説明

低融点有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を大スケールで製造するための処理量の向上

【課題】液体中で安定な銀ナノ粒子を大スケールで製造する。
【解決手段】有機溶媒と第1の量の有機アミンとを含む加熱した溶液とを作り、この溶液に銀塩粒子を加え、さらに第2の量の有機アミンを加え、銀塩と有機アミンとのモル比が約1:4〜約1:10とし、次にこの溶液を所定の温度まで冷却し、ヒドラジンを加えて還元反応させ、有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を生成した溶液を得る。さらに冷却してアルコールを加えて生成物を沈殿し、濾過、洗浄を繰り返した後、乾燥して銀ナノ粒子を得る。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
液相析出技術を用いた電子回路要素の製作は、薄膜トランジスタ(TFT)、発光ダイオード(LED)、RFIDタグ、太陽光発電などのような電子機器用途における従来の主要技術であるアモルファスシリコン技術よりもコストが安い代替技術を与えるため、非常に興味深い。しかし、実際の用途で、導電性、処理および費用の要求を満たすように、機能性電極、ピクセルパッド、導電トレース、導電線、導電トラックを析出させ、および/またはパターニングすることはきわめて困難である。銀は、金よりもかなり安価で、銅よりも環境安定性がかなり良好であるため、電子機器用の導電性要素として特に興味深い。というわけで、本明細書の実施形態で取り組んでいるような、電子機器の導電性要素を製作するのに適した、安定で加工可能な銀液体組成物を調製するための安価な方法はない。
【0002】
薄膜トランジスタ、RFIDタグ、太陽光発電などの電極、導電線として、溶液中で加工可能な導体を、プリンテッドエレクトロニクス用途に用いることはきわめて興味深い。銀ナノ粒子を用いた導電性インクは、プリンテッドエレクトロニクスの有望な材料を提示している。しかし、ほとんどの銀ナノ粒子は、印刷可能な溶液を作るときに、適切な溶解度と安定度を確保するために高分子量の安定化剤を必要とする。これらの高分子量の安定化剤は、必然的に、この安定化剤を除去するために、銀ナノ粒子のアニーリング温度を200℃より高い温度にしてしまい、この温度は、ほとんどのプラスチック基板には良くなく、損傷または変形が起こる場合がある。
【0003】
さらに、低分子量の安定化剤を用いても、小さな安定化剤は、望ましい溶解度を付与しないことが多く、使用前に銀ナノ粒子の融着または凝集が起こるのを有効に防ぐことができない場合が多いという問題が生じる場合がある。したがって、有機アミンを安定化剤として用いることで、銀ナノ粒子の融着または凝集は可能なままで、所望の溶解度を与える。
【0004】
銀ナノ粒子を製造する、以前のラボスケールの方法は、複数の工程を用い、労働集約的で、かつ時間のかかるものであった。結果に再現性がないか、または大スケール製造へのスケールアップを簡単に行うことができなかった。それに加え、得られた生成物は、典型的には、粘着性のあるペーストであり、取り扱いの問題も生じていた。また、最終製品は、保存可能期間が短く、純度も低かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本開示の実施形態で取り組んでいるような、電子機器の導電性要素を製作するのに適した、液体中で加工可能な、安定な銀含有ナノ粒子組成物を大スケールで調製するための安価な方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、種々の例示的な実施形態で、銀を含有するナノ粒子組成物を調製するプロセス、これによって製造される組成物を開示している。また、ナノ粒子組成物を用いるデバイス、例えば薄膜トランジスタも開示されている。
【0007】
実施形態では、有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を製造するプロセスが開示されており、このプロセスは、有機溶媒と第1の量の有機アミンとを含む、加熱した溶液を作ることと;上述の溶液に銀塩を加えることと;上述の溶液に第2の量の有機アミンを加えることと;上述の溶液に有機ヒドラジンを加えることと;上述の溶液から沈殿させ、有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を回収することとを含み;銀塩と有機アミン合計量とのモル比が約1:4〜約1:10である。
【0008】
また、実施形態では、有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を製造するプロセスが開示されており、このプロセスは、有機溶媒と第1の量の有機アミンとを含み、第1の温度を有する溶液を作ることと;上述の溶液に銀塩を加えることと;上述の溶液に第2の量の有機アミンを加えることと;上述の溶液を第2の温度まで冷却することと;上述の溶液に有機ヒドラジンを加えることと;上述の溶液から沈殿させ、有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を回収することと;上述の溶液を第3の温度まで冷却することと;上述の溶液に非溶媒を加えることと;上述の溶液にイソプロパノールを加え、上述の溶液から銀ナノ粒子を分離することと;上述の銀ナノ粒子を洗浄することとを含み;銀塩と有機アミン合計量とのモル比が約1:4〜約1:10である。
【0009】
また、実施形態では、基板上に導電性部品を形成する方法も開示されており、この方法は、上述の方法で製造されるような有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を含有する液体組成物を得ることと;上述の液体組成物を基板上に析出させ、析出した部品を形成させることと;この析出した部品を、上述の基板上で約100℃〜約200℃の温度まで加熱し、基板上に導電性部品を形成させることとを含み;銀塩と有機アミン合計量とのモル比が約1:4〜約1:10である。
【0010】
本開示の上述の特徴および他の特徴を、以下にさらに特定的に開示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書には、有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を製造する方法、および、この有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を用いて、基板上に導電性部品を作製する方法が開示されている。ナノ粒子を作製する方法によって、銀含有量の多い結晶性の高い銀ナノ粒子が得られる。さらに、この銀ナノ粒子を作製する方法は、処理量および収量が大きい。
【0012】
用語「ナノ」は、「銀ナノ粒子」として使用される場合、例えば、粒径が約1,000nm未満、例えば、約0.5nm〜約1,000nm、約1〜約500nm、約1nm〜約100nm、約1nm〜約25nm、または約1〜約10nmであることを指す。粒径は、TEM(透過型電子顕微鏡法)または他の適切な方法で決定されるような銀粒子の平均直径を指す。一般的に、本明細書で記載する方法から得られる銀ナノ粒子には、複数の粒径が存在していてもよい。実施形態では、異なる大きさの銀ナノ粒子が存在していてもよい。
【0013】
本開示の方法によって、有機アミンで安定化された銀ナノ粒子が製造される。実施形態では、この方法は、(a)有機溶媒と第1の量の有機アミンとを含む、加熱した溶液を作ることと;(b)上述の溶液に銀塩を加えることと;(c)上述の溶液に第2の量の有機アミンを加えることと;(d)上述の溶液に有機ヒドラジンを加えることと;(e)上述の溶液から沈殿させ、有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を回収することとを含み;銀塩と、加えられた有機アミン合計量とのモル比が、約1:4〜約1:10、例えば、約1:4〜約1:8、または約1:5である。
【0014】
有機溶媒は、任意の適切な溶媒であってよく、例えば、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、ベンゼン、シクロヘキサン、ペンタン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、他の炭化水素、およびこれらの混合物を挙げることができる。例示的な有機溶媒としては、ExxonMobil ChemicalからISOPAR(登録商標)の商品名で入手可能なイソパラフィン系溶媒が挙げられる。望ましくは、第1の有機溶媒はトルエンである。
【0015】
有機アミンは、一級アミン、二級アミン、または三級アミンであってよい。例示的な有機アミンとしては、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、N,N−ジペンチルアミン、N,N−ジヘキシルアミン、N,N−ジヘプチルアミン、N,N−ジオクチルアミン、N,N−ジノニルアミン、N,N−ジデシルアミン、N,N−ジウンデシルアミン、N,N−ジドデシルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、プロピルブチルアミン、エチルブチルアミン、エチルペンチルアミン、プロピルペンチルアミン、ブチルペンチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、1,2−エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、プロパン−1,3−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、ブタン−1,4−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタン−1,4−ジアミンなど、またはこれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態では、銀ナノ粒子を、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミンまたはこれらの混合物で安定化させる。
【0016】
有機アミンは、望ましくは、2工程で加える。第1の量の有機アミンは、銀塩を加える前の溶液に存在しており、第2の量の有機アミンは、銀塩を加えた後、または銀塩を加えている間に加える。有機溶媒と、第1の量の有機アミンとの重量比は、例えば、約1:0.8〜約1:1.2、例えば、約1:0.9〜約1:1.1、または約1:1であってもよい。第1の量の有機アミンと、第2の量の有機アミンとの重量比は、例えば、約1.7:1〜約1:1.7、例えば、約1:0.9〜約1:1.1、または約1:1であってもよい。第1の量として溶液に加えられる有機アミンと、第2の量として溶液に加えられる有機アミンとは、同じ有機アミンであってもよいし、異なる有機アミンであってもよい。
【0017】
有機溶媒と、第1の量の有機アミンとを含む溶媒を、第1の高温まで加熱する。この第1の高温は、約50℃〜約80℃、例えば、約60℃〜約75℃、例えば、約65℃〜約70℃であってもよい。一般的に、溶液は大気圧に維持され、その上、この溶液をかき混ぜるか、または撹拌してもよい。溶液は、窒素またはアルゴンのような不活性雰囲気で覆った状態におくべきである。
【0018】
上述の加熱した溶液に銀塩を加える。例示的な銀塩としては、酢酸銀、硝酸銀、酸化銀、アセト酢酸銀、安息香酸銀、臭素酸銀、臭化銀、炭酸銀、塩化銀、クエン酸銀、フッ化銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、亜硝酸銀、過塩素酸銀、リン酸銀、硫酸銀、硫化銀、トリフルオロ酢酸銀、またはこれらの組み合わせが挙げられる。銀塩は、望ましくは、溶液に均一に分散しているものが適しており、有効に反応させるのに役立つ。銀塩は、溶液に加えるときには、粒子状の形態であってもよい。銀塩粒子は、すばやく溶解するので一般的には急速に加えてもよい。
【0019】
次いで、上述の溶液に、第2の量の有機アミンを加える。第1の量の有機アミンと第2の量の有機アミンとで、上述の溶液に対する有機アミン合計量になる。銀塩と、加えられた有機アミン合計量とのモル比は、例えば、約1:4〜約1:10であってもよく、例えば、約1:4〜約1:8、または約1:5であってもよい。第2の量の有機アミンを加えた後、溶液を冷却してもよい。この溶液を、約45分間、またはそれ以上かけて冷却してもよい。この溶液を、より低い約40℃〜約60℃の第2の温度、例えば、約45℃から約55℃〜約48℃から約52℃まで冷却してもよい。
【0020】
有機アミンを加える上述の2工程プロセスによって、銀塩を溶液に再現性よくいつも同じように溶解させることができ、高品質の銀ナノ粒子を得ることができる。
【0021】
この溶液にヒドラジンを加える。ヒドラジンの目的のひとつは、銀塩をAg1+からAgに還元することである。次いで、還元された銀塩と、有機アミンとを反応させ、有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を形成させる。この反応を、約5分〜約2時間行ってもよい。この反応中、溶液をさらに混合するか、または撹拌してもよい。一般的に、この反応中、溶液を第2の温度に維持する。
【0022】
ヒドラジン還元剤を、ヒドラジン還元溶液として反応溶液に入れる。ヒドラジン還元溶液は、ヒドラジン還元剤と溶媒とを混合することによって作ってもよい。このヒドラジン溶液を調製したら、すぐに反応溶液に入れてもよい。本明細書のヒドラジン還元溶液は、液体系にヒドラジン化合物を含んでいる。本明細書で使用される場合、用語「ヒドラジン化合物」は、例えば、ヒドラジン(N)、置換ヒドラジン、または適切なヒドラジン水和物を指す。置換ヒドラジンは、約1個〜約30個の炭素原子を含んでいてもよく、例えば、約1個〜約25個の炭素原子、約2個〜約20個の炭素原子、または約2個〜約16個の炭素原子を含んでいてもよい。実施形態では、置換ヒドラジンとしては、例えば、ヒドロカルビルヒドラジン、ヒドラジド、カルバジン酸化合物またはスルホノヒドラジドを挙げることができる。適切なヒドラジン水和物の例としては、例えば、酒石酸ヒドラジン、ヒドラジン一臭化水素酸塩、ヒドラジン一塩酸塩、二塩化ヒドラジン、ヒドラジン一シュウ酸塩、硫酸ヒドラジン、置換ヒドラジン水和物が挙げられる。ヒドラジン化合物を還元剤として使用することは、多くの利点を有している場合がある。例えば、(1)置換基によって、水、極性有機溶媒または非極性有機溶媒に対する溶解度を有すること;(2)置換基によって、還元性が強いものから弱いものまであること;(3)他の還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)に含まれるような非揮発性金属イオンが存在せず、副生成物または未反応の還元剤の除去が容易になること。
【0023】
ヒドロカルビルヒドラジンの例としては、例えば、RNHNH、RNHNHR’、RR’NNHが挙げられ、1個の窒素原子がRまたはR’で一置換または二置換されており、他の窒素原子は、場合により、RまたはR’で一置換または二置換されており、RまたはR’はそれぞれ、炭化水素基である。ヒドロカルビルヒドラジンの例としては、例えば、メチルヒドラジン、tert−ブチルヒドラジン、2−ヒドロキシエチルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、フェニルヒドラジン、トリルヒドラジン、ブロモフェニルヒドラジン、クロロフェニルヒドラジン、ニトロフェニルヒドラジン、1,1−ジメチルヒドラジン、1,1−ジフェニルヒドラジン、1,2−ジエチルヒドラジン、1,2−ジフェニルヒドラジンが挙げられる。他の意味であると示されていない限り、種々のヒドラジン化合物のRおよびR’の置換基を特定する際に、「炭化水素基」との句は、置換されていない炭化水素基と、置換されている炭化水素基とを両方包含する。置換されていない炭化水素基は、任意の適切な置換基を含んでいてもよく、例えば、水素原子、直鎖または分枝鎖のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、またはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。アルキル置換基およびシクロアルキル置換基の例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシルまたはエイコサニル、およびこれらの組み合わせが挙げられる。アリール置換基は、約6〜約48個の炭素原子を含んでいてもよく、例えば、約6〜約36個の炭素原子、約6〜約24個の炭素原子を含んでいてもよい。アリール置換基としては、例えば、フェニル、メチルフェニル(トリル)、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ウンデシルフェニル、ドデシルフェニル、トリデシルフェニル、テトラデシルフェニル、ペンタデシルフェニル、ヘキサデシルフェニル、ヘプタデシルフェニル、オクタデシルフェニル、またはこれらの組み合わせが挙げられる。置換された炭化水素基は、本明細書に記載されているような置換されていない炭化水素基が、例えば、ハロゲン(塩素、フッ素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基(メトキシル、エトキシル、プロポキシ)またはヘテロアリールで1箇所、2箇所またはそれ以上置換されているものであってもよい。
【0024】
ヒドラジン化合物還元剤溶液に、任意の適切な液体または溶媒を用いてもよく、例えば、有機溶媒および水を用いてもよい。液体の有機溶媒は、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール)、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン、シアノベンゼン、アセトニトリル)、またはこれらの混合物を含んでいてもよい。
【0025】
ヒドラジン化合物還元剤溶液中の溶媒の重量百分率は、例えば、溶液の合計重量の約0重量%〜約95重量%であってもよく、例えば、約20重量%〜約80重量%、または約30重量%〜約60重量%であってもよい。還元剤溶液中のヒドラジン化合物の濃度は、例えば、この溶液の約1重量%〜約100重量%であってもよく、例えば、約5重量%〜約80重量%、約10重量%〜約60重量%、または約15重量%〜約50重量%であってもよい。
【0026】
ヒドラジン化合物還元剤溶液に、1種類、2種類、3種類またはそれ以上の溶媒を用いてもよい。2種類以上の溶媒を用いる実施形態では、それぞれの溶媒は、任意の適切な容量比または重量比で存在してもよく、例えば、約99(第1の溶媒):1(第2の溶媒)〜約1(第1の溶媒):99(第2の溶媒)で存在してもよい。
【0027】
さらに、有機ヒドラジンは、以下の式を有していてもよく、
N−NR
式中、R、R、R、Rは、独立して、水素、炭素原子1〜30個のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピルまたはブチル、炭素原子6〜48個のアリール基から選択され;R、R、R、Rのうち、少なくとも1個は水素ではない。さらに特定的な実施形態では、有機ヒドラジンは、式RN−NHを有していてもよい。例示的な有機ヒドラジンとしては、フェニルヒドラジンが挙げられる。
【0028】
また、ヒドラジン化合物の例としては、例えば、ヒドラジド、RC(O)NHNH、RC(O)NHNHR’、RC(O)NHNHC(O)Rを挙げることができ、片方の窒素原子または両方の窒素原子が、式RC(O)のアシル基で置換されており、各Rが、独立して、水素および炭化水素基から選択され、片方の窒素原子または両方の窒素原子が、場合により、R’で一置換または二置換されており、各R’は、独立して、炭化水素基から選択される。ヒドラジドの例としては、例えば、ギ酸ヒドラジド、アセトヒドラジド、ベンゾヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、ブタン酸ヒドラジド、ヘキサン酸ヒドラジド、オクタン酸ヒドラジド、オキサミン酸ヒドラジド、マレイン酸ヒドラジド、N−メチルヒドラジンカルボキサミド、セミカルバジドを挙げることができる。
【0029】
また、ヒドラジン化合物の例としては、例えば、カルバジン酸化合物およびヒドラジノカルボキシレート、例えば、ROC(O)NHNHR’、ROC(O)NHNH、ROC(O)NHNHC(O)ORを挙げることができ、片方の窒素原子または両方の窒素原子が、式ROC(O)のエステル基によって置換されており、各Rが、独立して、水素および炭化水素基から選択され、片方の窒素原子または両方の窒素原子が、場合により、R’で一置換または二置換されており、各R’は、独立して、炭化水素基から選択される。カルバジン酸化合物の例としては、例えば、カルバジン酸メチル(メチルヒドラジノカルボキシレート)、カルバジン酸エチル、カルバジン酸ブチル、カルバジン酸ベンジル、カルバジン酸 2−ヒドロキシエチルを挙げることができる。
【0030】
スルホノヒドラジドの例としては、例えば、RSONHNH、RSONHNHR’、RSONHNHSORが挙げられ、片方の窒素原子または両方の窒素原子が、式RSOのスルホニル基によって置換されており、各Rが、独立して、水素および炭化水素基から選択され、片方の窒素原子または両方の窒素原子が、場合により、R’で一置換または二置換されており、各R’は、独立して、炭化水素基から選択される。スルホノヒドラジドの例としては、例えば、メタンスルホノヒドラジド、ベンゼンスルホノヒドラジン、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホノヒドラジド、p−トルエンスルホノヒドラジドを挙げることができる。
【0031】
他のヒドラジン化合物としては、例えば、アミノグアニジン、チオセミカルバジド、メチルヒドラジンカルビミドチオレート、チオカルボヒドラジドを挙げることができる。
【0032】
生成した有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を、反応溶液から回収してもよい。反応溶液を、第3のさらに低い温度まで、例えば、約35℃〜約45℃、例えば、約37℃から約43℃〜約39℃から約41℃まで冷却してもよい。母液からナノ粒子を濾過することによって、ナノ粒子を分離してもよい。適切な大きさのフィルタ(例えば、0.5μm Gore−tex膜)を取り付けたフィルタを用いて、反応溶液を濾過することによって濾過プロセスを行ってもよい。次いで、銀ナノ粒子を、溶媒を用いて再びスラリー化し、再び洗浄し、次いで、同じフィルタ膜を用いて再び濾過してもよい。次いで、銀ナノ粒子を非溶媒で洗浄し、ナノ粒子の表面に残留する任意の溶媒を除去してもよい。ナノ粒子が、この添加によって溶解しないため、非溶媒を加える。非溶媒を加えた後、アルコール、望ましくはイソプロパノールを溶液に加える。アルコールを加えると、スラリーから銀ナノ粒子が沈殿する。また、非溶媒とアルコールを用いると、有機アミンで安定化された銀ナノ粒子の保存可能期間が長くなり、純度も向上する場合がある。例示的な非溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、メチルエチルケトン、アセトニトリル、イソブチルアルコール、他のケトンおよびアルコール、およびこれらの組み合わせが挙げられる。理想的な非溶媒はメタノールである。望ましくは、非溶媒を基準としたアルコールの容量比は、約0.4である。
【0033】
次いで、洗浄した銀ナノ粒子を約30℃〜約40℃の減圧オーブンで一晩乾燥させてもよい。乾燥した銀ナノ粒子は、金属光沢のある青色の乾燥粉末形態である。
【0034】
得られたナノ粒子は、平均径が1,000ナノメートル以下である。さらに特定的な実施形態では、ナノ粒子は、平均径が約1ナノメートル〜約10ナノメートルであり、例えば、約2ナノメートル〜約8ナノメートルである。他の実施形態では、ナノ粒子は、狭い粒径分布を有していてもよく、最も大きなナノ粒子の直径と、最も小さなナノ粒子の直径の差は、約10ナノメートルである。
【0035】
ナノ粒子は、銀の含有量が、約85%以上であってもよく、例えば、約80%〜約90%であってもよい。この含有量は、従来のプロセスで製造されるものよりも高い。有機アミンで安定化された銀ナノ粒子は、粉末の形態であり、容易に分散し、保存可能期間および安定性が向上している。ナノ粒子がペースト形態ではないため、粘着性ではなく、取り扱いやすく、もっと均一に分散する。また、このプロセスは再現性もあり、従来のプロセスと比べ、いつも同じようにスケールアップすることができる。
【0036】
本明細書で記載されている銀ナノ粒子は、銀ナノ粒子表面と会合する有機アミンによって安定化され、この有機アミンは、基板上に銀部品を形成する間、銀ナノ粒子をアニーリングするまで除去されない。
【0037】
実施形態では、安定化剤は、銀ナノ粒子表面と物理的または化学的に会合する。この様式で、ナノ粒子は、液体溶液とは別に、表面に安定化剤を有している。つまり、安定化剤を表面に有するナノ粒子が、ナノ粒子および安定化剤の複合体を形成するのに使用する反応混合物溶液から単離され、回収されてもよい。このように、安定化されたナノ粒子を、その後に、印刷可能な溶液を作るための溶媒に、容易に、かつ均一に分散させてもよい。
【0038】
本明細書で使用される場合、銀ナノ粒子と安定化剤とが「物理的または化学的に会合する」との句は、化学結合および/または他の物理的な接続であってもよい。化学結合は、例えば、共有結合、水素結合、配位錯体結合、イオン結合、またはこれらの異なる化学結合の混合の形態であってもよい。物理的な接続は、例えば、ファンデルワールス力、双極子間相互作用、またはこれらの異なる物理的な接続の混合の形態であってもよい。
【0039】
安定化剤が金属ナノ粒子表面をどれほど覆っているかは、安定化剤が銀ナノ粒子を安定化する能力に依存して、部分的に覆っている状態から完全に覆っている状態までさまざまであってもよい。もちろん、個々の銀ナノ粒子を安定化剤がどれほど覆っているかも、同様にばらつきがある。
【0040】
銀ナノ粒子溶液に含まれる安定化剤の重量百分率は、例えば、約5重量%〜約80重量%、約10重量%〜約60重量%、または約15重量%〜約50重量%であってもよい。
【0041】
得られた要素を、導電要素または導電成分が必要な薄膜トランジスタ、有機発光ダイオード、RFID(無線自動識別)タグ、太陽光発電、プリントアンテナ、他の電子機器のような電子機器において、電極、導電性パッド、薄膜トランジスタ、導電線、導電トラックなどとして用いてもよい。
【0042】
さらに他の実施形態では、
(a)絶縁層と;
(b)ゲート電極と;
(c)半導体層と;
(d)ソース電極と;
(e)ドレイン電極とを備える薄膜トランジスタが提供され、
絶縁層、ゲート電極、半導体層、ソース電極、ドレイン電極は、ゲート電極と半導体層が両方とも絶縁層と接触し、ソース電極とドレイン電極が両方とも半導体層に接触している限り、任意の順序であり、
ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極のうち、少なくとも1つが、銀ナノ粒子と、シリコーンで改質されたポリアクリレート化合物とを含む溶液を与え、この溶液を基板上に析出させ、この基板上で上述の溶液を、約100℃〜約200℃の温度まで加熱し、基板上に導電性部品を形成させることによって作られる。
【0043】
このように、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を、本明細書の実施形態によって作製してもよい。ゲート電極層の厚みは、例えば、約10〜約2,000nmの範囲である。ソース電極およびドレイン電極の典型的な厚みは、例えば、約40nm〜約1マイクロメートルであり、さらに特定的な厚みは、約60nm〜約400nmである。
【0044】
絶縁層は、一般的に、無機材料フィルムであってもよく、または有機ポリマーフィルムであってもよい。絶縁層に適した無機材料の例としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムバリウムなどを挙げることができる。絶縁層向けの有機ポリマーの代表例としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(ビニルフェノール)、ポリイミド、ポリスチレン、ポリ(メタクリレート)、ポリ(アクリレート)、エポキシ樹脂などを挙げることができる。絶縁層の厚みは、例えば、使用する誘電材料の誘電率に依存して、約10nm〜約500nmである。絶縁層の例示的な厚みは、約100nm〜約500nmである。絶縁層は、導電率が、例えば、約10−12S/cm未満であってもよい。
【0045】
例えば、絶縁層およびソース電極/ドレイン電極の間に、これらと接触して半導体層が配置され、半導体層の厚みは、一般的に、例えば、約10nm〜約1μm、または約40〜約100nmである。任意の半導体材料を用いて、この層を作ってもよい。例示的な半導体材料としては、レジオレギュラー型のポリチオフェン、オリゴチオフェン、ペンタセン、米国特許公開第2003/0160230 A1号;米国特許公開第2003/0160234 A1号;米国特許公開第2003/0136958 A1号に開示されている半導体ポリマーが挙げられる。半導体層を形成させるのに、任意の適切な技術を用いてもよい。このような方法のひとつは、基板と、粉末形態の化合物が入った原料容器とを備えるチャンバに約10−5torr〜10−7torrの減圧をかけ、上述の化合物が基板に向かって昇華するまで、容器を加熱することである。また、半導体層を、一般的に、溶液プロセス(例えば、半導体の溶液または分散物のスピンコーティング、キャスト成形、スクリーン印刷、スタンピング、またはジェット印刷)によって作製してもよい。
【0046】
絶縁層、ゲート電極、半導体層、ソース電極、ドレイン電極は、任意の順序で形成され、特定の実施形態では、ゲート電極と半導体層が両方とも絶縁層と接触し、ソース電極とドレイン電極が両方とも半導体層に接触している。句「任意の順序で」は、連続的に形成すること、および同時に形成することを含む。例えば、ソース電極およびドレイン電極を同時に形成してもよく、連続的に形成してもよい。薄膜トランジスタの組成、作製、操作は、米国特許第6,107,117号に記載されている。
【0047】
実施形態では、薄膜トランジスタのゲート電極、ソース電極またはドレイン電極のうち、少なくとも1つを、基板上に導電性部品を形成するように本明細書に記載されている方法を用い、複数の有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を含有する溶液を得て、この溶液を基板上に析出させ、この溶液を基板上に析出させている間、または析出させた後に、有機アミン安定化剤を、約200℃よりも低い温度で除去し、基板上に導電性部品を形成させることによって作製する。
【0048】
本明細書の実施形態を、以下の実施例によってさらに記載する。すべての百分率および部は、他の意味であると示されていない限り、重量による。室温は、例えば、約20℃〜約25℃の範囲の温度を指す。
【0049】
(比較例1)
1Lのジャケット付反応器に窒素を封入し、第1の部分のヘキサデシルアミン144.6グラムを、トルエン10mLとともに重量比1:1で入れ、これを機械的に撹拌しつつ、約65℃まで加熱した。この溶液に酢酸銀20グラムを加えた。この溶液に第2の部分のヘキサデシルアミン144.6グラムを加え、溶液を55℃まで冷却した。フェニルヒドラジン7.13グラムおよびトルエン10mLの溶液を調製し、冷却した後の反応混合物に加えた。あわせた溶液をさらに15分間混合し、確実に反応を終了させた。次いで、溶液を約40℃まで冷却した。
イソプロパノールおよびメタノールを用いて、まず、上述の溶液に、イソプロパノール240mLを加え、次いでメタノール560mLを加えることによって銀ナノ粒子を単離した。この溶液をさらに5分間撹拌した後、取りだした。0.5μm Gore−tex膜を取り付けたフィルタを用い、銀ナノ粒子を集めた。濾過ケーキを、イソプロパノール100mLを用いて30分間かけて再びスラリー化して洗浄し、同じフィルタで再び濾過した。次いで、メタノール50mLで3回洗浄し、粒子からイソプロパノールを除去した。集めたナノ粒子を、30〜40℃の減圧オーブンで一晩乾燥させた。生成物の最終的な収量は、15.2グラム(理論的には96%)であり、銀を80%含有していた。生成物の最終的な収量は、Thermal Gravitational AnalysisおよびAsh Content Analysisを用いて決定した。
【0050】
(実施例1−6Lスケールでの、ヘキサデシルアミンで安定化された銀ナノ粒子の合成)
従来のオーブンで、ヘキサデシルアミンをあらかじめ50〜60℃に加熱し、溶融させた。6Lのジャケット付反応器に窒素を封入し、撹拌しつつ、1−ヘキサデシルアミン723グラム(3モル)(5倍モル過剰、Aldrich、純度90%)とトルエン700mLを約65℃まで加熱した。次いで、酢酸銀200グラム(1.2モル)(Alfa aesar、純度99%)を10分かけて反応器に加え、その後、さらなる量のトルエン100mLを加えた。第2の部分のヘキサデシルアミン(723グラム、3モル)を反応器に加え、還元前に、1時間かけて反応混合物を55℃まで冷却した。銀塩と有機アミン合計量とのモル比は、1:5である。フェニルヒドラジン71.5グラム(Aldrich、純度97%)をトルエン60mLで希釈し、これを反応器に20分かけて加えた。反応物は黒っぽい赤色の液体になり、これは、銀粒子が還元したことを示している。溶液をさらに15分間混合し、還元反応を確実に終了させた。
次いで、反応器を50℃未満まで冷却し、イソプロパノール1600mLを加え、次いでメタノール3900mLを加えることによって、生成物を沈殿させた。溶液は、暗い青紫色に変わった。混合物を10分間混合し、次いで、これを取り出し、0.5μm Gore−tex膜を取り付けた直径8インチのフィルタを備える減圧濾過ユニットに移した。金属光沢のある青色の濾過ケーキをイソプロパノール2400mLに分散させ、任意の残留アミンと、反応の副生成物を除去し、同じ濾過媒体を用いて濾過した。濾過ケーキを再びイソプロパノールに分散させ、30分間洗浄し、同じ濾過ユニットで濾過した。その後、メタノールで3回洗浄し、生成物からイソプロパノールを除去した(メタノールは合計で750mL)。次いで、粒子を30〜40℃の減圧オーブンで一晩乾燥させた。生成物の最終的な収量は、145グラム(理論的には96%)であり、銀を86%含有していた(ASH分析から概算)。
【0051】
(実施例2−6Lスケールでの、ヘキサデシルアミンで安定化された銀ナノ粒子の合成)
従来のオーブンで、ヘキサデシルアミンをあらかじめ50〜60℃に加熱し、溶融させた。6Lのジャケット付反応器に窒素を封入し、撹拌しつつ、1−ヘキサデシルアミン911グラム(3.8モル)(5倍モル過剰、Aldrich、純度90%)とトルエン600mLを約65℃まで加熱した。酢酸銀200グラム(1.2モル)(Alfa aesar、純度99%)を10分かけて反応器に加え、その後、さらなる量のトルエン100mLを加えた。第2の部分のヘキサデシルアミン(535グラム、2.2モル)を反応器に加え、還元前に、1時間かけて反応混合物を55℃まで冷却した。銀塩と有機アミン合計量とのモル比は、1:5である。フェニルヒドラジン71.5グラム(Aldrich、純度97%)をトルエン60mLで希釈し、これを反応器に20分かけて加えた。反応物は黒っぽい赤色の液体になり、これは、銀粒子が還元したことを示している。溶液をさらに15分間混合し、還元反応を確実に終了させた。
次いで、反応器を50℃未満まで冷却し、イソプロパノール1440mLを加え、次いでメタノール3360mLを加えることによって、生成物を沈殿させた。溶液は、暗い青紫色に変わった。混合物を10分間混合し、次いで、これを取り出し、0.5μm Gore−tex膜を取り付けた直径8インチのフィルタを備える減圧濾過ユニットに移した。金属光沢のある青色の濾過ケーキをイソプロパノール2400mLに1時間かけて分散させ、任意の残留アミンと、反応の副生成物を除去し、同じ濾過媒体を用いて濾過した。濾過ケーキを再びイソプロパノールに分散させ、30分間洗浄し、同じ濾過ユニットで濾過した。その後、メタノールで3回洗浄し、生成物からイソプロパノールを除去した(メタノールは合計で750mL)。次いで、粒子を30〜40℃の減圧オーブンで一晩乾燥させた。生成物の最終的な収量は、140グラム(理論的には96%)であり、銀を86%含有していた(ASH分析から概算)。
【0052】
(試験および結果)
比較例1、実施例1および実施例2の銀ナノ粒子の平均粒径および銀含有量を調べた。析出および140℃で10分間のアニーリングによって、これらのナノ粒子からフィルムも製造した。フィルムの導電率を測定した。結果を表1に示している。
【表1】



【0053】
この結果は、実施例1および2の方法では、比較例1と比較して、導電性は同等であり、銀含有量が大きなナノ粒子が得られたことを示している。2工程で有機アミンを加えることと、イソプロパノールおよび非溶媒(メタノール)を用いた2回の溶媒による沈殿手順を用いることとが、両方ともこの結果に貢献していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を製造する方法であって、
有機溶媒と第1の量の有機アミンとを含む、加熱した溶液を作ることと;
前記溶液に銀塩を加えることと;
前記溶液に第2の量の有機アミンを加えることと;
前記溶液にヒドラジンを加えることと;
前記溶液から沈殿させ、有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を回収することとを含み;
銀塩と有機アミン合計量とのモル比が約1:4〜約1:10である、方法。
【請求項2】
有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を製造する方法であって、
有機溶媒と第1の量の有機アミンとを含み、第1の温度を有する溶液を作ることと;
前記溶液に銀塩を加えることと;
前記溶液に第2の量の有機アミンを加えることと;
前記溶液を第2の温度まで冷却することと;
前記溶液にヒドラジンを加えることと;
前記溶液から沈殿させ、有機アミンで安定化された銀ナノ粒子を回収することと;
前記溶液を第3の温度まで冷却することと;
前記溶液に非溶媒を加えることと;
前記溶液にアルコールを加え、前記溶液から銀ナノ粒子を分離することと;
分離した前記銀ナノ粒子を洗浄することとを含み;
銀塩と有機アミン合計量とのモル比が約1:4〜約1:10である、方法。

【公開番号】特開2011−256460(P2011−256460A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118195(P2011−118195)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】