説明

低温原子干渉センサ

原子ソース(11)と、第1のラマン二周波数レーザビーム(4、4a、4b)を生成できる二周波数レーザ(2)と、第2のラマン二周波数レーザビーム(12)を生成するために、第1のラマン二周波数レーザビームを反射するように配置される反射器(7、13)であって、第1のレーザビーム、及び第2のレーザビームは、原子ソースから取得される低温原子の放射から原子干渉フリンジを取得するために、異なる方向に伝播する反射器と、を有し、反射器(7、13)はまた、低温原子を取得するために、第1のビーム、及び第1のビームの複数の反射が、原子ソースから生じる原子を捕捉できるように、反射器の表面(7a、7b、7c、7d、14)における第1のビーム(4)の複数の反射を可能にするように配置されることを特徴とする低温原子干渉センサ(1、1a、1b)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温原子干渉センサに関する。
【背景技術】
【0002】
誘導ラマン遷移を使用する低温原子干渉センサ(cold-atom interferometry sensor)の動作概念は、米国特許第5274232号に詳細に説明される。これらの低温原子干渉センサは、良好な感度を有することが知られる。
【0003】
このセンサにおいて、低温原子ソース(cold-atom source)の放射からの原子干渉フリンジを取得するために、異なる方向に伝播し、かつ異なる周波数を有する2つのレーザビームを取得する必要がある。
【0004】
ラマンパルスに必要なこれら2つのレーザビームを取得するためには、反対に伝播するなどの別個の2つのレーザ源を使用するか、又は第1の二周波数レーザビーム(dual-frequency laser beam)を生成する単一源と、第2の二周波数ビームを生成するためにレーザビームを反射するように配置される反射器とを使用するかのいずれかが、可能である。
【0005】
2つのラマンビームの間の相対的な収差が減少するので、2つのラマンパルスレーザビームを生成するために単一レーザ源、及び反射器を使用する第2の型のセンサは、良好な性能を有する利点がある。第2のラマン二周波数ビームを生成する反射器を使用するこの干渉センサは、仏国特許出願第2848296号などで説明される。
【0006】
干渉センサが提供する測定の安定性を向上させるためには、低温原子を取得するための原子の冷却による速度の観点から、原子ソースの分散を低減する必要がある。このためには、低温原子を取得するために原子ソースから生じる原子を捕捉するように配置される捕捉手段が使用される。
【0007】
より詳細には、本発明は、
原子ソースと、
第1のラマン二周波数レーザビームを生成できる二周波数レーザと、
第2のラマン二周波数レーザビームを生成するために、第1のラマン二周波数レーザビームを反射するように配置される反射器と、
を有し、第1のレーザビーム、及び第2のレーザビームは、原子ソースから取得する低温原子の放射からの原子干渉フランジを取得するために、異なる方向に伝播する低温原子干渉センサに関する。
【0008】
このような低温原子干渉センサは、Florence YVER LEDUCによる名称を「低温原子慣性センサの特性(Characterisation of a cold-atom inertial sensor)」という2004年の博士論文、又はB. Canuel、F.Leduc、D. Holleville、A. Gauguet、J.Fils、A. Virdis、A. Clairon、N. Dimarcq、Ch. J. Borde、A. Landragin、及びP. Bouyerによる「低温原子干渉を使用する6軸慣性センサ(Six-Axis Inertial Sensor Using Cold-Atom Interferometry)」(Phys. Rev. Lett. 97, 010402(2006))などで説明される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この文献、及び従来において、センサは、低温原子を取得するために、原子ソースから生じる原子を捕捉するように配置される捕捉手段を有する。また公知のように、これらの捕捉手段は、空間で3つの方向に反対に伝播する6つのレーザで構成されるトラップを有する。
【0010】
したがって、この低温原子干渉センサは、原子干渉を測定するために少なくとも1つのラマンレーザが必要となり、かつ良好な干渉測定値を利用可能にする低温原子を取得するために原子の捕捉をもたらすいくつかのレーザが必要となるという欠点を有する。
【0011】
このため、従来の低温原子干渉センサは、複雑かつ大型である。
【0012】
本発明が解決する課題は、上述のようにより小型化するようにより少ないレーザを必要する一方で、十分な測定値が可能である1つ、又は複数の低温原子センサを提供することである。
【0013】
本発明に従うと、この課題は、もはや第2のラマンビームを生成する機能のみでなく、反射器の表面に第1のラマンビームの複数の反射することによって、低温原子を取得することを可能にする捕捉手段を形成する反射器を使用することによって、解決する。
【0014】
より詳細には、上述の課題は、第1のビーム、及び第1のビームの複数の反射によって、低温原子を取得するために原子ソースから生じる原子を捕捉することが可能となるように、反射器の表面で第1のビームの複数の反射が可能になるようにも配置されるという事実によって、解決される。
【0015】
このように本発明によると、反射器での複数の反射によって、第1のレーザビームが捕捉を提供するので、公知の装置で反対に伝播するレーザを形成する捕捉手段は、もはや必要ではない。その結果として、本発明に従う低温原子干渉センサは、ラマン遷移による干渉測定、及び低温原子を取得するための原子の捕捉の双方を実行するただ1つのレーザ源のみを必要とする。
【0016】
低温原子を取得するトラップの分野において、Leeらによる刊行物「ピラミッド空洞ミラー、及び円錐空洞ミラーにおける単一ビーム原子トラップ(Single-beam atom trap in a pyramidal and conical hollow mirror)」(Optics Letters August 1996)が公知である。ここでは、ただ1つのレーザを使用して、反射器で原子をトラップし、冷却することが可能であることが教示される。しかしながら、この刊行物は、低温原子干渉センサには関連せず、特に、刊行物に記載された特定の原子トラップを形成する反射器が、低温原子干渉センサのラマンビームを反射する反射器として使用できることは、どこにも説明されていない。一方、本発明に従うと、原子の捕捉と、ラマンレーザビームの反射とをもたらすために使用される反射器は、実際には同一の反射器である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
ここで本発明の有利な実施形態を説明する。
【0018】
上述の反射器の有利な特徴が、第1に説明される。
【0019】
この反射器は、第1のビーム、及び反射器の表面における第1のビームの反射が、低温原子を取得するために、原子を捕捉するビーム対であって、反対に伝播するビーム対を構成するように配置できる。この場合、反射器は、第1のビーム、及び反射器の表面における第1のビームの反射が、反対に伝播する3対のビームを構成するように配置できる。この特徴によって、低温原子を取得するために、原子ソースから生じる原子の十分な捕捉が可能になる。
【0020】
第1のビーム、及び反射器での第1のビームの反射によって、反射器のボリューム内に原子を捕捉できるように、反射器は、凸型反射器にすることができる。反射器のこの特徴によって、良好な捕捉を保証するために、第1のビームの反射を反射器の内部に向かわすことが可能になる。
【0021】
具体的には、第1のビーム、及び反射器での第1のビームの反射によって、反射器が形成するボリュームにおいて原子を捕捉することが可能なように、反射器は、円錐形状(a conical or frutoconical shape)を有することができる。
【0022】
具体的には、第1のビーム、及び反射器での第1のビームの反射によって、反射器が形成するボリュームにおいて原子を捕捉する反対に伝播する3対のビームを構成するように、反射器は、方形の横断面、又は切頂ピラミッド横断面を有するピラミッドを有することができる。反射器のこの具体的な形状は、良好な捕捉を保証する。
【0023】
反射器は、第2のレーザビームが、第1のビームの伝播方向と反対の方向に伝播するように配置できる。好適には、反射器は、第2のビームは、第1のビームの偏光と同一の偏光を有するように配置できる。これによって、原子干渉フランジの取得が容易になる。
【0024】
このために、反射器は、第1のビームの方向に垂直な平坦面を有する円錐形状、又は切頂形状を有することができる。平坦面は、平坦面で反射するビームが、第1のビームの偏光と同一の偏光を有するように処理される。
【0025】
ここで、本発明に従うセンサの他の有利な特徴を説明する。
【0026】
原子ソースは、磁気的にトラップされる超低温クラウド(ultra-cold1cloud)を作り出すために、反射器の平坦面の一方に提供される原子チップを有する。原子ソースのこの特徴によって、原子のトラップ、及び原子の冷却を改善する。
【0027】
またセンサは、低温原子を光磁気的にトラップするように配置される磁気手段を有する。磁気手段は、低温原子が反射器のボリューム内にトラップされるように反射器に対して配置される。
【0028】
また磁気手段は、原子干渉フランジを取得するために、低温原子を放射するように一定磁界を生成するように配置できる。
【0029】
原子干渉フランジを取得するための低温原子の放射は、重力などによって実行できる。
【0030】
原子ソースは、
加熱による脱離と、
光と、
冷却スポットの温度の制御と、
の方法の少なくとも1つによって、原子蒸気を生成できる。
【0031】
この方法によって、原子蒸気の十分な生成が可能である。
【0032】
好適には、センサは、真空チャンバと、真空チャンバ内に配置される反射器と、第1のレーサビームを真空チャンバに入力するように配置される伝播手段とを備えるセンサとを有する。
【0033】
この場合、伝播手段は、第1のレーザに透明な窓を有することができる。
【0034】
またセンサは、原子干渉フランジを検出するように配置される検出手段を有する。
【0035】
これらの検出手段は、低温原子が放射する共鳴蛍光(resonance fluorescence)を検出するように配置される光検出セルなどを有する。
【0036】
また本発明は、上述の第1の干渉センサと、上述の第2の干渉センサとを有するシステムに関する。第1のセンサは、第1のラマン二周波数レーザを有し、第2のセンサは、第2のラマン二周波数レーザを有する。第1のセンサの第1のレーザが生成するレーザビームは、第2のセンサの第2のレーザが生成するレーザビームの伝播方向と異なる伝播方向を有し、またこのシステムは、第1のレーザが生成するレーザビームの伝播方向、及び第2のレーザが生成するレーザビームの伝播方向の交点に配置される検出手段を有する。
【0037】
またこのシステムは、上述の第3の干渉センサを有し、第3の干渉センサは、第3のラマン二周波数レーザを有し、第3のセンサが第3のレーザが生成するレーザビームは、第2のレーザが生成するレーザビームの伝播方向、及び第2のレーザが生成するレーザビームの伝播方向と異なる伝播方向を有する。検出手段は、第1のレーザが生成するビームの伝播方向、第2のレーザが生成するビームの伝播方向、及び第3レーザが生成するビームの伝播方向の交点に配置される。
【発明の効果】
【0038】
このように、具体的には加速、及び回転である慣性の大きさへのアクセスを連続的に提示するレーザパルスシーケンスを確立することが可能である。
【0039】
ここで本発明に係る詳細な実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る第1の実施形態に従う低温原子干渉センサの横断面を示す図である。
【図2】本発明に従うセンサにおいて、ラマンビームを反射するように配置される反射器の詳細な横断面を示す図である。
【図3】本発明に従うセンサにおいて、ラマンビームを反射するように配置される反射器の透視図である。
【図4】本発明に係る実施形態に従う低温原子干渉センサの横断面を示す図である。
【図5】本発明に係る実施形態に従う低温原子干渉センサの実施形態において使用される原子チップとともに提供される切頂ピラミッド形の反射器を示す図である。
【図6】本発明に従って直交して結合される2つの干渉センサを有する複数軸システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図面において、反対のことが示さなれない限り、同一の参照は、類似する技術要素に関連する。
【0042】
図1に示すように、本発明に従う干渉センサ1は、加熱され、かつ温度が制御されるソリッド貯蔵(solid reservoir)、すなわちディスペンサ(dispenser)の形式の原子ソース11を有する。原子ソースは、ディスペンサ手段による熱の脱離、LIAD型の技術による光、又は冷却スポットの温度制御のいずれかによって、真空チャンバ6内に原子蒸気を取得することができるように配置される。真空チャンバ6は、横断面が正方形、又は円形にできるガラス管を有する。真空チャンバ6は、一端において窓5に近接し、他端において凸型反射器7に近接する。これは、以下でより詳細に説明される。好適には、反射器7は、基部が1センチメートルと5センチメートルの間であるピラミッド形状を有する。センサ1が被る可能性がある振動の影響を低減するために、反射器7は、ノイズを読み出す低レベル加速度計などを有する安定化システムに随意的に固定できる。
【0043】
また干渉センサ1は、二周波数レーザ源2と、レーザ源2が生成するレーザ信号を成形するシステム3とを有する。二周波数レーザ源2、及び成形システム3は、要求される大きさ、及び偏光特性を有し、窓5を介して入力する第1のレーザビーム4を生成するために、公知の形式で互いに対向して配置される。具体的には、第1のレーザビームは、上述のピラミッド反射器7に適合するように1センチメートルと5センチメートルの間の大きさを有することができる。二周波数レーザ2が放射する2つの周波数は、ルビジウム87の6800MHzなどセンサ1に使用される原子の超微細構造の周波数によって分離される。
【0044】
また干渉センサ1は、原子信号を検出するために共鳴蛍光を収集することができるように真空チャンバ6に配置される光検出セル9を有する。
【0045】
真空チャンバ6は、8で示されるソレノイドに全体的に取り囲まれる。ソレノイド8は、部分的に励起できる。2つのコイルから成るソレノイド8の第1の部分8aは、磁界勾配を作り出す。この磁界勾配によって、反射器7が形成するボリューム内部の捕捉帯において、原子の磁気的なトラップが可能になる。ソレノイド8の第2の部分8bは、真空チャンバ6内に均一な磁界を形成するために、ソレノイド8を補完する。
【0046】
ここで本発明に従う干渉センサ1の機能を説明する。
【0047】
動作中、本発明に従う干渉センサ1は、原子トラップ段階、原子放射段階、及び干渉を測定する干渉測定段階を作り出す。
【0048】
原子ソース11は、反射器7の真空チャンバ6の上部において、原子を解放する。
【0049】
トラップ段階において、二周波数レーザビーム4は、窓5を通過し、真空チャンバ6に入力する。二周波数レーザビーム4は、ピラミッド反射器7において複数の反射を受ける。反射器の表面における複数の反射により、ピラミッド反射器7のために、原子は、原子ソースが解放した原子を冷却する空間で3つの方向に反対に伝播するする3つのビームに対応する6つのレーザビームの均等物によって捕捉される。したがって、6つのビームの均等物が捕捉する原子はまた、ソレノイド8の部分8aが生成する勾配磁界によってトラップされる。その結果として、本発明に従って、反射器7自体は、次の立ち上げ段階(launch phase)で使用できる低温原子を生成するために原子の捕捉、及びトラップが可能である。
【0050】
トラップ段階において、レーザビーム4は、2mW/cm2の流束などを有する。すなわち、ピラミッド反射器7の構造に従い1〜25mWの電力を有する。
【0051】
レーザビーム4は、原子線に一致するように正確に働く(slaved、asservies)2つの周波数を有する二周波数である。2つの周波数は、同一の偏光、又は直角の偏光によって混合でき、問題の原子の超微細構造の周波数の差に近い値で分離される。
【0052】
ソレノイド8の部分8aが生成する磁界勾配は、トラップ段階において10、及び20ガウス/cmの間である。
【0053】
放射段階において、レーザ源は、立ち上げを支援するためにスイッチオン、又はスイッチオフできる。図1に示す垂直構造において、重力は、レーザ源2がスイッチオフのときに放射力の役割を果たす。他の構成では、レーザ源2がスイッチオンで維持される間、ソレノイド8の部分8bが生成する一定磁界は、放射力を作り出す。この場合、一定磁界は、1ガウス程度である。
【0054】
放射段階において原子が放射されると、本発明に従う干渉センサは、干渉段階において、干渉測定を実行する。この段階では、レーザの調整は、放射段階における調整と異なる。レーザビーム4の大きさは、原子サンプルの大きさよりも大きく、レーザのエネルギ流束は、100mW/cm程度である。ラマン二周波数レーザビーム4の2つの周波数は、垂直などの偏光によって混合され、問題の原子の超微細構造の周波数差に近い値で分離される。しかしながら、具体的には重力測定モードにおいて、垂直でない偏光を使用できる。2つの周波数は、段階で働く。すなわち、測定時間内に生じる段階のエラーは、1ラジアンよりも小さいようになる。
【0055】
生成される磁界勾配は、反射器7の捕捉帯10で原子をもはやトラップしないために、0である。ソレノイド8の部分8bが生成する一定磁界は、原子の経路において100mガウス程度である。
【0056】
原子干渉の分野においてそれ自体公知である方法において、異なる方向に伝播する第1のラマン二周波数レーザ、及び第2のラマン二周波数レーザビームは、低温原子の放射から原子干渉フリンジを取得することが可能である。原子干渉のこの概念は、米国特許第5274232号、Florence YVER LEDUCによる名称を「低温原子慣性センサの特性(Characterisation of a cold-atom inertial sensor)」という2004年の上述の論文、又は上述の参照刊行物「低温原子干渉を使用する6軸慣性センサ(Six-Axis Inertial Sensor Using Cold-Atom Interferometry)」において説明される。
【0057】
一般的に言えば、本発明に従うと、ラマン二周波数レーザビーム4は、反対方向に伝播する第2のラマン二周波数レーザビームを取得するために、反射器7で再帰反射される。次いで、干渉フリンジは、本発明に従う干渉センサ1によって、干渉段階において取得される。光検出セル9は、原子信号を検出するために使用される原子の共鳴蛍光を収集することができる。
【0058】
その結果として、本発明に従って、反射器7のピラミッド形状は、第1に、反射器の表面の複数の反射によって、トラップ段階、及び原子冷却段階の間に、原子を捕捉することを可能にする。第2に、干渉段階の間に再帰反射構造において使用される第2のラマン二周波数レーザビームを生成するために、ラマン二周波数レーザビーム4を反射することを可能にする。
【0059】
その結果、干渉センサのこれら2つの機能を果たす同一の反射器を使用することは、干渉センサの小型化を改良するという利点を有する。
【0060】
原子検出の概念は、以下でより詳細に説明される。
【0061】
尋問ののちに(after interrogation)、原子を検出するとき、レーザビームの第1の周波数は、F=2の状態において蛍光によって原子を検出するために、ルビジウム87のF=2からF=3などのサイクリング遷移に同調する。原子信号を標準化する必要がある場合、原子をリポンプ(repump)するために調整されたレーザビームの第2の周波数を使用することによって、F=1において原子を最初に検出することが可能になる。したがって、これは検出するためにF=2においてリポンプされる。
【0062】
2つの方法を使用できる。
【0063】
第1は、2つのクラウドF=1、及びF=2に空間的に分離することから成る。この場合、第1のレーザパルスは、F=2において原子を停止し、F=1に原子を残して、原子は落下し続ける。2つのクラウドが空間的に分離されるとき、レーザをリポンプする第2のレーザパルスは、異なる2つの検出器で2つのクラウドを画像化することによって、2つのクラウドの蛍光を同時に検出することが可能になる。
【0064】
第2の方法は、同一の検出器による検出であるが、時間的に分離した検出である。この場合、第1のパルスは、F=+2で原子の蛍光を検出することが可能になる。次いでリポンプレーザを付加することによって、2つのレベルの蛍光の合計を測定することが可能になる。その結果、検出帯の高さは、10ミリメートルに低減できる。
【0065】
図2、及び図3を参照して、干渉原子の捕捉、及び測定を実行するための再帰反射ラマンビームの生成の双方を可能にする反射器7の複数の反射の概念をより詳細に説明する。
【0066】
図2において、ピラミッド反射器7は、断面で示される。このようなピラミッド反射器7は、立方のくさびなどである。幾何学的には、全体的に符号4で示されるレーザビームが反射器7に到達するとき、反射器7からの出口において反射ビームRが衝突ビームと反対の方向を有するように、衝突ビームIは、第1時に面7bに反射し、第2時に反対の面7aに反射する。したがって、衝突ビームIが右円方法(right circular fashion)で偏光する場合、反射ビームRは、右円方法で偏光するが、反対方向に伝播する。
【0067】
このように、符号12で全体的に参照される反射ビームは、衝突ビーム4の偏光と同一の偏光を有する。これによって、干渉センサにおいて原子干渉フリンジを取得することができる。
【0068】
図3は、図2の対向面(opposite faces)7a、及び7b、並びに他の2つの対向面7c、及び7dが記載される反射器7の透視図である。図3において、レーザビーム4の複数の反射は、第1に再帰反射ラマンビーム12を取得できるが、またピラミッド反射器7が形成するボリューム内に原子を捕捉できることが理解されるであろう。これは、複数の反射が、捕捉を保証する反対に伝播するビームを生成するためである。
【0069】
ここで本発明に従う干渉センサの変形を説明する。
【0070】
図4に示すように、本発明に係る1つの実施形態に従う干渉センサ1は、構造的に異なる反射器7とともに、図1を参照して説明される技術的要素を全て有する。
【0071】
図4において、干渉センサ1は、切頂したピラミッド形状を備える反射器13を上部に有する。したがって、反射器の上部14は、反射器の中央において平坦であり、反射器の側面壁は、この中央部分14に対応して傾斜する。
【0072】
この実施形態において、反射部分の上部14は、ラマンビームがこの部分に反射するときに、偏光の調整が可能なように4つからの1つのラムダ刃(lambda blade)、又は金属処理によって処理される。
【0073】
図1〜3を参照して説明された反射器7と同様に、反射器13は、原子を冷却するために原子を捕捉する機能を果たすとともに、干渉測定のために必要な第2のラマンビームを生成するために第1のラマンビームを反射する機能を果たす。
【0074】
図5に示されるように、この実施形態において、上部14などのような切頂ピラミッド13の形の反射器の平坦部分の1つ、又は2つ以上に原子チップ15を配置することが可能である。この原子チップは、原子とトラップし、かつボーズ・アインシュタイン凝縮体を作り出すように配置される。
【0075】
ここで、図6を参照して、上述の干渉センサを有する複数軸システムの実施形態を説明する。
【0076】
図6に示すように、本発明に係る実施形態に従うシステム16は、垂直に配置され、かつ結合される2つの干渉センサ1a、及び1bを有する。干渉センサは、図1を参照して説明したようにできるが、図4に説明したように上部を切頂した反射器にもできる。
【0077】
このように、具体的には加速度、及び回転であるいくつかの慣性の大きさへのアクセスを提示するレーザパルスシーケンスを確立することが可能になる。
【0078】
本発明に従うシステム16は、干渉センサ1bに結合する干渉センサ1aを有する。好適には、2つのセンサは、垂直に配置される。
【0079】
干渉センサ1aは、トラップ10aに原子をトラップし、かつ干渉測定するために第2のラマンビームを生成するために、ラマンビーム4aを複数の反射で反射することができる反射器7aを有する。
【0080】
同様に、干渉センサ1bは、トラップ10bに原子をトラップし、かつ干渉測定するために第2のラマンビームを生成するために、ラマンビーム4bを複数の反射で反射することができる反射器7bを有する。
【0081】
干渉測定は、レーザビーム4a、及び4bの経路の交点に配置される検出手段9によって、実行される。
【0082】
システム1は、捕捉帯10a、及び10bにおいて原子を捕捉する勾配部分、並びに一定部分を有する磁界を生成するように配置されるコイル8によって囲まれる。
【0083】
動作中、レーザ4a、及び捕捉帯10aから生じる低温原子による測定は、干渉計1aの方向xにおける加速度へのアクセスが可能であり、レーザ4b、及び捕捉帯10bから生じる低温原子による測定は、干渉計1bの方向yにおける加速度へのアクセスが可能である。
【0084】
さらに、レーザ4a、及び捕捉帯10bから生じる低温原子による測定は、干渉計1aの軸zに沿った回転速度へのアクセスが可能である。同様に、レーザ4b、及び捕捉帯10aから生じる低温原子による測定は、干渉計1aの軸zに沿った回転速度へのアクセスが可能である。
【0085】
他の実施形態では、空間で垂直な3方向に搭載される上述の3つのセンサによる干渉システムを作り出すことが可能になる。この場合、慣性ベースで測定される、3つの回転、及び3つの加速度に対応する6つの慣性の大きさを作り出す。
【0086】
上述の干渉センサを使用して、物質波重力計、加速度計、又はジャイロ計を形成できる。したがって、取得される装置は、いくつかの反射器及び/又はいくつかのレーザ源を省くことにより小型化されるという利点を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子ソース(11)と、
第1のラマン二周波数レーザビーム(4、4a、4b)を生成できる二周波数レーザ(2)と、
第2のラマン二周波数レーザビーム(12)を生成するために、前記第1のラマン二周波数レーザビームを反射するように配置される反射器(7、13)であって、前記第1のレーザビーム、及び第2のレーザビームは、前記原子ソースから取得される低温原子の放射から原子干渉フリンジを取得するために、異なる方向に伝播する反射器と、
を有し、前記反射器(7、13)はまた、前記低温原子を取得するために、前記第1のビーム、及び前記第1のビームの複数の反射が、前記原子ソースから生じる前記原子を捕捉できるように、前記反射器の表面(7a、7b、7c、7d、14)における前記第1のビーム(4)の複数の反射を可能にするように配置されることを特徴とする低温原子干渉センサ(1、1a、1b)。
【請求項2】
前記反射器は、前記第1のビーム、及び前記反射器の表面における前記第1のビームの前記反射が、前記低温原子を取得するために、前記原子を捕捉する反対に伝播するビームの対を構成するように配置される請求項1に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項3】
前記反射器は、前記第1のビーム、及び前記反射器の表面における前記第1のビームの前記反射が、反対に伝播する3対のビームを構成するように配置される請求項2に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項4】
前記反射器は、前記第1のビーム、及び前記反射器の表面における前記第1のビームの前記反射が、前記反射器のボリューム内に前記原子を捕捉することができるように、凸型反射器である請求項1〜3のいずれか一項に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項5】
前記反射器は、前記第1のビーム、及び前記反射器における前記第1のビームの前記反射が、前記反射器に形成されるボリューム内に前記原子を捕捉することができるように、円錐形状を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項6】
前記反射器は、前記第1のビーム、及び前記反射器の表面における前記第1のビームの前記反射が、前記反射器に形成されるボリューム内に前記原子を捕捉するために、反対に伝播する3対のビームを構成するように、方形の横断面、又は切頂ピラミッド横断面を有する円錐形状である請求項5に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項7】
前記反射器は、前記第2のビームが、前記第1のビームの伝播の方向と反対の方向に伝播するように配置される請求項1〜6のいずれか一項に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項8】
前記反射器は、前記第2のビームが、前記第1のビームの偏光と同一の偏光を有するように配置される請求項7に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項9】
前記反射器は、前記第1のビームの方向に垂直な平坦面(14)を有する円錐形状、又は切頂ピラミッド形状を有し、前記平坦面(14)は、前記平坦面において反射するビームが前記第1のビームの偏光と同一の偏光を有するように処理される請求項8に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項10】
前記原子ソースは、磁気的にトラップされる超低温クラウドを作り出すために、前記反射器の前記平坦面(14)の1つに提供される原子チップ(15)を有する請求項9に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項11】
前記センサはまた、前記低温原子を光磁気的にトラップするように配置される磁気手段(8、8a、8b)を有し、前記磁気手段は、前記低温原子が前記反射器のボリューム内にトラップされるように前記反射器に対して配置される請求項1〜10のいずれか一項に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項12】
前記磁気手段はまた、前記原子干渉フランジを取得するために、前記低温原子の放射をもたらすための一定磁界を生成するように配置される請求項11に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項13】
前記原子干渉フランジを取得するための前記低温原子の前記放射は、重力により達成されることが可能な請求項1〜12のいずれか一項に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項14】
前記原子ソースは、
加熱による脱離と、
光と、
冷却スポットの温度の制御と、
の方法の少なくとも1つによって、原子蒸気を生成できる請求項1〜13のいずれか一項に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項15】
真空チャンバ(6)をも有し、前記反射器は、前記真空チャンバ内に配置され、前記第1のレーザビームを前記真空チャンバに入力するように配置される伝播手段(5)をも有する請求項1〜14のいずれか一項に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項16】
前記伝播手段は、前記第1のレーザに透明な窓(5)を有する請求項15に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項17】
前記原子干渉フリンジを検出するように配置される検出手段(9)をも有する請求項1〜16のいずれか一項に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項18】
前記検出手段は、前記低温原子が放射する共鳴蛍光を検出するように配置される光検出セルを有する請求項17に記載の低温原子干渉センサ。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の第1の干渉センサ(1a)と、請求項1〜18のいずれか一項に記載の第2の干渉センサ(1b)とを有し、前記第1のセンサは、ラマン二周波数レーザを有し、前記第2のセンサは、第2のラマン二周波数レーザを有するシステム(16)であって、
前記第1のセンサの前記第1のレーザが生成するレーザビーム(4a)は、前記第2のセンサの前記第2のレーザが生成するレーザビーム(4b)の伝播方向と異なる伝播方向を有し、前記第1のレーザが生成する前記レーザビーム(4a)の伝播方向、及び前記第2のレーザが生成する前記レーザビーム(4b)の伝播方向の交点に配置される検出手段(9)をも有するシステム。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の第3の干渉センサをも有し、前記第3のセンサは、第3のラマン二周波数レーザを有し、前記第3のセンサの前記第3のレーザが生成するレーザビームは、前記第2のセンサの前記第2のレーザが生成するレーザビーム、及び前記第2のセンサの前記第2のレーザが生成するレーザビームと異なる伝播方向を有し、前記検出手段は、前記第1のレーザが生成する前記レーザビーム、前記第2のレーザが生成する前記レーザビーム、及び前記第3のレーザが生成する前記レーザビームの伝播方向の交点に配置される請求項19に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−520093(P2011−520093A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550231(P2010−550231)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000252
【国際公開番号】WO2009/118488
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【出願人】(510244787)
【Fターム(参考)】