説明

低適用温度ホットメルト接着剤

本発明は、使い捨て製品の構成に使用するのに特に良く適合した特性を有する低適用温度のゴムベースのホットメルト接着剤に関する。その接着剤は、スチレンブロックコポリマーと、120℃において約10,000cPよりも低い粘度、130゜F(54℃)で約300%未満のキューブフロー、約75℃未満のDSC結晶化温度、及び10rad/sec(25℃)で約1.0×10dyne/cm未満の貯蔵弾性率を生ずるのに有効な量のタイプのワックスを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤、更に詳細には低適用温度ホットメルト接着剤に関するものである。その接着剤は、不織布物品の構成において特に有用である。
【背景技術】
【0002】
ブロックコポリマーゴムをベースとする接着剤には、例えば、おむつ、女性用生理用品、及び成人用失禁用品などの使い捨て吸収性物品のような不織布構成応用分野において広範囲に広がる用途が見出されてきた。これらの接着剤は、通常130℃を超える温度で、そしてしばしば150℃を超える温度で適用される。そのような製品の製造に用いられる接着剤の適用温度を120℃より低くすることは、適用装置における熱老化性を改善し、感熱性のまたはより軽い基本重量の基材に関する問題点を低減させるであろう。しかしながら、現状の適用技術を使用して接着剤を120℃より低温で適用するためには、その粘度がきれいに噴霧及び押出しするのに充分に低くなければならない。粘度を低くするために、より低い分子量のポリマーと希釈剤のより高いレベルが、性能を犠牲にして採用されてきた。これらのアプローチは、高温におけるより低い機械的強度とより重要な低い流れ抵抗性をもたらしている。希釈剤と同様に結晶質強化剤としても作用するワックスの使用が知られている一方で、このアプローチは、使い捨て物品を製造するために用いられるラミネートプロセスにおいて接着剤が適切な結合を形成し得るのに有効なオープンタイム(open time)の減少に悩まされている。
【0003】
従って、例えば約120℃より低い低温で適用可能であって、高められた温度では結合のための適切なオープンタイムと高い流れ抵抗性を有するホットメルト接着剤に対するニーズがある。そのような特質は、その接着剤を、使い捨て物品の製造に使用するために特に好適なものにする。本発明は、このニーズを満たすものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ブロックコポリマーゴムとワックスを含む低適用温度ホットメルト接着剤を提供するものである。その接着剤中に用いられるワックスのタイプと量は、120℃において約10,000cPよりも低い粘度、130゜F(54℃)で約300%未満のキューブフロー(cube flow)、約75℃未満のDSC結晶化温度、並びに10rad/sec(25℃)で約1.0×10dyne/cm未満の貯蔵弾性率を生ずるように選択されるものである。
【0005】
本発明の実施において用いられ得る、好ましいブロックコポリマーゴムには、SBSポリマー、SISポリマー、SEBSポリマー、SEPSポリマー、加えてそれらの種々の混合物が含まれる。好ましい実施態様において、そのワックスは、約165゜F(74℃)よりも高い、より好ましくは約175゜F(79℃)よりも高い融点を有する結晶質ワックスである。好ましい接着剤配合物は、適合性の粘着付与剤、可塑剤及び抗酸化剤をも含有する。
【0006】
一つの実施態様において、その接着剤は、スチレンブロックコポリマーを10〜約25重量%、約80℃より高い軟化点を有する粘着付与剤を約40〜約70重量%、可塑剤を約15〜約30重量%、約165゜F(74℃)よりも高い、より好ましくは約175゜F(79℃)よりも高い融点を有するワックスを約1〜約10重量%、並びに抗酸化剤を約2重量%までの量で含む。
【0007】
本発明は、その接着剤を含む製品をも提供するものである。その接着剤は、不織布製吸収性衣料品を含む不織布製品の製造において、そしてボトルにラベルを付す用途等における使用のために、特に有用である。
【0008】
本発明は、その接着剤を使用して一つの基材を類似又は非類似の基材に接着するための方法をも提供するものである。その方法は、溶融したホットメルト接着剤を少なくとも第1の基材の少なくとも一部に適用する工程、その第1の基材上に存在するその接着剤に第2の基材を接触させる工程、及びその接着剤を硬化させる工程を含み、それによって第1の基材が第2の基材に接着される。
【0009】
本発明は、更にその接着剤を含む製品を提供するものである。その接着剤の特性が、例えばおむつ及びその類似物のような使い捨て吸収性物品等の不織布製品の製造において、並びにラベル用接着剤として、その接着剤を特に有用なものにしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ゴム状ポリマーをベースとしたホットメルト接着剤系中へ特定の性質を有するワックスを組み込むことが、不織布の使い捨て製品が配送チェーンで遭遇する高められた温度における、接着のためのオープンタイムと接着剤の流れ抵抗性をバランスさせるために使用され得ることが、この度見出された。更に詳細には、かかる接着剤配合物中のそのワックスの結晶化温度によってオープンタイムが大きく左右されることが見出された。最終用途の貯蔵温度でのオープンタイムと常温流れに対する抵抗性におけるバランスは、特定の熱特性を備えた結晶質強化相を用いることによって達成される。
【0011】
かかるワックスは、120℃において約10,000cPよりも低い粘度、130゜F(54℃)で約300%未満、より好ましくは約150%未満のキューブフロー、約75℃未満のDSC結晶化温度、及び10rad/sec(25℃)で約1.0×10dyne/cm未満の貯蔵弾性率(G’)を生ずるのに充分な量で使用される。
【0012】
その接着剤が上記の基準に見合うか否かは、ここで述べる手順を用いることによって難なく決定され得る。詳細には、配送及び貯蔵の温度における老化の際にその接着剤の接着強度の安定性が、接着ラインにおける接着剤の流れに対する抵抗性に関連している。接着剤の流れに対する抵抗性は、実施例において記載するキューブフロー試験法を使用して近似され得る。接着剤が接着に要する必要なオープンタイムを有するか否かは、実施例において記載する示差走査熱量計(DSC)を使用して評価され得る。組成物中の低減されたポリマー分子量と含有量によって、120℃で10,000cPより低い溶融粘度が達成され得る。このパラメータは、当技術分野で常套的なように標準的なブルックフィールド粘度計を用いて測定され得る。柔軟性のある基材どうしを接着する場合には、ある程度の感圧性と柔軟性を有することが望ましい。弾性率(G’)は、接着剤の剛性の指標であって、当技術分野で常套的であるように測定され得る(実施例参照)。
【0013】
本発明の接着剤は、低適用温度ホットメルト接着剤配合物、即ち約130℃よりも低い、好ましくは約120℃よりも低い温度で適用され得る。
【0014】
本発明のホットメルト接着剤を配合するのに用いるために好適なベースポリマーは、ゴム状ブロックコポリマー類、並びにそれらのブレンドである。スチレン‐ブタジエン、スチレン‐イソプレン、又はスチレン‐エチレン‐ブチレン、A‐B‐A又はA‐B‐A‐Bブロックコポリマー或いはそれらの混合物をベースとしたホットメルト接着剤組成物が使用され得る。それらのベースポリマーに加えて、本発明のホットメルト接着剤組成物はワックスを含み、一般的には適合性の粘着付与剤及び/又は可塑剤、典型的には安定剤、抗酸化剤、顔料及びそれらの類似物のような添加物をも含む。本発明の接着剤配合物中に用いるために選択されるワックスは、120℃において約10,000cPよりも低い粘度、130゜F(54℃)で約300%未満のキューブフロー、約75℃未満のDSC結晶化温度、及び10rad/sec(25℃)で約1.0×10dyne/cm未満の貯蔵弾性率(G’)を有する接着剤を提供するように選択されて、充分な量で添加される。
【0015】
更に詳細には、本発明の接着剤を製造するために使用されるポリマーは、ゴム状ブロックコポリマーをベースとしている。これらのポリマーには、一般的な構成:A‐B‐A又はA‐B‐A‐B‐A‐B‐を有するブロック又はマルチ‐ブロックコポリマーが含まれ、そこでは、ポリマーブロックAが20℃より高いガラス転移温度を有するホモポリマーのような非‐弾性ポリマーブロックであり、一方弾性ポリマーブロックBが部分的に又は充分に水素化されているブタジエン、イソプレン又はブタジエンイソプレンである。本発明の実施において、線状のもの及び/又は枝分かれしたものが使用され得る。典型的な枝分かれ構造は、中心のハブから放射状に広がり得る、或いはそうでなければ互いに結合し得る少なくとも三つの枝を供えた弾性部分を含有する。
【0016】
非‐弾性ポリマーブロックは、ビニルアレーン、ビニルピリジン、ハロゲン化ビニル及びビニルカルボキシレートのようなビニルモノマー、加えてアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸のエステル等のようなアクリルモノマーのホモポリマー又はコポリマーを含み得る。モノビニル芳香族炭化水素には、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、エチルビニルベンゼンのようなベンゼン系のもの、加えてビニルナフタレン及びその類似物のような二環式モノビニル化合物が特に含まれる。その他の非‐弾性ポリマーブロックは、アルファーオレフィン、アルキレンオキシド、アセタール、ウレタン等から誘導され得る。
【0017】
そのコポリマーの弾性ブロック成分は、水素化されていてもいなくても良いイソプレン又はブタジエンであり得る。この水素化は、部分的又は充分に完全のいずれであっても良い。例えばその弾性ブロックを水素化するが、ビニルアレーンポリマーブロックをそれほど変性しないように、選択された条件が採用され得る。ポリマー鎖にそって均一に充分に水素化するように他の条件が選ばれても良く、その弾性ブロックと非‐弾性ブロックの両方が、部分的又は充分に完全のいずれでも良いが、実際上同程度に水素化される。
【0018】
ここで有用な典型的なゴム状ブロックコポリマーは、ポリスチレン‐ポリブタジエン‐ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン‐ポリイソプレン‐ポリスチレン(SIS)そして例えばポリスチレン‐ポリ‐(エチレンブチレン)‐ポリスチレン(SEBS)及びポリスチレン‐ポリ‐(エチレンプロピレン)‐ポリスチレン(SEPS)である。これらのコポリマーは、例えば米国特許第3,239,478号明細書、第3,427,269号明細書、第3,700,633号明細書、第3,753,936号明細書及び第3,932,327号明細書に教示される方法を用いて製造され得る。一方、それらは、商標Kraton 1101、1102、1107、1650、1652及び1657でShell Chemical社から、商品名Europrene Sol−TでEnichem社から、そして商品名Stereon 840AでFirestone社から入手され得る。SBSとSISのブレンドのようなコポリマーの混合物も使用され得る。
【0019】
ブロックコポリマー成分は、一般にその接着剤組成物の約10〜約25重量%、より典型的には少なくとも約14重量%のレベルで存在する。
【0020】
本発明のホットメルト接着剤はワックスも含む。石油ベースの通常のワックス及びポリオレフィンコポリマーが本発明の実施に使用され得る。石油由来のワックスの語には、約130゜F(54℃)から約225゜F(107℃)の範囲内に融点を有するパラフィンワックス及び微晶質ワックスの両方に加えて、低分子量ポリエチレンのような合成ワックス又はフィッシャー‐トロプシュ(Fisher-Tropsch)ワックスが含まれる。少なくとも約165゜F(74℃)、より好ましくは少なくとも約175゜F(79℃)以上の融点を持った微晶質ワックスが最も好ましい。非限定の例には、IGI社から入手可能な、195゜F(91℃)の融点を持ったMICROSERE 5999、及び185゜F(85℃)の融点を持ったMICROSERE 5812が含まれる。所望の特性を得るのに必要な微晶質ワックスの量は、通常約1〜約10重量%のワックスの範囲にある。典型的には、約5重量%の量で充分である。
【0021】
本発明の接着剤組成物において有用な粘着付与樹脂には、炭化水素樹脂、合成ポリテルペン、ロジンエステル、天然テルペン及び類似物が含まれる。その粘着付与剤は、一般に接着剤組成物の約40〜約70重量%のレベルで、好ましくは少なくとも約60重量%のレベルで存在する。
【0022】
より詳細には、そして特定のベースポリマーに依存するが、有用な粘着付与樹脂には、例えばガムロジン、ウッドロジン、タル油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジン及び重合ロジン等を含む天然ロジン及び変性ロジン;例えば淡色ウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル、ロジンのフェノール変性ペンタエリトリトールエステル等を含む天然ロジン及び変性ロジンのグリセロールエステル及びペンタエリトリトールエステル;例えばスチレン/テルペン及びアルファーメチルスチレン/テルペンを含むテルペンのコポリマー及びターポリマー;ASTM法E28‐58Tにより決定されるような、約80℃〜150℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂;例えば酸性媒体中での二環式テルペンとフェノールの縮合から得られる樹脂生成物を含むフェノール変性テルペン樹脂及びその水素化誘導体;約70℃〜135℃の球環式軟化点を有する脂肪族石油炭化水素樹脂;芳香族石油炭化水素樹脂及びその水素化誘導体;及び肪環式石油炭化水素樹脂及びその水素化誘導体のような適合性のあるいかなる樹脂又はそれらの混合物も含まれ得る。2種以上の上記粘着付与樹脂の混合物がいくつかの配合物のために必要とされ得る。環式又は非環式のC樹脂及び芳香族変性の非環式又は環式樹脂も含まれる。
【0023】
好ましい粘着付与剤は、石油に由来する合成の炭化水素樹脂である。非限定的な例には、Goodyear社からWingtack(登録商標)で入手され得るもの、及びExxon社からEscorez(登録商標)1300シリーズで入手され得るもののような脂肪族オレフィン由来の樹脂が含まれる。このクラスにおける通常のC粘着付与樹脂は、ピレリレンと2‐メチル‐2‐ブテンのジエン‐オレフィンコポリマーであって約95℃の軟化点を有するものである。この樹脂は、商品名Wingtack 95として商業的に入手可能であり、そして米国特許第3,577,398号明細書に教示されるように、およそ60%のピレリレン、10%のイソプレン、5%のシクロ‐ペンタジエン、15%の2‐メチル‐2‐ブテン及び約10%の二量体を含有する混合物のカチオン重合によって製造される。その樹脂は、通常ASTM法E28により決定される、約20℃と150℃の間の環球式軟化点を有する。Exxon社からEscorez 2000シリーズで入手可能なC芳香族/脂肪族オレフィン由来の樹脂もまた有用である。水素化炭化水素樹脂が特に有用である。これらの水素化樹脂には、Exxon社からのEscorez 5000シリーズである水素化脂環式樹脂、荒川化学工業社によって提供されるアルコン(登録商標)P70、P90、P115、P125のような水素化C及び/又はC樹脂、Hercules Specialty Chemicals社からのRegalrez(登録商標)1018、1085及びRegalite(登録商標)Rシリーズの樹脂のような水素化芳香族炭化水素樹脂のような樹脂が含まれる。その他の有用な樹脂には、安原油脂工業社からのクリアロン(登録商標)P‐105、P‐115及びP‐125のような水素化ポリテルペンが含まれる。そのような粘着付与剤の混合物が使用されても良い。
【0024】
種々の可塑化又は増量用の油も、その組成物中に15重量%〜約30重量%、典型的には約21重量%の量で存在する。好適な可塑化又は増量用の油には、オレフィンオリゴマー及び低分子量ポリマー、加えて植物油、動物油及びそれらの誘導体が含まれる。使用され得る石油由来の油は、少量のみの芳香族炭化水素(好ましくは30重量%未満、より詳細には15重量%未満の油)を含有する比較的高い沸点の物である。一方では、その油は全体的に非芳香族である。好適なオリゴマーには、約350〜約10,000の平均分子量を有するポリプロピレン、ポリブテン、水素化ポリイソプレン、水素化ポリブタジエン又はその類似物が含まれる。ここでの使用に適する油の例には、Petrocanada社から入手可能な鉱油なるLUMINOL T350、及びWitco社から入手可能なKAYDOL OILが含まれる。Calumet社から入手可能なCalsol 5550のようなナフテン系油もまた有用である。
【0025】
抗酸化剤又は安定剤もまた、ここで記載される接着剤組成物中に、約3重量%までの量、より典型的には約0.5重量%の量で含まれても良い。ここで有用な安定剤又は抗酸化剤には、ヒンダードフェノール、或いはジステアリルチオジプロピネート(DSTDP)又はジラウリルチオ‐ジプロピネート(DLTDP)のような第2の抗酸化剤と組み合わされたヒンダードフェノールが含まれる。代表的なヒンダードフェノールには、1,3,5‐トリメチル2,4,6‐トリス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)‐ベンゼン;ペンタエリトリチルテトラキス‐3(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート;ペンタエリトリトールテトラキス (3‐ラウリルチオジプロピネート);n‐オクタデシル‐3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェノール)‐プロピオネート;4,4’‐メチレンビス(2,6‐t‐ブチルフェノール);4,4’‐チオビス(6‐t‐ブチル‐o‐クレゾール);2,6‐ジ‐t‐ブチルフェノール;6‐(4‐ヒドロキシフェノキシ)‐2,4‐ビス(n‐オクチル‐チオ)‐1,3,5‐トリアジン;ジ‐n‐オクタデシル3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐ベンジル‐ホスホネート;2‐(n‐オクチルチオ)エチル3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐ベンゾエート、及びソルビトールヘキサ[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐プロピオネート]を含む。Ciba社から入手可能な第2の抗酸化剤であるIRGAFOS 168、及びCiba‐Geigy社から入手可能なヒンダードフェノールの第1の抗酸化剤であるIRGANOX 1010が好ましい。他の抗酸化剤には、Albermarle社からのヒンダードフェノールであるETHANOX 330、Monsanto社からの2,5ジ‐t‐アミルヒドロキノンであるSANTOVAR、Uniroyal社からのトリス(p‐ノニルフェニル)ホスフィットであるNAVAGARD Pが含まれる。
【0026】
種々の特性を満たし、そして特定用途の要求に見合うようにホットメルト接着剤において慣例的に使用される他の添加剤もまた、本発明の接着剤組成物に添加され得る。そのような添加剤には、例えば充填剤、顔料、流れ調整剤、色素が含まれ、それらは目的に応じて接着剤組成物中に少量で又は大量に投入され得る。
【0027】
ホットメルト接着剤は、当分野において知られた技術を用いて製造され得る。典型的には、その接着剤組成物は、約100℃〜200℃の温度で溶融状態にある組成物を、均質なブレンドになるまで一般に約2時間の間ブレンドすることによって製造される。ブレンドの種々の方法が知られているが、均質なブレンドを形成するいかなる方法であっても良い。
【0028】
本発明のものの特徴は、不織布用途において、そして例えばボトルのラベル付け或いはプラスチックの接着又は剥離可能な感圧接着剤の用途を含む他の用途において、その接着剤を特に有用なものにしている。
【0029】
その接着剤は、その溶融状態にある間に基材に適用され、そして冷却されてその接着剤層が硬化される。その接着剤製品は、不織布物品のような基材に、コーティング又は噴霧を含む種々の方法によって、ティッシュ(tissue)、不織布、或いは低密度ポリオレフィン又は他の慣例的に用いられる基材などの異なる材料のようなもう一つの基材にその物品を接着させるのに充分な量で適用され得る。
【0030】
本発明の一つの実施態様において、使い捨て吸収性製品が提供される。その使い捨て吸収性製品には、通常(1)液体透過性のトップシート、(2)液体不透過性のバックシート、尚、トップシートがバックシートに取り付けられても良い、(3)そのトップシートとバックシートの間に位置する吸収体構造、及び(4)ここで記載される特性を有するホットメルト接着剤が含まれる。
【0031】
吸収体構造は、典型的には不織布を含む。不織布は、柔軟性、多孔性及び結着性によって特徴付けられる、からみ合う繊維ネットワークとして定義される。不織布を構成するために用いられる個々の繊維は、合成のもの、天然のもの、又はその両方の組合せであっても良い。その個々の繊維は、機械的に、化学的に又は熱的に互いに結合しあっても良い。不織布は、インサレーション(insulation)、包装(例えば肉のような食品用)、家庭用ふき取り材(wipe)、サージカルドレープ、メディカルドレッシングを含む種々の用途向けに、並びにおむつ、成人用失禁用製品及び衛生用ナプキンのような使い捨て製品において商業的に使用される。ティッシュは、個々の繊維が互いに化学的に結合していても又はいなくても良い、密接に関連した材料である。
【0032】
本発明の接着剤は、その不織布又はティッシュをもう一つの基材又は部材に接着するために使用され得る。その第2の基材は、もう一つの不織布、ティッシュ、或いは例えばポリプロピレンのような異なる材料であっても良い。接着剤は、トップシートをバックシートに取り付けるために使用されても良い。一方では、その接着剤は、ティッシュ層、レッグフラップ(leg flaps)、取り付け用耳(fastening ears)、テープ、又はタブ(tabs)のような使い捨て吸収性製品の他の部材、又は当業者に周知の使い捨て吸収性製品を構成するために通常使用される他の部材に、トップシート又はバックシートを接着させるために使用され得る。
【0033】
当業者であれば、トップシート及びバックシートとして使用するのに適した材料を理解するであろう。
【0034】
トップシートとして使用するのに好適な材料の例としては、約15〜約25g/mの基本重量を有するスパンボンド加工されたポリプロピレン又はポリエチレンのような液体透過性材料がある。
【0035】
使い捨て吸収性製品にしばしば用いられるバックシートは、一般に、その使い捨て吸収性製品の吸収性コアー内に水、尿、メンス又は血液のような液体を含有し、ベッド及び/又は衣類の外側部材をよごさないようにするために機能する液体不透過性材料から製造される。使い捨て吸収性製品におけるバックシートとして有用な材料は、一般に液体に対して不透過性であるが、蒸気に対しては透過性である。その例には、ポリオレフィンフィルム、例えばポリプロピレン及びポリエチレンのような液体‐不透過性材料、加えて時々通気性フィルムと呼ばれる微孔性ポリオレフィンフィルムのような蒸気‐透過性材料がある。
【0036】
特に望ましいバックシート材料は、線状の低密度ポリエチレンのようなポリオレフィンポリマーと充填剤を含むフィルムである。ここで使用するように、充填剤(filler)は、フィルムポリマーの押出しブレンドに添加されることが出来て、そしてその押出されたフィルムを化学的に妨害したり不利に作用したりすることが無く、そのフィルム全体に均一に分散し得る、粒状又は他の形状の材料を含むように意図されている。そのフィルムが加工中に伸ばされた場合、その充填剤は一般にフィルム中に形成されるべき孔のネットワークを生じさせる。そのような孔は、一般に液体の通過を防ぐのに充分小さいが、蒸気をその孔に通過させるのに充分大きい。一般に、その充填剤は粒状であって、通常約0.1〜約7μの範囲の平均粒子サイズを有する幾分球形をしている。有機充填剤と無機充填剤の両方が、フィルム形成加工を妨害しないかぎり、本発明の実施に使用され得る。充填剤の例には、炭酸カルシウム(CaCO)、種々のクレー、シリカ(SiO)、アルミナ、硫酸バリウム、炭酸ナトリウム、タルク、硫酸マグネシウム、二酸化チタン、ゼオライト、硫酸アルミニウム、セルロース系粉末、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、カオリン、マイカ、カーボン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、パルプ粉末、木材粉末、セルロース誘導体、キチン及びキチン誘導体が含まれる。
【実施例】
【0037】
以下の実施例は、説明の目的で提示されるものであって、なんら限定するものではない。
実施例中で、接着剤特性を評価するために用いられる試験は次のように行われた。
【0038】
DSC(示差走査熱量計)
TA Instrument DSC 2920又は類似の装置を使用して、5〜10mgの重量のサンプルを準備した。対照としてのブランクの皿と共に、そのサンプルをDSC中に装着した。サンプルを10℃/分の速度で130℃に加熱し、そして130℃で1分間維持した。次いでそのサンプルを10℃/分の速度で0℃に冷却した。その冷却曲線上のピークの温度を測定し、その値を結晶化温度として記録した。
【0039】
130゜F(54℃)でのキューブフロー
1インチキューブ(cube)を形成するために溶融した接着剤を離型中に注ぎ込み、そして25℃で24時間の間状態を整えさせた。次いでそのキューブを型から取り出して、標準のグラフ用紙(1cm正方形又はそれに類似)の上に置いた。次いでそのキューブを、130゜F(54℃)に制御された炉中に24時間置いた。次いでそのキューブをその炉から取り出して、接着剤で覆われた正方形の数を記録した。次の式を用いて、%フローを計算した。
%フロー=(キューブの最後の数−キューブの最初の数)/キューブの最初の数
【0040】
剥離及び老化剥離
高速ウェブラミネーターを使って、次のようにして剥離サンプルを形成した。標準のEP−11 Nordsonのスロットヘッドを使用して、13gsmのコーティング重量で不織布基材のランディングゾーンに溶融した接着剤を塗布し、次いで加圧ニップを用いてそれを第2のSMS不織布に合わせた。そのラミネート条件として、接着加工のオープンタイムが4秒であった。
【0041】
標準のインストロン引張試験機上で、12インチ/分の速度でT−剥離配置においてラミネートサンプルを剥離した。およそ6インチの接着からの平均剥離を記録した。
【0042】
サンプルを130゜F(54℃)の炉中で1週間老化させた。そのサンプルを取り出して、25℃で24時間平衡にさせて、その後に剥離試験を繰り返した。
【0043】
粘度
標準のブルックフィールド粘度計を使用して、120℃での接着剤粘度を測定し、その結果を記録した。
【0044】
レオロジー
Rheometrics Dynamic Mechanical Analyzer(モデル RDA 700)を使用して、弾性率(G’)対温度を得た。その装置をRhiosソフトウエア バージョン4.3.2で制御した。直径が8mmで約2mmの隙間で離れた並行プレートを使用した。サンプルを装着し、次いで約−100℃に冷却して、時間のプログラムを開始させた。そのプログラムの試験は、5℃の区分とそれに続く各温度での10秒間のソーク(soak)時間で温度を上昇させた。そのサンプルを収容している熱対流炉を、窒素で連続的にフラッシュした。周期数を10rad/secに維持した。試験の開始時における初期歪(strain)は0.05%(プレートの外部端で)であった。その試験を通じて正確に測定可能なトルクを維持するために、そのソフトウエアにおける自動歪(autostrain)のオプションを使用した。そのオプションは、そのソフトウエアによって可能な最大適用歪が80%であるように構成された。保証されれば、以下の手順により、そのソフトウエアにおける自動歪プログラムが各温度増加分での歪を調整した。トルクが200g‐cmを下回れば、その歪を現状の値の25%まで増加した。トルクが1200g‐cmを上回れば、その歪を現状の値の25%まで減少した。トルクが200g‐cmと1200g‐cmの間にある場合、その温度増加分において歪の変更を行わなかった。せん断貯蔵又は弾性率(G’)は、そのトルクと歪のデータからソフトウエアによって計算された。
【0045】
実施例1
当分野において知られた技術を使用して、9個の接着剤サンプル(サンプル1とサンプル2並びに比較サンプルA〜G)を配合した。それらのサンプルは、表1に示すように、スチレンブロックコポリマー、鉱油、粘着付与樹脂、抗酸化剤及びワックスを含んだ。典型的な手順として、全体の粘着付与樹脂のおよそ半分を、ローターを供えたジャケット付きの混合反応がま中に入れる工程、及びその温度を約100℃〜200℃の範囲に上昇させる工程を含めた。用いた正確な温度は、特定の粘着付与樹脂の軟化点に依存している。その樹脂が溶融したとき、攪拌を開始し、ブロックポリマー、ワックス、油及び抗酸化剤を、所望の任意の添加剤と共に、添加する。スムースで均質な物が得られるまで、混合と加熱を続ける。
【0046】
【表1】

【0047】
前記の試験法を使用して、その接着剤の性能を評価し、それらの結果を記録した。性能に関する結果を表2に示す。
【0048】
【表2】

【0049】
表2に示す結果から、本発明によって選択されたワックスの使用が、高められた温度(キューブフロー試験を用いて測定)における、接着に必要な所望のオープンタイム(DSCを用いて測定)と流れに対する抵抗性を有する接着剤を提供することを見出すことが出来る。これらの特性によって、その接着剤は、使い捨て製品を製造するためのラミネート形成プロセスにおいて使用するのに特に良く適合したものになる。
【0050】
当業者にとって明らかなように、本発明に関して、その精神及び範囲から離れることなく、多くの修正と変更が為され得る。ここに開示された特定の態様は、説明のみの目的のために提供されるものであって、本発明は、請求範囲の文言、並びにその請求範囲に与えられる充分な均等の範囲によってのみ限定されるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレンブロックコポリマーと、120℃において約10,000cPよりも低い粘度、54℃で約300%未満のキューブフロー、約75℃未満のDSC結晶化温度、及び10rad/sec(25℃)で約1.0×10dyne/cm未満の貯蔵弾性率を生ずるのに有効な量のワックスを含む、低適用温度ホットメルト接着剤。
【請求項2】
前記ワックスが約74℃よりも高い融点を有するものである、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
該ワックスがワックス類の混合物を含むものである、請求項1に記載の接着剤。
【請求項4】
SBSポリマー、SISポリマー、SEBSポリマー及び/またはSEPSポリマーを含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項5】
SBSポリマー及びSISポリマーのブレンドを含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項6】
粘着付与剤、可塑剤及び/または抗酸化剤を更に含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項7】
約1〜約10重量%の前記ワックスを含む、請求項6に記載の接着剤。
【請求項8】
約10〜約25重量%のスチレンブロックコポリマー、約40〜約70重量%の粘着付与剤、約15〜約30重量%の可塑剤、及び約2重量%までの抗酸化剤を含む、請求項7に記載の接着剤。
【請求項9】
該粘着付与剤が約80℃を超える軟化点を有するものである、請求項6に記載の接着剤。
【請求項10】
請求項1に記載の接着剤を含む製品。
【請求項11】
不織布製品である、請求項10に記載の製品。
【請求項12】
おむつである、請求項11に記載の製品。
【請求項13】
ラベル付き容器である、請求項10に記載の製品。
【請求項14】
基材を類似又は非類似の基材に接着するための方法であって、溶融したホットメルト接着剤を少なくとも第1の基材の少なくとも一部に適用する工程と、前記第1の基材を第2の基材に接着する工程を含み、そこでは該接着剤が、スチレンブロックコポリマーと、120℃において約10,000cPよりも低い粘度、54℃で約300%未満のキューブフロー、約75℃未満のDSC結晶化温度、並びに10rad/sec(25℃)で約1.0×10dyne/cm未満の貯蔵弾性率を生ずるのに有効な量のワックスを含む低適用温度ホットメルト接着剤である、方法。
【請求項15】
前記第1又は第2の基材の少なくとも一方がポリプロピレンを含むものである、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2006−503162(P2006−503162A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545572(P2004−545572)
【出願日】平成15年10月20日(2003.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/033278
【国際公開番号】WO2004/035705
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(590000824)ナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレイション (112)
【Fターム(参考)】