説明

低ホルムアルデヒド・リグノセルロース材料、およびその製造方法

本発明は、窒素として計算され、かつリグノセルロース材料の全質量に基づく少なくとも1質量%の量(N)の架橋形態で、架橋性窒素化合物、技術的にはホルムアルデヒド付加産物を架橋形態で含むリグノセルロース材料に関する。EN 717の第3部によるボトル法によって決定されるホルムアルデヒド放出(FA)と、窒素化合物(N)の成分量との比(FA/N)は、5.0×10-3の最大値を有する。本発明はまた、その作成方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋性窒素化合物を架橋形態で備える低−またはゼロ−ホルムアルデヒド・リグノセルロース材料、およびその製造方法に関する。
【0002】
リグノセルロース材料、特に木材であるが、竹、天然繊維などの他のリグノセルロース材料も、多くの用途の建築材料および建設材料として対象となる。1つの欠点は、これらの材料の天然の耐久性が、水分の影響および周囲大気における水分含有量の変化の両方によって悪影響を受けることである。この理由は、水と接触している、または湿り大気にあるリグノセルロース材料が、水を吸収し、乾燥大気において水を再び放出する特性である。これおよびこれに関連する材料の寸法安定性の欠如を伴う膨潤または収縮は、多くの用途について望ましくないだけでなく、極端な場合、亀裂によって材料を破壊することになることがある。さらに、湿り状態におけるこれらの材料は、木材分解微生物または木材変色微生物によって攻撃され、これにより、多くの場合、これらの材料を殺菌剤または殺生物剤で仕上げることが必要になる。コスト面とは別に、そのような仕上げは、生態学的な配慮からも欠点である。
【0003】
耐久性および寸法安定性を向上させるために、木材および同等のリグノセルロース・ベース材料は、たとえばワックスを備える含浸剤で処理することによって、しばしば修正される。これにより、水が材料の孔を貫通することがより難しくなり、これらの材料の寸法安定性は向上し、真菌または細菌による感染の危険性が低減される。
【0004】
パーティクルボードおよびファイバーボードなどの木材および木材材料の寸法安定性、ならびに無水酢酸などの無水物を使用して木材粒子をアセチル化することによる木材破壊有機物に対する耐性を向上させるために、提案が行われてきた(EP−A213252およびそこでの引用文献、またRowell et al.,Wood and Fiber Science,21(1),67−79参照)。処理のコストが高く、およびそのように処理された材料の固有の臭いが不快であることが、これらの対策が商業的に成功しなかった欠点である。
【0005】
Wood Science and Technology、1993年、347〜355ページに見られる刊行物"Treatment of timber with water soluble dimethylol resins to improve the dimensional stability and durability"から、木材の収縮および膨潤の特性、ならびに真菌および昆虫に対する耐性を向上させるために、ジメチロールジヒドロキシエチレン−ウレア(DMDHEUまたは1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン)の水溶液および触媒からなる含浸剤でこれを処理することが知られている。高温において、DMDHEUは、それ自体および木材と反応する。このようにして、20mm×20mm×10mmの寸法を有する木製物品を調査した。記述される方法は、木製物品の寸法が小さいときのみ適用することができるが、その理由は、これらは、寸法がより大きいと亀裂し易いためである。
【0006】
WO2004/033170は、耐久性、寸法安定性、および表面の硬さが増強された木製物品を製造する方法を開示しており、この場合、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシ−イミダゾリジン−2−オン、アルカノールまたはポリオールで変性されたビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、ジメチロールウレア、1,3−ビス(メトキシメチル)ウレア、テトラ(ヒドロキシメチル)アセチレンジウレア、1,3−ビス(ヒドロキシ−メチル)イミダゾリジン−2−オン、1−ヒドロキシメチル−3−メチルウレア、またはその混合物などの架橋性尿素化合物が含浸剤として使用され、含浸済み木製物品は、湿気状態を維持しながら、高温において硬化される。そのようにして得られた木材材料のホルムアルデヒド放出は、不十分であり、木材における尿素化合物の固定は、単に中程度である。
【0007】
WO2004/033171は、木材を処理する方法を開示し、この場合、未処理の木製物品は、C1-5−アルコール、ポリオール、またはその混合物で変性された1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシ−イミダゾリジン−2−オン(mDMDHEU)、適切であれば、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、ジメチロールウレア、ビス(メトキシメチル)ウレア、テトラメチロールアセチレンジウレア、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾリジン−2−オン、またはメチロール−メチルウレアの基由来の架橋性窒素化合物を追加の含浸剤として備える水溶液、およびこれらの化合物の架橋を引き起こす触媒で含浸される。この方法も、とりわけ、製造された木製物品のホルムアルデヒド放出を低減することになるはずである。高含有量の尿素化合物を同時に有する低放出木材材料は、この文献には記載されていない。
【0008】
PCT/EP2006/004020(先行のドイツ特許出願DE102005020387.6)は、変性木材、または変性木材材料、あるいは変性リグノセルロース材料で作成された他の材料で作成された成形物の表面処理を開示し、この場合、変性木材材料またはリグノセルロース材料で作成された変性材料は、WO2004/033170およびWO2004/033171の場合のように、架橋性窒素化合物で事前に含浸され、かつ架橋されている。
【0009】
PCT/EP2006/004019(先行のドイツ特許出願DE102005020386.8)は、少なくとも1つの架橋性窒素化合物の他に、少なくとも1つの効果物質を溶解形態または分散形態で備える架橋性窒素化合物に基づく反応組成物で含浸され、かつ架橋された変性木材材料を開示している。
【0010】
PCT/EP2006/004016およびPCT/EP2006/004014(先行のドイツ特許出願DE102005020390.6およびDE102005020389.2)は、少なくとも1つの架橋性窒素化合物の他に、分散疎水性成分を備える反応組成物で含浸され、かつ架橋された変性木材材料を開示している。
【0011】
PCT/EP2006/001979(先行のドイツ特許出願DE102005010042.2)は、微細に分割された木材材料が、架橋性窒素化合物に基づく反応組成物で含浸され、架橋が同時に行われた成形方法を受ける、微細分割木材材料で作成された変性木材材料を開示している。架橋は、成形方法の前に実施することもできる。
【0012】
PCT/EP2006/001980(先行のドイツ特許出願DE102005010041.4)は、基板に平面式に接着的に結合された少なくとも1つの薄いベニヤ層、または追加のベニヤ層を示す変性木材材料を開示し、この場合、この場合、薄いベニヤ層は、架橋性窒素化合物に基づく反応組成物で含浸され、接着剤で処理され、かつ接着剤でベニヤに結合される。
【0013】
PCT/EP2006/004015(先行のドイツ特許出願DE102005020388.4)は、
a)化学式CH2OHの少なくとも2つのN結合基および/または2つの窒素原子を架橋する1,2−ビスヒドロキシエタン−1,2−ジイル基を有する少なくとも1つの低分子量化合物V、
b)少なくとも3の炭素原子、特に3から10の炭素原子を有する少なくとも1つの2価または多価の脂肪族基または脂環式基を有する分子あたり、平均して少なくとも2つのOH基、特に2から6のOH基を有する少なくとも1つのオリゴ−またはポリアルキレンエーテルポリオールP、ならびに/あるいは、
c)ポリアルキレンエーテルポリオールを有する低分子量化合物Vの反応生成物を備える反応組成物で含浸され、かつ架橋された変性木材材料を開示している。
【0014】
上述の変性方法は、ホルムアルデヒドを放出することができる基を備える架橋性窒素化合物を使用することを備える。変性木材など、変性リグノセルロース産物の現在の要件は、高含有量の架橋性窒素化合物を同時に有するホルムアルデヒド放出の最も優れた回避である。しかし、化学組成のためにホルムアルデヒドを放出することにならない、またはごくわずかにしか放出することにならない代替の含浸剤は、所望の材料特性を生成することができない。ホルムアルデヒド放出を低減するために使用される架橋性窒素化合物の量の低減は、限定された程度までのみ可能であるが、その理由は、使用される最小限の量より下では、所望の性能特性はもはや得られないためである。さらに、多くの代替の含浸剤、ならびにその場合に必要となり得る殺菌剤および殺生物剤は、生態学的に考慮すると完全には無害ではない。
【0015】
驚くべきことに、ホルムアルデヒド放出と、含浸に使用される架橋性窒素化合物の量との好適な比を有するリグノセルロース材料は、リグノセルロース材料に架橋性窒素化合物の水溶液を含浸させ、含浸済みリグノセルロース材料がまず過熱水蒸気で処理され、続いて110℃を超える温度および低湿の周囲気体容積において処理される場合、続いて高温において架橋を実施することによって得られることが判明している。さらに、この方法により、窒素化合物の良好な固定が得られる。さらに、亀裂の形成も起きない。
【0016】
したがって、本発明の第1主題は、窒素として計算し、かつリグノセルロース材料の全質量に基づいて、少なくとも1質量%の成分量(N)の架橋形態で、架橋性窒素化合物、技術的にはホルムアルデヒド付加産物を架橋形態で備えるリグノセルロース材料であり、この場合、EN 717の第3部によるボトル法によって決定されるホルムアルデヒド放出(FA)と、窒素化合物(N)の成分量との比(FA/N)は、最大5.0×10-3の値、特に最大3.5×10-3の値、特に最高3.0×10-3の値を示す。
【0017】
本出願の文脈において、「窒素化合物、技術的にはホルムアルデヒド付加産物」という用語は、以下の全反応式に示されるように、NH基を有する化合物のNH基にホルムアルデヒドを追加することによって技術的に得ることができる化合物を意味すると理解されたい。
【0018】
RR’NH+HC=O→RR’N−CH2OH
これに関して、RR’NHは、NH基を有する化合物である。「窒素化合物、技術的にはホルムアルデヒド付加産物」は、ホルムアルデヒドとNH基を備える好適な化合物とを反応させることによって実際に得られる化合物、ならびにNH基を備える化合物とホルムアルデヒドの合成等価物とを反応させるによってなど、他の合成経路によって得られる化合物の両方とすることができるが、合成等価物は、同様に潜在的なホルムアルデヒド放出源となる。
【0019】
100gのリグノセルロース材料あたりのmg単位のホルムアルデヒド放出(FA)は、EN 717の第3部によるボトル法によって決定される。一般に、本発明によるリグノセルロース材料のホルムアルデヒド放出の値は、最大15mg/100g、好ましくは最大12mg/100g、特に好ましくは最大10mg/100g、とりわけ最大8mg/100gである。
【0020】
本発明による方法によって含浸されたリグノセルロース材料は、変性剤の非常に良好な固定を特徴とし、従来の変性材料と比較して、生物学的耐久性の向上を示す。一般に、本発明によるリグノセルロース材料は、73%を超える、しばしば78%を超える、とりわけ80%を超える、特に好ましくは85%を超える固定度を示す。「固定度」という用語は、もはや水で抽出することができない変性リグノセルロース材料に存在する窒素化合物の割合を意味すると理解されたい。抽出可能な割合は、温水で抽出する前および抽出した後の変性リグノセルロース材料の窒素含有量により決定される。これについて、変性リグノセルロース材料は、粉末を与えるように粉砕され、絶対乾燥され(「絶対」は、0%の水分量を意味すると理解される)、リグノセルロース材料の窒素含有量は、元素分析によって決定される。その後、粉末の試験試料は、80℃において16時間水で抽出され、ろ過され、再び絶対乾燥され、そのようにして得られた試験試料の窒素含有量は、元素分析によって決定される。変性されていないリグノセルロース材料自体は、検出可能な量の窒素を備えないので、抽出前の試験試料の窒素の値に基づく%単位の抽出可能な割合は、抽出前および抽出後の窒素含有量の差から直接得られる(方法A)。代替として、かつさらにより高い精度で、固定度、したがってもはや水で抽出することができない窒素含有量は、規格DIN EN84により決定することもできる。これについて、試験片は、まず、容器の脱イオン水において20分排出される。2時間後、初めて水交換をする。さらに24時間後、2回目の水交換を行う。合わせて、24時間の段階で水を9回交換する(週末を除く)。浸出後、試験試料を乾燥し、研削し、絶対乾燥し、そのようにして得られた試験試料の窒素含有量を元素分液によって決定する。固定度について上記で与えられた下限も、DIN IN84により測定された値について有効である。
【0021】
「リグノセルロース材料に分布した」という用語は、架橋窒素化合物がリグノセルロース材料の断面にわたってある程度一様に分布し、リグノセルロース材料の表面上においてのみ、または空洞においてのみ見られない訳ではないことを意味する。
【0022】
リグノセルロース材料の架橋性窒素化合物の量は、各場合に窒素として計算し、かつリグノセルロース材料の全質量に基づいて、本発明によれば、少なくとも1質量%、しばしば少なくとも1.5質量%、特に少なくとも1.8質量%、特に好ましくは少なくとも2.0質量%、とりわけ少なくとも2.3質量%以上である。架橋性窒素化合物の量は、各場合に窒素として計算し、かつリグノセルロース材料の全質量に基づいて、通常、1から25質量%、しばしば1.5から20質量%、特に1.8から18質量%、特に好ましくは2.0から15質量%、とりわけ2.3から12質量%である。窒素含有量は、元素分析によって決定することができる。
【0023】
木材の異なる密度のために、窒素化合物のより高い含有量は、一般に、マツ(マツ属種)、トウヒ、またはポプラなど、低密度、好ましくは少なくとも2.5質量%、特に少なくとも3質量%のタイプの木材で達成され、たとえば、2.5から20質量%、または3から15質量%の範囲である。ブナ、カエデ、またはトネリコなど、より大きな密度を有するタイプの木材では、窒素として計算し、かつリグノセルロース材料の全質量に基づく窒素化合物の含有量は、好ましくは1.8から15質量%、特に2から12質量%の範囲である。
【0024】
リグノセルロース材料の全容積に基づいて、窒素として計算した窒素化合物の含有量は、好ましくは少なくとも11kg/m3、特に少なくとも12kg/m3、とりわけ少なくとも13kg/m3であり、たとえば、11から120kg/m3、好ましくは12から100kg/m3、特に13から80kg/m3である。
【0025】
架橋性窒素化合物の含有量に関するすべての詳細は、変性リグノセルロース材料の全質量を基準とし、固体木製物品などの大きなサイズのリグノセルロース材料では、リグノセルロース材料の完全断面にわたって決定される、一般に少なくとも5つの個々の決定の平均値として理解されるべきである。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、本発明によるリグノセルロース材料の塩化物含有量は、リグノセルロース材料の全質量に基づいて、最大0.1質量%、特に最大0.05質量%、特に好ましくは最大0.01質量%である。硬化/架橋の触媒として、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化リチウム、および塩化アルミニウムなどの金属塩化物を使用することは、そのようなリグノセルロース材料の製造では回避されることが好ましい。
【0027】
本発明によるリグノセルロース材料は、mDMDHEUなど、アルコールで変性された窒素化合物が含浸の窒素化合物として使用されない場合でも、ホルムアルデヒドノ放出と、含浸に使用される窒素化合物の量との好適な比を示す。したがって、特定の実施形態は、C1−C6−アルカノール、C2−C6−ポリオール、またはオリゴアルキレングリコールで変性された1,3−ビス−(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(=変性DMDHEUまたはmDMDHEU)など、ホルムアルデヒド付加産物から導出された架橋形態の窒素化合物を備えないリグノセルロース材料である。
【0028】
窒素化合物として、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(DMDHEU)を架橋形態で排他的に備えるリグノセルロース材料が好ましい。
【0029】
他の同様の好ましい実施形態は、C1−C6−アルカノール、C2−C6−ポリオール、またはオリゴアルキレングリコールで変性されたホルムアルデヒド付加産物から導出された窒素化合物を架橋形態で備えるリグノセルロース材料に関する。ここで、架橋性化合物として、変性1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(=変性DMDHEUまたはmDMDHEU)の他に、変性メラミン−ホルムアルデヒド付加産物、たとえば、メラミンと、メラミンのモルあたり2から6、特に3から5モルのホルムアルデヒド、ならびにメラミンのモルあたり2から6、特に3から5モルのC1−C6−アルカノールおよび/またはC2−C6−ポリオール、特にメタノールなどのC1−C2−アルカノールとを反応させることによって得ることができる変性メラミン−ホルムアルデヒド付加産物を挙げることが可能である。これに関して、ホルムアルデヒドとアルコールとのモル比は、0.5:1から1:2の範囲であることが好ましい。
【0030】
上述の特性を有するリグノセルロース材料は、リグノセルロース材料に架橋性窒素化合物の水溶液を含浸させ、続いて過熱水蒸気で、かつ低湿度の周囲気体容積においてそれを処理することによって得ることができる。したがって、本発明のさらなる主題は、上述のリグノセルロース材料を製造方法であり、
a)i)少なくとも1つの架橋性窒素化合物およびii)架橋を触媒する少なくとも1つの物質を備える水性組成物をリグノセルロース材料に含浸させることと、
b)水を除去して、架橋性窒素化合物を架橋するために、含浸済みリグノセルロース材料を高温において処理することとを備え、
工程段階b)は、含浸済みリグノセルロース材料を過熱水蒸気で少なくとも1回処理することと、110℃を超える温度およびリグノセルロース材料を囲む最大20%の相対湿度の気体媒質において少なくとも1回その後処理することとを備える。
【0031】
すべてのリグノセルロース材料が、材料または構造組成物あるいは形式に関係なく、原則的には、本発明による方法において使用するのに好適である。これらはまた、すでに前処理されたリグノセルロース材料をも含むが、少なくとも1つの架橋性窒素化合物、および架橋を触媒する少なくとも1つの物質を備える水性組成物に含浸させることができ、かつ、含浸済みリグノセルロース材料が、その後架橋を受けることができることを条件とする。好適なリグノセルロース材料は、たとえば、木材、特に固体木材であるが、ベニヤ、ならびに、削りくず、繊維、またはストランドなど、木材ベース材料およびベニヤランバーを製造するための微細分割リグノセルロース材料でもある。
【0032】
微細分割リグノセルロース材料は、繊維、削りくず、ストランド、チップ、剥きくずなどを含む。「ベニヤ」という用語は、≦5mm、特に≦1mmの厚さを有する平坦で薄い木材材料を意味すると理解される。具体的には、1mmを超える、特に5>mm、とりわけ≧10mmの最小サイズを有する大きなサイズ部分、および固体木材で作成された特に大きなサイズ部分が、工程a)において含浸される。
【0033】
すべての木材タイプが、原則的には変性木材材料の製造に好適であり、乾燥質量の少なくとも30%、特に少なくとも50%の水を吸収することができるものが好ましく、DIN EN 350−2により、含浸性カテゴリ1および2に分類されるものが特に好ましい。これらは、たとえば、マツ(マツ属種)、トウヒ、ベイマツ、カラマツ、カサマツ、モミ、ベイモミ、ヒラヤマスギおよびヨ−ロッパハイマツなどの針葉樹の木材、ならびにたとえばカエデ、サトウカエデ、アカシア、アフリカスオウ、カバ、セイヨウナシ、ブナ、オーク、ハンノキ、アスペン、トネリコ、ナナカマド、ハシバミ、クマシデ、サクランボ、クリ、ライム、アメリカンウォールナット、ポプラ、オリーブ、ハリエンジュ、ニレ、クルミ、ゴム、ゼブラノ、ヤナギ、トルコカシなどの落葉樹の木材がある。安価な木材でも、含浸の結果として、極めて低い膨潤/収縮作用、高い強度、および良好な耐風化性など、含浸されない場合に熱帯林の木材によってのみ示される特性を付与されるので、本発明の特定の実施形態は、ブナ、トウヒ、マツ、カバ、ポプラ、トネリコ、およびカエデから選択される木材成分を有する変性木材または木材材料を使用する。
【0034】
本発明による方法はまた、木材以外のリグノセルロース材料、たとえばタケ、バガス、木綿の茎、ジュート、サイザル麻、ワラ、アマ、ココナツ繊維、バナナ繊維、アシ、たとえば、中国ススキ、ラミー、アサ、マニラアサ、アフリカハネガヤ(アルファグラス)、モミ穀から、およびコルクなどの天然繊維材料の含浸にも好適である。
【0035】
本発明による方法工程a)において使用される好適な架橋性窒素化合物は、
α)Rが、C1−C4−アルキル、または特に水素、適切であれば2つの窒素原子を架橋する1,2−ビスヒドロキシエタン−1,2−ジイル基である、化学式CH2ORの少なくとも1つ、特に少なくとも2つのN結合基を有する低分子量化合物V、
β)化合物Vの予備縮合物、および、
γ)化合物Vと、C1−C6−アルカノール、C2−C6−ポリオール、およびオリゴアルキレングリコールから選択される少なくとも1つのアルコールとの反応生成物または混合物である。
【0036】
工程a)においてリグノセルロース材料を含浸するために使用されるグループα)、β)、およびγ)の架橋性窒素化合物、すなわち化合物V、その予備縮合物およびその反応生成物は、一般に完全溶解形態で使用される水性組成物に存在する低分子量化合物または低分子量のオリゴマーであることが好ましい。架橋性化合物の分子量は、通常、400ダルトン未満である。架橋性窒素化合物は、これらの特性のために、木材の細胞壁の中に浸透することができ、硬化する際、細胞壁の機械的安定性を向上させ、かつ水によって生じる膨潤を低減することができると想定される。
【0037】
架橋性窒素化合物の例は、非限定的に、
・ 1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(DMDHEU)、
・ C1−C6−アルカノール、C2−C6−ポリオール、またはオリゴアルキレングリコールで変性された1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(変性DMDHEUまたはmDMDHEU)、
・ 1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ウレア、
・ 1,3−ビス(メトキシメチル)ウレア、
・ 1−ヒドロキシメチル−3−メチルウレア、
・ 1−ヒドロキシメチル−3−メチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、
・ 1−ヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、
・ 1,3−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾリジン−2−オン(ジメチロールエチレンウレア)、
・ 1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−ヘキサヒドロピリミジン−2−オン(ジメチロールプロピレンウレア)、
・ 1,3−ビス(メトキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(DMeDHEU)、
・ テトラ(ヒドロキシメチル)アセチレンジウレア、
・ 3回メチロール化されたメラミン(=2,4,6−トリス(N−ヒドロキシ−メチルアミノ)−1,3,5−トリアジン)など、少なくとも2、たとえば2、3、4、5、または6のN−ヒドロキシ−メチル基を有するポリ(ヒドロキシメチル)メラミンなどの低分子量メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(MF樹脂)、および、
・ C1−C6−アルカノール、C2−C6−ポリオール、またはオリゴアルキレングリコール(変性MF樹脂)で変性された少なくとも2、たとえば2、3、4、5、または6のN−ヒドロキシ−メチル基を有するポリ(ヒドロキシメチル)メラミンなどの低分子量メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(MF樹脂)、
ならびにその混合物である。
【0038】
架橋性窒素化合物の中で、特に化合物V(グループα)およびその予備縮合物(グループβ)が好ましい。これらの中で、グループα)の化合物、とりわけR=Hを有するものが、特に好ましい。
【0039】
化合物Vの中で、RがC1−C4−アルキル、または特に水素、適切であれば、2つの窒素原子を架橋する1,2−ビスヒドロキシ−エタン−1,2−ジイル基である、化学式CH2ORの少なくとも2つのN−結合基を有する低分子量化合物Vxが特に好ましい。
【0040】
化合物Vの中で、Rが上述の意味を有し、特に水素である、尿素単位の各窒素原子上で化学式CH2ORの基を担持する尿素および尿素誘導体(以下では化合物Vx1でもある)が好ましい。
【0041】
3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ウレア、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾリジン−2−オン、またはテトラ(ヒドロキシ−メチル)アセチレンジウレア、とりわけ1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシ−イミダゾリジン−2−オン(DMDHEU)が、特に好ましい。
【0042】
さらに、架橋性窒素化合物の中で、Rが上述の意味を有し、特に水素またはメチルである、平均して少なくとも2つのアミノ基の上、好ましくはメラミンの各アミノ基の上で化学式CH2ORの少なくとも1つの基を担持するメラミン化合物が好ましい。Rが、同一または異なるとすることができ、かつ水素またはC1−C4−アルキル、とりわけ水素またはメチルである、化学式CH2ORの2から6、特に3から5の基を有するメラミン化合物が特に好ましい。そのような化合物は、メラミンと、メラミン(R=H)の分子あたり2から6、特に3から5モルのホルムアルデヒド、適切であれば、メラミンのモルあたり2から6、特に3から5モルのC1−C4−アルカノール(R=C1−C4−アルキル)、特にメタノールなどのC1−C2−アルカノールとを反応させることによって得ることができる。
【0043】
本発明による方法工程a)において使用される好適な架橋性窒素化合物は、特にまた、
α)RがC1−C4−アルキル、または特に水素、適切であれば、2つの窒素原子を架橋する1,2−ビスヒドロキシエタン−1,2−ジイル基である、化学式CH2ORのN−結合基を有する低分子量化合物Vy、および、
γ)化合物Vyと、C1−C6−アルカノール、C2−C6−ポリオール、およびオリゴアルキレングリコールから選択される少なくとも1つのアルコールとの反応生成物または混合物でもある。
【0044】
好ましい化合物Vyは、Rが上述の意味を有し、特に水素である、尿素単位の窒素原子の上で化学式CH2ORの基を担持する尿素および尿素誘導体である(以下では化合物Vy1でもある)。好ましい化合物Vyの例は、特に、1−ヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、1−ヒドロキシメチルウレア、1−ヒドロキシメチルイミダゾリジン−2−オン、および1−ヒドロキシメチル−3−メチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、とりわけ1−ヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オンである。化合物Vyはまた、化合物Vx、その予備縮合物β、およびその反応生成物γとの混合物として使用することもできる。
【0045】
グループα)、β)、および/またはγ)の化合物と互いとの混合物も、架橋性窒素化合物として好適である。これらには、特に、尿素単位の一方または両方の窒素原子上で化学式CH2OR基を担持する上述の尿素誘導体Vx1および/またはVy1と、平均して少なくとも2つのアミノ基の上、好ましくはメラミンの各アミノ基の上で化学式CH2ORの少なくとも1つの基を担持するメラミン化合物との混合物がある。これらはまた特に、尿素誘導体Vx1と、化合物Vy、特に尿素単位の2つの窒素原子の一方の上で化学式CH2ORの基を担持する尿素誘導体Vy1との混合物がある。これらの混合物では、化合物Vx1もしくはVx1の予備縮合物またはVx1の反応生成物と化合物Vyとの質量比は、一般に、質量比が9:1から1:9、特に4:1から1:4、とりわけ1:2から2:1の範囲になるように選択される。
【0046】
グループα)、β)、および/またはγ)、特に基V、とりわけ基VxおよびVyから選択される少なくとも1つの化合物と、本質的には架橋性ではない少なくとも1つの窒素化合物との混合物も、架橋性窒素化合物としても好適である。これらには、少なくとも1つの遊離NH基を有する化合物V’、およびCH2OH基の形態では存在しない少なくとも1つのOH基を有する化合物V’’がある。これらの混合物では、グループα)、β)、および/またはγ)に関する好ましさは、上述の通りである。
【0047】
化合物V’では、NH基は、アミド基、特に尿素基の成分である。したがって、好ましい化合物V’は、アミド、特に、適切であれば2つの窒素原子の一方の上でRが上述の意味を有する、化学式CH2ORの基またはC1−C4−アルキル遊離基を担持することができる尿素誘導体である。
【0048】
好ましい化合物V’の例は、尿素、N−メチル−ウレア、エチレンウレア(イミダゾリン−2−オン)、プロピレンウレア、4,5−ビスヒドロキシイミダゾリン−2−オン、N−メチル−4,5−ビスヒドロキシイミダゾリン−2−オン、またはN−メチルイミダゾリン−2−オンなどの尿素化合物、およびアセトアミド、プロピオンアミド、ブチルアミド、ピロリドン、ピペリジン−2−オン、カプロラクタムなどのアミドである。
【0049】
このタイプの好ましい混合物の例は、
a)a1)Rが上述の意味を有し、特に水素またはメチルである、平均して少なくとも2つのアミノ基の上、好ましくはメラミンの各アミノ基の上で化学式CH2ORの少なくとも1つの基を担持するメラミン化合物、a2)尿素誘導体Vx1、およびa3)尿素誘導体Vy1から選択される少なくとも1つの架橋性窒素化合物と、
b)尿素、N−メチルウレア、エチレンウレア、(イミダゾリン−2−オン)、プロピレンウレア、4,5−ビスヒドロキシイミダゾリン−2−オン、およびN−メチル−4,5−ビスヒドロキシイミダゾリン−2−オンから選択される少なくとも1つの化合物V’との混合物である。
【0050】
少なくとも1つの架橋性窒素化合物(特に化合物V)と、少なくとも1つの化合物V’との混合物では、化合物VもしくはVの予備縮合物またはVの反応生成物と化合物V’との質量比は、一般に、CH2OR基と遊離NH基とのモル比が少なくとも1.1:1、特に少なくとも2:1、すなわちCH2OR基が過剰に存在するように選択される。モル比は、好ましくは1000:1から2:1、特に500:1から3:1、特に好ましくは300:1から5:1、とりわけ200:1から10:1の範囲である。少なくとも1つの化合物V’’を備える混合物を使用することにより、リグノセルロース材料において窒素化合物を固定することで、ごくわずかに不十分である、または全く不十分ではないホルムアルデヒドの放出値がさらに低減される。
【0051】
化合物V’’では、OH基は、ヘミアミナル基の成分であることが好ましく、その部分の窒素原子は、特に、アミド基または尿素基の成分である。したがって、好ましい化合物V’’は、アミド、特にアミドまたは尿素基の窒素原子の少なくとも1つの上において、OH基を担持するその部分の2次または3次炭素原子を担持する尿素誘導体である。
【0052】
好ましい化合物V’’の例は、4,5−ビスヒドロキシイミダゾリン−2−オン、N−メチル−4,5−ビスヒドロキシイミダゾリン−2−オン、1,3−ジメチル−4,5−ビスヒドロキシイミダゾリン−2−オンなどである。
【0053】
このタイプの好ましい化合物の例は、
a)a1)Rが上述の意味を有し、特に水素またはメチルである、メラミンの平均して少なくとも2つのアミノ基の上、好ましくは各アミノ基の上で化学式CH2ORの少なくとも1つの基を担持するメラミン化合物、a2)尿素誘導体Vx1、およびa3)尿素誘導体Vy1から選択される少なくとも1つの架橋性窒素化合物と、
b)4,5−ビスヒドロキシイミダゾリン−2−オン、N−メチル−4,5−ビスヒドロキシイミダゾリン−2−オン、および1,3−ジメチル−4,5−ビスヒドロキシ−イミダゾリン−2−オンから選択される少なくとも1つの化合物V’’との混合物である。
【0054】
少なくとも1つの架橋性窒素化合物(特に化合物V)と少なくとも1つの化合物V’との混合物では、化合物VもしくはVの予備縮合物またはVの反応生成物と化合物V’’との質量比は、一般に、質量比が9:1から1:9、特に4:1から1:4、とりわけ1:2から2:1の範囲であるように選択される。少なくとも1つの化合物V’’を備える混合物を使用することにより、リグノセルロース材料において窒素化合物を固定することで、ごくわずかに不十分である、または全く不十分ではないホルムアルデヒドの放出値がさらに低減される。特に、膨潤/収縮の作用は、悪影響を受けない。
【0055】
架橋性窒素化合物の他に、少なくとも化合物V’および化合物V’’の両方を備える混合物が、さらに有利である。架橋性窒素化合物Vならびに化合物V’およびV’’の好ましさに関して、上述のことが同様に適用可能である。これらの混合物では、化合物VもしくはVの予備縮合物またはVの反応生成物と、化合物V’およびV’’の全量との質量比は、一般に、質量比が、9:1から1:9、特に4:1から1:4、とりわけ1:2から2:1の範囲であるように選択される。
【0056】
化合物Vの水性組成物、その予備縮合物、およびその反応生成物は、たとえば、WO2004/033171、WO2004/033170、K.Fisher et al.,"Textile Auxiliaries−Finishing Agents,"Chapter7.2.2, in Ullmann’s Encyclopedia of IndustrialChemistry,5th ed. on CD−ROM,Wiley−VCH,Weinheim,1997、およびそこで引用された文献、米国特許第2731364号、米国特許第2930715号、H.Diem et al.,"Amino−Resins",Chapter7.2.1 and 7.2.2 in Ullmann’s Encyclopedia of IndustrialChemistry,5th ed.on CD−ROM,Wiley−VCH,Weinheim,1997およびそこで引用された文献、Houben−Weyl E20/3、pp.1811−1890からそれ自体既知であり、織物の仕上げについて架橋剤として従来使用されている。N−メチロール化尿素化合物Vと、アルコール、たとえば変性1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシ−イミダゾリジン−2−オン(mDMDHEU)との反応生成物は、たとえば、米国特許第4396391号およびWO98/29393から既知である。そうでない場合、化合物Vおよびその反応生成物および予備縮合物は、たとえばBASF Aktiengesellschaft社製の商品名Fixapret(登録商標)CPおよびFixapret(登録商標)ECOで、ならびにBASF社製の商品名Kauramin(登録商標)商標名(たとえば、Kauramin 650 Powder)およびLuwipal(登録商標)商標名で市販されている。化合物V、その予備縮合物、またはその反応生成物から選択される少なくとも1つの化合物と少なくとも1つの化合物V’および/またはV’’と混合物は、たとえば、化合物V、Vの予備縮合物、またはVの反応生成物の商用水性組成物に化合物V’またはV’’を組み込むことによって製造することができる。
【0057】
本発明の一実施形態において、架橋性窒素化合物は、C1−C6−アルカノール、C2−C6−ポリオール、および/またはポリアルキレングリコールで変性された1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(mDMDHEU)から選択される。アルキレングリコールの例は、特に、以下で述べるオリゴ−およびポリ−C2−C4−アルキレングリコールである。mDMDHEUは、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オンと、C1−C6−アルカノール、C2−C6−ポリオール、オリゴエチレングリコール、またはこれらのアルコールとの反応生成物に関する。好適なC1-6−アルカノールは、たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、およびn−ペンタノールであり、メタノールが好ましい。好適なポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、1,2−、1,3−、および1,4−ブチレングリコール、ならびにグリセロールである。好適なポリアルキレングリコールの例は、特に、以下で述べるオリゴ−およびポリ−C2−C4−アルキレングリコールである。mDMDHEUを製造するために、DMDHEUを、アルカノール、ポリオール、またはポリアルキレングリコールと混合する。これに関して、単価アルコール、ポリオール、またはオリゴ−またはポリアルキレングリコールが、一般にDMDHEUに基づいて、各場合に0.1から2.0、特に0.2から2のモル当量比において使用される。DMDHEU、ポリオール、またはポリアルキレングリコールの混合物は、一般に、好ましくは20から70℃の温度、および好ましくは1から2.5のpH値の水において反応され、pH値は、反応後、一般に4から8に調節される。
【0058】
本発明のさらなる実施形態において、工程a)において使用される架橋性窒素化合物は、少なくとも2回、たとえば2、3、4、5、または6回、特に3回メチロール化されたメラミン(ポリ(ヒドロキシメチル)メラミン)、およびC1−C6−アルカノール、C2−C6−ポリオール、および/またはポリアルキレングリコールで変性されたポリ(ヒドロキシメチル)メラミンから選択される。アルキレングリコールの例は、特に、以下で述べるオリゴ−およびポリ−C2−C4−アルキレングリコールである。変性に通常使用する水性組成物はまた、C1−C6−アルカノール、C2−C6−ポリオール、オリゴ−およびポリアルキレングリコール、あるいはこれらのアルコールの混合物など、上記のアルコールの1つまたは複数をも備えることができる。好適なC1-6−アルカノールは、たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、およびn−ペンタノールであり、メタノールが好ましい。好適なポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、1,2−、1,3−、および1,4−ブチレングリコール、ならびにグリセロールである。好適なオリゴ−およびポリアルキレングリコールは、特にオリゴ−およびポリ−C2−C4−アルキレングリコール、とりわけエチレン酸化物および/またはプロピレン酸化物のホモ−およびコオリゴマーであり、これは、1,3−ペロパンジオール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、およびペンタエリスリトールなどの少なくとも2つのOH基を有する脂肪族または脂環式のポリオール、ならびに、リビトール、アラビトール、キシリトール、ズルシトール、マンニトール、およびまたソルビトールなどのペンチトールおよびヘキシトール、およびイノシトーエル、あるいは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレン−ペンタミン、1,3−プロピレンジアミン、ジプロピレントリアミン、1,4,8−トリアザオクタン、1,5,8,12−テトラアザドデカン、ヘキサメチレンジアミン、ジヘキサメチレントリアミン、1,6−ビス(3−アミノプロピルアミノ)ヘキサン、N−メチルジプロピレントリアミンまたはポリエチレンイミンなどの少なくとも2つの−NH2基を有する脂肪族または脂環式のポリアミンなど、適切であれば低分子量の開始剤の存在下で得ることができ、これらの中で、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジ−、トリ−、およびテトラプロピレングリコール、ならびにBASF社製の低分子量Pluronic(登録商標)ブランド(たとえば、Pluronic(登録商標)PE3100、PE4300、PE4400、RPE1720、RPE1740)が好ましい。
【0059】
水性組成物における架橋性窒素化合物の濃度は、組成物の全質量に基づいて、通常は10から60質量%、しばしば15から60質量%、特に20から50質量%の範囲である。水性組成物が、上述のアルコールの1つを備える場合、その濃度は、好ましくは1から50質量%、特に5から40質量%である。架橋性化合物およびアルコールの総量は、通常、水性組成物の全質量の15から60質量%、特に20から50質量%になる。
【0060】
変性について工程a)において使用される水性組成物は、窒素化合物の架橋をもたらす少なくとも1つの触媒Kを備える。金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属リン酸塩、および金属テトラフルオロホウ酸塩の基由来の金属塩;三フッ化ホウ素;アンモニウムハロゲン化物、硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、およびリン酸二アンモニウムの基由来のアンモニウム塩;有機カルボン酸、有機スルホン酸;ホウ酸、リン酸、硫酸、および塩酸などの無機ブレンステッド酸が、触媒Kとして一般に好適である。
【0061】
触媒Kとして好適な金属塩の例は、特に、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化亜鉛、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸亜鉛、およびテトラフルオロホウ酸ナトリウムである。
【0062】
触媒Kとして好適なアンモニウム塩の例は、特に、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、およびリン酸二アンモニウムである。
【0063】
マレイン酸、ギ酸、クエン酸、酒石酸、およびシュウ酸などの水溶性有機カルボン酸、さらに、p−トルエンスルホン酸などのベンゼンスルホン酸、また塩酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、またはその混合物などの無機酸も、触媒Kとして特に好適である。
【0064】
触媒Kは、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、またはその混合物から選択されることが好ましく、塩化マグネシウムが特に好ましい。
【0065】
低塩化物リグノセルロース材料を製造する特定の実施形態において、塩化物を備えない触媒が使用される。
【0066】
触媒Kは、通常、変性方法の直前にのみ水性組成物に追加される。一般に、水性組成物に存在する硬化性成分の全質量に基づいて、1から20質量%、特に2から10質量%の量で使用される。水性分散液の全質量に基づく触媒の濃度は、一般に、0.1から10質量%、特に0.5から5質量%の範囲である。
【0067】
さらに、木材を変性させるために使用される組成物は、内容が本明細書において参照されているPCT/EP2006/004019(先行のドイツ特許出願102005020386.8)において開示されているように、たとえば染料または顔料などの着色剤、UV安定剤、酸化防止剤、殺菌剤、および/または殺虫剤など、1つまたは複数の効果物質を備えることができる。効果物質の濃度は、効果物質に応じて、組成物の質量に基づいて0.01から60質量%、特に0.1から25質量%の範囲である。
【0068】
さらに、工程a)においてリグノセルロース材料を含浸するために使用される組成物は、内容が本明細書において参照されているPCT/EP2006/004014およびPCT/EP2006/004016(先行のドイツ特許出願DE102005020389.2およびDE102005020390.6)において開示されているように、例えば、乳化形態または懸濁形態の少なくとも1つのワックスまたは少なくとも1つの油など、1つまたは複数の疎水性成分を備えることができる。疎水性成分の濃度は、通常、組成物の質量に基づいて0.01から60質量%、特に 0.1から25質量%の範囲である。
【0069】
含浸は、たとえば浸漬によって、適切であれば高圧と組み合わせて真空を加えることによって、または拡散、噴霧などの従来の適用方法によって、本質的には従来の方式で実施することができる。各場合に使用される含浸方法は、当然、含浸される材料の寸法に依存する。削りくずまたはストランド、およびまた薄いベニヤなどの小さい寸法を有するリグノセルロース材料、すなわち表面積対容積の大きな比を有する材料は、浸漬または噴霧などによって安価に含浸することができるが、より大きな寸法を有するリグノセルロース材料、特に、固体木材もしくは固体木材で作成された型など、5mmを超える最小限の程度を有する材料は、圧力または真空を加えることによって、特に高圧および真空を組み合わせて加えることによって含浸される。含浸は、15から50℃の範囲など、50℃を超えない温度において実施されることが有利である。
【0070】
含浸の条件は、一般に、吸収された水性組成物からの硬化性成分の量が、所望の窒素含有量に対応するように選択される。一般に、吸収される硬化性成分の量は、未処理の材料の乾燥質量に基づいて、少なくとも5質量%である。吸収される硬化性成分の量は、未処理の材料の乾燥質量に基づいて、最高で100質量%とすることができ、使用される未処理の材料の乾燥質量に基づいて、しばしば5から60質量%の範囲、好ましくは10から50質量%の範囲である。含浸に使用される未処理の材料の水分含有量は、リグノセルロース材料の寸法に依存し、たとえば、ベニヤおよび微粉材料などのサイズの小さい材料では最高で100%とすることができる。水分含有量は、リグノセルロース材料の繊維飽和より低いことが好ましい。水分含有量は、しばしば(特に固体木材などのより大きなサイズの材料では)1から50%の範囲、特に5から30%の範囲である。この場合および以下において、「水分含有量」という用語は、DIN 52183による「残留水分含有量」という用語と同義である。
【0071】
浸漬について、リグノセルロース材料は、適切であれば事前乾燥後、水性組成物を備える容器において浸漬される。浸漬は、数秒から24時間、特に1分から6時間の時間期間にわたって実施されることが好ましい。温度は、通常、15℃から50℃の範囲である。これを実施すると、リグノセルロース材料は、水性組成物を吸収し、木材材料によって吸収される非水性成分(すなわち、硬化性成分)の量は、水性組成物におけるこれらの成分の濃度によって、温度によって、および処理の所要時間によって制御することが可能である。実際に吸収される成分の量は、含浸された材料の質量の増大および水性組成物における成分の濃度により、簡単な方式で当業者によって決定および制御することができる。たとえば、ベニヤは、水性含浸組成物に存在するプレスロール、すなわちつや出し機を使用して事前にプレスすることができる。緩和の際に木材において生じる真空により、水性含浸組成物の吸収は加速される。
【0072】
含浸は、減圧および加圧を組み合わせて加えることによって実施されることが有利である。このために、一般に1%から100%の範囲の水分含有量を示すリグノセルロース材料は、まず、たとえば、しばしば10から500mbarの範囲、特に40から100mbarの範囲の減圧下において、水性組成物に浸漬することによって、水性組成物と接触される。所要時間は、通常、1分から5時間の範囲である。これに、たとえば2から20bar、特に4から15bar、とりわけ5から12barの範囲の加圧の段階が続く。この段階の所要時間は、通常、1分から12時間の範囲である。温度は、通常、15から50℃の範囲である。これを実施すると、リグノセルロース材料は、水性組成物を吸収し、木材材料によって吸収される非水性成分(すなわち、硬化性成分)の量を、水性組成物におけるこれらの成分の濃度によって、圧力によって、温度によって、および処理の所要時間によって制御することが可能である。実際に吸収される量は、リグノセルロース材料の質量の増大により計算することもできる。
【0073】
さらに、含浸は、噴霧または圧延あるいは拡散によってなど、液体を表面に加える従来の方法によって実施することができる。これに関して、12%から30%の範囲など、50%を超えない、特に30%を超えない水分含有量を有する材料が使用されることが有利である。加えることは、通常、15から50℃の範囲の温度において実施される。噴霧は、たとえばノズル構成などを使用して、平坦本体または微細分割本体の噴霧に好適なすべてのデバイスにおいて従来の方式で実施することができる。噴霧または圧延では、所望の量の水性組成物が、ロールまたはブラシで平坦材料に加えられる。
【0074】
工程b)においてリグノセルロース材料を処理する前に、工程a)において得られた含浸済みリグノセルロース材料を接着液体から機械的に遊離させることが可能である。
【0075】
方法工程a)において得られた含浸済みリグノセルロース材料を方法工程b)において処理することは、本発明によれば、以下において乾燥蒸気とも呼ばれる過熱水蒸気で処理することを備える。これらの用語は、毎回存在する圧力における蒸気の飽和温度より少なくとも5K、特に少なくとも10Kを超える温度を有する蒸気を意味すると理解されたい。
【0076】
過熱水蒸気を生成するために使用される水性液体は、水の他に、水混和性有機液体をも備えることができる。有機液体の割合は、一般に、10容量%を超えない。好適な水混和性液体は、C1−C8アルカノールなどのアルコールであり、たとえばエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールである。水が、過熱水蒸気を生成するために使用されることが好ましい。
【0077】
過熱水蒸気を処理するために、一般に、以下のユニットを備えるデバイスが使用される。
【0078】
・ 蒸気生成装置
・ 熱交換器
・ 処理チャンバー
・ 適切であれば、有機材料での充填を低減するために、処理チャンバーから生じる蒸気を後処理するためのユニット。
【0079】
過熱水蒸気は、この目的では既知の熱交換器で蒸気生成装置において生成することができる。さらに、湿潤蒸気、すなわち飽和蒸気を処理チャンバーの中に導入することができ、処理チャンバーに装備されている熱交換器を使用して湿潤蒸気を過熱する、すなわち過熱水蒸気に変換することができる。原油精製と統合された化学用地では、過熱水蒸気は、FCCプロセス、メタノール製造などの他のプロセスから入手可能である。
【0080】
蒸気が制御されずに逃げることを防止し、かつ蒸気を制御して除去することを可能にする、リグノセルロース材料を過熱水蒸気と有効に接触させることを可能にするすべての容器が、原則的には処理チャンバーとして好適である。これに関して、容器は、一般に、蒸気供給パイプおよび制御圧力補償デバイスを有する閉鎖容器である。これらは、蒸気過熱を使用して木材を乾燥するための当業者に既知のすべての容器を含む。繊維、削りくず、ストランド、チップ、剥きくずなど、微細分割リグノセルロース材料を処理するために、処理チャンバーは、リグノセルロース材料を完全に機械的に混合することを可能にするデバイスを示すことが可能である。これらは、たとえば、回転させることができる管状チャンバーを含む。ベニヤまたは固体木材で作成された部分など、平坦でサイズが大きなリグノセルロース材料の処理チャンバーは、チャンバーにおける材料の低接触または無接触の構成を可能にする内部付属具を設けることができる。チャンバーはまた、サイズの大きなリグノセルロース物品を歪ませずに固定することを可能にするデバイスをも示すことができる。さらに、チャンバーはまた、圧力または温度を調節するデバイス、ならびにチャンバーの圧力もしくは温度および/または蒸気の湿球温度もしくはリグノセルロース材料の水分含有量を監視するデバイスをも示すことができる。
【0081】
処理に使用される過熱水蒸気は、一般に、100℃を超える、しばしば少なくとも105℃、特に少なくとも110℃の温度を示す。温度は、一般に、200℃、特に180℃、特に好ましくは150℃を超えない。
【0082】
過熱水蒸気での処理中、チャンバーの温度は、一般に、過熱水蒸気の温度について与えられた範囲にある。処理中、周囲圧力における液体の沸点に対応し、したがって約100℃である湿球温度が維持されることが好ましい。
【0083】
好ましい実施形態において、過熱水蒸気は、処理チャンバー内においてその場で生成される。このために、リグノセルロース材料は、まず、チャンバーに充填され、その後、加熱段階中、チャンバーは、非過熱水蒸気(湿り蒸気)で満たされる。このために、チャンバーが加熱される際、相対空気湿度は、約100%において一定に維持される。約100℃の温度に到達した後、蒸気は、追加の熱エネルギーを供給することによってさらに加熱され、それにより過熱水蒸気が生成される。これらの条件下において、リグノセルロース材料に依然として存在する水は、気体状態に変換され、硬化/架橋の他に、湿気は、同時に、チャンバーとの圧力差の結果として、木材の内側から木材の表面に輸送される。その結果、乾燥方法は、一般に、従来の乾燥と比較してさらに短縮することができる。
【0084】
硬化/架橋の速度および乾燥の速度は、リグノセルロース材料に供給されるエネルギーによって決定される。このエネルギー供給は、とりわけ、処理されるリグノセルロース材料の温度と過熱水蒸気の温度との差によって決定される。そのような温度差は、リグノセルロース材料が、まだ蒸発していない水を依然として備える限り、常に現れる。乾燥段階中、最適な乾燥速度は、過熱水蒸気の温度により相応して調節することができる。
【0085】
処理に使用される過熱水蒸気は、0.9から5barの圧力を示すことが好ましく、特に3bar、特に好ましくは2barの圧力を超えない。
【0086】
工程b)における過熱水蒸気での処理の所要時間(過熱水蒸気での前処理を有する全所要時間)は、好ましくは1分から200時間、特に好ましくは5分から48時間の範囲である。ベニヤおよび微細分割リグノセルロース材料では、かなりより高い温度およびより短い時間を使用することができる。
【0087】
過熱水蒸気での処理は、リグノセルロース材料の残留湿気が、2から10%、特に3から8%、とりわけ約4から7%など、10%を超えない、特に8%を超えない、とりわけ7%を超えないようになるまで長時間実施されることが好ましい。残留湿気は、導電率測定により従来のように決定することができる。
【0088】
過熱水蒸気の使用は、従来の方法と比較して以下の利点を示す。
【0089】
・ 得られたリグノセルロース材料は、高い固定度を特徴とする。
【0090】
・ 過熱水蒸気により、リグノセルロース材料の架橋/乾燥の高エネルギー歩留まりが可能になり、これは、本発明による方法の追加のエネルギー消費工程と統合されたエネルギー・システム(たとえば、過熱水蒸気の実際の生成または追加の乾燥の前に熱交換器において新鮮な水を加熱すること)または他の方法を使用することによって、さらに増大させることができる。
【0091】
・ 閉じた乾燥回路により、排出気体の有効な処理および環境汚染の低減が可能になる。
【0092】
方法工程a)において得られた含浸済みリグノセルロース材料の処理工程b)における処理は、過熱水蒸気での処理に続く低湿度の周囲気体容積における少なくとも1回の処理(=乾燥処理)をさらに備える。
【0093】
乾燥処理の温度は、たとえば>120℃から200℃の範囲、特に130℃から160℃の範囲など、しばしば120℃を超え、好ましくは130℃を超える。たとえば、120℃から200℃、特に130から160℃にわたることがある温度プロファイルを課すことによる温度勾配の使用も好適である。この乾燥処理は、乾燥および/または硬化を支持するように作用する。過熱水蒸気処理と乾燥処理を本発明により組み合わせることによって、窒素の充填レベルが高い場合でも、本発明による低ホルムアルデヒド放出を有するリグノセルロース材料が得られることが判明している。
【0094】
乾燥処理は、最大15%、特に好ましくは最大5%の相対湿度を示す気体媒質とリグノセルロース材料を接触させることによって実施されることが好ましい。リグノセルロース材料は、空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの不活性気体、およびその混合物から選択される気体媒質と接触されることが好ましい。空気を使用することが特に好ましい。
【0095】
乾燥処理の所要時間は、一般に、乾燥処理の終了後のリグノセルロース材料の残留湿気が、1から8%などの8%未満、特に1から6%など、の6%を超えない、とりわけ1から5%のなど5%を超えないように選択される。所要時間は、通常、1分から24時間、特に好ましくは5分から12時間の範囲である。
【0096】
乾燥処理は、過熱水蒸気での処理に続いて本発明により実施される。第1実施形態によれば、このために、過熱水蒸気での処理は、まず、所望の残留水分含有量が達成されるまで、上述のように実施され、その後、上述の乾燥処理が実施される。追加の実施形態において、乾燥処理は、過熱水蒸気での処理と共に断続的に実施される。このために、リグノセルロース材料は、上述の過熱水蒸気および低相対湿度を有する気体媒質での処理を交互に(パルス方式で)受けることができる。過熱水蒸気とそれとは異なる気体媒質との間の交代は、たとえば、従来の新鮮な空気−流出空気システムを使用して実施することができる。
【0097】
さらに、工程b)において、過熱水蒸気で処理する前に、事前乾燥を実施することができる。「事前乾燥」という用語は、リグノセルロース材料が、材料のタイプに応じていくらか異なることがあり、かつ通常約30質量%である繊維飽和点より低く乾燥されることを意味する。これに関して、含浸済みリグノセルロース材料は、工程a)において使用された水性組成物の揮発性成分から、特に水および/または硬化/架橋において反応しない過剰有機溶媒から、少なくとも部分的に遊離する。さらに、事前乾燥は、亀裂の危険性も打ち消す。事前乾燥は、ベニヤなど、特に小規模の材料および物品では省略することができる。しかし、相対的に大きなサイズのリグノセルロース本体では、事前乾燥が有利である可能性がある。別の事前乾燥が実施される場合、これは、20から80℃の範囲の温度において実施されることが有利である。選択された温度に応じて、組成物に存在する硬化性成分の部分的なまたは完全な硬化/架橋が、過熱水蒸気で処理する前の処理においてすでに行われることが可能である。過熱水蒸気で処理する前に、硬化/架橋が行われない、または部分的にのみ行われることが好ましい。前処理は、前処理後のリグノセルロース材料の水分含有量が、乾燥質量に基づいて、30%を超えない、特に20%を超えないように実施されることが好ましい。水分含有量は、事前乾燥において選択された圧力、温度、および所要時間によって簡単に制御することができ、導電率測定により従来のように決定することができる。
【0098】
リグノセルロース材料の事前乾燥は、回転ドライヤなど、従来の新鮮な空気−流出空気システムにおいて実施することができる。
【0099】
リグノセルロース材料の事前乾燥および/または乾燥処理は、過熱水蒸気での処理と同じデバイスにおいて実施されることが好ましい。
【0100】
リグノセルロース材料は、工程a)の含浸に続いて、かつ工程b)の最中または工程b)に続いて、さらなる処理を受けることができる。微粉材料の場合、たとえば、OSBボード(配向構造ボード)、パーティクルボード、ウエハーボード、OSL(配向ストランドランバー)ボードおよびOSL型、PSL(平行ストランドランバー)ボードおよびPSL型、構造化ストランドランバーで作成されたボードおよび型、SCL(構造複合ランバー)型およびSCL板、LSL(積層ストランドランバー)型およびLSL板、断熱板ならびに中密度(MDF)および高密度(HDF)ファイバーボードなど、型を与えるように、またベニヤの場合は、ベニヤ化OSB、SCL、OSL、およびPSLボードを含むベニヤ化ファイバーボード、ベニヤ化ブロックボード、ベニヤ化パーティクルボード、合板、接着木材、積層木材、ベニヤ化積層木材(たとえば、Kerto積層木材)、多重ボード、および積層ベニヤランバー(LVL)などのベニヤランバーであるが、積層木材型、合板型、および少なくとも1つのベニヤ層で積層されたあらゆる他の型などの非平面3次元形状構成要素をも与えるように、さらなる処理を実施することが可能である。さらなる処理は、工程a)の含浸直後、または工程b)の最中もしくは工程b)に続いて実施することができる。ベニヤおよび木材ベース材料では、さらなる処理は、硬化および接着結合または成形の他に、接着結合段階をも備える。これらの詳細について、PCT/EP2006/001980(先行のドイツ特許出願102005010041.4)(ベニヤランバー)の内容およびPCT/EP2006/001979(先行のドイツ特許出願102005010042.2)(木材ベース材料)の内容を参照することが可能である。含浸済みベニヤの場合、さらなる処理は、硬化工程の前に、または硬化工程と共に実施されることが有利である。微粉材料で作成された木材ベース材料では、成形工程および硬化工程は、しばしば同時に実施される。
【0101】
本発明による方法により得られた変性リグノセルロース材料、特にそのような方式で変性された木材材料を使用することにより、機械的強度が向上し、かつ耐風化性が向上し、特に木材材料から製造される領域において亀裂が形成されることが減少し、かつ木材破壊真菌などの木材損傷有機物による感染に対するこれらの領域の感受性が低減された物体を製造することが可能になる。
【0102】
本発明による、かつ本発明による方法により得ることが可能なリグノセルロース材料、およびそれから製造される物体は、内容が本明細書において参照されるPCT/EP2006/004020(先行のドイツ特許出願DE102005020387.6)において開示されているように、ワニス、上薬、または染色剤など、従来のコ−ティングを示すことができる。
【0103】
変性木材材料は、少なくとも1つの部分が変性木材材料から製造される互いに接続された、いくつかの部分から製造された物体の製造に特に好適であるが、その理由は、変性木材の膨潤/収縮率が減少するために、様々な部分間の接合がより安定になり、天候の影響下で、低減した機械的応力を受けにくくなり、かつ機能をより良好に維持することができるためである。これは、特に、変性木材材料から製造された部分が、互いに、または他の材料で作成された部分に対して、少なくとも部分的に摩擦ロックされる場合に有効である。本発明により木材材料が膨潤/収縮する傾向が低減されることにより、さらに、耐風化性の木製物体を製造することが初めて可能になり、異なる膨潤/収縮作用を有するいくつかのタイプの木材が、摩擦構成要素での非摩擦接合を含めて、接着結合または摩擦接合などの一体式接合により互いに接続され、たとえば、かみ合わせ継ぎ、ほぞ継ぎ、溝継ぎおよびタング接ぎを含む釘継ぎまたはねじ接ぎ、だぼ継ぎ、あり継ぎ、あるいは他の機械的接合により互いに接続されるが、その理由は、膨潤/収縮作用の等化が、本発明による処理によって達成されるためである。
【0104】
変性木材材料は、厚板、丸太、丸木、梁など、特に固体木材、すなわちセンチメートルまたはメートルの領域のサイズを有する大きなサイズの材料である。
【0105】
上記ですでに説明されたように、本発明による変性木材材料は、少なくとも1つの変性木材材料から製造される互いに接続された、いくつかの部分を備える物体の製造に特に好適である。これらは、物体の少なくとも2つの部分が摩擦ロックされる物体の製造に特に好適であるおり、摩擦ロックされた部分の少なくとも1つの部分は、変性木材材料から製造される。
【0106】
湿気の影響に対する不感受性のために、本発明はまた、湿気または風化の条件を受ける物体を製造するために変性木材材料を使用することにも特に関する。湿気の影響は、たとえば、物体が、浴室、室内水泳プール、サウナ、洗濯室、船の内部など、湿気にさらされる場所において見られる場合、高い空気湿度との接触とすることができる。また、物体が、室外で高い空気湿度にさらされる場合でもある。湿気との接触はまた、たとえば、雨の作用による、川もしくは海の水、水力光学大型建造物、または船舶との接触による液体の水または停滞湿気との接触とすることもできる。
【0107】
物体は、木材材料で作成された物体の製造を類推することによって、本質的に既知の方式で製造することができる。製造は、のこ挽き、切断、平削り、摩砕、研削、穴あけ、ねじ止め、釘止め、接着結合、積層化など、通常の木材処理作用を備える。一般に、物体を製造する開始材料は、すでに変性された木材材料である。しかしまた、まず未変性木材材料から物体を製造し、その後、上述のように木製成分を変性させることも可能である。
【0108】
本発明の第1実施形態において、変性木材材料は、床材の製造に使用される。このために、天候に暴露される装飾表面が本発明による変性ベニヤ化積層木材層で作成されるこのベニヤランバーがしばしば使用される。この例は、ストリップパーケット、固体木材パーケット、モザイクパーケット、産業用パーケット、2層または3層敷設準備パーケットなどの敷設準備パーケット、ベニヤ床、ならびに領域弾性スポーツ床および点弾性スポーツ床などのスポーツ床、またスプリング床を含めて、寄木張りである。本発明による変性木材材料はまた、厚板パーケット、テラス床材などの製造にも好適である。本発明による木材材料はまた、薄板の製造にも好適であるおり、これに関して、本発明による変性木材材料は、一般に、薄板の高密度化木材層を形成する。
【0109】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、互いに接続された少なくとも2つの木材部品、特に接着結合された木材部品からなる木製物体、特に床材に関し、木材の部品は、同一または異なるとすることが可能である。本発明の特定の実施形態は、屋外で使用され、および湿気にさらされて使用される床材に関する。屋外で使用され、および湿気にさらされて使用される従来の床材は、通常、床材を含むボード、および表面構造がしばしば依然として設けられる硬材から製造された厚板である。これらの床材は、一般に、硬材の価格が高いために、非常に高価である。耐風化性または耐湿性は、常に十分であるとは限らない。本発明による木材材料により、マツ、トウヒ、ブナ、ポプラなどの安価な木材からでも耐久性の高い床材を準備することが可能になる。特に、本発明による木材材料により、本発明による第1木材材料から作成された裏打ち、および特に接着結合によって支持材と接続された第2木材材料から作成された表面層または磨耗表面を示す床材を準備することが可能になる。裏打ちの材料は、安価なタイプの木材、特に安価な固体木材、作成された本発明による木材材料が好ましく、たとえば本発明により処理されたマツ材である。磨耗表面の木材材料も同様に、本発明による木材材料、好ましくは装飾的な外見を有する本発明による木材材料、たとえば本発明により処理されたブナである。しかし、磨耗表面はまた、未処理の硬材、または本発明により処理された硬材、たとえば、アンゲリン、バンキライ、エッキ、ビリンガ、クマル、ベイマツ、ユーカリ、ソラマメ、ガラッパ、イペ、イロコ、イタウバ、ジャトバ、カウリ、リンバリ、アカマツ、ムクルング、オーカン、ピキア、ハリエンジュ、タリ、タタジュバ、トラド、またはチークなど、耐久性のカテゴリが1または1の硬材からなることができる。磨耗表面は、通常、1から10mmなど、少なくとも1mm、特に2から8mmの強度(厚さ)を示す。磨耗表面は、溝付きプロファイルなどのプロファイルを示すことがある。裏打ちの強度は、当然、所望の使用およびこのために必要な強度に依存する。通常、5から100mm、特に10から50mmの範囲である。床材は、ボード、パネルボード、床ボード、厚板、または格子の形態を有することができる。床材は、溝継ぎおよびタング接ぎ、つめ継ぎなど、床材の個々の要素を接続する手段を示すことができる。そのような床材は、通常、上に配置された裏打ちおよび磨耗表面を示す木材層の接着結合について既知の方法と同様に、たとえば積層化木材を準備する方法、もしくは屋内で使用される床材を準備する方法と同様に、裏打ちを磨耗表面に結合することによって準備される。具体的には、準備は、PCT/EP2006/001980に記載された方法と同様に実施することができ、本発明により処理された木材材料は、そこで記述された方法とは異なる方式で互いに接着結合される。
【0110】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、たとえば室内ドア、また玄関ドアのドアおよびドア枠を製造するために使用される。変性木材材料は、開き戸自体、および、たとえば開き戸の内部構造用の固体木材ボードもしくは木材ベース材料ボードの形態、または開き戸上の装飾層用のベニヤの形態にある開き戸の部分の両方に使用することができる。
【0111】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、窓枠および/または窓の側面など、窓を製造するために使用される。窓枠および窓の側面は、同じ木材から製造することができるが、異なるタイプの木材から製造することもできる。木材以外の材料から窓枠を製造すること、および本発明により変性された木材材料から窓の側面のみを製造することが同様に可能である。本発明により変性された木材材料はまた、窓台の製造に使用することもできる。
【0112】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、家具、特に木材または木材材料から通常製造されるその家具の1つまたは複数の部分を製造するために使用される。これらには、クローゼットまたは本体などのクローゼットの部分、ドアもしくは床、棚、寝台架、スレート枠、ソファ枠、椅子、テーブルまたはテーブル台、テーブル上部などの家具のこれらの項目の部分、調理台、特に台所の調理台、浴室家具などがある。本発明による変性木材材料は、特に、湿気または天候により大いにさらされる家具、たとえば台所の家具または浴室の家具の製造、あるいは庭の家具、公園のベンチ、スタジアムのシートなどの製造に好適である。
【0113】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、たとえば、堤防の強化、ロック、特にロックゲート、水車、プラットフォーム、浮橋、桟橋、ならびに水中および水上の他の構造物などの水力光学構造など、水力光学用の物体の製造に使用される。
【0114】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、建物または建物の部分の構築に使用される。これには、すでに述べられた窓の構築の他に、特に、木造家屋の構築、枠組みの構築、屋根構築物の構築、柱および梁を構築する建築物の構築、橋、展望台、または簡易車庫の構築、ならびに中庭、バルコニー、バルコニーの手すり、屋根窓などの建築物の部分のための木造形態における変性木材の使用がある。これは、さらに、たとえば金属階段構築物の木製階段の階段を含む階段、また完全に木材材料から製造された階段および手すりの構築に変性木材材料を使用することを含む。
【0115】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、外観を構築するために使用される。これに関して、変性木材材料は、外観準構築物の構成要素とすることができ、また、変性木材材料で作成された外観パネル、変性木材材料で作成された外観ボード、変性木材材料で作成された屋根板などの形態にある外観の可視部分を形成することができる。
【0116】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、たとえばパネル、溝付きおよびタング付きボード、パネル木材天井、またつり天井、柱および梁構築物の可動壁または壁構成要素、天井裏張りおよび壁裏張りでもある、壁構成要素および天井構成要素を製造するために使用される。ボードの形態にある微粉材料に基づく木材ベース材料は、これに特に好適である。たとえば、OSBボード、パーティクルボード、OSLボード、PSLボード、断熱板、ならびに中密度(MDF)および高密度(HDF)ファイバーボードなど、ならびにまた、ベニヤ化OSLおよびPSLボード、合板、接着木材、積層木材、またはベニヤ化積層木材(たとえば、Kerto積層木材)を含む、ベニヤ化ファイバーボード、ベニヤ化ブロックボード、ベニヤ化パーティクルボードなどのベニヤランバーが好適である。
【0117】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、たとえば、フェンス、杭、サイトスクリ−ン構成要素、別荘、パーゴラ、鳥類舎などの製造など、庭の構築に使用される。
【0118】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、ジャングルジム、ぶらんこ、特にブランコの支持枠組みおよびブランコのシート、ジャングルジム、ブランコ、および/またはすべり台用の装置を有する遊び場、ロープウェイの支持枠組みなど、屋外用の遊具の品目を製造するために使用される。
【0119】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、包丁立、パン入れ、木製ボール、浴槽、ブラシなどの浴室機器など、さらにまな板、料理スプーン、フライ返し、麺棒、サラダ・サーバ、麺フォークなどの調理器具など、家庭用の物品を製造するために使用される。
【0120】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、厚板材、リブおよびキール、エンジン台、マスト、スパーなどの静索、上部構造、木甲板、および格子、クリート、船舶の車輪、制御パネルなどの他の外部設備などの船殻の構築、ならびに食器棚、寝台備品、船室の壁およびドア、カウリング、昇降階段、梯子などの舟の内部備品の両方について、ボートの構築に使用される。
【0121】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、壁、ドア、ベンチ、オーブン外装材など、サウナの構築に使用される。
【0122】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、乗員区画または荷物トランク、およびエンジン区画裏張りの内装、ならびにまたエンジン区画および荷物トランクなどの絶縁、また計器盤、木材装飾についてなど、車両の構築に使用される。
【0123】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、建築レンガ、回転ボール、おもちゃの家および人形の家、人形の台所などの玩具構成、おもちゃの車、飛行機、および船などのおもちゃの製造、模型の車、飛行機、および船、バット、ラケット枠などの遊戯用具の品目の構築などの模型の構築に使用される。
【0124】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、楽器の製造、特に、ギター、リュート、ハープ、バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、またはブリッジ、共鳴箱、スクロール、もしくは調律ペグなどのその部分など、弦楽器の構築、さらに、クラリネット、オーボエ、ファゴット、リコーダなどの木管楽器の構築、あるいは、オルガン、特に木製パイプの構築、ならびにピアノおよびグランドピアノの構築に使用される。
【0125】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、スポーツ機器、特に、木材または木材材料から通常製造されるスポーツ機器の製造に使用されるが、その強度および硬度の欠如のために木材がこれまで使用されてこなかったスポーツ機器の製造にも使用される。例として、ホッケーおよびアイスホッケーのスティックなどのバット、槍投げおよび円盤投げなどの投射機器、スカル用ボート、カヤック、一人用スカル、カナディアンカヌーなどのスポーツ用漕艇を構築するためのオールおよびスカルを挙げることが可能である。
【0126】
本発明のさらなる実施形態において、変性木材材料は、ハウジングの部品を含むハウジングの製造、機械、電気器具などに使用される。
【0127】
本発明により変性木材材料の強度が向上したために、多くの場合に材料の消費が低減されることにより、質量の節約を達成することが可能である。さらに、物体は、天候の影響および湿気の影響をはるかに受けにくい。低膨潤および低収縮の結果である高い寸法安定性、ならびに相応して達成することができる製作公差により、変性木材材料は、これまで木材を使用することができなかった物体の製造にも使用することができる。
【0128】
以下の例は、本発明を例示するために役立つ。述べられる固定の程度は、特に断りのない限り、上述の方法Aにより決定した。
【0129】
比較例1
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシ−イミダゾリジン−2−オン(DMDHEU)の商用水性組成物を水で30質量%の濃度まで希釈し、15g/kgのMgC12・6H2Oと混合した。そのようにして得た溶液を以下の実験において含浸剤として使用した。
【0130】
絶対乾燥させた2.5cm×2.5cm×2.5cmの寸法を有するマツ辺材の立方体を含浸プラントに導入した。含浸プラントを40mbar絶対真空に30分さらした。その後、50mbar絶対真空を維持しながら、含浸剤を含浸プラントの中に流した。その後、10barの圧力を2時間加えた。圧力段階を終了し、残留液体を除去した。
【0131】
次いで、温度および湿度を制御することができる乾燥室においてマツ材の立方体を貯蔵した。チャンバーを95℃および相対空気湿度ca.100%にした。これらの湿度条件を48時間維持した。
【0132】
その後、マツ材の立方体を40℃において72時間乾燥した。そのようにして得たマツ材の立方体は、4.00g/100gマツ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、62.2mg/100gマツ材であった。比FA/Nは、対応して15.5×10-3であった。固定度は、24%であった。
【0133】
比較例2(過熱水蒸気処理)
ca.12%の木材水分含有量まで乾燥させた250cm× 10cm×3.5cmの寸法を有するマツ材の厚板を、含浸プラントの中に導入した。含浸プラントを40mbar絶対真空に30分さらした。その後、50mbar絶対真空を維持しながら、比較例1の含浸剤を含浸プラントの中に流した。その後、12barの圧力を2時間加えた。圧力段階を終了し、残留液体を除去した。
【0134】
次いで、温度および湿度を制御することができる乾燥チャンバーにおいてマツ材の厚板を貯蔵し、整経が不可能なように迅速に設置した。100%の相対湿度を維持しながら、チャンバーを100℃にした。その後、チャンバーを閉鎖し、100℃の湿球温度を維持しながら、120℃の乾球温度に加熱した。木材の全断面にわたり約8%の均一な木材水分含有量を得るまで、これらの条件を維持した。その後、過熱水蒸気を取り出し、新鮮な空気と置き換え、それによりチャンバーの温度を80℃に下げた。次いで、チャンバーの温度を50℃に下げ、水を噴霧することによって、相対空気湿度を50%に調節した。木材を調整するために、これらの条件を6から10時間維持した。
【0135】
そのようにして得たマツ材厚板は、3.17g/100gマツ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、26.4mg/100gマツ材であった。比FA/Nは、対応して8.33×10-3であった。固定度は、73%であった。
【0136】
実施例1(過熱水蒸気処理+乾燥加熱;マツ材)
ca.12%の木材水分含有量まで乾燥させた250cm×10cm×3.5cmの寸法を有するマツ材厚板を、比較例1の含浸剤で比較例2と同様に含浸した。
【0137】
次いで、温度および湿度を制御することができる乾燥チャンバーにおいてマツ材の厚板を貯蔵し、整経が不可能なように迅速に設置した。100%の相対湿度を維持しながら、チャンバーを100℃にした。その後、チャンバーを閉鎖し、100℃の湿球温度を維持しながら、120℃の乾球温度に加熱した。木材の全断面にわたって約8%の均一な木材水分含有量を得るまで、これらの条件を維持した。次いで、100℃の蒸気の湿球温度を維持しながら、チャンバーを5K/hの加熱率で130℃の乾燥温度に加熱した。木材の全断面にわたって約6%の均一な木材水分含有量を得るまで、これらの条件を維持した。その後、過熱水蒸気を取り出し、130℃の温度を維持しながら、新鮮な空気によって置き換え、これにより、相対空気湿度を10%未満に下げた。木材の全断面にわたって約4%の均一な木材水分含有量を得るまで、これらの条件を維持した。その後、新鮮な空気を吹き込むことによって、チャンバーの温度を80℃に下げた。次いで、チャンバー温度を50℃に下げ、水を噴霧することで、相対空気湿度を50%に調節した。木材を調整するために、これらの条件を6から10時間維持した。
【0138】
そのようにして得たマツ材厚板は、3.17g/100gマツ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、12.8mg/100gマツ材であった。比FA/Nは、対応して4.04×10-3であった。固定度は、84%(またはDIN EN 84によれば96%)であった。
【0139】
実施例2(過熱水蒸気処理+乾燥加熱;ブナ材)
ca.12%の木材水分含有量まで乾燥させた50cm×10cm×3.5cmの寸法を有するブナ材厚板を、比較例1の含浸剤で比較例2と同様に含浸し、その後、連続して過熱水蒸気で処理し、実施例1の指示による乾燥条件下において加熱した。
【0140】
そのようにして得たブナ材厚板は、2.20g/100gブナ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、8.9mg/100gブナ材であった。比FA/Nは、対応して4.05×10-3であった。固定度は、81%(またはDIN EN 84によれば95%)であった。
【0141】
実施例3(過熱水蒸気処理+乾燥加熱;ブナ材)
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(DMDHEU)の商用水性組成物を水で50質量%の濃度に希釈し、25g/kgのMgCl2・6H2Oと混合した。そのようにして得た溶液を以下の実験において含浸剤として使用した。
【0142】
ca.12%の木材水分含有量まで乾燥させた50cm×10cm×3.5cmの寸法を有するブナ厚板を、含浸剤で比較例2と同様に含浸し、その後、連続して過熱水蒸気で処理し、実施例1の指示による乾燥条件下において加熱した。
【0143】
そのようにして得たブナ材厚板は、3.75g/100gブナ材の窒素含有量Nを示した。EN 717,part3によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、6.1mg/100gブナ材であった。比FA/Nはは、対応して1.63×10-3であった。固定度は、86%(またはDIN EN84によれば97%)であった。
【0144】
実施例4
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(DMDHEU)の商用水性組成物を尿素で処理し、DMDHEUの濃度が15質量%であり、尿素の濃度が7.5質量%であるように、水で希釈した。その溶液を15g/kgのMgCl2・6H2Oと混合した。そのようにして得た溶液を以下の実験において含浸剤として使用した。
【0145】
ca.12%の木材水分含有量まで乾燥させた250cm×10cm×3.5cmの寸法を有するマツ厚板を、含浸剤で比較例2と同様に含浸し、その後、連続して過熱水蒸気で処理し、実施例1の指示による乾燥条件下において加熱した。
【0146】
そのようにして得たマツ材厚板は、5.4g/100gマツ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、1.6mg/100gマツ材であった。比FA/Nは、対応して0.25×10-3であった。固定度は、30%(またはDIN EN84によれば40%)であった。
【0147】
実施例5
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(DMDHEU)の商用水性組成物を、エチレン尿素で処理し、DMDHEUの濃度が15質量%であり、エチレン尿素の濃度が7.5質量%であるように、水で希釈した。溶液を15g/kgのMgCl2・6H2Oと混合した。そのようにして得た溶液を以下の実験において含浸剤として使用した。
【0148】
ca.12%の木材水分含有量まで乾燥させた250cm×10cm×3.5cmの寸法を有するマツ材厚板を、含浸剤で比較例2と同様に含浸し、その後、連続して過熱水蒸気で処理し、実施例1の指示による乾燥条件下において加熱した。
【0149】
そのようにして得たマツ材厚板は、4.5g/100gマツ材の窒素含有量Nを示した。EN 717,part3によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、3.8mg/100gマツ材であった。比FA/Nは、対応して0.84×10-3であった。固定度は、51%(またはDIN EN84によれば75%)であった。
【0150】
実施例6
4kgの1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(40質量%)の商用水性組成物を、ホルムアルデヒドを含むメラミンおよびメタノールとの反応生成物の(モル比1:4:4)2kgの商用70質量%水性溶液、ならびに200gのMgCl2・6H2Oと混合し、3.7kgの水で希釈した。そのようにして得た溶液を以下の実験において含浸剤として使用した。
【0151】
絶対乾燥した2.5cm×2.5cm×2.5cmの寸法を有するマツ辺材の立方体を、含浸プラントの中に導入した。含浸プラントを40mbar絶対真空に30分さらした。その後、50mbar絶対真空を維持しながら、含浸剤を含浸プラントの中に流した。その後、10barの圧力を2時間加えた。圧力段階を終了し、残留液体を除去した。
【0152】
次いで、温度および湿度を制御することができる乾燥チャンバーにおいて木材サンプルを貯蔵した。100%の相対湿度を維持しながら、チャンバーを100℃にした。その後、チャンバーを閉鎖し、100℃の湿球温度を維持しながら、120℃の乾球温度に加熱した。約8%の均一な木材水分含有量を得るまで、これらの条件を維持した。その後、100℃の湿球温度を維持しながら、チャンバーを130℃の5K/hの加熱速度を有する乾球温度に加熱した。約6%の均一な木材水分含有量を得るまで、これらの条件を維持した。その後、過熱水蒸気を取り出し、130℃の温度を維持しながら、新鮮な空気によって置き換え、これにより、相対空気湿度を10%未満に下げた。約4%の均一な木材水分含有量を得るまで、これらの条件を維持した。その後、新鮮な空気を吹き込むことによって、チャンバーの温度を80℃に下げた。次いで、チャンバー温度を50℃に下げ、水を噴霧することで、相対空気湿度を50%に調節した。木材を調整するために、これらの条件を6から10時間維持した。
【0153】
そのようにして得た木材サンプルは、8.30g/100gマツ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、2.2mg/100gマツ材であった。比FA/Nは、対応して0.26×10-3であった。固定度は、73%であった。
【0154】
実施例7
実施例6と同様に実験を実施し、マツ辺材の立方体の代わりにブナ材の立方体を使用した。そのようにして得た木材サンプルは、7.33g/100gブナ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、2.1mg/100gブナ材を示した。比FA/Nは、対応して0.28×10-3であった。固定度は、70%であった。
【0155】
実施例8
3kgの1,3−ジメチル4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(40質量%)の商用水性組成物を、ホルムアルデヒドを含むメラミンおよびメタノールとの反応生成物の(モル比1:4:4)2.7kgの商用70質量%水性溶液、ならびに200gのMgCl2・6H2Oと混合し、4kgの水で希釈した。そのようにして得た溶液を以下の実験において含浸剤として使用した。
【0156】
実施例6と同様に実験を実施した。そのようにして得た木材サンプルは、9.27g/100gマツ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、7.8mg・100gマツ材を示した。比FA/Nは、対応して0.85×10-3であった。固定度は、76%であった。
【0157】
実施例9
実施例8と同様に実験を実施し、マツ辺材の立方体の代わりにブナ材の立方体を使用した。そのようにして得た木材サンプルは、7.87g/100gブナ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、4.6mg/100gブナ材を示した。比FA/Nは、対応して0.59×10-3であった。固定度は、77%であった。
【0158】
実施例10
2.5kgの1,3−ジメチル4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(75質量%)の商用水性組成物を、ホルムアルデヒドを含むメラミンおよびメタノールとの反応生成物の(モル比1:4:4)2kgの商用70質量%水性溶液、ならびに200gのMgCl2・6H2Oと混合し、5.2kgの水で希釈した。そのようにして得た溶液を以下の実験において含浸剤として使用した。
【0159】
実施例6と同様に実験を実施した。そのようにして得た木材サンプルは、8.93g/100gマツ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、14.1mg/100gマツ材を示した。比FA/Nは、対応して1.58×10-3であった。固定度は、82%であった。
【0160】
実施例11
実施例10と同様にプロセスを実施し、マツ辺材の立方体の代わりにブナ材の立方体を使用した。そのようにして得た木材サンプルは、7.63g/100gブナ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、12.5mg/100gブナ材を示した。比FA/Nは、対応して1.66×10-3であった。固定度は、86%であった。
【0161】
実施例12
2.1kgの1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(75質量%)の商用水性組成物を、0.9kgの1−ヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(75質量%)の商用水性組成物、ならびに150gのMgCl2・6H2Oと混合し、7kgの水で希釈した。そのようにして得た溶液を以下の実験において含浸剤として使用した。
【0162】
実験を実施例6と同様に実施した。そのようにして得た木材サンプルは、3.84g/100gマツ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、4.4mg/100gマツ材を示した。比FA/Nは、対応して1.14×10-3であった。固定度は、92%であった。
【0163】
実施例13
実施例12と同様にプロセスを実施し、マツ辺材の立方体の代わりにブナ材の立方体を使用した。そのようにして得た木材サンプルは、2.74g/100gブナ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、2.8mg/100gブナ材を示した。比FA/Nは、対応して1.02×10-3であった。固定度は、81%であった。
【0164】
実施例14
0.9kgの1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(75質量%)の商用水性組成物を、2.1kgの1−ヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(75質量%)の商用水性組成物、ならびに150gのMgCl2・6H2Oと混合し、7kgの水で希釈した。そのようにして得た溶液を以下の実験において含浸剤として使用した。
【0165】
実施例6と同様に実験を実施した。そのようにして得た木材サンプルは、4.26g/100gマツ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、3.0mg/100gマツ材を示した。比FA/Nは、対応して0.70×10-3であった。固定度は、95%であった。
【0166】
実施例15
実施例14と同様にプロセスを実施し、マツ辺材の立方体の代わりにブナ材の立方体を使用した。そのようにして得た木材サンプルは、2.72g/100gブナ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、1.8mg/100gブナ材を示した。比FA/Nは、対応して0.65×10-3であった。固定度は、82%であった。
【0167】
実施例16
3.0kgの1−ヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(75質量%)の商用水性組成物を、150gのMgCl2・6H2Oと混合し、7kgの水で希釈した。そのようにして得た溶液を以下の実験において含浸剤として使用した。
【0168】
実験を実施例6と同様に実施した。そのようにして得た木材サンプルは、4.40g/100gマツ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、1.2mg/100gマツ材を示した。比FA/Nは、対応して0.27×10-3であった。固定度は、88%であった。
【0169】
実施例17
実施例14と同様にプロセスを実施し、マツ辺材の立方体の代わりにブナ材の立方体を使用した。そのようにして得た木材サンプルは、3.07g/100gブナ材の窒素含有量Nを示した。EN 717の第3部によるボトル法によって測定されたホルムアルデヒド放出FAは、1.1mg/100gブナ材を示した。比FA/Nは、対応して0.36×10-3であった。固定度は、86%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋性窒素化合物、形式上ホルムアルデヒド縮合物を、窒素として計算し、かつリグノセルロース材料の全質量に基づいて、少なくとも1質量%の成分量(N)で架橋形態で含有するリグノセルロース材料であって、EN 717の第3部によるボトル法によって測定されるホルムアルデヒド放出(FA)と、窒素化合物(N)の成分量との比(FA/N)が、最大5.0×10-3の値を示す、リグノセルロース材料。
【請求項2】
比(FA/N)が、最大3.5×10-3の値を示す、請求項1に記載のリグノセルロース材料。
【請求項3】
ホルムアルデヒド放出の値が、100gのリグノセルロース材料あたり10mgを超えない、請求項1または2に記載のリグノセルロース材料。
【請求項4】
73%を超える窒素化合物の固定度を示す、請求項1から3までのいずれか1項に記載のリグノセルロース材料。
【請求項5】
85%を超える窒素化合物の固定度を示す、請求項4に記載のリグノセルロース材料。
【請求項6】
窒素として、かつリグノセルロース材料の質量に基づいて計算されて、窒素化合物の成分量が、リグノセルロース材料の全質量に基づいて、1.5から20質量%の範囲である、請求項1から5までのいずれか1項に記載のリグノセルロース材料。
【請求項7】
窒素として、かつリグノセルロース材料の質量に基づいて計算されて、窒素化合物の成分量が、リグノセルロース材料の全質量に基づいて、2.3から12質量%の範囲である、請求項6に記載のリグノセルロース材料。
【請求項8】
使用されるリグノセルロース材料の質量に基づいて、塩化物含有量が、最大0.1質量%である、請求項1から7までのいずれか1項に記載のリグノセルロース材料。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のリグノセルロース材料を製造する方法において、
a)i)少なくとも1つの架橋性窒素化合物およびii)架橋を触媒する少なくとも1つの物質を備える水性組成物で、リグノセルロース材料を含浸することと、
b)水を除去し、かつ架橋性窒素化合物を架橋するために、含浸済みリグノセルロース材料を高温において処理することを含み、
方法工程b)が、含浸済みリグノセルロース材料を過熱水蒸気で少なくとも1回処理し、引き続き110℃を超える温度および最大20%のリグノセルロース材料を囲む気体媒質の相対湿度において少なくとも1回処理する方法。
【請求項10】
水性組成物における架橋性窒素化合物の濃度が、組成物の全質量に基づいて、10から60質量%の範囲である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
窒素化合物が、
α)化学式CH2OR[Rが、水素もしくはC1−C4−アルキルである]の少なくとも1つのN結合基、および/または2つの窒素原子を架橋する1,2−ビスヒドロキシエタン−1,2−ジイル基を有する低分子量化合物V、
β)化合物Vの予備縮合物、および、
γ)化合物Vと、C1−C6−アルカノール、C2−C6−ポリオール、およびオリゴアルキレングリコールから選択される少なくとも1つのアルコールとの反応生成物または混合物、ならびに、
互いの混合物、少なくとも1つの遊離NH基を有する少なくとも1つの化合物V’との混合物、およびCH2OH基の形態で存在しない少なくとも1つのOH基を有する少なくとも1つの化合物V’’との混合物から選択される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
窒素化合物が、
・ 1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(DMDHEU)、
・ C1−C6−アルカノール、C2−C6−ポリオール、またはオリゴアルキレングリコールで変性された1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、
・ 1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ウレア、
・ 1,3−ビス(メトキシメチル)ウレア、
・ 1−ヒドロキシメチル−3−メチルウレア、
・ 1−ヒドロキシメチル−3−メチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、
・ 1−ヒドロキシメチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、
・ 1,3−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾリジン−2−オン、
・ 1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−ヘキサヒドロピリミジン−2−オン、
・ 1,3−ビス(メトキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、
・ テトラ(ヒドロキシメチル)アセチレンジウレア、
・ 低分子量メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、および、
・ C1−C6−アルカノール、C2−C6−ポリオール、またはオリゴアルキレングリコールで変性された低分子量メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、
・ 上述の化合物の互いの混合物、
・ 上述の化合物と、少なくとも1つの遊離NH基を有する少なくとも1つの化合物V’との混合物、および、
・ 上述の化合物と、CH2OH基の形態では存在しない少なくとも1つのOH基を有する少なくとも1つの化合物V’’との混合物
から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
窒素化合物が、
α)化学式CH2OR[Rが、水素もしくはC1−C4−アルキルである]の少なくとも2つのN結合基、および/または2つの窒素原子を架橋する1,2−ビスヒドロキシエタン−1,2−ジイル基を有する低分子量化合物V、
β)化合物Vの予備縮合物、ならびに、
その混合物、および少なくとも1つの遊離NH基を有する少なくとも1つの化合物V’との混合物
から選択される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項14】
窒素化合物が、
・ 1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、
・ 1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ウレア、
・ 1,3−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾリジン−2−オン、
・ テトラ(ヒドロキシメチル)アセチレンジウレア、
・ その混合物、および少なくとも1つのNH基を有する化合物V’との混合物
から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
窒素化合物が、1,3−ビス−(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、またはその化合物V’との混合物である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
窒素化合物が、
a)Rが、水素もしくはC1−C4−アルキルである、化学式CH2ORの基を尿素単位の一方または両方の窒素原子上に有する少なくとも1つの尿素化合物、および、
b)Rが、水素もしくはC1−C4−アルキルである、化学式CH2ORの少なくとも1つの基を、平均してメラミンの少なくとも2つのアミノ基上に有する少なくとも1つのメラミン化合物
を含む混合物から選択される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項17】
窒素化合物が、
a)Rが、水素もしくはC1−C4−アルキルである、化学式CH2ORの基を尿素単位の2つの窒素原子の一方の上に有する少なくとも1つの尿素化合物、および、
b)Rが、水素もしくはC1−C4−アルキルである、化学式CH2ORの基を尿素単位の両方の窒素原子の上に有する少なくとも1つの尿素化合物
を含む混合物から選択される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項18】
窒素化合物が、
a)Rが、水素もしくはC1−C4−アルキルである、化学式CH2ORの少なくとも1つの基を、平均してメラミンの少なくとも2つのアミノ基上に有するメラミン化合物、および化学式CH2ORの基を尿素単位の一方または両方の窒素原子の上に有する尿素化合物から選択される少なくとも1つの架橋性窒素化合物、ならびに、
b)尿素、N−メチルウレア、エチレンウレア(イミダゾリン−2−オン)、プロピレンウレア、4,5−ビスヒドロキシイミダゾリン−2−オン、およびN−メチル−4,5−ビスヒドロキシイミダゾリン−2−オンから選択される少なくとも1つの化合物V’
を含む混合物から選択される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項19】
窒素化合物が、
a)Rが、水素もしくはC1−C4−アルキルである、化学式CH2ORの少なくとも1つの基を、平均してメラミンの少なくとも2つのアミノ基上に有するメラミン化合物、および化学式CH2ORの基を尿素単位の一方または両方の窒素原子の上に有する尿素化合物から選択される少なくとも1つの架橋性窒素化合物、ならびに、
b)4,5−ビスヒドロキシイミダゾリン−2−オン、N−メチル−4,5−ビスヒドロキシイミダゾリン−2−オン、および1,3−ジメチル−4,5−ビスヒドロキシイミダゾリン−2−オンから選択される少なくとも1つの化合物V’’
を含む混合物から選択される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項20】
触媒が、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属リン酸塩、および金属テトラフルオロホウ酸塩の群の金属塩;三フッ化ホウ素;アンモニウムハロゲン化物、硫酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、およびリン酸二アンモニウムの群のアンモニウム塩;有機カルボン酸、有機スルホン酸、ホウ酸、リン酸、硫酸、および塩酸から選択される、請求項9から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
触媒が、塩化物を含まない、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
リグノセルロース材料が、木材である、請求項9から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
リグノセルロース材料が、固体木製物品である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
リグノセルロース材料が、木材ベニヤまたは微粉材料である、請求項9から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
請求項9から24までのいずれか1項に記載の方法によって得られるリグノセルロース材料。

【公表番号】特表2009−509817(P2009−509817A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533992(P2008−533992)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066958
【国際公開番号】WO2007/039591
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】