説明

低い抵抗値を有するチップ抵抗器とその製造方法

【課題】 金属板製の抵抗体2と、この抵抗体の上面2aを被覆する絶縁被膜3aと、前記抵抗体の左右両側面2b,2cを被覆する絶縁被膜3b、3cと、前記抵抗体の下面2dを、その両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜3dと、前記抵抗体の下面のうち前記下面用絶縁被膜で被覆されていない部分に形成した接続端子電極4,5とを備えて成るチップ抵抗器において、その全抵抗値を所定値に揃えることの精度を向上する。
【解決手段】 前記抵抗体2における前記下面用絶縁被膜3dに、前記抵抗体の下面2dを左右両側面2b、2cに沿って延びる延長部13を、当該下面用絶縁被膜3dを形成するとき同時に形成するように設けて、この左右の両延長部の間に、前記接続端子電極4,5を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、1Ω以下というように低い抵抗値を有するチップ抵抗器と、その製造方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の低い抵抗値のチップ抵抗器は、例えば、特許文献1に記載されているように、抵抗体を、低い抵抗値を有する金属板にて矩形のチップ型にし、この抵抗体の両端部を、その板厚さを厚くすることによって接続端子電極にして、この両接続端子電極を、プリント回路基板等に対して半田付けするように構成していたが、この構成のチップ抵抗器は、前記両接続端子電極の下面における抵抗体下面からの突出寸法を、半田付けに際して、溶融半田が前記接続端子電極を越えて抵抗体の下面にまで広がることがないようにするために、可成り高くしなければならないから、チップ抵抗器における全体の高さ寸法が高くなるばかりか、重量がアップするのであった。
【0003】
これに対し、本発明者は、先の特許出願(特願2002−172893号)において、図1〜図4に示す構成にした低い抵抗値のチップ抵抗器を提案した。
【0004】
すなわち、このチップ抵抗器1′は、低い抵抗値を有する金属板にて矩形のチップ型にした抵抗体2′における上面2a′を絶縁被膜3a′にて、左右両側面2b′,2c′を絶縁被膜3b′,3c′にて各々被覆する一方、前記抵抗体2′の下面2d′を、その両端の部分を除いて絶縁被膜3d′にて被覆し、更に、少なくとも前記抵抗体2′における下面2d′のうち前記絶縁被膜3d′にて被覆で被覆されていない部分に、金属メッキ層による接続端子電極4′,5′を形成するという構成である。
【0005】
而して、この構成によるチップ抵抗器1′は、その下面における両接続端子電極4′,5′の間に、抵抗体2′における下面2d′を被覆する絶縁被膜3d′が存在していることにより、半田付けに際して、溶融半田が抵抗体2′の下面2d′にまで広がることを前記絶縁被膜3d′にて阻止できて、前記両接続端子電極4′,5′の下面から抵抗体2′の下面2d′まで高さを低くできることに加えて、前記両接続端子電極4′,5′が金属メッキ層であることにより、その厚さを薄くできるから、従来のものと比べて全体の高さ寸法H′を低くできるとともに、軽量化を図ることができる効果を奏する。
【特許文献1】特開2001−118701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この先願構成のチップ抵抗器1′の製造に際しては、以下に述べるような方法を採用しているから、前記両接続端子電極4′,5′間の抵抗値を所定値に揃えることの精度が低いという問題があった。
【0007】
すなわち、この製造方法は、先ず、金属板にてチップ型にした抵抗体2′の上面2a′に、図5に示すように、これを被覆する絶縁被膜3a′をスクリーン印刷法にて形成し、次いで、前記抵抗体2′の下面2d′に、図6に示すように、その両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜3d′をスクリーン印刷法にして形成するか、或いは、先ず、前記抵抗体2′の下面2d′に、図6に示すように、その両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜3d′をスクリーン印刷法にして形成し、次いで、前記抵抗体2′の上面2a′に、図5に示すように、上面2a′に対する絶縁被膜3a′を形成する。
【0008】
次いで、前記抵抗体2′における左右両側面2b′,2c′に、図7に示すように、これを被覆する絶縁被膜3b′,3c′を、当該側面用絶縁被膜3b′,3c′の一部が抵抗体2′における上面2a′及び下面2d′に対して被さってこの上面2a′及び下面2d′における絶縁被膜3a′,3d′に一体に繋がるように形成する。
【0009】
次いで、前記抵抗体2′の全体に対してバレルメッキ処理等のメッキ処理を施すことにより、少なくとも、前記抵抗体2′の下面2b′のうち前記絶縁被膜3d′で被覆されていない部分に、金属メッキ層による両接続端子電極4′,5′を形成する。
という方法である。
【0010】
ところが、前記抵抗体2′の左右両側面2b′,2c′における絶縁被膜3b′,3c′を形成するに際しては、専ら、この絶縁被膜3b′,3c′における材料ペーストを、予め、平面板の上面又はローラの表面に適宜厚さの膜状に塗布しておき、この材料ペースト膜に対して、前記抵抗体2′の左右両側面2b′,2c′を押し付けるという方法を採用しており、この側面用絶縁被膜3b′,3c′における抵抗体2′の上面2a′及び下面2d′への被さり寸法Sは、平面板の上面又はローラの表面における材料ペースト膜の厚さ及びこれに対する抵抗体2′の押し付け加減等により大きい小さいのバラ付きの存在し、この被さり寸法Sのバラ付きが、前記抵抗体2′の下面2d′のうち前記両側面用絶縁被膜3b′,3c′における間隔寸法W′のバラ付きになり、ひいては、前記抵抗体2′の下面2d′のうち前記両側面用絶縁被膜3b′,3c′の間の部分に形成される両接続端子電極4′,5′における幅寸法W′のバラ付きになって現れることになるから、前記両接続端子電極4′,5′間の抵抗値を所定値に揃えることの精度が低くなるのであった。
【0011】
特に、この問題、抵抗値を所定値に揃えることの精度が低くなることは、前記両接続端子電極を、抵抗体2′における上面2a′の両端部にも設けた場合に、より顕著になるのであった。
【0012】
本発明は、この問題を解消したチップ抵抗器と、その製造方法とを提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この技術的課題を達成するため本発明のチップ抵抗器は、請求項1に記載したように、「低い抵抗値を有する金属板にて矩形のチップ型にした抵抗体と、この抵抗体における上面を被覆する絶縁被膜と、前記抵抗体の左右両側面を被覆する絶縁被膜と、前記抵抗体の下面を、その両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜と、更に、少なくとも、前記抵抗体の下面のうち前記下面用絶縁被膜で被覆されていない部分に形成した金属メッキ層による接続端子電極とを備えて成るチップ抵抗器において、
前記抵抗体における前記下面用絶縁被膜に、前記抵抗体の下面を左右両側面に沿って延びる延長部を、当該下面用絶縁被膜を形成するとき同時に形成するように設けて、この左右の両延長部の間に、前記金属メッキ層による接続端子電極を形成する。」
ことを特徴としている。
【0014】
また、本発明のチップ抵抗器は、請求項2に記載したように、
「低い抵抗値を有する金属板にて矩形のチップ型にした抵抗体と、この抵抗体における上面を、その両端の部分を除いて被覆する被覆する絶縁被膜と、前記抵抗体の左右両側面を被覆する絶縁被膜と、前記抵抗体の下面を、その両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜と、更に、少なくとも、前記抵抗体の下面及び上面のうち、前記下面用絶縁被膜及び上面用絶縁被膜で被覆されていない部分に形成した金属メッキ層による接続端子電極とを備えて成るチップ抵抗器において、
前記抵抗体における前記下面用絶縁被膜及び前記上面用絶縁被膜に、前記抵抗体の下面及び上面を左右両側面に沿って延びる延長部を、当該下面用絶縁被膜及び前記上面用絶縁被膜を形成するとき同時に形成するように設けて、これら左右の両延長部の間に、前記接続端子電極を形成する。」
ことを特徴としている。
【0015】
次に、本発明の製造方法は、請求項3に記載したように、
「低い抵抗値を有する金属板にて矩形のチップ型にした抵抗体を用意する工程と、この抵抗体の上面にこれを被覆する絶縁被膜を形成する工程と、前記抵抗体の下面に、その両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜を、この絶縁被膜に前記下面を左右両側面に沿って延びる延長部を備えた状態で形成する工程と、前記工程に次いで、前記抵抗体の左右両側面にこれを被覆する絶縁被膜を形成する工程と、少なくとも、前記抵抗体の下面のうち前記下面用絶縁被膜で被覆されていない部分に金属メッキ層による接続端子電極を形成する工程とを備えている。」
ことを特徴としている。
【0016】
また、本発明の製造方法は、請求項4に記載したように、
「低い抵抗値を有する金属板にて矩形のチップ型にした抵抗体を用意する工程と、この抵抗体の下面に、その両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜を、この下面用絶縁被膜に前記下面を左右両側面に沿って延びる延長部を備えた状態で形成する工程と、前記抵抗体の上面に、その両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜を、この上面用絶縁被膜に前記上面を左右両側面に沿って延びる延長部を備えた状態で形成する工程と、前記工程に次いで、前記抵抗体の左右両側面にこれを被覆する絶縁被膜を形成する工程と、少なくとも、前記抵抗体の下面及び上面のうち前記下面用絶縁被膜及び上面用絶縁被膜で被覆されていない部分に金属メッキ層による接続端子電極を形成する工程とを備えている。」
ことを特徴としている。
【0017】
更にまた、本発明の製造方法は、請求項5に記載したように、
「前記請求項3又は4の記載において、前記抵抗体を用意する工程がこの抵抗体の複数個が一列状に並べて一体化して成る棒状素材を用意する工程であり、前記側面用絶縁被膜の形成工程と前記接続端子電極を形成する工程との間、又は、前記接続端子電極を形成する工程の後に、前記棒状素材を各抵抗体ごとに切断・分離する工程を備えている。」
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
前記したように、抵抗体における下面用絶縁被膜に、前記抵抗体の下面を左右両側面に沿って延びる延長部を、当該下面用絶縁被膜を形成するとき同時に形成するように設けて、この左右の延長部の間に、金属メッキ層による接続端子電極を形成することにより、前記両接続端子電極における幅寸法は、前記した先願のように、側面用絶縁被膜のうち抵抗体の下面に対して被さる寸法にて画定されることなく、下面用絶縁被膜を形成するとき同時に形成される前記両延長部にて画定されることになる。
【0019】
これにより、前記両接続端子電極における幅寸法のバラ付きを著しく小さくできるから、この両接続端子電極間における抵抗値を所定値に揃えることの精度を大幅に向上できるのである。
【0020】
この場合、請求項2の記載によると、両接続端子電極が、抵抗体の上面にも形成して成る構成のチップ抵抗器において、前記両接続端子電極間における抵抗値を所定値に揃えることの精度を大幅に向上できる。
【0021】
一方、請求項3及び4に記載した製造方法によると、チップ抵抗器を、その接続端子電極間における抵抗値を所定値に揃えることの精度を大幅に向上できる状態にして製造することができる。
【0022】
また、請求項5に記載した製造方法によると、前記した構成のチップ抵抗器の複数個を同時に製造できるから、製造コストを低減できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面について説明する。
【0024】
図8〜図15は、第1の実施の形態による製造方法を示す。
【0025】
この第1の実施の形態による製造方法は、以下に述べる工程を備えている。
【0026】
先ず、図8に示すように、低い抵抗値を有する金属板にて矩形のチップ型にした抵抗体2の複数個を一列状に並べて一体化して成る棒状素材11を用意し、この棒状素材11における各抵抗体2の上面2aに、当該上面2aを被覆する耐熱合成樹脂又はガラス等の耐熱絶縁材料による熱絶縁被膜3aを、スクリーン印刷法(所定形状の抜き孔を備えたスクリーンを重ね、この状態で、前記スクリーンにおける抜き孔内に材料ペーストを塗り込むという方法)にて形成したのち、この上面用絶縁被膜3aの表面に、抵抗値等を表示する票印12をスクリーン印刷法にて形成する。
【0027】
次いで、図9、図10及び図11に示すように、前記棒状素材11を裏替えにして、その各抵抗体2の下面2dに、当該下面2dのうち両端の部分を除いて被覆する耐熱合成樹脂又はガラス等の耐熱絶縁材料による絶縁被膜3dを、スクリーン印刷法にて形成する。
【0028】
この下面用絶縁被膜3dをスクリーン印刷法にて形成するに際しては、この絶縁被膜3dに、前記抵抗体2における下面2dを左右両側面2b,2cに沿って延びる延長部13をスクリーン印刷法にて一体的に設けて同時に形成する。
【0029】
なお、前記下面用絶縁被膜3dをスクリーン印刷法にて形成する工程を最初に行い、次いで、前記上面用絶縁被膜3a及び票印12をスクリーン印刷法にて形成する工程を行うようにしても良い。
【0030】
次いで、前記棒状素材11における各抵抗体2の左右両側面2b,2cに、図12、図13及び図14に示すように、当該両側面2b,2cを被覆する耐熱合成樹脂又はガラス等の耐熱絶縁材料による絶縁被膜3b,3cを形成する。
【0031】
この側面用絶縁被膜3b,3cの形成は、前記両側面2b,2cを、平面板の上面又はローラの表面に予め適宜厚さに塗布した材料ペーストに対して押し付けることによって行う。
【0032】
次いで、前記棒状素材11の全体に対して金属メッキ処理を施したのち、前記棒状素材11を、図15に示すように、各抵抗体2ごとに切断にて分割するか、前記棒状素材11を、図15に示すように、各抵抗体2ごとに切断にて分割したのち、この各抵抗体2に対してバレルメッキ処理を施すことにより、前記抵抗体2における表面のうち少なくともその下面2dにおいて下面用絶縁被膜3dにて被覆されていない部分に、銅、銀又は錫等の半田付け性に優れ、且つ、前記抵抗体2における金属よりも低い固有抵抗を有する金属のメッキ層による接続端子電極4,5を形成する。
【0033】
なお、接続端子電極4,5は、前記棒状素材11を各抵抗体2ごとに切断にて分割したのちこの各抵抗体2に対してバレルメッキ処理を施すことで形成する場合には、各図面に図示したように、前記抵抗体2における左右両端面2e,2fにも延びるように形成される。
【0034】
このような工程を経て製造されたチップ抵抗器1は、図16〜図19に示すように、低い抵抗値を有する金属板にて矩形のチップ型にした抵抗体2と、この抵抗体2における上面2aを被覆する絶縁被膜3aと、前記抵抗体2の左右両側面2b,2cを被覆する絶縁被膜3b,3cと、前記抵抗体2の下面2dを、その両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜3dと、更に、少なくとも、前記抵抗体2の下面2dのうち前記下面用絶縁被膜3dで被覆されていない部分に形成した金属メッキ層による接続端子電極4,5とを備えて成り、前記抵抗体2における前記下面用絶縁被膜3dに、前記抵抗体2の下面2dを左右両側面2b,2cに沿って延びる延長部13を、当該下面用絶縁被膜3dを形成するとき同時に形成するように設けて、この左右の両延長部13の間に、前記金属メッキ層による接続端子電極4,5を形成するという構成になっている。
【0035】
このように、前記抵抗体2における下面用絶縁被膜3dに、前記抵抗体2の下面2dを左右両側面2b,2cに沿って延びる延長部13を、当該下面用絶縁被膜3dを形成するとき同時に形成するように設けて、この左右の延長部13の間に、金属メッキ層による接続端子電極4,5を形成することにより、前記両接続端子電極4,5における幅寸法Wは、前記した先願のように、側面用絶縁被膜3b,3cのうち抵抗体2の下面2dに対して被さる寸法にて画定されることなく、下面用絶縁被膜3dを形成するとき同時に形成される前記両延長部13にて画定されることになるから、前記両接続端子電極4,5における幅寸法Wのバラ付きを著しく小さくでき、この両接続端子電極4,5間における抵抗値を所定値に揃えることの精度を確実に向上できる。
【0036】
次に、図20及び図21は、第2の実施の形態による製造方法を示す。
【0037】
この第2の実施の形態による製造方法は、先ず、前記棒状素材11における各抵抗体2の上面2aに、絶縁被膜3aをスクリーン印刷法にて形成するに際して、図20に示すように、前記上面2aにおける両端の部分を被覆しないようにし、更に、この絶縁被膜3aに前記上面2aを左右両側面2b,2cに沿って延びる延長部16を一体に設けて形成したのち、この絶縁被膜3aの表面に、抵抗値等を表示する票印12をスクリーン印刷法にて形成する。
【0038】
次いで、前記棒状素材11における各抵抗体2の下面2dに、図21に示すように、当該下面2dのうち両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜3dを、当該絶縁被膜3dに前記抵抗体2における下面2dを左右両側面2b,2cに沿って延びる延長部13を一体的に設けてスクリーン印刷法にて形成する。
【0039】
この場合においても、前記下面用絶縁被膜3dをスクリーン印刷法にて形成する工程を最初に行い、次いで、前記上面用絶縁被膜3a及び票印12をスクリーン印刷法にて形成する工程を行うようにしても良いこというまでもない。
【0040】
以下、前記第1の実施の形態と同様に、各抵抗体2における左右両側面2b,2cに対して絶縁被膜3b,3cを形成する工程を行い、次いで、前記棒状素材11の全体に対して金属メッキ処理を施したのち、前記棒状素材11を各抵抗体2ごとに切断にて分割するか、前記棒状素材11を各抵抗体2ごとに切断にて分割したのち、この各抵抗体2に対してバレルメッキ処理を施すことにより、前記抵抗体2における表面のうち少なくともその下面2dにおいて下面用絶縁被膜3dにて被覆されていない部分、及びその上面2aにおいて上面用絶縁被膜3aにて被覆されていない部分に、同じく銅、銀又は錫等の半田付け性に優れ、且つ、前記抵抗体2における金属よりも低い固有抵抗を有する金属のメッキ層による接続端子電極4,5,14,15を形成する。
【0041】
この場合においても、接続端子電極4,5,14,15は、前記棒状素材11を各抵抗体2ごとに切断にて分割したのちこの各抵抗体2に対してバレルメッキ処理を施すことによって形成した場合には、各図面に図示したように、前記抵抗体2における左右両端面2e,2fにも延びるように形成される。
【0042】
前記したようにして製造されたチップ抵抗器10は、図22〜図25に示すように、抵抗体2の下面2dにおける左右両端の部分と、前記抵抗体2の上面2aにおける左右両端の部分との両方に、接続端子電極4,5,14,15を形成して成る構成であり、下面の両接続端子電極4,5における幅寸法Wは、下面用絶縁被膜3dを形成するとき同時に形成される前記両延長部13にて画定される一方、上面の両接続端子電極14,15における幅寸法W0は、上面用絶縁被膜3aを形成するとき同時に形成される前記両延長部16にて画定されることにより、前記両接続端子電極4,5,14,15における幅寸法W、W0のバラ付きを著しく小さくできるから、下面及び上面の両方に接続端子電極4,5,14,15を設けて成るチップ抵抗器10において、その抵抗値を所定値に揃えることの精度を確実に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】先願におけるチップ抵抗器を示す縦断正面図である。
【図2】図1の底面図である。
【図3】図1のIII −III 視断面図である。
【図4】図1のIV−IV視断面図である。
【図5】前記先願のチップ抵抗器を製造する場合の第1工程を示す斜視図である。
【図6】前記先願のチップ抵抗器を製造する場合の第2工程を示す斜視図である。
【図7】前記先願のチップ抵抗器を製造する場合の第3工程を示す斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態による製造方法において第1工程を示す斜視図である。
【図9】第1の実施の形態による製造方法において第3工程を示す斜視図である。
【図10】図9のX−X視拡大断面図である。
【図11】図9のXI−XI視拡大断面図である。
【図12】第1の実施の形態による製造方法において第4工程を示す斜視図である。
【図13】図12のXIII−XIII視拡大断面図である。
【図14】図12のXIV −XIV 視拡大断面図である。
【図15】第1の実施の形態による製造方法において第5工程を示す斜視図である。
【図16】第1の実施の形態によるチップ抵抗器を示す縦断正面図である。
【図17】図16の平面図である。
【図18】図16の底面図である。
【図19】図16のXIX −XIX 視断面図である。
【図20】本発明の第1の実施の形態による製造方法において第1工程を示す斜視図である。
【図21】第2の実施の形態による製造方法において第2工程を示す斜視図である。
【図22】第2の実施の形態によるチップ抵抗器を示す縦断正面図である。
【図23】図22の平面図である。
【図24】図22の底面図である。
【図25】図22のXXV −XXV 視断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1,10 チップ抵抗器
2 抵抗体
2a 抵抗体の上面
2b,2c 抵抗体の側面
2d 抵抗体の下面
2e,2f 抵抗体の端面
3a 上面用絶縁被膜
3b,3c 側面用絶縁被膜
3d 下面用絶縁被膜
4,5,14,15 接続端子電極
11 棒状素材
13,16 延長部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低い抵抗値を有する金属板にて矩形のチップ型にした抵抗体と、この抵抗体における上面を被覆する絶縁被膜と、前記抵抗体の左右両側面を被覆する絶縁被膜と、前記抵抗体の下面を、その両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜と、更に、少なくとも、前記抵抗体の下面のうち前記下面用絶縁被膜で被覆されていない部分に形成した金属メッキ層による接続端子電極とを備えて成るチップ抵抗器において、
前記抵抗体における前記下面用絶縁被膜に、前記抵抗体の下面を左右両側面に沿って延びる延長部を、当該下面用絶縁被膜を形成するとき同時に形成するように設けて、この左右の両延長部の間に、前記金属メッキ層による接続端子電極を形成することを特徴とする低い抵抗値を有するチップ抵抗器。
【請求項2】
低い抵抗値を有する金属板にて矩形のチップ型にした抵抗体と、この抵抗体における上面を、その両端の部分を除いて被覆する被覆する絶縁被膜と、前記抵抗体の左右両側面を被覆する絶縁被膜と、前記抵抗体の下面を、その両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜と、更に、少なくとも、前記抵抗体の下面及び上面のうち、前記下面用絶縁被膜及び上面用絶縁被膜で被覆されていない部分に形成した金属メッキ層による接続端子電極とを備えて成るチップ抵抗器において、
前記抵抗体における前記下面用絶縁被膜及び前記上面用絶縁被膜に、前記抵抗体の下面及び上面を左右両側面に沿って延びる延長部を、当該下面用絶縁被膜及び前記上面用絶縁被膜を形成するとき同時に形成するように設けて、これら左右の両延長部の間に、前記接続端子電極を形成することを特徴とする低い抵抗値を有するチップ抵抗器。
【請求項3】
低い抵抗値を有する金属板にて矩形のチップ型にした抵抗体を用意する工程と、
この抵抗体の上面にこれを被覆する絶縁被膜を形成する工程と、
前記抵抗体の下面に、その両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜を、この絶縁被膜に前記下面を左右両側面に沿って延びる延長部を備えた状態で形成する工程と、
前記工程に次いで、前記抵抗体の左右両側面にこれを被覆する絶縁被膜を形成する工程と、
少なくとも、前記抵抗体の下面のうち前記下面用絶縁被膜で被覆されていない部分に金属メッキ層による接続端子電極を形成する工程と、
を備えていることを特徴とする低い抵抗値を有するチップ抵抗器の製造方法。
【請求項4】
低い抵抗値を有する金属板にて矩形のチップ型にした抵抗体を用意する工程と、
この抵抗体の下面に、その両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜を、この下面用絶縁被膜に前記下面を左右両側面に沿って延びる延長部を備えた状態で形成する工程と、
前記抵抗体の上面に、その両端の部分を除いて被覆する絶縁被膜を、この上面用絶縁被膜に前記上面を左右両側面に沿って延びる延長部を備えた状態で形成する工程と、
前記工程に次いで、前記抵抗体の左右両側面にこれを被覆する絶縁被膜を形成する工程と、
少なくとも、前記抵抗体の下面及び上面のうち前記下面用絶縁被膜及び上面用絶縁被膜で被覆されていない部分に金属メッキ層による接続端子電極を形成する工程と、
を備えていることを特徴とする低い抵抗値を有するチップ抵抗器の製造方法。
【請求項5】
前記請求項3又は4の記載において、前記抵抗体を用意する工程がこの抵抗体の複数個が一列状に並べて一体化して成る棒状素材を用意する工程であり、
前記側面用絶縁被膜の形成工程と前記接続端子電極を形成する工程との間、又は、前記接続端子電極を形成する工程の後に、前記棒状素材を各抵抗体ごとに切断・分離する工程を、
備えていることを特徴とする低い抵抗値を有するチップ抵抗器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−13002(P2006−13002A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185468(P2004−185468)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】