説明

低屈折率シリカ系被膜形成用組成物

【課題】 固体撮像素子のレンズの保護膜、光導波路などの光学部材に使用される低屈折率層を形成することができる低屈折率シリカ系被膜形成用組成物を提供する。
【解決手段】 低屈折率シリカ系被膜形成用組成物は、シロキサンポリマーと、アルキル4級アミンとを含む。上記シロキサンポリマーとしては、
SiX4−n (1)
(式中、Rは独立してHまたは1価の有機基、Xは加水分解性基を表し、nは0〜2の整数を表し、複数個のRは同一でも異なっていてもよい)
で表される少なくとも1種のシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物を好ましく用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低屈折率シリカ系被膜形成用組成物に関し、例えば固体撮像素子のレンズの保護膜、光導波路などの光学部材に使用される低屈折率層を形成することができる低屈折率シリカ系被膜形成用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、固体撮像素子等におけるレンズの保護膜、光導波路などには、低屈折率層が用いられている。このような低屈折率層は、CVD法を用いる方法、塗布法を用いる方法等がある。中でも、塗布法を用いる方法は、簡便であるため、塗布法で用いられる材料が求められている。このような、塗布法を用いている材料は、例えば、特許文献1、2に開示されている。
【特許文献1】特開2002−9266号公報
【特許文献2】特開2004−91579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記塗布法で用いられる材料では、十分低い屈折率を得ることができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、低屈折率を達成することができる低屈折率シリカ系被膜形成用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の低屈折率シリカ系被膜形成用組成物は、シロキサンポリマーと、アルキル4級アミンとを含むことを特徴としている。
また、他の形態として、本発明の低屈折率シリカ系被膜形成用組成物は、シロキサンポリマーと、熱分解性成分と、金属化合物と、を含むことを特徴としている。
また、さらに他の形態として、本発明の低屈折率シリカ系被膜形成用組成物は、シロキサンポリマーと、熱分解性成分と、塩基発生剤または酸発生剤から選択される少なくとも1種と、を含むことを特徴としている。
なお、本明細書における低屈折率とは、波長633nmの光に対する屈折率が1.2以下であることを示す。
【発明の効果】
【0006】
本発明の低屈折率シリカ系被膜形成用組成物よれば、低屈折率のシリカ系被膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[第1の実施形態]
本実施形態に係る低屈折率シリカ系被膜形成用組成物は、シロキサンポリマーと、アルキル4級アミンとを含むものである。
【0008】
本実施形態に係るシロキサンポリマーは、SiO単位を主骨格とするポリマーである。このシロキサンポリマーとしては、例えば、下記式(1)
SiX4−n (1)
(式中、RはHまたは1価の有機基、Xは加水分解性基を表し、nは0〜2の整数を表し、複数個のRは同一でも異なっていてもよい)
で表される少なくとも1種のシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物が挙げられる。
さらに、一般式(1)で表される化合物には、n=0の化合物が含まれていることが好ましい。これにより、機械強度をより向上させることができる。
また、n=1、2の場合には、Rが1価の有機基であるものを用いることが好ましい。
【0009】
上記Rの1価の有機基としては、炭素数1〜20の有機基が挙げられる。この有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などや、グリシジル基、グリシジルオキシ基等のエポキシ含有基、アミノ基、アルキルアミノ基等のアミノ含有基などで置換した基を挙げることができる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等の炭素数1〜6のものが好ましく、特にはメチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
上記Xの加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基、ビニロキシ基、2−プロペノキシ基等のアルケノキシ基、フェノキシ基、アセトキシ基等のアシロキシ基、ブタノキシム基等のオキシム基、アミノ基などを挙げることができる。これらの中で炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、特に加水分解、縮合時の制御のし易さから、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基が好ましい。
上記反応生成物の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準、以下同様。)は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、より好ましい範囲は1000〜5000である。
【0010】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリ−iso−プロポキシシラン、トリ−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブトキシシラン、トリ−tert−ブトキシシラン、トリフェノキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、フルオロトリ−n−プロポキシシラン、フルオロトリ−iso−プロポキシシラン、フルオロトリ−n−ブトキシシラン、フルオロトリ−sec−ブトキシシラン、フルオロトリ−tert−ブトキシシラン、フルオロトリフェノキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシランなど;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−iso−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、ビニルトリ−tert−ブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチル−i−トリエトキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−トリフルオロプロピルトリエトキシシランなど;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル−ジ−エトキシシラン、ジフェニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−n−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−トリフルオロプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0011】
上記化合物(1)のうち好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、トリメチルモノエトキシシラン、トリエチルモノメトキシシラン、トリエチルモノエトキシシラン、トリフェニルモノメトキシシラン、トリフェニルモノエトキシシランが挙げられる。
【0012】
上記一般式(1)の化合物は、有機溶媒中にて、水、触媒とを混合することにより加水分解、部分縮合され、シロキサンポリマーとすることができる。
この有機溶媒としては、後述する有機溶媒が挙げられる。
また、触媒としては、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基などを挙げることができる。
有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができる。
無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げることができる。
また、有機塩基としては、例えば、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルメタノールアミン、N−エチルメタノールアミン、N−プロピルメタノールアミン、N−ブチルメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N−プロピルプロパノールアミン、N−ブチルプロパノールアミン、N−メチルブタノールアミン、N−エチルブタノールアミン、N−プロピルブタノールアミン、N−ブチルブタノールアミン、N,N−ジメチルメタノールアミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,N−ジプロピルメタノールアミン、N,N−ジブチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルプロパノールアミン、N,N−ジブチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルブタノールアミン、N,N−ジエチルブタノールアミン、N,N−ジプロピルブタノールアミン、N,N−ジブチルブタノールアミン、N−メチルジメタノールアミン、N−エチルジメタノールアミン、N−プロピルジメタノールアミン、N−ブチルジメタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−プロピルジプロパノールアミン、N−ブチルジプロパノールアミン、N−メチルジブタノールアミン、N−エチルジブタノールアミン、N−プロピルジブタノールアミン、N−ブチルジブタノールアミン、N−(アミノメチル)メタノールアミン、N−(アミノメチル)エタノールアミン、N−(アミノメチル)プロパノールアミン、N−(アミノメチル)ブタノールアミン、N−(アミノエチル)メタノールアミン、N−(アミノエチル)エタノールアミン、N−(アミノエチル)プロパノールアミン、N−(アミノエチル)ブタノールアミン、N−(アミノプロピル)メタノールアミン、N−(アミノプロピル)エタノールアミン、N−(アミノプロピル)プロパノールアミン、N−(アミノプロピル)ブタノールアミン、N−(アミノブチル)メタノールアミン、N−(アミノブチル)エタノールアミン、N−(アミノブチル)プロパノールアミン、N−(アミノブチル)ブタノールアミン、メトキシメチルアミン、メトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシメチルアミン、エトキシエチルアミン、エトキシプロピルアミン、エトキシブチルアミン、プロポキシメチルアミン、プロポキシエチルアミン、プロポキシプロピルアミン、プロポキシブチルアミン、ブトキシメチルアミン、ブトキシエチルアミン、ブトキシプロピルアミン、ブトキシブチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラプロピルエチレンジアミン、テトラブチルエチレンジアミン、メチルアミノメチルアミン、メチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルアミノブチルアミン、エチルアミノメチルアミン、エチルアミノエチルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノブチルアミン、プロピルアミノメチルアミン、プロピルアミノエチルアミン、プロピルアミノプロピルアミン、プロピルアミノブチルアミン、ブチルアミノメチルアミン、ブチルアミノエチルアミン、ブチルアミノプロピルアミン、ブチルアミノブチルアミン、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モルホリン、メチルモルホリン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセンなどを挙げることができる。
無機塩基としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどを挙げることができる。
【0013】
上記触媒の量は、例えば、加水分解反応の反応系中の濃度が1〜1000ppm、特に5〜800ppmの範囲になるように調製すればよい。
また、水の添加量は、一般式(1)の化合物全体における加水分解基1モル当たり、1.5〜4.0モルの範囲が好ましい。
【0014】
また、一般式(1)の化合物を加水分解反応させた場合には、加水分解によって生じたアルコール、存在する水を除去することが好ましい。上記加水分解によって生じたアルコール、水を除去することにより、保存安定性、成膜性を向上させることができる。このアルコールおよび水の除去は、減圧蒸留による方法が好ましい。該減圧蒸留は真空度39.9×10〜39.9×10Pa(約30〜300mmHg)、好ましくは66.5×10〜26.6×10Pa(約50〜200mmHg)、温度20〜100℃で行うのが好ましい。上記加水分解によって生じたアルコールおよび水は、例えば、低屈折率シリカ系被膜形成用組成物中10質量%以下、好ましくは5質量%、より好ましくは2質量%以下まで除去することが好ましい。
【0015】
本実施形態に係るアルキル4級アミンとしては、下記式(2)で表されるものが挙げられる。このアルキル4級アミンは、1種または2種以上を含んでいてもよい。

・K (2)
(ここで、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、1価の有機基であり、Kはカウンターアニオンである)
上記R、R、R、Rとしては、それぞれ独立して、1価の有機基が挙げられる。この1価の有機基としては、炭素数1〜20の有機基が挙げられる。この有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基等の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、アミノ基、アルキルアミノ基等のアミノ含有基などで置換した基を挙げることができる。
また、Kとしては、アルキルカルボン酸アニオン、アリールカルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオン等が挙げられる。
これらのアニオンにおけるアルキルとしては、炭素数1〜30の直鎖状、分岐鎖状、単環状または縮合多環状アルキル基が挙げられ、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4−デシルシクロヘキシル基などを挙げることができる。
これらのアニオンにおけるアリールとしては、ヘテロ原子を含んでよい炭素数4〜18の単環または縮合多環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピロリル基、6−インドリル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、4−キノリニル基、4−イソキノリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−アクリジニル基、3−フェノチアジニル基、2−フェノキサチイニル基、3−フェニキサジニル基、3−チアントレニル基等を挙げることができる。
これらのアニオンにおけるアラルキルとしては、炭素数6から18のアラルキル基が挙げられ、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アンスリルメチル基、ナフチルエチル基、アンスリルエチル基等が挙げられる。
このアルキル4級アミンを添加することにより、低屈折率のシリカ系被膜を形成することができる。
また、このアルキル4級アミンは、熱分解温度が300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましい。また、熱分解温度が150℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましい。アルキル4級アミンとして好ましいものとしては、ラウリルトリメチルアンモニウムアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルアンモニウムアセテート等が挙げられる。これにより、300℃以下でホットプレート等における簡便なベークにより、低屈折率シリカ系被膜を形成することができる。
このアルキル4級アミンの使用量は、低屈折率シリカ系被膜形成用塗布液における固形分(SiO換算質量)に対して、25〜250質量%が好ましく、50〜200質量%がより好ましい。
【0016】
本発明の低屈折率シリカ系被膜形成用組成物は、有機溶媒等の溶媒を含有していることが好ましい。この有機溶媒としては、例えばn−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒;エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のエステル系溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトン等の含硫黄系溶媒等を挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
本発明において溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、低屈折率シリカ系被膜形成用組成物における全固形分濃度が、1〜30質量%程度となるように調製することが好ましく、5〜25質量%程度に調製することがより好ましい。上記の濃度範囲にすることにより、塗膜の膜厚が適当な範囲にすることができ、保存安定性もより優れるものとすることができる。
また、溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールプロピルエーテル(PGP)、3−メトキシブチルアセテート、n−ブタノール(BuOH)、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸ブチル、プロピレングリコールジメチルエーテル、イソプロピルアルコールを用いることが好ましい。これらの溶媒は、用いられる全溶媒中1〜100質量%程度が好ましく、5〜30質量%程度がより好ましい。
これらのなかでも、3−メトキシブチルアセテート、メチルエチルケトン、アセトンは、低屈折率シリカ系被膜形成用組成物の保存安定性を向上させ、ゲル化を防止することができる。PGMEA、PGP、BuOHは塗布性、均一性を向上させることができる。これらを混合することによりそれぞれの特性を生かすことも出来る。
【0017】
また、本発明の低屈折率シリカ系被膜形成用組成物には、塗布性の向上やストリエーション防止のための界面活性剤を添加してもよい。この界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、さらには、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを挙げることができる。
【0018】
[第2の実施形態]
本実施形態に係る低屈折率シリカ系被膜形成用組成物は、シロキサンポリマーと、熱分解性成分と、金属化合物と、を含むものである。
つまり、第1の実施形態におけるアルキル4級アミンを、熱分解性成分および金属化合物に置き換えたものであり、その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0019】
本実施形態に係る低屈折率シリカ系被膜形成用組成物は、熱分解性成分を含む。この熱分解性成分は、1種または2種以上含んでいてもよい。
上記熱分解性成分とは、焼成時に熱分解し、形成されるシリカ系被膜をポーラスにすることができる成分である。そして、その分解温度の上限値としては、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。また、その分解温度の下限値としては、150℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。
【0020】
この熱分解性成分としては、ポリアルキレングリコールおよびその末端アルキル化物、6単糖類誘導体1個ないし22個からなる単糖類、二糖類、多糖類またはその誘導体、自らが分解してガスを発生する過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物等が挙げられる。
上記ポリアルキレングリコールにおけるアルキレン基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの低級アルキレングリコールが挙げられる。
ポリアルキレングリコールの末端アルキル化物とは、ポリアルキレングリコールの片末端または両末端の水酸基がアルキル基によってアルコキシ化されたものである。末端のアルコキシ化物に用いられるアルキル基は直鎖状又は枝分かれ状のアルキル基であってよく、その炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。特に、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0021】
上記ポリアルキレングリコールおよびその末端アルキル化物は、質量平均分子量(Mw)は100〜10000が好ましく、200〜5000がより好ましく、400〜4000がさらに好ましい。Mwを上記範囲の上限値以下とすることにより、塗布液における相溶性を損なうことなく良好な塗布性が得られ、シリカ系被膜の膜厚均一性が良くなる。上記範囲の下限値以上とすることにより、シリカ系被膜をポーラスにすることができ、低誘電率化が可能となる。
また、熱分解性成分の使用量は、低屈折率シリカ系被膜形成用塗布液における固形分(SiO換算質量)に対して、25〜250質量%が好ましく、50〜200質量%がより好ましい。
【0022】
本実施形態に係る低屈折率シリカ系被膜形成用組成物は、金属化合物を含有している。この金属化合物は、1種または2種以上を用いてもよい。この金属化合物を含有することにより、低屈折率シリカ系被膜形成用組成物から形成されるシリカ系被膜の誘電率を低下させ、電気特性が向上させるとともに、膜厚均一性を向上させることができる。
さらに、低屈折率シリカ系被膜形成用組成物の保存安定性を向上させることができるという効果も奏する。さらにまた、低屈折率シリカ系被膜形成用組成物の脱ガスを抑制することができるという効果も奏する。
上記金属化合物における金属としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が挙げられる。これらの中でも、一価のアルカリ金属が好ましいものとして挙げられる。さらに、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等を挙げることができ、これらの中でも、特にルビジウム、セシウムが特に好ましいものとして挙げられる。
これらの金属化合物としては、例えば、上記金属の有機酸塩、無機酸塩、アルコキシド、酸化物、窒化物、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、弗化物、ヨウ化物)、水酸化物等が挙げられる。
上記有機酸としては、例えば、ギ酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、ブチル酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸、シクロヘキサプロピオン酸、シクロヘキサン酢酸、ノナン酸、リンゴ酸、グルタミン酸、ロイシン酸、ヒドロキシピバリン酸、ピバリン酸、グルタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ピメリン酸、コルク酸、エチルブチル酸、安息香酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、ヒドロキシ安息香酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラギン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リシノール酸などが挙げられる。
上記無機酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、炭酸、リン酸等が挙げられる。
また、アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等が挙げられる。
上記金属化合物としては、無機酸塩、ハロゲン化物が好ましく、硝酸塩であることが特に好ましい。上記金属化合物としては、特に、硝酸ルビジウムが好ましい。
これらの金属化合物は、シリカ系被膜形成用組成物におけるシロキサンポリマー(固形分(SiO換算質量))に対して、1〜15質量%含まれることが好ましく、5〜10質量%含まれることがより好ましい。こ
【0023】
上記のように、低屈折率シリカ系被膜形成用組成物において、熱分解性成分と、金属化合物とを添加することにより、十分低い屈折率を達成することができる。
【0024】
[第3の実施形態]
本実施形態に係る低屈折率シリカ系被膜形成用組成物は、シロキサンポリマーと、熱分解性成分と、塩基発生剤または酸発生剤から選択される少なくとも1種と、を含むものである。
つまり、第2の実施形態における金属化合物を、塩基発生剤または酸発生剤から選択される少なくとも1種に置き換えたものであり、その他の構成は第1の実施形態および第2の実施形態と同様である。
【0025】
上記塩基発生剤としては、トリクロロ酢酸グアニジン、トリクロロ酢酸メチルグアニジン、トリクロロ酢酸カリウム、フェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−クロロフェニルスルホニル酢酸グアニジン、p−メタンスルホニルフェニルスルホニル酢酸グアニジン、フェニルプロピオール酸カリウム、フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルプロピオール酸セシウム、p−クロロフェニルプロピオール酸グアニジン、p−フェニレン−ビス−フェニルプロピオール酸グアニジン、フェニルスルホニル酢酸テトラメチルアンモニウム、フェニルプロピオール酸テトラメチルアンモニウム、2−ニトロベンジルN−シクロヘキシルカルバメイト、トリフェニルスルフォニウムハイドロオキサイド、アニソインN−シクロヘキシルカルバメイト、ニフェジピン、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンジイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(3−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(5−メチル−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール、N−(4−クロロ−2−ニトロベンジルオキシカルボニル)イミダゾール等が挙げられる。これらの中でも、塩基発生剤としては、300℃以下の温度で塩基を発生するものが好ましく、250℃以下の温度で塩基を発生するものがより好ましい。また、塩基発生剤は、150℃以上で塩基を発生することが好ましく、180℃以上で塩基を発生することが好ましい。
【0026】
上記酸発生剤としては、ハロゲン化トリアジン、酸のアンモニウム塩、オニウム塩、スルホン化エステル、置換ヒドロキシイミド、置換ヒドロキシルイミン、アジド、ナフトキノン、たとえばジアゾナフトキノン、ジアゾ化合物等が挙げられる。これらの中でも、酸発生剤としては、300℃以下の温度で酸を発生するものが好ましく、250℃以下の温度で酸を発生するものがより好ましい。また、酸発生剤は、150℃以上で酸を発生することが好ましく、180℃以上で酸を発生することが好ましい。
【0027】
これらの塩基発生剤、酸発生剤は、シリカ系被膜形成用組成物におけるシロキサンポリマー(固形分(SiO換算質量))に対して、1〜15質量%含まれることが好ましく、5〜10質量%含まれることがより好ましい。
【0028】
上記のように、低屈折率シリカ系被膜形成用組成物において、上記熱分解性成分と、塩基発生剤または酸発生剤から選択される少なくとも1種とを含むことにより、十分低い屈折率を達成することができる。
【0029】
[低屈折率シリカ系被膜形成方法]
本発明の低屈折率シリカ系被膜形成用組成物を用いて低屈折率シリカ系被膜を形成する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0030】
まず基板等の基体上に低屈折率シリカ系被膜形成用組成物を所定の膜厚となるように、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して塗膜を形成する。塗膜の厚さは適宜選択すればよい。
次いでホットプレート上でベークする。このベーク処理により塗膜中の有機溶剤が揮発し、さらにシロキサンポリマーの分子間で反応が生じて重合が進む。このときのベーク温度は、例えば80〜300℃程度であり、より好ましくは80〜250℃程度である。ベーク処理はベーク温度を変えつつ複数段階(多段ベーク)で行ってもよい。
これにより、低屈折率シリカ系被膜が得られる。
上記の低屈折率シリカ系被膜形成用組成物によれば、300℃を超える温度での焼成を行わなくても、十分シリカ系被膜を形成することができる。つまり、低温焼成が可能となる。また、ベークの時間についても、各1〜2分程度で十分であり、生産効率を向上させることができる。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
n−ブタノール21g、純水3g、およびラウリルトリメチルアンモニウムアセテート2gを混合溶解し、さらに硝酸200μlを添加した溶液に、オルト珪酸エチル1.9gおよびメチルトリエトキシシラン1.7gを混合し、2日間反応させた。これをシリカ系被膜形成用組成物とした。
このシリカ系被膜形成用組成物を、スピンコータ(タツモ社製)にてガラス基板上に塗布し塗膜を形成した。その後、この塗膜を、ホットプレートにて80℃で2分間、次いで150℃で2分間、次いで300℃で2分間の多段ベークし、シリカ系被膜を形成した。
このシリカ系被膜は、屈折率が1.18であった。
【0032】
(実施例2)
メチルトリメトキシシラン367.7g、テトラメトキシシラン411.0g、アセトン:イソプロピルアルコール=1:2の混合溶媒1381gを混合・撹拌した。そこに、純水340.2g、濃度60質量%の硝酸58.9μLを加えて撹拌して加水分解反応させた。その後、濃縮することにより、固形分濃度を7質量%に調整することにより、ベース塗布液Aを得た。
ベース塗布液A28g、ポリプロピレングリコール(三洋化成製、製品名;ニューポールPP−1000、質量平均分子量1000)3g、硝酸ルビジウム2gを混合し、シリカ系被膜形成用組成物を調製した。
このシリカ系被膜形成用組成物を、実施例1と同様にして、シリカ系被膜を形成した。
このシリカ系被膜は、波長633nmの光に対する屈折率が1.18であった。
【0033】
(実施例3)
上記ベース塗布液A28g、ポリプロピレングリコール(三洋化成製、製品名;ニューポールPP−1000、質量平均分子量1000)3g、2−ニトロベンジルN−シクロヘキシルカルバメイト(みどり化学株式会社製、製品名:NBC−101)2gを混合し、シリカ系被膜形成用組成物を調製した。
このシリカ系被膜形成用組成物を、実施例1と同様にして、シリカ系被膜を形成した。
このシリカ系被膜は、屈折率が1.18であった。
【0034】
(比較例1)
上記ベース塗布液A28g、ポリプロピレングリコール(三洋化成製、製品名;ニューポールPP−1000、質量平均分子量1000)1gを混合し、シリカ系被膜形成用組成物を調製した。
このシリカ系被膜形成用組成物を、スピンコータ(タツモ社製)にてガラス基板上に塗布し塗膜を形成した。その後、この塗膜を、ホットプレートにて80℃で1分間、次いで150℃で1分間、次いで200℃で1分間の多段ベークし、シリカ系被膜を形成した。
このシリカ系被膜は、屈折率が1.35であった。
(比較例2)
上記ベース塗布液A28g、ポリプロピレングリコール(三洋化成製、製品名;ニューポールPP−1000、質量平均分子量1000)3gを混合し、シリカ系被膜形成用組成物を調製した。
このシリカ系被膜形成用組成物を、実施例1と同様にして、シリカ系被膜を形成した。
このシリカ系被膜は、屈折率が1.23であった。また、このシリカ系被膜についてFT−IRより、Si−O−Siのピークが実施例2の被膜と比較して小さかった。つまり、結合が進んでいなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロキサンポリマーと、アルキル4級アミンとを含むことを特徴とする低屈折率シリカ系被膜形成用組成物。
【請求項2】
前記アルキル4級アミンは、熱分解温度が300℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の低屈折率シリカ系被膜形成用組成物。
【請求項3】
シロキサンポリマーと、熱分解性成分と、金属化合物と、を含むことを特徴とする低屈折率シリカ系被膜形成用組成物。
【請求項4】
前記金属化合物は、アルカリ金属化合物であることを特徴とする請求項3に記載の低屈折率シリカ系被膜形成用組成物。
【請求項5】
シロキサンポリマーと、熱分解性成分と、塩基発生剤または酸発生剤から選択される少なくとも1種と、を含むことを特徴とする低屈折率シリカ系被膜形成用組成物。
【請求項6】
前記熱分解性成分は、熱分解温度が300℃以下の有機ポリマーであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の低屈折率シリカ系被膜形成用組成物。
【請求項7】
前記シロキサンポリマーは、下記式
SiX4−n (1)
(式中、Rは独立してHまたは1価の有機基、Xは加水分解性基を表し、nは0〜2の整数を表し、複数個のRは同一でも異なっていてもよい)
で表される少なくとも1種のシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の低屈折率シリカ系被膜形成用組成物。

【公開番号】特開2007−211061(P2007−211061A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30328(P2006−30328)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】