説明

低圧精子細胞分離システム

【課題】精子細胞の制御された精子細胞受精特性を有する精子細胞授精サンプルを生成するための精子細胞プロセスシステムを提供すること。
【解決手段】本発明は、精子細胞の制御された精子細胞受精特性を有する精子細胞授精サンプルを生成するための精子細胞プロセスシステムを提供する。本発明はまた、精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、以下:a.哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する工程;b.フロー特性を有する流体流を生成する工程;c.該流体流のフロー特性を変化させて、流体流圧を調整する工程;d.該精子細胞を該流体流中に運び去る工程;e.精子細胞受精特性を該流体流圧の調整を介して制御する工程;およびf.制御された精子細胞受精特性を有する精子細胞授精サンプルを生成する工程、を包含する、方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際特許協力条約特許出願は、2002年8月1日に出願された米国仮特許出願番号60/400,971の利益を主張する。
【0002】
(I.技術分野)
対応して選択的に調整可能な流動特性を有する流体流における同調を通して生成された、選択的に制御された精子細胞受精特性を有する精子細胞授精サンプル、および精子細胞授精サンプル受精能の比較を評価する方法。
【背景技術】
【0003】
(II.背景)
性の事前選択は、精子細胞を富化X染色体保有集団および富化Y染色体保有集団に分離する安全かつ信頼性のある方法の開発に従って、家畜の多くの種において達成されている。WO 00/06193;WO 02/043574;WO 01/85913;WO 99/33956;WO 01/40765;WO 98/34094;WO 99/42810;WO 02/043486によって開示される例示的な方法および装置を参照のこと。
【0004】
性選択した精子細胞に伴う重大な問題は、従来技術による市販のために生存可能であるかまたは有意に受精可能である性選択した授精サンプルまたは性選択した授精物を生成するのに有意な速度での精子細胞の分離が、流動細胞計測器の増加する流体流圧力または1平方インチ当たり約50ポンドまでの流動分類機器(flow sort instrument)を必要としていることであり得る。この圧力の適用から生じる流動特性を有する流体流中に同調された哺乳動物の多くの種の精子細胞に関して、生存率、運動性、または他の受精特性が変化した。
【0005】
性選択した精子細胞授精物または性選択した精子細胞授精サンプルに伴う別の重大な問題は、サンプル間で非常に変動し得る精子細胞受精能における大変大きな違いであり得る。従って、実質的に同一条件下で実施される人工受精の成功は、それに対応して異なる妊娠率を生じ得る。
【0006】
既存の精子細胞性選択技術に伴う別の重大な問題は、性選択した精子細胞の受精能が、インビボ(例えば、人工受精手順に関連して)およびインビトロ(例えば、IVF手順に関連して)で直接比較され得るアッセイがないことであり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、富化X染色体保有集団および富化Y染色体保有集団に分離された、低下した精子細胞受精精子、ならびに分離した精子細胞もしくは分類した精子細胞、および特に流動分類した精子細胞の機能および受精能を比較するための異種精子アッセイの欠乏に関連する種々の問題に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(III.発明の開示)
従って、本発明の広範な目的は、哺乳動物種の雄性から得られた精液から単離された精子細胞の精子細胞受精特性(例えば、運動性、生存率、受精率、卵割率、胚盤胞率など)を制御するためのデバイス、およびこのようなデバイスを使用する方法を提供する。
【0009】
本発明に従って制御された精子細胞受精能を提供することは、多数かつ多様な種の哺乳動物(ウシ種の哺乳動物、ウマ種の哺乳動物、ヒツジ種の哺乳動物、イヌ 種の哺乳動物、ネコ種の哺乳動物、ブタ種の哺乳動物、海洋哺乳動物、シカ種の哺乳動物、霊長類種の哺乳動物、ヤギ種の哺乳動物、あるいはWilson,D.EおよびReeder,D.M.、MammalSpecies of the World、Smithsonian Institution Press(1993)(本明細書中で参考として援用される)によって列挙された種の哺乳動物からなる群より選択される哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない)から得られる精子細胞を用いて達成され得る。
【0010】
本発明の特定の実施形態に関して、制御された精子細胞受精特性は、哺乳動物種の雄性の精液から精子細胞を単離することに先立つ受精特性の肯定的選択(affirmative selection)、および精子細胞受精特性を変化させるために本発明の適用して、所望の受精特性を提供することを含む。本発明の他の実施形態に関して、精子細胞処理条件は、特定の種の哺乳動物の精子細胞を処理して制御された受精特性を有する精子細胞を得るために使用され得る、精子細胞処理条件の広範囲内で選択される。制御された受精特性は、処理した精子細胞の集団内に運動性の精子細胞、無傷のアクロソーム、生存可能な精子細胞を有する所望の集団;または処理した精子細胞がインビトロで卵母細胞を受精させるために使用される場合には、卵母細胞の所望の卵割率もしくは胚盤胞形成率;または処理した精子細胞が人工授精のために使用される場合には、所望の妊娠率もしくは子孫の性比を含み得る。本発明の特定の実施形態に関して、処理した精子細胞集団内での運動性の精子細胞のより大きい集団、生存可能な精子細胞のより大きい集団、無傷のアクロソームのより大きい集団、または受精可能な精子細胞のより多数は、同一の精子細胞集団の従来の処理と比較して達成され得る。本発明の特定の実施形態は、新鮮な射精液中の精子細胞の受精特性と実質的に異ならないか、または実質的に匹敵する、制御された受精特性を有する精子細胞の供給を可能にする。他の事例において、本発明の特定の実施形態の適用は、所望の場合、新鮮な射精液の精子細胞の受精特性と実質的に異なる、制御された受精特性を有する精子細胞を生じ得る。特に、本発明の特定の実施形態は、制御された受精特性を有するウシ精子細胞を提供するために使用され得るか、または制御された受精特性を有するウマ精子細胞を提供するために使用され得、所望の場合、新鮮なウシ射精液またはウマ射精液中のウシ精子細胞またはウマ精子細胞の受精特性に実質的に匹敵する受精特性を伴って提供され得る。
【0011】
本発明の別の広範な目的は、制御された精子細胞受精特性を有する精子細胞授精サンプルを提供することであり得、このような精子細胞授精サンプルは、限定なしに、動物種の雌性の人工授精、インビトロでの卵母細胞の受精、または精子細胞の細胞質内注射などのために構成され得る。
【0012】
本発明の別の広範な目的は、精子細胞受精特性(例えば、運動性、生存率、受精率、卵割率、胚盤胞率など)の肯定的制御を提供し得る、精子細胞を性選択する方法を提供することであり得る。本発明のこの広範は目的の1つの局面は、フローサイトメトリーまたは細胞を分類するデバイス、あるいは性選択した精子細胞の受精特性の肯定的制御を可能にする、フローサイトメトリーまたは細胞を分類する方法を提供することであり得る。
【0013】
本発明の別の目的は、ウシ種の哺乳動物の雌性の人工授精のために構成された、制御された精子細胞受精特性を有する性選択したウシ精子細胞授精サンプルを提供することであり得、そのウシ精子細胞授精サンプルは、制御された精子細胞受精特性を有する約100,000と約3,000,000との間の性選択したウシ精子細胞を含む。
【0014】
本発明の別の目的は、ウマ種の哺乳動物の雌性の人工授精のために構成された、制御された精子細胞受精特性を有する性選択したウマ精子細胞授精サンプルを提供することであり得、そのウマ精子細胞授精サンプルは、制御された精子細胞受精特性を有する約5,000,000と約50,000,000との間の性選択したウマ精子細胞を含む。
【0015】
本発明の別の本質的な目的は、精子細胞の加工、精子細胞の保存、または精子細胞の使用(雌性哺乳動物の授精または卵母細胞の受精が挙げられるが、これらに限定されない)に関して、精子細胞の制御された精子細胞受精特性を維持するデバイスまたは方法を提供することであり得る。
【0016】
本発明の別の本質的な目的は、制御された精子細胞受精特性を有する精子細胞授精サンプルを用いて、哺乳動物種の雌性を人工授精する方法を提供することであり得る。本発明の特定の実施形態に関して、制御された受精特性を有する、少数もしくは減少された数の精子細胞を用いる授精方法を、このような精子細胞が富化X染色体保有集団もしくは富化Y染色体保有集団に分離されるか否かに関わらず、このような人口授精手順において使用される通常の数もしくは代表的な数の精子細胞と比較した。
【0017】
本発明の別の広範な目的は、精子細胞集団の比較受精能を評価する方法を提供することであり得る。本発明の特定の実施形態は、各々の雄性由来の精子細胞が実質的に同一のフローサイトメトリー処理に曝される場合に、哺乳動物種の異なる雄性由来の精子細胞の比較受精能を評価する方法を提供する。本発明の他の実施形態は、異なるフローサイトメトリー処理に曝される哺乳動物種の同一の雄性由来の精子細胞の比較受精能を評価する方法を提供する。本発明の特定の実施形態は、制御された受精特性を有する精子細胞の比較受精能を示す方法を提供する。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、以下:
a.哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する工程;
b.フロー特性を有する流体流を生成する工程;
c.該流体流のフロー特性を変化させて、流体流圧を調整する工程;
d.該精子細胞を該流体流中に運び去る工程;
e.精子細胞受精特性を該流体流圧の調整を介して制御する工程;および
f.制御された精子細胞受精特性を有する精子細胞授精サンプルを生成する工程
を包含する、方法。
(項目2)
項目1に記載された精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、ここで、前記哺乳動物の種が、哺乳動物のウシ種、哺乳動物のウマ種、哺乳動物のヒツジ種、哺乳動物のイヌ種、哺乳動物のネコ種、哺乳動物のブタ種、哺乳動物の海洋動物種、哺乳動物のシカ種、哺乳動物の霊長類種、哺乳動物のヤギ種からなる群から選択される、方法。
(項目3)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、ここで前記流体流が、シース流体流を含む、方法。
(項目4)
項目3に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記シース流体流が、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を含むシース流体を含む、方法。
(項目5)
項目3に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、シース流体流が、クエン酸緩衝液を含有するシース流体を含む、方法。
(項目6)
項目5に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記クエン酸緩衝液が、約2.9%のクエン酸ナトリウムを含む、方法。
(項目7)
項目3に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記シース流体流が、HEPES緩衝液を含有しているシース流体を含む、方法。
(項目8)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記流体流が、フローサイトメーターまたはセルソーター中で生成される、方法。
(項目9)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記流体流のフロー特性を変化させて流体流圧を調整する前記工程が、該フロー特性を変化させて該流体流圧を1平方インチ当たり約20ポンドと1平方インチ当たり約60ポンドとの間に調整する工程を包含する、方法。
(項目10)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する前記工程が、哺乳動物のウシ種の雄からウシ精液を獲得する工程を包含し、そして前記流体流圧の調整を介して精子細胞受精特性を制御する前記工程が、該精液中の該ウシ精子細胞の該ウシ精子細胞受精特性と実質的に異ならない該流体流中に運び去られる前記ウシ精子細胞の前記ウシ精子細胞受精特性を確立する工程を包含する、方法。
(項目11)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する前記工程が、哺乳動物のウシ種の雄からウシ精液を獲得する工程を包含し、そして前記流体流圧の調整を介して精子細胞受精特性を制御する前記工程が、該精液中の該ウシ精子細胞の該ウシ精子細胞受精特性と実質的に同等である該流体流中に運び去られる該ウシ精子細胞の該ウシ精子細胞受精特性を確立する工程を包含する、方法。
(項目12)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する前記工程が、哺乳動物のウシ種の雄からウシ精液を獲得する工程を包含し、そして制御された精子細胞受精特性を有する精子細胞授精サンプルを生成する前記工程が、該ウシ精液中の該ウシ精子細胞のウシ精子細胞受精特性と実質的に異ならない該ウシ精子細胞受精特性を有する該ウシ精子細胞授精サンプルを生成する工程を包含する、方法。
(項目13)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する前記工程が、哺乳動物のウシ種の雄からウシ精液を獲得する工程を包含し、そして制御された精子細胞受精特性を有する精子細胞授精サンプルを生成する前記工程が、該ウシ精液中の該ウシ精子細胞のウシ精子細胞受精特性と実質的に同等である該ウシ精子細胞受精特性を有する該ウシ精子細胞授精サンプルを生成する工程を包含する、方法。
(項目14)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する前記工程が、哺乳動物のウシ種の雄からウシ精液を獲得する工程を包含し、そして前記流体流のフロー特性を変化させて流体流圧を調整する前記工程が、該流体流の該フロー特性を調整して1平方インチ当たり約30ポンドと1平方インチ当たり約50ポンドとの間に流体流圧を調整する工程を包含する、方法。
(項目15)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する前記工程が、哺乳動物のウシ種の雄からウシ精液を獲得する工程を包含し、そして前記流体流のフロー特性を変化させて流体流圧を調整する前記工程が、該流体流の該フロー特性を調整して1平方インチ当たり約30ポンドと1平方インチ当たり約40ポンドとの間に流体流圧を調整する工程を包含する、方法。
(項目16)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する前記工程が、哺乳動物のウシ種の雄からウシ精液を獲得する工程を包含し、そして前記流体流のフロー特性を変化させて流体流圧を調整する前記工程が、該流体流の該フロー特性を調整して流体流圧を1平方インチ当たり約40ポンドに調整する工程を包含する、方法。
(項目17)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する前記工程が、哺乳動物のウマ種の雄からウマ精液を獲得する工程を包含し、そして前記流体流圧の調整を介して精子細胞受精特性を制御する前記工程が、該精液中の該ウマ精子細胞のウマ精子細胞受精特性と実質的に異ならない、該流体流中に運び去られる該ウマ精子細胞の該ウマ精子細胞受精特性を確立する工程を包含する、方法。
(項目18)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する前記工程が、哺乳動物のウマ種の雄からウマ精液を獲得する工程を包含し、そして前記流体流圧の調整を介して精子細胞受精特性を制御する前記工程が、該精液中の該ウマ精子細胞のウマ精子細胞受精特性と実質的に同等である、該流体流中に運び去られる該ウマ精子細胞の該ウマ精子細胞受精特性を確立する工程を包含する、方法。
(項目19)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する前記工程が、哺乳動物のウマ種の雄からウマ精液を獲得する工程を包含し、そして制御された精子細胞受精特性を有する精子細胞授精サンプルを生成する前記工程が、該ウマ精液中の該ウマ精子細胞のウマ精子細胞受精特性と実質的に異ならない、該ウマ精子細胞受精特性を有するウマ精子細胞授精サンプルを生成する工程を包含する、方法。
(項目20)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する前記工程が、哺乳動物のウマ種の雄からウマ精液を獲得する工程を包含し、そして制御された精子細胞受精特性を有する精子細胞授精サンプルを生成する前記工程が、該ウマ精液中の該ウマ精子細胞のウマ精子細胞受精特性と実質的に同等である、ウマ精子細胞受精特性を有するウマ精子細胞授精サンプルを生成する工程を包含する、方法。
(項目21)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する前記工程が、哺乳動物のウマ種の雄からウマ精液を獲得する工程を包含し、そして前記流体流のフロー特性を変化させて流体流圧を調整する前記工程が、該流体流の該フロー特性を調整して1平方インチ当たり約30ポンドと1平方インチ当たり約50ポンドとの間に流体流圧を調整する工程を包含する、方法。
(項目22)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する前記工程が、哺乳動物のウマ種の雄からウマ精液を獲得する工程を包含し、そして前記流体流のフロー特性を変化させて流体流圧を調整する前記工程が、該流体流の該フロー特性を調整して1平方インチ当たり約30ポンドと1平方インチ当たり約40ポンドとの間に流体流圧を調整する工程を包含する、方法。
(項目23)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、哺乳動物の1種の雄から精液を獲得する前記工程が、哺乳動物のウマ種の雄からウマ精液を獲得する工程を包含し、そして前記流体流のフロー特性を変化させて流体流圧を調整する前記工程が、該流体流の該フロー特性を調整して1平方インチ当たり約40ポンドに流体流圧を調整する工程を包含する、方法。
(項目24)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、該精子細胞受精特性の1つが、精子細胞運動性を含む、方法。
(項目25)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記受精特性が、ウシ精子細胞運動性を含む、方法。
(項目26)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記受精特性が、ウマ精子細胞運動性を含む、方法。
(項目27)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記受精特性が、精子細胞生存力を含む、方法。
(項目28)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記受精特性が、ウシ精子細胞生存力を含む、方法。
(項目29)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記受精特性が、ウマ精子細胞生存力を含む、方法。
(項目30)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記受精特性が、制御された精子細胞受精特性を有する該精子細胞授精サンプルで授精される哺乳動物の前記種の雌の妊娠率を含む、方法。
(項目31)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記受精特性が、制御された精子細胞受精特性を有するウシ精子細胞授精サンプルで授精される哺乳動物のウシ種の雌の妊娠率を含む、方法。
(項目32)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記受精特性が、制御された精子細胞受精特性を有するウマ精子細胞授精サンプルで授精される哺乳動物のウマ種の雌の妊娠率を含む、方法。
(項目33)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記受精特性が、制御された精子細胞受精特性を有する該精子細胞授精サンプルで受精される卵母細胞の卵割率を含む、方法。
(項目34)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記受精特性が、制御された精子細胞受精特性を有するウシ精子細胞授精サンプルで受精されるウシ卵母細胞の卵割率を含む、方法。
(項目35)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記受精特性が、制御された精子細胞受精特性を有するウマ精子細胞授精サンプルで受精されるウマ卵母細胞の卵割率を含む、方法。
(項目36)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記受精特性が、制御された精子細胞受精特性を有する精子細胞授精サンプルで受精される卵母細胞の胚盤胞率を含む、方法。
(項目37)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記受精特性が、制御された精子細胞受精特性を有するウシ精子細胞授精サンプルで受精されるウシ卵母細胞の胚盤胞率を含む、方法。
(項目38)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記受精特性が、制御された精子細胞受精特性を有するウマ精子細胞授精サンプルで受精されるウマ卵母細胞の胚盤胞率を含む、方法。
(項目39)
項目31に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、制御された精子細胞受精特性を有する前記ウシ精子細胞授精サンプルが、約1×10個と2×10個との間のウシ精子細胞を含む、方法。
(項目40)
項目31に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、制御された精子細胞受精特性を有する前記ウシ精子細胞授精サンプルが、約1×10個と3×10個との間のウシ精子細胞を含む、方法。
(項目41)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記精子細胞を染色する工程をさらに包含する、方法。
(項目42)
項目41に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記精子細胞を染色する前記工程が、Hoechst33342で該精子細胞を染色する工程を包含する、方法。
(項目43)
項目1に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記流体流中の液滴を生成する工程をさらに包含し、該液滴のいくらかが、前記精子細胞の各々1つを含む、方法。
(項目44)
項目43に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、性形質に基づいて精子細胞を識別する工程をさらに包含する、方法。
(項目45)
項目44に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、性形質に基づいて前記精子細胞を識別する前記工程が、DNA含有量に基づいて該精子細胞を識別する工程を包含する、方法。
(項目46)
項目44に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、性形質に基づいて前記精子細胞を識別する前記工程が、精子頭部容積に基づいて該精子細胞を識別する工程を包含する、方法。
(項目47)
項目44に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記性形質に基づいて精子細胞を分離する工程をさらに包含する、方法。
(項目48)
項目47に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、収集コンテナ中で制御された精子細胞受精特性を有する該精子細胞授精サンプルを収集する工程をさらに包含する、方法。
(項目49)
項目48に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、収集コンテナ中で制御された精子細胞受精特性を有する該精子細胞授精サンプルを収集する前記工程が、該収集コンテナ中に性選択された精子細胞授精サンプルを収集する工程を包含する、方法。
(項目50)
項目49に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記性選択された精子細胞授精サンプルが、人工授精の性別を選択された精子細胞授精サンプルを含む、方法。
(項目51)
項目49に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記性選択された精子細胞授精サンプルが、体外受精の性別を選択された精子細胞授精サンプルを含む、方法。
(項目52)
項目49に記載の精子細胞授精サンプルを生成する方法であって、前記性選択された精子細胞授精サンプルが、細胞質内で性別を選択された精子細胞注入サンプルを含む、方法。
(項目53)
性選択された精子細胞受精を評価する方法であって、以下:
a.哺乳動物の1種の雄から精子細胞を獲得する工程;
b.第1の処理条件に曝された性別を選択されたY染色体を持つ精子細胞を提供する工程;
c.第2の処理条件に曝された性別を選択されたX染色体を持つ精子細胞を提供する工程;
d.該第1の処理条件に曝された性別を選択された該Y染色体を持つ精子細胞と第2の処理条件に曝された性別を選択された該X染色体を持つ精子細胞の所定の比を有する授精サンプルを生成する工程;
e.該第1の処理条件に曝された該Y染色体を持つ精子細胞と第2の処理条件に曝された該X染色体を持つ精子細胞の該比を有する該授精サンプルで哺乳動物の該種の少なくとも1匹の雌を授精させる工程;
f.哺乳動物の該種の少なくとも1の雌から子孫を産生する工程;
g.哺乳動物の該種の少なくとも1の子孫の性比の該第1の処理条件に曝された該Y染色体を持つ精子細胞と第2の処理条件に曝された該X染色体を持つ精子細胞の該比との比較により該性別を選択された精子細胞の受精を評価する工程
を包含する、方法。
(項目54)
項目53に記載の性別を選択された精子細胞受精を評価する方法であって、前記第1の処理条件に曝された前記Y染色体を持つ精子細胞と第2の処理条件に曝された前記X染色体を持つ精子細胞の前記比が、該第1の処理条件に曝された該Y染色体を持つ精子細胞と第2の処理条件に曝された該X染色体を持つ精子細胞の数が実質的に等しいことを含む、方法。
(項目55)
項目53に記載の性別を選択された精子細胞受精を評価する方法であって、哺乳動物の前記種の前記少なくとも1の雌の子孫の前記性比が、胚の性比を含む、方法。
(項目56)
項目53に記載の性別を選択された精子細胞受精を評価する方法であって、哺乳動物の前記種の前記少なくとも1の雌の子孫の前記性比が、胎児の性比を含む、方法。
(項目56)
項目53に記載の性別を選択された精子細胞受精を評価する方法であって、哺乳動物の前記種の前記少なくとも1の雌の子孫の前記性比が、産まれる子孫の性比を含む、方法。
(項目57)
項目53に記載の性別を選択された精子細胞受精を評価する方法であって、前記哺乳動物の前記種の前記少なくとも1の雌が、十分な数の子孫を産生し、子孫の該性比を確立する、該種の雌の十分な数を含む、方法。
(項目58)
哺乳動物の種の雄からの精子細胞の受精を評価する方法であって、以下:
a.哺乳動物の1種の少なくとも2の雄から精子細胞を獲得する工程;
b.前記種の前記少なくとも2の雄の各々からの該精子細胞を実質的に同じフローサイトメトリー処理に曝す工程;
c.該実質的に同じフローサイトメトリー処理に曝される哺乳動物の該種の該少なくとも2の雄の各々からの実質的に等しい数の精子細胞混合物で哺乳動物の該種の少なくとも1の雌を授精する工程;
d.哺乳動物の該種の該少なくとも1の雌から胚を収集する工程;
e.哺乳動物の該種の少なくとも2の雄のどちらが各々の胚を生み出したかを決定する工程;ならびに
f.該少なくとも2の雄の各々により生み出される同等の数の胚に基づいて少なくとも哺乳動物の該種の雄に対する同等の受精をランク付けする工程
を包含する、方法。
(項目59)
項目58に記載の哺乳動物の種の雄から精子細胞の受精を評価する方法であって、前記フローサイトメトリー処理が、性形質に基づいて前記少なくとも2の雄から該精子細胞を分離する工程を包含する、方法。
(項目60)
項目58に記載の哺乳動物の種の雄から精子細胞の受精を評価する方法であって、前記フローサイトメトリー処理が、前記少なくとも2の雄からの精子細胞の性別を選択する工程を包含する、方法。
(項目61)
哺乳動物の種の雄からの精子細胞の受精を評価する方法であって、以下:
a.哺乳動物の1種の少なくとも2の雄から精子細胞を獲得する工程;
b.前記種の前記少なくとも2の雄の各々からの該精子細胞を実質的に同じフローサイトメトリー処理に曝す工程;
c.該実質的に同じフローサイトメトリー処理に曝される哺乳動物の該種の該少なくとも2の雄の各々からの実質的に等しい数の精子細胞混合物で卵母細胞を体外受精する工程;
d.該卵母細胞の該体外受精を介して生成される胚を収集する工程;
e.哺乳動物の該種の少なくとも2の雄のどちらが各々の胚を生み出したかを決定する工程;ならびに
f.該少なくとも2の雄の各々により生み出される同等の数の胚に基づいて少なくとも哺乳動物の該種の雄に対する同等の受精をランク付けする工程
を包含する、方法。
当然ながら、本発明のさらなる本質的な目的は、以降の本発明の説明において明確にされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明についての流動細胞計測器分離技術に従う分類システムの概略図である。
【図2】図2は、代表的な流動細胞計測器の自由落下領域における同調された細胞の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(V.本発明を実施するための様式)
種々の収集手順、操作手順、保存手順、輸送手順、分離手順または授精手順の文脈内で精子細胞の生物学的特質、化学的特質、物理的特質、生理学的特質または機能的特質を維持、増強、アッセイ、試験または決定するための精液または精子細胞加工システム。
【0020】
本発明の実施形態は、上記で広範に定義されるような哺乳動物種から精子細胞を入手する工程を包含し得る。次いで、精子細胞は、流動特性を有する流体流中に同調され得る。導管内の流体流は、流体流の流体力学的(rhealogical)特性、流体流が流れる導管の構成または幾何学、ならびに流体流に適用される外力(例えば、静水圧、振動性振動、圧電性振動、加熱における振動など)によって影響を受ける流動特性を有する。
【0021】
重要なことには、流体流のこれらの流動特性は、導管内の流体を移動させるために必要な圧力の量に寄与する。非限定的な例として、フローサイトメトリーにおいて、流体は、比較的大きな交差部分領域内を移動し、次いで、分析インターフェースを越えて比較的小さい交差部分領域から最終収集点の範囲内を移動する。
【0022】
流体流の流体力学的特性に沿ったこの型の構成または幾何学的配置は、局所的力(例えば、圧縮力、湾曲力(sheer force)など)生じ得、これは、粒子(例えば、流体流中に同調された精子細胞)の物理的完全性に影響を有し得る。
【0023】
精子細胞を分析、精子細胞特性に基づいて分離、性選択するための方法、または他の賢明なプロセスとして、フローサイトメトリーまたは細胞分類に関わる構成要素または工程を包含する本発明のこれらの実施形態に関して、概念上の非限定的な流動細胞計測器または細胞分類機器が、図1によって示される。
【0024】
流動細胞計測器または細胞分類機器は、図1によって示される構成要素(分析、分離、受精特性を制御するためか、または他の方法では処理される精子細胞を、樹立または供給するように作動する精子細胞供給源(1)が挙げられるが、これに限定されない)のすべてまたは一部を備える。
【0025】
精子細胞は、その精子細胞がシース流体(3)のよって囲まれるような様式でノズル(2)内に堆積される。流動細胞計測器もしくは流動分類機器と互換性があり、かつ流動分析または加工中に精子細胞に対して利用可能な環境を提供する任意のシース流体が、本発明と共に利用され得る。シース流体としては、リン酸緩衝化生理食塩水、クエン酸塩溶液(例えば、2.9%クエン酸ナトリウム溶液)、またはHEPES緩衝溶液を単独で含むかまたは種々の組み合わせ中に含むシース流体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
シース流体(3)は、通常は、いくつかのシース流体供給源(4)によって供給され、その結果、精子細胞供給源(1)が精子細胞を供給すると、シース流体(3)が同時にノズル(2)を通って供給される。この様式において、シース流体(3)は、細胞に対してシース流体環境を形成する。種々の流体が、いくらかの圧力にて流動細胞計測器に提供されるので、これらはノズル(2)の外へと流れ、そしてノズル開口部(5)で流れる。
【0027】
発振器制御(7)によって非常に正確に制御され得る、ある型の発振器(6)を提供することによって、圧力波が、ノズル(2)内に確立され得、そしてノズル開口部(5)でノズル(2)を出て行くようにシース流体に伝わる。発振器(6)は、このように、シース流体(3)に対して作動するので、ノズル開口部(5)を出て行く流れ(8)は、最終的にかつ規則的に液滴(9)を形成する。細胞はシース流体環境に囲まれるため、液滴(9)は、それらの中に別個に単離された精子細胞(10)を含み得る。
【0028】
液滴(9)は、一般的に、単離された精子細胞(10)を含むので、流動細胞計測器または細胞分類機器は、液滴(9)内に含まれる精子細胞を識別する精子細胞特性に基づいて液滴を識別しかつ分離し得る。このことは、精子細胞感知システム(11)を通して達成される。精子細胞感知システムは、少なくとも、各々の液滴(9)内に含まれる精子細胞に応答するある型の検出器(12)を備える。
【0029】
精子感知システム(11)の1つの型は、Johnsonに対する米国特許第5,135,759号(本明細書中で参考として援用される)に十分に考察されるような型である。Johnsonの特許が精子細胞について説明するように、細胞感知システム(11)は、ある刺激物(例えば、レーザービーム(13))によって励起され得る特定の色素の相対的存在または相対的非存在に依存する作動を生じ得る。精子細胞の各々の型が色素で染色され得るが、異なる長さのX染色体およびY染色体が、異なるレベルの染色を引き起こす。従って、精子細胞に存在する色素の程度を感知することによって、X染色体保有精子とY染色体保有精子との間でそれらの異なる放射レベルにより識別することが可能である。代替的な光学システム、検出システムおよび精子細胞分析システムが公知であり、これらもまた本発明に従って使用され得、そしてJohnsonの特許によって提供される説明が例示目的であることが意図され、その結果、本発明の多数かつ様々な用途が理解され得る。WO01/85913(本明細書中で参考として援用される)もまた参照のこと。
【0030】
流動細胞計測器または細胞分類機器分離技術において適切な細胞の最終的な分離および単離を達成するために、センサー(12)によって受け取られたシグナルは、所望の細胞がその液滴(9)内に存在するか否かに基づいて非常に素早く決定を行いかつ差動的に各々の液滴(9)を荷電し得る、ある型のソーター識別システム(14)に送られる。この様式において、ソーター識別システム(14)は、静電偏向板(15)が、液滴(9)が特定の精子細胞特性を有する精子細胞を含むか否かに基づいて液滴(9)を偏向するのを許可するように作動する。結果として、流動細胞計測器または細胞分類機器は、細胞が1以上の収集容器(16)に到着するのを引き起こすことによって細胞を分離するように作動する。従って、精子細胞のある特性を感知することによって、流動細胞計測器または細胞分類機器は、特定の特性に基づいて細胞を識別し得、そしてそれらを適切な収集容器(16)に配置し得る。特定の流動細胞計測器または細胞分類機器において、X染色体保有精子液滴は正に荷電され、従って、一方向に偏向する。Y染色体保有精子液滴は負に荷電され、従って、他の方向に偏向する。そして不要な流れ(すなわち、分類し得ない細胞)は荷電されず、従って、吸引チューブなどへの偏向されない流れに収集される。
【0031】
ここで、主に図2を参照すると、このプロセスがさらに理解され得る。この図に示されるように、ノズル(2)は、流れ(8)を放出し、この流れ(8)は、発振器(7)(図2には示さず)が原因で液滴(9)を形成する。細胞供給源(1)(図2には示さず)が、Johnsonによって記載されるように、染色され得る(または本発明の特定の実施形態において、DIC技術を使用する場合には染色され得ない)精子細胞(10)を供給するので、色素(DIC技術が利用される場合には精子頭部)に入射するレーザー(またはDIC技術を使用する場合には照明源)(13)によって生じるビームによって生じる発光は、センサー(12)によって差動的に測定され、その結果、各々の液滴(9)の電荷の存在または非存在が、流れ(8)から分離しながら流動細胞計測器によって制御され得る。この制御は、液滴(9)の内容物に基づいて、正に荷電した液滴(9)、負に荷電した液滴(9)、および荷電していない液滴(9)を生じる。図2に示されるように、特定の液滴は、偏向された液滴(17)として示される。これらの偏向された液滴(17)は、一方または他方の性であり得る精子細胞(10)を含む液滴である。次いで、これらは、適切な収集器(16)に堆積され、これによって、性選択された精子細胞の集団が生成される。
【0032】
流体流が、流動細胞計測器、細胞分類器、または精子細胞を流体流内に同調する他のデバイス内で生じるにせよ、流れの流動特性は特徴付けられ得、そして流体流の流動特性を変えるための調整手段が、力(例えば、圧縮力、湾曲力(sheer force)など)を増大または低下させるために導入され得、その結果、流体流に同調された粒子が、物理的に、生理的に、機能的に、または機械的に変化され得る。
【0033】
従って、流動経路について選択的に調整可能な範囲の流体流特性が、調整手段を使用して生じられ得、増分測定として表され得る。例えば、流動細胞計測器の文脈内または細胞分類機器の文脈内での流体流特性の変化は付加的に調整され得、1平方インチ当たりのポンドで測定され、代表的には、流体流速度もしくはシース流体速度の相応する増加または減少を伴って、約20ポンド/平方インチと100ポンド/平方インチとの間で流体流圧における付加的な増加または減少を可能にする。
【0034】
本発明の特定の実施形態に従って、特定の種の哺乳動物の精子細胞が、適切な流体流流動特性を有する流体流に同調される。次いで、流体流の流動特性が、同調された精子細胞が生存能力を維持する段々と測定された範囲にわたって、選択的に調整される。次いで、精子細胞受精特性が、複数の精子細胞サンプルの各々について評価され、測定された範囲内で生じた複数の流動特性の各々に相当すると解釈される。
【0035】
その後、哺乳動物種または哺乳動物種の個々のメンバー由来の精子細胞に関する精子細胞受精特性が制御され得、所望の精子細胞受精特性を有する精子細胞授精サンプルが、生成され得る。
【0036】
例えば、6頭の雄ウシ(bull)の各々由来の精子細胞を、Hoechst33342で34℃にて45分間染色し、そして30ポンド/平方インチ、 40psi、または50psiの圧力を有する流体流を用いて、約95%の精度で、X染色体保有集団またはY染色体保有集団(あるいは両方)に大量分類(bulk−sort)(部分集団への分類を行わない流動細胞計測器また細胞分類機器を通して)するか、または内径70μmのノズルを有する流動細胞計測器を用いて分類した。50psiから30psiへの流体流圧力の減少は、分類速度をわずか2〜3%しか低下させなかった。
【0037】
その後、精子細胞を5℃まで冷却し、そして遠心分離によって濃縮し、100μlカラム当たり約2×10総精子細胞で0.25mlストローに充填し、そして分類されていないコントロールと共に蒸気凍結方法を使用して凍結させた。その後、そのストロー中の精子細胞を解凍した。
【0038】
次いで、精子細胞を、進行性の運動性については解凍30分後および120分後に2人の観察者によって盲目的に、ならびに解凍105分後に流動細胞計測器によって、生存精子細胞パーセントについてはPI染色によって、ならびにHamilton Thorneシステムを使用して解凍後120分後にCASA分析によって、種々の精子細胞特性に関して評価した。全体の手順を2回繰り返した。
【0039】
階乗ANOVAは、雄ウシおよび圧力効果の両方が有意であったことを示した(P<0.005、表1)。
【0040】
(表1.分類中の異なるシステム圧力に対する解凍後の精子の応答
【0041】
【表1】

すべて統計上有意、P<0.005
側頭部変位の振幅
より大きい数は、硬さがより低くかつより正常な運動性を意味する。すべての応答において、雄ウシ間で典型的な相違があった。しかし、1つを例外として、処理による雄ウシの相互作用は小さく、このことは、知見が集団におけるほとんどの雄ウシに同様に当てはまることを意味する。圧力が増加するように漸進的に調整された流体流の流動特性は、実質的に測定されたすべての精子細胞受精特性に影響を及ぼしたが、高度に統計上有意なもののみが、表1にある。
【0042】
理解され得るように、約50psiで採取された精子細胞サンプルと約40psiで採取された生細胞サンプルとの間には、精子細胞の受精能の特性における大きな変化が存在し、次いで、約40psiと約30psiとの間の遙かに小さな変化が存在する。このことは、精子細胞受精能特性に対する効果が、線形的ではあり得ないことを示す。30psiにおいて記載されるフロー特性に曝されるウシ精子細胞に関しては、精子細胞受精能特性は、非ソートコントロールと実質的に同じであったか、または非ソートコントロールに匹敵し、およびいくつかのよりよい応答(精子細胞が、ウシ種の雌の授精または人工授精のために使用される場合)について、同様であった。類似の手順を、類似の結果および結論を有する種付けウシから得られた精子細胞を用いて行った。
【0043】
精子細胞受精能特性は、制御され得、哺乳動物から得られた精子細胞に関し得る。大部分の哺乳動物種について、流体ストリーム特性を変化させて、流体ストリーム圧を漸増して低下させることは、フローサイトメトリーまたは他の方法の状況におけるかどうかに拘わらず、精子細胞受精能特性を変化させた対応する等級付けした精子細胞サンプルを生じ得る。これは、以下に記載されるように、人工授精、体外受精、または細胞質内注入を含む種々の手順のために使用され得る。
【0044】
本発明は、二項応答(例えば、妊娠/非妊娠)を評価するために別の試験を提供する。この応答は、代表的には、処置の差異がかなり大きい場合を除いて、統計的有意性を得るために1回の処置あたり多数の動物を要する。処置の差異に起因して性別選択された精子の精子細胞受精能特性における差異を増幅し得る本発明の一実施形態は、授精前に、異なる処理の精子または雄の精子を混合し、そして各雄または処理に由来する胚、胎仔または子孫の生成を決定する、競合的な、または不均一精子の(heterospermic)受精能を含む。
【0045】
例えば、精子細胞をフローサイトメトリーによってまたは2つの異なる流体ストリーム圧でのDNA含有量についての細胞ソーティングによって性別選択した後の受精能は、遺伝子マーカーとして性別を使用する不均一精子の授精を使用して評価され得る。2匹の雄ウシの各々に由来する精子細胞を、X染色体保有集団またはY染色体保有集団にソートし、すなわち両方を、30psiまたは50psiのいずれかに調節した流体ストリーム圧によって約95%の正確度で、ソートした。遠心分離によりソート後の精子細胞を濃縮した後、30psiでソートした1×10のX染色体保有精子細胞を、各雄ウシについて50psiでソートした1×10Y染色体保有精子細胞と一緒に0.25mLのストローに入れ、同様に他のストローにおいては、逆を行った:30psiでの1×10Y精子+50psiでの1×10 X精子。これらの精子細胞は、ソートされていないコントロールとともに、次いで凍結し、数ヶ月後に融解し、85頭のホルスタイン未経産牛の子宮体内で授精させ、12または24時間後のいずれかには、2回の授精にわたってバランスを保った亜群で発情期を観察した。
【0046】
授精2ヶ月後、43頭の未経産牛のうちの81%が妊娠し、30psiで処理した精子の性別に対応する性別の胎仔(超音波により決定された)を妊娠した。このことは、2つの圧力でソートされた精子細胞の精子細胞受精能特性に差異があった場合、予測された50:50性別比とは異なったことを示す(P<0.01)。2×10精子/用量における性別選択された精子での妊娠率は、51%(43/85)であり;これは、同じ射出物に由来する20×10の雌雄選別されていない精子/用量の制御に類似した(39%(9/23))。
【0047】
本発明の別の実施形態は、卵割速度および制御された精子細胞受精能特性を有する精子細胞を使用する胚盤胞形成の速度を変化させる方法を提供する。2つのウシ精子細胞サンプル(各々、制御された受精能特性を有する)を、それぞれ、40psiおよび50psiにてウシ精子細胞をフローソーティングすることによって生成した。受精培地中での精子細胞濃度の用量応答を、各精子細胞サンプルに由来するX染色体保有精子細胞およびY染色体保有精子細胞を用いて行った。従って、2流体ストリーム圧、3つの精子細胞濃度(1×10精子/ml、0.33×10精子/mlおよび0.11×10精子/ml)、6頭の雄牛および2種の性別を含む多因子性手順を行い得る。
【0048】
約2,000個の卵母細胞を、屠殺場の卵巣からの約2mm〜約8mmの卵胞から吸引した。化学的に規定された培地(CDM)を、Journal of Animal Sciences,78:152−157(2000)(本明細書中に参考として援用される)によって記載されるように全体を通して使用した。成熟は、M−CDM(0.5% FAF−BSA、15ng/ml NIDDK−oFSH−20、1μg/ml USDA−LH−B−5、0.1μg/ml E、50ng/μl EGFおよび0.1mM システアミンを補充)中で、38.8℃および空気中5% COにおいて23時間の間に起こった。2×10細胞/ストローで凍結した、ソートした精子細胞を融解し、2mlの45% および2mlの90% Percoll勾配を通して、20分間、400gで遠心分離した。次いで、上清を廃棄し、2mlのFCDM(0.5% FAF−BSA、2mM カフェインおよび0.02% ヘパリンを補充)を精子ペレットに添加し、500gにて5分間遠心分離した。その上清を廃棄し、約50μlの精子懸濁液を残した。成熟卵母細胞を、FCDM中で1回洗浄し、鉱油の下にあるFCDMの25μlの液滴の中に、5μlで15の群に移した。受精は、一滴あたり10μlの精子懸濁液を38.8℃および空気中5% COにて18時間添加することによって起こった。予定運命の接合体を、CDM1中で2日間、およびCDM2中で4.5日間、38.5℃、5% O、5% COおよび90% N中で培養した。7.5日目に、胚盤胞発生を評価した:品質1〜4(1は、優秀および4は、不十分)および発生段階6〜8(6は、完全、6.5は拡張している、7は拡張した、7.5は脱出、および8は脱出した胚盤胞)。データ(表1)は、ANOVAおよびアークサイン変換後の一次偏差(first deviation)によって分析された。
【0049】
卵割(53.6および43.6%)ならびに胚盤胞(18.2および14.7%)の割合は、約50psiよりも約40psiで得られた制御された精子細胞特性を有する精子細胞を利用する手順についてより高かった(P<0.01)。用量と圧力との間には何ら相互作用はなく;従って、各精子濃度で圧力を低くすることは類似の利点があった。卵割および胚盤胞生成についての精子細胞濃度の明らかな用量応答が見いだされた(表2)。また、両方の応答について雄牛の中で大きな差異(P<0.01)があり、卵割%について雄牛×用量相互作用があった(P<0.01)。このデータは、精子用量が何頭かの雄牛について>1.0×10/mlであるべきであることを示す。胚の品質は、X精子よりもY精子がより高かった(P<0.01)(1.12 対 1.57)。他は、胚を性別鑑別した場合に、IVF胚についてこのことを示した。およびこの効果は、いまや、性別鑑定された精子で確認された。
【0050】
(表2.雄牛によって提示された、1卵母細胞あたりの卵割(%、C)および胚盤胞(%、B)データ)
【0051】
【表2】

a,b,c群内の共通する上付文字なしの値は、異なる(P<0.01)。
**ソートされた精子の受精能は、フローサイトメトリーによる精子ソーティングの間の機械的損傷に部分的に起因して、ソートされていないコントロール精子に比較して低かった。システム圧力を低下させることにより、IVFにおける精子品質および受精能の両方が改善した。現在の研究は、精子ソーティングの間のシステム圧力の影響を評価し、ICSI後の胚発生時の卵母細胞の成熟を長期化した。3頭の雄牛の各々に由来する精子を、34℃で125μM Hoechst 33342で45分間染色し、40psiまたは50psiのSX MoFlo(登録商標)ソーターの圧力を用いて、95%正確度でX染色体保有集団およびY染色体保有集団にソートし、次いで、低温保存した。1mlのCDM1(0.5% FAF−BSA、2mM グルコース、50ng/ml EGF、15ng/ml NIDDK−oFSH−20、1μg/ml USDA−LH−B−5、1μg/ml E2および0.1mM システアミンを補充)を有するウェルあたり、屠殺場の卵巣から得た50個のウシ卵母細胞を入れ、次いで、38.5℃、空気中5% COで24時間または30時間にわたって成熟させた。成熟卵母細胞の卵丘細胞(cumulus cell)を、ボルテックスすることにより除去し、極体を有する卵母細胞を、選択した。ソートした凍結融解精液からの運動性の精子を、45%および90%のPercollの各2mlによる遠心分離により回収し、その濃度を4×10/mlに調節した。成熟卵母細胞を、Piezo注射システムを使用して、2つの注射群(ICSIおよび偽注射)に分けた。精子注射ピペットの外径は、8〜10μmであった。全ての操作を、室温(24〜25℃)にて行った。注射後、卵母細胞を、5μM イオノマイシンで4分間活性化させ、5%CO,5%Oおよび90% Nの下で、50μlのCDM1中、38.5℃にて培養し、注射後72時間で卵割について評価した。ICSIおよび偽注射群からの卵割していない卵母細胞を、オルセインで染色し、受精状態について評価した。卵割した胚をさらに培養し、胚盤胞発生を、注射後7.5日目に評価した。データを、ANOVAに供し;アークサイン変換を、%データについて使用した。
【0052】
24時間成熟卵母細胞を用いると、40psiでソートした精子と、50psiでソートした精子との間には、卵割割合についても胚盤胞割合についても何ら差異はなく(P>0.1)、圧力×雄牛相互作用もなかった。研究した全ての応答について、雄牛の有意な影響はなかった(P<0.05)。40psiでソートした精子を注射した場合、30時間にわたって成熟させた卵母細胞は、24時間成熟卵母細胞よりも高い卵割割合を生じ(22.9% 対 12.2%、P<0.05)、胚盤胞割合においても何ら差異はなかった(P>0.1)。全体的な胚盤胞発生は、偽注射においてよりもICSIにおいてより高かった(7.5% 対 1.3%、P<0.05)。24時間成熟から卵割していない卵母細胞を、受精状態に関して評価した場合、ICSIは、偽注射と比較して、2つの極体および/または脱凝集精子を有するより高いパーセンテージを示した(15.7% 対 1.7%,P<0.05)。30時間成熟卵母細胞を用いても、それらの2群の間の受精状態において何ら差異はなかった。本発明者らは、40psi 対 50psiでソートした運動性精子を使用するICSI後に、卵割にも胚盤胞への発生にも何ら差異はないことを結論づける。
【0053】
本発明の別の実施形態において、遺伝子マーカーとしての性別を使用する不均一精子の授精を使用して、雄の受精能をランク付けし得、精子性別鑑定に関係しない精子処理の受精能をランク付けし得る。精子機能の現在のインビトロ試験は、雄の受精能と高くは相関せず、均一精子(homospermic)授精は、正確な受精能データを得るために、1回の処理につき、数百回もの授精を要する。2頭以上の雄牛の精子を混合する不均一精子の授精は、試験された大部分の種における相対的受精能の正確な予測を提供する。
【0054】
凍結された、4頭の雄牛の4群からのフローソートした精子を融解し、群内での3頭の全ての組み合わせ(ABC、ABD、ACD、BCD)において発情期が 始まって12時間または24時間後に、未経産牛に授精させた。同数の前進運動性の精子を、融解後の合計600,000の運動性精子を各雄牛から授精させた。各注入物の半分を、各子宮角に入れた。胚を、発情して14.5日後〜20日後に非外科的に回収した。回収により、332頭の未経産牛から165の伸長した胚を得た(48%)。多型DNAマーカーを使用して胚を遺伝子型決定し、各胚の生検の種牛を決定した。遺伝子型決定後、165個の胚のうち、118個を、特定の種牛に割り当てることができた。各雄牛群をランク付けするための不均一精子指数を、最尤分析定理を使用して計算した。群内の各雄牛を、これらの指数に基づいてランク付けした(表1)。群1において、最も乏しい雄牛の受精能は、2つの他の雄牛よりも有意に低かった(P<0.05)。群2において、優性の雄牛は、最も高い指数を有した(P<0.05)。類似の区別は、群3および4において行うことができた。しかし、その群の3つにおいて、何頭かの雄牛の受精能は、明らかに高くも低くもなかった(P>0.05)。
(表1.群内の個々の雄牛の不均一精子指数±SE)
【0055】
【表3】

a,b 共通する上付文字がない指数は、異なる,P<0.05。
【0056】
これらの手順を用いると、4頭の雄牛の1群あたり30の遺伝子型決定した胚の平均は、明らかに異なる受精能を有する雄牛の検出を可能にした。精子処理をまた、この技術で評価することができた。いくらかのメスを必要とするこのインビボ試験は、どの雄牛が比較的高いまたは低い受精能を有するかに関する情報を迅速に提供する。
【0057】
本発明に従って性別選択した精子細胞を用いたメスの人工授精によって得られた仔牛の集団は、性別鑑別されていない選択された精子細胞を使用するコントロールと実質的に同一である。さらに、性別選択した精子を用いたメスの人工授精は、計画した性別の仔牛の約90%を生じた。上記のように、精子細胞は、フローサイトメトリーまたはH33342での染色後の細胞ソーティングによるDNA含有量に基づいて性別選択され得る。その性別選択された精子細胞は、次いで、Theriogenology,52:1375(
)(本明細書中に参考として援用される)において記載されるように低温保存され得る。
【0058】
発情期を、種々の肉用牛および乳用牛の未経産牛および雌牛に、0.5mg 酢酸メレンゲストロール(MGA)を毎日14日間与え、次いで、その後17〜19日に25mg プロスタグランジンF(PGF)を筋肉内で与えることによるか、または12日間隔で25mg PGFの筋肉注射のいずれかによって、同期化し得た。凍結融解性別選択された授精サンプルまたは同じ射出物由来の凍結融解精子のいずれかを用いた授精を、発情を最初に観察して12時間または24時間のいずれかで行った。各飼育群について、その授精の約2/3を、性別鑑別した精子を用いて行い、一方コントロール精子を、残りにおいて使用した。妊娠および胎仔性別を、2ヶ月後に超音波診断した。
【0059】
畜牛を、異なる管理レベルの下で、分娩および離乳を通して13カ所の農場で管理した(1農場につきN=49〜228)。収集したデータには、妊娠期間の長さ、出生時体重、分娩の容易さ(1=正常〜4=帝王切開)、離乳時体重、新生仔死亡、および出生時から離乳時までの死亡を含めた。全ての農場が、出生時体重および離乳時体重を記録したわけではなかった。データを、以下の因子で分散の要因分析に供した:管理群、ソートした精子 対 コントロール精子、および仔牛の性別。アークサイン変換を、パーセンテージデータについて使用した。最小2乗平均を、表1に示す。
【0060】
(表1.性別鑑定した仔牛およびコントロール仔牛からの分娩結果)
【0061】
【表4】

あらゆる応答について有意差なし(P>0.1)。
【0062】
研究したあらゆる応答について、性別鑑定した群 対 コントロール群に由来する仔牛の間には何ら有意差がなく(P>0.1)、有意な相互作用もなかった。研究した全ての応答について、管理群の有意な影響があった(離乳時に生存している全ての期待%についてP<0.001、P<0.02)。また、出生時体重:32.2kgおよび35.5kg;離乳時体重:232kgおよび246kg;分娩の困難さ:1.20および1.42;ならびに妊娠期間278日および280日について、雌の仔牛と雄の仔牛との間には有意差があった(全てP<0.001)。
【0063】
コントロール仔牛の性別比は、51.0% 雄(N=382)であった。Xソート精子は、87.7% 雌を生じ、一方、Yソート精子は、93.6%雄を生じた(N=94)。出生時に死亡したいくらかの仔牛は、性別を記録しておらず、含めなかった。
【0064】
種牛の精子のフローサイトメトリーによる分離が最近発達したことにより、予め選択された性別を有する正常仔の生成がもたらされた(Lindsey A.C.,Morris L.H.,Allen W.R.,Schenk J.L.,Squires E.L.,Bruemmer J.E.Equine vet.J.2002,34:128−132)。この技術が利用しやすいので、精子は、フローサイトメーターから雌牛に移されている。この研究は、性別の予備選択後の新鮮な種牛の精子の寿命および先体状態を試験した。7頭の種牛の各々からの3つの射出物を、人工膣により回収し、スキムミルク−グルコース増量剤(1:1 v/v)中で、20℃で、2〜6時間の間に研究室に輸送した。この精液を、400gにて10分間遠心分離し、精漿を除去した。精子ペレットを、Kenneys改変タイロード培地(KMT)中で100×10/mlに再懸濁し、Hoechst 33342(5mg/ml、Sigma−Aldrich,St.Louis MO)で染色し、30分間インキュベートし、フローサイトメトリーに供した。ソートした精子を遠心分離し、4℃または20℃での48時間保存のために、KMT中で250μlのアリコートにおいて40×10mlに再懸濁した。精子の総前進性運動(TPM)および先体状態を、ソートする前、ならびにソートして0時間後、2時間後、12時間後、24時間後、36時間後および48時間後に評価した。そのTPMを、顕微鏡で評価し、先体を、FITC−PNA(Sigma−Aldrich)で染色し、インタクト、斑状または喪失として分類した。種牛、時間および保存温度の影響を、Proc GLM手順を使用して分析しおよび最小平均比較を行った(SAS Institute)。
【0065】
時間がたつにつれて、精子運動性およびインタクトな先体の割合に関して、種馬の影響があった(p=0.03)。精子をHoechst 33342で染色およびインキュベートすると、インタクトな先体の割合の減少がもたらされた(表1)。しかし、ソート後に観察されたインタクトな先体の割合は、ソート前の精子集団より高かった。ソート後48時間の間に失われた先体が増加する(p<0.0001)につれて、インタクトな先体の割合は減少した(p<0.0001)が、斑状の先体の割合に対する時間の影響は何らなかった。ソート後の精子保存温度の有意な影響があり、その結果、20℃で12時間の保存が、4℃での保存より高い運動性を生じた。フローサイトメトリーによる精子の性別ソーティングは、新鮮な精子に等しく、24時間にわたって先体完全性を維持し得る精子の集団の選択がもたらされた。FACS分離後12時間にわたる精子の寿命の維持は、性別ソートされた精子を、フローサイトメーターの部位からいくらかの距離に位置した雌牛に移すことを可能にするはずである。
【0066】
(表1.経時的なフローソートした精子の運動性および先体状態)
【0067】
【表5】

a,b 異なる上付文字を有する欄内の値は、有意に異なる(p<0.05)。
【0068】
予め決定された性別の仔牛は、正確かつ信頼性が高く研究設定において生成された(Lindseyら,Equine Vet.J.2002,34:128−132)。性別ソートされた精子は、産業によって、しかし凍結/融解された性別ソートされた精子が利用可能であった場合、より効率よく利用される。この研究の目的は、15℃で18時間保存し、フローソートし、次いで凍結した精子の運動特性を、18時間15℃で輸送した直後に低温保存した精子と比較することであった。5頭の種馬の各々に由来する2つの射出物を、使用した。収集後、両方の処理についての精子を、Kenney+改変タイロード(KMT)培地中で25×10/mLに増量し、15℃で18時間、水浴中に保存した。保存後、精子を、600gで10分間遠心分離する前に、周囲温度(約22℃)に到達させた。精漿を除去し、精子ペレットを、500×10/mlにKMT中で再懸濁した。このサンプルから精子のアリコートを取り出し(コントロール)、スキムミルク、卵黄中で87×10/mlに増量し、凍結増量し(4%グリセロール;FR5)、液体窒気体中で凍結する前に90分間にわたり5℃までゆっくりと冷却した。精子の第2のアリコート(フローソートした)を、KMT中で100×10/mlに増量し、Hoechst 33342(5mg/ml、Sigma−Aldrich,St.Louis MO)で染色し、30分間インキュベートし、その後、フローサイトメトリーによりソートした。ソートした精子を、850gで20分間遠心分離し、FR5中で87×10/mlに再懸濁し、低温保存する前に、90分間にわたって5℃までゆっくりと冷却した。両方の処理についての精子を0.25mlストローに詰め、各ストローには、2000万の精子を含めた。精子を、融解して30分および90分後に、可視的な前進運動性(2回の観察)について(盲検的に)評価した。各ストローからの精子のアリコートを、両方、KMTおよび2mMカフェインを含むKMT中に希釈した。サンプルを、評価する前に、37℃で5〜10分間平衡化した。各処理の第2のストローを、Hamilton−Thorn Motility Analyzer(CASA)を用いて(カフェインありまたはなしで)評価した。結果を、表1に示す。運動パラメーターの差異を、ANOVAにより決定した。大部分の測定した応答に従って、フローソーティングは、精子運動性に対して有害であった。さらに、2mM カフェインは、多くの精子応答を改善した。カフェインがコントロール精子よりもソートされた精子について、よりいくらかの応答を改善したことにより、相互作用があった。従って、ソーティングにより引き起こされた損傷は、カフェインにより部分的に補償され得る。類似の補償が、雌牛の生殖管において起こり得る可能性がある。保存された、低温保存された種牛精子の受精能を、低温保存前に保存およびソートされた精子の受精能と比較する研究が現在進行している。
【0069】
【表6】

a,b,c,d 共通する上付文字なしの同じ欄における値は、異なる(P,0.05)。
C−処理は、2mM カフェインを用いて刺激した。
【0070】
プロゲステロンCIDRを12〜14日膣に挿入することによって、コロラド州およびミネソタ州の雌エルク(cow elk)3〜6年齢を、9月の発情期について同調させた。CIDRを除去する際に、200IUのeCGを筋内投与し、60時間後にエルクに時限受精(timed−inseminate)させた。5年齢雄エルク(bull elk)から電気的射精を通じて新鮮な精液を回収し、ニートな射精液として精子分類研究室(sperm−sorting laboratory)に輸送するために、4時間かけてゆっくりと約20℃まで冷却した。この射精液を、1.5mlアリコートを10秒間、15,000×gで遠心分離することによって系統化(straining)のために、1×10精子/mlに濃縮した。精液を、34℃で45分間、112μM Hoechst 33342を200×10精子/mlで含むTALP培地中でインキュベートし、次いで、分類のために、100×10個/mlに希釈した。X染色体保有精子およびY染色体保有精子の異なるDNA含量に基づき、精子を分類した。X染色体保有エルク精子は、Y染色体保有精子よりも3.8%多いDNAを含んでいた。MoFlo(登録商標)SXを用いて(TRISベースのシース流体を用いて50psiで操作)、精子を4時間かけてフロー分類(flow−sort)した。351帯域および364帯域のアルゴンレーザーを150mWで照射することにより、DNAに結合したHoechst 33342色素を励起させた。X染色体保有精子およびY染色体保有精子の両方(超音波処理した精子アリコートをDNAについて再分析することによって確認した場合、約92%純度)を、約4,700精子/秒で、2mlの20%卵黄TRISエクステンダーを含むチューブに回収した。分類した15ml量を、連続的に回収した。各々の性の約110×10精子を分類し、そして90分かけて5℃まで冷却した。等量のグリセロール(12%)含有エクステンダーを、5℃にて分類した容量に添加した。30mlを含有する分類した精子アリコートを、4℃で20分間、850×gで遠心分離することによって濃縮した。精子ペレットをプールし、21.7×10精子/mlに調整し、そして0.25mlストローに充填した。合計5×10精子を含有する各ストローを液体窒素蒸気中で凍結した。コントロールとして、同じ射精液由来の合計5×10精子を、有性精子と同じ時間、0.25mlストロー中で凍結させた。37℃で30秒間解凍した後、65%および60%の精子(それぞれ、コントロールおよび有性)は、徐々に運動しだした(目視による見積もりにより決定)。3つの異なる場所および管理スキームのウシ(cow)を、慣用的な子宮体における大腿骨頸部精子堆積法を用いて受精させた。妊娠特異的プロテインB(Bio Tracking,Moscow,Idaho)について血液をアッセイすることによって、妊娠を受精の40日後に決定した。1つの場所の10匹のウシ(cow)は、受精時に乏しい条件に置き、有性精子においてもコントロール精子においても妊娠が達成されなかった。他の場所での有性精子による妊娠率(61%;11/18)は、コントロールの受精(50%;3/6)と類似していた。これらの妊娠率(有性およびコントロール)は、通常のエルク人工授精において使用されるよりも少ない精子から生じた。11匹中9匹(82%)の有性仔ウシ(calf)は、予測された性別であった。
【0071】
本発明はさらに、本発明の上記実施形態のいずれかに従って生産された哺乳動物、またはX染色体保有精液細胞の濃縮集団またはY染色体保有精子細胞の濃縮集団のいずれかを有する精子細胞受精サンプルを提供する本発明の種々の実施形態に従う予め決定された性別の哺乳動物、または、精子細胞受精サンプルが哺乳動物の特定の種を使用する受精に使用される代表的な数と比較して少数の精子細胞を含有する本発明の任意の実施形態において生産される哺乳動物、または上記の本発明に従って生産されるエルク子孫を包含し得る。
【0072】
前述から容易に理解され得るように、本発明の基本概念は、種々の方法で具体化され得る。その方法は、精子細胞処理を達成する技術およびデバイスの両方を含む精子細胞処理系を包含する。この適用において、種々の精子細胞処理技術が、記載される種々のデバイスにより達成されることが示された結果の一部としておよびその用途に特有の工程として開示されている。これらは単に、意図され記載されるようなデバイスを用いた自然な結果である。さらに、いくつかのデバイスが開示されているが、これらは特定の方法を達成しただけでなく、多くの方法で変更され得ることが理解されるべきである。重要なことは、前述の全てに関して、これらの局面の全てが、本開示により包含されることが理解されるべきである。
【0073】
この非仮出願に含まれる議論は、基礎的な記載として利用されることを意図している。読者は、詳細な説明が、可能性のある全ての実施形態を明示的に記載し得ず;多くの代替物が暗示されていることを認識するはずである。また、この説明が、本発明の全体的な性質を十分に説明し得ず、かつどの程度、各々の特徴または要素がより広範な機能または多くの種々の代替要素もしくは等価要素を実際に代表し得るかを明示的に示し得ない。繰り返すが、これらは、本開示に暗示的に含まれれている。本発明がデバイス指向技術において記載されている場合、そのデバイスの各エレメントは、機能を暗黙のうちに実施する。装置クレームは、記載されるデバイスを包含し得るだけでなく、方法クレームまたはプロセスクレームもまた、本発明および各エレメントが実施する機能を発揮することを含み得る。説明も用語も、特許出願全体に含まれるクレームの範囲を限定することを意図していない。
【0074】
本発明の本質から逸脱することなく種々の変更がなされ得ることもまた理解されるはずである。このような変更もまた、この説明に暗示的に含まれる。これらはなおも、本発明の範囲内に含まれる。示される明示的な実施形態、多くの種々の暗示される代替の実施形態、および広範な方法またはプロセス等を含む広範な開示が、本開示により包含される。
【0075】
さらに、本発明およびクレームの種々の各要素もまた、種々の様式で達成され得る。本開示は、各々のこのようなバリエーションを包含すること、それが任意の装置実施形態、方法実施形態、もしくはプロセス実施形態の実施形態のバリエーションであること、またはこれらの任意の要素のバリエーションでさえあることが理解されるはずである。特に、本開示は、本発明の要素に関するので、各要素についての用語は、等価な装置用語または方法用語により表現され得る(機能または結果のみが同じであったとしても)ことが理解されるはずである。このような等価な用語、より広範な用語、またはより一般的な用語でさえも、各要素または作用の説明に包含されるとみなされるはずである。このような用語は、所望の場合、本発明に与えられる権利の暗示的に広範な範囲を明示することで置換され得る。実施例は1つではないので、全ての作用が、その作用を起こす手段としてまたはその作用を引き起こす要素として表現され得ることが理解されるはずである。同様に、開示される各々の物理的要素は、その物理的要素が促進する作用の開示を包含することが理解されるはずである。この最後の局面に関して、実施例は1つではないので、「フローソーター(flow−sorter)」の開示は、「フロー分類(flow−sorting)」の作用の開示を包含する(明示的に議論していようがなかろうが)ことが理解されるはずである。逆に言うと、「フロー分類」の作用の開示が有効に存在する場合、そのような開示は、「フローソーター」の開示および「フロー分類手段」の開示さえも包含することが理解されるはずである。このような変更および代替用語は、この説明に明示的に含まれることが理解されるはずである。
【0076】
本願において特許について言及される法律、法令、規定、もしくは規則の任意の行為;または本願において特許について言及される特許、刊行物、もしくは他の参考文献は、本明細書中に参考として援用する。さらに、使用される各用語に関して、本願におけるその使用がこのような解釈と矛盾しない限り、一般的な辞書の定義が、各用語について組み込まれていると理解されるべきであり、全ての定義、代替用語、および類義語(例えば、Random House Webster’s Unabridged Dictionary,第二版に含まれるようなもの)が、本明細書中に参考として援用される。最後に、「仮特許出願に従って参考として援用される参考文献」リストに列挙される全ての参考文献、または本願と共に提出された他の情報陳述が、本明細書に添付され、かつ本明細書中に参考として援用される。しかし、上述の各々に関して、参考として援用されるこのような情報または陳述がこの/これらの発明の特許化と矛盾すると解釈され得る程度まで、このような陳述が、本出願人によりなされたと明示的にみなされないべきである。
【0077】
従って、本出願人は、少なくとも:i)本明細書中に開示され記載されているような精子細胞処理デバイスの各々、ii)開示され記載される関連方法、iii)これらのデバイスおよび方法の各々の類似のバリエーション、等価なバリエーション、および暗示されるバリエーションでさえ、iv)開示され記載されるような示される各機能を達成する代替設計、v)開示され記載されるものを達成することが暗示されているような示される各機能を達成する代替設計および方法、vi)別個の独立した発明として示される各特徴、要素、および工程、vii)開示される種々のシステムおよび要素によって強化される応用、viii)このようなシステムまたは要素によって生産される、得られる産物、およびix)本明細書中および添付の実施例のいずれかを参照して以前に実質的に記載された方法および装置、x)開示される各要素の種々の組み合わせおよび順列、ならびにxi)各々の潜在的に従属するクレームまたは提示される独立クレームもしくは概念の各々およびそれら一つずつに対する従属としての概念、を主張していることが理解されるはずである。これに関して、実施上の理由のためおよび潜在的な数百ものクレームを追加することを回避するため、本出願人は、最終的に、最初の従属のみを有するクレームを提示し得ることが理解されるはずである。サポートは、新規事項に関する法律(欧州特許条約第123条第2項および米国特許法第132条または他のこのような法律が挙げられるがこれらに限定されない)の下で、任意の種々の従属または1つの独立クレームもしくは概念の下で任意のほかの独立クレームまたは概念の下にある従属または要素として提示される他の要素の追加が許可されるために必要とされる程度に存在することが理解されるはずである。さらに、使用される場合、他動詞的用語「〜を含む」の使用は、従来のクレーム解釈に従って、本願において「開放」クレームを維持するために使用される。従って、その内容がそうでないことを必要としない限り、用語「〜を含む」またはそのバリエーション(例えば、「包含する」等)は、言及される要素もしくは工程または要素もしくは工程のグループの包含を意味し、任意の他の要素もしくは工程または要素もしくは工程のグループの排除を意味しないことが意図される。このような用語は、それらの最も広範な形態において、本出願人に、法的に許容される最も広い権利範囲を与えるよう解釈されるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−213719(P2010−213719A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117830(P2010−117830)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【分割の表示】特願2004−526449(P2004−526449)の分割
【原出願日】平成15年8月1日(2003.8.1)
【出願人】(500308473)エックスワイ,エルエルシー (17)
【出願人】(502448513)コロラド ステート ユニバーシティ (2)
【Fターム(参考)】