説明

位置決め機構、位置決め方法および移載装置

【課題】部品の位置決めを行い移載する移載装置において、位置決めの基準となる辺に位置決めする部品を当接し位置決めを行う位置決め駆動機構を用いること無く、位置決め治具と部品とを当接させて部品を摺動させることで位置決めを行う位置決め機構と、この位置決め機構を搭載する移載装置を提供する。
【解決手段】部品が嵌合される切り欠け形状からなる嵌合部と、嵌合部の最深となる内底辺部と、内底辺部の両端に交わる内側辺部とを有し、内底辺部の幅と比較して切り欠け形状の開口部の幅が広い位置決め治具を備え、部品を開口部から内側辺部に沿って嵌合部に嵌合し、位置決めの基準となる内側辺部と内底辺部とに部品の外縁を水平方向に当接させることで、内側辺部と内底辺部とに倣って部品を水平方向に摺動させて位置決め機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め機構、位置決め方法および移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス板など大型の部品を加工場所へ移動させて切断する装置などにおいて、部品の位置決め機構が必要であった。例えば、特許文献1に記載されているガラス板の位置決め機構は、複数の吹き出し孔から吹き出したエアーで浮上させたガラス板を、移動自在な位置決め駆動装置を用いてガラス板の直交する2辺を切断位置の基準となる基準ストッパーに当接させることで位置決めを行う方法が記載されている。
【0003】
他方、電子部品など小型の部品を次工程のステージ(移載先)へ載置する移載装置には、移載先での部品の方向や位置などを決める位置決め機構が搭載されている。この位置決め機構では、移載元と移載先との間に位置決め場所(中間位置)を設けて移載先に部品が移載される前に部品の位置決めを行っていた。また、この位置決め機構には、部品の方向や位置などを動かす位置決め駆動機構と、これに対応した制御装置とが設けられていた。
【0004】
詳しくは、図8(a)に模式的に示す様に、移載装置1bは、部品10を移載元20から捕捉する捕捉機構100と、捕捉機構100を水平方向におけるX軸方向、および垂直方向におけるZ軸方向に自在に運動させる搬送機構200と搬送機構200を案内する案内レール250を備えていた。また、捕捉した部品10aの水平方向におけるX軸方向、Y軸方向に移動させる位置決め駆動機構310を備えていた。
【0005】
移載装置1bの動作は、先ず、捕捉機構100で部品10を吸引し、捕捉した部品10を搬送機構200によって位置決めを行う中間位置30へ搬送する。次に、図8(b)は、中間位置30をZ軸方向から見た平面模式図である。位置決め駆動装置310を作動させて、捕捉部110に捕捉されている部品10を、図8(b)に示す中間位置30に設けられた直交する2辺(321、322)を有する位置決め基準ストッパー320に当接させて位置決めを行う。位置決め後は、位置決め駆動装置310のX軸方向、Y軸方向の位置を固定し、位置決めされた部品10は、搬送機構200によって移載先であるステージ40に移載を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−141988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の位置決め機構(移載装置)では、位置決めの基準となるストッパーに部品を当接させる位置決め駆動機構を要し、移載装置の構造が複雑になってしまう課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
(適用例1)本適用例に係る位置決め機構は、部品が嵌合される切り欠け形状を有する嵌合部と、嵌合部の最深となる内底辺部と内底辺部の両端に交わる内側辺部とを有し、内底辺部の幅よりも切り欠け形状の開口部の幅が広い位置決め治具を備えることを特徴とする。
【0010】
このような位置決め機構によれば、位置決めを行う部品は、位置決めの基準となる内側辺部および内底辺部に沿って位置決めを行う部品を嵌合(挿入)し、部品の外縁と内側辺部および内底辺部とが当接することで、当接による押圧力によって内側辺部および内底辺部に倣らわれて部品を摺動させて位置決めをすることができる。従って、位置決めの基準となる辺に部品を当接させる位置決め駆動機構と、その駆動機構を制御する制御装置を用いることなく部品の位置決めをすることができる位置決め機構を実現できる。
【0011】
(適用例2)上記適用例に係る位置決め機構において、位置決め機構で位置決めされる部品を吸引する吸引管と、部品と吸引管との間の吸引気密を保つパッドとを備えることが好ましい。
【0012】
このような位置決め機構によれば、位置決めを行う部品は、吸引管に接続される吸引源によって吸引捕捉されることで、嵌合部への嵌合時における部品の外縁と、内側辺部および内底辺部との当接によって水平方向の押圧力が生じ摺動する。このことで、位置決めの基準となる内側辺部および内底辺部に倣って吸引されている部品の位置決めをすることができる。従って、位置決め駆動装置を必要としない位置決め機構を実現することができる。
【0013】
(適用例3)上記適用例に係る位置決め機構において、内側辺部は、内底辺部と交わる点と、開口部に至る点との間で屈折している位置決め治具であることが好ましい。
【0014】
このような位置決め機構によれば、内側辺部は、内底辺部と直交して交わり、内側辺部上から開口部に向かって嵌合部の外側に屈折している。このことで、嵌合される部品は、屈折した内側辺部に外縁が当接することで内側辺部に倣われて摺動する。さらに、嵌合される部品は、嵌合部の最深となる内底辺部に向かって挿入されることで、外縁が内底辺部と直交する内側辺部および内底辺部と当接しすることで内底辺部にも倣って摺動する。
従って、部品の外縁(円周)が内底辺部と直交する内側辺部に当接して位置決めされることで、円形状を有する部品の位置決めをすることができる。
【0015】
(適用例4)上記適用例に係る位置決め機構において、位置決め治具は、内側辺部および内底辺部の長さと、開口部の幅とが異なる複数の切り欠けを有することが好ましい。
【0016】
このような位置決め機構によれば、位置決め治具は、嵌合部の内側辺部および内底辺部の長さが異なる複数の平面的な切り欠けを有することで、複数の形状が異なる部品の位置決めを位置決め治具(嵌合部)を交換することなくできる。
【0017】
(適用例5)上記適用例に係る位置決め機構において、捕捉機構で吸引される部品は、吸引される面が平面を有する板状であることが好ましい。
【0018】
このような位置決め機構によれば、位置決めされる部品は、捕捉機構で吸引される面が平面を有する板状である。このことで、位置決めされる部品は、内側辺部および内底辺部に部品の外縁が当接した押圧力によって、捕捉機構のパッドと、かかる部品の吸引される面とが水平面内の平行に摺動する。従って、内側辺部および内底辺部とに倣って部品の位置決めをすることができる。
【0019】
(適用例6)本適用例に係る位置決め方法は、内底辺部と内側辺部とを有する位置決め治具を用いた部品の位置決め方法であって、位置決め場所に搬送された部品の位置決めを行う位置決め工程を含み、位置決め工程は、部品の外縁を位置決め治具に設けられた内側辺部と内底辺部とに水平方向に当接させ、内側辺部と内底辺部とに倣って水平方向に部品が摺動することで平面的な部品の位置決めを行うことを特徴とする。
【0020】
このような位置決め方法によれば、位置決めをする部品の外縁を、位置決め治具に有する位置決めの基準となる内側辺部および内底辺部に当接させる位置決め工程を含む。このことで、部品の外縁が、内側辺部および内底辺部に当接し、かかる内側辺部および内底辺部に倣らわせて部品を摺動させる位置決め工程とすることができる。従って、位置決めをする部品の外縁を位置決めの基準となる直交する2辺を有する基準ストッパーに当接させる駆動工程や駆動工程を制御する制御工程を必要としない位置決め方法を実現できる。
【0021】
(適用例7)上記適用例に係る位置決め方法にいて、位置決め工程は、位置決めを行った部品が載置されるステージに直交する方向で位置決めを行い、位置決めがされた部品をステージへ直交方向に搬送することが好ましい。
【0022】
このような位置決め方法によれば、位置決め後の部品が載置されるステージと直交する方向で位置決め工程を行うことで、位置決めされた部品を水平方向に搬送することを要しない。このことで、位置決めされた部品の精度を保った状態で、ステージ部へ部品を載置(搬送)することができる。従って、位置決めされた部品の搬送工程は、位置決め精度を上回る精度を必要としないため、搬送工程と搬送工程を制御する制御工程とを簡略化することができる。
【0023】
(適用例8)本適用例に係る移載装置は、位置決めおよび移載される部品を供給する給材機構と、供給された部品を吸引捕捉する吸引管を有する捕捉機構と、位置決めをする部品が嵌合される切り欠け形状を有する嵌合部と、嵌合部の最深となる内底辺部と内底辺部の両端に交わる内側辺部とを有し、内底辺部の幅よりも前記切り欠け形状の開口部の幅が広い位置決め治具を備える位置決め機構と、位置決めされた部品を載置するステージ部を有し、ステージ部に移載された部品を次工程に送品する送品機構と、給材機構と位置決め機構と送品機構との間で捕捉機構に捕捉された部品を搬送する搬送機構とを備え、位置決めされた部品が移載されるステージ部に直交する方向に位置決め機構が配置されることを特徴とする。
【0024】
このような移載装置によれば、位置決めおよび移載される部品は、給材機構によって供給し、供給された部品は捕捉機構で吸引捕捉され位置決めを行う位置決め機構の嵌合部に嵌合(挿入)される。嵌合部に嵌合(挿入)された部品は、嵌合部に有する位置決めの基準となる内側辺部および内底辺部に沿って嵌合され、部品の外縁と内側辺部および内底辺部とが当接することで、当接による押圧力によって内側辺部および内底辺部に倣らわれて部品を摺動させて位置決めをすることができる。
【0025】
また、このような移載装置によれば、位置決めを行う部品は、吸引管に接続される吸引源によって吸引捕捉されることで、嵌合部への嵌合時における部品の外縁と、内側辺部および内底辺部との当接によって水平方向の押圧力が生じ摺動する。このことで、位置決めの基準となる内側辺部および内底辺部に倣って吸引されている部品の位置決めをすることができる。従って、従来の移載装置に搭載されていた位置決めの基準となる辺に部品を当接させる位置決め駆動機構と、その駆動機構を制御する制御装置を用いることなく部品の位置決めをすることができる位置決め機構を実現できる。
【0026】
また、このような移載装置によれば、位置決めされた部品が移載(載置)されるステージと直交する方向に位置決め機構が配置されることで、位置決めされた部品は直交(垂直)する方向の搬送で移載先であるステージに移載することができる。このことで、位置決めされた部品の水平方向の精度を保った状態で、ステージ部へ部品を載置(搬送)することができる。従って、部品を水平方向に搬送する搬送機構に高い精度を要しない移載装置とすることができる。また、移載元と移載先との途中で位置決め工程を行わないため、移載にかかる時間を短縮し、生産効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本願の位置決め機構が搭載される移載装置を示す斜視図。
【図2】第1実施形態に係る位置決め方法の工程を示すフロー図。
【図3】第1実施形態に係る位置決め機構の構成を示す模式図。
【図4】第1実施形態に係る位置決め治具および捕捉部を示す拡大模式図。
【図5】第2実施形態に係る位置決め治具と、倣われる部品とを示す模式図。
【図6】第3実施形態に係る複数の嵌合部を備える位置決め治具を示す模式図。
【図7】第4実施形態に係る移載装置における移載方法の工程を示すフロー図。
【図8】背景技術にかかる移載装置を示す模式図。
【図9】変形例1にかかる位置決め治具と、倣われる部品とを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施形態を図面に基づいて説明をする。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際の構成要素とは適宜に異ならせて記載をしている。また、各図には、XYZ直交座標系を設定し、水平面内における基板の1辺の延在方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに直交する方向、即ち鉛直方向をZ軸方向とする。なお、各軸の矢印の方向を(+)方向とし、その反対を(−)方向とする。
【0029】
図1を用いて、本発明の位置決め機構2が搭載される移載装置1aについて、簡単に説明をする。
本発明は、図1に示す移載元20のパレット21に搭載されている部品10を捕捉し、かかる部品10の方向や角度などの位置決めを行い、移載先40のステージ41に部品10を移載する移載装置1aに搭載される位置決め機構2に関するものである。
【0030】
移載装置1aの主な構成要素として、移載する部品が搭載された移載元20となるパレット21と、位置決めされた部品10を載置するステージ41を備えている。また、さらにパレット21に搭載された部品10を捕捉する捕捉機構100と、捕捉機構100を垂直、および水平方向に自在に運動させる搬送機構200と、捕捉機構100で捕捉した部品10の方向や角度を決定する位置決め治具330を備える位置決め機構2とで構成されている。
【0031】
上述した移載装置1aによる部品10の位置決めは、位置決め治具330に備える位置決め基準となる辺331(図4(b)参照)に、部品10の外縁11(図4(b)参照)を当接させて、かかる基準となる辺331、332に倣わせることで行う。移載装置1aの詳細は、第4実施形態で説明する。
【0032】
(第1実施形態)
本実施形態の位置決め方法と、これを実行する位置決め機構2について説明をする。
図2は、本実施形態の位置決め方法の工程と、その前工程および後工程を示すフロー図である。また、図3は、本実施形態の位置決め機構2の構成、および動作を示す模式図である。図4は、図3に示す捕捉部110と、位置決めをする部品10の位置決めを行う位置決め治具330を示す拡大図である。図2から図4を用いて本実施形態の位置決め方法を工程順に説明し、位置決め機構2の構成、及び動作を工程と対比させて説明をする。
なお、以下の説明において、部品10と、外縁11と、位置決め治具330と、基準となる辺331と、開口部332と、嵌合部335とは総括名称であり、具体的な説明には記号(アルファベット)を付加して説明をする。
【0033】
(位置決め方法の工程)
本実施形態の位置決め方法は、位置決めを行う前工程S100である捕捉工程S120と、第1搬送工程S130とを含む。また、部品10の位置決めを行う位置決め工程S210と、位置決めを行った後工程S300となる第2搬送工程S310とを含む。
【0034】
捕捉工程S120は、位置決めを行う部品10を捕捉する工程である。捕捉工程S120は、吸引することで部品10を捕捉する工程である。なお、部品10は、捕捉工程S120によって捕捉される部品面15に平面を有する。
【0035】
第1搬送工程S130は、捕捉工程S120で捕捉した部品10を後述する位置決め工程S210を行う場所に搬送する工程である。第1搬送工程S130は、捕捉工程S120で捕捉した部品10を垂直(Z軸)方向に搬送し、次に、位置決めを行う場所に水平(X軸)方向に搬送する工程である。
【0036】
位置決め工程S210は、部品10の水平(X軸、Y軸)面内における位置とZ軸方向からみた回転軸方向(角度)との位置決めをする工程である。位置決め工程S210は、位置決め治具330に設けられた位置決めの基準となる辺331に沿って部品10を嵌合(挿入)し、部品10の外縁11を基準となる辺331に当接させて倣わせる。なお、位置決め工程S210は、位置決めされた部品10が載置されるステージ41と直交するZ軸(+)方向で行われる。
【0037】
第2搬送工程S310は、位置決めを行った部品10をステージ41へ搬送する工程であって、位置決め工程S210の後工程S300である。第2搬送工程S310は、位置決めを行った部品10を位置決め場所からステージ41へ直交するZ軸方向に部品10を搬送する。
【0038】
(位置決め機構の構成および動作)
図3に示す本実施形態の位置決め機構2は、位置決めの前工程S100及び後工程S300を行う捕捉機構100及び搬送機構200と、位置決め工程S210を行う位置決め機構2を備え、位置決め機構2には、位置決め治具330を備える。
【0039】
捕捉機構100は、位置決めを行う部品10を吸引によって捕捉する。捕捉機構100は、捕捉部110を備え、図4(a)に示す捕捉部110の拡大図のように、捕捉する部品10と当接するパッド120と、部品10を吸引する吸引管130とを備える。捕捉機構100による部品10の捕捉は、後述する搬送機構200を動作させ、位置決めを行う部品10に捕捉部110に備えるパッド120を当接させる。吸引管130には図示しない真空源が接続されており、パッド120が部品10に当接することで真空吸着できる。これは、捕捉工程S120に対応する。
【0040】
パッド120は、吸引される部品10と密接し、吸引の気密を保つために設けられている。本実施形態では、弾性を有する材料で形成されている。なお、パッド120は、捕捉した部品10の部品面15との摺動抵抗が、後述する位置決め治具330の内側辺部331a(以下、「側辺」と称す。)と、内底辺部331b(以下、「底辺」と称す。)とに部品10の外縁11が当接した際に生じる押圧力によって部品10が水平方向に摺動可能な材料であれば良い。
【0041】
図3に戻り、捕捉機構100は、図3に示す様に後述する搬送機構200によって垂直方向、および水平方向に自在に運動することができる。
【0042】
搬送機構200は、部品10を捕捉する捕捉機構100を垂直、水平方向に自在に移動させる駆動装置210と、これを制御する制御装置(不図示)を備える。また、X軸方向に移動をさせる際に、捕捉機構100を案内する案内レール250を備える。
【0043】
搬送機構200は、図3(a)に示す様に、駆動装置210によって部品10を捕捉する捕捉機構100をZ軸(−)方向に移動させる。駆動装置210は、部品10を捕捉するために捕捉機構100をZ軸(−)方向の所定の位置へ移動させて、前述の捕捉機構100によって部品10の捕捉を行う。次に、駆動装置210は、部品10を捕捉した捕捉機構100をZ軸(+)方向で後述する位置決め機構2の位置決め治具330が突き出されている高さ(位置)へ移動させる。また、搬送機構200は、捕捉された部品10を位置決め場所に搬送するために、X軸(+)方向に案内レール250に沿って移動する。これは、第1搬送工程S130に対応する。
【0044】
また、位置決め場所に搬送された部品10は、搬送機構200によって後述する位置決め機構2に挿入される。これは、位置決め工程S210に対応する。
【0045】
さらに、搬送機構200は、後述する位置決め機構2によって位置決めされた後の部品10が載置されるステージ41へ部品10を搬送する。位置決め後の部品10の搬送は、図3(c)に示す様に、位置決めを行った場所からZ軸(−)方向に配置されるステージ41へ搬送する。これは、第2搬送工程S310に対応する。
【0046】
位置決め機構2は、位置決め治具330と、位置決め治具330をX軸(水平)方向に動作させるスライド装置(不図示)を備える。また、位置決め機構2は図3(b)に示す様に、位置決め後の部品10が載置されるステージ41と直交するZ軸(+)方向の位置に備えられる。
【0047】
図4(b)は、本実施形態の位置決め機構2で位置決めを行う部品10aと、位置決め治具330aをZ軸方向から見た模式図である。
位置決め治具330aは、嵌合部335aを有し、嵌合部335aは、位置決めを行う部品10aの外縁11a、もしくは外縁11bの辺の長さよりも長い底辺331bと、底辺331bの両端に交わる2つの側辺331aを有する。また、開口部332aの長さ(L2)よりも底辺331bの長さ(L1)が広くなっている。
【0048】
側辺331aは、中心線Cを中心に底辺331bとの交点から嵌合部335aの外側、即ちY軸(+)、及びY軸(−)方向に向かって傾斜している。
なお、本実施形態では、部品10aの外縁11bと、底辺331bとの長さ(L1)が略等しいものとして説明をする。
【0049】
図3(b)に示す様に位置決め機構2は、位置決め場所において、X軸(水平)方向に位置決め治具330を動作させ、位置決め基準となる辺331に部品10aの外縁11を当接させることで位置決めを行う。
【0050】
図4(b)に戻り、位置決め治具330は、図示しないスライド機構によって位置決め場所に予め突き出されている。位置決めされる部品10aは、搬送機構200によって位置決め場所に突き出された位置決め治具330に向かって嵌合(挿入)される。詳しくは、位置決め治具330aの嵌合部335aに底辺331bの長さ(L1)と略等しい外縁11bと、底辺331bとを対向させて部品10aを配置し、搬送機構200が動作することによって部品10aは、開口部332aから嵌合部335aの底辺331bに向かって嵌合(挿入)される。
【0051】
嵌合部335aへ嵌合された部品10aは、その外縁11aが側辺331aに当接し、当接による押圧力で側辺331aに倣われて部品10aがY軸方向に摺動する。さらに、部品10aは、底辺331bの方向に挿入(嵌合)され、外縁11bと底辺331bとが当接し、当接による押圧力で底辺331bに倣われて部品10aがX軸方向に摺動する。
【0052】
これにより、部品10aのX軸方向およびY軸方向の位置と、Z軸方向からみた回転軸方向(角度)との位置決めを行う。図3(b)に示す位置決め治具330は、部品10の位置決めが完了すれば、スライド機構によって位置決めを行った部品10から離れてX軸(+)方向の所定の位置に退避する。これは、位置決め工程S210に対応する。
【0053】
位置決めされた部品10は、先に説明をした搬送機構200によって、ステージ41へ搬送する。位置決め後の部品10の搬送は、位置決め場所からステージ41に向かって垂直方向に捕捉機構100をX軸(−)方向に移動してステージ41に部品10を載置する。これは、第2搬送工程S310に対応する。
【0054】
上述した実施形態によれば以下の効果が得られる。
本実施形態の位置決め機構2は、位置決めの基準となる側辺331aおよび底辺331bに沿って位置決めを行う部品10を勘合し、部品10の外縁11と側辺331aおよび底辺331bとを当接させる。当接による押圧力によって側辺331aおよび底辺331bに倣って部品10を摺動させて位置決めをすることができる。
従って、位置決めの基準となる基準ストッパー320に部品10を当接させる位置決め駆動機構310と、その位置決め駆動機構310を制御する制御装置(不図示)を用いることなく部品の位置決めをすることができる簡易な構造の位置決め機構2を実現できる。
【0055】
本実施形態の位置決め機構2は、位置決めをする部品10に吸引によって捕捉される面15が平面を有する。このことで、側辺331aおよび底辺331bに部品の外縁11が当接した押圧力によって、部品10を捕捉している捕捉機構100のパッド120と、部品の捕捉される面15とを摺動させ、水平方向に部品10を摺動させることができる。
【0056】
また、部品10は、吸引されていることで当接した押圧力によるZ軸(−)方向への移動を抑制し、捕捉機構100に捕捉されていることでZ軸(+)方向への移動が規制され、垂直(Z軸)方向への移動を抑制することができる。従って、水平(X軸、Y軸)方向および、垂直(Z軸)方向の位置決めに係る駆動機構を必要としない簡易な構造の位置決め機構2を実現できる。
【0057】
本実施形態の位置決め方法は、位置決め工程S210において部品10の外縁11が、側辺331aおよび底辺331bに当接し、かかる側辺331aおよび底辺331bに倣らわせて部品10を摺動させて位置決めをすることができる。従って、位置決めをする部品10の外縁11を基準ストッパー320に当接させる駆動工程や駆動工程を制御する制御工程を必要としない簡易な工程の位置決め方法を実現できる。
【0058】
このような位置決め方法は、位置決め後の部品10が載置されるステージ41と直交する方向で位置決め工程S210を行うことで、位置決め後の部品10を水平面内(X軸)方向に搬送することを必要としない。このことで、位置決め後の部品10の位置決め精度を保った状態で、ステージ41へ部品10を載置することができる。従って、位置決め後の部品10の第2搬送工程S310(第1搬送工程S130)は、位置決め精度を上回る精度が要求されないため、第2搬送工程S310と、かかる搬送工程を制御する制御工程とを簡略化した位置決め方法を実現することができる。
【0059】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態にかかる位置決め治具330を示す模式図である。
本実施形態の位置決め治具330は、嵌合部335の形状が第1実施形態と異なる。かかる形状の相違点について図5を用いて説明し、第1実施形態と同様の構成及び工程は、同様の符号を付して説明を簡略または省略とする。
【0060】
本実施形態の位置決め治具330bの嵌合部335bは、部品10の位置決めの基準となる辺331が第1実施形態の嵌合部335aと異なる。
図5(a)に示すように、嵌合部335bには、位置決めを行う部品10aの外縁11a、もしくは外縁11bの辺の長さよりも長い底辺331bと、底辺331bの両端に交わる2つの側辺331cを有する。また、底辺331bの長さ(L1)よりも開口部332bの長さ(L2)が長くなっている。
【0061】
側辺331cは、位置決め治具330の中心線Cを中心に底辺331bと側辺331cとの交点から平行して延在し、底辺331bとの交点からの側辺331cの長さが部品10aの外縁11aの略半分の長さと等しい、もしくは略半分の長さ以上の点Aから、嵌合部335bの外側、即ちY軸(+)方向、及びY軸(−)方向に向かって傾斜(屈折)する側辺331aを備える。なお、本実施形態では、部品10aの外縁11bと、底辺331bとの長さ(L1)が略等しいものとして説明をする。
【0062】
本実施形態の位置決め治具330bを用いた部品10a位置決めは、第1実施形態と同様に、搬送機構200によって部品10aを位置決め治具330bに嵌合(挿入)し、位置決め治具330bの側辺331aおよび底辺331bと部品10aの外縁11と当接させることで位置決めを行う。
【0063】
位置決め治具330bの嵌合部335bは、底辺331bの長さ(L1)と略等しい外縁11bと、底辺331bとを対向させて配置し、搬送機構200が動作することによって部品10aは、開口部332bから底辺331bに向かって挿入される。
【0064】
嵌合部335bへ嵌合(挿入)された部品10aは、その外縁11aが側辺331aに当接し、当接による押圧力で側辺331aに倣って部品10aがY軸方向に摺動する。また、底辺331bに向かって挿入され続け、底辺331bと直交する側辺331cと外縁11aとが当接し、部品10aはY軸方向への摺動が規制され、該Y軸方向の位置が決定される。
【0065】
さらに、部品10aは、底辺331bと直交する側辺331cに外縁11aが当接し、Y軸方向の摺動が規制されながら、底辺331bの方向に挿入され、外縁11bと底辺331bとが当接し、当接による押圧力で底辺331bに倣って部品10aがX軸方向に摺動する。X軸方向に摺動することで、X軸方向の位置が決定される。これにより、部品10aのX軸方向およびY軸方向の位置と、Z軸方向からみた回転軸方向(角度)との位置決めを行う。
【0066】
また、本実施形態の位置決め治具330bは、図5(b)に示す円形状の部品10bの位置決めを行うこともできる。かかる部品10bの位置決めは、図5(a)を用いて上述した部品10aの位置決めと同様に、搬送機構200によって部品10bを位置決め治具330bに嵌合(挿入)し、部品10bの円周11dと、位置決め治具330bに有する位置決めの基準となる辺331とを当接することで位置決めを行う。
【0067】
嵌合部335bへ嵌合された部品10bは、該部品10dの中心点BからY軸方向に直交し、部品10bの円周11dと交わる点Dが側辺331aと、側辺331cとに当接し、当接による押圧力で側辺331a、331cに倣って部品10bがY軸方向に摺動する。
底辺331bと直交する側辺331cと、点D(円周11d)が当接する部品10bは、Y軸方向への摺動が規制され、同Y軸方向の位置が決定される。
【0068】
また、部品10bは、Y軸方向の摺動が規制されながら、底辺331bの方向に挿入され、部品の中心点BからX軸方向と直交し、部品10bの円周11dと交わる点E(円周11d)が底辺331bと当接し、当接による押圧力で底辺331bに倣って部品10がX軸方向に摺動する。これにより、部品10のX軸方向と、Y軸方向の位置決めを行う。
【0069】
上述した実施形態によれば以下の効果が得られる。
このような位置決め機構2は、嵌合(挿入)される部品10a、10bの外縁11が屈折した側辺331aに当接し、さらに底辺331bと直交する側辺331cに当接することで外縁11を2組の側辺331a、331cと、底辺331bとの3辺に外縁11の3点(3辺)を当接させることで、円形状の部品10b等の位置決めを行うことができる。従って、外縁11と基準となる辺331とが3点(3辺)で当接することで、矩形状の部品10aまたは円形状の部品10bに限定されず、他の形状の部品10の位置決めも行うことができる。
【0070】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態にかかる位置決め機構2の位置決め治具330c、330dを示す模式図である。本実施形態の位置決め方法、及びこれを実行する位置決め機構2には、位置決め治具330に複数の嵌合部335を備え、複数の嵌合部335を位置決めする部品10に合わせて選択する選択機構(不図示)が備えられている点が、上述した第1実施形態および第2実施形態と異なる。位置決め機構2の相違点について図6を用いて説明し、第1実施形態および第2実施形態と同様の構成および工程は、同様の符号を付して説明を簡略または省略とする。
【0071】
(位置決め工程)
本実施形態の位置決め工程S210は、捕捉工程S120で捕捉された部品10が第1搬送工程S130によって位置決め場所に搬送され部品10の位置決めを行う。位置決め機構2は、位置決めを行う部品10に適合した嵌合部335を位置決め治具330から選択し、選択された嵌合部350に第1実施形態および第2実施形態と同様に部品10を嵌合(挿入)することで部品10の位置決めを行う。
【0072】
(位置決め治具)
本実施形態の位置決め機構2には、位置決め治具330に複数の嵌合部335を備える。図6(a)に示す位置決め治具330cは、4つの異なる大きさの嵌合部335有する。図6(a)は、第1実施形態で説明をした形状の嵌合部335aであって、基準となる辺331の長さが異なる複数の嵌合部335aが備えられている位置決め治具330cを示す。また、図6(b)は、第2実施形態で説明をした形状の嵌合部335bであって、基準となる辺331の長さが異なる複数の嵌合部335bが備えられている位置決め治具330dを示す。
【0073】
また、本実施形態の位置決め機構2には、位置決めする部品10に適合した嵌合部335を選択するために、位置決め治具330c、330dをY軸方向に移動させる選択機構(不図示)を備える。選択機構は、位置決めする部品10に適合した嵌合部335a,335bが位置決めする部品10bと対向する位置に配置されるように、位置決め治具330c、330dを移動させる。
【0074】
位置決めする部品10に対向する位置に移動した位置決め治具330c、330d(嵌合部335a,335b)は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、搬送機構200によって捕捉機構100に捕捉されている部品10を嵌合部335a、335bに嵌合し、当接させる。嵌合部335a、335bが部品10に当接することで、部品10の外縁(円周)11に、基準となる辺331が当接し、当接による押圧力によって部品10が摺動し、基準となる辺に331に倣って位置決めがされる。
【0075】
これによって、位置決めをする部品10にあわせて嵌合部335を選択することで、異なる形状を有する複数の部品10の位置決めを行う。
【0076】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
このような位置決め機構2は、位置決め治具330に形状が異なる複数の嵌合部335を有することで、形状や大きさの異なる複数の部品10の位置決めを位置決め治具330を交換することなくできる。従って、位置決め治具330の交換時間を短縮し、位置決め効率の高い位置決め機構2を実現できる。
【0077】
(第4実施形態)
図7は、前述した本発明の位置決め工程S210を含む部品10を移載する移載工程を示すフロー図である。また、図1は、移載工程を実行する移載装置1aの一例を示す図である。本実施形態の移載装置1aは、第1実施形態から第3実施形態で説明をした位置決め機構2を搭載する移載装置1aであり、かかる実施形態で説明をした工程および構成は説明を簡略または省略とする。図1および図7を用いて本実施形態の移載装置1aについて説明をする。
【0078】
(移載工程)
(位置決め方法の工程)
図7に示すように本実施形態の移載装置1aの各工程は、移載する部品10が搭載されたパレット21を移載装置1aに供給する給材工程S110と、パレット21に搭載された部品10を捕捉する捕捉工程S120と、位置決めを行う場所まで部品10を搬送する第1搬送工程S130とを含む。また、部品10の位置決めを行う位置決め工程S210と、位置決めがされた部品10を移載先40のステージ41に搬送する第2搬送工程S310と、ステージ41に移載された部品10を次工程へ送品する送品工程S320とを含む。
【0079】
給材工程S110は、移載する部品10が搭載されたパレット21を移載装置1aに給材し、かかる部品10の移載の準備をする工程である。
【0080】
捕捉工程S120は、移載装置1aで移載する部品10を捕捉する工程である。第1実施形態の位置決め機構2と同様に、吸引することで部品10を捕捉する。
【0081】
第1搬送工程S130は、捕捉工程S120で捕捉した部品10を後述する位置決め工程S210を行う場所に搬送する工程である。第1搬送工程S130は、捕捉工程S120で捕捉した部品10を垂直(Z軸)方向に搬送し、位置決めを行う場所に水平(X軸)方向に搬送する。
【0082】
位置決め工程S210は、第1実施形態から第3実施形態と同様に、部品10のX軸方向およびY軸方向の位置と、Z軸方向からみた回転軸方向(角度)との位置決めを行う工程である。
【0083】
位置決め工程S210は、位置決め治具330に設けられた位置決めの基準となる辺331に沿って部品10を嵌合し、部品10の外縁11を基準となる辺331に当接させ、当接による押圧力で基準となる辺331に倣われて部品10を摺動させて位置決めを行う。なお、位置決め工程S210は、位置決めされた部品10が載置されるステージ41と直交する方向で行われる。
【0084】
第2搬送工程S310は、位置決めを行った部品10をステージ41へ搬送する工程である。第2搬送工程S310は、位置決め後の部品10が載置されるステージ41へ垂直(Z軸)方向に搬送する。
【0085】
送品工程S320は、ステージ41に載置された位置決め後の部品10を次工程へ送品する工程である。送品工程S320は、次工程にかかる組立装置(不図示)等に位置決めをされた部品10を送品するため、図示しない組立装置等と協働して回転台42を回転させ、ステージ41に移載された部品10を組立装置等が捕捉し送品する。次工程へ部品10が送品されることで移載装置1aによる一連の移載工程が完了する。
【0086】
(移載装置の構成および動作)
移載装置1aは、移載する部品10を捕捉する捕捉機構100と、移載する部品10を捕捉機構100が捕捉する位置にパレット21を動かす給材機構150と、捕捉機構100に捕捉された部品10を搬送する搬送機構200と、部品の位置決めを行う位置決め機構2と、位置決めされた部品10を次工程に送品する送品機構400とを備える。
【0087】
給材機構150は、移載を行う部品10が搭載されているパレット21を、後述する捕捉機構100が部品10を捕捉できるY軸方向の位置に動かすことで給材を行う。給材機構150は、捕捉機構100が部品を捕捉できる様に、給材駆動装置151を制御装置(不図示)によって制御し、給材案内レール251に沿ってパレット21をY軸方向に移動させる。これは、給材工程S110に対応する。
【0088】
搬送機構200は、移載を行う部品10を吸引によって捕捉する。捕捉機構100は、第1実施形態と同様に、真空源などの吸引力で吸引することで部品10を捕捉する。これは、捕捉工程S120に対応する。
【0089】
搬送機構200は、部品10を捕捉する捕捉機構100を垂直、水平方向に自在に運動させる駆動装置210と、これを制御する制御装置(不図示)を備える。また、X軸方向に運動をさせる際の案内レール250を備える。
【0090】
搬送機構200は、第1実施形態と同様に、駆動装置210によって部品10を捕捉する捕捉機構100をZ軸(−)方向に移動させる。搬送機構200は、部品10を捕捉するために捕捉機構100をZ軸(−)方向のパレット21に搭載される部品10を吸引できるZ軸方向の位置に移動させる。
【0091】
搬送機構200は、パレット21から部品10を捕捉した捕捉機構100をZ軸(+)方向の位置決めを行う高さ(位置)に移動させる。また、搬送機構200は、捕捉された部品10を後述する送品機構400に設けられたステージ41と直交する位置決め場所に搬送するために、Z軸方向の高さを保持した状態で、部品10をX軸(+)方向に案内レール250に沿って移動する。これは、第1搬送工程S130に対応する。
【0092】
また、位置決め場所に搬送された部品10は、搬送機構200によって後述する位置決め機構2に挿入(嵌合)される。これは、位置決め工程S210に対応する。
【0093】
さらに、搬送機構200は、後述する位置決め機構2によって位置決めされた後の部品10が載置されるステージ41へ部品10を搬送する。位置決め後の部品10の搬送は、位置決めを行った場所からZ軸(−)方向に配置されるステージ41へ搬送する。これは、第2搬送工程S310に対応する。
【0094】
位置決め機構2は、第1実施形態から第3実施形態と同様に、位置決め治具330と、位置決め治具をX軸方向に動作させるスライド装置(不図示)を備える。
位置決め機構2は、搬送機構200によって位置決めの基準となる辺331を有する嵌合部335を備えた位置決め治具330に、位置決めを行う部品10を嵌合(挿入)する。部品10は、外縁11と、基準となる辺331が当接し、当接による押圧力で基準となる辺331に倣われて摺動し、部品10のX軸方向およびY軸方向の位置と、Z軸方向からみた回転軸方向(角度)との位置決めを行う。これは、位置決め工程S210に対応する。
【0095】
なお、位置決め機構2の構成と、動作とは第1実施形態から第3実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0096】
送品機構400は、回転台42に位置決めされた部品10が移載(載置)されるステージ41を備える。送品機構400は、次工程へ部品10を送品するため、位置決めされた部品10がステージ41に載置されたら、部品10が載置されていないステージ41が位置決めを行う場所と直交する位置に配置されるまで回転台42を回転させる。また、回転台42の回転は、移載された部品10が送品される図示しない組立装置等と協働して動作し、次工程へ部品10を送品する。これは、送品工程S320に対応する。
【0097】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
このような移載装置1aは、位置決め後の部品10が載置されるステージ41に直交するZ軸方向に位置決め機構2を備えて部品10の位置決めを行うことで、位置決め後の部品10を搬送する第2搬送工程S310は、垂直(Z軸)方向の搬送のみとすることができる。
【0098】
従って、移載元20と移載先であるステージ41との途中で位置決め工程S210を行わないため、捕捉機構100に捕捉された部品10を水平方向に搬送する搬送機構200に高い精度を必要としない移載装置1aとすることができる。また、移載元20と移載先であるステージ41との途中で位置決め工程S210を行わないため、搬送にかかる時間を短縮し、移載(生産)効率を高めた移載装置1aとすることができる。
【0099】
また、このような移載装置1aは、移載される部品10の位置決めを位置決め治具330に倣わせて行うため、部品10を捕捉する捕捉機構100に従来搭載されていた位置決め駆動機構310を必要としない移載装置1aとすることができる。従って、移載装置1bの構造を簡素化し、製作費用を抑制した移載装置1bを実現することができる。
【0100】
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施する事が可能である。変形例を以下に述べる。
【0101】
(変形例1)上述した各実施形態の位置決め機構2は、捕捉部110に捕捉されている部品10を位置決め治具330に当接させることで、当接による押圧力によって部品10を摺動させて位置決めを行っている。しかし、これに限定されず、図示しないスライド機構によって位置決め治具330をX方向に動作させ、捕捉機構100に捕捉している部品10の外縁11に位置決めの基準となる辺331当接させ、倣わせて摺動することで部品10の位置決めを行っても良い。
【0102】
図9は、変形例1に係る位置決め治具330aと、倣われる部品10aとを示す模式図である。図9(a)に示す様に、部品10aが位置決め場所に搬送された段階では位置決め治具330aは、所定の退避位置に退避をしている状態である。図9(b)に示す様に、退避位置からスライド機構によって位置決め治具330aをX軸(−)方向に動作させ、部品10aが嵌合部335aに挿入(嵌合)される。これにより、部品10aの外縁11(11a,11b)が位置決めの基準となる辺331と当接し、倣われて摺動することで部品10aの位置決めを行うことができる。なお、略矩形を有する部品10aと、位置決め治具330aを用いて説明したが、円形を有する部品10bと位置決め治具330bにも適用することができる。
【0103】
(変形例2)第4実施形態における移載装置1bは、パレット21に搭載されている部品10の位置決めを位置決め機構2で行い、ステージ41へ載置する移載装置1bである。しかし、これに限定されず、移載装置1bの構成要素は、部品10を用いて製品等を組立(製造)する装置に包含することができる。かかる場合、位置決め後の部品10は、送品機構400を経ずに、直接製品等に載置(搭載)することで高い位置決め精度で部品10を移載し製品等に搭載することができる。
【符号の説明】
【0104】
1…移載装置、2…位置決め機構、10…部品、11…外縁、11d…円周、15…部品面、20…移載元、21…パレット、40…移載先、41…ステージ、42…回転台、100…捕捉機構、110…捕捉部、120…パッド、130…吸引管、150…給材機構、151…給材駆動装置、200…搬送機構、210…駆動装置、250…案内レール、251…給材案内レール、330…位置決め治具、331…基準となる辺、331a…側辺、331b…底辺、331c…側辺、332…開口部、335…嵌合部、400…送品機構、S110…給材工程、S120…捕捉工程、S130…第1搬送工程、S210…位置決め工程、S300…後工程、S310…第2搬送工程、S320…送品工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が嵌合される切り欠け形状を有する嵌合部と、
前記嵌合部の最深となる内底辺部と、
前記内底辺部の両端に交わる内側辺部と、を有し、
前記内底辺部の幅よりも前記切り欠け形状の開口部の幅が広い位置決め治具とを備えること、
を特徴とする位置決め機構。
【請求項2】
請求項1に記載の位置決め機構であって、
前記位置決め機構で位置決めされる前記部品を吸引する吸引管と、
前記部品と前記吸引管との間の吸引気密を保つパッドと、
を備えることを特徴とする位置決め機構。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の位置決め機構であって、
前記内側辺部は前記内底辺部と交わる点と前記開口部に至る点との間で屈折していること、
を特徴とする位置決め機構。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の位置決め機構であって、
前記位置決め治具は、前記内側辺部および前記内底辺部の長さと、前記開口部の幅とが異なる複数の前記切り欠けを有すること、
を特徴とする位置決め機構。
【請求項5】
請求項2に記載の位置決め機構であって、
前記捕捉機構で吸引される前記部品は、吸引される面が平面を有する板状であること、
を特徴とする位置決め機構。
【請求項6】
内底辺部と内側辺部とを有する位置決め治具を用いた部品の位置決め方法であって、
位置決め場所に搬送された前記部品の位置決めを行う位置決め工程を含み、
前記位置決め工程は、前記部品の外縁を前記位置決め治具に設けられた前記内側辺部と前記内底辺部とに水平方向に当接させ、前記内側辺部と前記内底辺部とに倣って水平方向に前記部品が摺動することで平面的な前記部品の位置決めを行うこと、
を特徴とする位置決め方法。
【請求項7】
請求項6に記載の位置決め方法であって、
前記位置決め工程は、位置決めを行った前記部品が載置されるステージに直交する方向で位置決めを行い、前記位置決めがされた前記部品を前記ステージへ直交方向に搬送すること、
を特徴とする位置決め方法。
【請求項8】
位置決めおよび移載される部品を供給する給材機構と、
供給された前記部品を捕捉する捕捉機構と、
位置決めをする前記部品が嵌合される切り欠け形状を有する嵌合部と、前記嵌合部の最深となる内底辺部と、前記内底辺部の両端に交わる内側辺部と、を有し、前記内底辺部の幅よりも前記切り欠け形状の開口部の幅が広い位置決め治具を備える位置決め機構と、
位置決めされた前記部品を移載するステージ部を有し、前記ステージ部に移載された前記部品を次工程に送品する送品機構と、
前記給材機構と前記位置決め機構と前記送品機構との間で前記捕捉機構に捕捉された前記部品を搬送する搬送機構と、を備え、
位置決めされた前記部品が移載される前記ステージ部に直交する方向に前記位置決め機構が配置されること、
を特徴とする移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−71836(P2013−71836A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214096(P2011−214096)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】