記時間差の計測の終了に利用する終了フレーム(終了FP)との信号を入力し、それら開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数をカウントする複数のカウンタ405〜408と、前記複数のカウンタで入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、前記開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する識別番号不一致判定部409と、を備える。
【0066】
また信号計測装置は、第1カウンタ405〜第4カウンタ408それぞれが、開始FPを連続して入力したかを判定し、当該判定において、一部のカウンタにおいて開始FPを連続して入力したと判定した場合には、時間差の算出の無効を示す信号を出力するFP連続検出部414を備える。
【0067】
また信号計測装置は、第1カウンタ405〜第4カウンタ408それぞれが、開始FPを連続して入力したかを判定するとともに、FP連続検出部414が、終了FPを連続して入力したかを判定し、当該判定において、一部のカウンタにおいて終了FPを連続して入力したと判定した場合には、時間差の算出の無効を示す信号を出力する
【0068】
また信号計測装置において、識別番号不一致判定部409は、第1カウンタ405〜第4カウンタ408で入力した識別番号付加済みの開始FPのそれぞれの識別番号が一致していないことを所定の時間計測した場合には、開始FP番号付加部403へ、識別番号のリセット信号を出力し、開始FP番号付加部403は、識別番号のリセット信号を入力した場合には、識別番号をリセットし、次に入力した開始FPに識別番号の初期値を付加する。
【0069】
なお、上述の位置検知システムは内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した各処理の過程が、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われるようにしてもよい。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0070】
10・・・移動局装置
20・・・基地局装置
101・・・無線受信回路
102・・・同期回路
103・・・位相調整回路
104・・・第1セレクタ回路
105・・・データ抽出回路
106・・・時間差計測回路
107・・・演算回路
108・・・前後比較回路
109・・・1/2系比較回路
110・・・第2セレクタ回路
401・・・開始FP受信部
402・・・終了FP受信部
403・・・開始FP番号付加部
404・・・クロック生成部
405・・・第1カウンタ
406・・・第2カウンタ
407・・・第3カウンタ
408・・・第4カウンタ
409・・・識別番号不一致判定部
410・・・エラー処理部
411・・・加算部
412・・・時間差算出部
413・・・FP連続検出部
414・・・タイマ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局装置が通信フレームを基地局装置へ送信してから、その後に通信フレームを前記基地局装置から受信するまでの時間差と、
前記基地局装置が前記移動局装置から通信フレームを受信してから、その後に通信フレームを前記移動局装置へ送信するまでの時間差とに基づいて、
前記移動局装置と前記基地局装置との距離を算出し、前記移動局装置の位置を検出する位置検知システムであって、
前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の開始に利用する開始フレームに、当該開始フレームの受信順に識別番号を付加する開始フレーム番号付加部と、
サンプリング周波数が所定のタイミングずらされた複数のクロックをそれぞれ別々に入力する前記複数のカウンタであって、前記識別番号の付加済みの開始フレームと、前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の終了に利用する終了フレームとの信号を入力し、それら開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数をカウントする複数のカウンタと、
前記複数のカウンタで入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、前記開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する識別番号不一致判定部と、
を備えることを特徴とする位置検知システム。
【請求項2】
前記複数のカウンタそれぞれが、前記開始フレームを連続して入力したかを判定し、
当該判定において、一部のカウンタにおいて前記開始フレームを連続して入力したと判定した場合には、前記時間差の算出の無効を示す信号を出力するフレーム連続検出部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の位置検知システム。
【請求項3】
前記複数のカウンタそれぞれが、前記開始フレームを連続して入力したかを判定するとともに、
前記フレーム連続検出部が、前記終了フレームを連続して入力したかを判定し、当該判定において、一部のカウンタにおいて前記終了フレームを連続して入力したと判定した場合には、前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の位置検知システム。
【請求項4】
前記識別番号不一致判定部は、前記複数のカウンタで入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致していないことを所定の時間計測した場合には、前記開始フレーム番号付加部へ、前記識別番号のリセット信号を出力し、
前記開始フレーム番号付加部は、前記識別番号のリセット信号を入力した場合には、前記識別番号をリセットし、次に入力した開始フレームに識別番号の初期値を付加する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の位置検知システム。
【請求項5】
移動局装置が通信フレームを基地局装置へ送信してから、その後に通信フレームを前記基地局装置から受信するまでの時間差と、
前記基地局装置が前記移動局装置から通信フレームを受信してから、その後に通信フレームを前記移動局装置へ送信するまでの時間差とに基づいて、
前記移動局装置と前記基地局装置との距離を算出し、前記移動局装置の位置を検出する位置検知システムにおける位置検知方法であって、
前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の開始に利用する開始フレームに、当該開始フレームの受信順に識別番号を付加し、
サンプリング周波数が所定のタイミングずらされた複数のクロックをそれぞれ別々に入力する前記複数のカウンタであって、前記識別番号の付加済みの開始フレームと、前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の終了に利用する終了フレームとの信号を入力し、それら開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数をカウントし、
前記入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、前記開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する
ことを特徴とする位置検知方法。
【請求項6】
2つの信号フレームのうちの、当該信号フレームの検出の時間差の計測の開始に利用する開始フレームに、当該開始フレームの対向装置からの受信順に識別番号を付加する開始フレーム番号付加部と、
サンプリング周波数が所定のタイミングずらされた複数のクロックをそれぞれ別々に入力する前記複数のカウンタであって、前記識別番号の付加済みの開始フレームと、前記信号フレームのうちの前記時間差の計測の終了に利用する終了フレームとの信号を入力し、それら開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数をカウントする複数のカウンタと、
前記複数のカウンタで入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、前記開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する識別番号不一致判定部と、
を備えることを特徴とする信号計測装置。
【請求項7】
前記複数のカウンタそれぞれが、前記開始フレームを連続して入力したかを判定し、
当該判定において、一部のカウンタにおいて前記開始フレームを連続して入力したと判定した場合には、前記時間差の算出の無効を示す信号を出力するフレーム連続検出部
を備えることを特徴とする請求項6に記載の信号計測装置。
【請求項8】
前記複数のカウンタそれぞれが、前記開始フレームを連続して入力したかを判定するとともに、
前記フレーム連続検出部が、前記終了フレームを連続して入力したかを判定し、当該判定において、一部のカウンタにおいて前記終了フレームを連続して入力したと判定した場合には、前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する
ことを特徴とする請求項7に記載の信号計測装置。
【請求項9】
前記識別番号不一致判定部は、前記複数のカウンタで入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致していないことを所定の時間計測した場合には、前記開始フレーム番号付加部へ、前記識別番号のリセット信号を出力し、
前記開始フレーム番号付加部は、前記識別番号のリセット信号を入力した場合には、前記識別番号をリセットし、次に入力した開始フレームに識別番号の初期値を付加する
ことを特徴とする請求項6から請求項8の何れか一項に記載の信号計測装置。
【請求項1】
移動局装置が通信フレームを基地局装置へ送信してから、その後に通信フレームを前記基地局装置から受信するまでの時間差と、
前記基地局装置が前記移動局装置から通信フレームを受信してから、その後に通信フレームを前記移動局装置へ送信するまでの時間差とに基づいて、
前記移動局装置と前記基地局装置との距離を算出し、前記移動局装置の位置を検出する位置検知システムであって、
前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の開始に利用する開始フレームに、当該開始フレームの受信順に識別番号を付加する開始フレーム番号付加部と、
サンプリング周波数が所定のタイミングずらされた複数のクロックをそれぞれ別々に入力する前記複数のカウンタであって、前記識別番号の付加済みの開始フレームと、前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の終了に利用する終了フレームとの信号を入力し、それら開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数をカウントする複数のカウンタと、
前記複数のカウンタで入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、前記開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する識別番号不一致判定部と、
を備えることを特徴とする位置検知システム。
【請求項2】
前記複数のカウンタそれぞれが、前記開始フレームを連続して入力したかを判定し、
当該判定において、一部のカウンタにおいて前記開始フレームを連続して入力したと判定した場合には、前記時間差の算出の無効を示す信号を出力するフレーム連続検出部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の位置検知システム。
【請求項3】
前記複数のカウンタそれぞれが、前記開始フレームを連続して入力したかを判定するとともに、
前記フレーム連続検出部が、前記終了フレームを連続して入力したかを判定し、当該判定において、一部のカウンタにおいて前記終了フレームを連続して入力したと判定した場合には、前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の位置検知システム。
【請求項4】
前記識別番号不一致判定部は、前記複数のカウンタで入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致していないことを所定の時間計測した場合には、前記開始フレーム番号付加部へ、前記識別番号のリセット信号を出力し、
前記開始フレーム番号付加部は、前記識別番号のリセット信号を入力した場合には、前記識別番号をリセットし、次に入力した開始フレームに識別番号の初期値を付加する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の位置検知システム。
【請求項5】
移動局装置が通信フレームを基地局装置へ送信してから、その後に通信フレームを前記基地局装置から受信するまでの時間差と、
前記基地局装置が前記移動局装置から通信フレームを受信してから、その後に通信フレームを前記移動局装置へ送信するまでの時間差とに基づいて、
前記移動局装置と前記基地局装置との距離を算出し、前記移動局装置の位置を検出する位置検知システムにおける位置検知方法であって、
前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の開始に利用する開始フレームに、当該開始フレームの受信順に識別番号を付加し、
サンプリング周波数が所定のタイミングずらされた複数のクロックをそれぞれ別々に入力する前記複数のカウンタであって、前記識別番号の付加済みの開始フレームと、前記通信フレームのうちの前記時間差の計測の終了に利用する終了フレームとの信号を入力し、それら開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数をカウントし、
前記入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、前記開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する
ことを特徴とする位置検知方法。
【請求項6】
2つの信号フレームのうちの、当該信号フレームの検出の時間差の計測の開始に利用する開始フレームに、当該開始フレームの対向装置からの受信順に識別番号を付加する開始フレーム番号付加部と、
サンプリング周波数が所定のタイミングずらされた複数のクロックをそれぞれ別々に入力する前記複数のカウンタであって、前記識別番号の付加済みの開始フレームと、前記信号フレームのうちの前記時間差の計測の終了に利用する終了フレームとの信号を入力し、それら開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数をカウントする複数のカウンタと、
前記複数のカウンタで入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致しているかを判定し、一致していない場合には、前記開始フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックから、前記終了フレームの受信タイミングの検出に利用したクロックまでに入力したクロック数に基づく前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する識別番号不一致判定部と、
を備えることを特徴とする信号計測装置。
【請求項7】
前記複数のカウンタそれぞれが、前記開始フレームを連続して入力したかを判定し、
当該判定において、一部のカウンタにおいて前記開始フレームを連続して入力したと判定した場合には、前記時間差の算出の無効を示す信号を出力するフレーム連続検出部
を備えることを特徴とする請求項6に記載の信号計測装置。
【請求項8】
前記複数のカウンタそれぞれが、前記開始フレームを連続して入力したかを判定するとともに、
前記フレーム連続検出部が、前記終了フレームを連続して入力したかを判定し、当該判定において、一部のカウンタにおいて前記終了フレームを連続して入力したと判定した場合には、前記時間差の算出の無効を示す信号を出力する
ことを特徴とする請求項7に記載の信号計測装置。
【請求項9】
前記識別番号不一致判定部は、前記複数のカウンタで入力した前記識別番号付加済みの開始フレームのそれぞれの識別番号が一致していないことを所定の時間計測した場合には、前記開始フレーム番号付加部へ、前記識別番号のリセット信号を出力し、
前記開始フレーム番号付加部は、前記識別番号のリセット信号を入力した場合には、前記識別番号をリセットし、次に入力した開始フレームに識別番号の初期値を付加する
ことを特徴とする請求項6から請求項8の何れか一項に記載の信号計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−83291(P2012−83291A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231330(P2010−231330)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】
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