説明

低フィブリル化セルロース誘導体繊維を製造するプロセス

ドライジェット・湿式スピンプロセスによって、低フィブリル化セルロース誘導体繊維を製造するプロセスが提供される(3)以下のフィブリル化インデックスを持つ前述の繊維を生産するため、セルロースを特定濃度のイオン液体をベースとする溶剤で処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本公開特許は、非フィブリル化セルロース誘導体繊維を生成させるプロセスとそのプロセスによって生成させたセルロース誘導体繊維に関する。
【0002】
定義
「ビスコース法」なる用語は、(アルカリ)水酸化ナトリウム、二硫化炭素および酸性溶液のような溶剤の使用し、繊維の湿式紡糸によって人造セルロース繊維を生成させるのに使用するプロセスを意味する。
【0003】
Lyocell法なる用語は、セルロースを溶かすN−メチルモーポホリンオキサイド(NMMO)のような直接溶剤を使用するステップを含むセルロース繊維の製造およびドライジェット湿式紡糸用プロセスを意味する。
【0004】
現公開特許の文脈中に使用した湿式紡糸法なる用語は、液体浴槽中に直接ドープして行うポリマーの紡績を含むプロセスを意味する。
【0005】
現公開特許の文脈中に使用したドライジェット湿式紡糸法なる用語は、液体浴槽中に空気ギャップを通してドープして行うポリマーの紡績を含むプロセスを意味する。
【0006】
イオン液なる用語は、熱に対する安定性が優れ且つ和蒸気圧が極めて低く、安定した液体の塩を意味する。
【背景技術】
【0007】
コットン、レーヨンおよびリオセルのようなセルロース誘導体繊維は織物や不織布の製造に使われている。
セルロース誘導体繊維の商業生産に使う従来の方法はビスコース法である。セルロース誘導体繊維の製造に使われる従来の方法の1つでは、木材パルプから生成させたセルロースをナトリウム水酸化物で処理した後、二硫化炭素で処理して、セルロースキサントゲン酸塩を形成させる。
【0008】
このようにして生成させたセルロースキサントゲン酸塩を希釈したナトリウム水酸化物の溶液に溶かして、ビスコースと呼ばれる濃厚な溶液を得る。ビスコースはその後、出糸突起中の小さな開口部を通して酸性溶液中に押し込まれ、繊維の微細な束となって凝固する。湿式紡糸法によるプロセスには、ポリマーを直接液体浴槽の中にドープする紡糸ステップが含まれている。ビスコース プロセスで取得されたセルロース誘導体繊維は、非フィブリル化セルロースであるが、その強さは低い。ビスコースプロセスには、二硫化炭素や亜硫酸のような危険な液体を使用するステップが含まれているので、このプロセス全体は環境に友好的ではない。
【0009】
セルロース誘導体繊維を製造する従来のもう1つのプロセスでは、セルロースをクプラモニウム溶液に溶解させて、水中に沈めた紡糸口金を通して亜硫酸の希釈溶液の中に押し込まれる溶液を形成させるプロセスの主な欠点はアンモニアの効率的な回収が難しく、レーヨンプロセスより高価であることである。
セルロース/リコセル繊維は、N−メチル モフォリン N−オキサイド ハイドレートを使ったドライジェット湿式紡績技術を使って取得されるものとして有名であるドライジェット湿式紡績技術は繊維に従来の湿式ジェット紡績プロセスより高い頑強性と剛性を付与するが、NMMOは熱的に不安定で、高温で爆発して劣化や繊維の白色性に影響を及ぼす有色化合物を生成し、繊維コストの増加をもたらし、上記のプロセスによって生成させた繊維は高いフィブリル化傾向を示し、このような繊維で作った製品の外観が影響を受ける事実によって、N MOの使用は望まれない。フィブリル化傾向を低下させるため、従来の繊維には、クロスリンク剤を使うか、機械的、化学的あるいは酵素的方法によって処理することが要求されるので、当該処理により、プロセスのトータルコストが更に増加する。
【0010】
2009年5月22日に公開されたBASFの特許WO 2009/062723は紡績プロセスに関するもので、EMIM octanoateおよびイミダゾリウム−燐酸塩ジアルキルの使用を開示している。
【0011】
TITKの特許WO 2006/000197およびWO 2007/128268はイオン液中で行うセルロースの紡績プロセスを開示している。
【0012】
日清紡の特許WO 2008/133269はイオン液を開示し、当該特許では、(イミダゾリウムを含む)陽イオンには、少なくとも1つのアルコキシアルキル グループが含まれ、陰イオンはフタル酸ジメチルで、セルロースに対し優れた溶解度を持ち、繊維が明細や例を使わないで言及されている。
【0013】
BASFの特許WO2007076979は、炭水化物の形の生重合体のための溶液システムおよび溶けたイオン液を含む溶液システムを開示すると共に、溶液システムにオプションとして含められる添加物も述べているこの溶液システムはプロトン性溶媒や幾つかのプロトン性溶媒の混合物を含み、プロトン性溶媒が単に水である場合、それは溶液システム中に約5重量%より多い量が存在する特許は再生されたセルロースの非フィブリル化スパン繊維のためのプロセスを提供する。
【0014】
従って、セルロースの非フィブリル化繊維を生成させるプロセスで、シンプルで、コスト効果が高く、環境に優しく且つ従来のプロセスの欠点を危険な溶剤の使用を求めることなく除去したものを開発する必要がある現在の公開特許は、イオン液を溶剤としてセルロースに対して使用した特定紡績条件で、ドライジェット湿式紡績法で、低フィブリル化セルロース誘導体繊維を製造するプロセスを述べている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
現公開特許中の少なくとも1つの具体化の要件を満たす非限定目的の幾つかは以下の通りである:
シンプルで、効率およびコスト効果が高い非フィブリル化セルロース誘導体繊維を製造するプロセスを提供することが本公開特許の目的である。
【0016】
環境に優しい非フィブリル化セルロース誘導体繊維を生成するプロセスを提供することも本公開特許のもう1つの目的である。
【0017】
環境に優しい非フィブリル化セルロース誘導体繊維を生成するプロセスを提供することも本公開特許のもう1つの目的である。
【0018】
高温に耐え且つ高温で劣化された製品を形成しない溶剤を使用して非フィブリル化セルロース誘導体繊維を製造するプロセスを提供することが本公開特許の更なる目的である。
【0019】
リサイクルや再利用が可能な溶剤が使用できる非フィブリル化セルロース誘導体繊維を製造するプロセスを提供することも本公開特許の更なる目的である。
【0020】
ドライジェット湿式技術によって非フィブリル化セルロース誘導体繊維を生成するプロセスを提供することも本公開特許の更なるもう1つの目的である
総括
従って、本公特許は以下のステップを含むドライジェット湿式紡績プロセスによって低フィブリル化セルロース繊維を生成させるプロセスを提供する:
a.少なくとも1つのイオン液を低くとも50重量%含む溶剤システムの中にセルロースを溶解させて、100から10000000ポイズまで範囲に収まる大きさのゼロ剪断粘度の重合体溶液を形成するステップ。この場合、1から20まで範囲に収まる数の炭素原子を持つアルキルグループによって置き換えられた各窒素原子がRa−COO−なる式のカルボン酸塩の陰イオンからなるグループの中から選んだ少なくとも1つであることを条件に、イオン液は1個または2個の窒素原子を含む複素環システムの付いた陽イオンを持っている。但し、Raは、1から20まで範囲に収まる数の炭素原子持つアルキルグループおよびRb−Rc−P04−なる式の燐酸塩陰イオンで、当該炭素原子の数はなるべく7から9までの範囲に収める。RbとRcは、1から20までの範囲に収まる数の炭素原子を持つアルキルグループで、当該炭素の数はなるべく1から5までの範囲に収める。陰イオンと陽イオン中のアルキルグループの中に含まれる炭素原子の合計は、少なくとも5個であるが、出来れば少なくとも7個、最も好ましくは少なくとも9個とする。
【0021】
b. スピナーレット中にある前述の溶液から、2mmから50mmまでの範囲に収まる大きさの空気ギャップを通して、0.01%から60%までの範囲に収まる濃度のイオン液を含み、−50°Cから60°Cまでの範囲の温度に維持されている凝固浴槽の中に繊維を紡ぎ込むステップ;および
c. ステップ(b)で取得した繊維を洗って乾燥させるステップ。
【0022】
イオン液の濃度は大抵、溶剤システムの低くとも70重量%に等しい。
【0023】
以下に示す構造のイオン液は大抵、化学化1の1,3−ジ置換イミダゾリウム塩 である:
【0024】
【化1】

【0025】
但し、
R1とR3は互いに独立した、1から20までの範囲に収まる数の炭素原子を持つ有機グループである。
R2、R4およびR5は互いに独立した、水素原子あるいは1から20までの範囲に収まる数の炭素原子を持つ有機グループである。
XはRa−COO−なる式のカルボン酸塩アニオンからなるグループから選んだ少なくとも1つのアニオンである。但し、Raは、1から20までの範囲に収まる数の炭素原子を持つアルキルグループで、これをなるべく、6から9までの範囲に収まる数の炭素原子を持つアルキルグループおよびRb−Rc−P04−なる式の燐酸塩アニオンとする。但し、RaとRbは、1から20までの範囲に収まる数の炭素原子を持つアルキルグループで、なるべく1から5までの範囲に収まる炭素原子を持たせ、nは1、2、または3である。
【0026】
陽イオンと陰イオンのアルキルグループ中の炭素原子の合計数は、最大で30であるが、なるべく26個以下にする。しかし、22個より低くすることが最も望ましい。
【0027】
Xは大抵燐酸ジエチルである。
【0028】
溶媒システムには、水、ジメチル・スルホキシド、ジメチル・アセトアミド、ジメチル・ホルムアミド、N−ピロロリドンおおびこれらの混合物からなるグループから選んだ少なくとも1つの溶媒が更に含まれる
凝固浴槽には、水、メタノール、エタノール、グリセロール、n−プロパンノール、イソプロパノールおよびこれらの混合物からなるグループから選んだ少なくとも40重量%のプロトン性溶媒が更に含まれる。
【0029】
本公開特許の好適な実施形態の要件を満たすイオン液は、ジブチル イミダゾリウム アセテート、ジペンチル イミダゾリウム アセテート、ジヘキスルイミダゾリウム アセテート、ジブチル イミダゾリウム アセテート、l−エチルl−3−メチルイミダゾリウム アセテート、ジプロピル イミダゾリウム アセテート、l−エチルl−3−メチル イミダゾリウム アセテート、l−エチルl−3−メチル イミダゾリウム アセテート、l−エチル−3−メチル イミダゾリウム アセテート、l−エチルl−3−メチル イミダゾリウム undecanoate、l−エチルl−3−メチル イミダゾリウム dodecanoate、l−エチルl−3−メチル イミダゾリウム ジエチル 燐酸塩、ジエチル イミダソリウム octanoate、およびl−デシルl−3−メチル イミダゾリウム アセテートからなるグループから選んだ少なくとも1つである
本公開特許の規定した要件を満たすように生産された繊維は、3以下のフィブリル化インデックスを持っている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
低フィブリル化セルロース誘導体繊維を製造するプロセスには、溶媒システムを使ってセルロースを処理するステップが含まれ、セルロースが溶媒システムに溶けて、ポリマー溶液を形成するように、当該溶媒システムには少なくとも1つのイオン液が含まれている。この場合、ポリマー溶液中に含まれるセルロースの濃度は、6%から20%までの範囲に収まり、当該ポリマー溶液は空気ギャップを通して凝固浴槽の中にスピンさせる凝固浴槽には、最高70%のイオン液を含む溶媒が含まれている凝固浴槽は、−5°Cから60°Cまでの範囲に収まる温度に維持される。出糸突起から出た繊維は空気あるいは不活性ガスと接触する出糸突起と凝固浴槽の間の空気ギャップの距離は、2mmから150mmまでの範囲に収まり、空気中の絶対湿度は、75g/立方メーターより高い空気ギャップの温度は、−5度Cから50度Cまでの範囲に収まる温度に維持される。溶剤システムには、水、ジメチル スルフォキシド、ジメチル アセトアミド、ジメチル ホルムアミド、N−メチル ピロリドンおよびこれらの混合物からなるグループの中から選んだ少なくとも1つを更に含まれる。
【0031】
凝固浴槽には、水、メタノール、エタノール、グリセロール、n−プロパンノール、イソプロパノールおよびこれらの混合物からなるグループから選んだ少なくとも40重量%のプロトン性溶媒が更に含まれる。
【0032】
本公開特許の好適な実施形態の要件を満たすイオン液には、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピラゾリウムを例として限定することなく含む、少なくとも1つの窒素原子を含む複素環システムが含まれる。但し、各窒素原子はC1−C20 アルキルグループで置換され、alkylグループ中の炭素原子の合計数は少なくとも5個である。陽イオンと陰イオンのアルキル グループ中の炭素原子の合計数は、最大で30個であるが、好適な数は26個で、より好適な数は22個である。
【0033】
イオン液は、一般化1で示されるような化学構造を持っている。
【0034】
【化2】

【0035】
R1とR3は1から20までの範囲に収まる数の炭素原子を持つ有機分子で、各々は互いに独立している。
【0036】
R2、R4およびR5は水素原子あるいは1から20までの範囲に収まる数の炭素原子を持つ有機分子で、各々は互いに独立している。
Xは陰イオンで、
nは1、2または3である。
【0037】
イオン液をなるべく1,3−ジ置換イミダゾリウム塩にする。但し、イオン液中の陰イオンはRa−COO−なる式のカルボン酸塩陰イオンからなるグループから選んだ少なくとも1つで、Raは1から20までの範囲に収まる数の炭素原子を含むアルキルグループで、なるべく6から12までの範囲に収まる数の炭素原子とRb−Rc−P04−なる式の燐酸塩陰イオンにする。RaとRbは、1から20までの範囲に収まる数の炭素原子を含むアルキルグループで、これらをなるべく、1〜5個の炭素原子を独立して含むアルキルグループにする。
【0038】
陽イオンと陰イオン中のアルキルグループの中にある炭素原子の合計数は、少なくとも5である。当該合計数は最大30であるが、なるべく最大22とする。
【0039】
好適な実施形態の要件を満たす陰イオンはジエチル燐酸塩である。
【0040】
本公開特許の好適な実施形態の要件を満たすイオン液は、ジブチル イミダゾリウム アセテート、ジペンチル イミダゾリウム アセテート、ジヘキル イミダゾリウム アセテート、キブチル イミダゾリウム octanoate、l−エチルl−3−メチルイミダゾリウム heptanoate、ジプロピル イミダゾリウム octanoate、l−エチルl−3−メチル イミダゾリウム octanoate、l−エチルl−3−メチル イミダゾリウム nonanoate、l−エチルl−3−メチル イミダゾリウム decanoate、l−エチル−3−メチル イミダゾリウム undecanoate、l−エチルl−3−メチル イミダゾリウム dodecanoate、l−エチルl−3−メチル イミダゾリウム ジエチル 燐酸塩、ジエチル イミダゾリウム octanoate、およびl−デシル−3−メチル イミダゾリウム アセテートおよびl -デシルl−3 -メチル イミダゾリウム アセテートからなるグループの中から選ばれる。
【0041】
本公開特許に基づいて生成させたセルロース誘導体繊維は低フィブリル化繊維である。

セルロースを表1に示すイオン液に溶解させて12%ポリマー溶液を形成させ、これを60ミクロンの穴を持つスピナレットから、表1に示すエアーギャップを通して、表1に示す設定温度および特定イオン液濃度を維持した凝固浴槽の中に紡出させて繊維を形成させた繊維のデニールとフィブリル化特性を計測した表1中のTCは、溶媒システム中のイオン液の陰イオンと陽イオンのアルキルグループ中の炭素原子の合計数である。
【0042】
【表1】

【0043】


【0044】




【0045】
フィブリル化:
内径1.5cm、高さ10cmのポリプロピレン製試験管の中に5mlの蒸留水と一緒に約0.003gのロングカット繊維を入れたチューブをシェーカーに取り付け、これに振幅12cm、周波数80ヘルツの振動を90分間与えた処理した繊維をガラスのスライド上に載せて、顕微鏡で観察した長さ100ミクロンの繊維の上に光学顕微鏡を使って観察された微小繊維の数がフィブリル化インデックスであるフィブリル化インデックスが3より大きい場合、高フィブリル化、3以下の場合、低フィブリル化とそれぞれ判定される。
【0046】
技術の進歩
本公開特許に基づくプロセスは、布地や不織布のような様々アプリケーションに使用されるフィブリル化されていないセルロース誘導体繊維をもたらす本公開特許のプロセスに使用されるイオン液は再生および再利用が可能なので、全プロセスを効率的且つ経済的にする本公開特許のプロセスは有害な廃棄プロダクトを生成しないので、環境に優しい。
【0047】
好適な具体化の持つ特別な特徴とそれに関する改良をかなり強調してきたが、公開特許の原則から外れることなく、好適な具体化の中で改良を行うことができることは高く評価されるその技術に熟練した人たちには、本公開特許の性質中のこれらとその他の改良は本仕様から明白である。よって、前述の説明事項は、制限でなく、単なる例証としてだけ解釈すべきと明らかに理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
a.少なくとも1つのイオン液を低くとも50重量%含む溶剤システムの中にセルロースを溶解させて、100から10000000ポイズまで範囲に収まる大きさのゼロ剪断粘度の重合体溶液を形成するステップ。この場合、1から20まで範囲に収まる数の炭素原子を持つアルキルグループによって置き換えられた各窒素原子がRa−COO−なる式のカルボン酸塩の陰イオンからなるグループの中から選んだ少なくとも1つであることを条件として、イオン液は1個または2個の窒素原子を含む複素環システムの付いた陽イオンを持っている。但し、Raは、1から20まで範囲に収まる数の炭素原子持つアルキルグループおよびRb−Rc−P04−なる式の燐酸塩陰イオンで、当該炭素原子の数はなるべく7から9までの範囲に収める。RbとRcは、1から20までの範囲に収まる数の炭素原子を持つアルキルグループで、当該炭素の数はなるべく1から5までの範囲に収める。陰イオンと陽イオン中のアルキルグループの中に含まれる炭素原子の合計は、少なくとも5個であるが、出来れば少なくとも5個、最も好ましくは少なくとも9個とする。
b.スピナーレット中にある前述の溶液から、2mmから50mmまでの範囲に収まる大きさのエアーギャップを通して、01%から70%までの範囲に収まる濃度のイオン液を含み、−5度Cから60度Cまでの範囲の温度に維持されている凝固浴槽の中に繊維を紡ぎ込むステップ;および
c.ステップ(b)で取得した繊維を洗って乾燥させるステップ
を含むドライジェット湿式紡績プロセスによって低フィブリル化セルロース繊維を生産するプロセス。
【請求項2】
陽イオンと陰イオンのアルキルグループ中の炭素原子の合計数が最大で30個で、26個未満が好適で、22個未満が最も好適であることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
イオン液が化1
【化1】

の1,3−ジ置換イミダゾリウム塩であることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
(但し、R1とR3は1から20までの範囲に収まる数の炭素原子を持つ有機グループで、各々が互いに独立している。
R2、R4およびR5は水素原子あるいは1から20までの範囲に収まる数の炭素原子を持つ有機グループで、おのおのが互いに独立している。
Xは、式Ra−COO−のカルボン酸塩陰イオンからなるグループから選んだ少なくとも1つの陰イオンである。但し、Raは、1から20までの範囲に収まる数の炭素原子を持つアルキルグループおよび式Rb−Rc−P04−の燐酸塩陰イオンで、RbとRcは、1から20までの範囲に収まる数の炭素原子を持つアルキルグループである。ここでは、Raの場合、炭素原子の数をなるべく5から9までの範囲に収め、RbとRcの場合、なるべく1から5までの範囲に収めるおよびnは1、2または3である。)
【請求項4】
R1とR3が同じであることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
X がジエチル燐酸塩であることを特徴とする、請求項3に記載のプロセス。
【請求項6】
イオン液の濃度が溶媒システムの低くとも70重量%であることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
溶媒システムが、水、ジメチル・スルホキシド、ジメチル・アセトアミド、ジメチル・ホルムアミド、N−ピロロリドンおよびこれらの混合物からなるグループから選んだ少なくとも1つの溶媒を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
凝固浴槽が更に、水、メタノール、エタノール、グリセロール、n−プロパンノール、イソプロパノールおよびこれらの混合物からなるグループから選んだプロトン性溶媒を低くとも40重量%含むことを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
イオン液が以下からなるグループから選んだ少なくとも1つであることを特徴とする、先行した請求項のいずれか1つに記載のプロセス;
ジ ブチルイミダゾリウムアセテート、
ジ ペンチル イミダゾリウム アセテート、
ジ ヘキル イミダゾリウム セテート、
ジ ブチル イミダゾリウムoctanoate,
1−エチル−3 -メチル イミダゾリウム heptanoate,
ジ プロピル いみダゾリウム octanoate,
1 -エチル−3 -メチル イミダゾリウム octanoate,
l -エチル−3 -メチル イミダゾリウム nonanoate,
1−エチル−3 -メチル イミダゾリウム decanoate,
1 -エチル−3 -メチル イミダゾリウム undecanoate,
1−エチル−3 -メチル イミダゾリウム dodecanoate,
1−エチル−3 -メチル イミダゾリム ジエチル燐酸塩、
ジ エチル イミダゾリウム octanoate; および
1−Decy−1−3−、メチル イミダゾリウム アセテート。
【請求項10】
請求項1の規定に基づき生産され、3以下のフィブリル化インデックスを持つ繊維。

【公表番号】特表2013−507478(P2013−507478A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532718(P2012−532718)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000659
【国際公開番号】WO2011/048608
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(512082772)グラシム インダストリーズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】