位置検知装置
【目的】複数位置を検出でき、設置場所の自由度が高い位置検知装置を提供する。
【構成】信号線Q1〜Q4は、複数の検知位置A〜Gごとに電磁結合位置にあるか否かの組合せが異なる配線パターンで形成される。検知線S1は検知部10に接続される。センサーユニット9は検知コイルC1,C2と、これに接続された信号搬送コイルCTを有する。信号線を駆動部2で交流駆動し、ユニット9を信号線上に配置すると、検知コイルC1,C2は検知位置に応じた信号線の組合せで交流信号をひろい、信号搬送コイルを介して検知線を交流駆動し、検知部はその波形からセンサーユニットが配置された検知位置を検出する。
【構成】信号線Q1〜Q4は、複数の検知位置A〜Gごとに電磁結合位置にあるか否かの組合せが異なる配線パターンで形成される。検知線S1は検知部10に接続される。センサーユニット9は検知コイルC1,C2と、これに接続された信号搬送コイルCTを有する。信号線を駆動部2で交流駆動し、ユニット9を信号線上に配置すると、検知コイルC1,C2は検知位置に応じた信号線の組合せで交流信号をひろい、信号搬送コイルを介して検知線を交流駆動し、検知部はその波形からセンサーユニットが配置された検知位置を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的な位置の検出や長さ・距離の測定を行う位置検知装置に係り、特に、電磁誘導の原理を応用し、相対的に移動可能とされた信号線とコイルの一方を交流駆動して他方から交流信号を取り出し、その波形によって位置等の割り出しを行う位置検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械的な位置の検出や長さの測定を電気的に行う場合は、従来は直接的な機械接点のON/OFFによって必要な位置を検出するものが一般的であった。例えば、下記特許文献1には、液面の上下に伴い上下動するフロートに磁石を設け、この磁石の位置変動によってリードスイッチの接点を開閉することで液面を検出する液面計に関する発明が開示されている。
【特許文献1】特開2003−214928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような直接的な機械接点のON/OFFによって必要な位置を検出する方法では、一つの装置で複数の位置を検出することは困難であった。そこで、複数の位置を検出する手法として、対象物の異なる複数の位置コードを印刷し、これを光学センサで読み取る方法も提案されているが、この方法では光学センサに対する外光の影響や対象物に印刷したコードの汚れ・埃の付着等により読取エラーの可能性が高いので設置できる環境が制限されていた。
【0004】
そこで本発明は、一つの装置で複数の位置を検出することができ、外光の影響や環境条件の制約を受けにくいために設置場所の自由度が高く、例えば屋外や水中等でも使用可能であるような位置検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載された位置検知装置は、第1方向に並べられて第2方向に延設される電気的に独立した複数本の配線であって、各配線の電磁結合位置が第1方向について定められるとともに、第2方向に沿って複数の検知位置が設定されており、前記各検知位置ごとに、前記各配線がそれぞれの前記電磁結合位置にあるか否かの組合せが異なるような配線パターンで形成された複数本の信号線と、
前記信号線の前記第2方向に沿って相対的に移動可能に設けられ、前記各検知位置に配置された場合に前記各信号線の前記各電磁結合位置に設定される複数のコイルを有する電磁結合部と、
前記複数本の信号線又は前記電磁結合部の各コイルを交流駆動する駆動部と、
前記複数本の信号線又は前記電磁結合部の各コイルを前記駆動手段によって交流駆動した場合に、前記各電磁結合位置において電磁誘導により前記電磁結合部の各コイル又は前記複数本の信号線に誘起される交流信号を検出して、前記信号線の前記第2方向における前記電磁結合部の位置を検知する検知部と、
を有することを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載された位置検知装置は、請求項1記載の位置検知装置において、
前記信号線とは電気的に独立して設けられ、前記信号線と隣接するように前記第1方向に並べられて前記第2方向に延設され、前記複数の検知位置では第1方向について定められた前記電磁結合位置に配置されるような配線パターンで形成され、前記検知部に接続された検知線をさらに有し、
前記電磁結合部の前記複数のコイルは、前記信号線の前記各検知位置に配置された場合に前記各電磁結合位置にある前記各信号線に流れる交流によって交流が誘起される検知コイルであり、
前記電磁結合部は、前記各検知位置に配置された場合に前記検知線に設定される信号搬送コイルをさらに備えるとともに、該信号搬送コイルには前記検知コイルが直列に接続されており、
前記駆動手段が前記信号線を交流駆動すると、前記信号線のいずれかの前記検知位置に配置された前記電磁結合部では、前記検知コイルに交流が誘起され、この交流が前記信号搬送コイルに流れて前記検知線に検知信号を発生させ、該検知信号を前記検知部が検知することにより前記電磁結合部が前記信号線のいずれの前記検知位置に配置されているかを検知することを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載された位置検知装置は、請求項1記載の位置検知装置において、
前記駆動部と、前記駆動部によって交流駆動される前記電磁結合部と、前記信号線が設けられ前記第2方向を長手方向とするシートを前記電磁結合部を経て出し入れ自在とした巻取機構とが設けられた本体を有し、
前記シートの先端には前記信号線に発生する交流の波形から前記シートの繰り出し長さを検知する前記検知部が設けられ、
前記駆動手段が前記電磁結合部の前記コイルを交流駆動して前記シートの前記信号線に誘起する交流を前記検知部が検知することにより、前記シートの前記信号線のいずれの前記検知位置が前記電磁結合部に位置しているかを検知して前記シートの前記本体からの引き出し長さを検知することを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載された位置検知装置は、請求項1記載の位置検知装置において、
前記複数本の信号線は、前記第2方向を長手方向とするシートにそれぞれ閉ループ状に構成され、前記第2方向に沿うその一方側が前記配線パターンで形成されるとともに、前記第2方向に沿うその他方側は前記一方側の前記検知位置において一定の間隔をおいてそれぞれ第2方向に平行となるように形成されており、
前記電磁結合部の前記複数のコイルは、前記検知部に接続されており、前記信号線の前記各検知位置に配置された場合に前記各電磁結合位置にある前記各信号線に流れる交流によって交流が誘起される検知コイルであり、
前記電磁結合部には、前記駆動部に接続され、前記信号線の前記他方側の前記各検知位置に配置された場合に前記駆動部から与えられた交流により前記信号線を交流で駆動する駆動コイルがさらに設けられており、
前記駆動手段が前記電磁結合部の前記駆動コイルを交流駆動すると、前記シートの前記信号線に交流が誘起され、この交流が前記電磁結合部の前記検知コイルに交流を誘起し、この交流が前記検知部に検知されることにより、前記シートの前記信号線のいずれの前記検知位置に前記電磁結合部が設定されているかを検知することを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載された位置検知装置は、請求項1記載の位置検知装置において、
前記駆動部が前記信号線又は前記コイルに与える交流は間欠信号であり、前記検知部は前記間欠信号の組合せによって前記第2方向に関する前記信号線と前記電磁結合部の相対的な位置を検知することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載された位置検知装置によれば、複数本の信号線を駆動手段によって交流駆動すれば、電磁結合部のコイルには電磁誘導により交流信号が誘起されるので、これを検知部で検出することができる。又は、電磁結合部のコイルを駆動手段によって交流駆動すれば、複数本の信号線には電磁誘導により交流信号が誘起されるので、これを検知部で検出することができる。ここで、検知部において検知される交流信号は、電磁結合部が配置されている信号線の各検知位置ごとに異なる配線パターンに応じた波形となるので、信号線に設定された複数の検知位置のいずれに電磁結合部が存在するかを、この波形から判断することができ、信号線に対する電磁結合部の相対的な位置を検出することができる。
【0011】
請求項2に記載された位置検知装置によれば、複数本の信号線を駆動手段によって交流駆動すれば、電磁結合部の検知コイルには電磁誘導により交流信号が誘起される。検知コイルに誘起された交流信号は、電磁結合部の信号搬送コイルに加えられて検知線に交流信号を発生させ、この交流信号が検知部で検出される。ここで、検知部において検知される交流信号は、電磁結合部が配置されている信号線の各検知位置ごとに異なる配線パターンに応じた波形となるので、信号線に設定された複数の検知位置のいずれに電磁結合部が存在するかを、この波形から判断することができ、信号線に対する電磁結合部の相対的な位置を検出することができる。
【0012】
例えば、請求項2に記載された位置検知装置を液面計へ適用する場合には、信号線の第2方向を液面が移動する上下方向に設定しておき、電磁結合部をフロートに設けて液面の上下に伴い信号線に沿って上下動可能としておけば、液面が上下してフロートが移動し、フロートに設けた電磁結合部が対面する信号線の検知位置が変われば、検知部は当該検知位置を検知線に流れる交流信号の波形から検知できるので、液面の位置を知ることができる。
【0013】
請求項3に記載された位置検知装置によれば、シートを巻取機構から任意の長さだけ引き出した状態で、電磁駆動部を駆動手段によって交流駆動すれば、信号線には電磁誘導により交流信号が誘起され、この交流信号は引き出したシートの先端に設けられた検知部で検知される。ここで、検知部において検知される交流信号は、電磁結合部が対面しているシートの信号線の各検知位置ごとに異なる配線パターンに応じた波形となるので、信号線に設定された複数の検知位置のいずれと電磁結合部が対面しているかを該波形から判断することができ、シートをどれ程の長さだけ巻取機構から引き出したが判断できる。
【0014】
例えば、請求項3に記載された位置検知装置を長さ測定に適用する場合には、シートの検知位置乃至これに対応するシート引き出し長さを表示できる表示手段をシートの先端に設けた検知部に設けておき、測定起点に本体を設けて測定方向にシートを引き出していき、表示手段の表示を見てシートの引き出しを停止すれば、測定起点からシート先端までの長さを測定することができる。
【0015】
請求項4に記載された位置検知装置によれば、シートを測定対象上に敷き、シートの長手方向に沿って電磁結合部を移動させていき、所望の距離だけ移動したところで停止する。この状態において電磁駆動部の駆動部を駆動手段によって交流駆動すれば、信号線には電磁誘導により交流信号が誘起され、この交流信号が電磁駆動部の検知コイルに交流信号を誘起し、この交流信号が前記検知部に検知される。ここで、検知部において検知される交流信号は、電磁結合部が対面しているシートの信号線の各検知位置ごとに異なる配線パターンに応じた波形となるので、信号線に設定された複数の検知位置のいずれと電磁結合部が対面しているかを該波形から判断することができ、シートの長手方向のいずれの位置に電磁誘導部があるかが判断できる。
【0016】
例えば、請求項4に記載された位置検知装置を長さ測定に適用する場合には、シートを測定対象(例えばグラウンド等の地面の上)に敷き、駆動部と検知部を作動させながら電磁結合部をシートの長手方向に沿って(測定線の第2方向に沿って)移動していき、検知部の検知結果を確認しながら、所望の位置で電磁結合部を止めれば、電磁結合部の移動量を示す検知部の検知結果から、電磁結合部の所望の移動長さ(基準位置からの所定距離)を得ることができる。
【0017】
請求項5に記載された位置検知装置によれば、以上の各構成における効果において、信号線又はコイルに与える交流を間欠信号としているので、電磁結合部が配置されている信号線の各検知位置に固有の配線パターンに応じた波形の信号として、位置の検知信号を得ることができる。信号線の本数乃至これに対応する電磁結合部のコイルの数を増やせば、波形で識別可能な検知位置を増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するために特許出願人が出願時点で最良と思う本発明の実施の形態を図1〜図13を参照して説明する。
1.第1実施形態(第1例、図1〜図5)
図1は、第1例の位置検知装置の構成を示すブロック図であり、図2は第1例における電磁結合部としてのセンサーユニットの断面図であり、図3は、第1例における信号線の配線パターンをセンサーユニットとの関係で示した配線図であり、図4は、第1例における駆動波形及び検知波形を示す波形図であり、図5は、第1例のさらに具体的な適用例を示す斜視図である。
【0019】
(1) 構成
第1例の電磁誘導を利用した位置検知装置1は、図1に示すように、電気的に独立した複数本(本例では4本)の配線である信号線Q1〜Q4を有している。これらの信号線Q1〜Q4は、線と直交する方向(第1方向)に並べられ、長手方向(第2方向)に延設されており、ループ状に引き回されて両端を駆動部2に接続され、駆動部2により交流で駆動されるようになっている。そして、これらの信号線Q1〜Q4は、図2に示すように、絶縁性のシート材に挟まれ、防湿性乃至防水性及び可撓性のある薄片状の部品であるシート(可撓性のパターン基板)3として構成されている。
【0020】
図1に示すように、駆動部2は、商用電源もしくは電池から供給される電力を一定の電圧に変換する電源4と、回路を制御する基準となる信号を発生させる発振回路5と、発振回路5の信号を必要とする信号に変換・分周する分周回路6と、前記信号線Q1〜Q4への動作を司る信号を発生する制御回路7と、制御回路7からの制御信号により電源4からの電流を信号線Q1〜Q4に供給する駆動回路8とを有している。
【0021】
駆動回路8からは、測定の基準となる信号が、電気的に独立した配線である信号線Q1〜Q4に出力される。前記信号線Q1〜Q4のうち、図1において「コード化領域」とされている範囲にある部分が、コイルを備えた電磁結合部であるセンサーユニット9の可動範囲であり、信号線はコード化領域においてはセンサーユニット9との位置関係により位置データを形成するための特殊な配線パターンを構成している(詳細は図3を参照して後述する。)。
【0022】
図1に示すように、前記信号線Q1〜Q4の前記コード化領域には、信号線Q1〜Q4に沿って1本の検知線S1がループ状に引き回されており、その両端が検知部10に接続されて、検知線S1に誘起される交流信号を検知部10にて検知できるようになっている。この検知線S1は、信号線Q1〜Q4に沿って配置されたセンサーユニット9の位置を検知する検知信号として、コード化領域においてセンサーユニット9が信号線Q1〜Q4から選択的に得た信号を検知部10まで伝達するための配線である。
【0023】
図1に示すように、検知線S1が接続された検知部10は、検知線S1の信号を増幅する増幅器11と、基準信号である信号線Q1〜Q4の信号とS1からの信号によりセンサーユニット9の位置を算出する演算回路12と、その結果を表示する表示器13からなる。なお、表示器13の代わりに、又は表示器13を設けるとともに、演算回路12が算出したセンサーユニット9の位置を示す信号により制御される外部機器を設けることとしてもよい。
【0024】
そして、信号線Q1〜Q4が特殊な配線パターンとされている前記コード化領域の範囲内で、センサーユニット9を任意の位置に配置し、駆動部2が信号線Q1〜Q4を駆動すると、センサーユニット9は、信号線Q1〜Q4の信号をその位置ごとに異なる組合せでひろい、この信号に基づいた波形の交流を検知線S1に誘起し、これが検知部10で検知されるので、その波形によってセンサーユニット9の位置が検知される。
このようなセンサーユニット9による位置検知の仕組みに関し、センサーユニット9の構造と信号線Q1〜Q4の配線パターンについて以下に詳述する。
【0025】
図2に示すように、センサーユニット9は、3個のコの字形の磁性体15にそれぞれ線を巻き込んだ3個のコイルC1,C2,CTを有しており、磁性体15のコ字形の凹部に対応した凹部が外形に現れるように、全体として樹脂等の成形材14によってモールドされた防湿、防水構造の独立した一個の部品とされている。
【0026】
センサーユニット9の3個のコイルのうち、2個は検知コイルC1,C2であり、磁性体15のコの字の間を通過する信号線Q1〜Q4に交流電流が流れると、この電流との電磁誘導結合により交流電流が誘起される。1個は信号搬送コイルCTであり、2個の前記検知コイルC1,C2にそれぞれ直列に接続され、2個の検知コイルC1,C2にて発生した交流電流を電磁誘導結合により検知線S1に伝える。第1例では、一方の検知コイルC1と他方の検知コイルC2は線の巻き方向が互いに逆向きであり、それぞれのコイルC1,C2を構成する線が磁性体15に巻かれて信号搬送コイルCTを構成している。
【0027】
前記センサーユニット9が配置される信号線Q1〜Q4のコード化領域において、センサーユニット9の位置検出のために信号線Q1〜Q4がいかなる特殊配線パターンとなっているかについて、センサーユニット9との位置関係にふれつつ説明する。
図3に示すように、コード化領域に配設された信号線Q1〜Q4には、センサーユニット9の検知コイルC1,C2と電磁結合が可能となる電磁結合位置が各配線の並設方向(第1方向、図3において横方向)について定められている。これは、センサーユニット9の各検知コイルC1,C2が信号線Q1〜Q4を受け入れる位置に相当する。また各信号線Q1〜Q4の延設方向(第2方向、図3において縦方向)に沿って所定間隔で複数の検知位置A〜Gが設定されており、前記各信号線Q1〜Q4は、各検知位置ごとに、4本の信号線Q1〜Q4がそれぞれ電磁結合位置にあるか否かの組合せが異なるように矩形に屈曲した特殊な配線パターンで形成されている。すなわち、各検知位置にセンサーユニット9を配置した場合、センサーユニット9の2つの検知コイルC1,C2と電磁結合される信号線Q1〜Q4の種類の組合せは、検知位置ごとに異なっていることになる。例えば、図3において、センサーユニット9は検知位置Bにあるが、この場合、検知コイルC1は信号線Q2とのみ電磁結合し、検知コイルC2はいずれの信号線Q2とも電磁結合しない。
【0028】
このように、各信号線Q1〜Q4は、移動可能なセンサーユニット9が配置された検知位置において、当該検知位置の検出に必要な組み合わせの信号を検知コイルC1,C2に誘起するように配置構成されている。このような信号線Q1〜Q4の実際のパターンは、センサーユニット9における検知コイルC1,C2の磁性体15の凹部の位置、間隔等を考慮して具体的に決定される。
【0029】
図3に示すように、コード化領域における検知線S1は、前記検知位置においてのみ前記電磁結合位置に存在するように鋸歯状の配線パターンで構成されている。すなわち、検知線S1は位置検知を行う位置でのみ、信号搬送コイルCTの磁性体15の位置に来る様に配置される。従って、センサーユニット9がいずれかの検知位置に配置された場合のみ、検知線はセンサーユニット9の信号搬送コイルCTと電磁結合が可能となる。
【0030】
(2) 作用
以上の構成によれば、センサーユニット9が信号線Q1〜Q4のいずれかの検知位置に配置された状態で駆動部2が信号線Q1〜Q4を交流駆動すると、当該検知位置において電磁結合位置にある信号線Q1〜Q4とセンサーユニット9の検知コイルC1,C2が電磁結合し、この検知コイルC1,C2に交流が誘起される。この交流が前記信号搬送コイルCTに流れて前記検知線S1に検知信号を発生させる。該検知信号は検知部10で検知されるが、その波形は前記検知位置において電磁結合位置に配置されている信号線Q1〜Q4の組合せに対応しているので、この波形からセンサーユニット9が信号線Q1〜Q4のいずれの検知位置に配置されているかが分かる。
【0031】
上述した第1例の位置検知装置1における作用を、図4を参照してさらに詳細に説明する。駆動部2の駆動回路8から信号線Q1〜Q4へは、図4中の拡大図に示すように、数kHzから数百kHzの交流信号が間欠信号として印加される。ここで交流が出力している状態をONと呼ぶ。信号線Q1〜Q4に与えられる信号は、隣接する信号線については一部が時間的に重畳して出力される。
【0032】
以下にセンサーユニット9の位置と検知線S1に誘起される信号の概要を図3及び図4を参照して説明する。
図3に示すように、Aの位置では、検知コイルC1では信号線Q1の信号、検知コイルC2では信号線Q2の信号が誘起される。検知コイルC1と検知コイルC2のコイルの巻き方向は互いに逆方向であるため、両方の信号がONの状態の時は信号搬送コイルCTには逆相の信号が印加される事となり、その結果として図4に示すように検知線S1には信号線Q1の信号と信号線Q2の逆相信号が誘起され、信号線Q1と信号線Q2の信号が重複部分がOFFとなって誘起される。
【0033】
図3に示すように、Bの位置では、検知コイルC1では信号線Q2の信号が誘起され、検知コイルC2では信号なしであるため、図4に示すように検知線S1には信号線Q2の信号のみが誘起される。
【0034】
図3に示すように、Cの位置では、検知コイルC1では信号線Q2の信号、検知コイルC2では信号線Q3の信号が誘起され、検知線S1には信号線Q2の信号と信号線Q3の逆相信号が誘起されるので、図4に示すように信号線Q2と信号線Q3の信号が重複部分がOFFとなって誘起される。
【0035】
図3に示すように、Dの位置では、検知コイルC1では信号なし、検知コイルC2では信号線Q3の信号が誘起されるので、図4に示すように検知線S1には信号線Q3の逆相信号のみが誘起される。
【0036】
図3に示すように、Eの位置では、検知コイルC1では信号線Q3の信号が誘起され、検知コイルC2では信号線Q4の信号が誘起され、図4に示すように検知線S1には信号線Q3の信号と信号線Q4の逆相信号が誘起されるので、信号線Q3と信号線Q4の信号が重複部分がOFFとなって誘起される。
【0037】
図3に示すように、Fの位置では、検知コイルC1では信号なし、検知コイルC2では信号線Q3と信号線Q4の信号が誘起されるので、図4に示すように検知線S1には信号線Q3及びQ4の逆相信号のみ誘起される。
【0038】
図3に示すように、Gの位置では、検知コイルC1では信号線Q2の信号が誘起され、検知コイルC2では信号線Q3及びQ4の信号が誘起されるので、図4に示すように検知線S1には信号線Q2の信号と、信号線Q3及びQ4の逆相信号が誘起され、信号線Q2の信号と信号線Q3の信号の重複部分はOFFの状態で誘起される。
【0039】
検知部10は、上記の様にセンサーユニット9の検知位置に対応して検知線S1に誘起された信号のON時間を、各駆動信号のON時間と比較することにより、センサーユニット9の検知位置を知ることが出来る。
【0040】
(3) 変形例・適用例等
第1例では、信号線が4本、センサーユニット9の検知コイルが2個、信号搬送コイルが1個であったが、これらの数をより多くすることにより検出位置を増加させることも可能である。
【0041】
第1例によれば、センサーユニットは磁性体を有する3個のコイルのみで構成されるため小型・軽量化が可能であり、液面検出の様に可動部を小さくする装置に向いている。
図5は第1例の位置検知装置1を液面計へ適用した場合の構造例の概略を示すものであり、貯槽内の液体中に立設した支柱20に沿って液面に浮かぶフロート21が図中矢印で示すように上下動できるようにしておく。この支柱20の表面には、液面が移動する上下方向が第2方向となるように信号線Q1〜Q4及び検知線S1を配置する。フロート21の内周面側には前記センサーユニット9に相当する検知コイルC1,C2及び信号搬送コイルCTを設け、各コイルC1,C2,CTが各信号線Q1〜Q4に対応した位置に来るようにし、この位置がずれないようにフロート21には図示しない回り止めを設ける。
【0042】
液面が上下してフロート21が移動し、フロート21に設けた検知コイルC1,C2が対面する信号線Q1〜Q4の検知位置が変われば、検知部10は当該検知位置を検知線S1に流れる前述したような交流信号の波形パターンから検知できるので、液面の位置を知ることができる。
【0043】
図6及び図7は、第1例の位置検知装置1を液面計へ適用した場合のさらに具体的な構造例を示すものであり、図6はフロート22として水面に浮かび、水面と共に上下動するセンサーユニット9の横断面図、図7は該センサーユニット9が取り付けられた支柱23の正面図である。なお、この液面計としての位置検知装置の回路構成及び作用は、図1、図3及び図4を参照して説明した第1例と実質的に同一である。
【0044】
図6に示すセンサーユニット9は、直方体形状とされたモールド樹脂24の中に前述した各種コイルが防水構造にて埋め込まれた部品であり、後述する駆動部2及び検知部10を含む支柱23とは機械的に別体であり、電気的にも非接続であり、独立した部品となっている。モールド樹脂24の中央には上下に貫通する円形の案内孔24aが設けられており、さらに案内孔24aの内周面には横断面形状が矩形の案内凹部24bが上下方向に貫通して開口している。そして、モールド樹脂24の内部には、案内孔24aの内周面に近接した位置に、内周面の周方向について所定間隔をおいて、磁性体25に巻装された2つの検知コイルC1,C2と1つの信号搬送コイルCTが設けられており、案内孔24aの内周面に沿って配置される後述する信号線等と電磁結合できるように構成されている。
【0045】
図7に示す支柱23は、液面のレベルを検知しようとする液体中に鉛直縦長の姿勢で配置される棒状の部材である。支柱23は、センサーユニット9の案内孔24aよりもやや小さい外径を有する円柱体であり、その外周面にはセンサーユニット9の案内凹部24bよりも横断面形状の小さい回転防止リブ23bが上下方向に連続して形成されている。従って、センサーユニット9の案内孔24aに支柱23を挿入し、センサーユニット9の案内凹部24bに支柱23の回転防止リブ23bを挿入すると、センサーユニット9は支柱23に沿って上下動可能であるが、案内凹部24bと回転防止リブ23bの係合により、回転することはできない。
【0046】
図6に示すように、支柱23の外周面には、信号線Q1〜Q4及び検知線S1を絶縁性のシート材によって防水構造で挟んでなる前記シート3が取り付けられており、信号線Q1〜Q4及び検知線S1の配置は、液面が移動する支柱の上下方向(軸線の方向)が第2方向となるように構成されている。
【0047】
図7に示すように、液面が到達しない支柱23の上端には、本体部26が設けられている。この本体部26には、図1に示す駆動部2と検知部10が防水乃至防滴構造で内蔵されており、前記シートの信号線Q1〜Q4には駆動部2が接続されて駆動信号を供給し、検知線S1には検知部10が接続されて検知線S1に誘導された信号を検知することによりセンサーユニット9の位置を検出できるようになっている。
【0048】
以上の構成において、液面のレベルを検知しようとする液体中に支柱23を鉛直縦長の姿勢で配置し、センサーユニット9を支柱23に挿入して液面に浮かべる。例えば何らかの液体貯槽中の液体の液量を検出する場合は当該貯槽内にセンサーユニット9をセットした支柱23を設け、また河川や海等の水位を監視のために測定する場合は河川・海等の所定の監視位置に本装置を設置する。
【0049】
液面に浮かんだセンサーユニット9は、その液面の位置に応じて、支柱23側にある信号線Q1〜Q4のいずれかの検知位置に配置された状態となる。本体部26の駆動部2が信号線Q1〜Q4を交流駆動すると、当該検知位置において電磁結合位置にある信号線Q1〜Q4とセンサーユニット9の検知コイルC1,C2が電磁結合し、この検知コイルC1,C2に交流が誘起される。この交流が前記信号搬送コイルCTに流れて前記検知線S1に検知信号を発生させる。該検知信号は本体部26の検知部10で検知されるが、その波形は前記検知位置において電磁結合位置に配置されている信号線Q1〜Q4のパターンの組合せに対応しているので、この波形からセンサーユニット9が信号線Q1〜Q4のいずれの検知位置に配置されているかが分かる。すなわち、センサーユニット9が、支柱23の長手方向のどの位置に存在しているかが分かり、従ってセンサーユニット9が浮かんでいる水面の位置が判明する。
【0050】
2.第2実施形態(第2例、図8〜図11)
図8は、第2例の位置検知装置30の構成を示すブロック図であり、図9は第2例における電磁結合部の断面図であり、図10は、第2例のシートにおける信号線の配線パターンを電磁結合部との関係で示した配線図であり、図11は、第2例における駆動波形及び検知波形を示す波形図である。
【0051】
(1) 構成
第2例の電磁誘導を利用した位置検知装置30は、巻き尺のような使い勝手で長さ乃至距離を測定するために使用できる。
【0052】
図8に示すように、この位置検知装置30の駆動部である本体31は、商用電源4もしくは電池から供給される電力を一定な電圧に変換する電源4と、回路を制御する基準となる信号を発生させる発振回路5と、発振回路5の信号を必要とする信号に変換・分周する分周回路6と、信号線への動作を司る制御信号を発生する制御回路7と、制御回路7よりの信号により電源4からの電流を電磁結合部に供給する駆動回路8と、駆動回路8によって駆動される電磁結合部32とを有している。
【0053】
図9に示すように、電磁結合部32は、駆動回路8からの出力により磁気回路を発生させるための磁性体15とこれに巻き込まれた巻線とで構成された3個の駆動コイルC4〜C6を有しており、後述するシート33の信号線に電磁誘導の原理により交流信号を誘起させるように構成されている。
【0054】
図8に示すように、さらに前記本体31には、信号線Q1〜Q3が設けられたシート33をドラム体に巻装収納し、必要に応じて該シート33を繰り出し又は巻き取ることができる巻き取り機構34が設けられている。図10に示すように、このシート33は長尺帯状の部材であり、第1例の信号線と同様のパターンで構成された独立した3本の信号線Q1〜Q3が、前記第2方向を長尺帯状の長手方向と一致させて基端部と先端部との間を引き回されてループ状となるように構成されている。なお、図9に示すように、上記信号線Q1〜Q3は上下2枚の絶縁性のシート材の間に挟まれて設けられており、十分な防湿、防水構造となっている。
【0055】
図8及び図10に示すように、シート33の先端部には、シート33上の信号線Q1〜Q3に流れる交流信号を直流に変換して回路の電源4とする電源回路35と、信号線Q1〜Q3の交流信号を増幅・安定させる波形整形回路36と、信号線Q1〜Q3の信号を判定してシート33が引き出された距離を算出する演算回路12と、算出されたデータを表示する表示器13とを筐体37内に収納してなる検知部10が設けられている。
【0056】
図8及び図9に示すように、前記シート33は、本体31の電磁結合部32に設けられた3個の駆動コイルC4〜C6を経て本体31外に導出される。駆動回路8によって交流駆動される各駆動コイルC4〜C6の磁気回路中をシート33の各信号線Q1〜Q3が通過する構成とされているため、シート33上に設けられた信号線Q1〜Q3には、各駆動コイルC4〜C6と対面する部分での信号線Q1〜Q3の配線パターンに応じた交流信号が電磁誘導により誘起され、この交流信号は前記検知部10によって検知される。
【0057】
すなわち、電磁結合部32を通過しているシート33の信号線Q1〜Q3には、駆動コイルC4〜C6によって誘起された電流が流れるが、各信号線Q1〜Q3は、シート33が本体31より引き出された時に、各検知位置において誘導起電力が発生するか否かを配線パターンにより設定してあるので、その引き出し長さに対応したシート33の検知位置(駆動コイルC4〜C6と対面している長手方向の位置)を、信号線Q1〜Q3に発生する交流信号の波形から判断することができる。
【0058】
(2) 作用
以上の構成によれば、シート33を巻き取り機構34から任意の長さだけ引き出した状態で、電磁結合部32を駆動回路8によって交流駆動すれば、信号線Q1〜Q3には電磁誘導により交流信号が誘起され、この交流信号は引き出したシート33の先端に設けられた検知部10で検知される。ここで、検知部10において検知される交流信号は、電磁結合部32の各駆動コイルC4〜C6が対面しているシート33の各信号線Q1〜Q3の配線パターンに応じた波形となるので、信号線Q1〜Q3に設定された複数の検知位置のいずれと電磁結合部32が対面しているかを該波形から判断することができ、シート33をどれ程の長さだけ巻き取り機構34から引き出したが判断できる。
【0059】
従って、測定起点に本体31を設置して測定方向にシート33を引き出していけば、電磁結合部32を通過しながらシート33が引き出されていき、シート33の各検知位置A〜Oが電磁結合部32を順次通過・移動していき、信号線Q1〜Q3には通過した駆動コイルC1〜C3による電流が誘起される。そこで表示部13の表示を見て、適当な検知位置が検出されたところでシート33の引き出しを停止すれば、測定起点からシート33の先端までの長さを測定することができる。
【0060】
上述した第2例の位置検知装置30における作用を、図11を参照してさらに詳細に説明する。本体31の駆動回路8から駆動コイルC4〜C6へは、図11中の拡大図に示すように、数kHzから数百kHzの交流信号が間欠信号として印加される。ここで交流が出力している状態をONと呼ぶ。信号線Q1〜Q3に誘起される各信号は、基点となる信号からの時間差にてその種類を確定するため、駆動コイルC4〜C6に与えられる駆動信号は、長いON信号ののちに時間差で与えられる所定時間ONとなる連続波形としている。
【0061】
以下に電磁結合部32に対面するシート33の検知位置と、その時に信号線Q1〜Q3に誘起される信号波形の概要を、図10及び図11を参照して説明する。
図10に示すように、Aの位置では、電磁結合部32の駆動コイルC4に対応して信号線Q1のみがあるため、図11に示すように、信号線Q1に駆動コイルC4の信号が誘起され、その他の信号線Q2・信号線Q3には信号は誘起されない。
【0062】
図10に示すように、Cの位置では、電磁結合部32の駆動コイルC4に対応して信号線Q1、駆動コイルC5に対応して信号線Q2、駆動コイルC6に対応して信号線Q3がそれぞれ存在するため、図11に示すように、信号線Q1には駆動コイルC4の信号が誘起され、信号線Q2には駆動コイルC5の信号が誘起され、信号線Q3には駆動コイルC6の信号が誘起される。
【0063】
図10に示すように、Dの位置では、電磁結合部32の駆動コイルC4に対応して信号線Q1と信号線Q2、駆動コイルC6に対応して信号線Q3がそれぞれ存在するため、図11に示すように、信号線Q1及びQ2には駆動コイルC1の信号が誘起され、信号線Q3には駆動コイルC6の信号がそれぞれ誘起される。
【0064】
図10に示すように、Hの位置では、信号線Q1が駆動コイルC4及びC5を通過しているために、図11に示すように、信号線Q1には駆動コイルC4の信号と、駆動コイルC5の信号とを合わせた信号が誘起される。信号線Q2と信号線Q3はいずれの駆動コイルも通過していないため信号は誘起されない。
【0065】
図10に示すように、Kの位置では、信号線Q1と信号線Q2が駆動コイルC5を通過しているために、図11に示すように、信号線Q1と信号線Q2には駆動コイルC5の信号が誘起される。信号線信号線Q3はいずれの駆動コイルも通過していないため信号は誘起されない。
【0066】
図10に示すように、Mの位置では、駆動コイルC5を信号線Q1が通過し、駆動コイルC6を信号線Q2が通過するため、図11に示すように、信号線Q1に駆動コイルC5の信号が誘起され、信号線Q2に駆動コイルC6の信号が誘起される。信号線Q3はいずれの駆動コイルも通過していないので信号は誘起されない。
【0067】
図10に示すように、Oの位置では、駆動コイルC5に対応して信号線Q2が存在し、駆動コイルC6に対応して信号線Q3が存在するため、図11に示すように、信号線Q2に駆動コイルC5の信号が誘起され、信号線Q3に駆動コイルC6の信号が誘起される。信号線Q1はいずれの駆動コイルも通過していないため信号は誘起されない。
【0068】
(3) 変形例・適用例等
第2例では、信号線が3本、電磁結合部32の駆動コイルが3個であったが、これらの数をより多くすることにより検出位置を増加させることも可能である。
【0069】
第2例によれば、本体31から引き出したシート33の長さを、シート33の先端に設けた表示部13に表示することができるので、本体31を設けた起点から、引き出したシート33の先端部が達した測定点までの距離を計る測定器として巻尺の様に使用できる。
【0070】
3.第3実施形態(第3例、図12〜図15)
図12は、第3例の位置検知装置40の構成を示すブロック図であり、図13は第3例における電磁結合部の断面図であり、図14は、第3例のシートにおける信号線の配線パターンを電磁結合部との関係で示した配線図であり、図15は、第3例における駆動波形及び検知波形を示す波形図である。
【0071】
(1) 構成
第3例の電磁誘導を利用した位置検知装置40は、図12に示すように、電気的に独立した複数本(本例では3本)の配線である信号線Q1〜Q3を有している。これらの信号線Q1〜Q3は、線と直交する方向(第1方向)に並べられ、長手方向(第2方向)に延設されて全体として閉ループ状に構成され、後述するように、一部が特殊なコード化領域となるように形成されている。
【0072】
図12に示すように、この位置検知装置40の駆動部2’は、商用電源4もしくは電池から供給される電力を一定の電圧に変換する電源4と、回路を制御する基準となる信号を発生させる発振回路5と、発振回路5の信号を必要とする信号に変換・分周する分周回路6と、信号線への動作を司る制御信号を発生する制御回路7と、制御回路7からの制御信号により、前記信号線のコード化領域以外の位置に設置した電磁結合部41の駆動コイルC4〜C6に基準信号である電源4からの電流を供給する駆動回路8を有している。
【0073】
図12に示すように、この位置検知装置40の検知部10’は、前記信号線Q1〜Q3のコード化領域に配置された電磁結合部42の検知コイルC1〜C3からの信号を増幅する増幅器11と、基準信号である駆動コイルC4〜C6に加えられる駆動信号と前記増幅器11で増幅された検知コイルC1〜C3からの信号とにより前記信号線Q1〜Q3のコード化領域に設置した電磁結合部42の位置を算出する演算回路12と、その結果を表示する表示器13を有している。なお、表示器13の代わりに、又は表示器13とともに、演算回路12が算出した電磁結合部42の位置を示す信号により制御される外部機器を設ける構成とすることもできる。
【0074】
前述した駆動側及び検知側の2つの電磁結合部41,42は同一の構成であり、図13に示すように第2例(図9)の電磁結合部32と略同一の構成である(図13中には駆動側を例示する)。すなわち、駆動コイルC4〜C6は駆動回路8からの出力により磁気回路を発生させるための磁性体15とこれに巻き込まれた巻線とを有し、この磁気回路中を前記信号線Q1〜Q3が通過することにより該信号線には電磁誘導により電力が誘起される。検知コイルC1〜C3は、駆動側とは逆に信号線に流れる電流を磁気結合にて磁性体15に巻かれた巻線で信号として検出する。なお、第3例では、駆動側の電磁結合部41を有する駆動部2’と、検知側の電磁結合部42を有する検知部10’とは、前記信号線Q1〜Q3とは別体の構成部品として一体に構成されており、センサーユニット45を構成している。
【0075】
第3例の電磁誘導を利用した位置検知装置40では、図13に示すように絶縁性の上下2枚のシート材に前記信号線Q1〜Q3が挟まれおり、防湿性乃至防水性及び可撓性のある薄片状の独立の構成部品であるシート43として構成されている。このシート43は、図14に示すように外形が長尺帯状である。また信号線Q1〜Q3は、第1例の信号線と同様のパターンであり、前記第2方向がシート43の長尺帯状の長手方向と一致するように、シート43の基端部と先端部との間を引き回されてループ状に構成されている。
【0076】
図14に示すように、前記シート43内に設けられた信号線Q1〜Q3は、長手方向に沿う一方側(図14において下側)が、駆動部2’側の電磁結合部41の駆動コイルC4〜C6によって基準信号である駆動信号を与えられる直線部分とされており、また、長手方向に沿う他方側(図14において上側)が、各検知位置A〜Oごとに各信号線Q1〜Q3がそれぞれの電磁結合位置にあるか否かの組合せが異なるような配線パターンで形成されたコード化領域とされている。このコード化領域に検知部10’側の電磁結合部42の検知コイルC1〜C3を配置すれば、配置した検知位置A〜Oに対応した駆動信号の組合せである検知信号を得ることができる。このように、第3例の信号線Q1〜Q3は、駆動信号が与えられる部分と、信号が取り出されるコード化領域とが、隣接して同方向に並んでいるので、駆動側及び検知側を一体化したセンサーユニット45の電磁結合部41,42を配線に沿って移動させることで、駆動と検知を行うことができる。
【0077】
(2) 作用
以上の構成において、シート43を測定対象上に敷き、信号線Q1〜Q3に対して正規に対面するようなシート43上の所定位置にセンサーユニット45の電磁結合部41,42を配置し、駆動回路8によって駆動コイルC4〜C6を交流駆動しながらセンサーユニット45の電磁結合部41,42を長手方向に沿って移動させる。信号線Q1〜Q3には電磁誘導により交流信号が誘起される。この交流信号が検知コイルC1〜C3に交流信号を誘起し、この交流信号が前記検知部10’に検知される。ここで、検知部10’において検知される交流信号は、駆動コイルC4〜C6が対面しているシート43の信号線Q1〜Q3の各検知位置A〜Oごとに異なるように設定された配線パターンに応じた波形となるので、信号線Q1〜Q3に設定された複数の検知位置A〜Oのいずれと電磁結合部42が対面しているかを該波形から判断することができ、シート43の長手方向のいずれの位置にセンサーユニット45の電磁結合部42があるかが判断できる。
【0078】
上述した第3例の位置検知装置40における作用を、図15を参照してさらに詳細に説明する。駆動回路8から電磁結合部41の各駆動コイルC4〜C6へは数kHzから数百kHzの交流信号が間欠信号として印加される。ここで交流が出力している状態をONと呼ぶ。
【0079】
検知部10’の電磁結合部32の検知コイルC4〜C6は、位置情報のデータが得られる様にパターン形成された信号線のコード化領域を移動することにより、駆動コイルC4〜C6によって信号線Q1〜Q3に誘起された交流信号のON時間を組み合わせ信号を位置検知信号として検知することができる。
【0080】
以下に駆動側の電磁結合部32の検知コイルに対面するシート43の各検知位置と、その時に電磁結合部32の検知コイルに誘起される信号波形の概要を、図14及び図15を参照して説明する。
図14に示すように、Aの位置では、検知コイルC1に対応して信号線Q1のみがあるため、図15に示すように、検知コイルC1には駆動コイルC4の信号が誘起され、その他の検知コイルC2、C3には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0081】
図14に示すように、Bの位置では、検知コイルC1に対応して信号線Q1、検知コイルC2は信号線Q2があるため、図15に示すように、検知コイルC1には駆動コイルC4、検知コイルC2には駆動コイルC5の信号が誘起され、検知コイルC3には対応する配線が無いため信号は誘起されない。
【0082】
図14に示すように、Cの位置では、検知コイルC1に対応して信号線Q1、検知コイルC2に対応して信号線Q2、検知コイルC3に対応して信号線Q3がそれぞれあるため、図15に示すように、検知コイルC1には駆動コイルC4、検知コイルC2には駆動コイルC5、検知コイルC3には駆動コイルC6の各信号が誘起される。
【0083】
図14に示すように、Eの位置では、検知コイルC1に対応して信号線Q1及びQ2が対応し、検知コイルC2に対応して信号線Q3があるため、図15に示すように、検知コイルC1に駆動コイルC4及びC5の信号が誘起され、検知コイルC2に駆動コイルC6の信号が誘起され、検知コイルC3には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0084】
図14に示すように、Gの位置では、検知コイルC1に対応して信号線Q1、検知コイルC3に対応して信号線Q2があるため、図15に示すように、検知コイルC1には駆動コイルC1の信号が誘起され、検知コイルC3には駆動コイルC2の信号が誘起され、検知コイルC2には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0085】
図14に示すように、Hの位置では、検知コイルC1及びC2に対応して信号線Q1があるため、図15に示すように、検知コイルC1及びC2に駆動コイルC4の信号が誘起され、検知コイルC3には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0086】
図14に示すように、Jの位置では、検知コイルC1に対応して信号線Q1があり、検知コイルC2に対応して信号線Q1及びQ2があり、検知コイルC3に対応して信号線Q3があるため、図15に示すように、検知コイルC1には駆動コイルC4の信号が誘起され、検知コイルC2には駆動コイルC4及びC5の信号が誘起され、検知コイルC3には駆動コイルC6の信号が誘起される。
【0087】
図14に示すように、Lの位置では、検知コイルC2に対応して信号線Q1及びQ2があるため、図15に示すように、検知コイルC2には駆動コイルC4及びC5の信号が誘起される。検知コイルC1及びC3には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0088】
図14に示すように、Mの位置では、検知コイルC2に対応して信号線Q1があり、検知コイルC3に対応して信号線Q2があるため、図15に示すように、検知コイルC2には駆動コイルC4の信号が誘起され、検知コイルC3には駆動コイルC5の信号が誘起される。検知コイルC1には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0089】
図14に示すように、Nの位置では、検知コイルC3に対応して信号線Q2があるため、図15に示すように、検知コイルC3には駆動コイルC5の信号が誘起される、検知コイルC1及びC2には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0090】
図14に示すように、Oの位置では、検知コイルC2に対応して信号線Q2があるため、図15に示すように、検知コイルC2には駆動コイルC5の信号が誘起される、検知コイルC1及びC3には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0091】
(3) 変形例・適用例等
第3例では、信号線が3本、センサーユニット45の駆動コイル及び検知コイルがそれぞれ3個ずつであったが、これらの数をより多くすることにより検出位置を増加させることも可能である。
【0092】
第3例の位置検知装置40を長さ測定に適用する場合には、シート43を測定対象(例えばグラウンド等の地面の上)に敷いておき、駆動部2’と検知部10’を作動させながら、電磁結合部41,42を有するセンサーユニット45をシート43の長手方向に沿って(信号線の第2方向に沿って)移動していき、検知部10’の検知結果を表示部13で確認しながら、所望の位置でセンサーユニット45を止めれば、電磁結合部42の移動量を示す検知部10’の検知結果から、センサーユニット45又は電磁結合部42の所望の移動長さ(基準位置からの所定距離)を得ることができる。
【0093】
また、第3例の位置検知装置40は、測定対象に設けるシート43と、測定対象の測定のためにシート43上を移動させるセンサーユニット45(電磁結合部41,42)とを配線で接続する必要がなく、測定の分解能や検知位置はシート43側の配線の変更で容易に対応できるため、移動体の位置検出や回転体の位置検出に適している。
【0094】
図16は、前述した第3例を、移動体の位置検出に適用した場合の具体的な構成例を示したものである。移動体50の測定面となる上面に前記シート43を固定し、これと対向する位置にセンサーユニット45を配置する。
【0095】
かかる配置において、センサーユニット45の駆動部2’が各駆動コイルC4〜C6へ交流信号を間欠信号として印加し、この状態において移動体50が第2方向に沿ってある長さだけ移動したとする。センサーユニット45の検知コイルC4〜C6は、位置情報のデータが得られる様に信号線がパターン化されたシート43のコード化領域に沿い、シート43に対して相対的に移動するので、センサーユニット45が対面しているコード化領域の位置に応じて、信号線Q1〜Q3に誘起されている交流信号のON時間の組み合わせ信号を位置検知信号として検知、出力する。
【0096】
移動体50がある距離を移動してある位置で停止したとき、センサーユニット45の検知部10’の表示部13で検知結果を確認すれば、位置検知信号が異なるコード化領域の各位置A〜Oの基準位置(出発点乃至測定開始位置)からの距離は判っているので、移動体が基準位置から移動した距離を得ることができる。
【0097】
図17は、前述した第3例を、回転体の位置検出に適用した場合の具体的な構成例を示したものである。円板形の回転体51は、円板の図形中心にある図示しない回転軸を中心として回動自在とされており、その外周面に接して回動する回転体駆動部52から駆動力を与えられて回転する。回転体の外周面には、周方向が第2方向となるように前記シート43を固定し、これと対向する位置にセンサーユニット45を配置する。なお図17においては、センサーユニット45は、回転体51のシート43に対面して配置された電磁結合部41,42と、これを制御する制御部本体としての駆動部2’及び検知部10’とに分けて示してある。
【0098】
かかる配置において、センサーユニット45の制御部本体の駆動部2’が各駆動コイルC4〜C6へ交流信号を間欠信号として印加し、この状態において回転体51がある長さだけ回転したとする。センサーユニット45の検知コイルC4〜C6は、位置情報のデータが得られる様に信号線がパターン化されたシート43のコード化領域に沿い、シート43に対して相対的に移動するので、センサーユニット45が対面しているコード化領域の位置に応じて、信号線Q1〜Q3に誘起されている交流信号のON時間の組み合わせ信号を位置検知信号として検知、出力する。
【0099】
回転体51が回転してある位置で停止したとき、センサーユニット45の制御部本体の検知部10’において表示部13で検知結果を確認すれば、位置検知信号が異なるコード化領域の各位置A〜Oの基準位置(出発点乃至測定開始位置)からの回転角度は判っているので、回転体51の回転位置(基準位置から回転した量(回転角度))を得ることができる。
【0100】
また、制御部本体の検知部10’が検知コイルC1〜C3から得た回転体51の前記回転位置のデータを回転体駆動部52に出力し、その駆動制御に利用すれば、回転体51の停止、速度制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、第1例の位置検知装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1例における電磁結合部としてのセンサーユニットの断面図である。
【図3】図3は、第1例における信号線の配線パターンをセンサーユニットとの関係で示した配線図である。
【図4】図4は、第1例における駆動波形及び検知波形を示す波形図である。
【図5】図5は、第1例の具体的な適用例の一構造例を概略的に示す斜視図である。
【図6】図6は、第1例のさらに具体的な適用例を示す断面図である。
【図7】図7は、第1例のさらに具体的な適用例を示す正面図である。
【図8】図8は、第2例の位置検知装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は第2例における電磁結合部の断面図である。
【図10】図10は、第2例のシートにおける信号線の配線パターンを電磁結合部との関係で示した配線図である。
【図11】図11は、第2例における駆動波形及び検知波形を示す波形図である。
【図12】図12は、第3例の位置検知装置の構成を示すブロック図である。
【図13】図13は第3例における電磁結合部の断面図である。
【図14】図14は、第3例のシートにおける信号線の配線パターンを電磁結合部との関係で示した配線図である。
【図15】図15は、第3例における駆動波形及び検知波形を示す波形図である。
【図16】図16は、第3例の位置検出装置を移動体の位置検出に用いた場合を示す断面図である。
【図17】図17は、第3例の位置検出装置を回転体の位置検出に用いた場合を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0102】
1,30,40…位置検知装置
2,2’…駆動部
3,33,43…シート(可撓性のパターン基板)
9…電磁結合部としてのセンサーユニット
10,10’…検知部
31…駆動部としての本体
32,41,42…電磁結合部
34…巻き取り機構
45…電磁結合部としてのセンサーユニット
50…移動体
51…回転体
C1〜C3…検知コイル
C4〜C6…駆動コイル
CT…信号搬送コイル
Q1〜Q4…信号線
S1…検知線
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的な位置の検出や長さ・距離の測定を行う位置検知装置に係り、特に、電磁誘導の原理を応用し、相対的に移動可能とされた信号線とコイルの一方を交流駆動して他方から交流信号を取り出し、その波形によって位置等の割り出しを行う位置検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械的な位置の検出や長さの測定を電気的に行う場合は、従来は直接的な機械接点のON/OFFによって必要な位置を検出するものが一般的であった。例えば、下記特許文献1には、液面の上下に伴い上下動するフロートに磁石を設け、この磁石の位置変動によってリードスイッチの接点を開閉することで液面を検出する液面計に関する発明が開示されている。
【特許文献1】特開2003−214928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような直接的な機械接点のON/OFFによって必要な位置を検出する方法では、一つの装置で複数の位置を検出することは困難であった。そこで、複数の位置を検出する手法として、対象物の異なる複数の位置コードを印刷し、これを光学センサで読み取る方法も提案されているが、この方法では光学センサに対する外光の影響や対象物に印刷したコードの汚れ・埃の付着等により読取エラーの可能性が高いので設置できる環境が制限されていた。
【0004】
そこで本発明は、一つの装置で複数の位置を検出することができ、外光の影響や環境条件の制約を受けにくいために設置場所の自由度が高く、例えば屋外や水中等でも使用可能であるような位置検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載された位置検知装置は、第1方向に並べられて第2方向に延設される電気的に独立した複数本の配線であって、各配線の電磁結合位置が第1方向について定められるとともに、第2方向に沿って複数の検知位置が設定されており、前記各検知位置ごとに、前記各配線がそれぞれの前記電磁結合位置にあるか否かの組合せが異なるような配線パターンで形成された複数本の信号線と、
前記信号線の前記第2方向に沿って相対的に移動可能に設けられ、前記各検知位置に配置された場合に前記各信号線の前記各電磁結合位置に設定される複数のコイルを有する電磁結合部と、
前記複数本の信号線又は前記電磁結合部の各コイルを交流駆動する駆動部と、
前記複数本の信号線又は前記電磁結合部の各コイルを前記駆動手段によって交流駆動した場合に、前記各電磁結合位置において電磁誘導により前記電磁結合部の各コイル又は前記複数本の信号線に誘起される交流信号を検出して、前記信号線の前記第2方向における前記電磁結合部の位置を検知する検知部と、
を有することを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載された位置検知装置は、請求項1記載の位置検知装置において、
前記信号線とは電気的に独立して設けられ、前記信号線と隣接するように前記第1方向に並べられて前記第2方向に延設され、前記複数の検知位置では第1方向について定められた前記電磁結合位置に配置されるような配線パターンで形成され、前記検知部に接続された検知線をさらに有し、
前記電磁結合部の前記複数のコイルは、前記信号線の前記各検知位置に配置された場合に前記各電磁結合位置にある前記各信号線に流れる交流によって交流が誘起される検知コイルであり、
前記電磁結合部は、前記各検知位置に配置された場合に前記検知線に設定される信号搬送コイルをさらに備えるとともに、該信号搬送コイルには前記検知コイルが直列に接続されており、
前記駆動手段が前記信号線を交流駆動すると、前記信号線のいずれかの前記検知位置に配置された前記電磁結合部では、前記検知コイルに交流が誘起され、この交流が前記信号搬送コイルに流れて前記検知線に検知信号を発生させ、該検知信号を前記検知部が検知することにより前記電磁結合部が前記信号線のいずれの前記検知位置に配置されているかを検知することを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載された位置検知装置は、請求項1記載の位置検知装置において、
前記駆動部と、前記駆動部によって交流駆動される前記電磁結合部と、前記信号線が設けられ前記第2方向を長手方向とするシートを前記電磁結合部を経て出し入れ自在とした巻取機構とが設けられた本体を有し、
前記シートの先端には前記信号線に発生する交流の波形から前記シートの繰り出し長さを検知する前記検知部が設けられ、
前記駆動手段が前記電磁結合部の前記コイルを交流駆動して前記シートの前記信号線に誘起する交流を前記検知部が検知することにより、前記シートの前記信号線のいずれの前記検知位置が前記電磁結合部に位置しているかを検知して前記シートの前記本体からの引き出し長さを検知することを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載された位置検知装置は、請求項1記載の位置検知装置において、
前記複数本の信号線は、前記第2方向を長手方向とするシートにそれぞれ閉ループ状に構成され、前記第2方向に沿うその一方側が前記配線パターンで形成されるとともに、前記第2方向に沿うその他方側は前記一方側の前記検知位置において一定の間隔をおいてそれぞれ第2方向に平行となるように形成されており、
前記電磁結合部の前記複数のコイルは、前記検知部に接続されており、前記信号線の前記各検知位置に配置された場合に前記各電磁結合位置にある前記各信号線に流れる交流によって交流が誘起される検知コイルであり、
前記電磁結合部には、前記駆動部に接続され、前記信号線の前記他方側の前記各検知位置に配置された場合に前記駆動部から与えられた交流により前記信号線を交流で駆動する駆動コイルがさらに設けられており、
前記駆動手段が前記電磁結合部の前記駆動コイルを交流駆動すると、前記シートの前記信号線に交流が誘起され、この交流が前記電磁結合部の前記検知コイルに交流を誘起し、この交流が前記検知部に検知されることにより、前記シートの前記信号線のいずれの前記検知位置に前記電磁結合部が設定されているかを検知することを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載された位置検知装置は、請求項1記載の位置検知装置において、
前記駆動部が前記信号線又は前記コイルに与える交流は間欠信号であり、前記検知部は前記間欠信号の組合せによって前記第2方向に関する前記信号線と前記電磁結合部の相対的な位置を検知することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載された位置検知装置によれば、複数本の信号線を駆動手段によって交流駆動すれば、電磁結合部のコイルには電磁誘導により交流信号が誘起されるので、これを検知部で検出することができる。又は、電磁結合部のコイルを駆動手段によって交流駆動すれば、複数本の信号線には電磁誘導により交流信号が誘起されるので、これを検知部で検出することができる。ここで、検知部において検知される交流信号は、電磁結合部が配置されている信号線の各検知位置ごとに異なる配線パターンに応じた波形となるので、信号線に設定された複数の検知位置のいずれに電磁結合部が存在するかを、この波形から判断することができ、信号線に対する電磁結合部の相対的な位置を検出することができる。
【0011】
請求項2に記載された位置検知装置によれば、複数本の信号線を駆動手段によって交流駆動すれば、電磁結合部の検知コイルには電磁誘導により交流信号が誘起される。検知コイルに誘起された交流信号は、電磁結合部の信号搬送コイルに加えられて検知線に交流信号を発生させ、この交流信号が検知部で検出される。ここで、検知部において検知される交流信号は、電磁結合部が配置されている信号線の各検知位置ごとに異なる配線パターンに応じた波形となるので、信号線に設定された複数の検知位置のいずれに電磁結合部が存在するかを、この波形から判断することができ、信号線に対する電磁結合部の相対的な位置を検出することができる。
【0012】
例えば、請求項2に記載された位置検知装置を液面計へ適用する場合には、信号線の第2方向を液面が移動する上下方向に設定しておき、電磁結合部をフロートに設けて液面の上下に伴い信号線に沿って上下動可能としておけば、液面が上下してフロートが移動し、フロートに設けた電磁結合部が対面する信号線の検知位置が変われば、検知部は当該検知位置を検知線に流れる交流信号の波形から検知できるので、液面の位置を知ることができる。
【0013】
請求項3に記載された位置検知装置によれば、シートを巻取機構から任意の長さだけ引き出した状態で、電磁駆動部を駆動手段によって交流駆動すれば、信号線には電磁誘導により交流信号が誘起され、この交流信号は引き出したシートの先端に設けられた検知部で検知される。ここで、検知部において検知される交流信号は、電磁結合部が対面しているシートの信号線の各検知位置ごとに異なる配線パターンに応じた波形となるので、信号線に設定された複数の検知位置のいずれと電磁結合部が対面しているかを該波形から判断することができ、シートをどれ程の長さだけ巻取機構から引き出したが判断できる。
【0014】
例えば、請求項3に記載された位置検知装置を長さ測定に適用する場合には、シートの検知位置乃至これに対応するシート引き出し長さを表示できる表示手段をシートの先端に設けた検知部に設けておき、測定起点に本体を設けて測定方向にシートを引き出していき、表示手段の表示を見てシートの引き出しを停止すれば、測定起点からシート先端までの長さを測定することができる。
【0015】
請求項4に記載された位置検知装置によれば、シートを測定対象上に敷き、シートの長手方向に沿って電磁結合部を移動させていき、所望の距離だけ移動したところで停止する。この状態において電磁駆動部の駆動部を駆動手段によって交流駆動すれば、信号線には電磁誘導により交流信号が誘起され、この交流信号が電磁駆動部の検知コイルに交流信号を誘起し、この交流信号が前記検知部に検知される。ここで、検知部において検知される交流信号は、電磁結合部が対面しているシートの信号線の各検知位置ごとに異なる配線パターンに応じた波形となるので、信号線に設定された複数の検知位置のいずれと電磁結合部が対面しているかを該波形から判断することができ、シートの長手方向のいずれの位置に電磁誘導部があるかが判断できる。
【0016】
例えば、請求項4に記載された位置検知装置を長さ測定に適用する場合には、シートを測定対象(例えばグラウンド等の地面の上)に敷き、駆動部と検知部を作動させながら電磁結合部をシートの長手方向に沿って(測定線の第2方向に沿って)移動していき、検知部の検知結果を確認しながら、所望の位置で電磁結合部を止めれば、電磁結合部の移動量を示す検知部の検知結果から、電磁結合部の所望の移動長さ(基準位置からの所定距離)を得ることができる。
【0017】
請求項5に記載された位置検知装置によれば、以上の各構成における効果において、信号線又はコイルに与える交流を間欠信号としているので、電磁結合部が配置されている信号線の各検知位置に固有の配線パターンに応じた波形の信号として、位置の検知信号を得ることができる。信号線の本数乃至これに対応する電磁結合部のコイルの数を増やせば、波形で識別可能な検知位置を増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するために特許出願人が出願時点で最良と思う本発明の実施の形態を図1〜図13を参照して説明する。
1.第1実施形態(第1例、図1〜図5)
図1は、第1例の位置検知装置の構成を示すブロック図であり、図2は第1例における電磁結合部としてのセンサーユニットの断面図であり、図3は、第1例における信号線の配線パターンをセンサーユニットとの関係で示した配線図であり、図4は、第1例における駆動波形及び検知波形を示す波形図であり、図5は、第1例のさらに具体的な適用例を示す斜視図である。
【0019】
(1) 構成
第1例の電磁誘導を利用した位置検知装置1は、図1に示すように、電気的に独立した複数本(本例では4本)の配線である信号線Q1〜Q4を有している。これらの信号線Q1〜Q4は、線と直交する方向(第1方向)に並べられ、長手方向(第2方向)に延設されており、ループ状に引き回されて両端を駆動部2に接続され、駆動部2により交流で駆動されるようになっている。そして、これらの信号線Q1〜Q4は、図2に示すように、絶縁性のシート材に挟まれ、防湿性乃至防水性及び可撓性のある薄片状の部品であるシート(可撓性のパターン基板)3として構成されている。
【0020】
図1に示すように、駆動部2は、商用電源もしくは電池から供給される電力を一定の電圧に変換する電源4と、回路を制御する基準となる信号を発生させる発振回路5と、発振回路5の信号を必要とする信号に変換・分周する分周回路6と、前記信号線Q1〜Q4への動作を司る信号を発生する制御回路7と、制御回路7からの制御信号により電源4からの電流を信号線Q1〜Q4に供給する駆動回路8とを有している。
【0021】
駆動回路8からは、測定の基準となる信号が、電気的に独立した配線である信号線Q1〜Q4に出力される。前記信号線Q1〜Q4のうち、図1において「コード化領域」とされている範囲にある部分が、コイルを備えた電磁結合部であるセンサーユニット9の可動範囲であり、信号線はコード化領域においてはセンサーユニット9との位置関係により位置データを形成するための特殊な配線パターンを構成している(詳細は図3を参照して後述する。)。
【0022】
図1に示すように、前記信号線Q1〜Q4の前記コード化領域には、信号線Q1〜Q4に沿って1本の検知線S1がループ状に引き回されており、その両端が検知部10に接続されて、検知線S1に誘起される交流信号を検知部10にて検知できるようになっている。この検知線S1は、信号線Q1〜Q4に沿って配置されたセンサーユニット9の位置を検知する検知信号として、コード化領域においてセンサーユニット9が信号線Q1〜Q4から選択的に得た信号を検知部10まで伝達するための配線である。
【0023】
図1に示すように、検知線S1が接続された検知部10は、検知線S1の信号を増幅する増幅器11と、基準信号である信号線Q1〜Q4の信号とS1からの信号によりセンサーユニット9の位置を算出する演算回路12と、その結果を表示する表示器13からなる。なお、表示器13の代わりに、又は表示器13を設けるとともに、演算回路12が算出したセンサーユニット9の位置を示す信号により制御される外部機器を設けることとしてもよい。
【0024】
そして、信号線Q1〜Q4が特殊な配線パターンとされている前記コード化領域の範囲内で、センサーユニット9を任意の位置に配置し、駆動部2が信号線Q1〜Q4を駆動すると、センサーユニット9は、信号線Q1〜Q4の信号をその位置ごとに異なる組合せでひろい、この信号に基づいた波形の交流を検知線S1に誘起し、これが検知部10で検知されるので、その波形によってセンサーユニット9の位置が検知される。
このようなセンサーユニット9による位置検知の仕組みに関し、センサーユニット9の構造と信号線Q1〜Q4の配線パターンについて以下に詳述する。
【0025】
図2に示すように、センサーユニット9は、3個のコの字形の磁性体15にそれぞれ線を巻き込んだ3個のコイルC1,C2,CTを有しており、磁性体15のコ字形の凹部に対応した凹部が外形に現れるように、全体として樹脂等の成形材14によってモールドされた防湿、防水構造の独立した一個の部品とされている。
【0026】
センサーユニット9の3個のコイルのうち、2個は検知コイルC1,C2であり、磁性体15のコの字の間を通過する信号線Q1〜Q4に交流電流が流れると、この電流との電磁誘導結合により交流電流が誘起される。1個は信号搬送コイルCTであり、2個の前記検知コイルC1,C2にそれぞれ直列に接続され、2個の検知コイルC1,C2にて発生した交流電流を電磁誘導結合により検知線S1に伝える。第1例では、一方の検知コイルC1と他方の検知コイルC2は線の巻き方向が互いに逆向きであり、それぞれのコイルC1,C2を構成する線が磁性体15に巻かれて信号搬送コイルCTを構成している。
【0027】
前記センサーユニット9が配置される信号線Q1〜Q4のコード化領域において、センサーユニット9の位置検出のために信号線Q1〜Q4がいかなる特殊配線パターンとなっているかについて、センサーユニット9との位置関係にふれつつ説明する。
図3に示すように、コード化領域に配設された信号線Q1〜Q4には、センサーユニット9の検知コイルC1,C2と電磁結合が可能となる電磁結合位置が各配線の並設方向(第1方向、図3において横方向)について定められている。これは、センサーユニット9の各検知コイルC1,C2が信号線Q1〜Q4を受け入れる位置に相当する。また各信号線Q1〜Q4の延設方向(第2方向、図3において縦方向)に沿って所定間隔で複数の検知位置A〜Gが設定されており、前記各信号線Q1〜Q4は、各検知位置ごとに、4本の信号線Q1〜Q4がそれぞれ電磁結合位置にあるか否かの組合せが異なるように矩形に屈曲した特殊な配線パターンで形成されている。すなわち、各検知位置にセンサーユニット9を配置した場合、センサーユニット9の2つの検知コイルC1,C2と電磁結合される信号線Q1〜Q4の種類の組合せは、検知位置ごとに異なっていることになる。例えば、図3において、センサーユニット9は検知位置Bにあるが、この場合、検知コイルC1は信号線Q2とのみ電磁結合し、検知コイルC2はいずれの信号線Q2とも電磁結合しない。
【0028】
このように、各信号線Q1〜Q4は、移動可能なセンサーユニット9が配置された検知位置において、当該検知位置の検出に必要な組み合わせの信号を検知コイルC1,C2に誘起するように配置構成されている。このような信号線Q1〜Q4の実際のパターンは、センサーユニット9における検知コイルC1,C2の磁性体15の凹部の位置、間隔等を考慮して具体的に決定される。
【0029】
図3に示すように、コード化領域における検知線S1は、前記検知位置においてのみ前記電磁結合位置に存在するように鋸歯状の配線パターンで構成されている。すなわち、検知線S1は位置検知を行う位置でのみ、信号搬送コイルCTの磁性体15の位置に来る様に配置される。従って、センサーユニット9がいずれかの検知位置に配置された場合のみ、検知線はセンサーユニット9の信号搬送コイルCTと電磁結合が可能となる。
【0030】
(2) 作用
以上の構成によれば、センサーユニット9が信号線Q1〜Q4のいずれかの検知位置に配置された状態で駆動部2が信号線Q1〜Q4を交流駆動すると、当該検知位置において電磁結合位置にある信号線Q1〜Q4とセンサーユニット9の検知コイルC1,C2が電磁結合し、この検知コイルC1,C2に交流が誘起される。この交流が前記信号搬送コイルCTに流れて前記検知線S1に検知信号を発生させる。該検知信号は検知部10で検知されるが、その波形は前記検知位置において電磁結合位置に配置されている信号線Q1〜Q4の組合せに対応しているので、この波形からセンサーユニット9が信号線Q1〜Q4のいずれの検知位置に配置されているかが分かる。
【0031】
上述した第1例の位置検知装置1における作用を、図4を参照してさらに詳細に説明する。駆動部2の駆動回路8から信号線Q1〜Q4へは、図4中の拡大図に示すように、数kHzから数百kHzの交流信号が間欠信号として印加される。ここで交流が出力している状態をONと呼ぶ。信号線Q1〜Q4に与えられる信号は、隣接する信号線については一部が時間的に重畳して出力される。
【0032】
以下にセンサーユニット9の位置と検知線S1に誘起される信号の概要を図3及び図4を参照して説明する。
図3に示すように、Aの位置では、検知コイルC1では信号線Q1の信号、検知コイルC2では信号線Q2の信号が誘起される。検知コイルC1と検知コイルC2のコイルの巻き方向は互いに逆方向であるため、両方の信号がONの状態の時は信号搬送コイルCTには逆相の信号が印加される事となり、その結果として図4に示すように検知線S1には信号線Q1の信号と信号線Q2の逆相信号が誘起され、信号線Q1と信号線Q2の信号が重複部分がOFFとなって誘起される。
【0033】
図3に示すように、Bの位置では、検知コイルC1では信号線Q2の信号が誘起され、検知コイルC2では信号なしであるため、図4に示すように検知線S1には信号線Q2の信号のみが誘起される。
【0034】
図3に示すように、Cの位置では、検知コイルC1では信号線Q2の信号、検知コイルC2では信号線Q3の信号が誘起され、検知線S1には信号線Q2の信号と信号線Q3の逆相信号が誘起されるので、図4に示すように信号線Q2と信号線Q3の信号が重複部分がOFFとなって誘起される。
【0035】
図3に示すように、Dの位置では、検知コイルC1では信号なし、検知コイルC2では信号線Q3の信号が誘起されるので、図4に示すように検知線S1には信号線Q3の逆相信号のみが誘起される。
【0036】
図3に示すように、Eの位置では、検知コイルC1では信号線Q3の信号が誘起され、検知コイルC2では信号線Q4の信号が誘起され、図4に示すように検知線S1には信号線Q3の信号と信号線Q4の逆相信号が誘起されるので、信号線Q3と信号線Q4の信号が重複部分がOFFとなって誘起される。
【0037】
図3に示すように、Fの位置では、検知コイルC1では信号なし、検知コイルC2では信号線Q3と信号線Q4の信号が誘起されるので、図4に示すように検知線S1には信号線Q3及びQ4の逆相信号のみ誘起される。
【0038】
図3に示すように、Gの位置では、検知コイルC1では信号線Q2の信号が誘起され、検知コイルC2では信号線Q3及びQ4の信号が誘起されるので、図4に示すように検知線S1には信号線Q2の信号と、信号線Q3及びQ4の逆相信号が誘起され、信号線Q2の信号と信号線Q3の信号の重複部分はOFFの状態で誘起される。
【0039】
検知部10は、上記の様にセンサーユニット9の検知位置に対応して検知線S1に誘起された信号のON時間を、各駆動信号のON時間と比較することにより、センサーユニット9の検知位置を知ることが出来る。
【0040】
(3) 変形例・適用例等
第1例では、信号線が4本、センサーユニット9の検知コイルが2個、信号搬送コイルが1個であったが、これらの数をより多くすることにより検出位置を増加させることも可能である。
【0041】
第1例によれば、センサーユニットは磁性体を有する3個のコイルのみで構成されるため小型・軽量化が可能であり、液面検出の様に可動部を小さくする装置に向いている。
図5は第1例の位置検知装置1を液面計へ適用した場合の構造例の概略を示すものであり、貯槽内の液体中に立設した支柱20に沿って液面に浮かぶフロート21が図中矢印で示すように上下動できるようにしておく。この支柱20の表面には、液面が移動する上下方向が第2方向となるように信号線Q1〜Q4及び検知線S1を配置する。フロート21の内周面側には前記センサーユニット9に相当する検知コイルC1,C2及び信号搬送コイルCTを設け、各コイルC1,C2,CTが各信号線Q1〜Q4に対応した位置に来るようにし、この位置がずれないようにフロート21には図示しない回り止めを設ける。
【0042】
液面が上下してフロート21が移動し、フロート21に設けた検知コイルC1,C2が対面する信号線Q1〜Q4の検知位置が変われば、検知部10は当該検知位置を検知線S1に流れる前述したような交流信号の波形パターンから検知できるので、液面の位置を知ることができる。
【0043】
図6及び図7は、第1例の位置検知装置1を液面計へ適用した場合のさらに具体的な構造例を示すものであり、図6はフロート22として水面に浮かび、水面と共に上下動するセンサーユニット9の横断面図、図7は該センサーユニット9が取り付けられた支柱23の正面図である。なお、この液面計としての位置検知装置の回路構成及び作用は、図1、図3及び図4を参照して説明した第1例と実質的に同一である。
【0044】
図6に示すセンサーユニット9は、直方体形状とされたモールド樹脂24の中に前述した各種コイルが防水構造にて埋め込まれた部品であり、後述する駆動部2及び検知部10を含む支柱23とは機械的に別体であり、電気的にも非接続であり、独立した部品となっている。モールド樹脂24の中央には上下に貫通する円形の案内孔24aが設けられており、さらに案内孔24aの内周面には横断面形状が矩形の案内凹部24bが上下方向に貫通して開口している。そして、モールド樹脂24の内部には、案内孔24aの内周面に近接した位置に、内周面の周方向について所定間隔をおいて、磁性体25に巻装された2つの検知コイルC1,C2と1つの信号搬送コイルCTが設けられており、案内孔24aの内周面に沿って配置される後述する信号線等と電磁結合できるように構成されている。
【0045】
図7に示す支柱23は、液面のレベルを検知しようとする液体中に鉛直縦長の姿勢で配置される棒状の部材である。支柱23は、センサーユニット9の案内孔24aよりもやや小さい外径を有する円柱体であり、その外周面にはセンサーユニット9の案内凹部24bよりも横断面形状の小さい回転防止リブ23bが上下方向に連続して形成されている。従って、センサーユニット9の案内孔24aに支柱23を挿入し、センサーユニット9の案内凹部24bに支柱23の回転防止リブ23bを挿入すると、センサーユニット9は支柱23に沿って上下動可能であるが、案内凹部24bと回転防止リブ23bの係合により、回転することはできない。
【0046】
図6に示すように、支柱23の外周面には、信号線Q1〜Q4及び検知線S1を絶縁性のシート材によって防水構造で挟んでなる前記シート3が取り付けられており、信号線Q1〜Q4及び検知線S1の配置は、液面が移動する支柱の上下方向(軸線の方向)が第2方向となるように構成されている。
【0047】
図7に示すように、液面が到達しない支柱23の上端には、本体部26が設けられている。この本体部26には、図1に示す駆動部2と検知部10が防水乃至防滴構造で内蔵されており、前記シートの信号線Q1〜Q4には駆動部2が接続されて駆動信号を供給し、検知線S1には検知部10が接続されて検知線S1に誘導された信号を検知することによりセンサーユニット9の位置を検出できるようになっている。
【0048】
以上の構成において、液面のレベルを検知しようとする液体中に支柱23を鉛直縦長の姿勢で配置し、センサーユニット9を支柱23に挿入して液面に浮かべる。例えば何らかの液体貯槽中の液体の液量を検出する場合は当該貯槽内にセンサーユニット9をセットした支柱23を設け、また河川や海等の水位を監視のために測定する場合は河川・海等の所定の監視位置に本装置を設置する。
【0049】
液面に浮かんだセンサーユニット9は、その液面の位置に応じて、支柱23側にある信号線Q1〜Q4のいずれかの検知位置に配置された状態となる。本体部26の駆動部2が信号線Q1〜Q4を交流駆動すると、当該検知位置において電磁結合位置にある信号線Q1〜Q4とセンサーユニット9の検知コイルC1,C2が電磁結合し、この検知コイルC1,C2に交流が誘起される。この交流が前記信号搬送コイルCTに流れて前記検知線S1に検知信号を発生させる。該検知信号は本体部26の検知部10で検知されるが、その波形は前記検知位置において電磁結合位置に配置されている信号線Q1〜Q4のパターンの組合せに対応しているので、この波形からセンサーユニット9が信号線Q1〜Q4のいずれの検知位置に配置されているかが分かる。すなわち、センサーユニット9が、支柱23の長手方向のどの位置に存在しているかが分かり、従ってセンサーユニット9が浮かんでいる水面の位置が判明する。
【0050】
2.第2実施形態(第2例、図8〜図11)
図8は、第2例の位置検知装置30の構成を示すブロック図であり、図9は第2例における電磁結合部の断面図であり、図10は、第2例のシートにおける信号線の配線パターンを電磁結合部との関係で示した配線図であり、図11は、第2例における駆動波形及び検知波形を示す波形図である。
【0051】
(1) 構成
第2例の電磁誘導を利用した位置検知装置30は、巻き尺のような使い勝手で長さ乃至距離を測定するために使用できる。
【0052】
図8に示すように、この位置検知装置30の駆動部である本体31は、商用電源4もしくは電池から供給される電力を一定な電圧に変換する電源4と、回路を制御する基準となる信号を発生させる発振回路5と、発振回路5の信号を必要とする信号に変換・分周する分周回路6と、信号線への動作を司る制御信号を発生する制御回路7と、制御回路7よりの信号により電源4からの電流を電磁結合部に供給する駆動回路8と、駆動回路8によって駆動される電磁結合部32とを有している。
【0053】
図9に示すように、電磁結合部32は、駆動回路8からの出力により磁気回路を発生させるための磁性体15とこれに巻き込まれた巻線とで構成された3個の駆動コイルC4〜C6を有しており、後述するシート33の信号線に電磁誘導の原理により交流信号を誘起させるように構成されている。
【0054】
図8に示すように、さらに前記本体31には、信号線Q1〜Q3が設けられたシート33をドラム体に巻装収納し、必要に応じて該シート33を繰り出し又は巻き取ることができる巻き取り機構34が設けられている。図10に示すように、このシート33は長尺帯状の部材であり、第1例の信号線と同様のパターンで構成された独立した3本の信号線Q1〜Q3が、前記第2方向を長尺帯状の長手方向と一致させて基端部と先端部との間を引き回されてループ状となるように構成されている。なお、図9に示すように、上記信号線Q1〜Q3は上下2枚の絶縁性のシート材の間に挟まれて設けられており、十分な防湿、防水構造となっている。
【0055】
図8及び図10に示すように、シート33の先端部には、シート33上の信号線Q1〜Q3に流れる交流信号を直流に変換して回路の電源4とする電源回路35と、信号線Q1〜Q3の交流信号を増幅・安定させる波形整形回路36と、信号線Q1〜Q3の信号を判定してシート33が引き出された距離を算出する演算回路12と、算出されたデータを表示する表示器13とを筐体37内に収納してなる検知部10が設けられている。
【0056】
図8及び図9に示すように、前記シート33は、本体31の電磁結合部32に設けられた3個の駆動コイルC4〜C6を経て本体31外に導出される。駆動回路8によって交流駆動される各駆動コイルC4〜C6の磁気回路中をシート33の各信号線Q1〜Q3が通過する構成とされているため、シート33上に設けられた信号線Q1〜Q3には、各駆動コイルC4〜C6と対面する部分での信号線Q1〜Q3の配線パターンに応じた交流信号が電磁誘導により誘起され、この交流信号は前記検知部10によって検知される。
【0057】
すなわち、電磁結合部32を通過しているシート33の信号線Q1〜Q3には、駆動コイルC4〜C6によって誘起された電流が流れるが、各信号線Q1〜Q3は、シート33が本体31より引き出された時に、各検知位置において誘導起電力が発生するか否かを配線パターンにより設定してあるので、その引き出し長さに対応したシート33の検知位置(駆動コイルC4〜C6と対面している長手方向の位置)を、信号線Q1〜Q3に発生する交流信号の波形から判断することができる。
【0058】
(2) 作用
以上の構成によれば、シート33を巻き取り機構34から任意の長さだけ引き出した状態で、電磁結合部32を駆動回路8によって交流駆動すれば、信号線Q1〜Q3には電磁誘導により交流信号が誘起され、この交流信号は引き出したシート33の先端に設けられた検知部10で検知される。ここで、検知部10において検知される交流信号は、電磁結合部32の各駆動コイルC4〜C6が対面しているシート33の各信号線Q1〜Q3の配線パターンに応じた波形となるので、信号線Q1〜Q3に設定された複数の検知位置のいずれと電磁結合部32が対面しているかを該波形から判断することができ、シート33をどれ程の長さだけ巻き取り機構34から引き出したが判断できる。
【0059】
従って、測定起点に本体31を設置して測定方向にシート33を引き出していけば、電磁結合部32を通過しながらシート33が引き出されていき、シート33の各検知位置A〜Oが電磁結合部32を順次通過・移動していき、信号線Q1〜Q3には通過した駆動コイルC1〜C3による電流が誘起される。そこで表示部13の表示を見て、適当な検知位置が検出されたところでシート33の引き出しを停止すれば、測定起点からシート33の先端までの長さを測定することができる。
【0060】
上述した第2例の位置検知装置30における作用を、図11を参照してさらに詳細に説明する。本体31の駆動回路8から駆動コイルC4〜C6へは、図11中の拡大図に示すように、数kHzから数百kHzの交流信号が間欠信号として印加される。ここで交流が出力している状態をONと呼ぶ。信号線Q1〜Q3に誘起される各信号は、基点となる信号からの時間差にてその種類を確定するため、駆動コイルC4〜C6に与えられる駆動信号は、長いON信号ののちに時間差で与えられる所定時間ONとなる連続波形としている。
【0061】
以下に電磁結合部32に対面するシート33の検知位置と、その時に信号線Q1〜Q3に誘起される信号波形の概要を、図10及び図11を参照して説明する。
図10に示すように、Aの位置では、電磁結合部32の駆動コイルC4に対応して信号線Q1のみがあるため、図11に示すように、信号線Q1に駆動コイルC4の信号が誘起され、その他の信号線Q2・信号線Q3には信号は誘起されない。
【0062】
図10に示すように、Cの位置では、電磁結合部32の駆動コイルC4に対応して信号線Q1、駆動コイルC5に対応して信号線Q2、駆動コイルC6に対応して信号線Q3がそれぞれ存在するため、図11に示すように、信号線Q1には駆動コイルC4の信号が誘起され、信号線Q2には駆動コイルC5の信号が誘起され、信号線Q3には駆動コイルC6の信号が誘起される。
【0063】
図10に示すように、Dの位置では、電磁結合部32の駆動コイルC4に対応して信号線Q1と信号線Q2、駆動コイルC6に対応して信号線Q3がそれぞれ存在するため、図11に示すように、信号線Q1及びQ2には駆動コイルC1の信号が誘起され、信号線Q3には駆動コイルC6の信号がそれぞれ誘起される。
【0064】
図10に示すように、Hの位置では、信号線Q1が駆動コイルC4及びC5を通過しているために、図11に示すように、信号線Q1には駆動コイルC4の信号と、駆動コイルC5の信号とを合わせた信号が誘起される。信号線Q2と信号線Q3はいずれの駆動コイルも通過していないため信号は誘起されない。
【0065】
図10に示すように、Kの位置では、信号線Q1と信号線Q2が駆動コイルC5を通過しているために、図11に示すように、信号線Q1と信号線Q2には駆動コイルC5の信号が誘起される。信号線信号線Q3はいずれの駆動コイルも通過していないため信号は誘起されない。
【0066】
図10に示すように、Mの位置では、駆動コイルC5を信号線Q1が通過し、駆動コイルC6を信号線Q2が通過するため、図11に示すように、信号線Q1に駆動コイルC5の信号が誘起され、信号線Q2に駆動コイルC6の信号が誘起される。信号線Q3はいずれの駆動コイルも通過していないので信号は誘起されない。
【0067】
図10に示すように、Oの位置では、駆動コイルC5に対応して信号線Q2が存在し、駆動コイルC6に対応して信号線Q3が存在するため、図11に示すように、信号線Q2に駆動コイルC5の信号が誘起され、信号線Q3に駆動コイルC6の信号が誘起される。信号線Q1はいずれの駆動コイルも通過していないため信号は誘起されない。
【0068】
(3) 変形例・適用例等
第2例では、信号線が3本、電磁結合部32の駆動コイルが3個であったが、これらの数をより多くすることにより検出位置を増加させることも可能である。
【0069】
第2例によれば、本体31から引き出したシート33の長さを、シート33の先端に設けた表示部13に表示することができるので、本体31を設けた起点から、引き出したシート33の先端部が達した測定点までの距離を計る測定器として巻尺の様に使用できる。
【0070】
3.第3実施形態(第3例、図12〜図15)
図12は、第3例の位置検知装置40の構成を示すブロック図であり、図13は第3例における電磁結合部の断面図であり、図14は、第3例のシートにおける信号線の配線パターンを電磁結合部との関係で示した配線図であり、図15は、第3例における駆動波形及び検知波形を示す波形図である。
【0071】
(1) 構成
第3例の電磁誘導を利用した位置検知装置40は、図12に示すように、電気的に独立した複数本(本例では3本)の配線である信号線Q1〜Q3を有している。これらの信号線Q1〜Q3は、線と直交する方向(第1方向)に並べられ、長手方向(第2方向)に延設されて全体として閉ループ状に構成され、後述するように、一部が特殊なコード化領域となるように形成されている。
【0072】
図12に示すように、この位置検知装置40の駆動部2’は、商用電源4もしくは電池から供給される電力を一定の電圧に変換する電源4と、回路を制御する基準となる信号を発生させる発振回路5と、発振回路5の信号を必要とする信号に変換・分周する分周回路6と、信号線への動作を司る制御信号を発生する制御回路7と、制御回路7からの制御信号により、前記信号線のコード化領域以外の位置に設置した電磁結合部41の駆動コイルC4〜C6に基準信号である電源4からの電流を供給する駆動回路8を有している。
【0073】
図12に示すように、この位置検知装置40の検知部10’は、前記信号線Q1〜Q3のコード化領域に配置された電磁結合部42の検知コイルC1〜C3からの信号を増幅する増幅器11と、基準信号である駆動コイルC4〜C6に加えられる駆動信号と前記増幅器11で増幅された検知コイルC1〜C3からの信号とにより前記信号線Q1〜Q3のコード化領域に設置した電磁結合部42の位置を算出する演算回路12と、その結果を表示する表示器13を有している。なお、表示器13の代わりに、又は表示器13とともに、演算回路12が算出した電磁結合部42の位置を示す信号により制御される外部機器を設ける構成とすることもできる。
【0074】
前述した駆動側及び検知側の2つの電磁結合部41,42は同一の構成であり、図13に示すように第2例(図9)の電磁結合部32と略同一の構成である(図13中には駆動側を例示する)。すなわち、駆動コイルC4〜C6は駆動回路8からの出力により磁気回路を発生させるための磁性体15とこれに巻き込まれた巻線とを有し、この磁気回路中を前記信号線Q1〜Q3が通過することにより該信号線には電磁誘導により電力が誘起される。検知コイルC1〜C3は、駆動側とは逆に信号線に流れる電流を磁気結合にて磁性体15に巻かれた巻線で信号として検出する。なお、第3例では、駆動側の電磁結合部41を有する駆動部2’と、検知側の電磁結合部42を有する検知部10’とは、前記信号線Q1〜Q3とは別体の構成部品として一体に構成されており、センサーユニット45を構成している。
【0075】
第3例の電磁誘導を利用した位置検知装置40では、図13に示すように絶縁性の上下2枚のシート材に前記信号線Q1〜Q3が挟まれおり、防湿性乃至防水性及び可撓性のある薄片状の独立の構成部品であるシート43として構成されている。このシート43は、図14に示すように外形が長尺帯状である。また信号線Q1〜Q3は、第1例の信号線と同様のパターンであり、前記第2方向がシート43の長尺帯状の長手方向と一致するように、シート43の基端部と先端部との間を引き回されてループ状に構成されている。
【0076】
図14に示すように、前記シート43内に設けられた信号線Q1〜Q3は、長手方向に沿う一方側(図14において下側)が、駆動部2’側の電磁結合部41の駆動コイルC4〜C6によって基準信号である駆動信号を与えられる直線部分とされており、また、長手方向に沿う他方側(図14において上側)が、各検知位置A〜Oごとに各信号線Q1〜Q3がそれぞれの電磁結合位置にあるか否かの組合せが異なるような配線パターンで形成されたコード化領域とされている。このコード化領域に検知部10’側の電磁結合部42の検知コイルC1〜C3を配置すれば、配置した検知位置A〜Oに対応した駆動信号の組合せである検知信号を得ることができる。このように、第3例の信号線Q1〜Q3は、駆動信号が与えられる部分と、信号が取り出されるコード化領域とが、隣接して同方向に並んでいるので、駆動側及び検知側を一体化したセンサーユニット45の電磁結合部41,42を配線に沿って移動させることで、駆動と検知を行うことができる。
【0077】
(2) 作用
以上の構成において、シート43を測定対象上に敷き、信号線Q1〜Q3に対して正規に対面するようなシート43上の所定位置にセンサーユニット45の電磁結合部41,42を配置し、駆動回路8によって駆動コイルC4〜C6を交流駆動しながらセンサーユニット45の電磁結合部41,42を長手方向に沿って移動させる。信号線Q1〜Q3には電磁誘導により交流信号が誘起される。この交流信号が検知コイルC1〜C3に交流信号を誘起し、この交流信号が前記検知部10’に検知される。ここで、検知部10’において検知される交流信号は、駆動コイルC4〜C6が対面しているシート43の信号線Q1〜Q3の各検知位置A〜Oごとに異なるように設定された配線パターンに応じた波形となるので、信号線Q1〜Q3に設定された複数の検知位置A〜Oのいずれと電磁結合部42が対面しているかを該波形から判断することができ、シート43の長手方向のいずれの位置にセンサーユニット45の電磁結合部42があるかが判断できる。
【0078】
上述した第3例の位置検知装置40における作用を、図15を参照してさらに詳細に説明する。駆動回路8から電磁結合部41の各駆動コイルC4〜C6へは数kHzから数百kHzの交流信号が間欠信号として印加される。ここで交流が出力している状態をONと呼ぶ。
【0079】
検知部10’の電磁結合部32の検知コイルC4〜C6は、位置情報のデータが得られる様にパターン形成された信号線のコード化領域を移動することにより、駆動コイルC4〜C6によって信号線Q1〜Q3に誘起された交流信号のON時間を組み合わせ信号を位置検知信号として検知することができる。
【0080】
以下に駆動側の電磁結合部32の検知コイルに対面するシート43の各検知位置と、その時に電磁結合部32の検知コイルに誘起される信号波形の概要を、図14及び図15を参照して説明する。
図14に示すように、Aの位置では、検知コイルC1に対応して信号線Q1のみがあるため、図15に示すように、検知コイルC1には駆動コイルC4の信号が誘起され、その他の検知コイルC2、C3には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0081】
図14に示すように、Bの位置では、検知コイルC1に対応して信号線Q1、検知コイルC2は信号線Q2があるため、図15に示すように、検知コイルC1には駆動コイルC4、検知コイルC2には駆動コイルC5の信号が誘起され、検知コイルC3には対応する配線が無いため信号は誘起されない。
【0082】
図14に示すように、Cの位置では、検知コイルC1に対応して信号線Q1、検知コイルC2に対応して信号線Q2、検知コイルC3に対応して信号線Q3がそれぞれあるため、図15に示すように、検知コイルC1には駆動コイルC4、検知コイルC2には駆動コイルC5、検知コイルC3には駆動コイルC6の各信号が誘起される。
【0083】
図14に示すように、Eの位置では、検知コイルC1に対応して信号線Q1及びQ2が対応し、検知コイルC2に対応して信号線Q3があるため、図15に示すように、検知コイルC1に駆動コイルC4及びC5の信号が誘起され、検知コイルC2に駆動コイルC6の信号が誘起され、検知コイルC3には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0084】
図14に示すように、Gの位置では、検知コイルC1に対応して信号線Q1、検知コイルC3に対応して信号線Q2があるため、図15に示すように、検知コイルC1には駆動コイルC1の信号が誘起され、検知コイルC3には駆動コイルC2の信号が誘起され、検知コイルC2には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0085】
図14に示すように、Hの位置では、検知コイルC1及びC2に対応して信号線Q1があるため、図15に示すように、検知コイルC1及びC2に駆動コイルC4の信号が誘起され、検知コイルC3には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0086】
図14に示すように、Jの位置では、検知コイルC1に対応して信号線Q1があり、検知コイルC2に対応して信号線Q1及びQ2があり、検知コイルC3に対応して信号線Q3があるため、図15に示すように、検知コイルC1には駆動コイルC4の信号が誘起され、検知コイルC2には駆動コイルC4及びC5の信号が誘起され、検知コイルC3には駆動コイルC6の信号が誘起される。
【0087】
図14に示すように、Lの位置では、検知コイルC2に対応して信号線Q1及びQ2があるため、図15に示すように、検知コイルC2には駆動コイルC4及びC5の信号が誘起される。検知コイルC1及びC3には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0088】
図14に示すように、Mの位置では、検知コイルC2に対応して信号線Q1があり、検知コイルC3に対応して信号線Q2があるため、図15に示すように、検知コイルC2には駆動コイルC4の信号が誘起され、検知コイルC3には駆動コイルC5の信号が誘起される。検知コイルC1には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0089】
図14に示すように、Nの位置では、検知コイルC3に対応して信号線Q2があるため、図15に示すように、検知コイルC3には駆動コイルC5の信号が誘起される、検知コイルC1及びC2には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0090】
図14に示すように、Oの位置では、検知コイルC2に対応して信号線Q2があるため、図15に示すように、検知コイルC2には駆動コイルC5の信号が誘起される、検知コイルC1及びC3には対応する信号線が無いため信号は誘起されない。
【0091】
(3) 変形例・適用例等
第3例では、信号線が3本、センサーユニット45の駆動コイル及び検知コイルがそれぞれ3個ずつであったが、これらの数をより多くすることにより検出位置を増加させることも可能である。
【0092】
第3例の位置検知装置40を長さ測定に適用する場合には、シート43を測定対象(例えばグラウンド等の地面の上)に敷いておき、駆動部2’と検知部10’を作動させながら、電磁結合部41,42を有するセンサーユニット45をシート43の長手方向に沿って(信号線の第2方向に沿って)移動していき、検知部10’の検知結果を表示部13で確認しながら、所望の位置でセンサーユニット45を止めれば、電磁結合部42の移動量を示す検知部10’の検知結果から、センサーユニット45又は電磁結合部42の所望の移動長さ(基準位置からの所定距離)を得ることができる。
【0093】
また、第3例の位置検知装置40は、測定対象に設けるシート43と、測定対象の測定のためにシート43上を移動させるセンサーユニット45(電磁結合部41,42)とを配線で接続する必要がなく、測定の分解能や検知位置はシート43側の配線の変更で容易に対応できるため、移動体の位置検出や回転体の位置検出に適している。
【0094】
図16は、前述した第3例を、移動体の位置検出に適用した場合の具体的な構成例を示したものである。移動体50の測定面となる上面に前記シート43を固定し、これと対向する位置にセンサーユニット45を配置する。
【0095】
かかる配置において、センサーユニット45の駆動部2’が各駆動コイルC4〜C6へ交流信号を間欠信号として印加し、この状態において移動体50が第2方向に沿ってある長さだけ移動したとする。センサーユニット45の検知コイルC4〜C6は、位置情報のデータが得られる様に信号線がパターン化されたシート43のコード化領域に沿い、シート43に対して相対的に移動するので、センサーユニット45が対面しているコード化領域の位置に応じて、信号線Q1〜Q3に誘起されている交流信号のON時間の組み合わせ信号を位置検知信号として検知、出力する。
【0096】
移動体50がある距離を移動してある位置で停止したとき、センサーユニット45の検知部10’の表示部13で検知結果を確認すれば、位置検知信号が異なるコード化領域の各位置A〜Oの基準位置(出発点乃至測定開始位置)からの距離は判っているので、移動体が基準位置から移動した距離を得ることができる。
【0097】
図17は、前述した第3例を、回転体の位置検出に適用した場合の具体的な構成例を示したものである。円板形の回転体51は、円板の図形中心にある図示しない回転軸を中心として回動自在とされており、その外周面に接して回動する回転体駆動部52から駆動力を与えられて回転する。回転体の外周面には、周方向が第2方向となるように前記シート43を固定し、これと対向する位置にセンサーユニット45を配置する。なお図17においては、センサーユニット45は、回転体51のシート43に対面して配置された電磁結合部41,42と、これを制御する制御部本体としての駆動部2’及び検知部10’とに分けて示してある。
【0098】
かかる配置において、センサーユニット45の制御部本体の駆動部2’が各駆動コイルC4〜C6へ交流信号を間欠信号として印加し、この状態において回転体51がある長さだけ回転したとする。センサーユニット45の検知コイルC4〜C6は、位置情報のデータが得られる様に信号線がパターン化されたシート43のコード化領域に沿い、シート43に対して相対的に移動するので、センサーユニット45が対面しているコード化領域の位置に応じて、信号線Q1〜Q3に誘起されている交流信号のON時間の組み合わせ信号を位置検知信号として検知、出力する。
【0099】
回転体51が回転してある位置で停止したとき、センサーユニット45の制御部本体の検知部10’において表示部13で検知結果を確認すれば、位置検知信号が異なるコード化領域の各位置A〜Oの基準位置(出発点乃至測定開始位置)からの回転角度は判っているので、回転体51の回転位置(基準位置から回転した量(回転角度))を得ることができる。
【0100】
また、制御部本体の検知部10’が検知コイルC1〜C3から得た回転体51の前記回転位置のデータを回転体駆動部52に出力し、その駆動制御に利用すれば、回転体51の停止、速度制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、第1例の位置検知装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1例における電磁結合部としてのセンサーユニットの断面図である。
【図3】図3は、第1例における信号線の配線パターンをセンサーユニットとの関係で示した配線図である。
【図4】図4は、第1例における駆動波形及び検知波形を示す波形図である。
【図5】図5は、第1例の具体的な適用例の一構造例を概略的に示す斜視図である。
【図6】図6は、第1例のさらに具体的な適用例を示す断面図である。
【図7】図7は、第1例のさらに具体的な適用例を示す正面図である。
【図8】図8は、第2例の位置検知装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は第2例における電磁結合部の断面図である。
【図10】図10は、第2例のシートにおける信号線の配線パターンを電磁結合部との関係で示した配線図である。
【図11】図11は、第2例における駆動波形及び検知波形を示す波形図である。
【図12】図12は、第3例の位置検知装置の構成を示すブロック図である。
【図13】図13は第3例における電磁結合部の断面図である。
【図14】図14は、第3例のシートにおける信号線の配線パターンを電磁結合部との関係で示した配線図である。
【図15】図15は、第3例における駆動波形及び検知波形を示す波形図である。
【図16】図16は、第3例の位置検出装置を移動体の位置検出に用いた場合を示す断面図である。
【図17】図17は、第3例の位置検出装置を回転体の位置検出に用いた場合を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0102】
1,30,40…位置検知装置
2,2’…駆動部
3,33,43…シート(可撓性のパターン基板)
9…電磁結合部としてのセンサーユニット
10,10’…検知部
31…駆動部としての本体
32,41,42…電磁結合部
34…巻き取り機構
45…電磁結合部としてのセンサーユニット
50…移動体
51…回転体
C1〜C3…検知コイル
C4〜C6…駆動コイル
CT…信号搬送コイル
Q1〜Q4…信号線
S1…検知線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並べられて第2方向に延設される電気的に独立した複数本の配線であって、各配線の電磁結合位置が第1方向について定められるとともに、第2方向に沿って複数の検知位置が設定されており、前記各検知位置ごとに、前記各配線がそれぞれの前記電磁結合位置にあるか否かの組合せが異なるような配線パターンで形成された複数本の信号線と、
前記信号線の前記第2方向に沿って相対的に移動可能に設けられ、前記各検知位置に配置された場合に前記各信号線の前記各電磁結合位置に設定される複数のコイルを有する電磁結合部と、
前記複数本の信号線又は前記電磁結合部の各コイルを交流駆動する駆動部と、
前記複数本の信号線又は前記電磁結合部の各コイルを前記駆動手段によって交流駆動した場合に、前記各電磁結合位置において電磁誘導により前記電磁結合部の各コイル又は前記複数本の信号線に誘起される交流信号を検出して、前記信号線の前記第2方向における前記電磁結合部の位置を検知する検知部と、
を有することを特徴とする位置検知装置。
【請求項2】
前記信号線とは電気的に独立して設けられ、前記信号線と隣接するように前記第1方向に並べられて前記第2方向に延設され、前記複数の検知位置では第1方向について定められた前記電磁結合位置に配置されるような配線パターンで形成され、前記検知部に接続された検知線をさらに有し、
前記電磁結合部の前記複数のコイルは、前記信号線の前記各検知位置に配置された場合に前記各電磁結合位置にある前記各信号線に流れる交流によって交流が誘起される検知コイルであり、
前記電磁結合部は、前記各検知位置に配置された場合に前記検知線に設定される信号搬送コイルをさらに備えるとともに、該信号搬送コイルには前記検知コイルが直列に接続されており、
前記駆動手段が前記信号線を交流駆動すると、前記信号線のいずれかの前記検知位置に配置された前記電磁結合部では、前記検知コイルに交流が誘起され、この交流が前記信号搬送コイルに流れて前記検知線に検知信号を発生させ、該検知信号を前記検知部が検知することにより前記電磁結合部が前記信号線のいずれの前記検知位置に配置されているかを検知することを特徴とする請求項1記載の位置検知装置。
【請求項3】
前記駆動部と、前記駆動部によって交流駆動される前記電磁結合部と、前記信号線が設けられ前記第2方向を長手方向とするシートを前記電磁結合部を経て出し入れ自在とした巻取機構とが設けられた本体を有し、
前記シートの先端には前記信号線に発生する交流の波形から前記シートの繰り出し長さを検知する前記検知部が設けられ、
前記駆動手段が前記電磁結合部の前記コイルを交流駆動して前記シートの前記信号線に誘起する交流を前記検知部が検知することにより、前記シートの前記信号線のいずれの前記検知位置が前記電磁結合部に位置しているかを検知して前記シートの前記本体からの引き出し長さを検知することを特徴とする請求項1記載の位置検知装置。
【請求項4】
前記複数本の信号線は、前記第2方向を長手方向とするシートにそれぞれ閉ループ状に構成され、前記第2方向に沿うその一方側が前記配線パターンで形成されるとともに、前記第2方向に沿うその他方側は前記一方側の前記検知位置において一定の間隔をおいてそれぞれ第2方向に平行となるように形成されており、
前記電磁結合部の前記複数のコイルは、前記検知部に接続されており、前記信号線の前記各検知位置に配置された場合に前記各電磁結合位置にある前記各信号線に流れる交流によって交流が誘起される検知コイルであり、
前記電磁結合部には、前記駆動部に接続され、前記信号線の前記他方側の前記各検知位置に配置された場合に前記駆動部から与えられた交流により前記信号線を交流で駆動する駆動コイルがさらに設けられており、
前記駆動手段が前記電磁結合部の前記駆動コイルを交流駆動すると、前記シートの前記信号線に交流が誘起され、この交流が前記電磁結合部の前記検知コイルに交流を誘起し、この交流が前記検知部に検知されることにより、前記シートの前記信号線のいずれの前記検知位置に前記電磁結合部が設定されているかを検知することを特徴とする請求項1記載の位置検知装置。
【請求項5】
前記駆動部が前記信号線又は前記コイルに与える交流は間欠信号であり、前記検知部は前記間欠信号の組合せによって前記第2方向に関する前記信号線と前記電磁結合部の相対的な位置を検知することを特徴とする請求項1記載の位置検知装置。
【請求項1】
第1方向に並べられて第2方向に延設される電気的に独立した複数本の配線であって、各配線の電磁結合位置が第1方向について定められるとともに、第2方向に沿って複数の検知位置が設定されており、前記各検知位置ごとに、前記各配線がそれぞれの前記電磁結合位置にあるか否かの組合せが異なるような配線パターンで形成された複数本の信号線と、
前記信号線の前記第2方向に沿って相対的に移動可能に設けられ、前記各検知位置に配置された場合に前記各信号線の前記各電磁結合位置に設定される複数のコイルを有する電磁結合部と、
前記複数本の信号線又は前記電磁結合部の各コイルを交流駆動する駆動部と、
前記複数本の信号線又は前記電磁結合部の各コイルを前記駆動手段によって交流駆動した場合に、前記各電磁結合位置において電磁誘導により前記電磁結合部の各コイル又は前記複数本の信号線に誘起される交流信号を検出して、前記信号線の前記第2方向における前記電磁結合部の位置を検知する検知部と、
を有することを特徴とする位置検知装置。
【請求項2】
前記信号線とは電気的に独立して設けられ、前記信号線と隣接するように前記第1方向に並べられて前記第2方向に延設され、前記複数の検知位置では第1方向について定められた前記電磁結合位置に配置されるような配線パターンで形成され、前記検知部に接続された検知線をさらに有し、
前記電磁結合部の前記複数のコイルは、前記信号線の前記各検知位置に配置された場合に前記各電磁結合位置にある前記各信号線に流れる交流によって交流が誘起される検知コイルであり、
前記電磁結合部は、前記各検知位置に配置された場合に前記検知線に設定される信号搬送コイルをさらに備えるとともに、該信号搬送コイルには前記検知コイルが直列に接続されており、
前記駆動手段が前記信号線を交流駆動すると、前記信号線のいずれかの前記検知位置に配置された前記電磁結合部では、前記検知コイルに交流が誘起され、この交流が前記信号搬送コイルに流れて前記検知線に検知信号を発生させ、該検知信号を前記検知部が検知することにより前記電磁結合部が前記信号線のいずれの前記検知位置に配置されているかを検知することを特徴とする請求項1記載の位置検知装置。
【請求項3】
前記駆動部と、前記駆動部によって交流駆動される前記電磁結合部と、前記信号線が設けられ前記第2方向を長手方向とするシートを前記電磁結合部を経て出し入れ自在とした巻取機構とが設けられた本体を有し、
前記シートの先端には前記信号線に発生する交流の波形から前記シートの繰り出し長さを検知する前記検知部が設けられ、
前記駆動手段が前記電磁結合部の前記コイルを交流駆動して前記シートの前記信号線に誘起する交流を前記検知部が検知することにより、前記シートの前記信号線のいずれの前記検知位置が前記電磁結合部に位置しているかを検知して前記シートの前記本体からの引き出し長さを検知することを特徴とする請求項1記載の位置検知装置。
【請求項4】
前記複数本の信号線は、前記第2方向を長手方向とするシートにそれぞれ閉ループ状に構成され、前記第2方向に沿うその一方側が前記配線パターンで形成されるとともに、前記第2方向に沿うその他方側は前記一方側の前記検知位置において一定の間隔をおいてそれぞれ第2方向に平行となるように形成されており、
前記電磁結合部の前記複数のコイルは、前記検知部に接続されており、前記信号線の前記各検知位置に配置された場合に前記各電磁結合位置にある前記各信号線に流れる交流によって交流が誘起される検知コイルであり、
前記電磁結合部には、前記駆動部に接続され、前記信号線の前記他方側の前記各検知位置に配置された場合に前記駆動部から与えられた交流により前記信号線を交流で駆動する駆動コイルがさらに設けられており、
前記駆動手段が前記電磁結合部の前記駆動コイルを交流駆動すると、前記シートの前記信号線に交流が誘起され、この交流が前記電磁結合部の前記検知コイルに交流を誘起し、この交流が前記検知部に検知されることにより、前記シートの前記信号線のいずれの前記検知位置に前記電磁結合部が設定されているかを検知することを特徴とする請求項1記載の位置検知装置。
【請求項5】
前記駆動部が前記信号線又は前記コイルに与える交流は間欠信号であり、前記検知部は前記間欠信号の組合せによって前記第2方向に関する前記信号線と前記電磁結合部の相対的な位置を検知することを特徴とする請求項1記載の位置検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−145392(P2008−145392A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335987(P2006−335987)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】
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