説明

住宅用火災警報器

【課題】家人の在・不在などの状況判断に応じて、家人や外部にとって適切な態様で警報音を出力できる新規な構成の住宅用火災警報器を提供する。
【解決手段】人体検知部12を有し、制御部10は、火災検知部11が火災要因を検知したときに出力する警報音の出力態様を、人体検知部12による人の存在の検知の有無に対応させて変化させる構成にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙、熱などの火災要因を検知する火災検知部と、火災要因を検知したときに警報音を出力する制御部とを少なくとも備えた住宅用火災警報器の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の住宅用火災警報器は一般家庭において既に使用されており公知である。
【0003】
このような住宅用火災警報器は、下記特許文献1に示す住宅用火災警報システムで提示されているが、煙、熱などの火災要因を検知する火災検知部が火災要因を検知したときには、制御部による制御によって、警報音を出力することによって、家人に注意を喚起するようにしている。
【特許文献1】特開昭54−103189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような住宅用火災警報器では、家人の在・不在、家人の起床・就寝のいずれに関わらず火災要因を検知すると一律に同じ音量、同じパターンで警報音を出力する構成であった。そのため、心臓の悪い人にとっては健康上問題であり、家人の留守中にあっては外部に聞こえず安全面で問題であり、家人が在宅であってたばこの煙を検知したときでも警報音が誤って出力されてしまう問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために提案され、家人の在・不在などの状況判断に応じて、家人や外部にとって適切な態様で警報音を出力できる新規な構成の住宅用火災警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1では、煙、熱などの火災要因を検知する火災検知部と、火災要因を検知したときに警報音を出力する制御部とを少なくとも備えた住宅用火災警報器において、人体検知部を有し、上記制御部は、上記火災検知部が火災要因を検知したときに出力する警報音の出力態様を、上記人体検知部による人の存在の検知の有無に対応させて変化させる構成にしている。
【0007】
請求項2では、上記制御部は、上記人体検知部で人の存在を検知しないときには、人の存在を検知したときよりも音量を大きくしている。
【0008】
請求項3では、更に照度感知部を備えており、上記制御部は、上記火災検知部が火災要因を検知したときに出力する警報音の出力態様を、上記人体検知部による人の検知、上記照度感知部による周囲の明るさ検知に応じて変化させている。
【0009】
請求項4では、上記制御部が、上記人体検知部により人の存在を検知し、かつ上記照度感知部によって所定値よりも暗いと感知したときには、上記警報音を段階的に変化させる。
【0010】
請求項5では、床面に向けて光を照射する発光表示部を備え、上記制御部が、上記人体検知部により人の存在を検知し、かつ上記照度感知部によって所定値よりも暗いと感知したときには、上記発光表示部を発光させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
【0012】
請求項1によれば、火災検知部が火災要因を検知したときに出力する警報音の出力態様を、人体検知部による人の存在の検知の有無に対応させて変化させる構成にしているので、家人の状況に応じて、適切な態様で警報音を出力できる。
【0013】
請求項2によれば、人体検知部で人の存在を検知しないときには、人の存在を検知したときよりも音量を大きくしているので、家人が外部に出ているとき、外部の人間に対して火災発生した点を有効に通知できる。
【0014】
請求項3によれば、火災検知部が火災要因を検知したときに出力する警報音の出力態様を、人体検知部による人の検知、照度感知部による周囲の明るさ検知に応じて変化させるので、より家人の状況に即した警報が可能となる。
【0015】
請求項4によれば、人体検知部により人の存在を検知し、照度感知部によって所定値よりも暗いと感知したときには、警報音を段階的に変化させるので、就寝している家人を驚かせず、かつ確実に火災発生したことを通知できる。
【0016】
請求項5によれば、人体検知部により人の存在を検知し、かつ照度感知部によって所定値よりも暗いと感知したときには、発光表示部をにより床に向けて発光させるので、警報音出力と組み合わせて発光することにより、就寝している家人に対して、確実に火災発生したことを通知できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の住宅用火災警報器の外観構成図の一例を示す図である。図2は、このような住宅用火災警報器の基本構成の一例を示す図である。
【0019】
このような構成の住宅用火災警報器1は、住戸内の天井などに設置して使用され、商用電源や乾電池で駆動する他、図示しない火災受信機などの端末器と接続して電源供給されて駆動する。
【0020】
住宅用火災警報器1は、以下の各部を制御する制御部10、煙、熱などの火災要因を検知する火災検知部11、人感センサを有し、人の存在を検知する人体検知部12、照度センサを有し、警報器1の周囲の照度を感知する照度感知部13、スピーカを有し、制御部10による制御により警報音出力をする音響回路14、警報出力を停止させるための警報停止スイッチなどを有する操作回路15、LEDなどで構成され、床に向けて発光する発光表示部16、記憶部17を備えている。
【0021】
人体検知部12には、人体検知のための最大離隔距離が設定されており、最大離隔距離内に人体が存在すれば人体検知信号を制御部10に出力する。
【0022】
照度感知部13には、警報器1の周囲照度と比較照合するためのしきい値が設定されており、しきい値を越えている場合には照度が十分と判断し、そのことを制御部10に出力する。
【0023】
音響回路14には、後述する動作を行うため、各種パターンの警報音と、音声メッセージとが記憶されており、制御部10の制御により、これらの中より適宜選択し、出力をする。
【0024】
記憶部17には、制御部10が後述する動作を行うため、警報出力テーブル17Aが記憶されている。
【0025】
図3は、警報出力テーブル17Aの構成の一例を示す図である。
【0026】
このような構成において、警報出力パターンは4種類記憶されているが、本発明においてこのような態様には限定されない。
【0027】
警報出力テーブル17Aでは、警報出力パターンとして、パターンA〜パターンDまで格納されており、パターンAでは、家人が在宅かつ起床している状態を想定し、警報音出力と音声メッセージ出力とを通常音量で行う。
【0028】
パターンBでは、家人が就寝中の状態を想定し、警報音を段階的に音量を変化させながら大きくして出力するとともに、音声メッセージを通常音量で出力し、かつ、発光表示部16を発光させる。
【0029】
パターンCでは、昼間に家人が留守中の状態を想定し、外部の人に火災発生を通知するために、警報音と音声メッセージとを最大音量で出力させる。
【0030】
パターンDでは、夜間に家人が留守中の状態を想定し、外部の人の迷惑にならない範囲内で、火災発生を確実に通知するため、外部の人を驚かせる要因となりうる警報音は通常音量で出力するが、比較的驚かせないであろう音声メッセージは最大音量で出力させる。
【0031】
図4の100〜108は、このような構成の警報出力テーブル17Aを使用した警報出力動作の一例を示すフローチャートである。
【0032】
火災検知部12が火災要因を検知したときには、制御部10は、人体検知部12が人体検知をしているかを人体検知信号入力の有無によって判定し、人体が周囲に存在していれば、警報器1の周囲照度が十分か判定する。
【0033】
制御部10は、警報器1の周囲照度が十分であれば、警報出力テーブル17Aを参照し、パターンAを選択し、規定されたパターンで警報出力をする。
【0034】
また、制御部10は、警報器1の周囲に人はいるが、照度が十分でない場合には、パターンBを選択し、規定されたパターンで警報出力をする。
【0035】
一方、制御部10は、火災検知部12が火災要因を検知したときに、周囲に人体が存在していない場合には、照度が十分かの判定を行い、十分であればパターンCを選択して規定されたパターンで警報出力をするが、照度が十分でない場合には、パターンDを選択し、規定されたパターンで警報出力をする。パターンCとパターンDは、家人の留守中に外部の人に火災発生を通知することを想定しているので、警報器1の周囲照度にかかわらず、警報出力態様を同一としてもよい。
【0036】
なお、ここでは、住宅用火災警報器1として、スタンドアローンで用いる態様を示したが、これには限られず、他の警報器とループ接続あるいは渡り配線接続し、商用電源で駆動する1の警報器から給電線を通じて駆動電源を供給される態様であってもよい。
【0037】
また、火災警報だけではなく、防犯警報、電池切れ警報、故障警報を出力する際にも、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の外観構成の一例を示す図
【図2】本発明の基本構成の一例を示すブロック図
【図3】警報出力テーブルの構成の一例を示す図
【図4】本発明の基本動作の一例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0039】
1 住宅用火災警報器
10 制御部
11 火災検知部
12 人体検知部
13 照度感知部
16 発光表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙、熱などの火災要因を検知する火災検知部と、火災要因を検知したときに警報音を出力する制御部とを少なくとも備えた住宅用火災警報器において、
人体検知部を有し、上記制御部は、上記火災検知部が火災要因を検知したときに出力する警報音の出力態様を、上記人体検知部による人の存在の検知の有無に対応させて変化させる構成にしている住宅用火災警報器。
【請求項2】
請求項1において、
上記制御部は、上記人体検知部で人の存在を検知しないときには、人の存在を検知したときよりも音量を大きくしている住宅用火災警報器。
【請求項3】
請求項1において、
更に照度感知部を備えており、
上記制御部は、上記火災検知部が火災要因を検知したときに出力する警報音の出力態様を、上記人体検知部による人の検知、上記照度感知部による周囲の明るさ検知に応じて変化させている住宅用火災警報器。
【請求項4】
請求項3において、
上記制御部が、上記人体検知部により人の存在を検知し、かつ上記照度感知部によって所定値よりも暗いと感知したときには、上記警報音を段階的に変化させる住宅用火災警報器。
【請求項5】
請求項4において、
床面に向けて光を照射する発光表示部を備え、
上記制御部が、上記人体検知部により人の存在を検知し、かつ上記照度感知部によって所定値よりも暗いと感知したときには、上記発光表示部を発光させる住宅用火災警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−235780(P2006−235780A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46500(P2005−46500)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】