説明

住宅シミュレーションシステム

【課題】施工イメージデータを作成するとともに、施工した場合の住宅の二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量を算出することができる住宅シミュレーションシステムを提供する。
【解決手段】少なくとも設計図面ファイルと建材ファイルとを記憶するデータベースと、該建材ファイルより特定の建材データを選定する建材選定部と、住宅の施工イメージデータを作成するシミュレーション機能部と、作成された施工イメージデータより住宅の二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量を算出する演算部とを備え、該建材ファイルは、建材毎に二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量のデータを有し、該演算部は、該シミュレーション機能部でシミュレーションされた設計図面データと建材データから、住宅の二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量を算出する住宅シミュレーションシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の施工イメージを作成するとともに、住宅の施工による二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量を算出するシミュレーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識が高まっており、企業においては二酸化炭素の排出を抑制するために、工場や製品の生産ラインを見直すことが行われている。また、消費者においては、買い物の際にエコバックを持参してレジ袋を使用しないようにする動きがある。
【0003】
二酸化炭素の吸収、固定という点では、木は二酸化炭素を吸収し、大気に放出しない。そして、木は、伐採されて木材となり、住宅を建設する際に使用する柱、梁、土台、外壁材、内壁材、屋根材等の建材の原料として使用されることがある。この場合、木材に吸収され、大気に放出されない二酸化炭素は建材の中に固定されており、二酸化炭素を固定する手段として有効である。
また、木材でも間伐材を使用して製造される建材がある。例えば、特許文献1には、間伐材を用いて外壁材を製造する方法が開示されており、このような建材を用いて住宅を施工すると、間伐材を有効利用できるとともに、間伐材に吸収され、大気に放出されない二酸化炭素を建材の中に固定することになり、間伐された森林では木の成長が促進され、二酸化炭素の吸収量が増える。
一方、木材を全く使用しない建材がある。例えば、特許文献2には、軽量気泡コンクリート板が開示されているが、該軽量気泡コンクリート板は、珪酸質原料と石灰質原料とを主原料とする原料スラリーを成型用型枠に打設した後に、オートクレーブ養生することにより製造されており、木材を含有していないので二酸化炭素吸収量と二酸化炭素固定量はゼロである。
このように、木材を含むか否かにより、建材の二酸化炭素吸収量と二酸化炭素固定量は大きく異なる。
【0004】
しかし、住宅を施工するにあたり、二酸化炭素吸収量と二酸化炭素固定量が考慮されることはない。住宅を設計する際、設計図面を作成し、間取り、屋根の形状、窓などの開口部の位置を決定した後、様々な形状、寸法、模様、柄、色調を有する建材を複数配列して内壁、外壁のデザインを構築するに停まる。
【0005】
特許文献3には、住宅の外観デザインを作成するシミュレーションをネットワークで接続されたサーバ−クライアント間で実現するシステムが開示されている。このシステムによれば、クライアント装置を用いて、サーバ装置からシミュレーションに必要な建材画像等のデータを取得し、クライアント装置に予め保持している家屋画像データなどに貼り付けることにより、住宅の外観デザインを作成するシミュレーションを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−325052号公報
【特許文献2】特開2009−96665号公報
【特許文献3】特開2002−41879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来より、外観を考慮して建材を決定することが行われてはいるものの、二酸化炭素吸収量と二酸化炭素固定量を考慮して建材を決定することは行われていない。また、建材がどれだけ二酸化炭素吸収量と二酸化炭素固定量を有しているのかを明確に示すシステムは構築されていない。
【0008】
本発明は、施工イメージデータを作成するとともに、該施工イメージデータを施工した場合の住宅の二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量を算出することができる住宅シミュレーションシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも住宅の設計図面情報を有する設計図面ファイルと、複数の建材情報を有する建材ファイルとを記憶するデータベースと、該建材ファイルより特定の建材データを選定する建材選定部と、所定の設計図面データに選定された建材データを適用して住宅の施工イメージデータを作成するシミュレーション機能部と、作成された施工イメージデータより住宅の二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量を算出する演算部とを備え、該建材ファイルは、建材毎に、所定単位あたりの二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量のデータを有し、該建材選定部は、所定の設計図面ファイルに基づいて必要な建材データを選定し、該シミュレーション機能部は、所定の住宅の設計図面データと、該建材選定部により選定された建材データに基づいて住宅の施工イメージデータを作成し、該演算部は、該シミュレーション機能部でシミュレーションされた設計図面データと建材データから、作成された施工イメージデータに対する住宅の二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量を算出することを特徴とする住宅シミュレーションシステムを提供するものである。
【0010】
本発明の住宅シミュレーションシステムにおいて、建材選定部は、更に、選定された住宅の設計図面に適合する建材のみを適用可能な建材として顧客に提示し、顧客が選択した建材を選定された建材と決定することもできる。また、設計図面ファイルに設計図面毎に適用可能な建材のデータを含ませて、適用可能な建材のみを選択できるようにしても良い。これにより、顧客が施工できない建材を選択してしまうことを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明の住宅シミュレーションシステムにおいて、シミュレーション機能部により作成された住宅の施工イメージデータと、演算部により算定された、該施工イメージデータに対する住宅の二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量とを表示する表示部を備えることもできる。これにより、顧客は、住宅の施工イメージを画像として確認できるとともに、シミュレーションされた住宅による二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量を把握し、環境への貢献度を数値として把握することができる。また、住宅を決定する際に、外観と環境への貢献度の両方を考慮することができる。
【0012】
更に、本発明の住宅シミュレーションシステムにおいて、建材ファイルは、建材毎に、商品名、寸法、形状、イメージデータを有しても良い。これにより、顧客は、建材の情報をより詳しく把握した上で選択を行うことができる。
【0013】
更に、本発明の住宅シミュレーションシステムにおいて、建材ファイルは、建材毎に、所定単位あたりの間伐材の使用量のデータを有し、演算部は、更に、作成された施工イメージデータに対する住宅の間伐材の使用量を算出することもできる。これにより、顧客は、より環境への貢献度の大きい建材を選択することが可能となる。また、この場合には、更に、シミュレーション機能部により作成された住宅の施工イメージデータと、演算部により算定された、該施工イメージデータの住宅の間伐材の使用量とを表示する表示部を備えることができる。それにより、顧客は、住宅の施工イメージを画像として確認できるとともに、シミュレーションされた住宅による間伐材の使用量を把握し、環境への貢献度を把握することができ、住宅を決定する際に、外観と環境への貢献度の両方を考慮することができるので、好ましい。
更に、建材ファイルは、建材毎に間伐材の産地のデータを有し、表示部は、選定された建材の情報に基づき、間伐材の産地の情報を表示することができると、顧客は、環境への貢献をより実感できるので、好ましい。
【0014】
更に、本発明の住宅シミュレーションシステムにおいて、建材ファイルは、建材毎に、所定単位あたりのカーボン・クレジットのデータを有し、演算部は、更に、作成された施工イメージデータに対する住宅のカーボン・クレジットを算出することもできる。この場合には、更に、シミュレーション機能部により作成された住宅の施工イメージデータと、演算部により算定された、該施工イメージデータの住宅のカーボン・クレジットとを表示する表示部を備えることもできる。それにより、顧客は、住宅の施工イメージを画像として確認できるとともに、シミュレーションされた住宅によるカーボン・クレジットを把握し、環境への貢献度を把握することができ、住宅を決定する際に、外観と環境への貢献度の両方を考慮することができるので、好ましい。
【0015】
更に、本発明の住宅シミュレーションシステムにおいて、演算部は、更に、顧客の活動に伴う二酸化炭素排出の想定量を算出することもできる。この場合には、演算部で算出された、施工イメージデータの住宅の二酸化炭素吸収量と、顧客の活動に伴う二酸化炭素排出の想定量とを表示する表示部を備えると、顧客は、環境への貢献を具体的な数値として把握できるので、好ましい。または、建材ファイルは、建材毎にカーボン・クレジットのデータを有し、演算部は、施工イメージデータの住宅のカーボン・クレジットと、顧客の活動に伴う二酸化炭素排出の想定量とを算出することとし、演算部で算出された、カーボン・クレジットと、二酸化炭素排出の想定量とを表示する表示部を備えても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、施工イメージデータを作成するとともに、該施工イメージデータを施工した場合の住宅の二酸化炭素吸収量を算出して顧客に提示し、顧客が住宅の外観と、環境への貢献度という観点から住宅の設計を比較検討するシミュレーションを行い、いずれかを採用するかを決定することができる住宅シミュレーションシステムを提供することができる。このシステムにより、二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量の多い、環境への貢献の大きい建材の販売が促進されるとともに、顧客は環境への貢献を把握することができる。また、二酸化炭素の抑制、改善に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のシミュレーションシステムの一実施形態について、そのシステム構成例を概略的に示す図である。
【図2】図1に示すサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図3】サーバ装置のデータベース内のファイル構成及びファイル間のリレーションを模式的に示す図である。
【図4】建築基準法の規定に基づいて、外壁に要求される耐火構造を一覧表示した図である。
【図5】建築基準法の規定に基づいて、防火地域における建築物の用途や延床面積、防火規制等の一覧表示した図である。
【図6】建築基準法の規定に基づいて、準防火地域における建築物の用途や延床面積、防火規制等の一覧表示した図である。
【図7】図1に示す顧客所有の、あるいは工務店、設計事業者、ショールーム等に設置された各クライアント装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図8】顧客がクライアント装置から本システムを利用して施工シミュレーションを行う際の処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図9】汎用CADソフトウェア等で作成されサーバ装置にアップロードされた設計図面データについて、図面中の住宅の部位、形状、寸法等の確定を行うための表示画面の例を示す図である。
【図10】汎用CADソフトウェア等で作成されサーバ装置にアップロードされた設計図面データについて、図面中の住宅の部位、形状、寸法等の確定を行うための表示画面の例を示す図である。
【図11】施工シミュレーションの対象である住宅に使用可能な建材を選定する処理の流れを詳細に示すフローチャートである。
【図12】本システムにおける、施工シミュレーションの処理の流れを詳細に示すフローチャートである。
【図13】施工シミュレーションにおいて、クライアント装置に表示される、構造躯体の建材を指定する建材選択画面の例を示す図である。
【図14】施工シミュレーションにおいて、クライアント装置に表示される、外装材、屋根材、装飾部材などの外観を構成する建材を指定する建材選択画面の例を示す図である。
【図15】施工シミュレーションにおいて、クライアント装置に表示される施工イメージ画面の例を示す図である。
【図16】本システムにおける、住宅の施工イメージと二酸化炭素吸収量、二酸化炭素固定量などを表示する画面の例を示す図である。
【図17】本システムにおける、住宅の施工イメージと、使用される建材の商品情報と、必要量と、二酸化炭素吸収量などが表示された画面の例を示す図である。
【図18】図2の実施形態に、さらに自己活動による二酸化炭素排出量を算出し、表示することができる機能を備えたシステムにおけるサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図19】図18の実施形態における、自己活動による二酸化炭素排出量を算出する画面の例を示す図である。
【図20】本システムにおける、住宅の施工イメージと、二酸化炭素吸収量、二酸化炭素排出量などを表示する画面の例を示す図である。
【図21】図2の実施形態に、さらにオンライン受注機能を備えたシステムにおけるサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の住宅シミュレーションシステムを実施するための形態を説明する。図1〜図21は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0019】
[1] 住宅シミュレーションシステムの全体構成
図1は、本発明の住宅シミュレーションシステムの一実施形態について、そのシステム構成例を概略的に示す図である。図1において、本実施形態のシステムは、住宅メーカー、建材メーカーに設置されたサーバ装置及びデータベースと、顧客あるいは工務店や設計事業者等又はこれら事業者のショールームに設置されたクライアント装置と、該サーバ装置と該クライアント装置を接続するネットワークとから構成されている。
【0020】
サーバ装置と各クライアント装置とは、ネットワークを通じて通信可能なサーバ−クライアントシステムを構成している。サーバ装置及び各クライアント装置間それぞれの機能については、データベース層、ファンクション層(アプリケーションサーバ)、プレゼンテーション層(ユーザインターフェイス)からなる3層構造とするのが好ましい。この場合、サーバ装置においてデータベース及びアプリケーションサーバを備えるとともに、クライアント装置ではユーザインターフェイス(WEBブラウザ等)のみを備えるように構成することができる。
【0021】
[2] サーバ装置及びデータベースの構成
図2は、図1に示すサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。サーバ装置は、主制御部200と、記憶部202と、ネットワークインターフェイス部204と、シミュレーション機能部206と、建材選定部208と、演算部209と、データベース220とから構成されている。そして、データベース220は、顧客情報ファイル221、設計図面ファイル222、建材ファイル223、施工イメージファイル224及び法令情報ファイル225と、RDBMS230とから構成されている。
【0022】
サーバ装置の主制御部200は、CPU、MPU等の処理装置から構成されており、予め記憶されているプログラム等に従って、所定の演算を行い、本サーバ装置内の各構成部分の動作を制御し、各構成部分間のデータ通信を制御する。
【0023】
記憶部202は、揮発性又は不揮発性の半導体記憶素子などから構成されており、主制御部200の動作用プログラムを記憶したROMや、主制御部200の作業領域として利用されるRAMなどを含んでいる。また、各種データやアプリケーションプログラムなどを記憶しておくための磁気ディスク装置(ハードディスク)やリムーバブルディスクメディア(CD−R、MO等)などの補助記憶装置をさらに含んでいてもよい。
【0024】
ネットワークインターフェイス部204は、ネットワークを通じてクライアント装置との通信を可能にするためのインターフェイスであり、NIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタ及びこれを駆動するためのソフトウェアから構成されるものである。例えば、ネットワークがインターネットである場合には、TCP/IP等のプロトコルを利用して通信を行うことができる。
【0025】
シミュレーション機能部206は、データベース220に記憶されている設計図面ファイル222及び建材ファイル223のデータを管理するとともに、これらのデータを用いて施工シミュレーションを行う機能をクライアント装置に対して提供する。設計図面ファイル222及び建材ファイル223のデータ管理については、CAD等の製図ソフトウェアで作成された図面データを編集加工することができる機能を備えているものとする(後述するクライアント装置の設計図面編集ソフトウェア406と互換性を有しているものとする)。施工シミュレーション機能とは、設計図面ファイル222に含まれる任意の設計図面に対して建材ファイル223に含まれる任意の建材イメージを適用して、住宅の施工イメージを生成する機能をいう。顧客等は、クライアント装置において設計図面や建材イメージを表示させて施工シミュレーションを行うことができる。顧客等が施工シミュレーションにより生成した施工イメージは、クライアント装置の記憶部401あるいはデータベース220の施工イメージファイル224に記憶される。
【0026】
建材選定部208は、施工シミュレーションを行う際に、建材ファイル223に含まれる建材商品の中から、シミュレーション対象である住宅に適合した建材商品を選定する。施工シミュレーションにおいて、住宅の設計図面に対して建材の貼り付けを行うステップでは、建材選定部208により選定された建材商品のみが提示されるようになっており、顧客はそれらの建材商品の中から好みの建材を選んで、住宅の設計図面に貼り付けを行うことができる。建材選定部208は、顧客情報ファイル221に含まれる顧客の属性データ、設計図面ファイル222に含まれる住宅の設計基礎データ及び仕様データ、建材ファイル223に含まれる建材商品の用途データ及び性能データ、施工イメージファイル224に含まれる施工基礎データ、並びに法令情報ファイル225に含まれる法令データに基づいて、シミュレーション対象である住宅に適合した建材商品を選定する。尚、建材選定部208は、サーバ装置上で動作するプログラムとして実装されているものであり、その具体的な機能については、後に詳細に説明する。
【0027】
演算部209は、施工シミュレーションにより生成した施工イメージに対して、所定の寸法を有する建材を割り付ける機能と、割り付けられた各建材の割り付け枚数を算出する機能を有する。その具体的な機能については、後に詳細に説明する。
【0028】
RDBMS230は、データベース220を操作するための基本的なデータベース管理システム(Relational Database Management System)であり、主制御部200はRDBMS230に命令することにより、各ファイル221〜225に対して、データの検索、追加、更新、削除等の所定の操作を行うことができるようになっている。
【0029】
図3は、データベース220内のファイル構成及びファイル間のリレーションを模式的に示す図である。データベース220の顧客情報ファイル221は、顧客の基本的な属性に関する情報、例えば、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、施工予定、宅地の種類などを含んでいる。尚、工務店、設計業者等が顧客の窓口となっている場合には、顧客の連絡先等は工務店、設計業者等の連絡先等に置き換えてもよい。設計図面ファイル222は、CADデータ等で構成された設計図面データや、設計基礎データ、仕様データなどを、その施主である顧客の顧客コードとともに保持しており、顧客情報ファイル221とリレーションしている。
【0030】
建材ファイル223は、各建材について、商品コード、商品名、寸法・形状、価格、防耐火性能、耐震性能、イメージデータ、二酸化炭素吸収量、二酸化炭素固定量、間伐材含有量、間伐材の産地、カーボン・クレジット、用途データ、性能データなどを保持している。本実施形態において、二酸化炭素吸収量、二酸化炭素固定量、間伐材含有量、カーボン・クレジットは、建材毎に、所定の単位あたりの数量、例えば、一枚あたり、mあたりなどのデータで含まれている。用途データは、各建材商品を使用用途に基づいて分類し、グループ化し、あるいは関連付けるためのデータである。具体的には、同一の使用用途に属する建材商品には、共通するコードを割り当てておくなどする。例えば、柱として使用する建材には、柱として使用可能であることを示すコードを割り当てる。他に、梁、外壁材、内壁材、断熱材などの建材があるが、それぞれ別のコードを割り当てる。なお、外壁材や内壁材のどちらでも使用可能な商品もあるので、一つの建材に複数のコードが割り当てられることもある。また、性能データは、各建材商品をその耐震性能、耐火性能等に基づいて分類し、グループ化し、あるいは関連付けるためのデータである。具体的には、耐火等級を満たすために必要な建材商品群は指定されているので、それらに共通するコードを割り当てるようにすればよい。
【0031】
施工イメージファイル224は、施工シミュレーションにより生成された施工イメージや施工基礎データを保持している。また、施工イメージ中に用いられている設計図面の設計図面コードと、貼り付けられている建材の建材商品コードとを含んでおり、設計図面ファイル222と建材ファイル223とリレーションしている。
【0032】
法令情報ファイル225は、図4〜図6に示すような防耐火基準等の法令情報を含んでいる。具体的には、各種規定において、防耐火の観点から要求されている建材の性能に関する情報が含まれており、図4は、建築物の防火性能と外壁に要求される耐火構造とからある建材商品が使用できるかどうかを一覧表示した図である。図5及び図6は、それぞれ、防火地域及び準防火地域において建築物の用途や構造と防火規制とからある建材商品が使用できるかどうかを一覧表示した図である。尚、法令情報ファイル225は、他のファイルとのリレーションを持たないため、図3では図示を省略している。また、図4〜6は、外壁に関する法令情報であるが、屋根、軒、柱、梁などについても別途、法令で防耐火基準が定められており、それらの法令情報も法令情報ファイル225には含まれている。
【0033】
[3] クライアント装置の構成
図7は、図1に示す各クライアント装置の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。クライアント装置は、主制御部400と、記憶部401と、表示部402と、入力部403と、ネットワークインターフェイス部404と、ユーザインターフェイス部405と、設計図面編集ソフトウェア406とから構成されている。
【0034】
クライアント装置の主制御部400は、CPU、MPU等の処理装置から構成されており、予め記憶されているプログラム等に従って、所定の演算を行い、本クライアント装置内の各構成部分の動作を制御し、各構成部分間のデータ通信を制御する。
【0035】
記憶部401は、揮発性又は不揮発性の半導体記憶素子などから構成されており、主制御部400の動作用プログラムを記憶したROMや、主制御部400の作業領域として利用されるRAMなどを含んでいる。また、各種データやアプリケーションプログラムなどを記憶しておくための磁気ディスク装置(ハードディスク)やリムーバブルディスクメディア(CD−R、MO等)などの補助記憶装置をさらに含んでいてもよい。
【0036】
表示部402は、モニタ装置やスピーカ等から構成されるものであり、映像及び音声による情報をクライアント装置の操作者に表示する。入力部403は、本クライアント装置に対する操作者からの入力操作を受け付けるものであり、例えば、キーボード及びマウスを含んでいる。
【0037】
ネットワークインターフェイス部404は、ネットワークを通じてクライアント装置との通信を可能にするためのインターフェイスであり、NIC(Network Interface Card)等のネットワークアダプタ及びこれを駆動するためのソフトウェアから構成されるものである。例えば、ネットワークがインターネットである場合には、TCP/IP等のプロトコルを利用して通信を行うことができる。
【0038】
ユーザインターフェイス部405は、サーバ装置において実現される各種サービスをユーザに提供する機能(クライアント−サーバシステムにおけるプレゼンテーション層の機能)を備えている。具体的には、ネットワークを通じてサーバ装置から受信した各種データや情報を所定の形式で、表示部402等を介してユーザに表示し、あるいは記憶部401に記憶させ、また、ユーザが入力部403から入力した各種データや情報をサーバ装置に送信する機能を有するプログラム等として実装することができる。一般的には、WEBブラウザ等のプログラムが用いられることが多いが、本実施形態のシステムでは、施工シミュレーションを行うために図形処理等のプラグインソフトなどを必要に応じてWEBブラウザ等に追加したものを用いるのが好ましい。
【0039】
設計図面編集ソフトウェア406は、住宅の設計図面を作成、編集、加工等するための製図ソフトウェアであり、例えば、アーキトレンド21(株式会社ティーアイシステム)やCG2000(株式会社シーピーユー)などの専用CADソフトウェア、AutoCADなどの汎用CADソフトウェア、その他CADシステムとデータ互換性を有する製図ソフトウェア等を用いることができる。
【0040】
[4] シミュレーションシステムの利用形態
次に、上記のように構成された本実施形態の住宅シミュレーションシステムの利用形態とクライアント装置及びサーバ装置の動作について詳細に説明する。図8は、顧客等がクライアント装置から本システムを利用して住宅のシミュレーションを行う際の処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【0041】
本システムを利用しようとする顧客等は、まず、クライアント装置の設計図面編集ソフトウェア406により建築しようとしている住宅の設計図面を作成し、その設計図面データをサーバ装置にアップロードする(ステップS81)。ところで、アップロードされる設計図面データの態様は、クライアント装置の有している設計図面編集ソフトウェア406の種類によって異なり得る。例えば、3次元CADソフトであるアーキトレンド21を利用している場合には、製図段階で設計図面中の住宅の部位が認識されており、この設計図面データはそのまま本システムにおいて取り扱うことができる。
【0042】
一方、汎用CADソフトウェア等の場合は、設計図面中の住宅の部位が認識されていないため、顧客等は、設計図面データをサーバ装置にアップロードされた後、図面中の住宅の部位、形状、寸法等の確定を行わなければならない。この作業を行うための表示画面の例を図9及び図10に示す。この機能はシミュレーション機能部206により提供されるものである。こうして本システムで取り扱い可能な形態のデータとなった設計図面データは、データベース220の設計図面ファイル222に顧客情報と関連付けて格納される。また、顧客は予め所定の顧客情報をサーバ装置にアップロードしているものとする。
【0043】
本実施形態では、アップロードされた設計図面データを用いて施工シミュレーションを開始する前に、建材選定部208により、施工シミュレーションの対象である住宅に使用可能な建材が選定される(ステップS82)。図11は、建材選定部208による建材選定の処理の流れを詳細に示すフローチャートである。図11において、建材選定部208は、データベース220の各ファイルから、施工シミュレーションの対象である住宅及びその顧客について、顧客情報データ、設計基礎データ、仕様データ、施工基礎データを取得し(ステップS111)、同様に法令情報データを取得し(ステップS112)、これらの情報から、関係法令遵守のために満たしていなければいけない建材商品の性能に関する条件を生成する(ステップS113)。例えば、顧客情報データや施工基礎データなどから住宅の所在地域を割り出して法令情報データを参照すれば、その住宅が防火地域にあるのか準防火地域にあるのかなどが判定される。また、設計基礎データや施工基礎データなどから住宅の用途、階数及び延べ床面積を割り出して法令情報データを参照すれば、その住宅に適用される防火規制が分かる。そして、その防火規制をクリアするために建材商品が有していなければならない性能等が特定されることとなる。これを建材選定条件として、サーバ装置の記憶部202に記憶しておく。
【0044】
再び図8において、ステップS82における処理を終えると、次に、顧客は、サーバ装置にアップロードした設計図面に建材を貼り付ける施工シミュレーションを行う(ステップS83)。施工シミュレーションにより生成された施工イメージは、データベース220の施工イメージファイル224に顧客情報や設計図面データと関連付けて格納される。さらに、生成した施工イメージと、設計図面ファイルと、建材ファイルとに基づいて、建材の必要量を算出する(ステップS84)。この建材の必要量の算出結果データは、データベース220の施工イメージファイル224に施工イメージと関連付けて格納する。尚、図8に示すように、設計図面データのサーバ装置へのアップロードが完了した後、あるいは施工シミュレーションが完了した後、その状態をサーバ装置のデータベース220又はクライアント装置の記憶部401に保存して処理を終了することもできる。この場合、後に保存しておいたデータを用いて続きの処理を続行することができる。以下において、ステップS83の施工シミュレーションにおける処理と、ステップS84の建材の必要量を算出する処理とについて、詳細に説明する。
【0045】
[4.1] 施工シミュレーション
図12は、上記した施工シミュレーションの処理の流れを詳細に示すフローチャートである。以下に説明する施工シミュレーションの各ステップは、サーバ装置のシミュレーション機能部206により実行されるものであり、適宜、クライアント装置のユーザインターフェイス部405を介して表示部402においてシミュレーション画像が表示され、入力部403が受け付けた顧客等の操作がサーバ装置のシミュレーション機能部206に送信されるようになっている。尚、施工シミュレーションにおける画像表示については、市販されているWEB3D等のCADソフトウェアにより処理することができる。
【0046】
まず、施工シミュレーションの対象となる設計図面データを取得する(ステップS121)。設計図面データは、クライアント装置からアップロードされてデータベース220の設計図面ファイル222に記憶されているものである。次に、クライアント装置の表示部402に、取得した設計図面データの軸組図、立面図等を表示させる(ステップS122)。
【0047】
そして顧客は、建材を貼り付ける部位、領域を選定する(ステップS123)。すると、適用可能な建材が表示される(ステップS124)ので、選択した部位、領域に貼り付ける建材を選択する(ステップS125)。構造躯体の建材を指定する建材選択画面の例を図13に、外装材、屋根材、装飾部材などの外観を構成する建材を指定する建材選択画面の例を図14に示す。なお、建材を指定する建材選択画面において、建材の貼り付け操作が容易になるよう住宅の一面を表した軸組図、立面図を表示しているが、パース図等を用いてもよい。
【0048】
図13に示す画面においては、建材を貼り付ける構造躯体の部位を選定し、選択した部位に貼り付ける建材を選択する。図13の画面では、住宅の中心にある通し柱を選択しており、画面の右には、通し柱に適用可能であるとともに、図11の建材選定条件を満たす建材が表示されており、顧客は適用可能な建材を選択することができる。なお、各建材に対して、商品画像、価格、寸法、材料、二酸化炭素吸収量、二酸化炭素固定量、間伐材含有量、カーボン・クレジットの情報が表示されるので、顧客は情報を参照しながら建材を選定することができる。更に、各建材の商品情報欄には、詳細情報のボタンが設けてあり、クリックすると、各建材について、より詳しい情報が表示されるように設定されている。
【0049】
建材の貼り付け操作を終えると、顧客は、さらに別の部位を選択して建材貼り付け操作を行うことができる(ステップS126)。建材の貼り付け操作を全て完了すると、顧客は、さらに設計図面の他面の立面図を表示し、同様に建材の貼り付け操作を行うことができる(ステップS127)。なお、構造躯体に使用する建材を選定する操作については、この例に限定される訳ではない。予め、設計図面データに構造躯体となる建材の商品名、商品コード等を含ませておき、建材の選定操作を自動で行うこともできる。
【0050】
構造躯体を構成する全ての建材の貼り付け操作が終わると、次に、顧客は、外装材、屋根材、装飾部材などの外観を構成する建材を指定する。
図14に示す画面において、建材を貼り付ける部位、領域を選定する(ステップS123)。すると、適用可能な建材が表示される(ステップS124)ので、選択した部位、領域に貼り付ける建材を選択する(ステップS125)。図14の画面では、住宅の上側領域を選択しており、画面の右には、外壁に適用可能であるとともに、図11の建材選定条件を満たす建材が表示されており、顧客は建材を選択することができる。なお、各建材に対して、商品画像、価格、寸法、材料、二酸化炭素吸収量、二酸化炭素固定量、間伐材含有量、カーボン・クレジットの情報が表示されるので、顧客は情報を参照しながら建材を選定することができる。更に、各建材の商品情報欄には、詳細情報のボタンが設けてあり、クリックすると、より各建材について、詳しい情報が表示されるように設定されている。尚、建材を選定する操作については、この例に限定される訳ではなく、サーバ装置のデータベース220に記憶している建材ファイル223のデータ構成に応じて適切な態様(例えばカタログ形式等)で実施すればよい。尚、上記したように、本システムでは、設計図面データ中の住宅の部位が認識されているので、貼り付け領域の選択は、幕板、軒天、破風板、出隅部、入隅部などの部位ごとに行うことができ、また、建材の貼り付けの際には、使用部位に適合した建材の中から貼り付ける建材を選択することができるようになっている。
【0051】
建材の貼り付け操作を終えると、図14に示す立面図に建材が貼り付けられたイメージが表示されるので、顧客は、さらに別の領域を選択して建材貼り付け操作を行うことができる(ステップS126)。建材の貼り付け操作を全て完了すると、顧客は、さらに設計図面の他面の立面図を表示し、同様に建材の貼り付け操作を行うことができる(ステップS127)。設計図面全部について建材貼り付け操作を完了すると、設計図面に建材イメージが合成された施工イメージが表示される(ステップS128)。施工イメージを表示する画面の例を図15に示す。尚、図15では設計図面の一面の立面図のみを表示しているが、これに加えて、パース図等も表示するようにしてもよい。また、図15では、建材を横貼りする例を示しているが、縦貼りにするか横貼りにするかを顧客が選択できるようにしてもよい。更に、構造躯体についても、施工イメージを作成しても良い。
【0052】
顧客は、このようにして生成した施工イメージを自身のクライアント装置あるいはサーバ装置に保存したり、印刷したりすることができる。施工イメージをサーバ装置に保存する場合には、データベース220の施工イメージファイル224に施工イメージデータとして保存される。
【0053】
[4.2] 建材の必要量の算出
まず、施工シミュレーションにより生成された施工イメージを取得する。施工イメージは、データベース220の施工イメージファイル224又はクライアント装置の記憶部401に記憶されているものである。
【0054】
そして、設計図面ファイルの設計図面データと、施工イメージデータと、建材ファイルの建材情報とに基づいて、建材の必要量等が計算される。具体的には、設計図面データと施工イメージデータから、建材毎に必要な長さ又は面積を算出し、各建材情報のサイズを割り付けることにより必要量を算出する。例えば、構造躯体に対しては、設計図面データと施工イメージデータから、建材毎に必要な長さ又は面積を算出し、各建材情報のサイズを割り付けることにより必要量が算出される。壁面、屋根面等に対しては、設計図面データと施工イメージデータから、住宅外壁面の寸法(水平方向長さ、垂直方向高さ、開口部や端部等の各部材の寸法など)を取得し、取得面のうち開口部を除いた有効面を認識し、有効面に対して、建材の割り付けを行う。全ての建材の割り付けを行うと、建材の自動割り付け処理は終了する。このようにして建材の自動割り付けを行い、割り付けられた枚数をカウントすることにより、建材の必要量を算出する。そして、各建材の必要量は、その建材の二酸化炭素吸収量で用いられている所定の単位に換算され、各建材の必要量と、各建材の二酸化炭素吸収量から、住宅全体の二酸化炭素吸収量を算出する。また、同様にして、住宅全体のカーボン・クレジットや、間伐材含有量、二酸化炭素固定量等が算出される。
【0055】
顧客は、このようにして算出した建材の必要量及び二酸化炭素吸収量等の結果を自身のクライアント装置あるいはサーバ装置に保存したり、印刷したりすることができる。サーバ装置に保存する場合には、データベース220の施工イメージファイル224に施工イメージデータとして保存される。
【0056】
これらの処理が完了すると、クライアント装置の表示部402には、住宅の施工イメージと住宅全体の二酸化炭素吸収量が表示される。施工イメージと二酸化炭素吸収量を表示する画面の例を図16に示す。なお、住宅の施工イメージと二酸化炭素吸収量は、データベース220の施工イメージファイル224又はクライアント装置の記憶部401に記憶されているものである。また、図16では、住宅全体の二酸化炭素固定量と、住宅全体の間伐材含有量と、間伐材の産地と、カーボン・クレジットも表示されているが、顧客の要望により、表示させなくすることもできる。更に、図16では、間伐材の産地の状況を把握できるよう、間伐材の産地の画像、データ、映像等と繋がったボタンが設けてあり、顧客はより環境への貢献を具体的に把握できるようにしているが、顧客の要望により表示させなくすることもできる。更に、図16では設計図面の一面の立面図のみを表示しているが、パース図等で表示するようにしてもよい。
【0057】
更に、住宅の施工イメージと、使用される建材の商品情報と、必要量と、二酸化炭素吸収量などが表示された画面の例を図17に示す。
【0058】
[4.3] 自己活動による二酸化炭素排出量の算出
本発明の建材の割り付けシステムのさらなる実施態様として、顧客の自己活動による二酸化炭素排出量を算出し、表示する機能を備えることができる。図18は、このシステムにおけるサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。図18において、データベース220は二酸化炭素排出ファイル226を備えていることを特徴とする。他の構成部分については、図2に示すものと同様である。二酸化炭素排出ファイル226には、人、自動車、電気、ガスによる二酸化炭素排出データが備えられている。図19は、このシステムにおける自己活動による二酸化炭素排出量を算出する画面の例であり、家族構成、自動車データ、電気使用量、ガス使用量を入力すると、顧客の自己活動による二酸化炭素排出量を算出し、表示することができる。なお、図19では、入力にあたり、参考となるデータを参照するために、参照ボタンが設けられている。住宅の施工イメージと二酸化炭素排出量を表示する画面の例を図20に示す。
【0059】
[4.4] 建材のオンライン受注
本発明の建材の割り付けシステムのさらなる実施態様として、建材のオンライン受注機能を備えたシステムを構成することができる。図21は、このシステムにおけるサーバ装置及びデータベースの内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。図21において、サーバ装置は、受注管理部210を備えており、データベース220は受注管理ファイル227を備えていることを特徴とする。他の構成部分については、図2に示すものと同様である。
【0060】
本システムでは、顧客は、建材の必要量を算出した後、その内容に応じて建材を注文することができる。住宅メーカー、建材メーカーの受注担当者等は、受注管理ファイル227において新たに生成された受注レコードを参照し、受注商品の手配をすることとなる。あるいは、受注担当者等に受注情報が電子メールで通知されるようになっていてもよい。
【0061】
以上、本発明の住宅シミュレーションシステムについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態又は他の実施形態にかかる発明の構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の住宅シミュレーションシステムは、施工イメージデータを作成するとともに、該施工イメージデータを施工した場合の住宅の二酸化炭素吸収量を算出して顧客に提示し、顧客が住宅の外観と、環境への貢献度という観点から住宅の設計を比較検討するシミュレーションを行い、いずれかを採用するかを決定することができる。このシステムにより、二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量の多い、環境への貢献の大きい建材の販売が促進されるとともに、顧客は環境への貢献を把握することができる。また、二酸化炭素の抑制、改善にも繋がる。
【符号の説明】
【0063】
200 主制御部
202 記憶部
204 ネットワークインターフェイス部
206 シミュレーション機能部
208 建材選定部
209 演算部
210 受注管理部
220 データベース
221 顧客情報ファイル
222 設計図面ファイル
223 建材ファイル
224 施工イメージファイル
225 法令情報ファイル
226 二酸化炭素排出ファイル
227 受注管理ファイル
400 主制御部
401 記憶部
402 表示部
403 入力部
404 ネットワークインターフェイス部
405 ユーザインターフェイス部
406 設計図面編集ソフトウェア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも住宅の設計図面情報を有する設計図面ファイルと、複数の建材情報を有する建材ファイルとを記憶するデータベースと、
前記建材ファイルより特定の建材データを選定する建材選定部と、
所定の設計図面データに選定された建材データを適用して住宅の施工イメージデータを作成するシミュレーション機能部と、
作成された施工イメージデータより住宅の二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量を算出する演算部とを備え、
更に、前記建材ファイルは、建材毎に、所定単位あたりの二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量のデータを有し、
前記建材選定部は、所定の設計図面ファイルに基づいて必要な建材データを選定し、
前記シミュレーション機能部は、所定の設計図面データと、前記建材選定部により選定された建材データに基づいて住宅の施工イメージデータを作成し、
前記演算部は、前記シミュレーション機能部でシミュレーションされた設計図面データと建材データとから、作成された施工イメージデータに対する住宅の二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量を算出する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記建材選定部は、選定された住宅の設計図面に適合する建材のみを適用可能な建材として顧客に提示し、顧客が選択した建材を選定された建材と決定する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項3】
請求項1に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記シミュレーション機能部により作成された住宅の施工イメージデータと、前記演算部により算定された、該施工イメージデータに対する住宅の二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量とを表示する表示部を備える
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項4】
請求項1に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記設計図面ファイルは、設計図面毎に適用可能な建材のデータを有する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項5】
請求項1に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記建材ファイルは、建材毎の商品名、寸法、形状、イメージデータを有する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項6】
請求項1に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記建材ファイルは、建材毎に、所定単位あたりの間伐材の使用量のデータを有し、
前記演算部は、更に、作成された施工イメージデータに対する住宅の間伐材使用量を算出する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記シミュレーション機能部により作成された住宅の施工イメージデータと、前記演算部により算定された、該施工イメージデータの住宅の間伐材使用量とを表示する表示部を備える
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項8】
請求項6に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記建材ファイルは、建材毎に間伐材の産地のデータを有し、
前記表示部は、更に、選定された建材の情報に基づき、間伐材の産地の情報を表示する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項9】
請求項1に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記建材ファイルは、建材毎に、所定単位あたりのカーボン・クレジットのデータを有し、
前記演算部は、更に、作成された施工イメージデータに対する住宅のカーボン・クレジットを算出する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記シミュレーション機能部により作成された住宅の施工イメージデータと、前記演算部により算定された、該施工イメージデータに対する住宅のカーボン・クレジットとを表示する表示部を備える
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記演算部は、更に、顧客の活動に伴う二酸化炭素排出の想定量を算出する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項12】
請求項11に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記演算部により算出された、該施工イメージデータに対する住宅の二酸化炭素吸収量及び/又は二酸化炭素固定量と、顧客の活動に伴う二酸化炭素排出の想定量とを表示する表示部を備える
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項13】
請求項1に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記建材ファイルは、建材毎にカーボン・クレジットのデータを有し、
前記演算部は、更に、作成された施工イメージデータに対する住宅のカーボン・クレジットと、顧客の活動に伴う二酸化炭素排出の想定量とを算出する
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。
【請求項14】
請求項13に記載の住宅シミュレーションシステムであって、
前記演算部により算出された、該施工イメージデータに対する住宅のカーボン・クレジットと、顧客の活動に伴う二酸化炭素排出の想定量とを表示する表示部を備える
ことを特徴とする住宅シミュレーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−242852(P2011−242852A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112054(P2010−112054)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.エコバック
【出願人】(000110860)ニチハ株式会社 (182)
【Fターム(参考)】