説明

低温ショーケース

【課題】卓上設置型の低温ショーケースにおいて、テーブルの設置スペースの縮小や陳列室の高さ位置の上昇を防止しながら、据え付け作業性も良好に維持できる構造を提供する。
【解決手段】低温ショーケース1は、上部に位置して商品を陳列する陳列室9が構成された陳列部2と、この陳列部2の下方に位置して当該陳列部2と一体化され、圧縮機19や凝縮器21等が設置されたユニット部3とを備え、このユニット部3の圧縮機19の運転により陳列部2の陳列室9内は冷却されると共に、陳列部2とユニット部3間には、テーブルを挿入して着脱可能に取り付けるためのテーブル取付部27を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を冷却しながら陳列する低温ショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種低温ショーケースは、商品を陳列する陳列室が開口しており、或いは、その周囲が透明壁及び透明扉にて囲繞されており、内部に冷却器で冷却された冷気を循環することで商品を冷却しながら陳列する構成とされている。特に、卓上型と称される小型の卓上設置型低温ショーケースは、店舗のカウンタテーブル上等に設置されて飲料等の比較的小型の商品を陳列販売する用途に使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−35467号公報
【特許文献2】特開昭64−46556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1のように圧縮機等の冷却ユニットが陳列室と一体化された低温ショーケースでは、カウンタテーブル上のスペースを大きく占有する問題がある。また、低温ショーケースには陳列室下方に冷却ユニットを設置したタイプもあるが、このタイプではカウンタテーブルの高さが高くなると低温ショーケースの陳列室の位置が高くなり、商品を取り出し難くなる。
【0004】
一方、従来より陳列室と冷却ユニットを分離し、陳列室のみカウンタテーブル上等に設置し、冷却ユニットは床面に設置して両者間をダクトで連通する構造も提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、係る構造では据え付け時に陳列室の部分と冷却ユニットの部分とをダクトで連結する作業が必要となり、据え付け作業性が悪化すると共に、据え付け位置の移動も困難となるため、卓上型低温ショーケースのメリットを減殺してしまう問題があった。
【0005】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、所謂卓上設置型の低温ショーケースにおいて、テーブルの設置スペースの縮小や陳列室の高さ位置の上昇を防止しながら、据え付け作業性も良好に維持できる構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の低温ショーケースは、上部に位置して商品を陳列する陳列室が構成された陳列部と、この陳列部の下方に位置して当該陳列部と一体化され、圧縮機や凝縮器等が設置されたユニット部とを備え、このユニット部の圧縮機の運転により陳列部の陳列室内は冷却されると共に、陳列部とユニット部間には、テーブルを挿入して着脱可能に取り付けるためのテーブル取付部を構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明の低温ショーケースは、上記において陳列部に設けられた冷却器を備え、この冷却器とユニット部内の圧縮機等を配管接続したことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明の低温ショーケースは、請求項1の発明においてユニット部に設けられた冷却器を備え、この冷却器と陳列部の陳列室内とをダクトにより連通させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の低温ショーケースは、上部に位置して商品を陳列する陳列室が構成された陳列部と、この陳列部の下方に位置して当該陳列部と一体化され、圧縮機や凝縮器等が設置されたユニット部とを備えており、このユニット部の圧縮機の運転により陳列部の陳列室内は冷却されるようにすると共に、陳列部とユニット部間には、テーブルを挿入して着脱可能に取り付けるためのテーブル取付部を構成しているので、例えば店舗のカウンタテーブル上で商品を陳列販売する場合には、陳列部とユニット部間のテーブル取付部にカウンタテーブルを挿入するかたちで陳列部を当該カウンタテーブル上に載置し、テーブル取付部に当該カウンタテーブルを着脱可能に取り付け、即ち、低温ショーケースをカウンタテーブルに着脱可能に取り付けることにより、陳列室を備えた陳列部はカウンタテーブル上、圧縮機、凝縮器等を備えたユニット部はカウンタテーブル下と云うかたちで分けて設置することができるようになる。
【0010】
これにより、カウンタテーブル上の占有スペースの縮小を図ることができるようになると共に、カウンタテーブルの高さが高い場合にも、陳列室の高さを低い位置に抑え、商品の取り出し易さを担保することができるようになる。この場合、陳列部とユニット部とは一体化されているので、据え付け作業や移動作業も容易となり、所謂卓上型低温ショーケースの利点も維持できる。
【0011】
また、係るカウンタテーブルに設置する場合以外では、テーブル取付部に板状のテーブルを挿入して取り付けることにより、陳列部とユニット部間にテーブルを備えた低温ショーケースを構成できると云う効果もある。
【0012】
特に、請求項2の発明の如く陳列部に冷却器を設け、冷却器とユニット部内の圧縮機等を配管接続するようにすれば、ユニット部内に冷却器を設ける場合に必要となるユニット部内の断熱構造も不要となり、全体としての小型化を図ることが可能となる。
【0013】
一方、請求項3の発明の如くユニット部に冷却器を設け、冷却器と陳列部の陳列室内とをダクトにより連通させれば、陳列部の陳列室の高さ位置をより低く維持することが可能となり、カウンタテーブルの高さが高い店舗に設置する場合には、極めて好適なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態を詳述する。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明を適用した実施例の低温ショーケース1の正面図、図2は低温ショーケース1の縦断側面図をそれぞれ示している。実施例の低温ショーケース1は所謂卓上型と称される低温ショーケースであり、上部に位置する陳列部2と、その下方に位置して当該陳列部2と一体化されたユニット部3とから構成されている。
【0016】
陳列部2は本体となる断熱壁4と、この断熱壁4の上縁周囲に立設された透明壁(ガラス板、硬質合成樹脂板等から成る)6・・・と、底板7と、この底板7の前端及び後端(一端及び他端)に立設され、前面及び後面(一端及び他端)の透明壁6、6の内側に間隔を存して配置された透明な仕切板8、8等から構成されており、左右側面(両側面)の透明壁6、6と前後の仕切板8、8とで囲繞された底板7上の空間に上面開口の陳列室9が構成されている。尚、後面の透明壁6は断熱性を考慮して二重ガラス(或いは、二重の硬質合成樹脂板)にて構成されている。
【0017】
断熱壁4は上面に開口する所定の深さの縦長矩形容器状を呈しており、透明壁6・・・はこの断熱壁4の開口縁の周囲(前後辺及び左右辺)にそれぞれ立設されている。底板7は断熱壁4の底面から離間して配置されており、この底板7と断熱壁4の底面間に冷却室11が構成され、この冷却室11内には冷却ユニット12の冷媒回路の一部を構成する冷却器13と送風機14が設置されている。
【0018】
また、後側の仕切板8と後面の透明壁6間の間隔下端は冷却室11の後端に連通しており、前側の仕切板8と前面の透明壁6間の間隔下端も冷却室11の前端に連通している。後面の透明壁6の上縁は前方(内方)に屈曲されており、前面の透明壁6の上縁は後方(内方)に屈曲されている。そして、この後面の透明壁6と後側の仕切板8の上縁間に冷気吐出口16が、また、前面の透明壁6と前側の仕切壁8上縁間には冷気吸込口17が形成されている。
【0019】
断熱壁4の後部(他端部)は下方に延在して連結部4Aとされており、その下端はユニット部3の後部(他端部)上端に連結されている。ユニット部3はその後部(他端部)から下部に渡るアングル材(図示せず)を備え、このアングル材の後辺上端が連結部4A内を経て陳列部2の後部(他端部)に連結され、これにより、陳列部2とユニット部3は十分な強度で一体化されている。ユニット部3のユニットベース18は前述したアングルの下辺に溶接固定されており、このユニットベース18上の空間に機械室20が構成され、この機械室20内に冷却ユニット12の冷媒回路の一部を構成する圧縮機19、凝縮器21、凝縮器用送風機22等の重量部品が収納されてユニットベース18上に設置されている。陳列部2内の冷却器13は断熱壁4の連結部4A内を通過する冷媒配管23(二経路あり)によってユニット部3内の圧縮機19や凝縮器21に接続されており、これら及び図示しない減圧装置が環状に接続されて冷却ユニット12の周知の冷媒回路が構成されている。
【0020】
実施例では最も重量の嵩む圧縮機19がユニットベース18の前部(一端部)に配置されており、凝縮器21は後部(他端部)に位置し、凝縮器用送風機22はそれらの間に配置されている。ユニット部3の機械室20の周囲はケーシング24によって被覆されており、このケーシング24の前面、側面、後面及び底面には複数の通気口26・・・(図3の斜視図に示す)が形成されている。尚、ユニット部3内には図示しないドレン皿が設けられている。陳列部2の冷却室11からのドレン水は連結部4A内を通る図示しない配水管からこのドレン皿内に排出され、蒸発処理される。
【0021】
また、ケーシング24の上面24Aは断熱壁4の底面4B下方に離間して位置しており、これにより、陳列部2とユニット部3の間には前面と左右(一端と両側)が開放されたテーブル取付部27が構成されている。尚、このテーブル取付部27の上下寸法は通常より厚めのテーブル板を挿入する際にも十分な値に設定されており、実施例では140mmとされている。
【0022】
そして、ケーシング24の上面24Aには取付ボルト28が螺合して取り付けられ、テーブル取付部27側に突出している。この取付ボルト28の位置は実施例では操作性を考慮して上面24Aの略中央部左右にあるが、可能な限り連結部4Aに近い方が強度上望ましい。また、取付ボルト28は実施例の二本に限らず、上面24Aの四隅(四本)などに設けても良い。更に、断熱壁4の底面4B四隅には硬質ゴム或いは樹脂等から構成された脚部29が取り付けられている。
【0023】
ユニット部3内の圧縮機19が運転されると、圧縮機19から吐出された高温高圧の冷媒は凝縮器21で凝縮器用送風機22により空冷され、凝縮する。この圧縮機19や凝縮器21を空冷するための外気はケーシング24の後面の通気口26から機械室20内に流入し、左右面、底面及び前面の通気口26から排出される。この凝縮した冷媒は冷媒配管23を経て陳列部2に至り、図示しない減圧装置(膨張弁やキャピラリチューブ)で絞られた後、冷却器13に流入して蒸発する。このときの吸熱によって冷却作用を発揮する。冷却器13を出た冷媒は冷媒配管23を経てユニット部3に戻り、圧縮機19に吸い込まれる循環を繰り返す。
【0024】
送風機14が運転されると、冷却器13と熱交換して冷却された冷却室11内の冷気が冷気吐出口16から陳列室9の開口方向(前方)に吐出され、開口にエアーカーテンを形成しながら冷気吸込口17に流入し、冷却室11内に戻る循環を繰り返す。このエアーカーテンを形成した冷気の一部は陳列室9内に循環し、陳列室9内の商品(飲料等)を冷却する。また、圧縮機19は陳列室9内の温度を所定の冷蔵温度に維持するように運転制御され、これにより、陳列室9内の商品は所定温度に冷却されながら陳列されることになる。
【0025】
次に、本発明の低温ショーケース1の設置方法を説明する。先ず、例えば店舗のカウンタテーブル(テーブル)CT上にて商品を陳列販売する場合には、図1、図2に示すように陳列部2とユニット部3間のテーブル取付部27内に、当該取付部27の前面側からカウンタテーブルTCを挿入するかたちで陳列部2を当該カウンタテーブルTC上面に載置する。この場合、カウンタテーブルTCが連結部4Aに近接若しくは当接するまでテーブル取付部27内に挿入する。
【0026】
次に、取付ボルト28を回転させてその上面を上昇させ、カウンタテーブルTCの下面に当接させて締め付ける。これによってカウンターテーブルTCは陳列部2とユニット部3(の取付ボルト28)との間に挟持され、実施例では低温ショーケース1がカウンタテーブルTCに着脱可能に取り付けられたかたちとなる。このとき、ユニット部3はカウンタテーブルTC下側に位置し格納される。即ち、この取付状態では陳列室9を備えた陳列部2はカウンタテーブルTC上、冷却ユニット12の圧縮機19、凝縮器21等を備えたユニット部3はカウンタテーブルTC下と云うかたちで分けて設置される。
【0027】
これにより、カウンタテーブルTC上の占有スペースの縮小を図ることができるようになる。特に、圧縮機19等が設置されたユニット部3はカウンタテーブルTCの下側に格納されるかたちとなるので、カウンタテーブルTCの高さが高い場合でも、陳列室9の高さを低い位置に抑えることができる。これにより、商品の取り出し易さを担保することができるようになる。
【0028】
尚、低温ショーケース1を移動する際には、取付ボルト28を緩めてその上面を下降させ、カウンタテーブルTC下面から離間させれば、低温ショーケース1をカウンタテーブルTCから容易に取り外し、或いは、その位置を移動させることができる。即ち、本発明では陳列部2とユニット部3とは一体化されているので、据え付け作業や移動作業も容易となり、所謂卓上型低温ショーケースの利点も維持することができる。
【0029】
特に、この実施例では陳列部2の冷却室11内に冷却器13を設け、この冷却器13とユニット部3内の圧縮機19等とを配管接続している。ここで、ユニット部3内に冷却器を設ける場合にはこのユニット部3内の冷却器の周囲を断熱壁にて囲繞する必要があるが、この実施例のように冷却器13を陳列部2側に設ければ、係る断熱構造も不要となって全体としての小型化を図ることが可能となる。
【0030】
また、図1や図2のようにカウンタテーブルTCに設置しないときには、図3のようにテーブル取付部27内に板状のテーブルTを挿入し、取付ボルト28によって前述同様に低温ショーケース1に取り付ければ、陳列部2とユニット部3間にテーブルTを備えた低温ショーケースを構成することもできる。
【実施例2】
【0031】
尚、上記実施例では冷却器13を陳列部2の冷却室11内に設けたが、それに限らず、冷却器13及び送風機14をユニット部3内に設けてもよい。その場合は、ユニット部3内に断熱箱体を収納し、この断熱箱体内に冷却室11を構成する。そして、この冷却室11内に冷却器13及び送風機14を収納すると共に、連結部4A内には二系路のダクトを構成して、一方でこの断熱箱体内の冷却室11の冷気吐出側(冷却器13の冷気出口側)と陳列部2の冷気吐出口16を連通し、他方で陳列部2の冷気吸込口17と断熱箱体内の冷却室11の冷気吸込側(送風機14の冷気吸込側)とを連通させる。
【0032】
そして、ユニット部3の断熱箱体内の冷却器13と熱交換した冷却室11内の冷気をダクトを経て陳列部2の冷気吐出口16に送り、この冷気吐出口16から吐出して陳列室9内を冷却する。そして、この陳列室9内の冷気を冷気吸込口17から吸い込み、ダクトを経てユニット部3の断熱箱体内の送風機14に戻す冷気循環を構成する。
【0033】
このような構成にすれば、前記実施例のように陳列室9の下方に冷却室11を構成しなけて済むので、同じ陳列室9の容積であれば透明壁6の高さをより低くすることが可能となり、カウンタテーブルTCの高さが高い店舗に設置する場合には、極めて好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を適用した実施例の低温ショーケースの正面図である。
【図2】図1の低温ショーケースの縦断側面図である。
【図3】図1の低温ショーケースにテーブルを取り付けた場合の斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 低温ショーケース
2 陳列部
3 ユニット部
4 断熱壁
4A 連結部
9 陳列室
11 冷却室
13 冷却器
14 送風機
19 圧縮機
21 凝縮器
27 テーブル取付部
28 取付ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に位置して商品を陳列する陳列室が構成された陳列部と、該陳列部の下方に位置して当該陳列部と一体化され、圧縮機や凝縮器等が設置されたユニット部とを備え、
該ユニット部の前記圧縮機の運転により前記陳列部の前記陳列室内は冷却されると共に、前記陳列部と前記ユニット部間には、テーブルを挿入して着脱可能に取り付けるためのテーブル取付部を構成したことを特徴とする低温ショーケース。
【請求項2】
前記陳列部に設けられた冷却器を備え、該冷却器と前記ユニット部内の前記圧縮機等を配管接続したことを特徴とする請求項1に記載の低温ショーケース。
【請求項3】
前記ユニット部に設けられた冷却器を備え、該冷却器と前記陳列部の前記陳列室内とをダクトにより連通させたことを特徴とする請求項1に記載の低温ショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−132105(P2008−132105A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319745(P2006−319745)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】