説明

低用量のHib結合体との組合せワクチン

ジフテリア、破傷風、百日咳、およびHibに対して免疫するための抗原を含有する組合せワクチンは、公知である(「DTP−Hib」ワクチン)。本発明は、コストを低減するために低用量のHib抗原を用い、現場における再構成を必要としない、そのようなワクチンに対する必要性に取り組む。従って、本発明は、少なくともジフテリア、破傷風、百日咳、およびHibから被験体を防御するための抗原を含有する組合せワクチンを提供し、ここで:(a)このHibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり;(b)このワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満であり;そして(c)このHib結合体は、一度も凍結乾燥されていない。本発明のワクチンは、安全であり、かつ免疫原性が高いことが見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において引用される全ての文書は、その全体が参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、組合せワクチンの分野、特に、ジフテリア、破傷風、百日咳、およびH.influenzae b型(「Hib」)に対する防御のための組合せワクチンの分野にある。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
ジフテリア、破傷風、百日咳、およびHibに対する免疫のための抗原を含有する組合せワクチンは、公知である(「DTP−Hib」ワクチン)。3種のそのようなワクチンが、TETRAMUNETM、QUATTVAXEMTM(これは、菌体百日咳抗原「DTwP−Hib」を使用する)、およびINFANRIX−HibTM(これは、無菌体百日咳抗原「DTaP−Hib」を使用する)の名称で市販されている。
【0004】
DTaP−Hibワクチン中のHib結合成分の含有は、抗Hib応答の低下に関連付けられている(非特許文献1(参考文献1)、非特許文献2(参考文献2))。さらに、Hib結合体は、水性媒体中で不安定であり、この形態での長期の保存に耐えることが出来ない(非特許文献3(参考文献3))。この理由のために、Hib結合抗原を含有する組合せワクチンにおいて、Hib成分は、送達の際に他の抗原の液体処方物を用いて再構成される凍結乾燥散剤として提供されるのが一般的である。
【0005】
Hib結合抗原を生成することは安価ではなく、それらのコストが、開発途上国における広範囲の使用を阻害するという懸念が存在する。従って、Hib結合体の使用に関する代替的な戦略が開発されている(非特許文献4(参考文献4)、非特許文献5(参考文献5)、非特許文献6(参考文献6))。それらの使用を促進するための一つのアプローチは、通常の三回の用量(2ヶ月齢、4ヶ月齢、および6ヶ月齢(非特許文献7(参考文献7)))ではなく、二回の用量を(例えば、3ヶ月齢および5ヶ月齢(非特許文献5(参考文献5))、または4ヶ月齢および6ヶ月齢で(非特許文献6(参考文献6)))与えることであった。Hib結合体は、代表的には10μg/用量で与えられるが、異なるアプローチにおいては、より低い用量(代表的には、例えば、1/2、1/3、1/4などの割合)が用いられてきた(非特許文献4(参考文献4)、非特許文献6(参考文献6))。例えば、非特許文献6(参考文献6)において、Hib結合体は、5μg/用量または3.33μg/用量で投与された。
【0006】
同じアプローチは、DTP−Hibワクチン中のHib結合体へと拡張されてきた。例えば、非特許文献8は、DTwPワクチンと組み合わせた、Hib結合体の全用量、半用量、および3分の1用量の使用を比較した。抗PRP抗体の幾何級数的な平均濃度は、DTPとHibとの個別の投与と比較して、組合せDTP−Hibワクチンを与えられた患者において減少したが、受容可能な防御的抗Hib免疫応答は、全ての症例において見られた。非特許文献9は、一回のHib用量をDTwPの10回用量バイアルを用いて再構成することによって、Hib結合体投薬量の10倍希釈物を使用する。特許文献1(参考文献10)は、凍結乾燥されたHib結合体を、全用量、半用量、または四分の一用量で、TRITANRIXTMDTwP−HBsAgワクチンを使用して再構成する工程を開示する。
【特許文献1】国際公開第02/00249号パンフレット
【非特許文献1】Eskolaら、「Lancet」、1996年、第348号、p.1688−1692
【非特許文献2】Vidorら著、「Combination Vaccines」、第1章、ISBN 0−89603−717−7
【非特許文献3】Corbel、「Dev Biol Stand」、第87巻、p.113−124
【非特許文献4】Campbellら、「Pediatr Infect Dis J」、2002年、第21巻、p.822−826
【非特許文献5】Guimaraesら、「Int J Infect Dis」、2002年、第6巻、p.113−117
【非特許文献6】Lagosら、「Lancet」、1998年、第351巻、p.1472−1476
【非特許文献7】Amirら、「Vaccine」、1997年、第15巻、p.149−154
【非特許文献8】Fernandezら、「Am J Trop Med Hyg」、2000年、第62巻、p.485−490
【非特許文献9】Nicolら、「Pediatr Infect Dis J」、2002年、第21巻、p.138−141
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの場合の各々において、Hib結合体は凍結乾燥形態であって、投与の前に水性DTP抗原によって再構成されなければならなかった。従って、これらのワクチンは、二個の個別の容器(一方に水性DTP、もう片方に凍結乾燥Hib)中で、提供されなければならず、この二重容器の必要性は、包装段階、輸送段階、保存段階、および投与段階での余分のコストおよび流通上の要求を課する。減用量ワクチンは、コストを削減して、開発途上世界における流通を促進することを意図されているので、これらの余分な要求は、著しい不利益である。再構成の工程の必要性はまた、最終使用者による過誤の危険性、標準化されていない投薬量への傾向、混合された製品の汚染の危険性、およびスタッフを再構成の手順について訓練する必要性が存在することを意味する。これらの問題の全てが、意図される標的市場(すなわち、開発途上世界)を阻む。
【0008】
従って、低用量のHib結合抗原を含有し、Hib抗原の個別の包装を必要としない組合せワクチンの必要性が、存在し続ける。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の開示)
本発明は、少なくともジフテリア(「D」)、破傷風(「T」)、百日咳(「P」)、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含有する組合せワクチンを提供し、ここで:(a)Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり;(b)このワクチン中のHib結合体の濃度は15μg/ml未満であり;そして(c)Hib結合体は一度も凍結乾燥されていない。本発明のワクチンは、参考文献6、参考文献8、および参考文献9において観察される免疫応答と比較した場合、安全であること、および免疫原性が高いことが見出された。
【0010】
本発明はまた、少なくともジフテリア(「D」)、破傷風(「T」)、百日咳(「P」)、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含有する組合せワクチンを提供し、ここで:(a)Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり;(b)このワクチン中のHib結合体の濃度は15μg/ml未満であり;そして(c)このワクチンは、(i)水酸化アルミニウムアジュバントを含有せず、そして/または(ii)硫酸カリウムアルミニウムアジュバントを含有しない。水酸化アルミニウムは、Hib糖類結合体の分解に関与すると考えられ、従って、このワクチンは、アジュバントとして、好ましくは、代わりにリン酸アルミニウムアジュバントを含有する。アルミニウムアジュバント(例えば、リン酸アルミニウムアジュバント)が存在する場合、Hib結合体はそのアルミニウムアジュバントに吸着されないことが好ましい。
【0011】
本発明はまた、貫通可能な封を有し組合せワクチンを含有するバイアルを提供する。この組合せワクチンは、少なくともジフテリア、破傷風、百日咳、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含有する。ここで、Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり、ここで:(a)このワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満であり、そして(b)このバイアルの貫通可能な封は未だ貫通されていない。
【0012】
本発明はまた、少なくともジフテリア、破傷風、百日咳、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含む組合せワクチンを含有する気密密封容器を提供し、ここで、Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり、このワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満である。
【0013】
本発明はまた、少なくともジフテリア(「D」)、破傷風(「T」)、百日咳(「P」)、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含有する組合せワクチンを調製するためのプロセスを提供する。ここで、Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり、このワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満であり、(a)上記プロセスは、D、T、P、およびHibから防御するための上記抗原を混合する工程を包含し、そして(b)このプロセスは、(i)Hib結合抗原の凍結乾燥の工程を包含せず、そして/または(ii)混合形態のジフテリア抗原と破傷風抗原と百日咳抗原とを、Hib結合抗原と別個に包装する工程を包含しない。
【0014】
本発明はまた、組合せワクチンを容器に挿入するためのプロセスを提供する。ここで、(a)このワクチンは、少なくともジフテリア、破傷風、百日咳、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含有し;(b)Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり;そして(c)このワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満である。
【0015】
本発明はまた、容器にラベルを取り付けるためのプロセスを提供する。ここで、(a)この容器は、少なくともジフテリア、破傷風、百日咳、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含む組合せワクチンを含有し;(b)Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり;そして(c)このワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満である。このラベルは、この容器がワクチンを含有することを示し得る。
【0016】
本発明はまた、組合せワクチンを容器に挿入し次いでワクチンをこの容器から取り出すためのプロセスを提供する。ここで、(a)このワクチンは、少なくともジフテリア、破傷風、百日咳、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含有し;(b)Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり;そして(c)このワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満である。
【0017】
(DTP成分)
上記ジフテリア抗原は、好ましくは、ジフテリア類毒素である。ジフテリア類毒素の調製は、よく文書で裏付けられている(例えば、参考文献11の第13章)。任意の適切なジフテリア類毒素が使用され得る。ジフテリア類毒素の濃度は、一般的には5Lf/ml〜100Lf/mlの間である。好ましい濃度は、10Lf/ml〜50Lf/mlの間である。より好ましい濃度は、20Lf/ml〜40Lf/mlの間である。最も好ましい濃度は、約30Lf/mlである。代替的方法として、好ましい濃度は5Lf/ml〜25Lf/mlの間であり、より好ましい濃度は10Lf/ml〜20Lf/mlの間であり、最も好ましい濃度は約15Lf/mlである。しかし、無菌体百日咳抗原が使用される場合は、ジフテリア類毒素についての好ましい濃度は、約50Lf/mlである。
【0018】
上記破傷風抗原は、好ましくは破傷風類毒素である。破傷風類毒素の調製は、文書でよく裏付けられている(例えば、参考文献11の第27章)。任意の適切な破傷風類毒素が使用され得る。破傷風類毒素の濃度は、一般的には1Lf/ml〜50Lf/mlの間である。好ましい濃度は、2Lf/ml〜9Lf/mlの間である。より好ましい濃度は、5Lf/ml〜8Lf/mlの間である。最も好ましい濃度は、約6.5Lf/mlである。しかし、無菌体百日咳抗原が使用される場合は、破傷風類毒素についての好ましい濃度は、約20Lf/mlである。
【0019】
本発明に従って使用される百日咳抗原は、菌体(例えば、全菌体)性であっても無菌体性であってもよい。両方の型の抗原の調製が、文書でよく裏付けられている(例えば、参考文献11の第21章を参照のこと;また、参考文献12を参照のこと)。菌体百日咳抗原について、百日咳抗原の濃度は、一般的には5 OU/ml〜50 OU/mlの間である。好ましい濃度は、10 OU/ml〜40 OU/mlの間である。より好ましい濃度は、25 OU/ml〜35 OU/mlの間である。最も好ましい濃度は約30 OU/mlである。無菌体抗原が使用される場合、百日咳完全毒素(PT)および線維状血球凝集素(FHA)を、より好ましくはペルタクチン(PRNまたは69kDa抗原としてもまた公知である)および必要であれば凝集原(fimbriaeとしてもまた公知である)2および凝集原3と組合せて、使用することが好ましい(参考文献13)。ワクチン用量当たり(例えば、0.5ml当たり)の百日咳抗原の代表的なレベルは以下である:10μgのPT、5μgのFHA、3μgまたは5μgのPRN、5μgの組み合わせたfimbriae。PTは毒性タンパク質であり、百日咳抗原中に存在する場合、PTは、無毒化されていることが好ましい。無毒化は、化学的手段および/または遺伝子的手段によるものであり得る。好ましい無毒化変異体は、9K/129G二重変異体である(参考文献14)。
【0020】
(Hib結合体)
本発明のワクチン中で使用されるH.influenzae B型抗原は、Hib莢膜糖類抗原を含む。H.influenzae b由来の糖類抗原は、周知である(例えば、参考文献11の第14章)。Hib糖類は、特に小児において、その免疫原性を増強するために、キャリアタンパク質に結合される。Hib莢膜糖類の調製は、文書でよく裏付けされている(例えば、参考文献15〜24)。本発明は、任意の適切なHib結合体を使用し得る。適切なキャリアタンパク質は上に記載され、Hib糖類のための好ましいキャリアはCRM197(「HbOC」)、破傷風類毒素(「PRP−T」)およびN.meningitidisの外膜複合体(「PRP−OMP」)である。
【0021】
上記結合体の糖類部分は、多糖類(例えば、全長リン酸ポリリボシルリビトール(polyribosylribitol)(PRP))であってもよいが、オリゴ糖(例えば、約1kDa〜約5kDaの分子量)を使用することが好ましい。これらは、精製されたPRPのフラグメント化によって(例えば、加水分解によって)簡便に形成され、通常はその後、所望の大きさのフラグメントが精製される。本発明の組成物が結合オリゴ糖を含有する場合、オリゴ糖の調製は結合の前になされるべきである。
【0022】
共有結合のための好ましいキャリアタンパク質は、細菌の毒素または類毒素(例えば、ジフテリア類毒素または破傷風類毒素)である。CRM197ジフテリア毒素変異体(参考文献25〜27)が、特に好ましい。他の適切なキャリアタンパク質として、N.meningitidis外膜タンパク質(参考文献28)、合成ペプチド(参考文献29、参考文献30)、熱ショックタンパク質(参考文献31、参考文献32)、百日咳タンパク質(参考文献33、参考文献34)、サイトカイン(参考文献35)、リンホカイン(参考文献35)、ホルモン(参考文献35)、成長因子(参考文献35)、種々の病原体由来抗原からの複数のヒトCD4T細胞エピトープを含む人工タンパク質(参考文献36)、H.influenzae由来のプロテインD(参考文献37、参考文献38)、肺炎球菌表面タンパク質PspA(参考文献39)、鉄取り込みタンパク質(参考文献40)、C.difficile由来の毒素A、毒素B(参考文献41)などが挙げられる。好ましいキャリアは、ジフテリア類毒素、破傷風類毒素、およびCRM197である。
【0023】
糖:タンパク質の比(重量/重量)が、1:5(すなわち、タンパク質過剰)と5:1(すなわち、糖過剰)との間である結合体が使用され得る(例えば、1:2〜5:1の間の比、および1:1.25〜1:2.5の比)。
【0024】
結合体は、遊離のキャリアタンパク質と組み合わされて使用され得る(参考文献42)。所与のキャリアタンパク質が、本発明の組成物中で遊離形態および結合形態の両方で存在する場合、非結合形態は、好ましくは、全体としてこの組成物中のキャリアタンパク質の全体量の5%以下であり、より好ましくは2重量%未満で存在する。
【0025】
任意の適切な結合反応が、必要な場合は任意の適切なリンカー(linker)と共に用いられ得る。
【0026】
上記の糖類は、代表的には、結合の前に、活性化されるかまたは官能化される。活性化は、例えば、CDAP(例えば、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート(参考文献43、参考文献44など))のようなシアン化試薬を必要とし得る。他の適切な技術は、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン(norborane)、p−ニトロ安息香酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、S−NHS、EDC、TSTUを使用する(参考文献22の導入部も参照のこと)。
【0027】
リンカー基(linker group)を介する結合は、任意の公知の手順(例えば、参考文献45および参考文献46に記載される手順)を使用してなされ得る。結合の一つの型は、多糖類の還元的アミノ化、その結果として生じるアミノ基とアジピン酸リンカー基の一方の末端とのカップリング、そしてこのアジピン酸リンカー基のもう一方の末端へのタンパク質のカップリングを伴う(参考文献20、参考文献47、参考文献48)。他のリンカーとして、B−プロピオンアミド(参考文献49)、ニトロフェニル−エチルアミン(参考文献50)、ハロゲン化ハロアシル(参考文献51)、グリコシド結合(参考文献52)、6−アミノカプロン酸(参考文献53)、ADH(参考文献54)、C〜C12部分(参考文献55)などが挙げられる。リンカーの使用の代替方法として、直接結合が用いられ得る。タンパク質への直接結合は、例えば参考文献56および参考文献57に記載されるように、多糖類の酸化と、その後のタンパク質による還元的アミノ化を包含し得る。
【0028】
糖類へのアミノ基の導入(例えば、末端の=O基を−NHで置換することによる)に続いて、アジピンジエステル(例えば、アジピン酸N−ヒドロキシスクシンイミドジエステル)による誘導体化、およびキャリアタンパク質との反応を包含するプロセスが好ましい。別の好ましい反応は、プロテインDキャリアによるCDAP活性化を用いる。
【0029】
結合の後に、遊離糖類と結合糖類とは分離され得る。この分離のための多数の適切な方法が存在し、その方法として、疎水性クロマトグラフィー、接線限外濾過(tangential ultrafiltration)、ダイアフィルトレーションなど(参考文献58および参考文献59なども参照のこと)が挙げられる。ワクチンが所与の糖類を遊離形態および結合形態の両方で含有する場合、非結合形態は、好ましくは、全体としてその組成物中のその糖類の全体量の20重量%以下(例えば、≦15%、≦10%、≦5%、≦2%、≦1%)である。
【0030】
好ましい結合体は、アジピン酸リンカーを介してCRM197に共有結合したHibオリゴ糖を含有する(参考文献60、参考文献61)。破傷風類毒素もまた、好ましいキャリアである。
【0031】
Hib抗原の投与は、好ましくは、0.15μg/ml以上の抗PRP抗体濃度、より好ましくは、1μg/ml以上の抗PRP抗体濃度をもたらす。標準的な受容可能応答閾値が存在する。
【0032】
本発明のワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満(例えば、≦14μg/ml、≦12μg/ml、≦10μg/ml、≦7.5μg/ml、≦5μg/ml、≦4μg/ml、≦3μg/ml、≦2μg/ml、≦1μg/mlなど)である。キャリアタンパク質がOMPCでない場合、少し高い用量(例えば、<20μg/ml、≦19μg/ml、≦18μg/ml、≦17μg/ml、≦16μg/mlなど)を使用することが可能である。しかし、本発明のワクチン中のHib結合体の濃度は、概して、少なくとも0.1μg/ml(例えば、≧0.2μg/ml、≧0.3μg/ml、≧0.4μg/ml、≧0.5μg/ml、≧0.6μg/ml、≧0.7μg/ml、≧0.8μg/ml、≧0.9μg/ml、≧1.0μg/ml、≧1.25μg/ml、≧1.5μg/ml、≧2.0μg/ml、≧3.5μg/mlなど)である。従って、このワクチン中のHib結合体の濃度についての好ましい範囲は、dμg/ml〜dμg/mlであって、ここで:(i)d<dであり;(ii)dは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.5、および4.0から選択され;そして(iii)dは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、および15から選択される。
【0033】
Hib結合体の濃度は、本明細書および特許請求の範囲において、キャリアの選択に起因する変動を避けるために、糖類の質量に換算して定義される(すなわち、全体としての結合体(キャリア+糖類)の用量が、記述される用量より高い)。
【0034】
本発明の組成物中のHib結合体抗原は、凍結乾燥されたものではなく、かつ一度も凍結乾燥されていない。
【0035】
(アジュバント)
水酸化アルミニウムは、Hib糖類結合体の分解に関与していると考えられ(参考文献62)、従って、上記のワクチンは、アジュバントとして、好ましくは、代わりにリン酸アルミニウムアジュバントを含有する。
【0036】
リン酸アルミニウムアジュバントが存在する場合、参考文献63と対照的に、Hib結合体はそのアジュバントに吸着されないことが好ましい。非吸着は、正確な混合の順番を選択することによって達成され得、抗原/アジュバントの混合中に適切なpHを選択することによって達成され得、そして/または適切な荷電ゼロ点(point of zero charge)(PZC)を有するアジュバントを選択することによって、製造中に達成され得る(参考文献64)(以下を参照のこと)。
【0037】
リン酸アルミニウムが存在する場合、ジフテリア類毒素は、代表的には、リン酸アルミニウムに吸着される。吸着が部分的である(例えば、その組成物中の全ジフテリア類毒素のうち、約30〜80重量%(例えば、約40重量%〜約70重量%、約50重量%〜約60重量%など)が吸着される)ことが好ましい。ジフテリア類毒素の吸着は、約37℃で保存される場合、経時的に増加する。破傷風類毒素は、代表的には、リン酸アルミニウムに吸着される。吸着が部分的である(例えば、その組成物中の全破傷風類毒素のうち、40重量%以下(例えば、30重量%以下、20重量%以下、10重量%以下など)しか吸着されない)ことが好ましい。破傷風類毒素吸着のレベルは、約0%であり得る。Hib結合体は、アルミニウムアジュバントに吸着されないままである。好ましくは、その組成物中のHib結合体の15重量%以下しかリン酸アルミニウムに吸着されるべきでない(例えば、最大で10%、最大で5%、最大で4%、最大で3%、最大で2%、または最大で1%)。
【0038】
用語「リン酸アルミニウム」とは、本明細書において使用される場合、リン酸アルミニウム、水酸化リン酸アルミニウム、水酸化リン酸アルミニウム硫酸塩(alminium hydroxyphosphate sulfate)を含む。本発明に関する使用のためのリン酸アルミニウムの好ましい形態は、水酸化リン酸塩である。
【0039】
上記のリン酸アルミニウムのPO/Al3+モル濃度比は、一般的には0.3〜1.2の間であり、好ましくは0.8〜1.2の間であり、さらに好ましくは0.95±0.1である。代表的なアジュバントは、PO/Alモル濃度比が0.84〜0.92の間であって1ml当たり0.6mgのAl3+が含まれる、非晶質水酸化リン酸アルミニウムである。リン酸アルミウムは、一般的に、特に水酸化リン酸塩に関しては、非晶質である。リン酸アルミニウムは、一般的に粒子状である。この粒子の代表的な直径は、任意の抗原吸着の後で、0.5μm〜20μm(例えば、約5μm〜約10μm)の範囲である。
【0040】
リン酸アルミニウムのPZCは、リン酸によるヒドロキシルの置換の程度に対して逆に関連し、この置換の程度は、塩を沈殿によって調製するために用いられる反応条件および反応物質の濃度に依存して変動し得る。PZCはまた、溶液中の遊離リン酸イオンの濃度を変えることによって変化させられる(より多いリン酸=より酸性のPZC)か、あるいはヒスチジン緩衝剤のような緩衝剤を加える(PZCをより塩基性にする)ことによって変化させられる。本発明に従って使用されるリン酸アルミニウムは、概して5.0〜7.0の間のPZC、より好ましくは5.5〜6.0の間(例えば、約5.7)のPZCを有する。
【0041】
上記のリン酸アルミニウムは、好ましくは、水溶液の形態で使用され、この水溶液に抗原が加えられる(注意:水性のリン酸アルミニウムを「溶液」として言及することは標準的であるが、厳密な物理化学的見地からは、この塩は不溶性であって、懸濁液を形成する)。リン酸アルミニウムを必要な濃度まで希釈すること、および抗原成分の添加の前に均質な溶液にすることを確実にすることが好ましい。
【0042】
抗原の添加の前のAl3+の濃度は、一般的には0mg/ml〜10mg/mlの間である。好ましい濃度は、2mg/ml〜6mg/mlの間である。さらに好ましい濃度は、4mg/ml〜5mg/mlの間(例えば、4.4mg/ml(20mg/mlのリン酸アルミニウム濃度に対応する))である。本発明の最終的なワクチン中のAl3+の濃度は、一般的には0.1mg/ml〜2.0mg/mlの間である。好ましい濃度は、0.2mg/ml〜1.5mg/mlの間である。さらに好ましい濃度は、0.3mg/ml〜1.0mg/mlの間である。最も好ましい濃度は、約0.6mg/mlである。
【0043】
本発明のワクチンを調製するために使用されるリン酸アルミニウム溶液は、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝剤またはヒスチジン緩衝剤)を含有してもよいが、このことは必須ではない。このリン酸アルミニウム溶液は、好ましくは、滅菌かつ発熱物質を含まない。このリン酸アルミニウム溶液は、遊離水性リン酸イオンを含有し得る。この遊離水性リン酸イオンは、例えば、1.0mM〜20mMの間、好ましくは5mM〜15mMの間、さらに好ましくは約10mMの濃度で存在する。このリン酸アルミニウム溶液はまた、塩化ナトリウムを含有し得る。塩化ナトリウムの濃度は、好ましくは、0.1mg/ml〜100mg/mlの範囲(例えば、0.5mg/ml〜50mg/ml、1mg/ml〜20mg/ml、2mg/ml〜10mg/ml)であり、さらに好ましくは、約3±1mg/mlである。NaClの存在は、抗原の吸着の前のpHの正確な測定を容易にする。
【0044】
アルミニウム塩の単独アジュバントとしての使用は標準的なものであるが、本発明のワクチン中に含有され得る他のアジュバントとして、以下が挙げられる(しかし、それらに限定されない):
(A.鉱物含有組成物)
本発明におけるアジュバントとしての使用に適した鉱物含有組成物として、鉱物塩(例えば、アルミニウム塩およびカルシウム塩)が挙げられる。本発明は、鉱物塩(例えば、水酸化物(例えば、オキシヒドロキシド)、リン酸塩(例えば、水酸化リン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩など(例えば、参考文献65の第8章および第9章を参照のこと)、または異なる鉱物化合物の混合物を含み、これらの化合物は、任意の適切な形態(例えば、ゲル、結晶、非晶質など)をとり、そして吸着されることが好ましい。この鉱物含有組成物はまた、金属塩の粒子として処方され得る(参考文献66)。
【0045】
本発明のワクチン組成物は、好ましくは、実質的に水酸化アルミニウム(例えば、アルミニウムオキシヒドロキシド)を含有しない。この組成物中の水酸化アルミニウムの濃度は、通常100μg/ml未満であり、好ましくは50μg/ml未満であり、さらに好ましくは10μg/ml未満であり、最も好ましくは1μg/ml未満である。特に、Hib結合抗原は、好ましくは、水酸化アルミニウムに吸着されない。
【0046】
リン酸カルシウムアジュバントが使用され得る。
【0047】
(油のエマルジョン)
本発明においてアジュバントとしての使用に適した油のエマルジョン組成物は、スクアラン−水エマルジョン(例えば、微量流動装置(microfluidizer)を使用してミクロン未満の粒子に処方された、MF59(参考文献65の第10章を参照のこと;また、参考文献67も参照のこと)(5% スクアラン、0.5% Tween 80、および0.5% Span 85)を含む。完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)もまた、使用され得る。
【0048】
(C.サポニン処方物(参考文献65の第22章))
サポニン処方物もまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る。サポニンは、広い範囲の植物種の樹皮、葉、茎、根およびさらに花において見出される、ステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種(heterologous)グループである。Quillaia saponaria Molinaの樹の樹皮に由来するサポニンは、アジュバントとして広く研究されてきた。サポニンはまた、Smilax ornata(サルサパリラ)、Gypsophilla paniculata(ブライダルベール(brides veil))、およびSaponaria officianalis(サボンソウ)から、商業的に得ることができる。サポニンアジュバント処方物としては、精製処方物(例えば、QS21)、および脂質処方物(例えば、ISCOM)が挙げられる。QS21は、StimulonTMとして市販されている。
【0049】
サポニン組成物は、HPLCおよびRP−HPLCを用いて精製されてきた。これらの技術を用いて精製される特定の画分が同定されており、これらの画分としては、QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−B、およびQH−Cが挙げられる。好ましくは、そのサポニンは、QS21である。QS21の生成方法は、参考文献68において開示される。サポニン処方物はまた、ステロール(例えば、コレステロール)を含み得る(参考文献69)。
【0050】
サポニンとコレステロールとの組合せは、免疫刺激複合体(ISCOM)(参考文献65の第23章)とよばれる独特の粒子を形成するために使用され得る。ISCOMはまた、代表的には、リン脂質(例えば、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリン)を含有する。任意の公知のサポニンは、ISCOM中で使用され得る。好ましくは、そのISCOMは、Quil A、QHA、およびQHCのうちの一種以上を含有する。ISCOMは、参考文献69〜71においてさらに記載される。必要に応じて、このISCOMは、さらなる界面活性剤を全く含有しなくてもよい(参考文献72)。
【0051】
サポニンベースのアジュバントの開発の総説は、参考文献73および参考文献74において見出される。
【0052】
(D.ビロゾームおよびウイルス様粒子)
ビロゾームおよびウイルス様粒子(VLP)はまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る。これらの構造は、一般的には、リン脂質と必要に応じて組み合わされるかまたは処方される、ウイルス由来の一種以上のタンパク質を含有する。これらの構造は、一般的には、非病原性で、複製せず、そして一般的に、いかなる天然のウイルスゲノムも含まない。このウイルスタンパク質は、組換え生成されてもよいし、完全ウイルスから単離されてもよい。ビロゾームまたはVLPにおける使用に適したこれらのウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルス由来のタンパク質(例えば、HAまたはNA)、B型肝炎ウイルス由来のタンパク質(例えば、コアタンパク質またはキャプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス由来のタンパク質、麻疹ウイルス由来のタンパク質、シンドビスウイルス由来のタンパク質、ロタウイルス由来のタンパク質、口蹄疫ウイルス由来のタンパク質、レトロウイルス由来のタンパク質、ノーウォークウイルス由来のタンパク質、ヒトパピローマウイルス由来のタンパク質、HIV由来のタンパク質、RNAファージ由来のタンパク質、Qβファージ由来のタンパク質(例えば、コートタンパク質)、GAファージ由来のタンパク質、frファージ由来のタンパク質、AP205ファージ由来のタンパク質、およびTy由来のタンパク質(例えば、レトロトランスポゾンTyタンパク質pl)が挙げられる。VLPは、さらに、参考文献75〜80において議論される。ビロソームは、例えば、参考文献81においてさらに議論される。
【0053】
(E.細菌性誘導体または微生物性誘導体)
本発明における使用に適したアジュバントは、以下のような細菌性誘導体または微生物性誘導体を包含する:腸内細菌リポポリサッカリド(LPS)の非毒性誘導体、脂質A誘導体、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、およびADPリボシル化毒素およびその解毒化誘導体。
【0054】
LPSの非毒性誘導体としては、モノホスホリル脂質A(MPL)および3−O−デアシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、4アシル化鎖,5アシル化鎖または6アシル化鎖を有する3 de−O−アシル化モノホスホリル脂質Aの混合物である。3 De−O−アシル化モノホスホリル脂質Aの好ましい「小粒子」形態は、参考文献82において開示される。このような3dMPLの「小粒子」は、0.22μmの膜を通して滅菌濾過するために十分小さい(参考文献82)。他の非毒性LPS誘導体としては、モノホスホリル脂質A模倣物(例えば、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体(例えば、RC−529(参考文献83、参考文献84))が挙げられる。
【0055】
脂質A誘導体としては、Escherichia coli由来の脂質Aの誘導体(例えば、OM−174)が挙げられる。OM−174は、例えば、参考文献85および参考文献86において記載される。
【0056】
本発明においてアジュバントとして使用するために適した免疫刺激性オリゴヌクレオチドとしては、CpGモチーフ(リン酸結合によってグアノシンに連結される非メチル化シトシンを含むジヌクレオチド配列)を含むヌクレオチド配列が挙げられる。パリンドローム配列またはポリ(dG)配列を含む二本鎖RNAおよびオリゴヌクレオチドもまた、免疫刺激性であることが示された。
【0057】
このCpGは、ヌクレオチドの修飾/アナログ(例えば、ホスホロチオエート修飾)を含み得、二本鎖または一本鎖であり得る。参考文献87、参考文献88、および参考文献89は、可能なアナログ置換(例えば、2’−デオキシ−7−デアザグアノシンによるグアノシンの置換)を開示する。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、参考文献90〜95においてさらに議論される。
【0058】
このCpG配列は、TLR9(例えば、モチーフGTCGTTまたはTTCGTT)に指向され得る(参考文献96)。このCpG配列は、Th1免疫応答の誘導について特異的であってもよいし(例えば、CpG−A ODN)、B細胞応答の誘導についてより特異的であってもよい(例えば、CpG−B ODN)。CpG−A ODNおよびCpG−B ODNは、参考文献97〜99において議論される。好ましくは、このCpGは、CpG−A ODNである。
【0059】
好ましくは、このCpGオリゴヌクレオチドは、5’末端がレセプター認識に利用しやすいように構築される。必要に応じて、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列が、「イムノマー(immunomer)」を形成するために、それらの3’末端に結合され得る。例えば、参考文献96、および参考文献100〜102を参照のこと。
【0060】
細菌性ADPリボシル化毒素およびその解毒化誘導体は、本発明において、アジュバントとして使用され得る。好ましくは、そのタンパク質は、E.coli(E.coli非耐熱性エンテロトキシン「LT」)、コレラ(「CT」)、または百日咳(「PT」)に由来し得る。粘膜用アジュバントとしての解毒化ADPリボシル化毒素の使用は、参考文献103において記載され、非経口用アジュバントとしての解毒化ADPリボシル化毒素の使用は、参考文献104において記載されている。毒素または類毒素は、好ましくは、AサブユニットおよびBサブユニットの両方を含む完全毒素の形態である。好ましくは、Aサブユニットは、解毒化変異体を含み;好ましくは、Bサブユニットは、変異していない。好ましくは、このアジュバントは、解毒化LT変異体(例えば、LT−K63、LT−R72、およびLT−G192)である。ADP−リボシル化毒素およびその解毒化誘導体、特にLT−K63およびLT−R72のアジュバントとしての使用は、参考文献105〜112において見出される。アミノ酸置換についての多数の参考文献が、好ましくは、参考文献113において示されるADP−リボシル化毒素のAサブユニットおよびBサブユニットのアラインメントに基づく。この参考文献113は、具体的に、その全体が本明細書において参考として援用される。
【0061】
(F.ヒト免疫調節因子)
本発明においてアジュバントとして使用するために適したヒト免疫調節因子としては、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12(参考文献114)など)のようなサイトカイン(参考文献115)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子が挙げられる。
【0062】
(G.生体接着剤および粘膜接着剤)
生体接着剤および粘膜接着剤もまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る。適切な生体接着剤としては、エステル化ヒアルロン酸マイクロスフェア(参考文献116)、または粘膜接着剤(例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリサッカリド、およびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体)が挙げられる。キトサンおよびその誘導体もまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る(参考文献117)。
【0063】
(H.マイクロパーティクル)
マイクロパーティクルもまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る。生分解性かつ非毒性である材料(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)からポリ(ラクチド−co−グリコリド)とともに形成されるマイクロパーティクル(すなわち、直径約100nm〜約150μm、より好ましくは、直径約200nm〜約30μm、および最も好ましくは直径約500nm〜約10μmの粒子)が好ましく、必要に応じて、負に荷電した表面を有するように(例えば、SDSで)処理されるか、または正に荷電した表面を有するように(例えば、陽イオン性界面活性剤(例えば、CTAB)で)処理される。
【0064】
(L.リポソーム(参考文献65の第13章および第14章))
アジュバントとしての使用のために適したリポソーム処方物の例は、参考文献118〜120において記載される。
【0065】
(J.ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルの処方物)
本発明における使用に適したアジュバントは、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルを含む(参考文献121)。このような処方物としては、さらに、オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(参考文献122)、ならびに少なくとも一種のさらなる非イオン性界面活性剤(例えば、オクトキシノール)と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤またはポリオキシエチレンアルキルエステル界面活性剤(参考文献123)が挙げられる。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(laureth 9)、ポリオキシエチレン−9−ステアリル(steoryl)エーテル、ポリオキシエチレン(polyoxytheylene)−8−ステアリル(steoryl)エーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0066】
(K.ポリホスファゼン(PCPP))
PCPP処方物は、例えば、参考文献124および参考文献125において記載される。
【0067】
(L.ムラミルペプチド)
本発明においてアジュバントとして使用するために適したムラミルペプチドの例としては、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(ノル−MDP)、およびN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン MTP−PE)が挙げられる。
【0068】
(M.イミダゾキノロン化合物)
本発明においてアジュバントとして使用するために適したイミダゾキノロン化合物の例としては、Imiquamodおよびそのホモログ(例えば、「Resiquimod 3M」)が挙げられる(参考文献126および参考文献127においてさらに記載される)。
【0069】
本発明はまた、上記で同定されるアジュバントのうちの一つ以上の局面の組み合わせを包含し得る。例えば、以下のアジュバント組成物が、本発明において使用され得る:(1)サポニンと水中油型エマルジョン(参考文献128);(2)サポニン(例えば、QS21) + 非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)(参考文献129);(3)サポニン(例えば、QS21) + 非毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL) + コレステロール;(4)サポニン(例えば、QS21) + 3dMPL + IL−12(必要に応じて+ステロール)(参考文献130);(5)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油型エマルジョンとの組み合わせ(参考文献131);(6)10% スクアラン、0.4% Tween 80TM、5% プルロニック−ブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含む、SAF(ミクロン未満のエマルジョンに微量流体化されるか、またはボルテックスされてより大きな粒子サイズのエマルジョンが生成されるかのいずれかである);(7)2% スクアラン、0.2% Tween 80、ならびにモノホスホリル脂質A(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましくは、MPL + CWS(DetoxTM)からなる群からの一種以上の細菌細胞壁成分を含む、RibiTMアジュバント系(RAS)、(Ribi Immunochem);ならびに(8)一種以上の鉱物塩(例えば、アルミニウム塩) + LPSの非毒性誘導体(例えば、3dPML)。
【0070】
免疫刺激因子として作用する他の物質は、参考文献65の第7章において開示される。
【0071】
(さらなる抗原)
本発明の組成物は、D抗原、T抗原、P抗原、およびHib抗原を含有する。本発明の組成物はまた、以下のようなさらなる抗原を含有し得る:
−N.meningitidisの血清群A、血清群C、血清群W135、および/または血清群Y由来の糖類抗原(例えば、参考文献132において開示される血清群C由来のオリゴ糖、または、参考文献133のオリゴ糖)。本ワクチンは、好ましくは、血清群A、血清群C、血清群W135、および血清群Yのうちの2種、3種、または4種からの結合体を含有する。
−Streptococcus pneumoniae由来の糖類抗原(例えば、参考文献134〜136)。
−A型肝炎ウイルス由来の抗原(例えば、不活性化されたウイルス)(例えば、参考文献137、参考文献138)。
−B型肝炎ウイルス由来の抗原(例えば、表面抗原および/またはコア抗原)(例えば、参考文献138、参考文献139)。
−N.meningitidis血清群B由来の外膜小胞(OMV)調製物またはブレブ調製物(例えば、参考文献140、参考文献141、参考文献142、参考文献143などにおいて開示されるもの)。
−N.meningitidis血清群B由来のタンパク質抗原(例えば、参考文献144〜150中のもの(タンパク質「287」(以下を参照のこと)および誘導体(例えば、「ΔG287」)が特に好ましい))。
−ポリオ抗原(例えば、参考文献151、参考文献152)(例えば、IPV)。
【0072】
上記の組成物は、これらのさらなる抗原のうちの一種以上を含有し得る。抗原は、代表的には、少なくとも各々1μg/mlの濃度で存在する。一般的には、任意の所与の抗原の濃度は、その抗原に対する免疫応答を惹起するために十分である。個々の糖類抗原の防御効力が、それらを組み合わせることによって除去されないことが好ましいが、実際の免疫原性(例えば、ELISAの力価)は、低減され得る。
【0073】
糖類抗原が使用される場合、その糖類抗原は、好ましくは、免疫原性を高めるためにキャリアタンパク質と結合される。
【0074】
本発明の組成物におけるタンパク質抗原の使用の代替的方法として、抗原をコードする核酸が使用され得る(例えば、参考文献153〜161)。従って、本発明の組成物のタンパク質成分は、そのタンパク質をコードする核酸(好ましくは、(例えばプラスミドの形態の)DNA)によって置き換えられ得る。同様に、本発明の組成物は、糖類抗原を模倣するタンパク質(例えば、ミモトープ(参考文献162)または抗イディオタイプ抗体)を含有し得る。これらによって個々の糖類成分が置き換えられ得るか、または、補充され得る。一例として、上記のワクチンは、MenC(参考文献163)またはMenA(参考文献164)の莢膜多糖類のペプチド模倣物を、糖類そのものの代わりとして含有し得る。
【0075】
本発明のワクチンがB型肝炎表面抗原(「HBsAg」)を含有する場合、この抗原は、二種の方法で作製され得る。第一の方法は、粒子状形態の抗原を、慢性B型肝炎キャリアの血漿から精製する工程を包含する。なぜならば、HBV感染中に、大量のHBsAgが肝臓において合成されて血流中に放出されるからである。第二の方法は、組換えDNA法によってタンパク質を発現させる工程を包含し、この第二の方法が、好ましい。HBsAgがSaccharomyces cerevisiae酵母における発現によって調製されることが好ましい。HBsAg遺伝子は、プラスミドに挿入され得、そのプラスミドからのこのHBsAg遺伝子の発現は、(例えば、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子からの)「GAPDH」プロモーターのようなプロモーターによって制御され得る。この酵母は、合成培地中で培養され得る。次いで、HBsAgは、沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、および限外濾過法のような工程を包含するプロセスによって、精製され得る。精製後に、HBsAgは、(例えば、システインに関する)透析(dialysis with cystein)に供され得る。このHBsAgは、粒子状形態で使用され得る。
【0076】
本発明のワクチンがポリオ抗原を含有する場合、三種のポリオウイルス抗原−1型ポリオウイルス(例えば、Mahoney株)、2型ポリオウイルス(例えば、MEF−1株)、および3型ポリオウイルス(例えば、Saukett株)を使用することが好ましい。ポリオウイルスは、細胞培養物中で増殖され得る。好ましい培養物は、VERO細胞株を使用する。VERO細胞株は、サル腎臓由来の連続性細胞株(continuous cell line)である。VERO細胞は、マイクロキャリア中で簡便に培養され得る。ウイルス感染前およびウイルス感染中のVERO細胞の培養は、ウシ由来の物質(例えば、仔ウシ血清)の使用を必要とし得るので、この物質は、ウシ海綿状脳症(BSE)の危険のない供給源から得られるべきである。培養はまた、ラクトアルブミン加水分解物のような物質を必要とし得る。増殖後に、ビリオンは、限外濾過法、ダイアフィルトレーション、およびクロマトグラフィーのような技術を用いて精製され得る。患者への投与の前にウイルスは不活性化されておらねばならず、このことは、ホルムアルデヒドを用いる処理によって達成され得る。ウイルスは、好ましくは、別個に増殖され、精製され、そして不活性化され、次いで、組み合わされて、吸着されたジフテリア抗原および破傷風抗原への添加のためのバルク混合物をもたらす。
【0077】
本発明のワクチン中の抗原は、「免疫学的有効量」(すなわち、単一用量または一連の用量の一部としてのいずれかでの個体に対するこの量の投与が、疾患の処置または予防のために有効である)で存在する。この量は、処置されるべき個体の健康状態および身体状態、処置されるべき個体の年齢、分類学上の類(例えば、ヒト、霊長類など)、個体の免疫系が抗体を合成する能力、望ましい防御の程度、ワクチンの処方、処置する医師による医学的状況の評価、そして他の適切な因子に依存して変化する。この量は、慣用的な試験を通して決定され得る比較的広い範囲中に入ることが期待される。投薬処置は、単一用量スケジュールまたは複数用量スケジュール(追加免疫用量(booster dose)を含む)であり得る。
【0078】
(本発明のワクチンの非免疫学的成分)
本発明のワクチンは、典型的には、上述の抗原成分およびアジュバント成分に加えて、一種以上の「薬学的に受容可能なキャリア」を含有する。この「薬学的に受容可能なキャリア」は、それ自体がその組成物を与えられている個体にとって有害な抗体の産生を誘導しない任意のキャリアを含む。適切なキャリアは、代表的には、分子量が大きくゆっくり代謝される高分子(例えば、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合体アミノ酸、アミノ酸共重合体、ショ糖(参考文献165)、トレハロース(参考文献166)、乳糖、および脂質集合体(例えば、油滴またはリポソーム)である。そのようなキャリアは、当業者に周知である。このワクチンはまた、希釈剤(例えば、水、食塩水、グリセロールなど)を含有し得る。さらに、補助的物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化物質など)が存在し得る。滅菌かつ発熱物質を含まないリン酸緩衝化生理食塩水は、代表的なキャリアである。薬学的に受容可能な賦形剤の完全な考察は、参考文献167において入手可能である。
【0079】
本発明の組成物は、水性形態(すなわち、溶液または懸濁液)である。この型の液体処方は、組成物が、水性溶媒中での再構成の必要性なしに、包装形態から直接に投与されることを可能にし、従って、注射のために理想的である。組成物は、バイアル中で提示され得るか、または既に充填済み(ready−filled)の注射器中で提示され得る。この注射器は、針を備えられても備えられなくてもよい。一本の注射器は、単一用量の組成物を含有するが、一個のバイアルは、単一用量または複数用量を含有し得る。
【0080】
本発明の液体ワクチンはまた、他のワクチンを凍結乾燥形態から再構成するためにも適している。ワクチンがそのような即時再構成のために使用される場合、本発明は、キットを提供する。このキットは、二個のバイアルを含み得るか、または一個の既に充填済みの注射器と一個のバイアルとを含み得、この注射器の内容物は、注射の前にバイアルの内容物を再活性化するために用いられる。
【0081】
本発明のワクチンは、単位用量形態または複数用量形態において包装され得る。複数用量形態のためには、前もって充填済みの注射器よりもバイアルの方が好ましい。有効投薬量の容積は、慣用的に確立され得るが、注射のための組成物の代表的なヒトの用量は、0.5mlの容積を有する。
【0082】
本発明のワクチンは、概して6.0〜8.0の間のpHを有し、より好ましくは、6.3〜6.9(例えば、6.6±0.2)のpHを有する。ワクチンは、好ましくはこのpHで緩衝化される。安定なpHは、緩衝剤の使用によって維持され得る。組成物が水酸化アルミニウム塩を含有する場合、ヒスチジン緩衝剤を使用することが好ましい(参考文献168)。この組成物は、滅菌かつ/または発熱物質を含まない。リン酸アルミニウムおよび全菌体百日咳抗原は、フィルター滅菌法に不適合であるので、本発明の組成物がこれらの成分の一つを含有する場合、オートクレーブによって本発明の組成物を滅菌すること、および/またはこの組成物の生成において滅菌の成分を使用することが好ましい。
【0083】
本発明の組成物は、ヒトに対して等張性であり得る。
【0084】
本発明のワクチンは、特に、複数用量形式で包装される場合、抗菌剤を含有し得る。多くの抗菌剤は、水銀ベースであるが(例えば、チオメルサール)、水銀性保存薬は、避けられることが好ましく、例えば、2−フェノキシエタノールが使用される。保存薬はいずれも、好ましくは、低いレベル(例えば、0.01体積%)で存在する。保存薬は、外因性に添加され得、そして/または、組成物を形成するために混合されるバルク抗原の成分であり得る(例えば、百日咳抗原中の保存薬として存在する)。
【0085】
本発明のワクチンは、界面活性剤(例えば、Tween 80のようなTween(ポリソルベート)を含有し得る。界面活性剤は、一般的に、低いレベル(例えば、0.01%未満)で存在する。
【0086】
本発明のワクチンは、張度をもたらすためにナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を含有し得る。この組成物は、塩化ナトリウムを含有し得る。この組成物中の塩化ナトリウムの濃度は、好ましくは、0.1mg/ml〜100mg/ml(例えば、1mg/ml〜50mg/ml、2mg/ml〜20mg/ml、5mg/ml〜15mg/ml)の範囲であり、より好ましくは、10±2mg/ml NaCl(例えば、約9mg/ml)である。
【0087】
本発明のワクチンは、一般的に、緩衝剤を含有する。リン酸緩衝剤またはヒスチジン緩衝剤が、代表的である。
【0088】
本発明のワクチンは、抗原の非吸着を容易にするために、溶液中に遊離のリン酸イオンを含有し得る(例えば、リン酸緩衝剤の使用による)。本発明の組成物中の遊離のリン酸イオンの濃度は、一般的に0.1mM〜10.0mMの間であり、好ましくは1mM〜5mMの間であり、より好ましくは約2.5mMである。
【0089】
(本発明のワクチンの包装)
本発明のワクチンは、種々の型の容器中(例えば、バイアル中、注射器中など)に包装され得る。
【0090】
凍結乾燥されたHib成分の再構成を必要とする先行技術のDTP−Hibワクチンに関しては、水性のDTP抗原が、第一の密封バイアルから注射器中へ引き出され、次いで、凍結乾燥物質を含有する第二の密封バイアルへと挿入される。再構成されたワクチンは、次いで、患者への投与のためのものと同じ注射器中へ引き出される。対照的に、本発明のワクチン中のHib結合体は、水性状態で安定であり、凍結乾燥を必要としない。従って、本発明は、貫通可能な封を有しDTP−Hibワクチンを含有する一個のバイアルを提供し得る。ここで、この貫通可能な封はまだ貫通されていない。同様に、本発明は、本発明のワクチンを含有する気密密封容器を提供し得る。
【0091】
凍結乾燥されたHib成分の再構成を必要とする先行技術のDTP−Hibワクチンは、二個の別々の容器中に包装されなければならない。対照的に、本発明は、本発明のワクチンを、既にDTP−Hib抗原を含有する形態で一個の容器中に挿入するためのプロセスの供給を可能にする。この挿入は、好ましくは、この容器の封を通さない。
【0092】
同様に、ワクチンの包装が製造中に標識される場合、先行技術のDTP−Hibワクチンは、それらが別々のDTP形式とHib形式とで標識されるが、一方、本発明は、ワクチンをその最終のDTP−Hib形式で標識し得る。
【0093】
さらに、先行技術の再構成されたDTP−Hibワクチンは、それらの容器からDTP−Hib形態で引き出されるが、その形態においては容器に挿入されない。しかし、本発明に従うと、そのようなDTP−Hibワクチンを、混合DTP−Hib形態において挿入し、かつ取り出すことが出来る。挿入と取り出しとの間の時間は、少なくともn週間であり得、ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、または25以上から選択される。取り出しは、一般的に、針(例えば、注射器のような滅菌送達デバイスの針)を介するが、容器への挿入は、通常、送達デバイスよりむしろ製造ラインに由来する。
【0094】
(本発明のワクチンの調製)
本発明のワクチンは、少なくともDTP−Hib抗原を含有し、従ってこれらのワクチンの調製は、これらの四種の抗原を混合する工程を包含する。再構成される先行技術のDTP−Hibワクチンの調製と異なり、本発明は、Hib結合体の凍結乾燥の工程を包含しない調製プロセスを提供し得る。同様に、本発明は、混合されたDTP抗原をHib抗原と別個に包装する工程を包含しない調製プロセスを提供し得る。
【0095】
調製中に、添加される抗原は、一般的には、まだアルミニウム塩に吸着されていない(すなわち、それらは「事前吸着(pre−adsorbed)」されていない)。従って、添加される抗原の各々について、5重量%以下(好ましくは0%)しか、既にアルミニウム塩に吸着されていない(例えば、最大で4重量%、最大で3重量%、または最大で2重量%)。しかし、いくつかの状況においては、事前吸着抗原が添加され得る。
【0096】
本発明のバルクワクチンを調製するための代表的なプロセスは、Hib成分を、D成分、T成分、P成分の混合物へと添加する(すなわち、DTP成分は、Hib成分の添加の前に混合されている)。この混合の順序は、存在し得る任意のアルミニウムアジュバントへの吸着を予防するために、この組成物のイオン強度および/またはpHが、Hib成分の添加の前に調整される(例えば、pH<7)ことを可能にする。
【0097】
本発明のワクチンは、好ましくは、15℃〜30℃の間(例えば、19℃〜27℃の間、または23度±4℃)で調製される。
【0098】
(本発明のワクチンの投与)
本発明は、哺乳動物において抗体反応を引き起こすための方法を提供し、この方法は、この哺乳動物に本発明のワクチンを投与する工程を包含する。このワクチンは、予防的(すなわち、感染を予防するため)に、または治療的(すなわち、感染後の疾患を処置するため)に、投与され得る。
【0099】
本発明は、哺乳動物において免疫応答を引き起こすための方法を提供し、この方法は、有効量の本発明のワクチンを投与する工程を包含する。この免疫応答は、好ましくは防御的であり、好ましくは、抗体を生じる。この方法は、追加免疫応答を引き起こし得る。
【0100】
上記の哺乳動物は、好ましくはヒトである。ワクチンが予防的使用のためのものである場合、このヒトは、好ましくは小児(例えば、よちよち歩きの幼児(toddler)もしくは幼児(infant))または10代の若年者であり;ワクチンが治療的使用のためのものである場合、このヒトは、好ましくは成人である。小児のために意図されるワクチンはまた、成人に対しても投与され得る(例えば、安全性、投薬量、免疫原性などを評価するために)。
【0101】
本発明はまた、医薬としての使用のための本発明の組成物を提供する。この医薬は、好ましくは、哺乳動物において免疫応答を引き起こし得(すなわち、これは免疫原性組成物であり)、より好ましくは、ワクチンである。
【0102】
本発明はまた、患者の免疫のための組合せワクチンの製造における、少なくともジフテリア抗原、破傷風抗原、百日咳抗原、およびH.influenzae b型(「Hib」)抗原の使用を提供し、ここで(a)Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり;(b)このワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満であり;そして(c)その製造は、Hib結合体の凍結乾燥を包含しない。
【0103】
これらの使用および方法は、好ましくは、C.diphtheriae、C.tetani、B.pertussis、およびH.influenzaeの感染の予防ならびに/または処置、さらに、これらの感染によって引き起こされる疾患の予防ならびに/または処置(例えば、ジフテリア、破傷風、百日咳、細菌性髄膜炎などの予防)のためのものである。
【0104】
治療的処置の効力を検査する一つの方法は、本発明の組成物の投与後に細菌感染をモニタリングする工程を包含する。予防的処置の効力を検査する一つの方法は、この組成物の投与後に抗原に対する免疫応答をモニタリングする工程を包含する。本発明の組成物の免疫原性は、試験被験体(例えば、12〜16ヶ月齢の小児、または動物モデル(参考文献169))にこれらの組成物を投与し、次いで、標準的な免疫学的パラメーターを測定することによって、決定され得る。これらの免疫応答は、一般的に、組成物の投与の約4週間後に決定され、その組成物の投与の前に決定された値と比較される。患者における実質的な防御効力を評価するよりもむしろ、HibワクチンおよびDTPワクチンの効力を評価するための標準的な防御の動物モデルおよびインビトロモデルおよび相関物が、周知である。
【0105】
本発明の組成物は、一般的には、患者に直接投与される。直接送達は、非経口注射(例えば、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、筋肉内注射、もしくは組織の間隙空間への注射)によって達成されるか、または直腸投与、経口投与、経膣投与、局所投与、経皮投与、鼻内投与、眼投与、耳投与、肺投与、もしくは他の粘膜投与によって達成される。大腿または上腕への筋肉内投与が、好ましい。注射は、針(例えば、皮下針)を介してもよいが、無針注射(needle−free injection)が代替的に用いられてもよい。代表的な筋肉内用量は、0.5mlである。
【0106】
本発明は、全身性免疫および/または粘膜性免疫を惹起するために用いられ得る。
【0107】
投薬処置は、単一用量スケジュールまたは複数用量スケジュールであり得る。複数用量は、一次免疫スケジュールにおいて、および/または追加免疫スケジュールにおいて用いられ得る。一次免疫用量スケジュールの後に、追加免疫用量スケジュールを行ってもよい。初回用量の間(例えば、4〜16週間の間)の適切なタイミング、および初回用量と追加用量との間の適切なタイミングは、慣用的に決定され得る。
【0108】
細菌感染は、身体の多様な領域に影響を及ぼす。従って、本発明の組成物は、多様な形態で調製され得る。例えば、この組成物は、液体の溶液または懸濁液のいずれかの注射可能物として調製され得る。この組成物は、肺投与のために(例えば、吸入器として、細粉またはスプレーを用いて)調製され得る。この組成物は、坐剤または膣坐薬として調製され得る。この組成物は、鼻投与、耳投与、または眼投与のために(例えば、スプレー、点滴剤、ゲル、または散剤として)調製され得る(例えば、参考文献170および参考文献171)。首尾よいHib糖類の鼻内投与(参考文献172)、およびDTPワクチンの鼻内投与(参考文献173、参考文献174)が、報告されている。
【0109】
(一般)
用語「〜を含む、〜を含有する、〜を包含する(comprising)」とは、「〜を含む、〜を包含する(including)」ならびに「(〜から)なる、(〜から)構成される(consisting)」を包含する。例えば、Xを「含有する」組成物は、Xのみからなり得るか、または付加的な他のものを含有し得る(例えば、X+Y)。
【0110】
数値xに関する用語「約」とは、例えば、x±10%を意味する。
【0111】
単語「実質的に」とは、「完全に」を除外しない。例えば、「実質的にYを含まない」組成物は、Yを全く含まなくてもよい。必要な場合、単語「実質的に」とは、本発明の定義から省略され得る。
【実施例】
【0112】
(本発明の実行のための様式)
Hib−CRM197結合体の用量のみが異なる、4種のDTwP−Hibワクチン処方物を調製した。ワクチンを、以下の抗原性組成物を用いて、0.5ml用量として調製した。
【0113】
【表1】

この生成プロセスは、基本的には以下のようである:注射用水(wfi)から始め;リン酸アルミニウムアジュバントを加え;D成分を加え;T成分を加え;wP成分を加え;NaClを加え;検査してpHを調製し;そして、Hib成分を加える。参考文献175の記述と反対に、このHib成分は、上記のアジュバントに吸着しない。
【0114】
(安定性)
2種の安定性の研究を行った:一つは、2℃〜8℃での通常の貯蔵条件下で2年間、もう一方は、37℃での促進(accelerated)条件下で14日間であった。ワクチンを、直立または上下逆の位置での貯蔵の後に試験した。安定性を、pHおよび遊離糖類の決定によって評価した。
【0115】
第一の研究の結果は、以下のようであった:
【0116】
【表2】

促進安定性研究の結果は、以下のようであった:
【0117】
【表3】

従って、これらのワクチンは、長期間にわたって安定である。吸着を、同じ時間的尺度にわたって試験した。Hib結合体は、貯蔵中に吸着されないままである。
【0118】
(臨床試験)
合計261個体の小児を登録し、無作為化し、4種のワクチンのうちの1種を二重盲検試験において与え、安全性および免疫原性を評価した(部分的盲検または公開のいずれかであった参考文献6、参考文献8、および参考文献9の研究を比較参照のこと)。健康な3ヶ月齢の小児(37週間以上の妊娠期間で出生し、出生時体重が最低2500gであり、局所EPIに適格である)を登録し、66:65:65:65のA:B:C:D比で無作為化し、これらのワクチンのうちの1種の単一筋肉内用量を、3ヶ月齢、4ヶ月齢、および5ヶ月齢の三回で与えた。局所EPIに合わせて、被験体に、経口ポリオワクチン(OPV)を、平行して、2ヶ月齢、4ヶ月齢、および6ヶ月齢で与えた。
【0119】
登録時の平均齢は、94(69〜108の範囲)日であり、4種のワクチン群の間で、性別、人種、体重、および身長の分布の点で相違は観察されなかった。患者を、注射後の反応および有害事象について追跡した。合計260個体の被験体を、安全性の分析に含め(4種のワクチン群の各々について65個体)、251個体を、免疫原性の分析に含めた(群Aに61個体、群Bおよび群Cに各々64個体、ならびに群Dに62個体)。親/法定後見人が研究の完了前に同意を撤回したために、9個体の被験体が研究を完了しなかった(群Aの5個体の被験体、群Bの1個体の被験体、および群Dの3個体の被験体)。
【0120】
血液サンプルを、基準時および3回目の投薬の一ヶ月後に得た。抗PRP抗体、抗百日咳抗体、抗ジフテリア抗体、および抗破傷風抗体を測定した。IgG抗PRP抗体を、FDA ELISA法(参考文献176)を改変したELISAによって測定した。IgG抗ジフテリア毒素抗体およびIgG抗破傷風毒素抗体を、ELISAによって定量した。B.pertussisの血清学的マーカー(抗ペルタクチンおよび抗Agg2−3)もまた、ELISAによって測定した。
【0121】
(安全性および反応性(reactogenicity))
被験体を、各々のワクチン用量の後30分間、研究員がモニタリングした。親に、各々の注射の後7日間、毎日の直腸体温、ならびに局所性反応および全身性反応を日記に記録するように依頼した。加えて、研究人員は、全ての有害事象の詳細を得るために、各々の接種の後2日目および7日目に親/法定後見人に電話で能動的に接触した。有害事象の発生、または重篤な有害事象、ならびに医師の訪問および/もしくは任意の医薬を必要とする事象を、研究期間を通して批判的に調べ、記録した。少なくとも一回の接種を受けた被験体を、安全性の分析に含めた。
【0122】
局所性反応および全身性反応は、大部分が軽度で一過性であった。最も頻繁なものは、局所性反応については、圧痛、紅斑、および硬化、そして全身性反応については、被刺激性、眠気、および異常な号泣である:
【0123】
【表4−1】

【0124】
【表4−2】

4種のワクチンの間で、有意差は観察されず、全ての接種後反応は、後遺症なしに消散した。研究ワクチンに関連するとして報告された重篤な有害事象は存在しなかった。
【0125】
(免疫原性)
抗PRPセロコンバージョン率(セロコンバージョンされた患者の%)は、以下のようであった:
【0126】
【表5】

抗百日咳セロコンバージョン率を、(a)抗ペルタクチン応答および抗Agg2−3応答の増大、ならびに(b)GMTを観察することによって評価した。結果(患者の%)は、以下のようであった:
【0127】
【表6】

抗ジフテリアGMTおよび抗破傷風GMTは、以下のようであった:
【0128】
【表7】

抗PRP力価が0.15μg/ml以上の被験体の割合は、従って、4種のワクチン群において同様であったが、抗PRP力価が1.0μg/ml以上の被験体の割合は、群C(97%)および群D(95%)において、群A(90%)および群B(88%)より高かった。抗PRP GMTは、明確な用量−反応効果を示し、群A(6.94μg/ml)と群B(7.82μg/ml)との間で類似であり、群C(17μg/ml)と群D(18μg/ml)との間で類似であるが、群Cおよび群Dの両方と比較した場合、群Aおよび群Bにおいて有意により低い(図1)。
【0129】
第三の接種の一ヶ月後、4種のワクチン群の各々の全ての被験体は、ジフテリアおよび破傷風に対してセロコンバージョンされていた(抗体レベル0.1 IU/mL以上)。4種のワクチン群の間で、GMTの感知可能な相違は観察されなかった。
【0130】
4種のワクチン群の間で、抗ペルタクチン抗体および抗Agg2−3抗体が基線と比較して2倍または4倍に増加した被験体の割合に、相違は観察されなかった。4種のワクチン群の間のGMTもまた、類似していた。
【0131】
(結論)
一用量あたり5μg、2.5μg、または1.25μgのHib結合体の分数的用量を用いたDTwPHibワクチン処方物は、セロコンバージョン率に関する限り、基準の10μg処方物と同じくらい免疫原性であった。高いレベルおよび同等のレベルの抗PRP GMTが、10μgまたは5μgの結合体を用いた処方物によって惹起された。一用量あたり2.5μgおよび1.25μgの結合体を用いた処方物は、より低い抗PRP GMTを惹起するが、これらは十分に免疫原性である。
【0132】
従って、この研究は、DTPワクチンを含有する適切な処方物において、他のワクチン成分の防御効力に影響を及ぼすことなく、Hib抗原の量を、一用量あたり1.25μgまで減少し得ることを確認する。
【0133】
DTP−Hibワクチンの全ての4種の処方物は、安全であり、かつ全てのワクチン成分について免疫原性であった。抗PRP血清防御(seroprotection)率に関しては、4種の処方物は、短期(力価が0.15μg/mL以上)および長期(力価が1μg/mL以上)の両方において、同等に免疫原性であった。5μgの結合体を含有する処方物は、10μgを含有する基準処方物と同じくらい免疫原性であり、両方の処方物について、抗PRP GMTは特に高かった(17μg/mLおよび18μg/mL)。1.25μgおよび2.5μgの結合体を含有する処方物は、Hibワクチンの分数的用量を使用する他の研究において観察された免疫応答と比較した場合、免疫原性が高かった(参考文献6、参考文献8、参考文献9)。
【0134】
さらなる情報は、参考文献177において見出され得る。
【0135】
本発明は、例示の手段のみによって説明されており、本発明の範囲および趣旨の内にあることを維持しながら変更がなされ得ることが、理解される。
【0136】
(参考文献)
(この参考文献の内容は、全てが本明細書によって参考として援用される)
【0137】
【表8−1】

【0138】
【表8−2】

【0139】
【表8−3】

【0140】
【表8−4】

【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】図1は、ワクチン群A,ワクチン群B、ワクチン群C、およびワクチン群Dの抗PRP GMTおよび95%信頼区間を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともジフテリア(「D」)、破傷風(「T」)、百日咳(「P」)、およびHaemophilus influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含有する組合せワクチンであって、ここで;(a)該Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり;(b)該ワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満であり;そして(c)該Hib結合体は、一度も凍結乾燥されていない、組合せワクチン。
【請求項2】
貫通可能な封を有し組合せワクチンを含有するバイアルであって、該組合せワクチンは、少なくともジフテリア、破傷風、百日咳、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含有し、ここで、該Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり、そして、ここで:(a)該ワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満であり、そして(b)該バイアルの貫通可能な封は、まだ貫通されていない、バイアル。
【請求項3】
少なくともジフテリア、破傷風、百日咳、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含有する組合せワクチンを含有する、気密密封容器であって、ここで、該Hibに対して防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり、そして、ここで、該ワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満である、気密密封容器。
【請求項4】
少なくともジフテリア、破傷風、百日咳、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含有する組合せワクチンを調製するためのプロセスであって、ここで、該Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり、該ワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満であり、該プロセスは、以下の工程:(a)該Hib結合抗原の凍結乾燥の工程;(b)ジフテリア抗原、破傷風抗原、および百日咳抗原を、混合された形態で、該Hib結合体抗原とは別個に包装する工程
のうち一方または両方を包含しないことで特徴付けられる、プロセス。
【請求項5】
組合せワクチンを容器に挿入するためのプロセスであって、ここで、(a)該ワクチンは、少なくともジフテリア、破傷風、百日咳、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含有し;(b)該Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり、そして(c)該ワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満である、プロセス。
【請求項6】
容器にラベルを取り付けるためのプロセスであって、ここで:(a)該容器は、少なくともジフテリア、破傷風、百日咳、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含有する組合せワクチンを含有し;(b)該Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり、そして(c)該ワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満である、プロセス。
【請求項7】
組合せワクチンを容器に挿入して次いで該容器から該ワクチンを取り出すためのプロセスであって、ここで:(a)該ワクチンは、少なくともジフテリア、破傷風、百日咳、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含有し;(b)該Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり、そして(c)該ワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満である、プロセス。
【請求項8】
少なくともジフテリア(「D」)、破傷風(「T」)、百日咳(「P」)、およびH.influenzae b型(「Hib」)から被験体を防御するための抗原を含有する組合せワクチンであって、ここで;(a)該Hibから防御するための抗原は、Hib莢膜糖類の結合体であり;(b)該ワクチン中のHib結合体の濃度は、15μg/ml未満であり;そして(c)該ワクチンは、(i)水酸化アルミニウムアジュバントを含有せず、そして/または(ii)硫酸カリウムアルミニウムアジュバントを含有しない、組合せワクチン。
【請求項9】
リン酸アルミニウムアジュバントを含有する、請求項8に記載のワクチン。
【請求項10】
前記Hib結合体が前記リン酸アルミニウムアジュバントに吸着しない、請求項9に記載のワクチン。
【請求項11】
前記ジフテリア抗原は、ジフテリア類毒素を含み、前記破傷風抗原は、破傷風類毒素を含み、そして、前記百日咳抗原は、菌体性百日咳成分を含む、請求項1〜10に記載のワクチン、バイアル、容器、またはプロセス。
【請求項12】
前記結合体は、CRM197キャリア、破傷風類毒素キャリア、またはN.meningitidisの外膜複合体キャリアを含む、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載のワクチン、バイアル、容器、またはプロセス。
【請求項13】
前記結合体は、Hibのリン酸ポリリボシルリビトールのオリゴ糖フラグメントを含む、請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載のワクチン、バイアル、容器、またはプロセス。
【請求項14】
前記組合せワクチンは、B型肝炎ウイルス由来の表面抗原をさらに含有する、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載のワクチン、バイアル、容器、またはプロセス。
【請求項15】
前記組合せワクチンは、ポリオ抗原をさらに含有する、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載のワクチン、バイアル、容器、またはプロセス。
【請求項16】
哺乳動物において抗体反応を引き起こすための方法であって、該哺乳動物に請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載のワクチンを投与する工程を包含する、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−529503(P2007−529503A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503444(P2007−503444)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000927
【国際公開番号】WO2005/089794
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(592243793)カイロン ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (107)
【Fターム(参考)】