説明

低温での使用に適する消毒剤配合物

【課題】低温で凍結していないままであり、かつその配合物がある容器から別の容器へ注がれうるか又はポンプ移送されうるのに充分低い粘度を有する改良された低温注ぎ可能性を有する消毒剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)組成物の重量を基準にして15重量%〜40重量%の殺生物剤、(b)組成物の重量を基準にして15重量%〜40重量%の水、および(c)組成物の重量を基準にして20重量%〜70重量%の溶媒;を含み、前記溶媒が1種以上のグリコールエーテルを含む、消毒剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消毒剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
殺生物剤を含む液体配合物を使用することが多くの場合望まれる。ある状況においては、低温でこのような液体配合物を使用することが望まれ、ひいては、この液体配合物が注ぐことができる(pourable)ままであることが望まれる。すなわち、配合物を使用するのが望まれる温度において、その配合物は凍結していないままであり、かつその配合物がある容器から別の容器へ注がれうるかまたはポンプ移送されうるのに充分低い粘度を有することが望ましい。ある場合においては、配合物が以下の特徴の一以上を有することも望ましい:合理的な期間にわたる化学的安定性、望ましくない化学反応、例えば、殺生物剤の分解などを受けないこと;比較的高い引火点;比較的低い人毒性;および殺生物剤の比較的高い濃度。
【0003】
米国特許第5,496,858号は、アルデヒド、限定された水混和性を有するアルコール、および好ましくは非イオン性界面活性剤を含む水性消毒剤濃縮物を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,496,858号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
改良された低温注ぎ可能性を有する配合物を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の形態においては、
(a)組成物の重量を基準にして15重量%〜40重量%の殺生物剤、
(b)組成物の重量を基準にして15重量%〜40重量%の水、および
(c)組成物の重量を基準にして20重量%〜70重量%の溶媒;
を含む消毒剤組成物であって、
前記溶媒が下記構造(I)を有する1種以上のグリコールエーテルを含む
【化1】

(式中、nは1以上であり;nは6未満であり;RおよびRは独立して、HもしくはC〜Cアルキルであり;nが1である場合には、RおよびRの少なくとも一方がHではない;
それぞれの前記単位−Z−は
【化2】

であり;
各−Z−単位において、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはメチルであり;
各−Z−単位において、RおよびRは両方ともメチルであることはなく;並びに、
前記溶媒におけるRおよびRの両方が水素である全ての−Z−単位の重量:前記溶媒におけるRおよびRの一方がメチルである全ての−Z−単位の重量の比率が0.66以下:1である)
消毒剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において使用される場合、「アルキル」は、線状、分岐、環式またはこれらの組み合わせであり得る飽和炭化水素である。
【0008】
本明細書において使用される場合、「引火点」は、以下のように測定される場合の引火点である。25℃〜70℃の引火点は、DIN51755に従ってエーベル−ペンスキー(Abel−Pensky)密閉引火点試験装置によって測定され、70℃を超える引火点は開放カップクリーブランド(Cleveland)方法によって測定される。
【0009】
本明細書において使用される場合、語句「X以下:1の比率」とは、Y:1の値(ここで、YはX未満であるかまたはXに等しい)を有する割合を意味する。他に示されない限り、Yがゼロの場合が含まれる。
【0010】
用語「殺微生物剤」、「殺生物剤」、「防腐剤」または「抗微生物化合物」とは、本明細書においては、微生物を殺し、微生物の成長を阻害し、または微生物の成長を制御するのに有用な化合物をいう。殺生物剤には、殺バクテリア剤、殺真菌剤および殺藻剤が挙げられる。用語「微生物」は、例えば、真菌(例えば、酵母およびカビ)、バクテリア並びに藻類を含む。
【0011】
本明細書において使用される場合、「グリコールエーテル」は下記構造(I)を有する化合物である:
【化3】

(式中、nは1以上であり;nは6未満であり;RおよびRは独立して、HもしくはC〜Cアルキルであり;nが1である場合には、RおよびRの少なくとも一方がHではない;それぞれの単位−Z−は
【化4】

であり;
独立して、各−Z−単位において、RおよびRは独立して水素またはメチルであり;各−Z−単位において、RおよびRは両方ともメチルであることはない)。
【0012】
本明細書において使用される場合、「Z1」単位は、RおよびRが両方とも水素である−Z−単位であり、「Z2」単位は、RまたはRのいずれかがメチルである−Z−単位である。
【0013】
本明細書において使用される場合、「ppm」は100万あたりの重量部を意味する。
【0014】
本明細書において使用される場合、本発明の組成物がある成分を「ほとんどまたは全く」含まないことが示される場合には、組成物中のその成分が存在しないか、またはその成分が幾分か存在する場合には、その成分の量は組成物の重量を基準にして100ppm以下であることを意味する。
【0015】
本発明の組成物は1種以上の殺生物剤を含む。ある好適な殺生物剤には、例えば、アルデヒド、ブロモ−ニトロ化合物、およびイソチアゾロンが挙げられる。ある好適なブロモ−ニトロ化合物には、例えば、ジブロモニトリロプロピオンアミド(DBNPA)および2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(ブロノポール)が挙げられる。
【0016】
ある実施形態においては、アルデヒドである1種以上の殺生物剤が使用される。ある実施形態においては、殺生物剤は、例えば、ホルムアルデヒドまたはコハク酸ジアルデヒドまたはグルタルアルデヒドの1種以上を含む。ある実施形態においては、グルタルアルデヒドが使用される。ある実施形態においては、組成物中にグルタルアルデヒド以外の殺生物剤はない。
【0017】
ある実施形態においては、本発明の組成物は、アルデヒドである1種以上の殺生物剤を含み、かつアルデヒドではない1種以上の殺生物剤も含む。アルデヒドではない好適な殺生物剤には、例えば、DBNPA、ブロノポール、第四級アンモニウム殺生物剤(例えば、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムスルファート、トリブチルテトラデシルホスホニウムクロリド、および他の第四級殺生物剤など)、アルデヒド殺生物剤と適合性である他の殺生物剤、およびこれらの混合物が挙げられる。
好適な殺生物剤の混合物も好適である。
【0018】
本発明の組成物中の殺生物剤の量は、組成物の重量を基準にして15重量%〜40重量%である。殺生物剤の量は、組成物の重量を基準にして好ましくは30重量%以下である。
【0019】
本発明の組成物は1種以上の溶媒を含む。本明細書において使用される場合には、溶媒は水ではなく、かつ25℃および1気圧で液体である化合物である。ある好適な溶媒は、1分子あたり1以上の酸素原子を含む。
【0020】
本発明の組成物中の溶媒は、1種以上のグリコールエーテルを含む。このグリコールエーテルは、各−Z−単位がZ1単位である分子;各−Z−単位がZ2単位である分子;1以上のZ1単位と1以上のZ2単位との双方を含む分子;並びにこれらの混合物を含むことができる。溶媒は全体として検討される場合には、全てのZ1単位の重量:全てのZ2単位の重量の比率は、0.66以下:1である。
【0021】
ある実施形態においては、本発明の組成物中の溶媒は、構造(I)を有し、各−Z−単位においてRおよびRが両方とも水素であることはない、1種以上のグリコールエーテル(本明細書においては「GEA」と称される)を含む。あるGEAにおいては、全ての−Z−単位はその分子中の他の全ての−Z−単位と同じである。あるGEAにおいては、1以上の−Z−単位は、メチルであるRを有し、および1以上の−Z−単位は、メチルであるRを有する。
【0022】
ある実施形態においては、nが2以上である1種以上のGEAが使用される。ある実施形態においては、nが2または3である1種以上のGEAが使用される。ある実施形態においては、本発明の組成物中の全てのGEAが2または3のnを有する。ある実施形態においては、nが2である1種以上のGEAが使用される。ある実施形態においては、本発明の組成物中の全てのGEAが2のnを有する。
【0023】
ある好適なGEAには、例えば、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
ある実施形態においては、本発明の組成物の溶媒は、nが2または3である1種以上のGEAを含み、並びにnが1である1種以上のGEAも含む。このような実施形態のいくつかにおいては、溶媒はジプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびプロピレングリコールメチルエーテルを含む。
【0025】
ある実施形態においては、組成物中の全てのグリコールエーテルがGEAである。別の実施形態においては、溶媒はGEAではない1種以上のグリコールエーテルを含む。ある実施形態においては、例えば、1種以上のGEAに加えて、溶媒は1種以上の「GEB」も含み、本明細書においては、GEBは、全ての構造−Z−においてRおよびRの双方が水素である構造(I)のグリコールエーテルとして定義される。ある好適なGEBには、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジグライムおよびこれらの混合物が挙げられる。ジグライムは、アルキル基が1〜4つの炭素原子を有するジエチレングリコールジアルキルエーテルである。
【0026】
GEBが存在するある実施形態においては、全てのGEB化合物の合計重量:全てのGEA化合物の合計重量の比率は、0.66以下:1である。
本明細書においては、GEA化合物は一般的にGEB化合物よりも低い人毒性を有すると考えられる。
【0027】
ある実施形態においては、「GEAB」である1種以上のグリコールエーテルが使用され、本明細書においては、GEABは、少なくとも1つの−Z−単位がZ1単位であり、かつ同じ分子中で少なくとも1つの−Z−単位がZ2単位である、構造(I)を有するグリコールエーテルとして定義される。GEABが使用されるある実施形態においては、GEABの分子内のZ1単位の重量:同じ分子内の全てのZ2単位の重量の比率は、0.66以下:1である。
好適なグリコールエーテルの混合物は好適である。
【0028】
ある実施形態においては、水可溶性である1種以上のグリコールエーテルが使用される。本明細書において使用される場合、25℃で100gの水に溶解されうる化合物の量が5g以上である場合には、その化合物は水可溶性である。ある実施形態においては、非常に水可溶性である1種以上のグリコールエーテルが使用される。本明細書において使用される場合、25℃で100gの水に溶解されうる化合物の量が50g以上である場合には、その化合物は非常に水可溶性である。ある実施形態においては、全ての比率において水と混和性である1種以上の非常に水可溶性のグリコールエーテルが使用される。ある実施形態においては、使用される全溶媒が水に可溶性である。ある実施形態においては、溶媒中の各成分が水可溶性である。ある実施形態においては、使用される全溶媒が非常に水可溶性である。ある実施形態においては、溶媒中の各成分が非常に水可溶性である。
【0029】
本発明の組成物中の溶媒の量は、組成物の重量を基準にして、20重量%〜70重量%である。ある実施形態においては、溶媒の量は、組成物の重量を基準にして35重量%以上;または45重量%以上である。独立して、ある実施形態においては、溶媒の量は、組成物の重量を基準にして、65重量%以下である。
【0030】
本明細書において使用される場合には、低級ジオール(low diol)は以下の構造(III)を有する化合物である:
【化5】

式中、nは0、1または2であり;R11、R12、R13、R14、R15のそれぞれは、独立して、水素または一価の基である。nが2である場合には、2つのR13基は同じであっても良いし、異なっていてもよい。本明細書においては、ある化合物が構造(III)を有する場合には、R11、R12、R13、R14、およびR15の種類に関係なく、その化合物は低級ジオールであるとみなされる。本明細書において使用される場合、アルキル低級ジオールは、R11、R12、R13、R14、R15のそれぞれが独立して水素または一価のアルキル基である低級ジオールである。
【0031】
ある実施形態においては、本発明の組成物はアルキル低級ジオールをほとんどまたは全く含まない。ある実施形態においては、本発明の組成物はアルキル低級ジオールを含まない。ある実施形態においては、本発明の組成物は低級ジオールをほとんどまたは全く含まない。ある実施形態においては、本発明の組成物は低級ジオールを含まない。
【0032】
ある実施形態においては、本発明の組成物は界面活性剤を含まない。他の実施形態においては、本発明の組成物は1種以上の界面活性剤を含む。好適な界面活性剤は非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性またはこれらの混合物であり得る。
【0033】
ある実施形態においては、本発明の組成物は緩衝剤をほとんどまたは全く含まない。ある実施形態においては、本発明の組成物は緩衝剤を含まない。
【0034】
独立して、ある実施形態においては、本発明の組成物は有機リチウム塩をほとんどまたは全く含まない。ある実施形態においては、本発明の組成物は有機リチウム塩を含まない。
【0035】
ある実施形態においては、本発明の組成物の引火点は、アセトンの引火点以上である。独立して、ある実施形態においては、本発明の組成物の引火点は55℃以上である。
【0036】
ある実施形態においては、本発明の組成物の溶媒中の各成分は、55℃以上の引火点を有する。
【0037】
ある実施形態においては、本発明の溶媒中の1種以上の成分は、55℃未満の引火点を有する。このような実施形態においては、本発明の組成物が55℃以上の引火点を有することが望まれる場合には、55℃未満の引火点を有する各成分の特性および量は、本発明の完成した組成物が55℃以上の引火点を有するであろう様に選択されることが意図される。55℃未満の引火点を有するいくつかの好適な成分は、例えば、C〜Cアルキルアルコール、例えば、イソプロパノールなどである。他の例は、例えば、55℃未満の引火点を有するグリコールまたはグリコールエーテル、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルなどである。
【0038】
ある実施形態においては、イソプロパノールは使用されない。ある実施形態においては、55℃未満の引火点を有するアルコールは使用されない。ある実施形態においては、アルコールは使用されない。
【0039】
ある実施形態においては、本発明の組成物は1種以上の可溶性塩を含む。本明細書において使用される場合、等しい重量部の殺生物剤および水からなる試験組成物100グラム中に25℃で、ある塩が2グラム以上溶解されうる場合には、その塩は可溶性であるとみなされる。この試験組成物のための殺生物剤は、消毒剤組成物において使用されるであろう殺生物剤と同じであるように選択される。いくつかの好適な可溶性塩については、試験組成物中に10グラム以上のその塩が溶解されうる。
【0040】
好適な可溶性塩には、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類のカチオンを有する可溶性塩が挙げられる。ある実施形態においては、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウムのカチオンを有する1種以上の可溶性塩が使用される。
【0041】
好適な可溶性塩には、例えば、ハライド、アセタートまたはニトラートのアニオンを有する可溶性塩が挙げられる。ある実施形態においては、クロリドまたはアセタートのアニオンを有する1種以上の可溶性塩が使用される。
【0042】
1種以上の可溶性塩が使用される実施形態においては、可溶性塩は任意の方法によって組成物の他の成分と混合されうる。可溶性塩が、組成物の1種以上の他の成分と最初に混合される場合には、その混合の直前の塩の形成は、本明細書においては、その塩が組成物に添加される形態と称される。
【0043】
ある実施形態においては、1種以上の可溶性塩が、水和した塩の形態で組成物に添加される。ある実施形態においては、1種以上の可溶性塩が、無水物塩の形態で組成物に添加される。ある実施形態においては、組成物に添加される全ての可溶性塩が、無水物塩の形態で添加される。
好適な可溶性塩の混合物も好適である。
【0044】
1種以上の可溶性塩が存在する本発明の実施形態では、全ての可溶性塩の重量:全ての溶媒の重量の比率が0.01:1〜10:1であるように可溶性塩の量が選択される。ある実施形態においては、全ての可溶性塩の重量:全ての溶媒の重量の比率は0.1以上:1、好ましくは0.2以上:1である。独立して、ある実施形態においては、全ての可溶性塩の重量:全ての溶媒の重量の比率は3以下:1、好ましくは1以下:1である。
【0045】
ある実施形態においては、全ての可溶性塩の重量と全ての溶媒の重量との合計は、組成物の重量を基準にして21重量%〜69重量%でありうる。
【0046】
ある実施形態においては、本発明の組成物においては、可溶性塩ではない塩はほとんどまたは全く存在しない。ある実施形態においては、本発明の組成物中に存在する全ての塩は可溶性塩である。ある実施形態においては、可溶性塩は組成物中にほとんどまたは全く存在しない。
【0047】
本発明の組成物は様々な目的のために様々な方法で使用されうる。例えば、本発明の組成物は、殺生物性を有する水溶液を提供するように水に添加されうる濃縮物として貯蔵および使用されうる。殺生物性を有する水は、例えば、水が金属と接触している状況(例えば、パイプまたはタンクにおけるように)において有用である、というのは、殺生物性がなければ、その水は微生物的に引き起こされる金属の腐食を促進しうるからである。例えば、地下からの油の取り出しが場合によって水攻法によって増大させられ、そしてその水を取り扱うパイプ、タンクなどは微生物的に引き起こされる腐蝕を受けやすい。多くの油田は、冬の温度が比較的低い場所にある。この低い温度にもかかわらず、この殺生物剤濃縮物を屋外で貯蔵し、次いでそれをより大きな容器に注ぎ込み、そしてこれらの操作のいくつかまたは全てを比較的低温の屋外で行うことが望ましい。
【実施例】
【0048】
以下の実施例においては、これらの略語が使用される:
【表1】

【0049】
比較例C1−C8
以下の比較例の組成物は、表1Aに示されるように製造された。示される量は重量部である。「計算GA%」は、組成物の全重量に基づく、GAの計算された重量パーセントである。
【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

注(2):アントンパースタビンガー(Anton Paar Stabinger)粘度計モデルSVM3000を用いて測定された動粘性率(mm/s)。
注(3):試験は行われなかった。
注(4):K=25.9で測定不可能であった。
注(5):凍結
【0052】
【表4】

注(6):ガスクロマトグラフィーで測定した、組成物の重量に基づくGAの重量パーセント。
注(7):2回の二重測定の平均。
【0053】
各比較例は以下の欠点の1以上を有していた:貯蔵中のGAの許容できない分解;高すぎる低温粘度;高すぎる引火点;または比較的高水準の人毒性(GEBである溶媒の高い割合による)。
【0054】
比較例C9、C10、およびC12;並びに実施例11および13
以下の組成物が製造された。組成物の外観が観察された。いくつかの組成物は透明であって、この組成物の全ての成分がその組成物中に可溶性であることを示す。パーセンテージは、その組成物の重量に基づく重量パーセンテージである。
【0055】
【表5】

【0056】
測定されたGA重量%は、次のようにガスクロマトグラフィーによって試験された(比較例C14については試験は行われなかった)。
【0057】
【表6】

【0058】
他の特性も観察された。目に見える固形分が形成した最も高い温度が記録された。サンプルが簡単に注がれることができない最も高い温度が「ダウ(Dow)注ぎ点」として記録された。動粘性率が実施例1におけるように測定された。動的粘度は動粘性率と同じ装置を用いて測定され、ミリパスカル・秒(mPa・秒;これはセンチポイズに等しい)で報告される。
【0059】
【表7】

【0060】
比較例C9、C10およびC12は全て−40℃を充分に上回る温度で固体を形成したが、実施例11および13は−40℃で流体のままであった。
【0061】
実施例16−24
配合物は以下に示されるように製造され試験された。量は組成物の重量を基準にした重量パーセントである。引火点は、DIN51755に従って、エーベル−ペンスキー密閉引火点試験装置を用いて測定された。開始温度は25℃であった;サンプルは攪拌されなかった;温度上昇は1℃/分であった;30℃で開始して、サンプルは1℃ごとに試験された。70℃より高い引火点はオープンカップクリーブランドを用いて測定された。
【0062】
【表8】

注(8):99℃超。
【0063】
粘度はブルックフィールド粘度計モデルDV−II、スピンドル番号1を用いて、室温で(18から22℃で)測定された。回転速度は6または12回転/分であって、その範囲の中央付近を読み取るトルクを維持するように選択された。スピンドルおよびサンプルは測定温度に冷却された。結果は以下の通りであり、ミリパスカル・秒(mPa・秒)の単位で報告された。
【0064】
【表9】

【0065】
実施例25−36
各組成物は10グラムのサンプルとして準備され、−28℃〜−30℃のフリーザー内の小さな容器内に一晩配置された。次いで、各サンプルは上下を反転させて、流動性を観察した。各流動性は以下のように評定された:凍結(固体);非常に遅い(液体に見えるが、実用には遅く流れる);許容可能(妥当に素早く流れる);素早い(「許容可能」よりも早く流れる)。パーセンテージは組成物の重量に基づいた、重量パーセンテージである。「Ex」は実施例を意味し、比較例は「C」で始まる例番号を有する。
【0066】
【表10】

【0067】
実施例37−43
配合物は以下のように準備され試験された。以下の表5に示される各組成物は混合され、1.2ミリリットルチューブ内に入れられ、振とうさせられた。約1ミリグラムの硫化銅粉体が核形成剤として添加された。サンプルは−50℃で少なくとも24時間保持された。サンプルは、次いで、相分離を検出するために目視で観察された。示される各配合物について、5検体のサンプルが作成され試験された。以下の表に示されたサンプルは安定であった;すなわち、各サンプルは相分離を示さなかった。
パーセンテージは配合物の重量を基準にした重量パーセンテージである。
【0068】
【表11】

注(9):添加剤1:添加剤2の重量比。
注(10):配合物の重量を基準にした、重量パーセントでの、添加剤1と添加剤1との合計量。
【0069】
実施例44−54
サンプルは、試験温度が−45℃であったこと、およびウカルサイド(Ucarcide商標)42抗微生物剤の代わりに、等しい重量部のグルタルアルデヒドと水との混合物(以下の表6において「Glut50」と称される)が使用されたことを除いて、実施例37−43におけるように製造され試験された。
【0070】
【表12】

【0071】
実施例55−56、C57−C58、および59−71
サンプルは混合され、次いで−50℃に冷却された。透明のままであったサンプルは「合格」と分類され、相分離を示したサンプルは「不合格」と分類された。「合格」サンプルの粘度をボール落下試験によって評価した。同じバイアルを用いて、各配合物の7グラムのサンプルをバイアルに入れ、直径2.8mmの金属ボールをその表面上に配置し、そしてそのボールがサンプルの底に到達するまでの時間を記録した。バイアルの直径はこのボールの直径よりも大きかった。「Glut50」は上記実施例44−54と同じ意味を有する。パーセントは、配合物の重量を基準にした重量パーセントである。比較例は「C」で始まる例番号を有している。結果は以下の通りであった。
【0072】
【表13】

【0073】
実施例72−76
実施例は実施例および比較例55−71におけるように製造され試験された。
【0074】
【表14】

【0075】
実施例77−81
実施例は実施例および比較例55−71におけるように製造され試験された。
【0076】
【表15】

【0077】
実施例65、72、76、80および82;定常剪断粘度試験
サンプルは、コーンおよびカップジオメトリを備えたアレスレオメーター(Ares Rheometer)を用いて−50℃で、定常剪断粘度について試験された。この粘度は、10秒−1〜100秒−1の範囲の剪断速度に対する依存性をほとんどまたは全く示さず、以下に報告される粘度はその範囲の剪断速度にわたる平均粘度である。粘度はパスカル・秒(Pa・秒)の単位で報告され、これは1,000センチポイズに等しい。
実施例82は、等しい重量部のグルタルアルデヒドと水との溶液50重量%;ジグライム43重量%;およびイソプロピルアルコール7重量%である。
【0078】
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)組成物の重量を基準にして15重量%〜40重量%の殺生物剤、
(b)組成物の重量を基準にして15重量%〜40重量%の水、および
(c)組成物の重量を基準にして20重量%〜70重量%の溶媒;
を含む消毒剤組成物であって、
前記溶媒が下記構造(I)を有する1種以上のグリコールエーテルを含む
【化1】

(式中、nは1以上であり;nは6未満であり;RおよびRは独立して、HもしくはC〜Cアルキルであり;nが1である場合には、RおよびRの少なくとも一方がHではない;
それぞれの前記単位−Z−は
【化2】

であり;
各−Z−単位において、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはメチルであり;
各−Z−単位において、RおよびRは両方ともメチルであることはなく;並びに、
前記溶媒におけるRおよびRの両方が水素である全ての−Z−単位の重量:前記溶媒におけるRおよびRの一方がメチルである全ての−Z−単位の重量の比率が0.66以下:1である)
消毒剤組成物。
【請求項2】
前記溶媒が1種以上のグリコールエーテル(A)を含み、前記グリコールエーテル(A)の各分子が前記構造(I)を有し、独立して各−Z−単位においてRおよびRの一方が水素であり、かつRおよびRの他方がメチルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記溶媒が、
(a)nが2以上である1種以上のグリコールエーテル(A)、および
(b)nが1である1種以上のグリコールエーテル(A);
を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(b)がプロピレングリコールメチルエーテルである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記溶媒が、下記構造(II)を有する1種以上のグリコールエーテル(B)をさらに含む、請求項2に記載の組成物:
【化3】

(式中、mは1以上であり;mは6未満であり;RおよびRは独立して、HもしくはC〜Cアルキルであり;mが1である場合には、RおよびRの少なくとも一方がHではない;並びに
グリコールエーテル(B)の全ての合計重量:グリコールエーテル(A)の全ての合計重量の比率が0.66以下:1である)。
【請求項6】
1種以上の可溶性塩をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記殺生物剤が、グルタルアルデヒド、ジブロモニトリロプロピオンアミド、および2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールからなる群から選択される化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記殺生物剤がグルタルアルデヒドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記溶媒が、1種以上のグリコールエーテル(C)を含み、前記グリコールエーテル(C)の各分子が
(ZC1)RおよびRの両方が水素である1以上の−Z−単位;および
(ZC2)RおよびRの一方がメチルである1以上の−Z−単位;
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記(ZC1)単位:前記(ZC2)単位の重量比が、0.66以下:1である、請求項9に記載の組成物。

【公開番号】特開2011−126866(P2011−126866A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−249585(P2010−249585)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(510295631)ダウ・イタリア・ディビジョン・コマーシャル・ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテ (2)
【氏名又は名称原語表記】DOW ITALIA DIVISIONE COMMERCIALE S.r.l.
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】