説明

低温流体の噴射による表面処理装置および方法

本発明は、一つ以上の低温の高圧流体の噴射を用いる加工装置に関し、高圧低温流体の噴射を分配する流体分配ノズル(11)を含む可動ツール(4)に接続された低温流体の供給源(1)と、可動ツール(4)の周りに配置されて吸引手段(25)に接続された第1および第2の保護囲いとを含む。当該装置は、ドライガスを第2の囲い(23)に供給するため、二つの囲い(20,23)の間の少なくとも一つのガス保護バリアとして適し、それを作るように設計されたガスシーリング手段(23)を備える。本発明はまた、高圧低温流体を用いて素材の表面処理、吹付け、またはピーリングのために、同じように行い、そしてそれを使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、非常に高圧な低温流体の噴射によって、コートされたまたはコートされていない、金属、コンクリート、木材、ポリマー、プラスティック、または他の種類の素材のような素材の、吹付け、ピーリング、または表面処理のための装置および方法に関する。
【0002】
現在、コートされたまたはコートされていない素材の表面処理、特に、吹付け、コンクリートのピーリング等、塗装などは、主に、超高圧な(UHP)水の発射、研磨装置、空気式ピック(pneumatic pick)、びしゃん(bush hammer)による研磨、または他の化学的手段によってなされる。
【0003】
しかしながら、例えば厳しい環境制限のために、例えば原子力または化学製品の環境で、水が存在してはいけないとき、いわゆる「ドライ(乾性)」な加工法だけが使われ得る。
【0004】
しかしながら、あるケースにおいて、「ドライ」な方法は、例えば、再加工しなければならなくなる砂塵または砂の付加のために、使用が難しいか、非常に困難または使用に努力を要するか、あるいは追加的な汚染を生ずる。
【0005】
これらの技術の一つの代案は、文献US−A−7,310,955およびUS−A−7,316,363で提案されるように、非常に高圧な低温噴射ジェットの使用に基づいている。この場合、典型的に回動または揺動する動きによって配置されるノズル移動ツール(nozzle-bearing tool)によって分配される(dispensed)一つ以上の液体窒素の噴射ジェットが、圧力が1000〜4000バール、かつ、例えば−100〜−200℃、典型的には−140,−160℃近辺の状態にある低温で、用いられる。
【0006】
現在、ノズルから分配されたガス状の窒素は、もしそれが表面処理の行われている部屋に放出されまたは解放されたなら、特に、もしそれがそこに蓄積したら、または、もし部屋の換気が不十分または全くされていなかったとしたら、オペレータの酸素欠乏リスクを生じさせる。
【0007】
このため、吸引フード(suction hood)は通常、液体窒素の噴射ジェットが出る一つまたは複数の表面処理ツールの周りに取り付けられ、前記フードは一般的に、機械的バリアおよび吸引フードと処理される表面との間の接触機能のための可撓性のへり目板(edge strip)を備える。このへり目板は、可撓性の剛毛(bristle)、可撓性の板(ゴム、革、エラストマーなど)、または一つ以上の気泡材料のフランジなどの列を設けられ、または形成され得る。
【0008】
この吸引フードは、ツールと処理される表面の一部のシールとなり、ノズルから噴出された窒素の少なくとも一部を取り出す(extract)ことを可能にする。これは特に、表面処理の間に生成された不要なものを、表面処理作業、例えば表面吹付け、が行われているエリアの汚染を避けるために、特に放射性環境におけるコンクリートピーリングの場合に、発生源で直接取り出したいときに有用である。
【0009】
使用されるこの吸引システムは、作業室および作業場への窒素の放出を避け、表面から効果的に残留物を取り出せるようにするために低圧でなければならない。
【0010】
ノズル移動ツールから噴射される窒素と、コンクリート破片などのような塵および不要な副産物とは、前記フードを通って取り出される。取り出しの最大限の効果を確保するために、取り出し能力はツールにおける窒素の流量(flow rate)を上回らなければならない。このため、外気もまた取り出される。
【0011】
しかしながら、取り出された周囲の空気は、取り出しシステムに入り込む水分、言い換えると水蒸気を含んでいる。
【0012】
現在、この取り出された湿気は二つの重大な問題を引き起こしている。
【0013】
第一に、その湿気は可撓性のへり目板、特に剛毛などに吸着され、そのとき前記フードの低温に触れることで氷に変わる。これは、非常に作業の邪魔となり得る。つまり、それらの可撓性のため、剛毛のようなへり目板を作る部品は、正常に吸引フードと処理される表面との間の接触領域の基礎となる部品とならなくてはならない。現在、もしこれらの部品が凝固して固体になり硬くなったなら、前記フードと基材との間の接触は、非常に僅かな「シーリング」を露わにするように、非常に乏しくなる。そのとき取り出しの品質が乏しくなる。言い換えると、破片、ごみ、または他の不要な副産物が、処理の行われている部屋を「汚染」するだろう。これは、特に表面残留物を取り出すことが必要な、例えば原子力または化学産業のような産業において、容認できない。
【0014】
さらに、取り出された水分は、この種の取り出しシステムが大抵備える複数のアブソリュートフィルタ(absolute filter)に移動させられる。これらにおいてこの水分は、塵やその他の表面残留物を、アブソリュートフィルタの働きを妨げるペーストを作るように塊にする。これは、取り出しの効力において重大な影響を及ぼし、後に動作不良を起こし得る。これは、アブソリュートフィルタを掃除するための頻繁な生産停止を引き起こし、生産力を損なう。
【0015】
したがって、解決されるべき問題は、改良された非常に高圧な低温流体の一つまたは複数の噴射によって、コートされたまたはコートされていない、金属、コンクリート、木材、ポリマー、プラスティック、または他の種類の素材のような素材の、吹付け、ピーリング、または表面処理のための装置および方法を提案すること、言い換えると、従来の方法に比べて、吸引フードの乏しいシールのための取り出しの欠点、および/また吸引システムを備えるフィルタまたは他の浄化もしくは濾過装置の機能の妨げが無いかほぼ無い装置および方法を提案することである。
【0016】
その発明の解決法は、少なくとも一つの低温な高圧流体のジェット噴射を使う加工装置であって、
− 高圧の低温な流体の一つ以上のジェット噴射の分配のための一つ以上の流体分配ノズルを含む可動ツールに流体的に接続された、前記低温な流体の供給源と、
− 前記可動ツールの周りに取り付けられ、吸引手段に流体的に接続されるとともに、前記ツールの周りに吸引フードを作るように前記流体分配ノズル、または複数のノズルの傍に位置した、開口された下端を備える第1の保護囲いと、を備える。
【0017】
本発明の装置は、少なくとも前記第1の保護囲いの前記下端および前記第1の保護囲いの周辺部の少なくとも一部にある少なくとも一つの気体の保護バリアとして適し、それを作るように設計されたガスシーリング手段をさらに含むことを特徴とし、前記ガスシーリング手段は少なくとも、
− 前記第1の保護囲いの少なくとも一部の周りに取り付けられ、前記第1の保護囲いの前記下端で開口する第2の保護囲いと、
− ドライガスを前記第2の保護囲いの内部に供給するために前記第2の保護囲いに流体的に接続されたドライガスの供給手段と、を備える。
【0018】
状況に応じて、本発明の装置は一つ以上の下記の特徴を具備し得る。
【0019】
− 前記ドライガスの供給手段は乾性窒素または乾性空気の供給源を備える。
【0020】
− それが、排気装置、特に通気口を備え、前記低温な流体の供給源と前記回動するツールとの間に取り付けられる少なくとも一つの熱交換器を含み、前記ドライガスの供給手段は、前記排気装置を通って流出する前記ガスの少なくとも一部を回収し、後でそれを前記第2の保護囲いに導入できるように前記排気装置に流体的に接続される。
【0021】
− 前記低温の流体の供給源は、ガスの頭隙に覆われた低温流体を収容したタンクであり、前記ドライガスの供給手段は、前記低温な流体の供給源を通って前記ガスの頭隙に流体的に接続されている。
【0022】
− 前記ドライガスを前記保護囲いに運ぶ前記ドライガスの供給手段は、少なくとも一つのガス供給ラインを備え、前記ガス供給ラインは、好ましくは制御装置および/またはガス流量調整装置を備える。
【0023】
本発明はまた、可動ツールに取り付けられた一つ以上のノズルから分配される高圧の低温流体の少なくとも一つのジェット噴射を用いる加工装置の可動ツールの周りに取り付けられた前記第1の保護囲いの内部の大気中の不純物による汚染を避け、または最小化するための方法に関し、特に、本発明の加工装置において、前記第1の保護囲いの前記下端は処理される面に面し、少なくとも前記第1の保護囲いの前記下端と、前記第1の保護囲いの周辺の少なくとも一部とに、ドライガスが供給されるとともに少なくとも一つのガス保護バリアが形成されることを特徴とするとともに、前記ガス保護バリアは、前記第1の保護囲いの少なくとも一部に取り付けられた第2の保護囲いと、前記第1の保護囲いの前記下端の開口と、の少なくとも一つの手段によって形成され、前記第2の保護囲いは、前記第1の保護囲いの内部よりも圧力が高く、そして前記第2の保護囲いの外部の大気圧よりも圧力の高いドライガスが供給されることを特徴とする。
【0024】
状況に応じて、発明の方法は、一つ以上の下記の特徴を備え得る。
【0025】
− 前記ドライガスは、空気または窒素、好ましくは窒素である。
【0026】
− 前記ドライガスは、前記装置の前記熱交換器の前記排気装置、および/または前記低温流体の供給源のガス頭隙から得られる窒素である。
【0027】
− 前記ツールの前記ノズルまたは複数のノズルによって分配される前記低温流体は、圧力が少なくとも300バール、好ましくは2000〜5000バールの間であり、温度が−140℃よりも低く、好ましくはおおよそ−140〜−180℃の間である。
【0028】
− 前記大気中の不純物は、水蒸気である。
【0029】
− 前記第2の保護囲いの内部に供給される前記ドライガスの流量は、1000〜20000リットル/分の間であり、好ましくは5000〜15000リットル/分の間である。
【0030】
さらに、本発明は高圧な低温流体による素材の表面処理、吹付けまたはピーリングの方法に関し、本発明でクレームされたような装置または方法が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明は添付された以下の図面を参照して詳細に開示される。
【図1】図1は非常に高圧な低温ジェット噴射を用いる作業装置の運転の図である。
【図2a】図2a(側面図)は、図1の装置に取り付けられたノズル移動ツールの図である。
【図2b】図2b(底面図)は、図1の装置に取り付けられたノズル移動ツールの図である。
【図3】図3は、図1の装置に取り付けられたノズル移動ツールに取り付けられた標準の取り出しシステムの図である。
【図4】図4は、図1の装置に取り付けられたノズル移動ツールに取り付けられた本発明に係る取り出しシステムの一つの実施形態の図である。
【0032】
図1は、低温流体のジェット噴射を用いた吹付けまたは表面処理等のための標準の装置の図であり、この装置は通常、供給ライン6を通って低圧、言い換えると約3〜6バールで、温度が約−180℃の液体窒素を供給する水槽のような液体窒素(以下ではLNのように呼ぶ)の貯蔵タンク1と、上流圧縮機および内部の熱交換器を有し前記液体窒素を超高圧(UHP)にできる圧縮装置2とを含む。
【0033】
圧縮装置2は、このため、貯蔵タンク1から来たLNの加圧が可能である。
【0034】
第1の圧力(UHP)のLNは、それから運搬ライン(7)を通って外部下流熱交換器3に移る。当該熱交換器3で、典型的にUHPの液体窒素を得るため、UHPのLN2が(9の)大気圧の液体窒素から冷却を受ける。
【0035】
これで、典型的に300バールよりも高い、大体2000バール〜5000バールの間、好ましくは3000〜4000バールの間の圧力(UHP)で、−140℃よりも低い、典型的に−140℃〜−180℃、例えば約−150〜−160℃の温度であるLN2が、吹付けなどのために一つ以上のUHPの液体窒素のジェット噴射、一般的に幾つかのジェット噴射を分配するツール4に(8で)移ることとなる。
【0036】
何千リットルかの液体窒素の貯蔵のためのトラックの水槽またはタンクのような大容量のタンク1は、一般的に建物の外に、言い換えると戸外に据えられる。それは常置であっても良いし、移動可能であっても良い。
【0037】
大容量のタンク1は普通の方法で、言い換えると、一つ以上の制御弁などを含む断熱された配管網によって装置に接続されている。さらに、LNは、断熱されたパイプを通ってシステムの種々の部品の間を輸送される。全体的なガス流量はおおよそ20リットル/分、言い換えると15立方メートル/分である。
【0038】
一般的に、圧縮装置2、外部の交換機3、そして特にツール4は、原則的に一つ以上の建物に置かれる。
【0039】
熱処理法などの作業中に、大気圧(約1バール)で−196℃の気体の窒素は、絶えず2つの熱交換機、すなわち、圧縮装置2の上流の熱交換機および下流の熱交換器3から流出する。
【0040】
この窒素ガスの流出は、前記熱交換器2,3にそれぞれ取り付けられた通気口などのような排気装置を通って起こる。
【0041】
従来技術の装置において、解放された窒素は再利用されず、一般的に、個人の酸素欠乏のリスクを取り除くために集められて建物から放出される。言い換えると、大気中に捨てられる排ガスとなる。
【0042】
さらに、処理される、言い換えると吹付けなどをされる領域の大きさを増大させるために、UHPの水のジェット噴射での方法で用いられる種類の複数のノズル11を備えるツール4が典型的に用いられるが、ここでは(8の)UHPのLNが供給される。ノズル11は、図2a(側面図)および図2b(底面図)で示されるように、処理される表面の吹付け(または同等の方法)に用いられる回動または振動するUHPのLNのジェット噴射12を得られるように、回動および振動する。
【0043】
知られているように、ノズル移動ツール4は、一般に、電気もしくは空気モーターによってこのモーターに接続された第1の回転伝動シャフトもしくは回転軸を介して駆動し伝動ベルトを有しても良い一組の歯車、伝動ボックスもしくはケース、または、ノズルを備える可動ツール4に接続される一組の内部歯車およびここで回転する第2の伝動シャフトもしくは回転軸を用いる電動機構を収容する囲いによって回動する。
【0044】
図3に示されるように、供給ライン8から供給されるとともにその後ノズル11から分配され、解放されて表面処理が行われる空間に蓄積される窒素ガスによってオペレータの酸素欠乏が生じるリスクを抑えるために、吸引フードを作る第1の保護囲い20は、一般的に液体窒素の噴射12を分配するノズル移動ツール4の周りに取り付けられる。フード20は、処理される表面に面して位置し、ノズル11から分配される圧力がかけられた低温流体の噴射12が通って出てくる開口した下端を有する。
【0045】
このフード20は、一般的に、吹付けがされる表面に触れ、または近接するその下端に、吸引フード20と処理される表面との間の機械的およびシーリングのバリアを確実にする可撓性のへり目板またはスカート21を備える。このへり目板またはスカート21は、可撓性の剛毛の一つの(または幾つかの)列、弾性を有するストリップ(ゴム、革、エラストマーなど)、および一つ以上の気泡材料のフランジなどが取り付けられても良い。
【0046】
吸引ポンプ、一つ以上のフィルタ、または他の浄化もしくは濾過の装置を備える普通の低圧の取り出しシステム25は、吸引フード20の内部と流体的に連絡し、表面残留物を効率的に取り出すとともに表面処理が行われる部屋への窒素の解放を避けることができるようにする。
【0047】
言い換えると、吸引フード20は、ノズル11から分配された窒素の全て又は一部、そして吹付けなどの方法によって生成された塵を回収するとともに除去し、ツール4を覆う低圧の囲いを構成する。フード20の中の圧力P1は、好ましくはフード20の外、言い換えると、ツール4が設けられた部屋の中の大気圧P0よりも低い。
【0048】
現在、周囲空気、水分および塵は、吸引され、次第に吸引フード20のシーリングを乏しくし、および/また吸引システム25に装備されるフィルタもしくは他の浄化もしくは濾過装置の動きを妨げていき得る。
【0049】
これを改善するために、本発明によれば、ツール4の周りに二重のフード、または二重の覆いを作るような吸引フード21を覆う第2の保護囲い23を備えるガスの仕切またはバリアによる保護のシステムが、図3の装置に組み入れられた。この第2の保護囲い23は、吸引フード20のように、へり目板または剛毛の列を持っていても良いし、持っていなくても良い。
【0050】
フード20の周りに所望のガスの仕切またはバリアを得るために、そこに所望のガスのバリアを構成する過圧のガス気圏を作るように、大気圧(P0)を超える過圧(P2)の清浄なドライガスの流れが第2の保護囲い23の内部に導入される。
【0051】
第2の保護囲い23は、上記のように機械的バリアとして役に立つが、殊にフード20の周りに、前述の問題を解決する、大気中の不純物、特にフード20中への水蒸気(水分)の侵入を防ぐための遮断する空気のバリアを作る役に立つ。
【0052】
つまり、吸引フード20の中のドライガスの中の圧力P1が第2の保護囲い23の中の圧力P2より低いため、第2の保護囲い23から吸引フード20に流れるドライガスが吸引システム25によって取り出されるが、圧力P2は外部の大気圧P0(すなわち、約1バール)よりも高いため、湿った空気は二重のフード内には無く、取り出しシステム25中にはなおさら無い。そこから、吸引フード20のへり目板21の剛毛において氷を形成し、さらに、水分によって吸引および濾過システム25のフィルタが妨げられる全てのリスクは除去される。
【0053】
第2の保護囲い23は、少なくとも一部の吸引フード21を覆い得る。有害な湿った空気が大いに入り込み得るため、好ましくは、少なくともフード20の低い部分、言い換えると、処理される表面に面して位置するフード20の端部を覆うとともに、処理される表面に接する可撓性の保護へり目板またはスカートを備える。
【0054】
保護囲い23へのドライガスの供給は、例えば、好ましくはバルブ、圧力調整弁、流量計、または他の同様の機器を備え得る、制御装置および/または流量調整装置27を備えるガス供給ライン26を介する通常の経路でなされる。
【0055】
本発明に関連して、第2の保護囲い23(またはフード)は、好ましくは、フード20の周りに保護ガス仕切を形成するために用いられるが、大気圧に対して、そしてフード20の中の圧力よりも過圧なドライガスによって形成されるガスバリアを得ることが可能であれば、他の同等のシステムまたは装置が用いられ得ることは言うまでもない。全ての場合、圧力P1およびP2の選択と、効率的なガス仕切を得るためのシステムの要素の取り付けは、技術に熟練したそれらの能力に含まれる。
【0056】
第2の囲いの周りに、第3の囲い、ことによると第4の囲いもしくはそれ以上が取り付けられ、幾つかの連続したガスバリア(すなわちガス仕切)を作るためにドライガスがさらにそこに供給されても良く、これにより発明の方法および装置の効果がさらに増大されることは強調されるべきである。
【0057】
使用される加圧されたドライガスは、全てまたは殆ど全ての水分が除かれた乾性の空気であっても良く、でなければ中性または不活性のガス、特に乾性窒素であっても良い。これらは、方法で生じた排ガス、ガス容器またはその他の種類のガス貯蔵容器またはタンクに入れられたガス、でなければガス管またはパイプ網を通って運送されたガスでも良い。
【0058】
本発明に関連して、「ドライガス」は、水蒸気の含まれる量が容積の10%以下、特に水蒸気の含まれる量が容積の5%以下であるガスまたはガスの混合物であって、好ましくは水蒸気が含まれない。
【0059】
使用されるドライガスは、フィルタまたはその他のガス浄化手段、ガス供給パイプ、またはパイプ網を備え得る専用の圧縮機で加圧されても良い。
【0060】
しかしながら、水槽またはタンク1にガス頭隙を作る乾性窒素を用いるのが好ましいが、一般に図1の装置の上流熱交換器2または下流熱交換器3に備えられた通気口などを介して大気中に放出される排ガスまたは抜かれたガスを構成する窒素であるとさらに好ましい。
【0061】
実際、熱処理法の作業中に、大気圧(約1バール)で−196℃の窒素ガスが、絶えず圧縮機2の上流熱交換器または下流熱交換器3から流出する。この窒素ガスの流出は、前記熱交換器2および3に取り付けられる通気口などのような排気装置を通って行われる。
【0062】
乾性窒素を構成するこの排ガスの回収は、ガスの利用できる供給源を使用可能にし、大気に放出するよりもその価値を高めるため特に有益である。言い換えると、装置の熱交換器の一つ以上の通気口を通って第2の保護囲い23の内部に放出された窒素のリサイクルは、そこで過圧のガスを作り、所望の空気の遮断バリアを得られる。
【0063】
好ましくは、ドライガス、特に窒素の流量は、吸引手段を通る吸引流量と、表面処理のためにノズル11から噴出されて後でガスになる液体の窒素の流量との間の流量差を上回る。
【0064】
本発明の解決策の効果を調べるため、図1に係る装置が、図3に示すように通常の方法で用いられ、そして比較のために、本発明に係る図4に示すように第2の保護囲い23とともに用いられた。
【0065】
両方の場合において、ツール4のノズル11から分配されたジェット噴射12の形での液体から生じる窒素ガスの流量は300立方メートル/時であり、一方、吸引システム25を通る吸引流量は1000立方メートル/時である。吸引フードの中の圧力P1は、0.60〜0.99バール、好ましくは0.90〜0.98バール、有利な水準は約0.95バールである。
【0066】
二重のフードがなく、ドライガスが来ない、言い換えると普通の図3の装置で、約700立方メートル/時の空気、すなわち50%の湿気を含む空気のときに1時間ごと液体の水280kgに等しい約350立方メートル/時のガス状の湿気が、吸引フード20を通って取り出される。
【0067】
比較のため、図4に示される本発明に係る装置で、吸引フード20の周りの第2の保護囲い23を追加し、流量制御/調整システムによって調整された700立方メートル/時のドライガス、言い換えると、上流および下流熱交換器の通気口から得られた排出窒素を導入すると、保護囲い23から分配された窒素仕切によって作られた空気バリアゆえに外部の空気が取り出されず、水蒸気(湿気)の量を殆ど0に減らすことを可能となる。
【0068】
このため、吸引フードの中の圧力P1は、ほぼ0.95バールであるのに対し、第2の保護囲い23の中の圧力は大気圧以上であり、典型的にはほぼ1.05バールである。
【0069】
本発明は、低温流体のジェット噴射を用いる処理作業、特に金属、コンクリート、石材、プラスティック、木材などの素材の表面処理、吹付け、またはピーリングに応用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの低温な高圧噴射ジェットを用いる加工装置であって、
高圧の低温な流体の一つ以上のジェット噴射の分配のための一つ以上の流体分配ノズル(11)を有する可動ツール(4)に流体的に接続された、前記低温な流体の供給源(1)と、
前記可動ツール(4)の周りに取り付けられ、吸引手段(25)に流体的に接続されるとともに、前記ツール(4)の周りに吸引フードを作るように前記流体分配ノズルまたは複数のノズル(11)の傍に位置した、開口された下端を備える第1の保護囲い(20)と、を具備し、
さらに、少なくとも前記第1の保護囲い(20)の前記下端および前記第1の保護囲い(20)の周辺部の少なくとも一部にある少なくとも一つの気体の保護バリアとして適し、それを作るように設計されたガスシーリング手段(23)を含み、前記ガスシーリング手段(23)は少なくとも、
前記第1の保護囲い(20)の少なくとも一部の周りに取り付けられ、前記第1の保護囲い(20)の前記下端で開口する第2の保護囲い(23)と、
ドライガスを前記第2の保護囲い(23)の内部に供給するために前記第2の保護囲い(23)に流体的に接続された前記ドライガスの供給手段(26,27)と、を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ドライガスの供給手段(28)は乾性窒素の供給源を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ドライガスの供給手段(28)は乾性空気の供給源を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
排気装置、特に通気口を備え、前記低温な流体の供給源(1)と前記回動するツール(4)との間に取り付けられる少なくとも一つの熱交換器(2,3)を含み、前記ドライガスの供給手段(26,27)は、前記排気装置を通って流出する前記ガスの少なくとも一部を回収し、後でそれを前記第2の保護囲い(23)に導入できるように前記排気装置に流体的に接続されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記低温の流体の供給源(1)は、ガスの頭隙に覆われた低温流体を収容したタンクであり、前記ドライガスの供給手段は、前記低温な流体の供給源(1)の前記ガスの頭隙に流体的に接続されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
前記ドライガスを前記保護囲い(23)に運ぶ前記ドライガスの供給手段は、少なくとも一つのガス供給ライン(26)を備え、好ましくは、前記ガス供給ライン(26)は制御装置および/またはガス流量制御装置(27)を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
可動ツール(4)に取り付けられた一つ以上のノズル(11)から分配される低温の高圧流体の少なくとも一つのジェット噴射を用いる加工装置の前記可動ツール(4)の周りに取り付けられた前記第1の保護囲い(20)の内部の大気中の不純物による汚染を避け、または最小化するための方法であって、特に、請求項1ないし6のいずれか一つの加工装置において、前記第1の保護囲い(20)の前記下端は処理される面に面し、少なくとも前記第1の保護囲い(20)の前記下端と、前記第1の保護囲い(20)の周辺の少なくとも一部とに、ドライガスが供給されるとともに少なくとも一つのガス保護バリアが形成されることを特徴とするとともに、前記ガス保護バリアは、少なくとも、前記第1の保護囲い(20)の少なくとも一部に取り付けられ、前記第1の保護囲い(20)の前記下端で開口する第2の保護囲い(23)によって形成され、前記第2の保護囲い(23)は、前記第1の保護囲い(20)の内部よりも圧力が高く、そして前記第2の保護囲い(23)の外部の大気圧よりも高い圧力(P2)のドライガスが供給されることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記ドライガスは、空気または窒素であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ドライガスは、前記装置の熱交換器の前記排気装置、および/または低温流体の前記供給源(1)の前記ガス頭隙から得られる窒素であることを特徴とする請求項7および8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ツール(4)の前記ノズルまたは複数のノズルによって分配される前記低温流体は、圧力が少なくとも300バール、好ましくは2000〜5000バールの間であり、温度が−140℃よりも低く、好ましくはおおよそ−140〜−180℃の間であることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記大気中の不純物が水蒸気であることを特徴とする請求項7ないし10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
前記第2の保護囲い(23)の内部に供給される前記ドライガスの流量は、1000〜20000リットル/分の間であり、好ましくは5000〜15000リットル/分の間であることを特徴とする請求項7から11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
請求項1ないし6のいずれか一つに記載の装置または請求項7ないし12のいずれか一つに記載の方法が用いられる高圧な低温流体による素材の表面処理、吹付けまたはピーリングのための方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−527358(P2012−527358A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511318(P2012−511318)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050886
【国際公開番号】WO2010/133784
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】