説明

位置規則性ポリ(3−置換チオフェン)を調製する方法

本発明は、位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)を調製する方法を提供するものである。該方法は、3−置換チオフェン−金属錯体とマンガン(II)ハロゲン化物とを接触させ、3−置換チオフェン−マンガン錯体を得るステップと;前記チオフェン−マンガン錯体とニッケル(II)触媒とを接触させ、位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)を得るステップとを含む。3位での置換基は、様々な異なる基であってよい。さらに、非置換ポリチオフェンおよび3,4−二置換ポリチオフェンも該方法で調製できる。電子装置は、本明細書に記載されているように調製したポリマーを用いて製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、米国特許法§119(e)の下、2006年6月7日に出願された、米国特許出願第60/804,139号に対する優先権を主張し、この特許出願を本明細書中で参考として援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は、より効率的かつより少ないコストで、高い位置選択性を有する置換ポリチオフェンポリマーを製造するための改良されたプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ポリチオフェンは、その非線形光学特性、導電性、および他の価値ある特性により、近年、相当な注目を集めてきた。ポリチオフェンは、広範な用途の電気部品、例えばトランジスタ、ダイオードおよびトリオードで使用できる。前記の用途および他の用途でのポリチオフェンの使用は、純度の欠如による不規則な導電性により妨害される場合が多かった。
【0004】
ポリチオフェンを調製する合成法がいくつか知られている。しかしながら、これら既知の技法では、位置特異性が決して最適とはいえない置換ポリチオフェンが得られる場合が多い。モノマーの配向は、ポリマーの導電性に大きな影響を与えるため、位置規則性の高いポリチオフェンが所望される。位置規則性の高いポリチオフェンにより、充填の改善および微構造の最適化が可能となり、電荷キャリアの移動度が向上することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、高純度で、位置規則性の高いポリチオフェンポリマーの改良合成法に対する必要性が依然存在する。また、製造の簡便性および装置の操作性を向上させるために、高純度で位置規則性のポリチオフェンポリマー製部品を有する装置も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本発明は、位置規則性ポリチオフェンを調製する方法を対象とする。該ポリチオフェンには、3−置換ポリチオフェンがなり得る。該ポリチオフェンは、3,4−二置換ポリチオフェンまたは非置換ポリチオフェンであってもよい。
【0007】
位置規則性頭尾結合(「HT」)ポリ(3−置換チオフェン)を調製する方法は、3−置換チオフェン−金属錯体と、マンガン(II)ハロゲン化物とを接触させ、3−置換チオフェン−マンガン錯体を得ること、チオフェン−マンガン錯体とニッケル(II)触媒とを接触させ、位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)を得るステップとを含む。あるいは、ニッケル(II)触媒とチオフェン−マンガン錯体とを接触させ、位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)を得てもよい。3−置換チオフェン−金属錯体は、2,5−ジハロ−3−置換チオフェンと有機金属試薬とを接触させ、3−置換チオフェン−金属錯体を得るステップを含む方法で調製できる。有機金属試薬は、グリニャール試薬、グリニャール−アート錯体、アルキルリチウム試薬、アルキルリチウムクプラート、アルキルアルミニウム試薬、または有機亜鉛試薬でもよい。
【0008】
本発明は、優れた導電性を有する改良された位置規則性ポリチオフェンからなる導電性ポリマーも対象とする。改良されたポリチオフェンは、モノマー組成、位置規則性の程度、分子量および数平均分子量等の物理的性質、多分散性、導電性、その調製の特徴から直接得られる純度、ならびに他の特性により特徴付けられる。改良されたポリチオフェンは、それを調製するためのプロセスによっても特徴付けられる。具体的には、本発明の改良されたポリチオフェンのHT位置規則性は、少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約87%、より好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約92%、いっそうより好ましくは少なくとも約95%、なおいっそう好ましくは少なくとも約97%、または最も好ましくは少なくとも約99%であり得る。
【0009】
本発明は、本明細書に記載の方法で調製したポリチオフェン薄膜も対象とする。ポリチオフェン薄膜は、ドーパントを含んでもよい。本発明の別の態様では、ポリチオフェン薄膜は、電子表示等における、無線自動識別(RFID)タグ、プラスチック照明装置、または有機発光ダイオード(OLED)を調製するために使用できる。
【0010】
定義
本明細書で使用する場合、ある種の用語は、以下の意味を有する。当業者であれば理解されようが、本明細書で使用する他の用語および語句は全て、それらの通常の意味を有する。このような通常の意味は、Sax and Lewis、Hawley’s Condensed Chemical Dictionary 第11版、Van Nostrand Reinhold、New York、N.Y.、1987年;およびThe Merck Index第11版、Merck & Co.、Rahway N.J.、1989年等の専門辞書を参照することにより得ることができる。
【0011】
本明細書で使用する場合、「および/または」という用語は、この用語が関連する項目の任意の1つ、該項目の任意の組合せ、または該項目全てを意味する。
【0012】
本明細書で使用する場合、単数形(「a」、「an」、および「the」)は、文脈で別段の明確な指示がない限り、複数の言及も含む。したがって、例えば「1つの配合物(a formulation)」の言及は、複数の同種の配合物も含むので、化合物Xの1つの配合物(a formulation)は、化合物Xの複数の配合物(formulations)も含む。
【0013】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、指定された値の10%の変動を意味する。例えば、約50%は、45〜55%の変動を伴う。整数範囲に関しては、「約」という用語は、列挙した整数より大、およびそれ未満である1つまたは2つの整数を含むことができる。
【0014】
本明細書で使用する場合、「アルキル」という用語は、例えば1〜30個の炭素原子、およびしばしば1〜12個の炭素原子を有する分枝、非分枝、または環状の炭化水素を指す。例としては、それだけに限らないがメチル、エチル、1−プロピル(n−プロピル)、2−プロピルi−プロピル)、1−ブチル(n−ブチル)、2−メチル−1−プロピル(i−ブチル)、2−ブチル(sec−ブチル)、2−メチル−2−プロピル(t−ブチル)、1−ペンチル(n−ペンチル)、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−1−ブチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル等が挙げられる。アルキルは、非置換でも、または置換されていてもよい。アルキルは、場合により部分的にまたは完全に不飽和であってもよい。そのようなものとして、アルキル基は詳細には、アルケニル基およびアルキニル基の両方が挙げられる。アルキルは、上に記載し、例示されているように一価炭化水素ラジカルであってよく、または二価炭化水素ラジカル(即ち、アルキレン)であってもよい。
【0015】
本明細書で使用する場合、「アルキルチオ」という用語は、アルキルが本明細書に定義されているとおりである、アルキル−S−基を指す。一実施形態では、アルキルチオ基には、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、iso−プロピルチオ、n−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、sec−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、1,2−ジメチルブチルチオ等が挙げられる。アルキルチオのアルキル基は、非置換でも、または置換されていてもよい。
【0016】
本明細書で使用する場合、「アルキルシリル」という用語は、アルキルが本明細書に定義されているとおりであり、Rが各々独立にHもしくはアルキルである、アルキル−SiH−基またはアルキル−SiR−基を指す。チオフェンは、通常は該チオフェンとアルキルシリルハロゲン化物とを結合することによる、当業者に公知の多くの技法のいずれかによってアルキルシリル基で置換されていてもよく、その技法の多くはAldrich Handbook of Fine Chemicals、2007年〜2008年、Milwaukee、WIに開示されている。
【0017】
本明細書で使用する場合、「アルコキシ」という用語は、アルキルが本明細書に定義されているとおりである、アルキル−O−基を指す。一実施形態では、アルコキシ基には、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ(hexoxy)、1,2−ジメチルブトキシ等が挙げられる。アルコキシのアルキル基は非置換でも、または置換されていてもよい。
【0018】
本明細書で使用する場合、「アリール」という用語は、親芳香族環系の単一炭素原子からの1個の水素原子の除去により誘導される芳香族炭化水素基を指す。ラジカルは、親環系の飽和または不飽和の炭素原子の位置にあってよい。アリール基は、6〜18個の炭素原子を有することができる。アリール基は、少なくとも1つの環が芳香族(例えば、ナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニル、またはアントリル)である、単環(例えばフェニル)または複数の縮合環を有することができる。代表的なアリール基には、それだけに限らないが、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル等から誘導されるラジカルが挙げられる。アリールは、アルキル基について上に記載されているように、非置換でも、場合により置換されていてもよい。
【0019】
本明細書で使用する場合、「膜」または「薄膜」という用語は、機械的安定性および柔軟性を示す自立した膜、または独立した膜、ならびに支持基材上もしくは2つの基材の間のコーティングまたは層を指す。
【0020】
本明細書で使用する場合、「グリニャール−アート錯体」という用語は、3次元アート錯体を形成するための、1種または複数のグリニャール試薬とアルカリ塩との錯形成または3次元結合を指す。
【0021】
本明細書で使用する場合、「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨードの基、置換基、またはラジカルを指す。
【0022】
本明細書で使用する場合、「高い純度」という用語は、少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約87%、より好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約92%、いっそうより好ましくは少なくとも約95%、なおいっそう好ましくは少なくとも約97%、または最も好ましくは少なくとも約99%の純度である化合物またはポリマーを指す。純度は、重量%/重量%で決定できる。
【0023】
本明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」という用語は、1、2または3個の芳香族環を含有し、かつ芳香族環中に少なくとも1個の窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を含有する、単環式、二環式、または三環式の環系として本明細書で定義されており、これらは、「置換」の定義で上に記載されているように、置換されていなくても、または、例えば1個または複数、具体的には1〜3個の置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリール基の例には、それだけに限らないが、2H−ピロリル、3H−インドリル、4H−キノリジニル、アクリジニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾチアゾリル、β−カルボリニル、カルバゾリル、クロメニル、シンノリニル、ジベンゾ[b,d]フラニル、フラザニル、フリル、イミダゾリル、イミジゾリル、インダゾリル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサゾリル、ペリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリル、およびキサンテニルが挙げられる。一実施形態では、「ヘテロアリール」という用語は、炭素を含有する5もしくは6個の環原子と、非過酸化物性酸素、硫黄およびN(Z)(式中、Zが不在であるか、またはH、O、アルキル、アリール、もしくは(C〜C)アルキルアリールである)から独立に選択された1、2、3、もしくは4個のヘテロ原子とを含有する単環式芳香族環を示す。別の実施形態では、ヘテロアリールは、それから誘導される約8〜10個の環原子からなるオルト縮合した二環式ヘテロ環基、特にベンズ誘導体、またはプロピレン、トリメチレンもしくはテトラメチレンジラジカルをそれに縮合させて誘導したものを示す。
【0024】
本明細書で使用する場合、「ヘテロ環」または「ヘテロシクリル」という用語は、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択され、かつ「置換」という用語の下で本明細書に定義されているように1個もしくは複数の基で場合により置換されている少なくとも1個のヘテロ原子を含有する、飽和または部分的に不飽和な環系を指す。ヘテロ環は、1個もしくは複数のヘテロ原子を含有する単環式基、二環式基または三環式基であってよい。ヘテロ環基は、環に結合するオキソ基(=O)を含有してもよい。ヘテロ環基の非限定的な例としては、1,3−ジヒドロベンゾフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、1,4−ジチアン、2H−ピラン、2−ピラゾリン、4H−ピラン、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソクロマニル、イソインドリニル、モルホリン、ピペラジニル、ピペリジン、ピペリジル、ピラゾリジン、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジン、ピロリン、キヌクリジンおよびチオモルホリンが挙げられる。「ヘテロ環」という用語には、限定ではなく例示のために、ヘテロ環のモノラジカルも挙げられ、これは、Paquette, Leo A.、Principles of Modern Heterocyclic Chemistry、W.A. Benjamin、New York、1968年、特に第1章、第3章、第4章、第6章、第7章、および第9章;The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A Series of Monographs、John Wiley & Sons、New York、1950年〜現在、特に第13巻、第14巻、第16巻、第19巻、および第28巻;ならびに、J. AM. Chem. Soc.、1960年、82巻、5566頁に記載されている。本発明の一実施形態では、「ヘテロシクリル」には、1個または複数の(例えば、1、2、3、または4個)の炭素原子が、ヘテロ原子(例えば、O、N、またはS)で置換された、本明細書に定義の「炭素環」が挙げられる。
【0025】
本明細書で使用する場合、「HTポリ(3−置換チオフェン)」という用語は、ポリ(3−置換チオフェン)中のモノマーの頭尾配向を指す。HTポリ(3−置換チオフェン)中に存在する位置規則性パーセントは、標準的なH NMR法により決定できる。位置規則性パーセントは、ソックスレー抽出法、沈殿法、および再結晶法を含めた、様々な技法によって増加させることができる。
【0026】
本明細書で使用する場合、「位置規則性」という用語は、モノマーが、実質的に頭尾配向に配置されているポリマーを指す。位置不規則性および位置規則性(または位置選択性)という用語のさらなる説明および考察に関しては、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5756653号を参照されたい。
【0027】
本明細書で使用する場合、「室温」という用語は、約23℃を指す。
【0028】
本明細書で使用する場合、「置換」という用語は、「置換」を用いた表現の中で示された基上の1個または複数(例えば、1、2、3、4または5個、いくつかの実施形態では、1、2または3個、および他の実施形態では1または2個)の水素原子が、示された有機基もしくは無機基から選択したもの、または当業者に公知の適当な有機基もしくは無機基で置き換えられていることを示すことを意図しているが、但し、示された原子の正常な原子価を超えておらず、置換により安定な化合物が得られることとする。示された適当な有機基または無機基には、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロメチルチオ、ジフルオロメチル、アシルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルシリル、およびシアノが挙げられる。さらに、示された適当な基には、例えば−X、−R、−O、−OR、−SR、−S、−NR、−NR、=NR、−CX、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、NC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)NRR−S(=O)、−S(=O)OH、−S(=O)R、−OS(=O)OR、−S(=O)NR、−S(=O)R、−OP(=O)ORR、−P(=O)ORR、−P(=O)(O、−P(=O)(OH)、−C(=O)R、−C(=O)X、−C(S)R、−C(O)OR、−C(O)O、−C(S)OR、−C(O)SR、−C(S)SR、−C(O)NRR、−C(S)NRR、または−C(NR)NRRを挙げることができる[式中、Xは各々独立にハロゲン(もしくは「ハロ」基):F、Cl、Br、またはIであり;Rは各々独立にH、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、保護基、またはプロドラッグ部である]。当業者であれば容易に理解されようが、置換基がケト(即ち、=O)またはチオキソ(即ち、=S)等であるときは、置換される原子上の2個の水素原子が置き換えられている。
【0029】
本明細書で使用する場合、「安定な化合物」および「安定な構造」という用語は、反応混合物から有用な程度の純度まで単離するのに耐える、十分に強い化合物またはポリマーを指すことを意図している。本発明の化合物およびポリマーは、通常安定な化合物である。中間体および金属錯体は、本発明の方法の若干不安定または単離不可能な成分であり得る。
【0030】
本明細書で使用する場合、「チオフェン−金属錯体」という用語は、金属と結合するチオフェン部を指す。結合性は、共有結合性であってよく、または結合性は、共有結合性およびイオン結合性の両方を有してもよい。錯体は、1個超の金属原子および/または1個超のチオフェン部が互いに結合する「アート錯体」であってよい。
【0031】
本明細書で使用する場合、「チオフェン−マンガン錯体」という用語は、マンガン原子と結合するチオフェン部を指す。チオフェン−マンガン錯体は、通常チオフェン−マンガンハロゲン化物錯体である。ハロゲン化物または「ハロ」基は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードであってよい。
【0032】
1個もしくは複数の置換基を含有する上記のいずれの基についても、当然ながら、このような基は、立体的に非現実的であるか、および/または合成的に実現不可能である任意の置換基もしくは置換パターンを含有していないことが理解される。さらに、本発明の化合物は、これらの化合物の置換から生じる全ての立体化学的異性体を含む。
【発明を実施するための形態】
【0033】
一般的な調製法
本発明のポリマーを調製するためのいくつかの例示的方法が本明細書に記載されている。これらの方法は、このような調製の本質を例示することを意図しており、適切な方法の範囲を限定することを意図したものではない。ある種の化合物は、本発明の他の化合物またはポリマーを調製するための中間体として使用してもよい。
【0034】
ポリチオフェンを調製するための一般的図式を以下に示す。
【0035】
【化1】

式中、Xはハロゲン、Rは、1〜約5個のエステル基、ケトン基、ニトリル基、アミノ基、ハロ基、アリール基、ヘテロアリール基、もしくはヘテロシクリル基で場合により置換されている、アルキル基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、またはアルコキシ基であり、アルキル基のアルキル鎖は、1〜約10個のO基、S基、および/またはNP基(式中、Pは上記の置換基もしくは窒素保護基である)で場合により中断されており;R−Mは、MnF、MnCl、MnBr、またはMnI等のマンガン(II)塩に導入したときに金属交換反応を受けるチオフェン−金属錯体を形成するために、チオフェンと反応し得る有機金属試薬であり;Ni(II)触媒は、チオフェン−マンガン錯体の重合をもたらす任意のニッケル(II)触媒である。
【0036】
本発明は、Ni(II)触媒との簡易重合を受けるチオフェン−マンガン錯体を得るためのチオフェン−金属錯体とマンガン塩との金属交換反応に関する。チオフェン−金属錯体は、例えば、金属を2位または5位に配置されたハロゲンと交換することにより、2位または5位にて金属で通常置換されている。次いで、チオフェン−金属錯体は、金属交換反応によりチオフェン−マンガン錯体に変換できる。その後、チオフェン−マンガン錯体は、Ni(II)触媒により容易に重合され、位置規則性の高い3−置換ポリチオフェンを得ることができる。本発明の限定を意図するものではないが、チオフェン−マンガン錯体を得るための金属交換反応により、チオフェン系モノマーを重合するための活性化エネルギーまたはエネルギー障壁が低下すると考えられる。したがって、チオフェン−マンガン錯体の使用により、追加熱を必要としないより活発な重合が得られると考えられており、得られたポリマーは、これまで知られている方法で生成されたポリマーよりも高い位置規則性を有する。
【0037】
特に、例えば、2,5−ジハロ−3置換チオフェンは、例えばテトラヒドロフラン等のエーテル溶媒等、適当な溶媒中で溶解できる。反応フラスコは、有機金属試薬を導入する前に冷却してもよい。有機金属試薬を反応フラスコに加え、十分な時間撹拌し、有機金属錯体上の基をチオフェンのX(ハロ)基の1つと交換することによりチオフェン−金属錯体を形成できる。チオフェン−金属錯体が形成された後、マンガンハロゲン化物を該反応混合物に加え、場合により反応物を大気温度まで昇温させて、金属交換反応種を得ることができる。
【0038】
金属交換反応後、反応物は定着させてもよく、反応槽の溶液はニッケル(II)触媒を含有するフラスコに移し、場合によりエーテル溶媒中で溶解してもよい。あるいは、金属交換反応後、ニッケル(II)触媒を含有するフラスコは、金属交換反応種を含有する反応槽に加えてもよい。得られた混合物は、十分な時間撹拌して、ポリチオフェンを形成することもでき、該ポリチオフェンは通常反応混合物から沈殿する。ポリチオフェンは、ポリチオフェンが実質的に不溶性である多量の溶媒中に反応混合物を移すことによって単離できる。さらなる作業には、ろ過、メタノールでの洗浄、および高真空下での乾燥を挙げることができる。さらなる精製は、ヘキサン等の例えば炭化水素溶媒を用いたソックスレー抽出により実行できる。
【0039】
ポリチオフェンの形成は、適当かつ有効な任意の温度で実行できる。一実施形態では、重合は、約−100℃〜約150℃の温度で行われる。別の実施形態では、重合は、約−20℃〜約100℃の温度で行われる。重合は、チオフェン−金属錯体を調製したときと同じ溶媒中で実行できる。Ni(II)触媒を用いた重合反応工程は、約0℃から該反応のこの工程で用いた溶媒のほぼ沸点までの温度で実行できる。通常、チオフェン−マンガン錯体は、約−80℃〜約35℃、好ましくは約−10℃〜約30℃、またはより好ましくは約0℃〜約27℃でニッケル(II)触媒と接触する。
【0040】
しかしながら、ポリチオフェンを調製するための本明細書に記載の方法の1つの利点は、チオフェン−金属錯体とマンガンとの金属交換反応により、米国特許第6166172号に記載の方法等、多くの公知の方法よりも低い温度で重合できることである。チオフェン−マンガン錯体の重合は、熱源または還流条件を必要とせずに、大気温度(例えば、約18℃〜約25℃)で円滑に進む。より顕著な利点は、本明細書に記載の方法により、米国特許第6166172号に記載の方法よりも位置規則性が高い(チオフェンの頭尾結合率がより高い)ポリマーが製造されることである。さらに、触媒の使用量がより少ない量で済むため、費用のかからない手順となる。
【0041】
様々な有機金属試薬が、チオフェン−金属錯体を形成するために使用できる。適当な有機金属試薬には、グリニャール試薬、グリニャール−アート錯体、アルキルリチウム試薬、アルキルリチウムクプラート、アルキルアルミニウム試薬、および有機亜鉛試薬(例えば、参照により本明細書に組み込まれているPCT特許出願公報第WO2007/011945号を参照)が挙げられる。グリニャール試薬、グリニャール−アート錯体、アルキルリチウム、アルキルリチウムクプラート、アルキルアルミニウムおよび有機亜鉛試薬等の市販の試薬が使用でき、それらは、Aldrich Handbook of Fine Chemicals、2007年〜2008年、Milwaukee、WIに開示されている。任意の適当量の有機金属試薬が使用できる。通常、チオフェン出発物質の量に対して、1〜約5当量の有機金属試薬が使用できる。反応シーケンス全体は、中間体を全く単離せずに実行できる。
【0042】
ジハロ−チオフェンは、通常ジフルオロ−、ジクロロ−、ジブロモ−、またはジヨード−チオフェンであるが、混合した2,5−ジハロ置換チオフェンを使用してもよい。
【0043】
本発明の方法で使用する溶媒は、非プロトン性溶媒であってよい。適当な溶媒には、エーテル溶媒またはポリエーテル溶媒が挙げられる。このような溶媒の例には、エチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジグリム、トリグリム、1,2−ジメトキシエタン(DMEまたはグリム)等が挙げられる。代表的な溶媒は、テトラヒドロフランである。
【0044】
触媒
本発明の方法で使用する触媒は、Ni(II)触媒である。十分な量の触媒を使用して約5日未満で反応が行われるように、有効量のNi(II)触媒を使用する。通常、これは、約0.01〜10モルパーセント(mol%)の量であるが、50mol%、100mol%、またはそれ以上等、任意の量のニッケル(II)触媒を使用してもよい。通常、存在するチオフェンモノマーの量に対して、約0.1mol%〜約5mol%、または好ましくは約0.1mol%〜約3mol%のニッケル(II)触媒が使用される。
【0045】
適当なニッケル(II)触媒の例には、例えばNi(PR[式中、Rは(C〜C20)アルキル、(C〜C20)アリールであり、Xはハロである]、NiLX(式中、Lは適当なニッケル(II)配位子であり、Xはハロである)が挙げられる。適当なニッケル(II)配位子には、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ジフェニルホスフィノプロパン、[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソレン−4,5−ジイル)ビス(メチレン)]ジフェニルホスフィン、ビス(トリフェニルホスフィン)、および(2,2’−ジピリジン)の各配位子が挙げられる。他の適当なNi(II)触媒には、Ni(CN)−2、NiO、Ni(CN)−3、NiCl−4、NiF、NiCl、NiBr、NiI、NiAs、Ni(dmph)(式中、dmphはジメチルグリオキシメートである)、BaNiS、[NiX(QAS)][式中、Xはハロであり、QASはAs(ο−CAsPhである]、[NiP(CHCHCHAsMeCN]、[Ni(NCS)−4、KNiX(式中Xはハロである)、[Ni(NH+2、および[Ni(bipy)+2(式中、bipyはビピリジンである)が挙げられる。
【0046】
代表的なニッケル触媒には、塩化[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケル(II)](Ni(dppe)Cl)、塩化[1,3−ジフェニルホスフィノプロパンニッケル(II)](Ni(dppp)Cl)、1,5−シクロオクタジエンビス(トリフェニル)ニッケル、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロ(2,2’−ジピリジン)ニッケル、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)も挙げられる。
【0047】
重合を行うため、ならびに生成物を単離および精製するための様々な標準的な手順等、当業者に公知の一般的な技法および方法は、本発明の方法で使用され得る。
【0048】
ポリマーの構造および特性
本明細書に開示する方法で調製した本発明の改良ポリチオフェンは、非置換、3−置換、または3,4−二置換のチオフェンであってよい。これらの置換基は、上記の置換基の定義で挙げたいずれかの基であってよい。一実施形態では、チオフェンは、置換基がアルキル基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、またはアルコキシ基である、3−置換チオフェンである。置換基は、他の官能基、例えばそれだけに限らないが、1〜約5個のエステル、ケトン、ニトリル、アミン、ハロゲン、アリール基、ヘテロシクリル基、およびヘテロアリール基で場合により置換されていてもよい。アルキル基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、またはアルコキシ基のアルキル鎖は、O基、S基、NP基(式中、Pは置換基もしくは窒素保護基である)、またはそれらの組合せ等、1個もしくは複数のヘテロ原子で中断されていてもよい。
【0049】
ポリチオフェンの溶解性を改善する置換基を含めることは、好ましい場合が多い。このような置換基は、ヘキシル基、ヘキソキシ基、ヘキシルチオ基、およびヘキシルシリル基等、少なくとも約5または6個の炭素原子を含む基を好ましくは含むことができる。本発明の別の態様では、3位に直接結合する置換基は、硫黄原子、珪素原子、酸素原子、または窒素原子等のヘテロ原子であることが好ましくなり得る。ヘテロ原子は、「置換」の定義で上に記載されているような他の適当な基で置換されていてもよい。チオフェンの3位でのヘテロ原子は、例えば、チオフェン環系の芳香族電子の非局在化を可能とすること、および/またはポリマーの充填改善および微構造の最適化を可能とすることにより、電荷キャリアの移動度向上を起こすことによって、ポリチオフェンの導電性をさらに高めることができる。本発明のさらなる態様では、1個または複数のヘテロ原子(例えば、基が約2〜約10個の繰り返し単位を含むポリエチレン基もしくはポリエチレンイミン基)によって場合により中断されている、1個または複数(例えば1〜10個、1〜5個、または1〜3個)のメチレン基により、チオフェン環からアリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルの各置換基を分離することが好ましくなり得る。チオフェンモノマーの3位での置換基は、重合の位置化学に影響を与える立体的な嵩が得られることにより、生成ポリチオフェンの位置規則性を改善できる。
【0050】
生成ポリチオフェン上の末端基(ポリマーの末端チオフェンの2位または5位での基)は水素またはハロゲンであってよい。ポリチオフェンの末端基は、有機亜鉛試薬等の有機金属種で重合を失活させることにより得ることができる、アルキル基または官能化アルキル基であってもよい。
【0051】
本明細書に記載の方法で調製したポリチオフェンの重量平均分子量(average weight molecular weight)は、テトラヒドロフラン中ポリスチレン標準を用いてGPCにより決定した場合、約5,000〜約200,000、好ましくは約20,000〜約80,000、より好ましくは約40,000〜約60,000であってよい。多分散性指数(PDI:polydispersity index)は、約1〜約2.5、好ましくは約1.1〜約2.4、またはより好ましくは約1.2〜約2.2であってよい。
【0052】
本発明の方法で調製したポリマーの位置規則性は、作業後に任意の精製なしで、通常少なくとも約87%である。驚くべきことに、1.2当量のマンガンハロゲン化物塩を使用することにより、位置規則性パーセントを増加できることが発見された。例えば、3−置換チオフェンの出発物質の量に対して1.2当量のMnClを使用することにより、位置規則性が少なくとも約92%のHTポリチオフェンが得られた。ヘキサンを用いたソックスレー抽出等の単純な精製法により、位置規則性を、約94%超、好ましくは約95%超、より好ましくは約97%超、さらにより好ましくは約98%超、またはいっそうより好ましくは約99%超に改善できる。
【0053】
粗製ポリチオフェンは、メタノール中に沈殿させた後、沈殿したポリマーを簡単にろ過することによって、重合後に単離してもよい。粗製ポリマーは、当分野の粗製生成物と比較して優れた特性を有している。本発明の粗製ポリチオフェンは、公知の調製法のものよりも高い位置規則性を有しており、それにより電子用途で使用できる材料を得るために必要な精製量が減少する。
【0054】
位置規則性の増加により、ポリチオフェンの導電性が増加する。位置規則性3−置換ポリチオフェンは、ドープしたとき、約1,000ジーメンス/cm、+/−約400ジーメンス/cmの導電性を有することができる。位置不規則性3−置換ポリチオフェンは、通常約5〜10ジーメンス/cmでしか伝導できない。さらに、非ドープ位置規則性3−置換ポリチオフェンは、約10−5〜約10−6ジーメンス/cm(半導体の範囲)で伝導し、非ドープ位置不規則性ポリチオフェンは約10−9ジーメンス/cmで伝導する。
【0055】
ポリチオフェンは、酸化的または還元的にドープしてもよい。ポリチオフェンのポリマーマトリックス中に含まれていてもよいドーパントには、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩化鉄、および様々なヒ酸塩またはアンチモン塩を含む導電性有機ポリマーと共に使用される通常のドーパントが挙げられる。他のドーパントには、様々な既知のオニウム塩、ヨードニウム塩、ホウ酸塩、トシレート塩、トリフレート塩およびスルホニルオキシイミドが挙げられる。本発明のポリチオフェンは、適当な有機溶媒中でポリマーを溶解し、ドーパントを溶液に加えた後、溶媒を蒸発させることによりドープできる。本技法の多くの変法を使用することができ、このような技法は当業者に周知である。例えば、米国特許第5198153号を参照されたい。
【0056】
本発明のポリマーは、例えば増感剤、安定剤、阻害剤、連鎖移動剤、共反応モノマーもしくは共反応オリゴマー、界面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水化剤、接着剤、流動性向上剤、希釈剤、着色剤、染料、顔料、またはドーパント等の1種または複数の他の適当な成分も含むことができる。これらの任意選択の成分は、適当な有機溶媒中でポリチオフェンを溶解し、成分を溶液に加えた後、溶媒を蒸発させることによりポリマー組成物に加えてもよい。本発明のある種の実施形態では、ポリチオフェンポリマーは、実質的に純粋なポリマーまたはドープしたポリマーとして非常に有用である。
【0057】
薄膜
本明細書に記載の方法で調製した高純度ポリマーは、薄膜を形成するために使用できる。薄膜は、溶媒中で溶解した本発明のポリチオフェン溶液を用いて、スピンコーティング、キャスティング、ディッピング、バーコーティング、ロールコーティング等の当業者に公知の標準的な方法を用いて形成できる。薄膜および有機電界効果トランジスタの調製法に関する、例えば、米国特許第5892244号、第6337102号、第7049631号、第7037767号、第7025277号、第7053401号、および第7057339号を参照されたい。薄膜は、広範な厚さを有することができる。代表的な薄膜は、約1μm〜約1mmの範囲である。薄膜は、着色剤、可塑剤またはドーパントを含んでもよい。本発明のポリチオフェンは、特にドーパントがポリマーマトリックスに含まれるとき、導電性となり得る。
【0058】
位置規則性ポリチオフェンの用途
位置規則性ポリチオフェンは、有機発光ダイオード(OLED)の製造に使用できる。OLEDは、電子表示で使用できる。位置規則性ポリチオフェンは、無線自動識別(RFID)タグを調製するために使用してもよい。位置規則性ポリ(3−アルキルチオ−チオフェン)は、薄膜および有機電界効果トランジスタ(OFET)を調製するために特に有用である。ポリチオフェンは、さらに、例えば、光学、電気光学、電気、電子、電荷輸送、エレクトロルミネセント、または光導電体の材料、用途、および装置に使用できる。他の用途には、光起電装置およびプラスチック照明が挙げられる。さらなる用途には、液晶および/または半導体の材料、装置、もしくは用途でのその使用が挙げられる。従来の合成と比較してこれらのポリマーの導電性が増加したことにより、導電性が改善され、そのためこれらの用途および装置の機能性を高めることができる。
【0059】
本発明はさらに、電子光学表示、OLCD、ELCD、光学膜、反射膜、OFET等の集積回路の構成要素としての電子装置、フラットパネル表示もしくは柔軟パネル表示の用途またはRFIDタグ用の薄膜トランジスタ、有機発光ダイオード(OLED)の用途の半導体部品または発光部品、エレクトロルミネセント表示またはLCDのバックライト、バッテリーの電極材料等における本明細書に記載のポリマーに関する。
【0060】
位置規則性ポリチオフェンは、プラスチックRFIDタグ、プラスチック光起電装置、プラスチック照明装置、およびOLEDを調製するため等、プラスチックエレクトロニクスでの使用に特に有用である。したがって、本発明は、実施例1〜40のいずれか1つに記載されているように調製したポリマー等、本明細書に記載のポリマーで構成された回路を含む電子装置を提供する。
【0061】
本発明のある種の説明は、本発明の明確な理解に適当な要素および制約だけを例示する一方で、明確化のために他の要素は除去するように簡略化したことを理解されたい。当業者は、本発明の記述を考慮すれば、他の要素および/または制約が、本発明を実施するために所望され得ることを認識するであろう。しかしながら、このような他の要素および/または制約は、本発明の記述を考慮すれば当業者に容易に解明され得るため、さらに本発明を完全に理解するのに不要であるため、このような要素および制約の考察は本明細書では提供されていない。例えば、本明細書で考察されているように、本発明の材料は、例えば、電子装置に組み込むことができ、これは当業者により理解されているため、本明細書では詳細に説明されていない。
【0062】
さらに、本発明の組成物は、本明細書に詳細かつ明確に記載されていない形で一般的に説明および具体化し、そのように記載されていない最終用途に適用され得る。例えば、当業者は、本発明が、本明細書で具体的に特定したもの以外の電子装置に組み込まれ得ることを認識されよう。
【実施例】
【0063】
以下の実施例は、上記の発明を例示したものである。当業者は、本実施例に記載の技法および試薬が、本発明が実行され得る多くの他の方法を示唆することを容易に認識されよう。本発明の範囲内にとどまりながら、多くの変形および変更が行われ得ることを理解すべきである。
【0064】
動作例以外において、または別段の明確な指示がない限り、全ての数値範囲、量、値およびパーセンテージ、例えば材料の量、反応時間および反応温度、量比、ならびに本明細書の以下の部分におけるその他のものは、「約」という用語がその値、量、または範囲と共に明確に示されていない場合でも、「約」という用語がその前に配置されているように読むことができる。したがって、相反する指示がない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示された数値パラメーターは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に制限するものではないが、各数値パラメーターは、報告された有効桁の数に照らして、および通常の丸め法を適用することにより解釈されるべきである。
【0065】
本発明の広範な範囲を示す数値範囲および数値パラメーターが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において示された数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、必然的にこれら各々の試験測定で判明した標準偏差によるある種の誤差を本質的に含む。さらに変化する範囲の数値範囲が本明細書に示されているとき、列挙した値を含め、これらの値の任意の組合せを使用し得ることが企図されている。
【0066】
反応は、通常デュアルマニホールド式の真空系/アルゴン系または窒素系で行った。空気感受性物質の取扱いは、必要な場合、ドライボックス内で、アルゴンまたは窒素下で行った。化学試薬は、主にAldrich Chemical Co.,Inc.(Milwaukee,WI)から購入し、別段の指示がない限り受け取ったままの状態で使用した。
【0067】
(実施例1)
塩化マンガンの存在下での2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェンおよびアルキルグリニャールからの位置規則性HTポリ(3−ヘキシルチオフェン)の調製
【0068】
【化2】

250mLの丸底フラスコに、2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン(8.15グラム(g)、25mmol)およびテトラヒドロフラン50mLを導入した。該反応フラスコを氷浴中で冷却した。0℃で撹拌しながら、塩化シクロヘキシルマグネシウム(エーテル中2.0M、12.5mL、25mmol)を反応フラスコ中に徐々に加えた。0℃で10分間撹拌した後、塩化マンガン(テトラヒドロフラン中0.5M、50mL、25mmol)を反応混合物に加えて、20分間かけて室温まで昇温させた。撹拌を中止し、固体を反応容器の底に沈殿させた。固体を移動せずに、反応溶液を室温でテトラヒドロフラン10mL中Ni(dppe)Cl(0.04g、0.3mol%)を含有するフラスコにカニューレで移した。得られた混合物は、室温で24時間撹拌した。濃い紫色の沈殿物が24時間の間に徐々に形成された。次いで、混合物全体をメタノール100mL中に注入した。得られた暗色の沈殿物をろ過し、メタノールで洗浄した後、高真空下で乾燥した。
【0069】
得られたポリチオフェンの位置規則性は、H NMR分析で決定したとき、約87%であった。
【0070】
位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)の重量平均分子量は、テトラヒドロフラン中ポリスチレン標準を用いたGPCで決定したとき、約40,000〜約60,000であった。光散乱分析では、重量平均分子量がはるかに高く、約80,000〜約120,000の範囲であることを示している。
【0071】
(実施例2)
塩化マンガンの存在下での2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェンおよびアルキルグリニャールからの位置規則性HTポリ(3−ヘキシルチオフェン)の調製
【0072】
【化3】

250mLの丸底フラスコに、2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン(8.15グラム(g)、25mmol)およびテトラヒドロフラン50mLを導入した。該反応フラスコを氷浴中で冷却した。0℃で撹拌しながら、塩化シクロヘキシルマグネシウム(エーテル中2.0M、12.5mL、25mmol)を反応フラスコ中に徐々に加えた。0℃で10分間撹拌した後、塩化マンガン(テトラヒドロフラン中0.5M、60mL、30mmol)を反応混合物に加えて、20分間かけて室温まで昇温させた。撹拌を中止し、固体を反応容器の底に沈殿させた。固体を移動せずに、反応溶液を室温でテトラヒドロフラン10mL中Ni(dppe)Cl(0.04g、0.3mol%)を含有するフラスコにカニューレで移した。得られた混合物は、室温で24時間撹拌した。濃い紫色の沈殿物が24時間の間に徐々に形成された。次いで、混合物全体をメタノール100mL中に注入した。得られた暗色の沈殿物をろ過し、メタノールで洗浄した後、高真空下で乾燥した。
【0073】
1.2当量のMnClを使用することによって、粗製ポリマーの位置規則性が約92%に増加したことを除いては、実施例1と同様の結果が得られた。
【0074】
(実施例3)
比較例
ポリ(3−ヘキシルチオフェン)は、ポリ(3−ドデシルチオフェン)の調製に関する米国特許第6166172号に実質的に記載されている方法で調製した。2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェンの試料をテトラヒドロフラン中に溶解し、臭化メチルマグネシウム(1.3当量)を加え、該混合物を6時間還流した。Ni(dppp)Cl触媒(1mol%)を加えた後、該溶液を2時間還流した。粗製ポリ(3−ヘキシルチオフェン)を単離すると、H NMR分析(C−4ビニルプロトンおよびC−3αメチレンプロトンの分析および積分)で決定したとき、89%のHT結合を有することが判明した。本明細書に記載の方法で調製した粗製ポリ(3−ヘキシルチオフェン)と直接比較するために、’172特許の実施例1の精製手順(3種の有機溶媒を用いたソックスレー抽出)は行わなかった。
【0075】
’172特許に記載の方法との比較として、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)は、以下の変更をした上記実施例1に記載の方法で調製した。塩化シクロヘキシルマグネシウムおよびMnCl(各々1.5当量)を使用し、重合は0℃から行った。冷却浴は室温まで昇温した。実施例1のように、Ni(dppe)Cl触媒を0.3mol%だけ使用した。粗製ポリ(3−ヘキシルチオフェン)を単離すると、H NMR分析で決定したとき、92%のHT結合を有することが判明した。
【0076】
これら2つの技法を直接比較することによって、マンガン金属交換反応の技法を使用することにより、HT結合が約3%増加したポリ(3−ヘキシルチオフェン)が得られることが判明した。このHT純度の増加により、本明細書に記載の様々な装置で使用する生成物を精製するために必要な時間、溶媒、エネルギー、および費用が減少する。
【0077】
(実施例4〜39)
位置規則性HTポリ(3−ヘキシルチオフェン)の調製
A.塩化チエニルマンガン試薬の調製
オーブン乾燥した250mLの丸底フラスコに2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン6.52グラム(20mmol)およびテトラヒドロフラン40mLを加えた。該フラスコは、撹拌しながら氷浴中で0℃に冷却し、塩化イソプロピルマグネシウム(テトラヒドロフラン中2.0M)10mL(20mmol)を注射器で加えた。該混合物を0℃で5分間撹拌し、チエニル−グリニャール溶液を得た。
【0078】
オーブン乾燥した250mLの別の丸底フラスコにMnCl2.8グラム(22mmol)およびテトラヒドロフラン40mLを加え、室温で撹拌した。ここにカニューレを介して上記のチエニル−グリニャール溶液を加え、金色の混合物を得た。該溶液を室温で12時間撹拌し、一晩かけて沈殿させ、金色の液体および黄色の沈殿物(塩化チエニルマンガン試薬)を得た。
【0079】
B.臭化チエニルマンガン試薬の調製
上記の手順においてMnClをMnBrで代用し、臭化チエニルマンガン試薬を得た。
【0080】
C.逆添加手順を用いた有機マンガン試薬の重合(Ni(II)触媒の有機マンガン溶液への添加)
【0081】
【化4】

上記で調製した塩化チエニルマンガンをオーブン乾燥した250mLの丸底フラスコに入れ、氷浴中で0℃に冷却した。ここに、粉末添加漏斗で1回分のNi(dppe)Cl(0.1mol%)0.1グラムを添加した。該混合物を0℃で4〜5時間撹拌し、ポリマー沈殿物を得た。これを室温まで徐々に昇温し、室温でさらに19〜20時間撹拌した。該混合物をメタノール80ml中に注入し、20分間撹拌した。ポリマー沈殿物はブフナー漏斗でろ過し、メタノールで洗浄し、高真空下で乾燥して、表1の実施例4〜28を得た。
【0082】
【化5】

表2の実施例29〜36も、臭化チエニルマンガンで塩化チエニルマンガンを代用することによってこの手順で調製した。
【0083】
D.標準的な添加手順を用いた有機マンガン試薬の重合(有機マンガン溶液のNi(II)触媒への添加)
【0084】
【化6】

テトラヒドロフラン中Ni(dppe)Cl(0.1mol%)0.1グラムの溶液に上記で調製した塩化チエニルマンガンの0℃溶液を加えた。該混合物を0℃で4〜5時間撹拌し、ポリマー沈殿物を得た。これを室温まで徐々に昇温し、室温でさらに19〜20時間撹拌した。該混合物をメタノール80ml中に注入し、20分間撹拌した。ポリマー沈殿物をブフナー漏斗でろ過し、メタノールで洗浄し、高真空下で乾燥して、表3の実施例29〜31を得た。
【0085】
E.ポリ(チオフェン)の精製
A.L等級ポリ(チオフェン)の調製
粗製ポリマーをソックスレー円筒濾紙に入れて、ヘキサンで24時間抽出した。該ポリマーを高真空下で乾燥し、表1の実施例4、6、8、10〜11、13、16、および19〜20を得た。
【0086】
B.4002等級ポリ(チオフェン)の調製
上記で調製したL等級ポリ(チオフェン)を別のソックスレー円筒濾紙に入れて、ポリマーが円筒濾紙から除去されるまでクロロホルムで抽出した。該溶液は、ポリマーがフラスコの壁面上に観察されるまで減圧下で濃縮した。撹拌しながら残留物を約2倍の量のヘキサンに注入した。該ポリマーをブフナー漏斗でろ過し、ヘキサンで洗浄し、高真空下で乾燥して、表1の実施例6、10、15、17および23を得た。
【0087】
C.E等級ポリ(チオフェン)の調製
上記で調製した4002等級ポリ(チオフェン)を別のソックスレー円筒濾紙に入れて、ポリマーが円筒濾紙から除去されるまでクロロホルムで抽出した。該溶液は、ポリマーがフラスコの壁面上に観察されるまで減圧下で濃縮した。撹拌しながら残留物をメタノールに注入した。該ポリマーをブフナー漏斗でろ過し、メタノールで洗浄し、高真空下で乾燥して、表1の実施例10、15および22を得た。
【0088】
【表1−1】

【0089】
【表1−2】

【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

表1〜3の結果は、以下のことを示唆している:a)反応温度が低下すると、ポリマーの位置規則性が増加する(例えば表1参照);b)図式2〜3の逆添加手順により、作業手順がより簡単になる;c)チエニル−グリニャール試薬は、0℃または室温のいずれかで調製すると、0℃で80:20の比となり得る;d)マンガンハロゲン化物は室温でテトラヒドロフラン中に完全に溶解できなかったため、テトラヒドロフラン中マンガンハロゲン化物懸濁液を使用した;e)塩化マンガンの代わりに臭化マンガンを使用した場合、大きな利点は認められなかった;f)5−および2−チエニルマンガン試薬の比は、ポリマーの位置規則性を決定する主な要因ではなかった;およびg)逆添加手順およびより低い反応温度は重合の好ましい条件である。
【0092】
(実施例40)
例示的なポリ(3−置換チオフェン)
図式5は、本明細書に記載の方法で調製できるいくつかのポリチオフェンを例示している(式中、nはポリチオフェンポリマーが約10,000〜約200,000の分子量を有するような値であり;「Hex」は、ヘキシルであるが、本明細書に記載の任意のアルキル基であってもよく;「Bn」は、本明細書に記載されているように場合により置換されていてもよいベンジルであり;「Ar」は本明細書に記載のアリールであり;「Het」は本明細書に記載のヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;mは1〜約20であり;Rは本明細書に記載のアルキルである)。
【0093】
【化7】

全ての公表資料、特許、および特許文献は、参照により個別に組み込まれているかのように、参照により本明細書に組み込まれている。本発明は、様々な特定の好ましい実施形態および技法を参照しながら説明してきた。しかしながら、本発明の精神および範囲内にとどまりながら、多くの変形および変更がなされ得ることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)3−置換チオフェン−金属錯体とマンガン(II)ハロゲン化物とを接触させ、3−置換チオフェン−マンガン錯体を得るステップと、
b)前記チオフェン−マンガン錯体とニッケル(II)触媒とを接触させ、位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)を得るステップと
を含む、該位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)を調製する方法。
【請求項2】
前記3−置換チオフェン−金属錯体が、2,5−ジハロ−3−置換チオフェンと有機金属試薬とを接触させ、前記3−置換チオフェン−金属錯体を得ることを含む方法で調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機金属試薬が、グリニャール試薬、グリニャール−アート錯体、アルキルリチウム試薬、アルキルリチウムクプラート、アルキルアルミニウム試薬、または有機亜鉛試薬である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記チオフェン−マンガン錯体と前記ニッケル(II)触媒とを約−80℃〜約35℃で接触させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記チオフェン−マンガン錯体と前記ニッケル(II)触媒とを約−10℃〜約30℃で接触させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記チオフェン−マンガン錯体と前記ニッケル(II)触媒とを約0℃〜約27℃で接触させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリ(3−置換チオフェン)の位置規則性が約87%超である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリ(3−置換チオフェン)の位置規則性が約92%超である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリ(3−置換チオフェン)の位置規則性が約95%超である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリ(3−置換チオフェン)が、1〜約5個のエステル基、ケトン基、ニトリル基、アミノ基、アリール基、ヘテロアリール基、もしくはヘテロシクリル基で場合により置換されている、アルキル基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、またはアルコキシ基で置換されており、かつ該アルキル基のアルキル鎖が1〜約10個のO基、S基、またはNH基により場合により中断されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリ(3−置換チオフェン)が直鎖、分枝鎖、または環状(C〜C30)のアルキル基で置換されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリ(3−置換チオフェン)が直鎖(C〜C12)アルキル基で置換されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリ(3−置換チオフェン)がヘキシル基で置換されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリ(3−置換チオフェン)が直鎖、分枝鎖、または環状(C〜C30)のアルキルチオ基で置換されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリ(3−置換チオフェン)が直鎖(C〜C12)アルキルチオ基で置換されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリ(3−置換チオフェン)がヘキシルチオ基で置換されている、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリ(3−置換チオフェン)が直鎖、分枝鎖、または環状(C〜C30)のアルコキシ基で置換されている、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリ(3−置換チオフェン)が直鎖(C〜C12)アルキルオキシ基で置換されている、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリ(3−置換チオフェン)がヘキソキシ基で置換されている、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)の重量平均分子量が約5,000〜約200,000である、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)の重量平均分子量が約40,000〜約60,000である、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
調製した前記位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)が約1〜約2.5の多分散性指数を有する、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
調製した前記位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)が約1.2〜約2.2の多分散性指数を有する、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記2,5−ジハロ−3−置換チオフェンが2,5−ジクロロ−3−置換チオフェン、2,5−ジブロモ−3−置換チオフェン、または2,5−ジヨード−3−置換チオフェンである、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記2,5−ジハロ−3−置換チオフェンが2,5−ジブロモ−3−置換チオフェンである、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記有機金属試薬がグリニャール試薬である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記グリニャール試薬が(C〜C30)アルキルマグネシウムハロゲン化物または(C〜C14)アリールマグネシウムハロゲン化物である、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記グリニャール試薬が(C〜C)アルキルマグネシウムハロゲン化物またはフェニルマグネシウムハロゲン化物である、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記グリニャール試薬がシクロペンチルマグネシウムハロゲン化物、シクロヘキシルマグネシウムハロゲン化物またはフェニルマグネシウムハロゲン化物である、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記グリニャール試薬がフッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、またはヨウ化マグネシウムである、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記グリニャール試薬が塩化シクロペンチルマグネシウム、塩化シクロヘキシルマグネシウム、または塩化フェニルマグネシウムである、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記有機金属試薬がアルキルリチウム試薬またはアリールリチウム試薬である、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記有機金属試薬が(C〜C30)アルキルリチウムまたは(C〜C14)アリールリチウムである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記有機金属試薬が(C〜C)アルキルリチウムまたはフェニルリチウムである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記有機金属試薬がメチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、またはフェニルリチウムである、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記マンガン(II)ハロゲン化物が塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、またはフッ化マンガンである、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記マンガン(II)ハロゲン化物が塩化マンガンである、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記ニッケル(II)触媒がホスフィン配位子を含む、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記ニッケル(II)触媒がハロゲン化物配位子を含む、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記ニッケル(II)触媒が、Ni(dppe)Cl、Ni(dppp)Cl、Ni(PPhBr、1,5−シクロオクタジエンビス(トリフェニル)ニッケル、ジクロロ(2,2’−ジピリジン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、NiO、NiF、NiCl、NiBr、NiI、NiAs、Ni(dmph)、BaNiS、もしくはそれらの組合せであるか、またはそれらから誘導される、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記ニッケル(II)触媒が、Ni(dppe)ClまたはNi(dppp)Clである、請求項1から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
亜当量のニッケル(II)触媒を使用する、請求項1から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
約0.01mol%〜約100mol%のニッケル(II)触媒を使用する、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
約0.1mol%〜約5mol%のニッケル(II)触媒を使用する、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
約0.1mol%〜約3mol%のニッケル(II)触媒を使用する、請求項1から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記3−置換チオフェン−金属錯体に対して、約1〜約2当量の前記マンガン(II)ハロゲン化物を使用する、請求項1から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記3−置換チオフェン−金属錯体に対して、約1.0〜約1.5当量の前記マンガン(II)ハロゲン化物を使用する、請求項1から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記2,5−ジハロ−3−置換チオフェンに対して、約1〜約5当量の前記有機金属試薬を使用する、請求項2から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
a)チオフェン−金属錯体とマンガン(II)ハロゲン化物とを接触させ、チオフェン−マンガン錯体を得るステップと、
b)前記チオフェン−マンガン錯体とニッケル(II)触媒とを接触させ、ポリ(チオフェン)を得るステップと
を含む、ポリ(チオフェン)を調製する方法。
【請求項50】
a)2,5−ジハロ−チオフェンと有機金属試薬とを接触させ、チオフェン−金属錯体を得るステップと、
b)前記チオフェン−金属錯体とマンガン(II)ハロゲン化物とを接触させ、チオフェン−マンガン錯体を得るステップと
c)前記チオフェン−マンガン錯体とニッケル(II)触媒とを接触させ、ポリ(チオフェン)を得るステップと
を含む、ポリ(チオフェン)を調製する方法。
【請求項51】
前記有機金属試薬が、グリニャール試薬、グリニャール−アート錯体、アルキルリチウム試薬、アルキルリチウムクプラート、アルキルアルミニウム試薬、または有機亜鉛試薬である、請求項49もしくは50に記載の方法。
【請求項52】
a)3,4−二置換チオフェン−金属錯体とマンガン(II)ハロゲン化物とを接触させ、チオフェン−マンガン錯体を得るステップと、
b)前記3,4−二置換チオフェン−マンガン錯体とニッケル(II)触媒とを接触させ、ポリ(3,4−二置換チオフェン)を得るステップと
を含む、ポリ(3,4−二置換チオフェン)を調製する方法。
【請求項53】
a)2,5−ジハロ−3,4−置換チオフェンと有機金属試薬とを接触させ、チオフェン−金属錯体を得るステップと、
b)3,4−二置換チオフェン−金属錯体とマンガン(II)ハロゲン化物とを接触させ、チオフェン−マンガン錯体を得るステップと
c)前記3,4−二置換チオフェン−マンガン錯体とニッケル(II)触媒とを接触させ、ポリ(3,4−二置換チオフェン)を得るステップと
を含む、ポリ(3,4−二置換チオフェン)を調製する方法。
【請求項54】
前記有機金属試薬が、グリニャール試薬、グリニャール−アート錯体、アルキルリチウム試薬、アルキルリチウムクプラート、アルキルアルミニウム試薬、または有機亜鉛試薬である、請求項52もしくは53に記載の方法。
【請求項55】
前記ポリ(3,4−置換チオフェン)の置換基が同一である、請求項52から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記ポリ(3,4−置換チオフェン)の置換基が同一でない、請求項52から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
ポリ(3,4−置換チオフェン)モノマーが実質的にHT配向に配置されている、請求項52から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
a)2,5−ジハロ−3置換チオフェンとグリニャール試薬とを接触させ、チオフェン−マグネシウム錯体を得るステップと、
b)前記チオフェン−マグネシウム錯体とマンガン(II)ハロゲン化物とを接触させ、チオフェン−マンガン錯体を得るステップと
c)前記チオフェン−マンガン錯体とニッケル(II)触媒とを接触させ、位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)を得るステップと
を含む方法で調製した位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)。
【請求項59】
請求項1から57のいずれか一項に記載の方法で調製したポリチオフェンで構成された回路を含む電子装置。
【請求項60】
前記装置が、RFIDタグ、プラスチック光起電装置、プラスチック照明装置、またはOLEDである、請求項59に記載の電子装置。
【請求項61】
請求項1から57のいずれか一項により調製したポリチオフェン。
【請求項62】
粗製ポリチオフェンが、少なくとも約87%の位置規則性を有する、請求項61に記載のポリチオフェン。
【請求項63】
前記粗製ポリチオフェンが、少なくとも約92%の位置規則性を有する、請求項62に記載のポリチオフェン。
【請求項64】
前記粗製ポリチオフェンが、少なくとも約87%の位置規則性を有する、請求項63に記載のポリチオフェン。
【請求項65】
薄膜の形態での請求項61から64のいずれか一項に記載のポリチオフェン。
【請求項66】
少なくとも約92%の位置規則性、約30,000〜約70,000の重量平均分子量、および約10−5〜約10−6ジーメンス/cmの導電性を有するHTポリ(3−置換チオフェン)を含む導電性ポリマー。
【請求項67】
前記3−置換チオフェンの置換基が有機基または無機基である、請求項66に記載の導電性ポリマー。
【請求項68】
前記3−置換チオフェンの置換基が、1〜約5個のエステル基、ケトン基、ニトリル基、アミノ基、アリール基、ヘテロアリール基、もしくはヘテロシクリル基で場合により置換されている、アルキル基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、またはアルコキシ基であり、かつ前記アルキル基のアルキル鎖が、1〜約10個のO基、S基、またはNH基により場合により中断されている、請求項67に記載の導電性ポリマー。
【請求項69】
前記チオフェン−マンガン錯体が、前記ニッケル(II)触媒に添加される、請求項1、49から50、および52から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記ニッケル(II)触媒が、前記チオフェン−マンガン錯体に添加される、請求項1、49から50、および52から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記チオフェン−マンガン錯体が、前記ニッケル(II)触媒に添加される、請求項58に記載の位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)。
【請求項72】
前記ニッケル(II)触媒が、前記チオフェン−マンガン錯体に添加される、請求項58に記載の位置規則性HTポリ(3−置換チオフェン)。

【公表番号】特表2009−540055(P2009−540055A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514378(P2009−514378)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/013436
【国際公開番号】WO2007/146074
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(508015391)リーケ メタルズ インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】RIEKE METALS INC.
【Fターム(参考)】