体動検出装置、および、体動検出装置の制御方法
【課題】保持する位置に限定されずユーザの姿勢を判定すること。
【解決手段】体動検出装置によって、検出された加速度に基づいて、ユーザが歩行または走行しているときの挙動を本体部がしているか否かが判定され(ステップS116、ステップS124)、ユーザが歩行または走行しているときの挙動をしていると判定されたときの本体部の向きが記憶され(ステップS128)、記憶されている向きに基づいて、ユーザの姿勢が判定される(ステップS131からステップS135)。
【解決手段】体動検出装置によって、検出された加速度に基づいて、ユーザが歩行または走行しているときの挙動を本体部がしているか否かが判定され(ステップS116、ステップS124)、ユーザが歩行または走行しているときの挙動をしていると判定されたときの本体部の向きが記憶され(ステップS128)、記憶されている向きに基づいて、ユーザの姿勢が判定される(ステップS131からステップS135)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、体動検出装置、および、体動検出装置の制御方法に関し、特に、本体部と、本体部の複数方向の加速度を検出する検出部と、制御部と、記憶部とを備え、本体部を所定部位に保持するユーザの体動を検出する体動検出装置、および、当該体動検出装置を制御する制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水平方向と垂直方向との加速度の比に基づいて、ユーザの運動を判別する行動判定装置があった(たとえば、特許文献1参照)。また、従来の歩数計のように上下方向の加速度の大きさがある一定値を超えた場合には歩数としてカウントする技術があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−17525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、歩行時の加速度から、ユーザの立位状態を判定するものはなかった。このため、ポケットに入れるタイプの歩数計では、3次元各軸方向の加速度の大きさから体動を検出できるが、ユーザの姿勢が分からないため、たとえば、歩行以外の場合の立位および座位を判定できないといった問題があった。
【0005】
このため、自転車に座っている姿勢などを判定することもできないため、歩行以外の運動を誤カウントしてしまう。また、同じ安静時であっても立位および座位で活動量が異なるが、それらを正確に計測することができない。
【0006】
この発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的の1つは、保持する位置に限定されずユーザの姿勢を判定することが可能な体動検出装置、および、体動検出装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、この発明のある局面によれば、体動検出装置は、本体部と、本体部の複数方向の加速度を検出する検出部と、制御部と、記憶部とを備え、本体部を所定部位に保持するユーザの体動を検出する装置である。
【0008】
制御部は、検出部によって検出された加速度に基づいて、ユーザが歩行または走行しているときの挙動を本体部がしているか否かを判定する運動判定部と、運動判定部によってユーザが歩行または走行しているときの挙動をしていると判定されたときの本体部の向きを記憶部に記憶させる記憶制御部と、記憶部に記憶されている向きに基づいて、ユーザの姿勢を判定する姿勢判定部とを備える。
【0009】
好ましくは、制御部は、さらに、検出部によって検出された加速度の時間的変化のうち低周波成分の割合が高周波成分よりも大きいか否かを判断する成分判断部を備える。運動判定部は、成分判断部によって低周波成分の割合が大きいと判断される場合、ユーザが上下動の比較的大きい第1の連続運動としての歩行または走行をしているときの挙動を本体部がしていると判定する一方、低周波成分の割合が小さいと判断される場合、ユーザが上下動の比較的小さい第2の連続運動をしているときの挙動を本体部がしていると判定する。
【0010】
好ましくは、制御部は、さらに、運動判定部によって第1の連続運動であると判定される場合の本体部の所定基準に対する傾きと判断対象時の本体部の所定基準に対する傾きとのなす角が所定角よりも大きいか否かを判断する傾き判断部を備える。運動判定部は、さらに、ユーザが移動しているときの挙動を本体部がしているか否かを判定する。姿勢判定部は、運動判定部によってユーザが移動しているときの挙動を本体部がしていないと判定される場合、傾き判断部によって所定角よりも小さいと判断されれば、ユーザの姿勢が立位であると判定する一方、傾き判断部によって所定角よりも大きいと判断されれば、ユーザの姿勢が立位と異なると判定する。
【0011】
好ましくは、体動検出装置は、所定の情報を出力する出力部をさらに備える。制御部は、さらに、出力部を制御して、運動判定部および姿勢判定部による判定結果に基づく情報を出力する出力制御部を備える。
【0012】
さらに好ましくは、成分判断部は、検出部によって検出された加速度の合成加速度から低周波成分を除かない第1の値を、低周波成分を除いた第2の値で割った値が所定の値と比較して大きいか否かを判断することで、低周波成分の割合が高周波成分よりも大きいか否かを判断する。
【0013】
この発明の他の局面によれば、体動検出装置の制御方法は、本体部と、本体部の複数方向の加速度を検出する検出部と、制御部と、記憶部とを備え、本体部を所定部位に保持するユーザの体動を検出する体動検出装置を制御する制御方法である。
【0014】
体動検出装置の制御方法は、制御部が、検出部によって検出された加速度に基づいて、ユーザが歩行または走行しているときの挙動を本体部がしているか否かを判定するステップと、ユーザが歩行または走行しているときの挙動をしていると判定されたときの本体部の向きを記憶部に記憶させるステップと、記憶部に記憶されている向きに基づいて、ユーザの姿勢を判定するステップとを含む。
【発明の効果】
【0015】
この発明に従えば、体動検出装置によって、検出された加速度に基づいて、ユーザが歩行または走行しているときの挙動を本体部がしているか否かが判定され、ユーザが歩行または走行しているときの挙動をしていると判定されたときの本体部の向きが記憶され、記憶されている向きに基づいて、ユーザの姿勢が判定される。このため、歩行または走行しているときの体動検出装置の向きに基づいて、ユーザの姿勢が判定される。その結果、保持する位置に限定されずユーザの姿勢を判定することが可能な体動検出装置、および、体動検出装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態における活動量計の外観図である。
【図2】この実施の形態における活動量計の第1の使用状態を示す図である。
【図3】この実施の形態における活動量計の第2の使用状態を示す図である。
【図4】この実施の形態における活動量計の第3の使用状態を示す図である。
【図5】この実施の形態における活動量計の構成の概略を示すブロック図である。
【図6】この実施の形態における活動量計の制御部によって実行される運動量算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】この実施の形態における活動量計の加速度センサの軸の水平面となる角とその軸方向に掛かる重力加速度の値との関係を説明するための図である。
【図8】2つの方向のなす角度とその角度の正弦との対応関係を示す図である。
【図9】この実施の形態における活動量計の加速度センサで検出される各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。
【図10】この実施の形態における活動量計の加速度センサで検出され、ハイパスフィルタで信号処理される前の歩行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。
【図11】この実施の形態における活動量計の加速度センサで検出され、ハイパスフィルタで信号処理された後の歩行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。
【図12】この実施の形態における活動量計の加速度センサで検出され、ハイパスフィルタで信号処理される前の自転車走行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。
【図13】この実施の形態における活動量計の加速度センサで検出され、ハイパスフィルタで信号処理された後の自転車走行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。
【図14】この実施の形態における歩行時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計の向きを示す図である。
【図15】この実施の形態における自転車走行時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計の向きを示す図である。
【図16】この実施の形態における立位静止時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計の向きを示す図である。
【図17】この実施の形態における座位静止時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計の向きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
本実施の形態においては、体動検出装置が、歩数測定だけでなく、運動や生活活動(たとえば、掃除機をかける、軽い荷物運び、炊事など)における活動量(運動量ともいう)も測定することが可能な活動量計であることとして実施の形態を説明する。
【0019】
図1は、この発明の実施の形態における活動量計100の外観図である。図1を参照して、活動量計100は、本体部191と、クリップ部192とから主に構成される。クリップ部192は、活動量計100をユーザの着衣などに固定するために用いられる。
【0020】
本体部191には、後述する操作部130の一部を構成する表示切換/決定スイッチ131、左操作/メモリスイッチ132、および、右操作スイッチ133、ならびに、後述する表示部140の一部を構成するディスプレイ141が設けられる。
【0021】
本実施の形態においては、ディスプレイ141は、液晶ディスプレイ(LCD:LiquidCrystal Display)で構成されることとするが、これに限定されず、EL(ElectroLuminescence)ディスプレイなど他の種類のディスプレイであってもよい。
【0022】
図2は、この実施の形態における活動量計100の第1の使用状態を示す図である。図3は、この実施の形態における活動量計100の第2の使用状態を示す図である。図4は、この実施の形態における活動量計100の第3の使用状態を示す図である。
【0023】
図2から図4を参照して、活動量計100は、たとえば、ユーザのズボンのポケットに入れた状態で非固定的に所持される。または、活動量計100は、たとえば、ユーザの腰部のベルトに、クリップ部192を用いて固定的に装着される。
【0024】
なお、これに限定されず、活動量計100は、ユーザの体の他の部分に固定的または非固定的に保持されて用いられるように設計されてもよい。
【0025】
図5は、この実施の形態における活動量計100の構成の概略を示すブロック図である。図5を参照して、活動量計100は、制御部110と、メモリ120と、操作部130と、表示部140と、加速度センサ170と、ハイパスフィルタ180と、電源190とを含む。また、活動量計100は、音を出力する報音部や外部のコンピュータと通信するためのインターフェイスを含むようにしてもよい。
【0026】
制御部110、メモリ120、操作部130、表示部140、加速度センサ170、ハイパスフィルタ180、および、電源190は、図1で説明した本体部191に内蔵される。
【0027】
操作部130は、図1で説明した表示切換/決定スイッチ131、左操作/メモリスイッチ132、および、右操作スイッチ133を含み、これらのスイッチが操作されたことを示す操作信号を制御部110に送信する。
【0028】
加速度センサ170は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術の半導体式のものが用いられるが、これに限定されず、機械式または光学式など他の方式のものであってもよい。加速度センサ170は、本実施の形態においては、3軸方向それぞれの加速度を示す検出信号を、制御部110およびハイパスフィルタ180に出力する。しかし、加速度センサ170は、3軸のものに限定されず、1軸または2軸のものであってもよい。
【0029】
ハイパスフィルタ180は、加速度センサ170からの検出信号のうち、遮断周波数(本実施の形態においては、2Hz)より低い周波数の帯域の信号を減衰させて、高い周波数の帯域の信号を制御部110に出力する。なお、遮断周波数は、他の値であってもよい。
【0030】
メモリ120は、ROM(Read Only Memory)(たとえば、フラッシュメモリ)などの不揮発性メモリおよびRAM(Random Access Memory)(たとえば、SDRAM(synchronous Dynamic Random Access Memory))などの揮発性メモリを含む。
【0031】
メモリ120は、活動量計100を制御するためのプログラムのデータ、活動量計100を制御するために用いられるデータ、活動量計100の各種機能を設定するための設定データ、および、歩数や活動量などの所定時間ごと(たとえば日ごと)の測定結果のデータなどを記憶する。また、メモリ120は、プログラムが実行されるときのワークメモリなどとして用いられる。
【0032】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)を含み、メモリ120に記憶された活動量計100を制御するためのプログラムに従って、操作部130からの操作信号に応じて、加速度センサ170およびハイパスフィルタ180からの検出信号に基づいて、メモリ120、および、表示部140を制御する。
【0033】
表示部140は、図1で説明したディスプレイ141を含み、制御部110からの制御信号に従った所定の情報を、ディスプレイ141に表示するよう制御する。
【0034】
電源190は、取替可能な電池を含み、電池からの電力を活動量計100の制御部110などの動作するのに電力が必要な各部に供給する。
【0035】
図6は、この実施の形態における活動量計100の制御部110によって実行される運動量算出処理の流れを示すフローチャートである。この運動量算出処理は、所定周期(たとえば、加速度センサの検出値のサンプリング周期ごと)に実行される。
【0036】
図6を参照して、まず、ステップS111で、制御部110は、加速度センサ170の各軸の検出信号で示される検出値を読込み、当該検出値から各軸方向の加速度Xa,Ya,Zaを算出して、その時点での値としてメモリ120に記憶させる。
【0037】
また、ステップS112で、制御部110は、過去の所定秒間(たとえば、60秒間)の加速度Xa,Ya,Zaの平均値Xavg,Yavg,Zavgを算出する。
【0038】
そして、ステップS113で、制御部110は、ステップS112で算出したXavg,Yavg,Zavgから、重力加速度の各軸方向の成分Xg,Yg,Zgを算出する。本実施の形態においては、過去の所定秒間(たとえば、60秒間)は、各軸の方向がほぼ一定であり、1サイクルが所定秒と比較してかなり短い動作(たとえば、1サイクルが所定秒の1/10(たとえば、6秒)以下の動作)が行なわれていた(たとえば、歩行、走行および自転車走行などの連続運動が行なわれていた)、または、ほぼ静止状態であったと仮定して、Xg=Xavg,Yg=Yavg,Zg=Zavgとする。
【0039】
なお、Xg,Yg,Zgの算出方法は、他の方法であってもよい。たとえば、Xa,Ya,Zaの時間変化の度合いに応じて上述の平均を取る範囲である所定秒を変化させるようにして、上述のように所定秒のXavg,Yavg,Zavgを、それぞれ、Xg,Yg,Zgとして算出するようにしてもよい。具体的には、Xa,Ya,Zaのそれぞれについて、時間変化の度合いが所定の少ない範囲である場合、所定秒を60秒とし、時間変化の度合いが所定の中程度の範囲である場合、所定秒を30秒とし、時間変化の度合いが所定の多い範囲である場合、所定秒を10秒とする。また、60秒、30秒、10秒といった秒単位でなく、60サイクル、30サイクル、10サイクルといったサイクル単位としてもよい。
【0040】
また、過去の所定秒間におけるXavg,Yavg,Zavgの変化から予測してXg,Yg,Zgを算出するようにしてもよい。具体的には、前回算出したから今回算出したXavg,Yavg,Zavgの変化の変化率を、それぞれ、前回算出したXg,Yg,Zgに掛けたものを、今回のXg,Yg,Zgとして算出するようにする。
【0041】
また、運動の1サイクルの時間が予測できる場合は、1サイクルのXa,Ya,Zaの平均値を、それぞれ、Xg,Yg,Zgとして算出するようにしてもよい。この場合、運動の1サイクルが長いまたは1サイクルを特定できない場合で、かつ、Xa,Ya,Zaの合成加速度が比較的小さい(重力加速度に近い)値である場合、過去の短い範囲(たとえば、数秒間)のXavg,Yavg,Zavgを、それぞれ、Xg,Yg,Zgとして算出するようにしてもよい。さらに、運動の1サイクルが長いまたは1サイクルを特定できない場合で、Xa,Ya,Zaの合成加速度が比較的大きい値である場合、過去の長い範囲(たとえば、数十秒間)のXavg,Yavg,Zavgを、それぞれ、Xg,Yg,Zgとして算出するようにしてもよい。
【0042】
次に、ステップS114で、制御部110は、ステップS112で算出したXavg,Yavg,ZavgおよびステップS113で算出したXg,Yg,Zgに基づき、次に示す数式(1)に従って、合成加速度Saを算出する。
【0043】
【数1】
【0044】
次いで、ステップS115で、制御部110は、ステップS113で算出したXg,Yg,Zgに基づき、加速度センサ170の各軸が水平面となす角θx,θy,θzを算出する。
【0045】
図7は、この実施の形態における活動量計100の加速度センサ170の軸の水平面となる角とその軸方向に掛かる重力加速度の値との関係を説明するための図である。図8は、2つの方向のなす角度とその角度の正弦との対応関係を示す図である。図7および図8を参照して、加速度センサ170の軸の水平面となす角が30°のときは、その軸方向に掛かる重力加速度は0.5Gとなる。また、加速度センサ170の軸の水平面となる角が90°のときは、その軸方向に掛ける重力加速度は1Gとなる。
【0046】
図6に戻って、図7および図8で説明したような関係により、次に示す数式(2)に従って、ステップS113で算出したXg,Yg,Zgに基づき、加速度センサの各軸が水平面となす角θx,θy,θzを算出することができる。
【0047】
【数2】
【0048】
そして、ステップS116で、制御部110は、ステップS114で算出した合成加速度Saが0.1未満(Sa<0.1)であるか否か、つまり、静止している状態、または、ほぼ静止している状態であるか否かを判断する。
【0049】
合成加速度Saが0.1未満でないと判断した場合(ステップS116でNOと判断した場合)、つまり、静止している状態、および、ほぼ静止している状態のいずれでもないと判断した場合、ステップS121で、制御部110は、加速度センサ170の各軸の検出信号で示される検出値がハイパスフィルタ180に掛けられた値を読込み、当該値から各軸方向の加速度の低周波成分Xb,Yb,Zbを算出する。
【0050】
次に、ステップS122で、制御部110は、過去の所定秒間(たとえば、60秒間)の加速度Xb,Yb,Zbの平均値Xbavg,Ybavg,Zbavgを算出する。
【0051】
次いで、ステップS123で、制御部110は、ステップS122で算出したXbavg,Ybavg,ZbavgおよびステップS113で算出したXg,Yg,Zgに基づき、次に示す数式(3)に従って、合成加速度Sbを算出する。
【0052】
【数3】
【0053】
そして、ステップS124で、制御部110は、ステップS114で算出したSaをステップS123で算出したSbで割った値が1.5より大きい(Sa/Sb>1.5)か否か、つまり、加速度の時間的変化の低周波成分の割合が高周波成分よりも比較的大きいか否かを判断する。
【0054】
Sa/Sb>1.5でないと判断した場合(ステップS124でNOと判断した場合)、つまり、加速度の時間的変化の低周波成分の割合が高周波成分よりも比較的大きくないと判断した場合、ステップS126で、制御部110は、運動状態を歩行または走行であると特定する。
【0055】
次に、ステップS127で、制御部110は、メモリ120に記憶された直近のXa,Ya,Zaに基づいて、運動の1サイクルの周期を算出し、当該周期から歩行または走行の速度vを推定する。
【0056】
次いで、ステップS128で、制御部110は、ステップS115で算出したθx,θy,θzを、立位時の加速度センサの各軸が水平面となす角θsx,θsy,θszとしてメモリ120に記憶させる。その後、制御部110は、実行する処理をステップS141の処理に進める。
【0057】
一方、Sa/Sb>1.5であると判断した場合(ステップS124でYESと判断した場合)、つまり、加速度の時間的変化の低周波成分の割合が高周波成分よりも比較的大きいと判断した場合、ステップS125で、制御部110は、運動状態を自転車走行であると特定する。その後、制御部110は、実行する処理をステップS141の処理に進める。
【0058】
また、合成加速度Saが0.1未満であると判断した場合(ステップS116でYESと判断した場合)、つまり、静止している状態、または、ほぼ静止している状態であると判断した場合、ステップS131で、制御部110は、ステップS115で算出したθxとステップS128でメモリ120に記憶したθsxとの差の絶対値が20度より大きい(|θx−θsx|>20)、つまり、歩行時および現在の加速度センサのX軸のなす角度が20度より大きいか否かを判断する。
【0059】
|θx−θsx|>20でないと判断する場合(ステップS131でNOと判断する場合)、つまり、歩行時および現在の加速度センサのX軸どおしのなす角度が20度以下の場合(加速度センサのX軸について、歩行時と現在とで加速度センサの向きがあまり変わらない場合)、ステップS132で、制御部110は、ステップS115で算出したθyとステップS128でメモリ120に記憶したθsyとの差の絶対値が20度より大きい(|θy−θsy|>20)、つまり、歩行時および現在の加速度センサのY軸のなす角度が20度より大きいか否かを判断する。
【0060】
|θy−θsy|>20でないと判断する場合(ステップS132でNOと判断する場合)、つまり、歩行時および現在の加速度センサのX,Y軸どおしのそれぞれのなす角度が20度以下の場合(加速度センサのX軸およびY軸について、歩行時と現在とで加速度センサの向きがあまり変わらない場合)、ステップS133で、制御部110は、ステップS115で算出したθzとステップS128でメモリ120に記憶したθszとの差の絶対値が20度より大きい(|θz−θsz|>20)、つまり、歩行時および現在の加速度センサのZ軸のなす角度が20度より大きいか否かを判断する。
【0061】
|θz−θsz|>20でないと判断する場合(ステップS133でNOと判断する場合)、つまり、歩行時および現在の加速度センサのX,Y,Z軸どおしのそれぞれのなす角度が20度以下の場合(加速度センサのX軸、Y軸およびZ軸について、歩行時と現在とで加速度センサの向きがあまり変わらない場合)、ステップS134で、制御部110は、ユーザの姿勢を立位であると特定する。その後、制御部110は、実行する処理をステップS141の処理に進める。
【0062】
一方、|θx−θsx|>20、|θy−θsy|>20、および、|θz−θsz|>20のいずれかを満たす場合(ステップS131からステップS133のいずれかでYESと判断する場合)、つまり、歩行時および現在の加速度センサのX,Y,Z軸どおしのそれぞれのなす角度のいずれかが20度より大きい場合(加速度センサのX軸、Y軸およびZ軸のいずれかについて、歩行時と現在とで加速度センサの向きが変わった場合)、ステップS135で、制御部110は、ユーザの姿勢を座位または臥位であると特定する。その後、制御部110は、実行する処理をステップS141の処理に進める。
【0063】
なお、本実施の形態では、歩行時および現在の加速度センサの各軸のそれぞれなす角度が20度以下の場合に、それぞれの軸について、歩行時と現在とで加速度センサの向きがあまり変わらないと判断するようにした。しかし、これに限定されず、判断の基準の角度は20度以外の角度であってもよく、歩行時または立位とあまり姿勢が変わらないと定性的に判断可能な範囲の角度を統計的に特定してその範囲の上限を、判断の基準の角度としてもよい。
【0064】
ステップS141では、制御部110は、ステップS125もしくはステップS126で特定した運動状態、または、ステップS134もしくはステップS135で特定した姿勢に応じて、運動強度を特定する。
【0065】
たとえば、厚生労働省によって作成された「健康づくりのための運動指針(エクササイズガイド2006)」によると、運動強度は、静かに座っている場合、1.0メッツ、静かに立っている場合、1.2メッツ、普通歩行(平地、67m/分)の場合、3.0メッツ、速歩(平地、95〜100m/分)の場合、3.8メッツ、ランニング(134m/分)の場合、8.0メッツ、ランニング(161m/分)の場合、10.0メッツである。
【0066】
次に、ステップS142で、制御部110は、ステップS125もしくはステップS126で特定した運動状態の継続時間、または、ステップS134もしくはステップS135で特定した姿勢の継続時間を特定する。これは、ステップS125、ステップS126、ステップS134またはステップS135で、それぞれの運動状態または姿勢が連続して特定された時間から特定することができる。
【0067】
次いで、ステップS143で、制御部110は、ステップS141で特定した運動強度(単位:メッツ)にステップS142で特定した継続時間(単位:時間)を掛けて、運動量(単位:エクササイズ)を算出する。なお、ここでは、立位、座位および臥位で静止またはほぼ静止している場合についても、運動量に加えるようにするが、これに限定されず、たとえば、3メッツ以下の運動強度の場合は、運動量に加算しないようにしてもよい。
【0068】
また、運動量は、当該運動状態または当該姿勢が開始されてからの運動量を算出してもよいし、1時間単位、1日単位、1週間単位および1ヶ月単位のような所定期間単位の運動量を合わせて算出するようにしてもよい。なお、1週間に23エクササイズ以上の3メッツ以上の身体活動をすることが推奨されている。
【0069】
ステップS144では、制御部110は、ステップS125もしくはステップS126で特定した運動状態、または、ステップS134もしくはステップS135で特定した姿勢、ならびに、ステップS142で特定した継続時間、および、ステップS143で算出した運動量を、表示部140を制御してディスプレイ141に表示するよう制御する。その後、制御部110は、実行する処理をこの処理の呼出元の処理に戻す。
【0070】
なお、歩数、消費カロリー、および、ステップS115で算出した角θx,θy,θzで示される活動量計100の向きなど、他の情報を表示するようにしてもよい。また、ユーザに報知方法は、必要な情報をユーザに報知することができる方法であればどのような方法であってもよく、たとえば、文字で表示してもよいし、グラフで表示してもよいし、音で伝達するようにしてもよい。
【0071】
図9は、この実施の形態における活動量計100の加速度センサ170で検出される各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。図9を参照して、立位で静止しているとき、座位で静止しているとき、歩行しているとき、および、自転車で走行しているときで、それぞれ、加速度の変化の特徴が異なることが分かる。
【0072】
図10は、この実施の形態における活動量計100の加速度センサ170で検出され、ハイパスフィルタ180で信号処理される前の歩行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。図10を参照して、このような変化をするときの図6のステップS114で算出される合成加速度Saは、0.60である。また、歩行の1サイクルは、約1秒である。
【0073】
図11は、この実施の形態における活動量計100の加速度センサ170で検出され、ハイパスフィルタ180で信号処理された後の歩行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。図11を参照して、この加速度の変化は、図10で示した加速度をハイパスフィルタ180で処理したものである。このような変化をするときの図6のステップS123で算出される合成加速度Sbは、0.54である。
【0074】
これにより、図6のステップS124で算出されるSa/Sbの値は、約1.12となり、Sa/Sb>1.5の条件を満たさない。このため、ステップS126で、運動状態が歩行または走行と特定される。
【0075】
図12は、この実施の形態における活動量計100の加速度センサ170で検出され、ハイパスフィルタ180で信号処理される前の自転車走行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。図12を参照して、このような変化をするときの図6のステップS114で算出される合成加速度Saは、0.45である。また、自転車走行の1サイクルは、約1秒である。
【0076】
図13は、この実施の形態における活動量計100の加速度センサ170で検出され、ハイパスフィルタ180で信号処理された後の自転車走行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。図13を参照して、この加速度の変化は、図12で示した加速度をハイパスフィルタ180で処理したものである。このような変化をするときの図6のステップS123で算出される合成加速度Sbは、0.16である。
【0077】
これにより、図6のステップS124で算出されるSa/Sbの値は、約2.74となり、Sa/Sb>1.5の条件を満たす。このため、ステップS125で、運動状態が自転車走行と特定される。
【0078】
図14は、この実施の形態における歩行時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計100の向きを示す図である。図14を参照して、このような変化をするときの図6のステップS114で算出される合成加速度Saは、1.80である。このため、図6のステップS116で、Sa<0.1の条件を満たさない。このため、静止またはほぼ静止しているとは判断されない。
【0079】
なお、このときは、歩行時であるので、図6のステップS115で算出される加速度センサの各軸が水平面となす角θx=90.0°,θy=0.0°,θz=0.0°が、ステップS127で立位時の加速度センサの各軸が水平面となす角θsx,θsy,θszとされる。
【0080】
図15は、この実施の形態における自転車走行時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計100の向きを示す図である。図15を参照して、このような変化をするときの図6のステップS114で算出される合成加速度Saは、1.19である。このため、図6のステップS116で、Sa<0.1の条件を満たさない。このため、静止またはほぼ静止しているとは判断されない。
【0081】
なお、このときは、図6のステップS124で、Sbの値は示していないが、Sa/Sb>1.5を満たすことで、自転車走行と判定される場合を示している。しかし、θx=45.0°,θy=0.0°,θz=45.0°,θsx=90.0°,θsy=0.0°,θsz=0.0°であるので、ステップS131からステップS133の判定で、|θx−θsx|=45>20,|θy−θsy|=0≦20,|θz−θsz|=45>20となるので、立位とは判定されず、歩行または走行ではなく、自転車走行であると判定するようにしてもよい。
【0082】
図16は、この実施の形態における立位静止時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計100の向きを示す図である。図16を参照して、このような変化をするときの図6のステップS114で算出される合成加速度Saは、0.03である。このため、図6のステップS116で、Sa<0.1の条件を満たす。このため、静止またはほぼ静止していると判断される。
【0083】
また、θx=90.0°,θy=0.0°,θz=0.0°,θsx=90.0°,θsy=0.0°,θsz=0.0°であるので、ステップS131からステップS133の判定で、|θx−θsx|=0≦20,|θy−θsy|=0≦20,|θz−θsz|=0≦20となるので、ステップS134で、立位と特定される。
【0084】
図17は、この実施の形態における座位静止時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計100の向きを示す図である。図17を参照して、このような変化をするときの図6のステップS114で算出される合成加速度Saは、0.03である。このため、図6のステップS116で、Sa<0.1の条件を満たす。このため、静止またはほぼ静止していると判断される。
【0085】
また、θx=0.0°,θy=0.0°,θz=90.0°,θsx=90.0°,θsy=0.0°,θsz=0.0°であるので、ステップS131からステップS133の判定で、|θx−θsx|=90>20,|θy−θsy|=0≦20,|θz−θsz|=90>20となるので、ステップS135で、座位または臥位と特定される。
【0086】
(1) 以上説明したように、活動量計100は、本体部191と、本体部191の複数方向の加速度を検出する加速度センサ170と、制御部110と、メモリ120とを備え、本体部191を所定部位(たとえば、腰)に(たとえば、腰のベルトに固定するなどして固定的に、または、ポケットに入れるなどして非固定的に)保持するユーザの体動を検出する装置である。
【0087】
このような活動量計100の制御部110によって、図6のステップS116およびステップS124で、加速度センサ170で検出された加速度に基づいて、ユーザが歩行または走行しているときの挙動を本体部191がしているか否かが判定され、ステップS128で、ユーザが歩行または走行しているときの挙動をしていると判定されたときの本体部191の向きがメモリ120に記憶され、ステップS131からステップS135で、メモリ120に記憶されている向きに基づいて、ユーザの姿勢が判定される。
【0088】
このため、歩行または走行しているときの活動量計100の向きに基づいて、ユーザの姿勢が判定される。その結果、保持する位置に限定されずユーザの姿勢を判定することができる。
【0089】
(2) 制御部110によって、図6のステップS124で、加速度センサ170で検出された加速度の時間的変化のうち低周波成分(たとえば、2Hz未満の周波数成分)の割合が高周波成分(たとえば、2Hz以上の周波数成分)よりも大きい(Sa/Sb>1.5)か否かが判断され、低周波成分の割合が大きいと判断される場合、ステップS126で、ユーザが上下動の比較的大きい第1の連続運動としての歩行または走行をしているときの挙動を本体部191がしていると判定される一方、低周波成分の割合が小さいと判断される場合、ステップS125で、ユーザが上下動の比較的小さい第2の連続運動(たとえば、自転車走行)をしているときの挙動を本体部191がしていると判定される。
【0090】
上下動の大きい連続運動は、加速度の時間的変化の低周波成分の割合が比較的大きく、上下動の小さい連続運動は、加速度の時間的変化の低周波成分の割合が比較的小さい。このため、加速度の時間的変化の低周波成分の割合が高周波成分よりも比較的大きいか否かを判断することによって、上下動の大きい第1の連続運動と小さい第2の連続運動とを判別することができる。
【0091】
(3) 制御部110によって、図6のステップS131からステップS133で、第1の連続運動であると判定される場合の本体部の所定基準に対する傾き(たとえば、θsx,θsy,θsz)と判断対象時の本体部の所定基準に対する傾き(たとえば、θx,θy,θz)とのなす角が所定角よりも大きい(|θx−θsx|>20,|θy−θsy|>20,|θz−θsz|>20)か否かが判断され、ステップS116で、ユーザが移動しているときの挙動を本体部191がしていない(Sa<0.1)か否かが判定され、ユーザが移動しているときの挙動を本体部191がしていないと判定される場合、所定角よりも小さいと判断されれば、ステップS134で、ユーザの姿勢が立位であると判定される一方、所定角よりも大きいと判断されれば、ステップS135で、ユーザの姿勢が立位と異なると判定される。
【0092】
このため、歩行または走行しているときの活動量計100の向きに基づいて、ユーザの姿勢が定量的に判定される。その結果、保持する位置に限定されずユーザの姿勢を的確に判定することができる。
【0093】
(4) 活動量計100は、所定の情報を出力するディスプレイ141をさらに備える。制御部110によって、表示部140が制御されて、運動状態および姿勢の判定結果に基づく情報がディスプレイ141に出力される。このため、運動状態および姿勢の判定結果をユーザに伝達することができる。
【0094】
(5) 制御部110によって、加速度センサ170によって検出された加速度の合成加速度から低周波成分を除かない第1の値(たとえば、Sa)を、低周波成分を除いた第2の値(たとえば、Sb)で割った値(たとえば、Sa/Sb)が所定の値(たとえば、1.5)と比較して大きい(Sa/Sb>1.5)か否かが判断されることで、低周波成分の割合が高周波成分よりも大きいか否かが判断される。
【0095】
このため、ユーザの上下動の大きい第1の連続運動と小さい第2の連続運動が定量的に判断される。その結果、ユーザの上下動の大きい第1の連続運動と小さい第2の連続運動とを的確に判別することができる。
【0096】
次に、以上説明した実施の形態の変形例を説明する。
(1) 前述した実施の形態においては、図6のステップS124で、Sa/Sb>1.5か否かによって、自転車走行または歩行もしくは走行を判別するようにした。しかし、これに限定されず、ステップS124の判定に替えてステップS131からステップS133の判定で、立位と特定されない場合は、自転車走行、立位と特定された場合は、歩行または走行と判定するようにしてもよい。
【0097】
(2) 前述した実施の形態においては、活動量計100の装置の発明として説明した。しかし、これに限定されず、活動量計100を制御するための制御方法の発明、および、活動量計100で実行される制御プログラムの発明として捉えることができる。
【0098】
(3) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0099】
100 活動量計、110 制御部、120 メモリ、130 操作部、131 決定スイッチ、132 左操作/メモリスイッチ、133 右操作スイッチ、140 表示部、141 ディスプレイ、170 加速度センサ、180 ハイパスフィルタ、190 電源、191 本体部、192 クリップ部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、体動検出装置、および、体動検出装置の制御方法に関し、特に、本体部と、本体部の複数方向の加速度を検出する検出部と、制御部と、記憶部とを備え、本体部を所定部位に保持するユーザの体動を検出する体動検出装置、および、当該体動検出装置を制御する制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水平方向と垂直方向との加速度の比に基づいて、ユーザの運動を判別する行動判定装置があった(たとえば、特許文献1参照)。また、従来の歩数計のように上下方向の加速度の大きさがある一定値を超えた場合には歩数としてカウントする技術があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−17525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、歩行時の加速度から、ユーザの立位状態を判定するものはなかった。このため、ポケットに入れるタイプの歩数計では、3次元各軸方向の加速度の大きさから体動を検出できるが、ユーザの姿勢が分からないため、たとえば、歩行以外の場合の立位および座位を判定できないといった問題があった。
【0005】
このため、自転車に座っている姿勢などを判定することもできないため、歩行以外の運動を誤カウントしてしまう。また、同じ安静時であっても立位および座位で活動量が異なるが、それらを正確に計測することができない。
【0006】
この発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的の1つは、保持する位置に限定されずユーザの姿勢を判定することが可能な体動検出装置、および、体動検出装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、この発明のある局面によれば、体動検出装置は、本体部と、本体部の複数方向の加速度を検出する検出部と、制御部と、記憶部とを備え、本体部を所定部位に保持するユーザの体動を検出する装置である。
【0008】
制御部は、検出部によって検出された加速度に基づいて、ユーザが歩行または走行しているときの挙動を本体部がしているか否かを判定する運動判定部と、運動判定部によってユーザが歩行または走行しているときの挙動をしていると判定されたときの本体部の向きを記憶部に記憶させる記憶制御部と、記憶部に記憶されている向きに基づいて、ユーザの姿勢を判定する姿勢判定部とを備える。
【0009】
好ましくは、制御部は、さらに、検出部によって検出された加速度の時間的変化のうち低周波成分の割合が高周波成分よりも大きいか否かを判断する成分判断部を備える。運動判定部は、成分判断部によって低周波成分の割合が大きいと判断される場合、ユーザが上下動の比較的大きい第1の連続運動としての歩行または走行をしているときの挙動を本体部がしていると判定する一方、低周波成分の割合が小さいと判断される場合、ユーザが上下動の比較的小さい第2の連続運動をしているときの挙動を本体部がしていると判定する。
【0010】
好ましくは、制御部は、さらに、運動判定部によって第1の連続運動であると判定される場合の本体部の所定基準に対する傾きと判断対象時の本体部の所定基準に対する傾きとのなす角が所定角よりも大きいか否かを判断する傾き判断部を備える。運動判定部は、さらに、ユーザが移動しているときの挙動を本体部がしているか否かを判定する。姿勢判定部は、運動判定部によってユーザが移動しているときの挙動を本体部がしていないと判定される場合、傾き判断部によって所定角よりも小さいと判断されれば、ユーザの姿勢が立位であると判定する一方、傾き判断部によって所定角よりも大きいと判断されれば、ユーザの姿勢が立位と異なると判定する。
【0011】
好ましくは、体動検出装置は、所定の情報を出力する出力部をさらに備える。制御部は、さらに、出力部を制御して、運動判定部および姿勢判定部による判定結果に基づく情報を出力する出力制御部を備える。
【0012】
さらに好ましくは、成分判断部は、検出部によって検出された加速度の合成加速度から低周波成分を除かない第1の値を、低周波成分を除いた第2の値で割った値が所定の値と比較して大きいか否かを判断することで、低周波成分の割合が高周波成分よりも大きいか否かを判断する。
【0013】
この発明の他の局面によれば、体動検出装置の制御方法は、本体部と、本体部の複数方向の加速度を検出する検出部と、制御部と、記憶部とを備え、本体部を所定部位に保持するユーザの体動を検出する体動検出装置を制御する制御方法である。
【0014】
体動検出装置の制御方法は、制御部が、検出部によって検出された加速度に基づいて、ユーザが歩行または走行しているときの挙動を本体部がしているか否かを判定するステップと、ユーザが歩行または走行しているときの挙動をしていると判定されたときの本体部の向きを記憶部に記憶させるステップと、記憶部に記憶されている向きに基づいて、ユーザの姿勢を判定するステップとを含む。
【発明の効果】
【0015】
この発明に従えば、体動検出装置によって、検出された加速度に基づいて、ユーザが歩行または走行しているときの挙動を本体部がしているか否かが判定され、ユーザが歩行または走行しているときの挙動をしていると判定されたときの本体部の向きが記憶され、記憶されている向きに基づいて、ユーザの姿勢が判定される。このため、歩行または走行しているときの体動検出装置の向きに基づいて、ユーザの姿勢が判定される。その結果、保持する位置に限定されずユーザの姿勢を判定することが可能な体動検出装置、および、体動検出装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態における活動量計の外観図である。
【図2】この実施の形態における活動量計の第1の使用状態を示す図である。
【図3】この実施の形態における活動量計の第2の使用状態を示す図である。
【図4】この実施の形態における活動量計の第3の使用状態を示す図である。
【図5】この実施の形態における活動量計の構成の概略を示すブロック図である。
【図6】この実施の形態における活動量計の制御部によって実行される運動量算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】この実施の形態における活動量計の加速度センサの軸の水平面となる角とその軸方向に掛かる重力加速度の値との関係を説明するための図である。
【図8】2つの方向のなす角度とその角度の正弦との対応関係を示す図である。
【図9】この実施の形態における活動量計の加速度センサで検出される各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。
【図10】この実施の形態における活動量計の加速度センサで検出され、ハイパスフィルタで信号処理される前の歩行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。
【図11】この実施の形態における活動量計の加速度センサで検出され、ハイパスフィルタで信号処理された後の歩行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。
【図12】この実施の形態における活動量計の加速度センサで検出され、ハイパスフィルタで信号処理される前の自転車走行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。
【図13】この実施の形態における活動量計の加速度センサで検出され、ハイパスフィルタで信号処理された後の自転車走行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。
【図14】この実施の形態における歩行時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計の向きを示す図である。
【図15】この実施の形態における自転車走行時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計の向きを示す図である。
【図16】この実施の形態における立位静止時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計の向きを示す図である。
【図17】この実施の形態における座位静止時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計の向きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
本実施の形態においては、体動検出装置が、歩数測定だけでなく、運動や生活活動(たとえば、掃除機をかける、軽い荷物運び、炊事など)における活動量(運動量ともいう)も測定することが可能な活動量計であることとして実施の形態を説明する。
【0019】
図1は、この発明の実施の形態における活動量計100の外観図である。図1を参照して、活動量計100は、本体部191と、クリップ部192とから主に構成される。クリップ部192は、活動量計100をユーザの着衣などに固定するために用いられる。
【0020】
本体部191には、後述する操作部130の一部を構成する表示切換/決定スイッチ131、左操作/メモリスイッチ132、および、右操作スイッチ133、ならびに、後述する表示部140の一部を構成するディスプレイ141が設けられる。
【0021】
本実施の形態においては、ディスプレイ141は、液晶ディスプレイ(LCD:LiquidCrystal Display)で構成されることとするが、これに限定されず、EL(ElectroLuminescence)ディスプレイなど他の種類のディスプレイであってもよい。
【0022】
図2は、この実施の形態における活動量計100の第1の使用状態を示す図である。図3は、この実施の形態における活動量計100の第2の使用状態を示す図である。図4は、この実施の形態における活動量計100の第3の使用状態を示す図である。
【0023】
図2から図4を参照して、活動量計100は、たとえば、ユーザのズボンのポケットに入れた状態で非固定的に所持される。または、活動量計100は、たとえば、ユーザの腰部のベルトに、クリップ部192を用いて固定的に装着される。
【0024】
なお、これに限定されず、活動量計100は、ユーザの体の他の部分に固定的または非固定的に保持されて用いられるように設計されてもよい。
【0025】
図5は、この実施の形態における活動量計100の構成の概略を示すブロック図である。図5を参照して、活動量計100は、制御部110と、メモリ120と、操作部130と、表示部140と、加速度センサ170と、ハイパスフィルタ180と、電源190とを含む。また、活動量計100は、音を出力する報音部や外部のコンピュータと通信するためのインターフェイスを含むようにしてもよい。
【0026】
制御部110、メモリ120、操作部130、表示部140、加速度センサ170、ハイパスフィルタ180、および、電源190は、図1で説明した本体部191に内蔵される。
【0027】
操作部130は、図1で説明した表示切換/決定スイッチ131、左操作/メモリスイッチ132、および、右操作スイッチ133を含み、これらのスイッチが操作されたことを示す操作信号を制御部110に送信する。
【0028】
加速度センサ170は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術の半導体式のものが用いられるが、これに限定されず、機械式または光学式など他の方式のものであってもよい。加速度センサ170は、本実施の形態においては、3軸方向それぞれの加速度を示す検出信号を、制御部110およびハイパスフィルタ180に出力する。しかし、加速度センサ170は、3軸のものに限定されず、1軸または2軸のものであってもよい。
【0029】
ハイパスフィルタ180は、加速度センサ170からの検出信号のうち、遮断周波数(本実施の形態においては、2Hz)より低い周波数の帯域の信号を減衰させて、高い周波数の帯域の信号を制御部110に出力する。なお、遮断周波数は、他の値であってもよい。
【0030】
メモリ120は、ROM(Read Only Memory)(たとえば、フラッシュメモリ)などの不揮発性メモリおよびRAM(Random Access Memory)(たとえば、SDRAM(synchronous Dynamic Random Access Memory))などの揮発性メモリを含む。
【0031】
メモリ120は、活動量計100を制御するためのプログラムのデータ、活動量計100を制御するために用いられるデータ、活動量計100の各種機能を設定するための設定データ、および、歩数や活動量などの所定時間ごと(たとえば日ごと)の測定結果のデータなどを記憶する。また、メモリ120は、プログラムが実行されるときのワークメモリなどとして用いられる。
【0032】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)を含み、メモリ120に記憶された活動量計100を制御するためのプログラムに従って、操作部130からの操作信号に応じて、加速度センサ170およびハイパスフィルタ180からの検出信号に基づいて、メモリ120、および、表示部140を制御する。
【0033】
表示部140は、図1で説明したディスプレイ141を含み、制御部110からの制御信号に従った所定の情報を、ディスプレイ141に表示するよう制御する。
【0034】
電源190は、取替可能な電池を含み、電池からの電力を活動量計100の制御部110などの動作するのに電力が必要な各部に供給する。
【0035】
図6は、この実施の形態における活動量計100の制御部110によって実行される運動量算出処理の流れを示すフローチャートである。この運動量算出処理は、所定周期(たとえば、加速度センサの検出値のサンプリング周期ごと)に実行される。
【0036】
図6を参照して、まず、ステップS111で、制御部110は、加速度センサ170の各軸の検出信号で示される検出値を読込み、当該検出値から各軸方向の加速度Xa,Ya,Zaを算出して、その時点での値としてメモリ120に記憶させる。
【0037】
また、ステップS112で、制御部110は、過去の所定秒間(たとえば、60秒間)の加速度Xa,Ya,Zaの平均値Xavg,Yavg,Zavgを算出する。
【0038】
そして、ステップS113で、制御部110は、ステップS112で算出したXavg,Yavg,Zavgから、重力加速度の各軸方向の成分Xg,Yg,Zgを算出する。本実施の形態においては、過去の所定秒間(たとえば、60秒間)は、各軸の方向がほぼ一定であり、1サイクルが所定秒と比較してかなり短い動作(たとえば、1サイクルが所定秒の1/10(たとえば、6秒)以下の動作)が行なわれていた(たとえば、歩行、走行および自転車走行などの連続運動が行なわれていた)、または、ほぼ静止状態であったと仮定して、Xg=Xavg,Yg=Yavg,Zg=Zavgとする。
【0039】
なお、Xg,Yg,Zgの算出方法は、他の方法であってもよい。たとえば、Xa,Ya,Zaの時間変化の度合いに応じて上述の平均を取る範囲である所定秒を変化させるようにして、上述のように所定秒のXavg,Yavg,Zavgを、それぞれ、Xg,Yg,Zgとして算出するようにしてもよい。具体的には、Xa,Ya,Zaのそれぞれについて、時間変化の度合いが所定の少ない範囲である場合、所定秒を60秒とし、時間変化の度合いが所定の中程度の範囲である場合、所定秒を30秒とし、時間変化の度合いが所定の多い範囲である場合、所定秒を10秒とする。また、60秒、30秒、10秒といった秒単位でなく、60サイクル、30サイクル、10サイクルといったサイクル単位としてもよい。
【0040】
また、過去の所定秒間におけるXavg,Yavg,Zavgの変化から予測してXg,Yg,Zgを算出するようにしてもよい。具体的には、前回算出したから今回算出したXavg,Yavg,Zavgの変化の変化率を、それぞれ、前回算出したXg,Yg,Zgに掛けたものを、今回のXg,Yg,Zgとして算出するようにする。
【0041】
また、運動の1サイクルの時間が予測できる場合は、1サイクルのXa,Ya,Zaの平均値を、それぞれ、Xg,Yg,Zgとして算出するようにしてもよい。この場合、運動の1サイクルが長いまたは1サイクルを特定できない場合で、かつ、Xa,Ya,Zaの合成加速度が比較的小さい(重力加速度に近い)値である場合、過去の短い範囲(たとえば、数秒間)のXavg,Yavg,Zavgを、それぞれ、Xg,Yg,Zgとして算出するようにしてもよい。さらに、運動の1サイクルが長いまたは1サイクルを特定できない場合で、Xa,Ya,Zaの合成加速度が比較的大きい値である場合、過去の長い範囲(たとえば、数十秒間)のXavg,Yavg,Zavgを、それぞれ、Xg,Yg,Zgとして算出するようにしてもよい。
【0042】
次に、ステップS114で、制御部110は、ステップS112で算出したXavg,Yavg,ZavgおよびステップS113で算出したXg,Yg,Zgに基づき、次に示す数式(1)に従って、合成加速度Saを算出する。
【0043】
【数1】
【0044】
次いで、ステップS115で、制御部110は、ステップS113で算出したXg,Yg,Zgに基づき、加速度センサ170の各軸が水平面となす角θx,θy,θzを算出する。
【0045】
図7は、この実施の形態における活動量計100の加速度センサ170の軸の水平面となる角とその軸方向に掛かる重力加速度の値との関係を説明するための図である。図8は、2つの方向のなす角度とその角度の正弦との対応関係を示す図である。図7および図8を参照して、加速度センサ170の軸の水平面となす角が30°のときは、その軸方向に掛かる重力加速度は0.5Gとなる。また、加速度センサ170の軸の水平面となる角が90°のときは、その軸方向に掛ける重力加速度は1Gとなる。
【0046】
図6に戻って、図7および図8で説明したような関係により、次に示す数式(2)に従って、ステップS113で算出したXg,Yg,Zgに基づき、加速度センサの各軸が水平面となす角θx,θy,θzを算出することができる。
【0047】
【数2】
【0048】
そして、ステップS116で、制御部110は、ステップS114で算出した合成加速度Saが0.1未満(Sa<0.1)であるか否か、つまり、静止している状態、または、ほぼ静止している状態であるか否かを判断する。
【0049】
合成加速度Saが0.1未満でないと判断した場合(ステップS116でNOと判断した場合)、つまり、静止している状態、および、ほぼ静止している状態のいずれでもないと判断した場合、ステップS121で、制御部110は、加速度センサ170の各軸の検出信号で示される検出値がハイパスフィルタ180に掛けられた値を読込み、当該値から各軸方向の加速度の低周波成分Xb,Yb,Zbを算出する。
【0050】
次に、ステップS122で、制御部110は、過去の所定秒間(たとえば、60秒間)の加速度Xb,Yb,Zbの平均値Xbavg,Ybavg,Zbavgを算出する。
【0051】
次いで、ステップS123で、制御部110は、ステップS122で算出したXbavg,Ybavg,ZbavgおよびステップS113で算出したXg,Yg,Zgに基づき、次に示す数式(3)に従って、合成加速度Sbを算出する。
【0052】
【数3】
【0053】
そして、ステップS124で、制御部110は、ステップS114で算出したSaをステップS123で算出したSbで割った値が1.5より大きい(Sa/Sb>1.5)か否か、つまり、加速度の時間的変化の低周波成分の割合が高周波成分よりも比較的大きいか否かを判断する。
【0054】
Sa/Sb>1.5でないと判断した場合(ステップS124でNOと判断した場合)、つまり、加速度の時間的変化の低周波成分の割合が高周波成分よりも比較的大きくないと判断した場合、ステップS126で、制御部110は、運動状態を歩行または走行であると特定する。
【0055】
次に、ステップS127で、制御部110は、メモリ120に記憶された直近のXa,Ya,Zaに基づいて、運動の1サイクルの周期を算出し、当該周期から歩行または走行の速度vを推定する。
【0056】
次いで、ステップS128で、制御部110は、ステップS115で算出したθx,θy,θzを、立位時の加速度センサの各軸が水平面となす角θsx,θsy,θszとしてメモリ120に記憶させる。その後、制御部110は、実行する処理をステップS141の処理に進める。
【0057】
一方、Sa/Sb>1.5であると判断した場合(ステップS124でYESと判断した場合)、つまり、加速度の時間的変化の低周波成分の割合が高周波成分よりも比較的大きいと判断した場合、ステップS125で、制御部110は、運動状態を自転車走行であると特定する。その後、制御部110は、実行する処理をステップS141の処理に進める。
【0058】
また、合成加速度Saが0.1未満であると判断した場合(ステップS116でYESと判断した場合)、つまり、静止している状態、または、ほぼ静止している状態であると判断した場合、ステップS131で、制御部110は、ステップS115で算出したθxとステップS128でメモリ120に記憶したθsxとの差の絶対値が20度より大きい(|θx−θsx|>20)、つまり、歩行時および現在の加速度センサのX軸のなす角度が20度より大きいか否かを判断する。
【0059】
|θx−θsx|>20でないと判断する場合(ステップS131でNOと判断する場合)、つまり、歩行時および現在の加速度センサのX軸どおしのなす角度が20度以下の場合(加速度センサのX軸について、歩行時と現在とで加速度センサの向きがあまり変わらない場合)、ステップS132で、制御部110は、ステップS115で算出したθyとステップS128でメモリ120に記憶したθsyとの差の絶対値が20度より大きい(|θy−θsy|>20)、つまり、歩行時および現在の加速度センサのY軸のなす角度が20度より大きいか否かを判断する。
【0060】
|θy−θsy|>20でないと判断する場合(ステップS132でNOと判断する場合)、つまり、歩行時および現在の加速度センサのX,Y軸どおしのそれぞれのなす角度が20度以下の場合(加速度センサのX軸およびY軸について、歩行時と現在とで加速度センサの向きがあまり変わらない場合)、ステップS133で、制御部110は、ステップS115で算出したθzとステップS128でメモリ120に記憶したθszとの差の絶対値が20度より大きい(|θz−θsz|>20)、つまり、歩行時および現在の加速度センサのZ軸のなす角度が20度より大きいか否かを判断する。
【0061】
|θz−θsz|>20でないと判断する場合(ステップS133でNOと判断する場合)、つまり、歩行時および現在の加速度センサのX,Y,Z軸どおしのそれぞれのなす角度が20度以下の場合(加速度センサのX軸、Y軸およびZ軸について、歩行時と現在とで加速度センサの向きがあまり変わらない場合)、ステップS134で、制御部110は、ユーザの姿勢を立位であると特定する。その後、制御部110は、実行する処理をステップS141の処理に進める。
【0062】
一方、|θx−θsx|>20、|θy−θsy|>20、および、|θz−θsz|>20のいずれかを満たす場合(ステップS131からステップS133のいずれかでYESと判断する場合)、つまり、歩行時および現在の加速度センサのX,Y,Z軸どおしのそれぞれのなす角度のいずれかが20度より大きい場合(加速度センサのX軸、Y軸およびZ軸のいずれかについて、歩行時と現在とで加速度センサの向きが変わった場合)、ステップS135で、制御部110は、ユーザの姿勢を座位または臥位であると特定する。その後、制御部110は、実行する処理をステップS141の処理に進める。
【0063】
なお、本実施の形態では、歩行時および現在の加速度センサの各軸のそれぞれなす角度が20度以下の場合に、それぞれの軸について、歩行時と現在とで加速度センサの向きがあまり変わらないと判断するようにした。しかし、これに限定されず、判断の基準の角度は20度以外の角度であってもよく、歩行時または立位とあまり姿勢が変わらないと定性的に判断可能な範囲の角度を統計的に特定してその範囲の上限を、判断の基準の角度としてもよい。
【0064】
ステップS141では、制御部110は、ステップS125もしくはステップS126で特定した運動状態、または、ステップS134もしくはステップS135で特定した姿勢に応じて、運動強度を特定する。
【0065】
たとえば、厚生労働省によって作成された「健康づくりのための運動指針(エクササイズガイド2006)」によると、運動強度は、静かに座っている場合、1.0メッツ、静かに立っている場合、1.2メッツ、普通歩行(平地、67m/分)の場合、3.0メッツ、速歩(平地、95〜100m/分)の場合、3.8メッツ、ランニング(134m/分)の場合、8.0メッツ、ランニング(161m/分)の場合、10.0メッツである。
【0066】
次に、ステップS142で、制御部110は、ステップS125もしくはステップS126で特定した運動状態の継続時間、または、ステップS134もしくはステップS135で特定した姿勢の継続時間を特定する。これは、ステップS125、ステップS126、ステップS134またはステップS135で、それぞれの運動状態または姿勢が連続して特定された時間から特定することができる。
【0067】
次いで、ステップS143で、制御部110は、ステップS141で特定した運動強度(単位:メッツ)にステップS142で特定した継続時間(単位:時間)を掛けて、運動量(単位:エクササイズ)を算出する。なお、ここでは、立位、座位および臥位で静止またはほぼ静止している場合についても、運動量に加えるようにするが、これに限定されず、たとえば、3メッツ以下の運動強度の場合は、運動量に加算しないようにしてもよい。
【0068】
また、運動量は、当該運動状態または当該姿勢が開始されてからの運動量を算出してもよいし、1時間単位、1日単位、1週間単位および1ヶ月単位のような所定期間単位の運動量を合わせて算出するようにしてもよい。なお、1週間に23エクササイズ以上の3メッツ以上の身体活動をすることが推奨されている。
【0069】
ステップS144では、制御部110は、ステップS125もしくはステップS126で特定した運動状態、または、ステップS134もしくはステップS135で特定した姿勢、ならびに、ステップS142で特定した継続時間、および、ステップS143で算出した運動量を、表示部140を制御してディスプレイ141に表示するよう制御する。その後、制御部110は、実行する処理をこの処理の呼出元の処理に戻す。
【0070】
なお、歩数、消費カロリー、および、ステップS115で算出した角θx,θy,θzで示される活動量計100の向きなど、他の情報を表示するようにしてもよい。また、ユーザに報知方法は、必要な情報をユーザに報知することができる方法であればどのような方法であってもよく、たとえば、文字で表示してもよいし、グラフで表示してもよいし、音で伝達するようにしてもよい。
【0071】
図9は、この実施の形態における活動量計100の加速度センサ170で検出される各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。図9を参照して、立位で静止しているとき、座位で静止しているとき、歩行しているとき、および、自転車で走行しているときで、それぞれ、加速度の変化の特徴が異なることが分かる。
【0072】
図10は、この実施の形態における活動量計100の加速度センサ170で検出され、ハイパスフィルタ180で信号処理される前の歩行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。図10を参照して、このような変化をするときの図6のステップS114で算出される合成加速度Saは、0.60である。また、歩行の1サイクルは、約1秒である。
【0073】
図11は、この実施の形態における活動量計100の加速度センサ170で検出され、ハイパスフィルタ180で信号処理された後の歩行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。図11を参照して、この加速度の変化は、図10で示した加速度をハイパスフィルタ180で処理したものである。このような変化をするときの図6のステップS123で算出される合成加速度Sbは、0.54である。
【0074】
これにより、図6のステップS124で算出されるSa/Sbの値は、約1.12となり、Sa/Sb>1.5の条件を満たさない。このため、ステップS126で、運動状態が歩行または走行と特定される。
【0075】
図12は、この実施の形態における活動量計100の加速度センサ170で検出され、ハイパスフィルタ180で信号処理される前の自転車走行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。図12を参照して、このような変化をするときの図6のステップS114で算出される合成加速度Saは、0.45である。また、自転車走行の1サイクルは、約1秒である。
【0076】
図13は、この実施の形態における活動量計100の加速度センサ170で検出され、ハイパスフィルタ180で信号処理された後の自転車走行時の各軸ごとの加速度の変化の一例を示すグラフである。図13を参照して、この加速度の変化は、図12で示した加速度をハイパスフィルタ180で処理したものである。このような変化をするときの図6のステップS123で算出される合成加速度Sbは、0.16である。
【0077】
これにより、図6のステップS124で算出されるSa/Sbの値は、約2.74となり、Sa/Sb>1.5の条件を満たす。このため、ステップS125で、運動状態が自転車走行と特定される。
【0078】
図14は、この実施の形態における歩行時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計100の向きを示す図である。図14を参照して、このような変化をするときの図6のステップS114で算出される合成加速度Saは、1.80である。このため、図6のステップS116で、Sa<0.1の条件を満たさない。このため、静止またはほぼ静止しているとは判断されない。
【0079】
なお、このときは、歩行時であるので、図6のステップS115で算出される加速度センサの各軸が水平面となす角θx=90.0°,θy=0.0°,θz=0.0°が、ステップS127で立位時の加速度センサの各軸が水平面となす角θsx,θsy,θszとされる。
【0080】
図15は、この実施の形態における自転車走行時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計100の向きを示す図である。図15を参照して、このような変化をするときの図6のステップS114で算出される合成加速度Saは、1.19である。このため、図6のステップS116で、Sa<0.1の条件を満たさない。このため、静止またはほぼ静止しているとは判断されない。
【0081】
なお、このときは、図6のステップS124で、Sbの値は示していないが、Sa/Sb>1.5を満たすことで、自転車走行と判定される場合を示している。しかし、θx=45.0°,θy=0.0°,θz=45.0°,θsx=90.0°,θsy=0.0°,θsz=0.0°であるので、ステップS131からステップS133の判定で、|θx−θsx|=45>20,|θy−θsy|=0≦20,|θz−θsz|=45>20となるので、立位とは判定されず、歩行または走行ではなく、自転車走行であると判定するようにしてもよい。
【0082】
図16は、この実施の形態における立位静止時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計100の向きを示す図である。図16を参照して、このような変化をするときの図6のステップS114で算出される合成加速度Saは、0.03である。このため、図6のステップS116で、Sa<0.1の条件を満たす。このため、静止またはほぼ静止していると判断される。
【0083】
また、θx=90.0°,θy=0.0°,θz=0.0°,θsx=90.0°,θsy=0.0°,θsz=0.0°であるので、ステップS131からステップS133の判定で、|θx−θsx|=0≦20,|θy−θsy|=0≦20,|θz−θsz|=0≦20となるので、ステップS134で、立位と特定される。
【0084】
図17は、この実施の形態における座位静止時の合成加速度およびセンサ角度の変化の一例を示すグラフおよび活動量計100の向きを示す図である。図17を参照して、このような変化をするときの図6のステップS114で算出される合成加速度Saは、0.03である。このため、図6のステップS116で、Sa<0.1の条件を満たす。このため、静止またはほぼ静止していると判断される。
【0085】
また、θx=0.0°,θy=0.0°,θz=90.0°,θsx=90.0°,θsy=0.0°,θsz=0.0°であるので、ステップS131からステップS133の判定で、|θx−θsx|=90>20,|θy−θsy|=0≦20,|θz−θsz|=90>20となるので、ステップS135で、座位または臥位と特定される。
【0086】
(1) 以上説明したように、活動量計100は、本体部191と、本体部191の複数方向の加速度を検出する加速度センサ170と、制御部110と、メモリ120とを備え、本体部191を所定部位(たとえば、腰)に(たとえば、腰のベルトに固定するなどして固定的に、または、ポケットに入れるなどして非固定的に)保持するユーザの体動を検出する装置である。
【0087】
このような活動量計100の制御部110によって、図6のステップS116およびステップS124で、加速度センサ170で検出された加速度に基づいて、ユーザが歩行または走行しているときの挙動を本体部191がしているか否かが判定され、ステップS128で、ユーザが歩行または走行しているときの挙動をしていると判定されたときの本体部191の向きがメモリ120に記憶され、ステップS131からステップS135で、メモリ120に記憶されている向きに基づいて、ユーザの姿勢が判定される。
【0088】
このため、歩行または走行しているときの活動量計100の向きに基づいて、ユーザの姿勢が判定される。その結果、保持する位置に限定されずユーザの姿勢を判定することができる。
【0089】
(2) 制御部110によって、図6のステップS124で、加速度センサ170で検出された加速度の時間的変化のうち低周波成分(たとえば、2Hz未満の周波数成分)の割合が高周波成分(たとえば、2Hz以上の周波数成分)よりも大きい(Sa/Sb>1.5)か否かが判断され、低周波成分の割合が大きいと判断される場合、ステップS126で、ユーザが上下動の比較的大きい第1の連続運動としての歩行または走行をしているときの挙動を本体部191がしていると判定される一方、低周波成分の割合が小さいと判断される場合、ステップS125で、ユーザが上下動の比較的小さい第2の連続運動(たとえば、自転車走行)をしているときの挙動を本体部191がしていると判定される。
【0090】
上下動の大きい連続運動は、加速度の時間的変化の低周波成分の割合が比較的大きく、上下動の小さい連続運動は、加速度の時間的変化の低周波成分の割合が比較的小さい。このため、加速度の時間的変化の低周波成分の割合が高周波成分よりも比較的大きいか否かを判断することによって、上下動の大きい第1の連続運動と小さい第2の連続運動とを判別することができる。
【0091】
(3) 制御部110によって、図6のステップS131からステップS133で、第1の連続運動であると判定される場合の本体部の所定基準に対する傾き(たとえば、θsx,θsy,θsz)と判断対象時の本体部の所定基準に対する傾き(たとえば、θx,θy,θz)とのなす角が所定角よりも大きい(|θx−θsx|>20,|θy−θsy|>20,|θz−θsz|>20)か否かが判断され、ステップS116で、ユーザが移動しているときの挙動を本体部191がしていない(Sa<0.1)か否かが判定され、ユーザが移動しているときの挙動を本体部191がしていないと判定される場合、所定角よりも小さいと判断されれば、ステップS134で、ユーザの姿勢が立位であると判定される一方、所定角よりも大きいと判断されれば、ステップS135で、ユーザの姿勢が立位と異なると判定される。
【0092】
このため、歩行または走行しているときの活動量計100の向きに基づいて、ユーザの姿勢が定量的に判定される。その結果、保持する位置に限定されずユーザの姿勢を的確に判定することができる。
【0093】
(4) 活動量計100は、所定の情報を出力するディスプレイ141をさらに備える。制御部110によって、表示部140が制御されて、運動状態および姿勢の判定結果に基づく情報がディスプレイ141に出力される。このため、運動状態および姿勢の判定結果をユーザに伝達することができる。
【0094】
(5) 制御部110によって、加速度センサ170によって検出された加速度の合成加速度から低周波成分を除かない第1の値(たとえば、Sa)を、低周波成分を除いた第2の値(たとえば、Sb)で割った値(たとえば、Sa/Sb)が所定の値(たとえば、1.5)と比較して大きい(Sa/Sb>1.5)か否かが判断されることで、低周波成分の割合が高周波成分よりも大きいか否かが判断される。
【0095】
このため、ユーザの上下動の大きい第1の連続運動と小さい第2の連続運動が定量的に判断される。その結果、ユーザの上下動の大きい第1の連続運動と小さい第2の連続運動とを的確に判別することができる。
【0096】
次に、以上説明した実施の形態の変形例を説明する。
(1) 前述した実施の形態においては、図6のステップS124で、Sa/Sb>1.5か否かによって、自転車走行または歩行もしくは走行を判別するようにした。しかし、これに限定されず、ステップS124の判定に替えてステップS131からステップS133の判定で、立位と特定されない場合は、自転車走行、立位と特定された場合は、歩行または走行と判定するようにしてもよい。
【0097】
(2) 前述した実施の形態においては、活動量計100の装置の発明として説明した。しかし、これに限定されず、活動量計100を制御するための制御方法の発明、および、活動量計100で実行される制御プログラムの発明として捉えることができる。
【0098】
(3) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0099】
100 活動量計、110 制御部、120 メモリ、130 操作部、131 決定スイッチ、132 左操作/メモリスイッチ、133 右操作スイッチ、140 表示部、141 ディスプレイ、170 加速度センサ、180 ハイパスフィルタ、190 電源、191 本体部、192 クリップ部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部の複数方向の加速度を検出する検出部と、制御部と、記憶部とを備え、前記本体部を所定部位に保持するユーザの体動を検出する体動検出装置であって、
前記制御部は、
前記検出部によって検出された前記加速度に基づいて、ユーザが歩行または走行しているときの挙動を前記本体部がしているか否かを判定する運動判定手段と、
前記運動判定手段によってユーザが歩行または走行しているときの挙動をしていると判定されたときの前記本体部の向きを前記記憶部に記憶させる記憶制御手段と、
前記記憶部に記憶されている前記向きに基づいて、ユーザの姿勢を判定する姿勢判定手段とを備える、体動検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、
前記検出部によって検出された前記加速度の時間的変化のうち低周波成分の割合が高周波成分よりも大きいか否かを判断する成分判断手段を備え、
前記運動判定手段は、前記成分判断手段によって前記低周波成分の割合が大きいと判断される場合、前記ユーザが上下動の比較的大きい第1の連続運動としての前記歩行または前記走行をしているときの挙動を前記本体部がしていると判定する一方、前記低周波成分の割合が小さいと判断される場合、前記ユーザが上下動の比較的小さい第2の連続運動をしているときの挙動を前記本体部がしていると判定する、請求項1に記載の体動検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、
前記運動判定手段によって前記第1の連続運動であると判定される場合の前記本体部の所定基準に対する傾きと判断対象時の前記本体部の所定基準に対する傾きとのなす角が所定角よりも大きいか否かを判断する傾き判断手段を備え、
前記運動判定手段は、さらに、ユーザが移動しているときの挙動を前記本体部がしているか否かを判定し、
前記姿勢判定手段は、前記運動判定手段によってユーザが移動しているときの挙動を前記本体部がしていないと判定される場合、前記傾き判断手段によって前記所定角よりも小さいと判断されれば、前記ユーザの姿勢が立位であると判定する一方、前記傾き判断手段によって前記所定角よりも大きいと判断されれば、前記ユーザの姿勢が立位と異なると判定する、請求項1に記載の体動検出装置。
【請求項4】
所定の情報を出力する出力部をさらに備え、
前記制御部は、さらに、
前記出力部を制御して、前記運動判定手段および前記姿勢判定手段による判定結果に基づく情報を出力する出力制御手段を備える、請求項1に記載の体動検出装置。
【請求項5】
前記成分判断手段は、前記検出部によって検出された前記加速度の合成加速度から前記低周波成分を除かない第1の値を、前記低周波成分を除いた第2の値で割った値が所定の値と比較して大きいか否かを判断することで、前記低周波成分の割合が高周波成分よりも大きいか否かを判断する、請求項2に記載の体動検出装置。
【請求項6】
本体部と、前記本体部の複数方向の加速度を検出する検出部と、制御部と、記憶部とを備え、前記本体部を所定部位に保持するユーザの体動を検出する体動検出装置を制御する制御方法であって、
前記制御部が、
前記検出部によって検出された前記加速度に基づいて、ユーザが歩行または走行しているときの挙動を前記本体部がしているか否かを判定するステップと、
ユーザが歩行または走行しているときの挙動をしていると判定されたときの前記本体部の向きを前記記憶部に記憶させるステップと、
前記記憶部に記憶されている前記向きに基づいて、ユーザの姿勢を判定するステップとを含む、体動検出装置の制御方法。
【請求項1】
本体部と、前記本体部の複数方向の加速度を検出する検出部と、制御部と、記憶部とを備え、前記本体部を所定部位に保持するユーザの体動を検出する体動検出装置であって、
前記制御部は、
前記検出部によって検出された前記加速度に基づいて、ユーザが歩行または走行しているときの挙動を前記本体部がしているか否かを判定する運動判定手段と、
前記運動判定手段によってユーザが歩行または走行しているときの挙動をしていると判定されたときの前記本体部の向きを前記記憶部に記憶させる記憶制御手段と、
前記記憶部に記憶されている前記向きに基づいて、ユーザの姿勢を判定する姿勢判定手段とを備える、体動検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、
前記検出部によって検出された前記加速度の時間的変化のうち低周波成分の割合が高周波成分よりも大きいか否かを判断する成分判断手段を備え、
前記運動判定手段は、前記成分判断手段によって前記低周波成分の割合が大きいと判断される場合、前記ユーザが上下動の比較的大きい第1の連続運動としての前記歩行または前記走行をしているときの挙動を前記本体部がしていると判定する一方、前記低周波成分の割合が小さいと判断される場合、前記ユーザが上下動の比較的小さい第2の連続運動をしているときの挙動を前記本体部がしていると判定する、請求項1に記載の体動検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、
前記運動判定手段によって前記第1の連続運動であると判定される場合の前記本体部の所定基準に対する傾きと判断対象時の前記本体部の所定基準に対する傾きとのなす角が所定角よりも大きいか否かを判断する傾き判断手段を備え、
前記運動判定手段は、さらに、ユーザが移動しているときの挙動を前記本体部がしているか否かを判定し、
前記姿勢判定手段は、前記運動判定手段によってユーザが移動しているときの挙動を前記本体部がしていないと判定される場合、前記傾き判断手段によって前記所定角よりも小さいと判断されれば、前記ユーザの姿勢が立位であると判定する一方、前記傾き判断手段によって前記所定角よりも大きいと判断されれば、前記ユーザの姿勢が立位と異なると判定する、請求項1に記載の体動検出装置。
【請求項4】
所定の情報を出力する出力部をさらに備え、
前記制御部は、さらに、
前記出力部を制御して、前記運動判定手段および前記姿勢判定手段による判定結果に基づく情報を出力する出力制御手段を備える、請求項1に記載の体動検出装置。
【請求項5】
前記成分判断手段は、前記検出部によって検出された前記加速度の合成加速度から前記低周波成分を除かない第1の値を、前記低周波成分を除いた第2の値で割った値が所定の値と比較して大きいか否かを判断することで、前記低周波成分の割合が高周波成分よりも大きいか否かを判断する、請求項2に記載の体動検出装置。
【請求項6】
本体部と、前記本体部の複数方向の加速度を検出する検出部と、制御部と、記憶部とを備え、前記本体部を所定部位に保持するユーザの体動を検出する体動検出装置を制御する制御方法であって、
前記制御部が、
前記検出部によって検出された前記加速度に基づいて、ユーザが歩行または走行しているときの挙動を前記本体部がしているか否かを判定するステップと、
ユーザが歩行または走行しているときの挙動をしていると判定されたときの前記本体部の向きを前記記憶部に記憶させるステップと、
前記記憶部に記憶されている前記向きに基づいて、ユーザの姿勢を判定するステップとを含む、体動検出装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−196332(P2012−196332A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62861(P2011−62861)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
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