説明

低温エンクロージャーでの培養システム

培養器は、培養器を囲むエンクロージャーが取り付けられている。冷気発生システムは、エンクロージャーと培養器との間に形成された空間に比較的冷たい空気を供給する。冷気を供給する本システムは、培養器が置かれるカート又はベースにおいて、具体化され得る。エンクロージャーは、実質的に培養器を包むようにベース上に配置される。カートの頂部は、空気が閉ループ内を循環するように、冷気を放出し空気が戻るための開口を有している。培養器、冷気供給システム及びエンクロージャーは、培養サンプルが公称20〜25℃の環境にあるための解決方法を提供する。エンクロージャーは、好ましくは断熱されており、培養器のドア又は他のアクセス装置を露出させる空間部又は開口を有しており、培養器の残りがエンクロージャーで包まれている間、培養器のサンプルに対して直接のアクセスを可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養器の分野に関するものであり、特に、培養温度が室温近くすなわち20℃から25℃の間に維持されるように設計された培養器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生物サンプル、例えば、ボトルや容器内に入れられたヒト血液サンプルを培養する培養器は、技術的に知られている。図1は、出願人の代理人であるバイオメリュー・インコーポレイティドによって、BacT/Alert 3DTM培養システムとして販売されている、1つのそのような培養器10を示している。培養器10は、培地を含む血液収集ボトル12を培養するよう設計されている。培養器は、ユーザーが培養器10にボトル12を出し入れすることを可能とする、培養器の残りの部分から引き出される引き出し14を有している。
【0003】
培養器は、更に、ボトル内のサンプルとボトル内の成長培地との間で反応が生じたかどうか測定するための、ボトル12を読み取る光学センサ(示されていない)を有している。このセンサ及び操作方法は、特許文献、特に、米国特許第5164796号明細書に開示されている。培養器は、培養器の頂部に位置する電子ユニット18を有しており、電子ユニット18は、光学センサから信号を受け、培養器の内部温度を順に調節する培養器のヒーターシステム(示されていない)を制御している。培養器10は、一般的に、例えば、病院、診療所やその他の場所に位置する生物学的試験研究所に設置されており、実験台20の上に置かれている。
【0004】
微生物学試験の産業においては、一般的に、2つの異なる市場区分、すなわち生物薬剤と食物が存在する。これらの2つの区分は、特有の微生物学試験及び培養の必要性を有している。特に、生物薬剤の区分は、世界的な薬局方方法に密接に従っており、2つの温度領域、すなわち30〜35℃と20〜25℃、における微生物学試験及びサンプルの培養を有している。それに対し、食物及びその他臨床のユーザーは、主として、培養器を36又は37℃に設定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1の現在のBacT/ALERT 3D培養器10は、7℃の培養温度において周囲温度45℃まで動作するよう設計されている。通常の実験室環境(周囲温度はおよそ20〜22℃)に置かれると、温度差動は、培養器が30〜35℃の培養範囲内で確実に培養できる十分な大きさである。しかしながら、実験室及び培養器が室温(20〜22℃)周囲環境において維持される、通常の実験室動作状態において、いくつかの培養器は、20〜25℃の安定した培養範囲を維持することができない。単に試料を培養のために”室温”の実験台に置いておくということは、当然受け入れられない。なぜなら、その環境は確実な温度制御がなされていないからである(例えば、窓を開けたままにするかもしれないし、空調システムが適切に動作しないかもしれない、また、ヒーターシステムがエネルギー消費を減らすために夜や週末の間出力を低下させるかもしれない等)。
【0006】
いくつかの培養器が適切に動作し20〜25℃(公称温度22.5℃)の培養範囲を維持するために、従来、すべての培養器は、環境温度をおよそ13℃かそれ以下に維持されるウォークイン環境室に移動されている。しかし、この方法は、十分な動作環境を与えるものではない。なぜなら、ウォークイン環境室は、一般的に設置条件が良くない、すなわち、ウォークイン環境室は、ホールの下や他の床の上に置かれるからである。その上、多くの大規模施設は、図1に示すような培養器を多く有している。ウォークイン環境室は、一般的に、他の培養器から離れて分離して置かれている。したがって、ウォークイン環境室内の培養器を使用するのは、より不便であり、効率が悪い。
【0007】
考えられた代替的アプローチは、培養器が置かれる実験空間全てを10〜13℃まで冷やすことである。しかし、これは、実験室の技術者にとって快適な労働環境ではなく、彼らは暖かくするために服を着込まなくてはならず、冷たい手で仕事に取り組まなくてはならない。
【0008】
オルガノン・テクニカは、図1に示す培養器モジュールを最初に設計した会社であり、かつて30℃以下での培養の必要性を満足させる”Kool Boy”として知られた培養機器を開発した。その構造は、培養器の頂部でカスタムカート内に設置された冷却ユニットを有している。冷却ユニットは、ウインドウエアコンである。空気はカートの前面から吸い込まれ、冷気はカートの後縁に沿ったダクトワークから排出される。培養器のリヤパネルは、取り外され、カートの後部頂部に取り付けられたダクトワークと交換される。冷却ユニットからの冷気は、培養器内に直接吹き込まれる。培養器内のファームウェアは、気流の温度を制御する。このユニットは、高い送風機の毎分回転数によって、実験室環境にとってとても騒々しいと考えられる。220Vの交流電力供給が要求されるユニットは、ほとんどの実験室にとって容易に適合できるものでもない。この製品は、これらの理由及びその他の理由によって商業的に失敗しており、これまで1又は2個の装置のみ売れたと思われる。
【0009】
本発明の培養システム及び装置は、室温(20〜25℃)又は室温付近の温度において培養温度を適切に且つ確実に維持できるという、培養器に与えられたこの問題を解決するものである。そして、本発明の培養システム及び装置は、実験室の労働者が室温において通常の実験室環境で働くことを可能とし、また、特別な環境部屋を使用して非効率性を生じさせることを回避し、すべての培養器が同じ付近に維持されることを可能としている。本発明はまた、Kool Boy装置が劣っている多くの欠陥を克服している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の観点として、培養システムが開示される。本システムは、制御された温度環境における、生物学的サンプル、細菌培養物が付着した寒天プレート、血液収集ボトル等の培養サンプルのために設計されたものである。この温度環境は、好ましくは20〜25℃のほぼ室温であるが、必ずしもそれに限定されない。サンプルの特性や培養されるサンプルを含む装置は、重要ではない。ここでは、血液収集ボトルを例とするが、これは説明のためだけのものであり、それに限定されることはない。
【0011】
本システムは、外部と内部とを有する培養器と、外部に、培養器内にサンプル容器を入れたり培養器からサンプル容器を取り出したりするための、培養器の内部に接近する、1以上のアクセス機構と、を有している。アクセス機構は、ドア、引き出し、その他の構成で具体化される。培養器は、培養器の内部の温度を公称要求温度、例えば22.5℃に維持する暖房システムを有している。
【0012】
本システムは、冷気供給を生じさせる機械(冷却ユニット)を有している。この機械は、好ましくは、カート内又は培養器が置かれるベース構造に組み込まれる。冷却ユニットによって作られる空気の温度は、一般的に、培養器の温度より低く、例えば10℃である。
【0013】
本システムは更に、培養器の外側に、実質的に培養器を包む、エンクロージャーを有している。このエンクロージャーは、培養器の外部とエンクロージャーとの間に存在する空間又は領域を画定するように、構成及び構築されている。エンクロージャーと培養器との間のこの空間又は領域は、冷気供給を生じさせる機械からの冷気を受け入れるようになっている。したがって、比較的冷たい空気が培養器の外部に供給される。エンクロージャーは、好ましい実施形態において、例えば断熱材でできている又は非断熱材(シートメタル)でできておりその材料に例えば発泡体が加えられ断熱されている等で、断熱されている。エンクロージャーは、培養器の外部において周囲の環境を維持するために、実質的に培養器の外部を囲むような大きさと形状を有している。エンクロージャーは、培養器が20〜25℃の間の温度で確実に培養できるよう、培養器に、培養器の公称温度より十分に冷たい周囲の環境を与える。その結果、培養システムが室温環境に置かれることを可能としている。
【0014】
好ましい実施形態において、エンクロージャーは、培養器の外部の1以上のアクセス機構を露出させる空間部又は開口を有している。その場所で、ユーザーは、培養器内に保管された内容物に直接接近し、培養器の残りは実質的にエンクロージャーで包まれている。培養器を完全に包み、ユーザーが培養器の引き出し又はドアに接近しそして培養器内のサンプル容器に接近することを可能とするドアのようなアクセス機構を有するよう、エンクロージャーを与えることも可能である。
【0015】
ある構成において、冷気を供給する機械は、ベース内に組み込まれ、移動する(すなわち車輪を有している)又は移動しない、カート又はそのような装置で具体化される。断熱されたエンクロージャー及び培養器は、ベースの上に置かれる。ある構成においては、ベース及び断熱されたエンクロージャーは、既存の培養器のための改良アセンブリとして構築又は配置され、培養器の場所にキットとして取り付けられる。ベースは、ベースから冷気を放出するための第1開口と、エンクロージャーと培養器との間の領域から空気を戻すための第2開口と、を有し、空気は、ベースからエンクロージャーと培養器との間の空間を通ってベースに戻るという閉ループを循環するようになっている。
【0016】
好ましい構成において、エンクロージャーは、エンクロージャーとベースとの間及びエンクロージャーとエンクロージャー内の空間を囲む領域内の培養器との間に、実質的な密閉シールを形成するシールを有している。このシールは、エンクロージャーと培養器との間の領域内に周囲の空気が入ることを防止している。この設計は、冷気が培養エンクロージャーへ入り培養エンクロージャーから出る閉ループ循環を可能とし、培養エンクロージャー内の凝縮の形成を最小限としている。
【0017】
別の可能性がある構成において、培養器は、頂部及び培養器の頂部に位置する電子モジュールを有している。断熱されたエンクロージャーは、培養器を囲む第1又は下部区画内及び培養器の頂部を囲む第2又は上部区画内に、構築又は配置される。2つの区画は互いに(例えば、バッフルを用いて)分離されており、その結果、冷気を供給するシステムからの空気は、上部区画に入らない。この設計は、冷気が上部区画に循環されないので、凝縮による電子機器の損傷の可能性を防止できる。
【0018】
別の観点として、培養装置は、以下の組み合わせを有するよう設けられる。
(a)培養器
培養器は、外部と、内部と、培養器の内部にアクセスするための外部に設けられた1以上のアクセス機構と、を有している。培養器は更に、培養器の内部を公称温度で維持する熱源を有している。
(b)培養器を包む断熱されたエンクロージャー
エンクロージャーは、ソースから冷気を受け入れる内部領域を有し、断熱されたエンクロージャーは、実質的に培養器の外部を囲むような大きさと形状を有している。内部領域は、公称温度より低い温度でのソースからの冷気が培養器の外部を循環するように、領域を画定している。
【0019】
1つの可能性がある構成において、培養器は、ヒト患者から収集されたサンプルを含むサンプル容器を培養する。好ましくは、培養器は、サンプル容器からのセンサ信号を得るセンサを有する。
【0020】
その他の観点として、本発明は、培養器回りの装置のための冷却チャンバー装置を具体化する。培養器は、培養器の内部にアクセスを得る1以上のアクセス機構を有する正面を有している。冷却チャンバー装置は、培養器を実質的に包むような大きさと形状を有する断熱されたエンクロージャーを有し、頂部パネルと、それぞれ培養器の第1サイドパネル、第2サイドパネル及び第3サイドパネルをカバーする、第1サイドパネル、第2サイドパネル、第3サイドパネルと、培養器のアクセス機構を露出させる空間部又は開口を有する第4サイドと、を有している。
【0021】
もう一つの観点として、我々は、以下のステップを有する培養器の改良方法を発明した。
(a)改良キットを得る。
改良キットは、冷気源を有するベースと、エンクロージャーと、を有している。培養器が位置する場所において、エンクロージャーは好ましくは、断熱されているが、そうでなくても良く、ベースは、冷気を放出するための第1開口と、ベースに空気を戻すための第2開口と、を有している。
(b)ベースに培養器を置く。
(c)エンクロージャーが培養器を囲み、ベースの第1開口及び第2開口が培養器の周囲でありエンクロージャーの内部となるように、そして、冷気が培養器の外部を循環し閉ループでベースに戻ってくるように、ベースにエンクロージャーを置く。
【0022】
好ましい構成の実施形態において、エンクロージャーは、培養器が実質的にエンクロージャーによって包まれている間、培養器の内容物への直接アクセスを可能とする、培養器のアクセス機構を露出させる空間部を有している。もう一つの方法として、エンクロージャーは、培養器を完全に包むことができ、エンクロージャーは、培養器のドア又は引き出しにアクセスを可能とするよう、戦略的に置かれる又はアクセス機構のようなものを有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】血液収集ボトルを培養するよう設計された従来の培養器を示す図であり、実験室内の実験台の上に置かれていることが示されている。
【図2】本発明の1つの実施形態に係る培養システムの斜視図である。本システムは、培養器(例えば図1の培養器のようなもの)と、冷気を生じさせる機械を含むベースと、培養器を囲むエンクロージャー(一般的に断熱されているが、必ずしもそうでなくて良く、固有の断熱特性を有する材料でできている)と、を有している。エンクロージャーは、培養器の引き出しを露出させ、培養器の内容物への直接のアクセスを可能とする空間部(培養器の正面の開口)を有している。
【図3】図2の培養システムの正面図である。
【図4】図3の培養システムの背面図であり、エンクロージャーは取り外され、ベースの頂部に置かれた培養器と、ベースから冷気が放出されベースに空気が戻る開口が示されている。
【図5】図2の培養システムの背面斜視図であり、エンクロージャーは、ベースに組み込まれ、培養器を囲んでいる。
【図6】図2、3、5の培養システムの断面図であり、図3の6−6断面図である。
【図7】図2、3、5の培養システムの断面図であり、図5の7−7断面図であり、ベースの冷却機と、エンクロージャーの内壁と培養器の外壁との間の空間と、の間の閉ループにおける空気循環の流路を示している。
【図8】分離されたエンクロージャーの斜視図である。
【図9】既に既存の培養器を有する実験室のような場所に備え付けることができる改良キットの図である。本キットは、図2のベースとエンクロージャーを有し、任意で、培養器の外部とエンクロージャーの内壁との間の空間の温度を測定するために、その空間に置かれる温度センサを有している。温度センサは、ベースに位置する冷却機の運転を調節する温度フィードバックシステムにおいて使用されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(概要)
図を参照するように、図2は、本発明の1つの実施形態に係る培養システム200の斜視図である。システム200は、培養器10(例えば、図1の培養器のようなもの)と、冷気の供給を生じさせる機械を含むベース又はカート202と、培養器10を囲むエンクロージャー204と、を有している。エンクロージャー204は、一般的に断熱されているが、必ずしもそうでなくても良い。すなわち、エンクロージャーは、エンクロージャー204を形成する外殻又は外板に付け加えられた断熱材を有し、及び/又は、エンクロージャー204は、追加の断熱材の付加が不要な固有の断熱特性を有するような、材料及び/又は厚さでできている。
【0025】
培養器10及びエンクロージャー204は、ベース202の頂部に置かれている。ベース202は、エンクロージャー204及び培養器10が上に載るための移動可能なベースとしての機能を果たすようになっており、冷気を生じさせる冷却機700や冷却機のための電力供給装置も収納している。電力供給装置は、冷却ユニットに電力を供給するために、世界中で最も広いエネルギー源からの入力電圧を調整する。図示された実施形態において、ベース202の冷却機700(図7)は、10℃の気流を生じさせる。この温度設定は、ほんの一例として提示されるものであり、以下に記載する、培養器によって維持される公称温度、エンクロージャー204に存在している断熱材の量、周囲温度環境、及びエンクロージャーのための温度センサを含むシステムがフィードバック温度制御システムを使用するかどうか、によって変化する。
【0026】
培養器10は、培養器内に含まれる図1のボトル12のための公称温度の培養環境を与える暖房システム(従来のもの、図示せず)を有している。図示された実施形態におけるこの温度は、20〜25℃の範囲であり、例えば22.5℃である。
【0027】
好ましい実施形態のエンクロージャー202は、実質的に培養器10を囲み又は包み、その中に入る培養器10に比較的涼しい周囲環境を与える、断熱されたキャビネットである。好ましい実施形態は、培養器10の引き出し14に実験技術者が直接アクセスするために、エンクロージャー204の前壁208に、空間部又は開口206を有している。
【0028】
運転中において、ベース202の冷却機からの冷気は、ベース202の上面に形成された孔406(図4、6)を通ってベース202から吹き出し、培養器10の外面410(図4)とエンクロージャー204の内壁214(図6、7及び8)との間に存在する空間又は領域600(図6、7)内に吹き込む。冷気は、図6、7で示される培養器10の側面及び背面の周りを循環し、ベース202の頂部402の空気戻り開口404(図4)を通って、ベース202内に戻る。空気は、図7の矢印で示される閉ループを流れ、その結果、培養器10に対して、比較的涼しいすぐ近くの周囲環境(例えば10〜13℃)を維持する。図2の全システムは、室温環境に置かれることができる。
【0029】
エンクロージャー204は、エンクロージャー204とベース202との間のシール(図8の800で最もよく示されている)と、エンクロージャー204と空間部206の位置にある培養器10との間のシール802と、を有している。このシールは、剥離に耐える又はエラストマーの弾性製品で具体化され、好ましくは、エンクロージャー204とベースとの間及びエンクロージャー204と空間部206の領域にある培養器10との間を、実質的に気密シールする。その結果、シール800及び802は、エンクロージャー204と培養器10との間の空間又は領域600に周囲の空気が入ることを防止している。このようにして、ベース202の冷却機の閉ループ気流システムが可能となり、そうでなければ生じてしまう湿気やそれに関する凝縮の問題が持ち込まれることを避けることができる。
【0030】
図2で示されたシステムは、培養器10が20〜25℃の公称温度でサンプルを培養できるようになっており、室温における通常の実験室環境で取り付けられる培養システムを有している。外付けのウォークイン環境チャンバーの使用は必要ない。実験室は、培養器10が適切に運転するために、室温より低い温度に冷却される必要はない。
【0031】
エンクロージャー204は、図2、3、5に最も良く示されているように、実質的に培養器10を包むように、特に構築されている。エンクロージャー204は、一般的に、特に作られたモデルとなる培養器にぴったり合い、そして、実質的に又はさらに完全にその培養器を包む、寸法に構築されている。そして、適切な位置に空間部又は開口を有しており、その結果、培養器10のアクセス引き出し又はドアを露出している。図6及び8に示すように、エンクロージャー204は、培養器10の寸法に対して大きくなっており、その結果、空間(600、図6及び7)が、この空間における冷却機からの冷気の循環を可能とするように、培養器10の外部410(図4)とエンクロージャー204の内壁214(図6、7、8)との間に画定されている。
【0032】
(ベース202(図2、3、4、7、9)及び冷却機700)
図示された実施形態のベース202は、図2でしめされる車輪を有するカート又はキャビネットで具体化される。ベースは、冷気の供給を生じさせる冷却機700(図7)のためのハウジング又はエンクロージャーを備えている。図4を参照すると、ベースは、冷却機からの冷気を放出するための1以上の開口406と、ベース202に空気が戻るための開口404と、を有する平らな上面402を有している。培養器は、開口404及び406が培養器10の周辺の外側に位置するように、図4に示されるように、上面402に配置される。培養器10は、培養器10の壁のベースを上面402に結合するブラケット408によって、上面402に固定される。追加のアンカーブラケット407は、装置の背面まで延びる。
【0033】
断熱されたエンクロージャー204も、図2、3に示されるように、ベース202の頂部に配置される。エンクロージャー204は、培養器の頂部に取り付けられ、ベース202の位置で固定される。エンクロージャー204は、図6及び7に示されるように、エンクロージャー204の内壁214(図8)がベースの頂部の開口404及び406の周辺に位置するように、ベース202に位置する。
【0034】
図7を参照すると、冷却機700は、蒸発器及びベース202から出て培養器10とエンクロージャー202との間の空間600に入る冷気を吹く1以上のファン730を通して空気が流れるための通路(図示せず)を有する、蒸発熱交換器732を有している。冷却機は、コンデンサ、コンプレッサ、及び、蒸発器732に液体冷媒を運び蒸発器から機械734に気相冷媒を戻すチューブを有する従来の冷却機734を有している。これらの詳細は、冷却技術において、従来のものである。冷却機734は、アイスクリームの冷却機で使用される半冷凍温度の代わりに例えば10℃の温度を作り出すよう改良された、蒸発器の寸法又は構成、負荷サイクル、及び/又は、ファンについて、標準のアイスクリームカート冷却ユニットで具体化される。
【0035】
図7はまた、冷却機700へ電力を供給する電力供給モジュール736を示している。培養システムが温度フィードバック制御システムを有する場合には、本システムはまた、温度信号を生じさせる冷却チャンバー空間600に配置される温度センサ720(図7)を有する。この信号は、冷却機700の動作を制御する、カート202(例えば、電力供給モジュール736に位置する)内に含まれる制御モジュールに対して与えられる。センサ720によって検知された温度変化によって、冷却機700は、その運転特性を変化させ、空間600における培養器10に対して所望の周囲温度を作るように、より冷たい空気又はより暖かい空気を作り出し、又は、冷気の量を多くしたり少なくしたりする。
【0036】
図示された実施形態において、冷却機700は継続的に10℃の空気を作るよう稼働し、エンクロージャー204は断熱され、フィードバック温度センサ720は存在しない。温度センサ720及びフィードバック温度調節体制を備えることで、よりエネルギー効率の良いシステムとなる。
【0037】
(培養器10)
培養器10は、サンプルを培養するためのどんな培養器でも良く、詳細では、形状因子、構成、大きさ、又は培養されるサンプルの種類は、特に重要ではない。図に示される培養器10は、血液収集ボトルのために設計されたものであるが、ほんの一例として提示されたものであり、これに限定されない。
【0038】
一般的には、培養器10は、それ自身、培養器の公称培養温度を制御する暖房及び温度制御システムである電子モジュール(図の18)を有している。図1〜4の実施形態において、培養器は、シートメタルのような熱伝導性材料の垂直壁で画定される外面を有する、箱のような構造であるが、この構成や材料の選択は、必ずしも必要ではなく、変えることもできる。更に、引き出し14の他の異なる形式のアクセス装置が可能であり、培養器のアクセス装置の特定の配置は、特に必要ではない。好ましい実施形態において、エンクロージャー204は、培養器10のアクセス引き出し14を露出している間、培養器10(図2、3、6及び7で示される)を実質的に包むように構築される。
【0039】
図2、3の実施形態において述べられている。培養器10の前面及び引き出し14は、周囲条件(室温)に露出されており、一方、培養器10の残りの3面(及び培養器の底面)は、図6、7の空間600によって提供される低温環境下にあり、カート202の上面402は比較的冷たくなっている。培養器の前面が周囲温度に露出されても、安定した20〜25℃の温度プロファイルを維持するための培養器の性能にほとんど影響を与えないということは、試験で実証されている。これは、周囲環境及び培養器が20〜25℃に維持されていると、周囲環境から培養器内部へ又は培養器内部から外部への熱移動がほとんど又は全くないからである。しかし、低温空間600及びカートの低温上面402、及び、培養器10の壁から空間600内の空気循環及びカート202の頂部への熱移動による、培養器10の側面、後面及び底面の低温環境は、培養器内の暖房システムが培養器10に対して一定の20〜25℃の公称温度を維持するよう確実に動作するように、十分な温度差動及び培養器10からの熱損失を与えるようになっている。培養器温度制御システムにおける着実な動作のためのこの要求は、培養器10が20〜25℃の公称温度を確実に維持するための培養器温度制御システムを可能としている。
【0040】
(エンクロージャー204)
図2、3、5、6、7及び8を参照して、エンクロージャー204は、前壁208、側壁210A、210B、210C、及び、天板又は上壁210Dを有する、断熱構造であることが好ましい。断熱材は、図6及び7の602で示されている。エンクロージャーは、図8の斜視図で、分離された状態が示されている。図示された実施形態において、エンクロージャー204は、底壁又は底面を有していない。エンクロージャー204は、培養器の頂部に取り付けられており、ベース202の位置で固定されている。エンクロージャー204は、実質的に、培養器10を囲み、包んでいる。壁208、210A、210B及び210Cは、好ましくは、断熱されている。例えば、1〜2インチのR5値発泡断熱材が、エンクロージャー204を形成する外殻や外板に適用される。エンクロージャーの天板210Dもまた、断熱される。
【0041】
図7を参照して、エンクロージャーは、エンクロージャーの壁214から内方へ延び、電子モジュール18の直下の培養器10の外部に隣接する、バッフル710を有している。バッフルは、培養器10とエンクロージャー204との間の空間を2つの区画に分けるようになっており、バッフルの下方の第1区画702は、培養器とエンクロージャー204との間の低温空間600を有し、第2区画704は、バッフルの上方に位置し、培養器内の電子モジュール18を囲んでいる。好ましくは、冷却システム700からの冷気は、バッフル710によって、第2区画704に入らない。これにより、区画704において、蓄積され培養器の電子モジュール18に対する問題となりうる、凝縮の形成が防止される。図5の背面図に示されるように、培養器の電子機器のための換気孔を露出させ、電子モジュール18の冷却システムが適切に作動することが可能となるように、背面板210Bの頂部には、開口が存在している。
【0042】
エンクロージャー204は、追加の断熱材、例えば、R5発泡断熱材を追加することが必要とならないように、固有の断熱特性を備えた材料で、十分な厚さを有して、できている。
【0043】
(改良キット)
本発明の1つの可能性がある実施形態において、培養器10は既存の培養器であり、エンクロージャー204及び冷却機700(図7)を有するベース202は、既存の培養器を改良する目的で、培養器の所有者に対してキット900(図9)として、提供される又は販売されるものである。エンクロージャー204及びベース202は、培養器10が配置される実験室に送られ、ベースとエンクロージャーは、図に示されるように構成され、室温で培養試料に理想的に合う培養システムを形成するように記載されている。エンクロージャー204は、一般的に、分解された状態で送られ、技術者によって現地で組み立てられる。
【0044】
したがって、本発明の1つの可能性がある実施形態において、培養器を修正するために、ある方法が提供される。その方法は、
a)冷気を生じさせる機械(700、図7)を含み、冷気を放出するための第1開口406とベース202に空気を戻すための第2開口404とを有する、ベース202と、培養器10が配置される場所における断熱されたエンクロージャー204と、を有する改良キットを得るステップと、
b)第1開口406及び第2開口404が培養器の外側に位置するように(図4参照)、培養器10をベース202上に配置するステップと、
c)断熱されたエンクロージャー204が実質的に培養器10を囲むように、断熱されたエンクロージャー204をベース202上に配置する(図2、3、5〜7)ステップと、
を有している。断熱されたエンクロージャー204は、培養器10の外部とエンクロージャー204との間の空間600を画定するような寸法及び形状とされる。エンクロージャー204は、ベース内の第1及び第2開口406、404が空間600と連通して(図6に示すように)断熱されたエンクロージャー内に位置するように、ベース202上に配置される。冷気はベースから出て来、培養器の外部を循環し、閉ループでベースに戻ってくる(図7参照)。空気は、空気が冷却ユニットに戻る左側に対して培養器の背面の回りを流れる。エンクロージャー204内を流れる空気は、培養器の背面板を通り過ぎて流れる。これにより背面板を冷却し、同様に、培養器暖房要素への還気を冷却する。その結果、培養器の暖房要素は、正確な培養器温度を維持するために作動させられるようになっている。
【0045】
任意に、断熱されたエンクロージャーは、培養器が実質的に断熱されたエンクロージャーによって包まれる間、培養器の内容物に対して直接のアクセスを可能とする、培養器のアクセス機構14を露出させる空間部206(図2、8)を有している。他の選択肢として、エンクロージャー204は、培養器10を完全に包み、エンクロージャー204内に、培養器10のアクセス機構14にアクセスするために開かれるドア(図示せず)が設けられる。
【0046】
好ましい実施において、本方法は、周囲空気が、エンクロージャー204の内壁214と培養器10の外壁410(図4)との間で画定される空間600内に周囲空気が導入されることを防止するように、断熱されたエンクロージャー202とベース202との間にシール800を取り付け、エンクロージャー204と培養器210との間にシール802を取り付けるステップを有している。
【0047】
図9に示すように、改良キット900は、空間の温度を監視するために、空間600に配置された温度センサ720も有する。温度センサは、フィードバック温度制御システムに提供するために、冷却機700の制御システムと電気通信するように配置される。
【0048】
前述のとおり、我々が記載した培養システム(図2〜8)は高く評価されており、それは、以下の組み合わせを有している。
a)冷気の供給を生じさせるための機械700
b)外部410と、内部と、培養器の内部にアクセスするための外部上の1以上のアクセス機構41と、を有する培養器10。培養器は、公称所望温度で培養器の内部の温度を維持するためのシステムを有している。
c)培養器10の外側にあり、培養器の外部とエンクロージャーとの間の空間600を画定するように培養器10を包む(図2、3、6、7)、エンクロージャー204
そこにおいて、空間600は、冷気の供給を生じさせる冷却機700(図7)からの冷気を受けるようになっており、エンクロージャー204は、実質的に培養器の外部を囲むような大きさ及び形状であり、空間600は、冷気が培養器の外部の回りを循環する領域を画定している。エンクロージャーは、更に、培養器10の外部上で1以上のアクセス機構14を露出させる空間部206を有し、ユーザーは、培養器が断熱されたエンクロージャーによって包まれている間(図2)、培養器内に保管された内容物に直接アクセスできるようになっている。
【0049】
述べたように、好ましい実施形態において、培養器温度制御システムは、20〜25℃の間の公称所望温度で培養器の内部を維持するよう、作動する。好ましい実施形態において、エンクロージャー204に供給される冷気の温度は、培養器の公称所望温度より低い、少なくとも7℃である。
【0050】
図2、7に示されるように、冷気を供給する機械は、ベース202に組み込まれ、エンクロージャー204は、断熱されたエンクロージャーであり、エンクロージャー及び培養器は、図4、5に示されるように、ベース上に配置され、ベース及び断熱されたエンクロージャーは、既存の培養器に対する改良組み立て品又はキット(図9)として、構築及び配置される。
【0051】
図示された実施形態において、冷気のソースはベース202内の冷却システムであることが、留意される。これは不可欠ではなく、冷却システムは、培養器の側面、背面、又は上方に位置しても良く、又は、離れており、例えば、複数の培養器があり、1つの共通の冷却システムがそれぞれの培養器及びそれと結合されたエンクロージャーに冷気を供給する場合において、エンクロージャーと培養器との間の空間600内へ冷気がダクトで通されても良い。このように、本発明は、以下で構成される培養装置として特徴づけられる。
(a)培養器10
培養器は、外部と、内部と、培養器の内部にアクセスする外部上の1以上のアクセス機構と、を有している。培養器は更に、公称温度で培養器の内部を維持する熱源を有している。
(b)培養器を包む、断熱されたエンクロージャー204
エンクロージャーは、ソース(培養器のためのベース上に位置していても良いし、位置していなくても良い)から冷気を受ける、内部空間又は領域600を有している。断熱されたエンクロージャーは、実質的に、培養器の外部を囲むような大きさ形状となっており、内部空間は、公称温度より低い温度のソースから空気が、培養器の外部を循環する領域を画定する。
【0052】
好ましい実施形態において、培養器10は、ヒト患者から収集されたサンプル、例えば血液を、含むサンプル容器を培養する。好ましくは、培養器は更に、サンプル容器からセンサ信号を得るセンサを有している。そして、培養器の公称温度は、20〜25℃の間の範囲である。血液収集ボトルのセンサの例は、米国特許第5164796号明細書に記載されており、ここに参照として組み込まれている。他のセンサも当技術分野において周知となっており、796特許のセンサと交換可能である。
【0053】
本発明のもう1つの形態において、本発明は、培養器10の回りに取り付けられる冷却チャンバー装置として特徴づけられる。培養器は、正面(図1、2及び3に示されている)と、培養器の正面に配置される、培養器の内部にアクセスする1以上のアクセス機構14と、を有している。冷却チャンバー装置は、特に、実質的に培養器10を包むような大きさ及び形状である、断熱されたエンクロージャーを有しており、また、天板210Dと、培養器の第1、第2及び第3のサイドパネルを覆う第1、第2、第3のサイドパネル210A、B、Cと、開口206を有する第4の側面と、を有しており、そこでは、エンクロージャー204の開口は、培養器のアクセス機構を露出している。
【0054】
(更なる構成)
開示された実施形態の更なる変形例が、エンクロージャー204がそれ自身断熱性を有していないことにおいて、考えられる。この実施形態において、エンクロージャー202と培養器10との間の空間600における空気温度を監視する温度センサ(図7)の形態において、フィードバックシステムが存在する。温度センサは、温度信号を冷却空気ソース(機械700)に送り、ソースは、エンクロージャーの外側の周囲条件の変化に応じて、エンクロージャーと培養器との間の空間において、特定の所望温度(例えば10℃)に維持するように、制御(例えば、より速い又は遅い速度で空気が吹き込まれたり、より冷たい又は暖かい空気が生成されたり)される。
【0055】
このアプローチによる変形例として、エンクロージャーは(図示された好ましい実施形態において)断熱されるが、温度センサはエンクロージャーと培養器との間の空間に配置され、冷気ソースはエンクロージャーと培養器との間の空間の温度を所望の温度に維持するように調節される。このアプローチは、最大のエネルギー効率を有するシステムとなるが、より高価なものとなる。
【0056】
したがって、別の実施形態において、培養システムが考えられ、それは、以下の組み合わせを有している。
a)冷気の供給を生じさせる機械700
b)外部と、内部と、培養器の内部にアクセスする外部上の1以上のアクセス機構と、を有する培養器10
培養器は、公称所望温度で培養器の内部の温度を維持するシステムを有している。
c)培養器の外側にあり、培養器の外部と断熱されたエンクロージャーとの間の空間600を画定するように実質的に培養器を包む、エンクロージャー
空間は、冷気の供給を生じさせる機械700からの冷気を受けるようになっている。
d)培養器10の外部とエンクロージャー204との間の空間600の温度を監視し、温度信号を生成する温度センサ720
そこにおいて、機械700は、温度センサからの温度信号に反応して、培養器の公称所望温度より低い所望設定値に、培養器の外部と断熱されたエンクロージャーとの間の空間600の温度を調節するよう作動する。
【0057】
1つの実施形態において、エンクロージャー204は実質的に断熱されていない、すなわち、追加の断熱材が付加されておらず、実質的な断熱特性を有さない材料、例えば、シートメタルそのままでできている。別の形態として、エンクロージャーは、図6及び7に示されるように、断熱されている。
【0058】
培養器10を改良する更なる方法が考えられ、それは以下のステップを有している。
a)培養器10が位置する場所に改良キット900(図9)を得るステップ
改良キットは、(1)冷気を生じさせる機械を含むベース202と、(2)培養器のためのエンクロージャー204と、(3)温度センサ720と、を有している。ベース202は、冷気を放出するための第1開口と、ベースに空気を戻すための第2開口と、を有している。
b)ベース(図4)上に培養器を配置するステップ
c)断熱されたエンクロージャーが培養器10を囲み、培養器の外部と培養器との間の空間を画定するように、断熱されたエンクロージャーをベース上に配置するステップ
ベースの第1開口及び第2開口が、培養器の周辺にあり、冷気がベースから出て培養器の外部を循環し閉ループでベースに戻ってくる(図5〜7)ように、空間と連通するように、断熱されたエンクロージャーは、ベース上に配置される。
d)エンクロージャーと培養器との間の空間600に温度センサ720を配置するステップ
温度センサと冷気を生じさせる機械とは伝達結合されている(図7)。
【0059】
物理的構成、又は、図に示された断熱されたエンクロージャー及びカートの形成要素、からの変形は可能であり、実際生じ得るものである。そのような変形例は、本発明の範囲内のものである。開示されたエンクロージャー204の特定の実施形態は、特定の培養器10(出願人の代理人の商業製品である)のために設計されたものであり、培養器の大きさや形状が異なれば、断熱されたエンクロージャー(及びベース)の大きさ及び形状は、当然異なる。したがって、特に開示された実施形態は、一例として提示されたものであり、それに限定されない。当業者は、冷気のソース、異なる培養器に合うカート又はベース及びエンクロージャーに関して、この文書の示唆を容易に適用することができ、そのような変形例は、本発明の範囲内のものと考えられる。
【0060】
添付のクレームにおいて、「断熱されたエンクロージャー」という言葉は、以下のものを包含することを意図している。
(a)実質的に断熱特性を有さない材料を表皮又は表面に有するエンクロージャーであって、特に断熱材(例えば発泡材)が付加されているエンクロージャー。
(b)実質的に固有の断熱特性を有する材料及び/又は厚さでできたエンクロージャーであって、追加の断熱材は付加されていないエンクロージャー。
(c)(a)と(b)の組み合わせ。
さらに、「冷気」という言葉は、例えば冷却ユニットによって冷却された空気が意図されている。そのような空気の温度は、通常、培養器の公称温度より低い温度、例えば10℃である。
【0061】
開示された特定の実施形態からのこれら及びその他の変形例は、本発明によって包含されると意図される。本発明の範囲に関するすべての質問は、添付のクレームを参照することによって回答される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷気の供給を生じさせる機械と、
外部と、内部と、前記内部にアクセスする前記外部上の1以上のアクセス機構と、を有する培養器と、
前記培養器の前記外部との間の空間を画定するように、前記培養器の外側にあって実質的に前記培養器を包むエンクロージャーと、の組み合わせを有する培養システムであって、
前記培養器は、前記培養器の前記内部の温度を公称培養温度に維持するためのシステムを有し、
前記空間は、冷気の供給を生じさせ、且つ、冷気が前記培養器の前記外部の回りを循環する環境を提供する、前記システムからの、冷気を受け取り、
前記エンクロージャーは更に、前記培養器の前記外部上の1以上の前記アクセス機構を露出させる空間部を有し、ユーザーは、前記培養器が実質的に前記断熱されたエンクロージャーによって包まれている間、前記培養器に保管された内容物へ直接アクセスするようになっている、培養システム。
【請求項2】
前記培養器は、前記培養器の前記内部を20〜25℃の公称培養温度に維持するように作動する、請求項1記載の培養システム。
【請求項3】
前記エンクロージャーに供給される冷気の温度が公称培養温度よりも低い少なくとも7℃である、請求項2記載の培養システム。
【請求項4】
前記エンクロージャーは、断熱されたエンクロージャーを有している、請求項1記載の培養システム。
【請求項5】
冷気を供給するための前記機械は、ベースに組み込まれており、
前記エンクロージャーは、断熱されたエンクロージャーを有し、
前記断熱されたエンクロージャー及び培養器は、前記ベース上に配置される、請求項1記載の培養システム。
【請求項6】
前記断熱されたエンクロージャーは更に、前記断熱されたエンクロージャーと前記ベースとの間、及び、前記断熱されたエンクロージャーと前記断熱されたエンクロージャー内の前記空間部を囲む領域の前記培養器との間を、実質的に気密シールするシールを有し、
前記シールは、前記断熱されたエンクロージャーと前記培養器との間の領域内への周囲空気の導入を防止する、請求項5記載の培養システム。
【請求項7】
前記培養器は更に、電子モジュールを収納する頂部を有し、
前記エンクロージャーは、断熱されたエンクロージャーを有し、
前記断熱されたエンクロージャーは、前記培養器の第1、第2及び第3側壁を囲む第1区画と、前記培養器の前記頂部を囲む第2区画と、に構築及び配置され、
前記第1及び第2区画は、冷気を供給する前記システムからの空気が前記第2区画に入らないように、互いに分離されている、請求項1記載の培養システム。
【請求項8】
前記ベースは、前記ベースから冷気を放出するための第1開口と、前記断熱されたエンクロージャーと前記培養器との間の前記空間から空気が戻るための第2開口と、を有し、
空気は、前記ベースから前記断熱されたエンクロージャーと前記培養器との間の前記空間を通って前記ベースに戻る、閉ループを循環する、請求項5記載の培養システム。
【請求項9】
外部と、内部と、前記内部にアクセスする前記外部上の1以上のアクセス機構と、を有する培養器と、
実質的に前記培養器を包む断熱されたエンクロージャーと、の組み合わせを有する培養装置であって、
前記培養器は更に、前記培養器の前記内部を公称培養温度に維持するための熱ソースを有し、
前記エンクロージャーは、前記ソースからの冷気を受ける、前記培養器の前記外部と前記エンクロージャーとの間の空間を画定し、
前記空間は、前記公称培養温度より低い温度の前記ソースからの空気が前記培養器の前記外部の外側を循環する領域を画定する、培養装置。
【請求項10】
前記断熱されたエンクロージャーは更に、前記培養器の前記外部上の1以上の前記アクセス機構を露出させる空間部を有している、請求項9記載の培養装置。
【請求項11】
更に、ベースを有し、
前記断熱されたエンクロージャー及び培養器は、前記ベース上に配置され、
前記ベースは、冷気のソースを含んでいる、請求項9記載の培養装置。
【請求項12】
前記培養器は、ヒト患者から収集されたサンプルを含むサンプル容器を培養し、
前記培養器は更に、前記サンプル容器からのセンサ信号を得るセンサを有し、
前記公称培養温度は、20〜25℃の間である、請求項9記載の培養装置。
【請求項13】
培養器の回りに取り付けられる冷却チャンバー装置であって、
前記培養器は、前記培養器の正面に配置された、前記培養器の内部にアクセスする1以上のアクセス機構を有し、
前記冷却チャンバー装置は、断熱されたエンクロージャーを有し、
前記断熱されたエンクロージャーは、特に、実質的に前記培養器を包むような、大きさ及び形状であり、頂板と、前記培養器の第1、第2及び第3側板を覆う第1、第2及び第3側板と、開口を有する正面とを有し、
前記断熱されたエンクロージャーの前記正面の開口は、前記培養器の前記アクセス機構を露出させる、冷却チャンバー装置。
【請求項14】
更に、前記開口の周囲の、前記培養器と前記断熱されたエンクロージャーとの間のシールを形成する、シールセットを有している、請求項13記載の冷却チャンバー装置。
【請求項15】
更に、前記培養器と前記断熱されたエンクロージャーとの両方を支持するベースを有している、請求項13記載の冷却チャンバー装置。
【請求項16】
更に、前記ベースに前記断熱されたエンクロージャーをシールするシールを有している、請求項15記載の冷却チャンバー装置。
【請求項17】
前記ベースは、冷気の供給を生じさせる機械と、前記培養器の外部と前記断熱されたエンクロージャーとの間に画定された空間に冷気を吹き込むファンと、を収納している、請求項15記載の冷却チャンバー装置。
【請求項18】
前記培養器は、20〜25℃の間の公称培養温度で前記培養器の内部を維持するよう作動する、請求項13記載の冷却チャンバー装置。
【請求項19】
冷気の温度は、前記培養器の公称温度よりも低い少なくとも7℃である、請求項18記載の冷却チャンバー装置。
【請求項20】
更に、前記培養器及び前記断熱されたエンクロージャーから離れて位置する冷気ソースと、冷気ソースから前記培養器の前記外部と前記断熱されたエンクロージャーとの間に画定された空間へ冷気を導く1以上のダクトと、を有する、請求項19記載の冷却チャンバー装置。
【請求項21】
培養器を改良する方法であって、
冷気の供給を生じさせる機械を含み、冷気を放出するための第1開口と、前記ベースに空気を戻すための第2開口と、を有する、ベースと、前記培養器が位置する場所における断熱されたエンクロージャーと、を有する改良キットを得るステップと、
前記第1開口及び前記第2開口が前記培養器の外側に位置するように、前記培養器を前記ベース上に配置するステップと、
前記断熱されたエンクロージャーが実質的に前記培養器を囲むように、前記断熱されたエンクロージャーを前記ベース上に配置するステップと、を有し、
前記断熱されたエンクロージャーは、前記培養器の外部と前記エンクロージャーとの間の空間を画定するように構築され、
前記ベースの前記第1及び第2開口が、冷気がベースから出て前記培養器の前記外部を循環し閉ループで前記ベースに戻るように、前記空間と連通し、前記断熱されたエンクロージャー内に位置するように、前記断熱されたエンクロージャーは、前記ベース上に配置される、方法。
【請求項22】
前記断熱されたエンクロージャーは、前記培養器が実質的に前記断熱されたエンクロージャーによって包まれている間、前記培養器の内容物に直接アクセス可能とする前記培養器のアクセス機構を、露出させる空間部を有している、請求項22記載の方法。
【請求項23】
前記断熱されたエンクロージャーの内部と前記培養器の外部との間の空間に周囲空気が導入されることを防止するために、更に、前記断熱されたエンクロージャーとベースとの間、及び、前記断熱されたエンクロージャーと前記培養器との間に、シールを取り付けるステップを有している、請求項22記載の方法。
【請求項24】
冷気の供給を生じさせる機械と、
外部と、内部と、前記内部にアクセスする前記外部上の1以上のアクセス機構と、を有する培養器と、
前記培養器の前記外部との間の空間を画定するように、前記培養器の外側にあって実質的に前記培養器を包むエンクロージャーと、
前記培養器の前記外部と前記断熱されたエンクロージャーとの間の前記空間の温度を監視し、温度信号を発生する、温度センサと、の組み合わせを有する培養システムであって、
前記培養器は、前記培養器の前記内部の温度を公称培養温度に維持するためのシステムを有し、
前記空間は、冷気の供給を生じさせる前記機械からの冷気を受け取り、
前記機械は、前記培養器の前記外部と前記エンクロージャーとの間の空間の温度を、前記温度センサからの前記温度信号に反応して、前記培養器の公称培養温度より低い所望の設定温度に調節するよう作動する、培養システム。
【請求項25】
前記エンクロージャーは、断熱されたエンクロージャーを有している、請求項24記載の培養システム。
【請求項26】
前記エンクロージャーは、実質的に断熱されていないエンクロージャーを有している、請求項24記載の培養システム。
【請求項27】
前記エンクロージャーは更に、前記培養器の前記外部上の1以上の前記アクセス機構を露出させる空間部を有し、ユーザーは、前記培養器に保管された内容物へ直接アクセスするようになっている、請求項24記載の培養システム。
【請求項28】
培養器を改良する方法であって、
冷気の供給を生じさせる機械を含み、冷気を放出するための第1開口と、前記ベースに空気を戻すための第2開口と、を有する、ベースと、前記培養器のためのエンクロージャーと、温度センサと、を含む改良キットを、前記培養器が位置する場所に得るステップと、
前記培養器を前記ベース上に配置するステップと、
前記エンクロージャーが前記培養器を囲み、前記培養器の外部と前記エンクロージャーとの間の空間を画定するように、前記エンクロージャーを前記ベース上に配置するステップと、
前記温度センサを前記エンクロージャーと前記培養器との間の空間に配置し、前記冷気を生じさせる前記機械の作動の温度フィードバック調節を可能とするように、前記温度センサと前記冷気を生じさせる前記機械とを伝達結合させるステップと、を有し、
前記ベースの前記第1及び第2開口が、前記培養器の周辺に位置し、冷気が前記ベースから出て前記培養器の前記外部を循環し閉ループで前記ベースに戻るように、前記空間と連通するように、前記エンクロージャーは、前記ベース上に配置される、方法。
【請求項29】
前記エンクロージャーは、前記培養器の内容物に直接アクセス可能とする前記培養器のアクセス機構を、露出させる空間部を有している、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記エンクロージャーの内部と前記培養器の外部との間の空間に周囲空気が導入されることを防止するために、更に、前記エンクロージャーと前記ベースとの間、及び、前記エンクロージャーと前記培養器との間に、シールを取り付けるステップを有している、請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記エンクロージャーは、断熱されたエンクロージャーである、請求項28記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−501676(P2012−501676A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526850(P2011−526850)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/004429
【国際公開番号】WO2010/030318
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(502073946)バイオメリュー・インコーポレイテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】bioMerieux, Inc.
【Fターム(参考)】