説明

低温硬化型保護膜形成用組成物、それによって製造される保護膜、およびそれを含む基材

【課題】
【解決手段】本発明は、低温硬化により高強度、耐摩耗性、バリアー性に優れた保護膜を形成することができる組成物、それによって製造される保護膜、それを含む基材、およびそれを含む部品または素子に関し、前記組成物はa)有機シロキサン重合体、b)光塩基発生剤(photobase generator)、およびc)有機溶媒を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低温硬化により高強度、耐摩耗性、バリアー性に優れた保護膜を形成することができる組成物、それによって製造される保護膜、それを含む基材、およびそれを含む部品または素子に関し、より詳しくは、光透過度に優れたシリコン複合物を用い、低温硬化により高強度、耐摩耗性およびバリアー性を有する保護膜を形成することができる組成物、それによって製造される保護膜、それを含む基材、およびそれを含む部品または素子に関する。
【0002】
本出願は2006年9月18日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2006−0090311号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
透明プラスチック素材は軽くて耐破裂性に優れた長所を有するため、光学用レンズ産業、平板ディスプレイなどにおいて既存のガラス代用品として脚光を浴びている。特に、最近の移動通信分野の発達に伴う携帯用ディスプレイ需要の増加、次世代の巻き取り式ディスプレイの実現が可視化されることにより、その関心は倍加している。しかし、大部分のプラスチック物質は軟質の表面を有しており、表面強度および耐摩耗性が悪くて引っかかれ易い短所があり、さらには、酸素を含む各種気体のバリアー特性が悪くて、主に有機素材を基にする平板ディスプレイに対する適用にはその限界を見せている。
【0004】
このようなプラスチック素材の限界を克服するために、一般的にプラスチック物質の表面に有機、無機、あるいは有・無機複合物を被覆剤として用いて保護膜を形成して使っている。特に、最近になってはシリコン系被覆剤が卓越した光透過性、再生性などの理由で脚光を浴びている。さらに、シリコンは周辺から容易に手に入れることができる遍在性や、環境や人体に無害であるという理由で環境に優しい物質として認識され歓迎されるだけに、その他の有機高分子および金属被覆剤代用の候補物質としてより脚光を浴びている。
【0005】
しかし、プラスチック基板をその対象にするだけに、全ての被覆塗布工程はその基板素材が許容するガラス転移温度以下の低温工程で行われなければならないという制約条件がある。したがって、今までの大部分の高強度シリコン被覆は、スパッタリング(sputtering)、真空蒸発法(vacuum evaporation)、イオン蒸着またはPECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition)などの高価の装置を要する設備で行われた。しかし、このような物理的・化学的塗布方法は高価な基本設備に伴う利潤減少のみならず、特定厚さ以上の被覆を得るためには長時間の工程時間を要するという短所があり、生産性にもその限界を見せている。
【0006】
それに対し、シリコン系高分子を用いた通常の液相コーティング方法、すなわちスピンコート法、浸漬法、ロールコート法、またはスプレー法などは基本設備の側面や工程時間の側面で明らかな長所を有している。しかし、このように液相で塗布したシリコン被覆は低温における硬化速度が遅く、長時間の硬化時にも十分な硬化反応が起こらないため、十分な膜の強度、耐摩耗性の機械的物性およびバリアー性などを果たすことができない。一般的にシロキサン重合体反応を促進させるためには、酸、塩基およびアンモニウム塩などが含まれたコーティング組成物を用いて反応性を向上させる方法が知られている。しかし、酸触媒、アンモニウム塩を用いる場合には十分な物性向上を得ることができず、シリコン系樹脂の縮合反応を促進させるアンモニア水、有機アミンのような塩基触媒を用いる場合にはコーティング組成物そのものの貯蔵性の低下により、実際工程の適用そのものが不可能である問題点がある。
【0007】
従来の技術において、アンモニア水または有機アミンのような塩基性触媒を用い、低温硬化が可能で、工程上の問題がなく、基材の機械的特性、バリアー性などを向上させる具体的な方法を提示したことは今まではなかった。したがって、低温の工程条件においても基材の強度、耐摩耗性およびバリアー性などを向上させるための方法が切実に求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、特定の触媒を含有することにより、前述した低温工程を行う場合にも機械的強度、耐摩耗性およびバリアー性に優れた保護膜を形成することができる組成物、それによって製造される保護膜、それを含む基材、およびそれを含む部品または素子を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、
a)有機シロキサン重合体と、
b)光塩基発生剤(photobase generator)、および
c)有機溶媒
を含む保護膜形成用組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、
a)基材上に前記保護膜形成用組成物をコーティングするステップ;および
b)前記組成物を乾燥、露光および熱処理するステップ
を含む保護膜の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は前記保護膜形成用組成物から製造された保護膜を提供する。
【0012】
また、本発明は少なくとも一面に前記保護膜を備えた基材を提供する。
【0013】
また、本発明は前記基材を含む部品または素子を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の保護膜形成用組成物を用いて、特に0〜250℃の低温で保護膜を製造する場合、優れた機械的強度、耐摩耗性およびバリアー性の特性を有する保護膜を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明で製造された保護膜の温度に応じたモジュラス値を示すグラフである。
【図2】本発明で製造された保護膜の温度に応じた硬度値を示すグラフである。
【図3】本発明で製造された保護膜のIR(Infrared Spectroscopy)グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0017】
本発明の保護膜形成用組成物は、a)有機シロキサン重合体と、b)光塩基発生剤、およびc)有機溶媒を含む。
【0018】
本発明に係る保護膜形成用組成物は、通常の硬化温度、例えば400℃以上の高温では機械的物性の側面でむしろ短所が見られるが、特定温度、すなわち大部分のプラスチック基材のガラス転移温度(Tg)以下である0〜250℃で熱処理して機械的物性を向上させることができ、好ましくは100〜250℃で熱処理を行うことができる。
【0019】
本発明に係る保護膜形成用組成物において、前記a)有機シロキサン重合体はシラン化合物から重合されたものであれば特に限定されず、下記化学式1および化学式2で示される化合物を含む群から選択される1種以上のモノマー;前記モノマーから製造されるダイマー;および前記モノマー、ダイマー、またはこれらの混合物から製造されるオリゴマーを含む群から選択される1種以上のシラン化合物から重合される有機シロキサン重合体であることが好適である:
【0020】
【化1】

【0021】
前記化学式1において、
1は、各々独立に、水素;フッ素;アリール;ビニル;アリル;フッ素で置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖状の炭素数1〜20のアルキルであり、
2は、各々独立に、直鎖もしくは分枝鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ、アセトキシ、または塩素などの加水分解性官能基であり、
pは0〜2の整数であり、
【0022】
【化2】

【0023】
前記化学式2において、
3およびR5は、各々独立に、水素;フッ素;アリール;ビニル;アリル;またはフッ素で置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖状の炭素数1〜20のアルキルであり、
4およびR6は、各々独立に、直鎖もしくは分枝鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ、アセトキシ、または塩素などの加水分解性官能基であり、
Mは炭素数1〜6のアルキレンまたはアリーレンであり、
qおよびrは各々独立に0〜2の整数である。
【0024】
前記有機シロキサン重合体の重量平均分子量はポリスチレン換算分子量で500以上であることが適当であり、500〜100,000であることが好ましく、500〜50,000であることがより好ましい。前記有機シロキサン重合体の重量平均分子量が500未満である場合には保護膜のコーティング性が低下し得るし、100,000以上である場合には保護膜の強度が低下し得る。
【0025】
前記有機シロキサン重合体は、前記化学式1および化学式2で示される化合物を含む群から選択される1種以上のモノマー;前記モノマーから製造されるダイマー;前記モノマー、ダイマー、またはこれらの混合物から製造されるオリゴマーを含む群から選択される1種以上のシラン化合物、触媒および水を混合し、前記シラン化合物を加水分解および縮合反応して製造することができる。
【0026】
前記加水分解および縮合反応は必要により有機溶媒をさらに添加して進行させることができ、重合される有機シロキサン重合体の分子量調節を容易にするためには有機溶媒存在下で加水分解および縮合反応を行うことがより好ましい。
【0027】
前記有機シロキサン重合体の製造に用いることができる有機溶媒としては前記シラン化合物の加水分解および縮合反応に大きな支障を与えないものであればいずれも用いることができ、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒およびアミド系溶媒を含む群から選択される1種以上であることが好ましい。
【0028】
前記有機溶媒の具体的な例としては、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサンを含む群から選択される1種以上の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、およびメチルエチルベンゼンを含む群から選択される1種以上の芳香族炭化水素系溶媒;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、およびグリセロールを含む群から選択される1種以上のアルコール系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、およびアセチルアセトンを含む群から選択される1種以上のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、エチルエーテル、n−プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ジグライム、ジオキシン、ジメチルジオキシン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールジメチルエーテルを含む群から選択される1種以上のエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、メチルアセテート、エチルアセテート、エチルラクテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、およびエチレングリコールジアセテートを含む群から選択される1種以上のエステル系溶媒;およびN−メチルピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、およびN,N−ジエチルアセトアミドを含む群から選択される1種以上のアミド系溶媒などが挙げられる。
【0029】
前記シラン化合物の加水分解および縮合反応に用いられる触媒としては酸触媒または塩基触媒を用いることができ、一般的に高強度保護膜を目的として用いる場合には酸触媒で反応することが好ましい。
【0030】
前記酸触媒の種類は特に制限されず、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸(butanoic acid)、ペンタン酸(pentanoic acid)、ヘキサン酸(hexanoic acid)、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、オレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、p−アミノ安息香酸、およびp−トルエンスルホン酸を含む群から選択される1種以上であることが好ましい。
【0031】
また、前記塩基触媒の種類も特に制限されず、アルカリ金属化合物、アンモニア水、有機アミン、および第4級アンモニウム化合物を含む群から選択される1種以上であることが好ましい。
【0032】
前記触媒の添加量は特に限定されず、触媒の種類およびシラン化合物の種類に応じて適切な量を選択して用いることができ、それに対する詳細説明は省略する。
【0033】
前記触媒と共に有機シロキサン重合体の製造のために含まれる水はシラン化合物の加水分解のために添加される。前記有機シロキサン重合体の製造工程に含まれる水の量は重合に用いられるシラン化合物の加水分解性官能基1モル当たり1〜30モルであることが好ましく、2〜20モルであることがより好ましい。水の含量が重合に用いられるシラン化合物の加水分解性官能基1モル当たり1モル未満である場合には十分な加水分解および縮合反応が起こらず、水の含量がシラン化合物の加水分解性官能基1モル当たり30モルを超過する場合には加水分解および縮合反応時に相分離して不均一な反応が起こり得るし、コーティング性が低下し得る。
【0034】
前記有機シロキサン重合体の製造工程中、水を添加する方法は断続的に添加する方法と連続的に添加する方法がある。この時、前記触媒は有機溶媒中に予め混合されていてもよく、水に溶解または分散した水溶液状態で添加してもよい。
【0035】
前記有機シロキサン重合体の加水分解および縮合反応は0〜100℃で行うことが好ましい。
【0036】
本発明の保護膜形成用組成物に含まれる前記b)光塩基発生剤は、有機シロキサン重合体および有機溶媒と共に混合する方法によって添加することができる。
【0037】
前記光塩基発生剤は外部から加えられた紫外線(UV)露光に塩基触媒を生成させる物質であれば特に制限されず、例えば、2−ニトロベンジルカルバメート、スルホンアミド、o−アシルオキシムまたはニフェジピン類などが挙げられる。光塩基発生剤の使用量は特に制限されず、有機シロキサン固形分総重量に対し0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%が好適である。前記光塩基発生剤の含量が0.1重量%未満である場合には保護膜の硬化向上程度が不十分であり、15重量%を超過する場合には貯蔵性が低下し、保護膜の強度がそれ以上向上しない。
【0038】
前記光塩基発生剤のより詳細な例としては、ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルシクロヘキシルカルバメート、3−ニトロフェニルシクロヘキシルカルバメート、ベンジルシクロヘキシルカルバメート、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]オクチルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン−1,6−ジアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン−1,6−ジアミン、N−[[(2−ニトロフェニル)−1−メチルメトキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、N−[[(2−ニトロフェニル)−1−メチルメトキシ]カルボニル]−オクタデシルアミン、ビス[[(α−メチル−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン、1,6−ジアミン、N−[[(2,6,−ジニトロフェニル)−1−メチルメトキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、N−[[(2−ニトロフェニル)−1−(2’−ニトロフェニル)メトキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、N−[[(2,6−ジニトロフェニル)−1−(2’,6’−ジニトロフェニル)メトキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、N−シクロヘキシル−4−メチルフェニルスルホンアミド、N−シクロヘキシル−2−ナフチルスルホンアミド、o−フェニルアセチル−2−アセトナフトンオキシムまたはN−メチルニフェジピンなどが挙げられるが、上記例に限定されるものではない。また、光塩基発生剤は単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
本発明の保護膜形成用組成物に含まれる前記c)有機溶媒の種類は特に制限されず、前記有機シロキサン重合体の製造に用いられた有機溶媒であるか、前記有機シロキサン重合体の製造後に新たに添加された有機溶媒であるか、前記有機シロキサン重合体の製造に用いられた有機溶媒と新たに添加された有機溶媒の混合溶媒であり得る。
【0040】
前記有機溶媒の好ましい例は有機シロキサン重合体の製造に用いられた有機溶媒の例と同一であるため、以下にて詳細な説明は省略する。
【0041】
但し、有機シロキサン重合体の製造に用いられた有機溶媒を含む場合には、保護膜形成用組成物のコーティング性を阻害する特定の有機溶媒、有機シロキサン重合体の製造工程中に生成された反応副産物および水を一定量除去することが好ましい。
【0042】
前記保護膜形成用組成物は組成物内に目的に応じて他の構成成分を含むことができる。例えば、機械的強度をより向上させるためにシリカ粒子を含むことができ、屈折率調節のために低屈折率粒子または高屈折率無機粒子などを含むことができる。また、帯電防止機能を付与するために金属粒子または有/無機塩、導電性有機物などの添加剤などを含むことができる。また、エポキシ系、アミン系、アクリル系などのような一般シランカップリング剤、着色剤またはコーティング性向上のためのレベリング剤などをその用途に合わせて用いることもできる。
【0043】
本発明の保護膜は有機シロキサン重合体および前記光塩基発生剤を含む保護膜形成用組成物を使用目的により選択された基材上に塗布し、乾燥、露光、および熱処理して製造することができる。
【0044】
また、本発明は、
a)基材上に前記保護膜形成用組成物をコーティングするステップ;およびb)前記組成物を乾燥、露光および熱処理するステップを含む保護膜の製造方法を提供する。
【0045】
本発明に係る保護膜の製造方法において、前記a)ステップは基材上に本発明の保護膜形成用組成物をコーティングするステップである。前記基材は特に限定されず、プラスチック基板、ガラス基板、金属基板、シリコンウェハーまたはSiO2ウェハーに塗布することができ、特に低温硬化により高強度、耐摩耗性およびバリアー性の向上が求められるプラスチック基板またはシリコンウェハーに好適である。
【0046】
前記保護膜形成用組成物のコーティング厚さは組成物内に含まれる固形分の濃度により調節される。前記保護膜形成用組成物の固形分濃度は2〜60重量%であることが好ましく、5〜40重量%であることがより好ましい。
【0047】
前記固形分の濃度が2重量%未満である場合には十分な保護膜の厚さを形成することができず、60重量%を超過する場合にはコーティング性および貯蔵安定性が低下する。
【0048】
前記保護膜形成用組成物を基材上にコーティングする方法は通常の液相コーティング方法を使用することができ、好ましくは、スピンコート法、浸漬法、バーコート法、ロールコート法、またはスプレー法などを使うことができる。
【0049】
本発明に係る保護膜の製造方法において、前記b)ステップは前記保護膜形成用組成物を乾燥、露光および熱処理するステップである。前記露光は保護膜形成用組成物を光硬化させ、光塩基発生剤から塩基触媒を発生させるためのものである。この時、光源としては波長が250〜450nmである光を発散する水銀蒸気アーク(Arc)、炭素アークまたはキセノン(Xe)アークなどを用いることができる。
【0050】
前記保護膜形成用組成物の乾燥は組成物に含まれた有機溶媒の蒸発温度により0〜100℃が好ましく、前記熱処理温度は用いた基材の熱特性により0〜250℃が好ましく、100〜250℃がより好ましい。
【0051】
また、本発明は前記保護膜形成用組成物から製造された保護膜を提供する。
【0052】
前記保護膜は、機械的強度に優れ、耐摩耗性の特徴を有し、保護膜内の残留官能基が少ないため、高・低屈折率光学用レンズを含む様々な光学製品、液晶表示素子を含む各種の平板ディスプレイ用保護膜またはガスバリアー膜などの用途として用いることができる。
【0053】
前記保護膜の厚さは用途により様々に調節できるため、特に限定されず、光透過性を要求する透明基板用として用いる時には0.05〜2μmの厚さを有することが好ましい。
【0054】
本発明に係る保護膜の製造方法によって製造された保護膜は製造方法中に用いられた基材と共に用いることができるが、前記基材と保護膜を分離し、その保護膜を単独で市販したり他の基材に付着させたりして使うこともできる。
【0055】
また、本発明は保護膜を含む基材を提供する。前述したように、この基材はその上に本発明の組成物をコーティングまたは付着して製造することができる。
【0056】
また、本発明は前記基材を含む部品または素子を提供する。
【0057】
前記部品または素子としては光学製品、液晶表示素子などが挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。但し、下記実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記実施例によって限定されるものではない。
【0059】
<実施例1>
1)保護膜形成用組成物の製造
有機溶媒であるi−プロパノール134.1gにテトラメトキシシラン(TMS)104.2gを加えた後、0.01N濃度の硝酸水溶液44.1gを徐々に添加した。これを30分間室温(25℃)で反応させた後、80℃までに温度を徐々に上げ、加熱、還流しながら2時間反応させた。
【0060】
前記反応の完了後、溶液の温度を常温に下げ、134.1gのi−プロパノール溶媒をさらに加えた。回転蒸発器(rotary evaporator)で減圧下にて硝酸と過量の水を除去し、20重量%の有機シロキサン重合体溶液を製造した。
【0061】
前記有機シロキサン重合体に光塩基発生剤である[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]オクチルアミンを重合体の固形分重量に対し5重量%添加した。
【0062】
前記光塩基発生剤[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]オクチルアミンは下記のように製造した。
【0063】
n−オクチルイソシアネート11.4ml、2−ニトロベンジルアルコール10g、および100mLのトルエンを混合して還流反応させた。2時間の反応後、蒸留水を用いて有機層を3回以上洗浄した。無水硫酸ナトリウムを用いて残存する水を除去し、濾過後、回転蒸発器(rotary evaporator)で減圧下にて溶媒を全て除去し、粉末状の約12gの[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]オクチルアミンを製造した。
【0064】
2)保護膜の製造
前記製造された保護膜形成用組成物をシリコンウェハー上にスピンコーティングして保護膜を形成し、80℃ホットプレート(hot plate)で1分間乾燥して溶媒を蒸発させた。
【0065】
紫外線(UV)露光器を用いて200mJ/cm2の露光量で露光を行い、100℃の温度で2分間熱処理した。
【0066】
<実施例2>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例1と同じ方法によって保護膜形成用組成物を製造した。
【0067】
2)保護膜の製造
前記実施例1と同じ方法によってコーティング、乾燥および紫外線(UV)露光を終えた試片を120℃で2分間熱処理した。
【0068】
<実施例3>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例1と同じ方法によって保護膜形成用組成物を製造した。
【0069】
2)保護膜の製造
前記実施例1と同じ方法によってコーティング、乾燥および紫外線(UV)露光を終えた試片を140℃で2分間熱処理した。
【0070】
<実施例4>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例1と同じ方法によって保護膜形成用組成物を製造した。
【0071】
2)保護膜の製造
前記実施例1と同じ方法によってコーティング、乾燥および紫外線(UV)露光を終えた試片を160℃で2分間熱処理した。
【0072】
<実施例5>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例1と同じ方法によって保護膜形成用組成物を製造した。
【0073】
2)保護膜の製造
前記実施例1と同じ方法によってコーティング、乾燥および紫外線(UV)露光を終えた試片を180℃で2分間熱処理した。
【0074】
<実施例6>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例1と同じ方法によって保護膜形成用組成物を製造した。
【0075】
2)保護膜の製造
前記実施例1と同じ方法によってコーティング、乾燥および紫外線(UV)露光を終えた試片を200℃で2分間熱処理した。
【0076】
<実施例7>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例1と同じ方法によって保護膜形成用組成物を製造した。
【0077】
2)保護膜の製造
前記実施例1と同じ方法によってコーティング、乾燥および紫外線(UV)露光を終えた試片を250℃で2分間熱処理した。
【0078】
<実施例8>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例1と同じ方法によって保護膜形成用組成物を製造した。
【0079】
2)保護膜の製造
前記実施例1と同じ方法によってコーティング、乾燥および紫外線(UV)露光を終えた試片を400℃で2分間熱処理した。
【0080】
<実施例9>
1)保護膜形成用組成物の製造
有機溶媒であるi−プロパノール146.7gにメチルメトキシシラン(MTMS)45.0g、テトラメトキシシラン(TMS)50.2gを加えた後、0.01N濃度の硝酸水溶液42.6gを徐々に添加した。これを30分間室温(25℃)で反応させた後、80℃までに温度を徐々に上げ、加熱、還流しながら一晩中反応(24時間)させた。
【0081】
前記反応の完了後、前記実施例1と同じ方法によって20重量%の有機シロキサン重合体溶液を製造し、前記実施例1と同じ光塩基発生剤を重合体の固形分重量に対し5重量%添加して保護膜形成用組成物を製造した。
【0082】
2)保護膜の製造
前記実施例1と同じ方法によってコーティング、乾燥および紫外線(UV)露光を終えた試片を140℃で2分間熱処理した。
【0083】
<実施例10>
1)保護膜形成用組成物の製造
有機溶媒であるi−プロパノール175.8g、水23gにメチルメトキシシラン(MTMS)25.5g、テトラメトキシシラン(TMS)29gを加えた後、アンモニア水4gを徐々に添加した。これを30分間室温(25℃)で反応させた後、80℃までに温度を徐々に上げ、加熱、還流しながら2時間反応させた。
【0084】
前記反応の完了後、前記実施例1と同じ方法によって20重量%の有機シロキサン重合体溶液を製造し、前記実施例1と同じ光塩基発生剤を重合体の固形分重量に対し5重量%添加して保護膜形成用組成物を製造した。
【0085】
2)保護膜の製造
前記実施例1と同じ方法によってコーティング、乾燥および紫外線(UV)露光を終えた試片を140℃で2分間熱処理した。
【0086】
<実施例11>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例10の有機シロキサン重合体にテトラメトキシシラン(TMS)2.9gを添加して常温で2時間反応させた。
【0087】
前記反応の完了後、前記実施例1と同じ方法によって20重量%の有機シロキサン重合体溶液を製造し、前記実施例1と同じ光塩基発生剤を重合体の固形分重量に対し5重量%添加して保護膜形成用組成物を製造した。
【0088】
2)保護膜の製造
前記実施例1と同じ方法によってコーティング、乾燥および紫外線(UV)露光を終えた試片を140℃で2分間熱処理した。
【0089】
<実施例12>
1)保護膜形成用組成物の製造
日産化学のコロイダルシリカ(colloidal silica)、MIBK−ST 20gに4−メチル−2−ペンタノール20gを添加して15重量%にし、前記実施例1と同じ光塩基発生剤を固形分に対し5重量%添加してコーティング溶液を準備した。
【0090】
2)保護膜の製造
前記実施例1と同じ方法によってコーティング、乾燥および紫外線(UV)露光を終えた試片を140℃で2分間熱処理した。
【0091】
<実施例13>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例1と同じ方法によって有機シロキサン重合体を製造し、5重量%の[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミンを添加して保護膜形成用組成物を製造した。
【0092】
前記[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミンの製造は、2−ニトロベンジルアルコール、シクロヘキシルイソシアネートおよびトルエン溶媒を用いて、前記実施例1の[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]オクチルアミンの製造方法と同じ方法によって行われた。
【0093】
2)保護膜の製造
前記実施例1と同じ方法によってコーティング、乾燥および紫外線(UV)露光を終えた試片を140℃で2分間熱処理した。
【0094】
<実施例14>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例1の有機シロキサン重合体に光塩基発生剤[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]オクチルアミンを重合体の固形分に対し20重量%添加して保護膜形成用組成物を製造した。
【0095】
2)保護膜の製造
前記実施例3と同じ方法によって保護膜を製造した。
【0096】
<比較例1>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例1の有機シロキサン重合体に光塩基発生剤を添加することなく、保護膜形成用組成物を製造した。
【0097】
2)保護膜の製造
前記実施例1と同じ方法によって保護膜を製造した。
【0098】
<比較例2>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例2の有機シロキサン重合体に光塩基発生剤を添加することなく、保護膜形成用組成物を製造した。
【0099】
2)保護膜の製造
前記実施例2と同じ方法によって保護膜を製造した。
【0100】
<比較例3>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例3の有機シロキサン重合体に光塩基発生剤を添加することなく、保護膜形成用組成物を製造した。
【0101】
2)保護膜の製造
前記実施例3と同じ方法によって保護膜を製造した。
【0102】
<比較例4>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例4の有機シロキサン重合体に光塩基発生剤を添加することなく、保護膜形成用組成物を製造した。
【0103】
2)保護膜の製造
前記実施例4と同じ方法によって保護膜を製造した。
【0104】
<比較例5>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例5の有機シロキサン重合体に光塩基発生剤を添加することなく、保護膜形成用組成物を製造した。
【0105】
2)保護膜の製造
前記実施例5と同じ方法によって保護膜を製造した。
【0106】
<比較例6>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例6の有機シロキサン重合体に光塩基発生剤を添加することなく、保護膜形成用組成物を製造した。
【0107】
2)保護膜の製造
前記実施例6と同じ方法によって保護膜を製造した。
【0108】
<比較例7>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例7の有機シロキサン重合体に光塩基発生剤を添加することなく、保護膜形成用組成物を製造した。
【0109】
2)保護膜の製造
前記実施例7と同じ方法によって保護膜を製造した。
【0110】
<比較例8>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例8の有機シロキサン重合体に光塩基発生剤を添加することなく、保護膜形成用組成物を製造した。
【0111】
2)保護膜の製造
前記実施例8と同じ方法によって保護膜を製造した。
【0112】
<比較例9>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例9の有機シロキサン重合体に光塩基発生剤を添加することなく、保護膜形成用組成物を製造した。
【0113】
2)保護膜の製造
前記実施例9と同じ方法によって保護膜を製造した。
【0114】
<比較例10>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例10の有機シロキサン重合体に光塩基発生剤を添加することなく、保護膜形成用組成物を製造した。
【0115】
2)保護膜の製造
前記実施例10と同じ方法によって保護膜を製造した。
【0116】
<比較例11>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例11の有機シロキサン重合体に光塩基発生剤を添加することなく、保護膜形成用組成物を製造した。
【0117】
2)保護膜の製造
前記実施例11と同じ方法によって保護膜を製造した。
【0118】
<比較例12>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例12のコーティング溶液に光塩基発生剤を添加することなく、保護膜形成用組成物を準備した。
【0119】
2)保護膜の製造
前記実施例12と同じ方法によって保護膜を製造した。
【0120】
<比較例13>
1)保護膜形成用組成物の製造
前記実施例1の有機シロキサン重合体にテトラメチルアンモニウムを固形分に対し5重量%添加して保護膜組成物を製造した。
【0121】
2)保護膜の製造
前記実施例3と同じ方法によって保護膜を製造しようとしたが、スピンコーティングがなされる前に溶液処理過程で全てゲル化した。
【0122】
<保護膜の物性測定>
1)機械的強度
実施例1〜14および比較例1〜13の方法によって製造された保護膜に対し、ナノインデンターを用いてモジュラスおよび硬度を測定した。
【0123】
2)内摩耗試験(Wear Test)
前記実施例3、実施例9〜14、比較例3、および比較例9〜13の方法によって製造された保護膜に対し、ナノインデンターを用いて内摩耗試験を行った。
【0124】
前記内摩耗試験では、前記保護膜の50×50μm2の面積に対し、50μNの力で、ナノインデンターの探針を用いて表面をスクラッチし、最初表面との比較および磨耗した深さを測定した。
【0125】
前記測定結果を下記の図1、図2および表1に整理した。
【0126】
【表1】



【0127】
前記表1の実施例1〜8および比較例1〜8の結果から分かるように、前記光塩基発生剤を含有している保護膜組成物から製造された保護膜は、これを含まない保護膜に比べて、250℃温度以下の低温硬化においてモジュラスおよび硬度の全てが向上した結果を示した。しかし、このような向上は温度が上がるにつれて鈍化し、250℃以上の熱処理温度においては比較例で製造された保護膜が実施例で製造された保護膜よりモジュラスおよび硬度の測定値がより良くなることが分かる。特に、実施例8と比較例8のように通常の有機シロキサン重合体を400℃で熱処理した保護膜の場合は、光塩基発生剤を含まない方がより有利であった。
【0128】
図1は実施例1〜8および比較例1〜8によるモジュラス値を示すグラフである。
【0129】
図2は実施例1〜8および比較例1〜8による硬度値を示すグラフである。
【0130】
前記表1の実施例3と実施例9〜12、および比較例3と比較例9〜12の比較から分かるように、それぞれ異なる方法(酸、塩基、または塩基と酸触媒)で準備し、そしてそれぞれ異なる領域の機械的物性を示す全ての場合に対し、前記光塩基発生剤を含有している方がモジュラス、硬度、および耐摩耗性の側面で全て優れていることが明らかになった。特に、実施例12と比較例12のように通常の有機シリコン重合体の機械的物性向上のために添加されるシリカコロイドそのものに対しても前記光塩基発生剤の効果を確認することができる。また、シリカコロイドを含有したシロキサン組成物においても同じ傾向を示した。
【0131】
前記光塩基発生剤の効果は、前記表1の実施例13の[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン5重量%を添加した場合も、前記実施例3と比較例3の比較のように機械的物性の側面で明確な効果を示している。
【0132】
しかし、前記光塩基発生剤の機械的物性の側面における向上効果は実施例14のようにその添加量が多すぎる場合には多少小さかった。
【0133】
合わせて、比較例13のテトラメチルアンモニウムのような通常の塩基触媒を添加した場合には、添加と同時に縮合反応が急激に進行され、その結果、ゲル化することにより保護膜の形成さえ不可能であることが明らかになった。
【0134】
図3は、光塩基発生剤を含有した組成物によって製造された保護膜と含有しない各々の実施例3と比較例3のIR(Infrared Spectroscopy)グラフであり、光塩基発生剤を含有した組成物によって製造された保護膜の場合、Si−OH官能基が顕著に減少し、耐湿性水分に対するバリアー性の特性が優れることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)有機シロキサン重合体と;
b)光塩基発生剤(photobase generator);および
c)有機溶媒
を含む保護膜形成用組成物。
【請求項2】
前記保護膜形成用組成物は、プラスチック基板の保護膜形成用であることを特徴とする、請求項1に記載の保護膜形成用組成物。
【請求項3】
前記a)有機シロキサン重合体は、下記化学式1または化学式2で示されるシラン化合物から重合されることを特徴とする、請求項1に記載の保護膜形成用組成物:
【化3】

前記化学式1において、
1は、各々独立に、水素;フッ素;アリール;ビニル;アリル;フッ素で置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖状の炭素数1〜20のアルキルであり、
2は、各々独立に、直鎖もしくは分枝鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ、アセトキシ、または塩素を含む加水分解性官能基であり、
pは0〜2の整数であり、
【化4】

前記化学式2において、
3およびR5は、各々独立に、水素;フッ素;アリール;ビニル;アリル;フッ素で置換もしくは非置換の直鎖もしくは分枝鎖状の炭素数1〜20のアルキルであり、
4およびR6は、各々独立に、直鎖もしくは分枝鎖状の炭素数1〜4のアルコキシ、アセトキシ、または塩素を含む加水分解性官能基であり、
Mは炭素数1〜6のアルキレンまたはアリーレンであり、
qおよびrは各々独立に0〜2の整数である。
【請求項4】
前記a)有機シロキサン重合体は、前記化学式1および化学式2で示される化合物からなる群から選択される1種以上のモノマー;前記モノマーから製造されるダイマー;および前記モノマー、ダイマー、またはこれらの混合物から製造されるオリゴマーからなる群から選択される1種以上のシラン化合物から重合されることを特徴とする、請求項1に記載の保護膜形成用組成物。
【請求項5】
前記c)有機溶媒は、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒およびアミド系溶媒からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の保護膜形成用組成物。
【請求項6】
前記b)光塩基発生剤は、2−ニトロベンジルカルバメート、スルホンアミド、o−アシルオキシムおよびニフェジピン類からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の保護膜形成用組成物。
【請求項7】
前記b)光塩基発生剤は、ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルシクロヘキシルカルバメート、3−ニトロフェニルシクロヘキシルカルバメート、ベンジルシクロヘキシルカルバメート、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]オクチルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン−1,6−ジアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン−1,6−ジアミン、N−[[(2−ニトロフェニル)−1−メチルメトキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、N−[[(2−ニトロフェニル)−1−メチルメトキシ]カルボニル]−オクタデシルアミン、ビス[[(α−メチル−2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン、1,6−ジアミン、N−[[(2,6,−ジニトロフェニル)−1−メチルメトキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、N−[[(2−ニトロフェニル)−1−(2’−ニトロフェニル)メトキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、N−[[(2,6−ジニトロフェニル)−1−(2’,6’−ジニトロフェニル)メトキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、N−シクロヘキシル−4−メチルフェニルスルホンアミド、N−シクロヘキシル−2−ナフチルスルホンアミド、o−フェニルアセチル−2−アセトナフトンオキシム、およびN−メチルニフェジピンからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の保護膜形成用組成物。
【請求項8】
前記b)光塩基発生剤の含量は、有機シロキサン固形分総重量に対し0.1〜15重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の保護膜形成用組成物。
【請求項9】
前記b)光塩基発生剤の含量は、有機シロキサン固形分総重量に対し1〜10重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の保護膜形成用組成物。
【請求項10】
前記保護膜形成用組成物は、シリカ粒子、低屈折率粒子、高屈折率粒子、帯電防止付与剤、シランカップリング剤、着色剤およびレベリング剤からなる群から選択される1つ以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の保護膜形成用組成物。
【請求項11】
a)基材上に請求項1〜10のいずれかに記載の前記保護膜形成用組成物をコーティングするステップ;および
b)前記組成物を乾燥、露光および熱処理するステップ
を含む保護膜の製造方法。
【請求項12】
前記a)ステップの基材は、プラスチック基板、ガラス基板、金属基板、シリコンウェハーおよびSiO2ウェハーからなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の保護膜の製造方法。
【請求項13】
前記b)ステップの乾燥は0〜100℃の温度で行うことを特徴とする、請求項11に記載の保護膜の製造方法。
【請求項14】
前記b)ステップの露光は、波長が250〜450nmである光を発散する水銀蒸気アーク、炭素アークまたはキセノンアークを光源として使って行うことを特徴とする、請求項11に記載の保護膜の製造方法。
【請求項15】
前記b)ステップの熱処理は0〜250℃の温度で行うことを特徴とする、請求項11に記載の保護膜の製造方法。
【請求項16】
前記b)ステップの熱処理は0〜100℃の温度で行うことを特徴とする、請求項11に記載の保護膜の製造方法。
【請求項17】
前記a)ステップの保護膜形成用組成物の固形分の濃度は2〜60重量%であることを特徴とする、請求項11に記載の保護膜の製造方法。
【請求項18】
請求項1〜10のうちのいずれか1項による保護膜形成用組成物から製造された保護膜。
【請求項19】
前記保護膜の厚さは0.05〜2μmであることを特徴とする、請求項18に記載の保護膜。
【請求項20】
請求項18の保護膜を含む基材。
【請求項21】
前記基材は、プラスチック基板、ガラス基板、金属基板、シリコンウェハーまたはSiO2ウェハーであることを特徴とする、請求項20に記載の基材。
【請求項22】
請求項20の基材を含む部品。
【請求項23】
前記部品は光学製品であることを特徴とする、請求項22に記載の部品。
【請求項24】
請求項20の基材を含む素子。
【請求項25】
前記素子は液晶表示素子であることを特徴とする、請求項24に記載の素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−503761(P2010−503761A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529111(P2009−529111)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004491
【国際公開番号】WO2008/035890
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】