説明

体動検出装置及びそれを用いた運動システム

【課題】1台で活動強度の検出と体動の検出とを行うことができるとともに、精度のよい検出データを安定して得ることができる体動検出装置及びそれを用いた運動システムを提供する。
【解決手段】体動検出装置1は、人体の体動を検出する加速度センサ11と、測定モードを運動強度測定モード又は体動軌跡測定モードの何れかに切り替えるモード切替操作などの操作を行う入力操作部14と、記憶部15と、運動強度測定モードにおいて加速度センサ11から取り込んだ検出データから算出した運動強度を記憶部15に記憶させ、且つ体動軌跡測定モードにおいて所定の測定期間内に加速度センサ11から取り込んだ検出データを記憶部15に蓄積し、蓄積した検出データから体動軌跡を導出して当該導出結果を記憶部15に記憶させる演算処理部12とを人体の腰位置に装着するベルト1bに設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体動検出装置及びそれを用いた運動システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人体に装着される器体の内部に、人体の体動を検知する検知手段と、所定時間における検知信号の変動平均を演算する第1の演算手段と、変動平均或いは変動平均の積分値より運動強度値を演算若しくは所定時間以上の時間における変動平均の時間平均値或いは変動平均の時間積分値により運動強度を演算する第2の演算手段と、演算により求めた運動強度値を記憶する記憶手段とを備えた体動検出装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−204446号号公報)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、使用者が様々な運動を行う際に、運動中の体の動きを測定したいという要求があったが、体動検出装置を体動軌跡の検出用途に使用することができず、体動検出装置とは別に体動を検出するための検出器を装着して運動を行う必要があった。
【0004】
また、体動検出装置は腰に取り付ける場合が多いが、その取付位置によって検出データが異なってしまい、精度のよい検出データを安定して得ることができなかった。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、1台で活動強度の検出と体動の検出とを行うことができるとともに、精度のよい検出データを安定して得ることができる体動検出装置及びそれを用いた運動システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、人体の体動を検出する体動検出部と、体動検出部から検出データを取り込むデータ取込部と、測定結果を記憶する記憶部と、測定モードを、運動強度を測定する運動強度測定モード、又は、体動の時間的な変化を示す体動軌跡を測定する体動軌跡測定モードの何れかに切り替える測定モード切替部と、運動強度測定モードにおいてデータ取込部が取り込んだ検出データから運動強度を算出して当該算出結果を前記記憶部に記憶させる運動強度算出部と、体動軌跡測定モードにおいて所定の測定期間内にデータ取込部が取り込んだ検出データを前記記憶部に蓄積し、蓄積した検出データから体動軌跡を導出して当該導出結果を前記記憶部に記憶させる軌跡データ収集部とを人体の腰位置に装着するベルトに設けたことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、1台の体動検出装置で活動強度の検出と体動の検出とを行うことができ、さらにはベルトを腰に巻くことによって、体動検出部が腰の所定位置に安定して取り付けられるので、精度のよい検出データを安定して得ることができ、運動強度の算出結果や体動軌跡の導出結果の信頼性が向上する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、前記ベルトにおける人体の腹位置に操作部を設け、当該操作部は、少なくとも前記測定モード切替部を操作することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、使用者は下を向いて操作することができ、操作が容易となる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記ベルトにおける人体の腹位置に表示部を設け、当該表示部は、運動強度の算出結果又は体動軌跡の導出結果を表示することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、使用者は下を向いて表示部を見ることができ、運動強度の算出結果又は体動軌跡の導出結果の確認が容易となる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかにおいて、前記体動検出部は、前記ベルトにおける人体の背骨位置に設けられることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、他動運動やゴルフスイングによる体動を精度よく検出することができる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1において、前記体動検出部、データ取込部、記憶部、測定モード切替部、運動強度算出部、軌跡データ収集部を1つの器体に納装し、当該器体を前記ベルトに着脱自在に取り付けたことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、体動検出装置を利用する上で汎用性が向上する。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれか記載の体動検出装置と、使用者に対して他動的な運動を行わせる他動運動機器と、使用者の体動の軌跡を表示するための表示装置と、少なくとも体動検出装置と表示装置とにネットワークを介して接続された制御装置とを備え、体動軌跡測定モードにおいて記憶部に蓄積された検出データが体動検出装置からネットワークを介して制御装置へ送信されると、制御装置は、受信した検出データをもとに使用者の体の部位の体動軌跡を示す画像を作成して、表示装置に表示させることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、制御装置は、体動検出装置から精度のよい検出データを安定して得ることができ、体動軌跡の導出結果の信頼性が向上する。また、制御装置は、体動軌跡検出モードにおいて体動検出装置により検出された検出データをネットワークを介して受信し、受信した検出データをもとに体動軌跡を示す画像を作成して、表示装置に表示させているので、他動運動機器を使用する使用者は、表示装置に表示された自身の体動軌跡を見ることによって、他動運動機器を使用する際の体動を視覚的に把握することが可能な運動システムを実現できる。
【0018】
請求項7の発明は、請求項6において、前記他動運動機器は、使用者が跨いで着座する鞍状の座席部と、当該座席部を揺動させる駆動部とを具備して、乗馬運動を模した運動負荷を使用者に与える乗馬型の運動機器からなり、前記制御装置は、使用者の腰部に装着された体動検出装置の検出データをもとに、上方から見たときの腰部の体動軌跡を表示装置に表示させることを特徴とする。
【0019】
乗馬型の他動運動機器の場合、運動中の乗り方(体の動かし方や座る位置など)によって運動の効果が大きく左右され、他動運動を行ったにも関わらず、所望の運動効果が得られない場合があるが、この発明によれば、他動運動機器を使用する際の体動軌跡を表示装置に表示させることで、使用者に対して運動中の乗り方の良否を判断する材料を提示することができるから、運動中の乗り方を直すきっかけを与え、正しい乗り方での使用を使用者に促すことにより、他動運動による効果を向上させることができる。また制御装置は、体動検出装置の検出データを元に、上方から見たときの腰部の体動軌跡を表示装置に表示させているので、使用者は上方から見たときの腰部の体動軌跡を把握することができる。
【0020】
請求項8の発明は、請求項1乃至5いずれか記載の体動検出装置と、ゴルフスイングを行なう使用者の体動の軌跡を表示するための表示装置と、少なくとも体動検出装置と表示装置とにネットワークを介して接続された制御装置とを備え、体動軌跡測定モードにおいて記憶部に蓄積された検出データが体動検出装置からネットワークを介して制御装置へ送信されると、制御装置は、受信した検出データをもとにゴルフスイング時の使用者の体の部位の体動軌跡を示す画像を作成して、表示装置に表示させることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、制御装置は、体動検出装置から精度のよい検出データを安定して得ることができ、体動軌跡の導出結果の信頼性が向上する。また、制御装置は、体動軌跡検出モードにおいて体動検出装置により検出された検出データをネットワークを介して受信し、受信した検出データをもとに体動軌跡を示す画像を作成して、表示装置に表示させているので、ゴルフスイングを行った使用者は、表示装置に表示された自身の体動軌跡を見ることによって、ゴルフスイングを行う際の体動を視覚的に把握することが可能な運動システムを実現できる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明では、1台で活動強度の検出と体動の検出とを行うことができるとともに、精度のよい検出データを安定して得ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(実施形態)
図4は本発明に係る運動システムの概略構成を示し、個人の住宅Aにおいてイーサネット(登録商標)によりLAN201が構築され、当該LAN201が住宅盤3内に収納された情報ブレーカと呼ばれるセキュリティ機器3aを介してWANを構成するインターネット202に接続されている。ここで、セキュリティ機器3aは、宅内の機器に対する不正アクセスと思われるパケットを自動破棄する機能などを備えている。
【0025】
一方、他動運動機器を用いた各種の運動プログラムを提供する事業者Bには、使用者が自宅で所望の管理プログラムを実行できるようにする後述の活動管理サービスを提供するためのセンターサーバ101と、他動運動機器を用いた運動プログラムの運動内容を示す動画を配信するための映像配信サーバ102が設置されている。ここにおいて、事業者B側のセンターサーバ101および映像配信サーバ102と、インターネット202と、事業者Bが提供する活動管理サービスを利用する住宅A内のLAN201と、住宅A内に設置された体動検出装置1、表示装置2などで本システムが構成される。
【0026】
体動検出装置1は、図2、図3に示すように、矩形函状の装置本体1a(器体)と3軸の加速度センサ11(体動検出部)とをベルト1bに設けて構成されている。
【0027】
装置本体1aは、略矩形に形成され、その前面側には前方と上方とを開放した箱状の保持体1c内に、矩形の筐体1dの下端が図示しない軸支機構やヒンジ機構等によって回動自在に保持されている。また、装置本体1aの後面側は、左右方向に矩形の挿通孔1fが形成されており、挿通孔1fにはベルト1bの一端が右から左に向かって挿通し、ベルト1bの他端が左から右に向かって挿通している。
【0028】
加速度センサ11は、ベルト1bの略中央に配設されており、加速度センサ11の出力はベルト1b内を配設された配線を介して装置本体1aに入力されている。
【0029】
上記のように構成された体動検出装置1は使用者の腰にベルト1aを巻かれ、挿通孔1fを挿通するベルト1bの両端長さを調整することで、装置本体1aを使用者前面の腹位置に配置し、加速度センサ11を使用者背面の背骨位置に配置する。体動検出装置は、その取付位置によって測定結果が異なってしまうが、本実施形態では、上記のようにベルト1aを腰に巻くことによって、加速度センサ11が腰の所定位置に安定して取り付けられるので、精度のよい測定データを安定して得ることができ、この測定データに基づく運動強度の算出結果や体動軌跡の導出結果の信頼性が向上する。
【0030】
また、筐体1dの前面には後述する入力操作部14が配置され、筐体1dの後面には入力操作部14と後述する表示部16とが配置されており、筐体1dを後方に回動させて入力操作部14を前方に臨ませた状態で入力操作部14を操作したり(図2参照)、筐体1dを前方に回動させて入力操作部14及び表示部16を上方に臨ませた状態で、表示部16を見ながら入力操作部14を操作することができる(図3参照)。したがって、使用者は下を向いて操作することで、操作が容易となり、また下を向いて表示部を見ることで、運動強度の算出結果又は体動軌跡の導出結果の確認が容易となる。
【0031】
そして、装置本体1aは図1に示す回路構成要素を内蔵しており、装置本体1aに内蔵される回路構成要素としては、加速度センサ11の出力信号をA/D変換して得た検出データをもとに、当該体動検出装置1を装着した使用者の運動状態を演算する演算処理部12と、時刻データを演算処理部12に与える計時部13と、入力操作部14と、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリからなり、演算処理部12の演算結果や検出データや個人の属性データなどを記憶するための記憶部15と、例えば液晶表示器からなる表示部16と、ワイヤレス中継器5との間で赤外線通信を行う赤外線通信部17と、電池BTを電源として各回路要素の動作に必要な所定の電圧を得る定電圧回路18とを備えている。
【0032】
入力操作部14は、当該体動検出装置1の動作モードを運動強度測定モード、体動軌跡測定モード(他動運動軌跡測定モード、ゴルフスイング軌跡測定モード)、データ設定モード、データ表示モード、データ送信モード等に切り替えるモード切替操作や、表示部16に表示される表示画面でのカーソル操作や確認操作、或いは、データ設定モードにおいて活動量の算出に用いる個人の属性データ(例えば年齢、性別、身長、体重、目的、健康状態(既往症歴)、地域)を入力するデータ入力操作に用いられる。ここにおいて、入力操作部14により、体動検出装置1の測定モードを運動強度測定モード又は体動軌跡測定モードの何れかに切り替える測定モード切替部が構成される。
【0033】
体動検出装置1の演算処理部12は、体動検出装置1に予め組み込まれたプログラムに基づいて、例えば使用者が歩いた歩数や消費カロリーなどを算出するためのデータ処理を行うものであり、入力操作部14を用いてデータ設定モードに切り替えられると、表示部16の表示を制御してデータ入力画面を表示させ、当該データ入力画面において、上記属性データの入力を使用者に促すためのガイダンスなどを表示させ、入力操作部14を用いて属性データが入力されると、入力データを記憶部15に書き込み、以後の演算処理では記憶部15から読み込んだ属性データを運動強度などの活動量の演算に使用するようになっている。
【0034】
また演算処理部12の動作モードが、入力操作部14を用いて運動強度測定モード(運動強度を測定するモード)に切り替えられると、先ず取込周期設定部としての演算処理部12が、加速度センサ11から検出データを取り込む取込周期を活動量の測定に必要な周期(例えば約12秒)に設定する。その後、データ取込部としての演算処理部12が、取込周期が経過する毎に加速度センサ11から加速度の検出データを取り込み、且つ、運動強度算出部としての演算処理部12が、加速度センサ11から取り込んだ加速度の検出データに基づいて、運動強度(METs)の算出処理や歩数を求める処理などを行うとともに、活動量(運動強度や歩数など)の算出結果を記憶部15に書き込む処理を行い、算出結果を表示部16にリアルタイムで表示するようになっている。尚、METsとは、身体活動の“強さ”を安静時の何倍に相当するかで表す単位であり、アメリカスポーツ医学界で用いられている。
【0035】
ここにおいて、演算処理部12は、所定の周期毎に取り込んだ加速度センサ11の検出データをもとに、一定時間tw(秒)の加速度の変動平均(標準偏差値)を求める演算機能と、この変動平均から、運動強度wiを求める演算機能とを備えている。
【0036】
運度強度を変化させた状態で呼気ガス計測装置により測定した酸素消費量と、加速度分散値との関係式が予め求められて演算処理部12に組み込まれており、演算処理部12ではこの関係式を用いて、加速度分散値から運動強度を求めている。この演算方法について図9(a)(b)を用いて以下に説明する。
【0037】
図9(a)は加速度センサ11による各軸(x軸、y軸、z軸)の検出データを示し、演算処理部12では、一定時間twが経過する毎に、一定時間tw内に取り込んだ加速度の検出データから、各軸の加速度変動分の合成値を算出する。ここで、加速度変動分の合成値の時間平均(標準偏差)をSwとすると、合成値Swは以下の式(1)から求めることができる。
【0038】
【数1】

【0039】
なお、ax、ay、azは、ある期間tw(秒)内でk番目にサンプリングした加速度サンプリング値を示し、bx、by、bzは一定時間tw(秒)における平均値を示している。
【0040】
また、図9(b)は加速度変動値の測定結果と運動強度(METs)の測定結果との関係を示す散布図であり、散布図上にプロットされた点を最小自乗近似して得た直線式は以下の式(2)で示される。
【0041】
Y=a×X+b、相関関数R=0.92 …(2)
但し、Yは加速度変動値、Xは運動強度(METs)である。
【0042】
したがって、演算処理部12では、上述の式(1)を用いて加速度変動分の合成値Swを求めた後、上述の式(2)を変形した得た以下の式(3)を用いて、ある期間twの運動強度wiを求めている。
【0043】
wi=α×Sw+β …(3)
ここで、α、βは、運度強度を変化させた状態で呼気ガス検出装置により測定した酸素消費量と、加速度分散値との間に得られた関係式における係数を示す。なお、加速度変動値を求める期間twとしては4秒から15秒が適当な値であり、本実施形態ではtw=12秒としてある。
【0044】
また演算処理部12の動作モードが、入力操作部14を用いて体動軌跡測定モード(体動の時間的な変化を示す体動軌跡を測定するモード)に切り替えられると、他動運動軌跡測定モードとゴルフスイング軌跡測定モードのいずれかを選択可能な画面が表示部16に表示され、入力操作部14を用いて他動運動軌跡測定モードとゴルフスイング軌跡測定モードのいずれかを選択設定するか、或いは、赤外線通信部17が受信した外部からの切替信号に応じて他動運動軌跡測定モードとゴルフスイング軌跡測定モードのいずれかを選択設定すると、先ず取込周期設定部としての演算処理部12が、検出データの取込周期を体動軌跡の測定に必要な周期(例えば20m秒)に設定する。その後、データ取込部としての演算処理部12が、所定の測定期間(例えば1分間)が経過するまでの間、上記取込周期が経過する毎に、加速度センサ11から検出データを取り込むとともに、軌跡データ収集部としての演算処理部12が、加速度センサ11から取り込んだ加速度の検出データを記憶部15に蓄積し、測定期間が経過すると、体動軌跡測定モードを終了して元のモードに復帰する。尚、赤外線通信部17が受信した外部からの切替信号に応じて測定モードの切り替えを行う場合は、演算処理部12が測定モード切替部として機能する。
【0045】
そして、演算処理部12は、検出データの蓄積処理を終了するとともに、記憶部15に蓄積した測定期間分の検出データを2回積分して位置を算出し、算出した位置を繋ぎ合わせることで、体動検出装置1が取り付けられた体の部位の時間的な変化を示す体動軌跡を導出する。さらに演算処理部12は、この体動軌跡を表示部16上に表示させる画面データを作成し、この体動軌跡の画面データを記憶部15に格納するとともに、表示部16へ出力し、体動軌跡を表示部16に表示させる処理を行う。
【0046】
さらに演算処理部12の動作モードが、入力操作部14を用いてデータ表示モードに切り替えられると、演算処理部12は、記憶部15に記憶されているデータや演算処理結果に基づいて、個人の属性データや活動量の測定結果や体動軌跡などを表示部16に表示させる処理を行う。
【0047】
本実施形態において演算処理部12が加速度センサ11から検出データを取り込む取込周期は、運動強度測定モード時の取込周期(例えば約12秒)よりも、体動軌跡測定モード時の取込周期(例えば20m秒)を短く設定している。したがって、運動強度測定モードにおいては、取込周期を長くすることによって取り込むデータ量を抑制して長時間の測定を可能にし、体動軌跡測定モードにおいては、取込周期を短くすることによって体動軌跡を導出可能なデータ量を確保している。
【0048】
また、体動軌跡測定モードにおいて、演算処理部12は、体動軌跡を導出して画面データを作成する等の上記体動軌跡測定モードでの処理だけでなく、運動強度(METs)の算出処理や歩数を求める処理などを行って活動量(運動強度や歩数など)を算出する等の上記運動強度測定モードでの処理を併せて行ってもよい。この場合、体動軌跡測定モードで行った運動による活動量も測定でき、幅広い情報を使用者へ提供できる。
【0049】
体動検出装置1は、上記のように単体で用いても、使用者の活動量や体動軌跡を導出して表示することが可能であるが、更に演算処理部12の動作モードが、入力操作部14を用いてデータ送信モードに切り替えられるか、或いは、赤外線通信部17が受信した外部からの切替信号に応じてデータ送信モードに切り替えられると、演算処理部12は、体動軌跡測定モード時に検出された体動軌跡の画面データや運動強度測定モード時に算出された活動量の算出結果を記憶部15から読み出し、読み出した体動軌跡の画面データや活動量の算出結果を赤外線通信部17からセンターサーバ101宛に送信させる。この時、体動検出装置1の赤外線通信部17から送信されたデータはワイヤレス中継器5に受信され、さらにワイヤレス中継器5から電波信号でネットアダプタ4に送信され、ネットアダプタ4からLAN201を経由してセキュリティ機器3aに送信されるとともに、インターネット202を経由してセンターサーバ101に送信される。
【0050】
表示装置2はネットワーク接続機能を備えたテレビジョン装置からなり、インターネット202およびLAN201を介して映像配信サーバ102から配信された映像を画面2b上に表示するとともに、音声を内蔵スピーカ(図示せず)から出力する。また表示装置2は、リモコン装置2aから送信される赤外線のような光信号からなるワイヤレス信号を受信するワイヤレス受信部(図示せず)を備え、操作に応じてリモコン装置2aから送信されたワイヤレス信号をワイヤレス受信部が受信し、当該ワイヤレス信号に応じて表示するチャンネルや音量の切り替えを行ったり、ネットワークを介して映像配信サーバ102にアクセスし、映像配信サーバ102に蓄積された映像を送信させることができる。なお、表示装置2は、他動運動機器1に座った使用者から目視可能な位置に設置されているものとする。
【0051】
住宅盤3は、主幹開閉器および分岐開閉器を内蔵して、宅内の分岐回路に電力を供給するとともに、宅内のLAN201に接続されるセキュリティ機器3aが図示しないルータを介してインターネット202に接続されている。
【0052】
ネットアダプタ4は、LANケーブル203を介してセキュリティ機器3aに接続されるとともに、小電力無線を利用してワイヤレス中継器5との間で無線電波によって通信を行うものである。またワイヤレス中継器5は、ネットアダプタ4との間で無線電波を用いた通信を行うとともに、他動運動機器1や後述する体動検出装置1および体組成計7との間で赤外線を用いた通信を行うものである。すなわち、ワイヤレス中継器5の通信可能エリア内に存在する他動運動機器1や体動検出装置1や体組成計7から、送信元および送信先のIDを含む赤外線信号が送信され、この赤外線信号をワイヤレス中継器5が受信すると、ワイヤレス中継器5は受信した赤外線信号の通信プロトコルを変換して無線電波により送信する。そして、ネットアダプタ4が、ワイヤレス中継器5から送信された無線電波を受信すると、無線電波により送信された信号のプロトコル変換を行い、送信先のIDが示すネットワーク機器(表示装置2やセンターサーバ101など)へ信号を送信する。
【0053】
他動運動機器6は使用者に対して他動的な運動を行わせるものであり、本実施形態では、例えば、使用者が跨いで着座する鞍状の座席部を揺動運動させることによって、乗馬運動を模した運動負荷を与える乗馬型の運動機器を用いている。図5は他動運動機器6の概略的なブロック図を示し、マイクロコンピュータよりなる制御部61と、鞍状の座席部62を揺動運動させる駆動部63と、外部との間で赤外線を用いた通信を行う赤外線通信部64と、電源のオン/オフ操作や、運動メニューの選択操作や、座席部62を揺動させる速さや運動時間などの選択操作を行うための操作部65と、座席部62を様々なパターンで揺動させるための動作プログラムを記憶した記憶部66とを備えている。
【0054】
乗馬型の他動運動機器6では、鞍型の座席部62に座る位置やその時の姿勢を変えることで、鍛える部位を変えることができ、例えば「基本乗り」、「ウェスト乗り」、「ヒップ乗り」などの乗り方がある。「基本乗り」とは、座席部62の真ん中の一番深くなっている所に座って、背筋を伸ばし、足の指のつけ根を足置き67に置く乗り方であり、内ももの引き締めに効果がある。また「ウェスト乗り」とは、足を前方に浮かせ、上半身を後方に反らせた状態で座って、腹筋や太ももの内側の筋肉に力を入れて、バランスをとる乗り方であり、ウエストの引き締めに効果がある。また「ヒップ乗り」とは、足を後方に浮かせて、上半身を前方に傾斜させた状態で座り、大殿筋や中殿筋、背筋、太ももの内側の筋肉に力を入れて、バランスをとる乗り方であり、ヒップや太ももの後側の引き締めに効果がある。
【0055】
体組成計7は、図4に示すように扁平な直方体状の装置本体70を有し、装置本体70の上面には、装置本体70に乗せられた左右の足の足裏がそれぞれ当接する部位に電極部71a,71aが配置されるとともに、装置本体70の左右方向における中央部には測定結果などを表示するための液晶ディスプレイからなる表示部72が配置されている。
【0056】
装置本体70に内蔵される回路構成要素としては、図6に示すように装置本体70に乗った人の体重を測定する重量センサ73と、左右の電極部71a,71a間に微弱な電流を流して、人体の電気抵抗(生体インピーダンス)を測定する生体インピーダンス測定部71と、体組成計7の動作モードを計測モードや設定モード等に切り替える操作や、設定モードにおいて個人の属性データ(例えば年齢、性別、身長など)を入力する操作を行うための入力操作部74と、生体インピーダンス測定部71の測定結果をもとに測定対象者の体脂肪率を演算により求めるとともに、表示部72の表示を制御して重量センサ73の検出結果や体脂肪率の演算結果を表示部72の画面に表示させる演算処理部75と、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリからなり、演算処理部75の演算結果や個人の属性データなどを記憶するための記憶部76と、ワイヤレス中継器5との間で赤外線通信を行う赤外線通信部77と、電池を電源として各回路要素の動作に必要な所定の電圧を得る電池電源部78とを備えている。
【0057】
本システムでは、表示装置2が、LANケーブル203を介してセキュリティ機器3aに接続されており、インターネット202およびLAN201を介して映像配信サーバ102から配信された映像を画面2b上に表示したり、センターサーバ101から送信された映像信号や音声信号を出力することができる。また体動検出装置1、他動運動機器6、および、体組成計7はそれぞれワイヤレス中継器5およびネットアダプタ4を介してLAN201に接続されており、LAN201およびインターネット202を介してセンターサーバ101に接続されるので、センターサーバ101との間でデータの送受信が行えるようになっている。尚、他動運動機器6、表示装置2、ネットアダプタ4、ワイヤレス中継器5、体動検出装置1および体組成計7にはそれぞれ個別のローカルIPアドレスが割り当てられており、センターサーバ101と各機器との間で相互に通信が行えるようになっている。
【0058】
ここで、本システムにより事業者Bが提供する活動管理サービスの1つである他動運動軌跡の検出サービス(体動軌跡の検出サービス)を住宅A内の利用者が利用する場合について以下に説明する。
【0059】
他動運動機器6を使用する使用者が、リモコン装置2aを用いてセンターサーバ101にアクセスさせる操作を行う。この操作により表示装置2とセンターサーバ101との間でLAN201およびインターネット202を介して通信が行われ、使用者に対して提供可能なサービスを紹介するWebページが表示装置2の画面2b上に表示される。このWebページには、他動運動機器6を用いた他動運動を行う際の体動軌跡を検出するサービスを選択する選択ボタンが表示されており、この選択ボタンを選択する操作をリモコン装置2aにより行うと、表示装置2からLAN201およびインターネット202を介してセンターサーバ101へ他動運動軌跡検出サービスの実行を要求するサービス要求が送信される。
【0060】
このサービス要求を受け取ったセンターサーバ101は、インターネット202およびLAN201を介して表示装置2の表示を制御し、画面2b上に測定開始を促すメッセージ(例えば「体動検出装置を腰に付けて座席部に座り、準備ができたらスタートボタンを押して下さい」といったメッセージ)を表示させるとともに、他動運動機器6に対して動作モードを体動軌跡検査モードに切り替える切替信号を送信する。センターサーバ101から他動運動機器6に送信された切替信号は、インターネット202からセキュリティ機器3aを介してネットアダプタ4に送られ、ネットアダプタ4からワイヤレス信号によりワイヤレス中継器5に送信された後、ワイヤレス中継器5から他動運動機器6へ赤外線信号により送信される。そして、他動運動機器6では、赤外線通信部14が受信した切替信号に基づいて制御部61が動作モードを体動軌跡検査モードに切り替える。体動軌跡検査モードでは座席部62を動作させるパターンやその運動時間が予め決定されており、制御部61は、動作モードが体動軌跡検査モードに切り替えられると、図示しない表示部に座席部62の動作パターンを表示することで使用者にその動作パターンを報知するとともに、操作部65を用いて開始操作が行われると予め決定された動作パターンで座席部62を所定の運転時間だけ動作させた後、動作モードを元のモードに戻すようになっている。
【0061】
表示装置2に表示された上記のメッセージを見た使用者は、体動検出装置1のベルト1aを腰に巻き、挿通孔1fを挿通するベルト1bの両端長さを調整することで、装置本体1aを使用者前面の腹位置に配置し、加速度センサ11を使用者背面の背骨位置に配置する(図2、図3参照)。背骨位置に配置された加速度センサ11は他動運動による体動を精度よく検出することができる。
【0062】
そして、体動検出装置1を腰に装着した使用者が他動運動機器6の座席部62に座り、他動運動機器6の操作部65を用いてスタート操作を行うと、制御部61が、操作部65からの操作入力に応じて駆動部63の動作を制御し、座席部62を予め設定された動作パターンで所定の運転時間だけ動作させるとともに、赤外線通信部64よりセンターサーバ101へ動作開始を知らせる制御状態信号を送信させる。
【0063】
この制御状態信号は、ワイヤレス中継器5、ネットアダプタ4、セキュリティ機器3a、および、インターネット202を介してセンターサーバ101に送信されるので、センターサーバ101では他動運動機器6から送られた制御状態信号をもとに、他動運動機器6が動作を開始したことを検出すると、体動検出装置1に対して動作モードを他動運動軌跡測定モードに切り替えるためのモード切替信号を送信する。このモード切替信号は、インターネット202およびセキュリティ機器3aを介してネットアダプタ4に送られ、ネットアダプタ4からワイヤレス中継器5を介して体動検出装置1にワイヤレス送信される。この時、体動検出装置1の演算処理部12は、赤外線通信部17が受信したモード切替信号に基づいて、動作モードを他動運動軌跡測定モードに切り替え、記憶部15に蓄積された過去の体動軌跡に関するデータを消去するとともに、検出データの取込周期を例えば20m秒に設定し、所定の測定期間(例えば1分間)が経過するまでの間、上記取込周期が経過する毎に、加速度センサ11から取り込んだ加速度の検出データを記憶部15に蓄積する。尚、他動運動機器6が体動軌跡検査モードで動作する運転時間は、体動検出装置1の測定時間よりも十分長い時間に設定されており、所定の動作パターンで座席部62を動かしているときの使用者の体(本実施形態では例えば腰部)の動きを測定することができるのである。なお本実施形態では、センターサーバ101から体動検出装置1へモード切替信号を送信することで、体動検出装置1の動作モードを他動運動軌跡測定モードに切り替えて、他動運動時の体動を測定しているが、体動検出装置1を装着する使用者が入力操作部14を操作することで、動作モードを他動運動軌跡測定モードに切り替えるようにしても良い。この場合、体動検出装置1の演算処理部12は、入力操作部14を用いて動作モードが他動運動軌跡測定モードに切り替えられると、記憶部15に蓄積された過去の測定データを消去するとともに、取込周期を例えば20m秒に設定する。そして、演算処理部12では、他動運動軌跡測定モードに切り替えられた後に加速度センサ11から所定レベル以上の加速度検出値が入力されると、他動運動が開始されたと判断し、運動開始時より所定の測定期間(例えば1分間)が経過するまでの間、上記取込周期が経過する毎に加速度センサ11から取り込んだ加速度の検出データを記憶部15に蓄積しており、他動運動中の体動を測定することができる。
【0064】
そして、測定開始時より上記測定期間が経過すると、体動検出装置1の演算処理部12は、検出データの蓄積処理を終了するとともに、記憶部15に蓄積した測定期間分の検出データを2回積分して位置を算出し、算出した位置を繋ぎ合わせることで、体動検出装置1が取り付けられた体の部位の時間的な変化を示す体動軌跡を導出する。
【0065】
ここにおいて、体動検出装置1は3軸の加速度センサ11を備えているので、演算処理部12では、体動検出装置1の検出出力(すなわちX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の加速度検出値)をもとに、骨盤が前後方向に傾斜する動きを示す体動軌跡C1や、上方から見た時の腰部の動きを示す体動軌跡C2を求めることができ、これらの体動軌跡C1,C2を表わす画面データを作成し、この体動軌跡の画面データを記憶部15に格納するとともに、表示部16へ出力する。
【0066】
そして、体動検出装置1では、表示部16に体動軌跡C1,C2を表示させているので(図7(a)参照)、他動運動機器6を使用した使用者は自身の運動姿勢を視覚的に把握することができる。なお、乗馬型の他動運動機器6の場合、運動中の乗り方(体の動かし方や座る位置など)によって運動の効果が大きく左右されるため、他動運動機器6を使用する際の体動軌跡を表示部16に表示させることによって、使用者に対し運動中の乗り方の良否を判断する材料を提示して、運動中の乗り方を直すきっかけを与えることができ、正しい乗り方での使用を使用者に促すことにより、他動運動による効果を向上させることが出来る。またこの画像データでは、体動検出装置1の検出データを元に、上方から見たときの腰部の体動軌跡を表示部16に表示させているので、使用者は上方から見たときの腰部の体動軌跡を把握することができ、且つ、使用者の骨盤が前後方向に傾斜する軌跡を表示部16に表示させているので、骨盤の前後方向への揺動動作を確認することができる。
【0067】
ところで、体動検出装置1の演算処理部12は、体動軌跡の画面データを作成する際に、図8に示すように骨盤が前後方向に傾斜する動きを示す理想的な体動軌跡C5や、腰部の動きを上方から見た時の理想的な体動軌跡C6を、実際の体動軌跡C3,C4と対比させるように画面を作成しても良く、他動運動機器6の使用者は、自身の体動軌跡と理想的な体動軌跡とを比較することによって、自身の体動の悪い点を客観的に評価することができる。ここで、実際の体動軌跡C3,C4と対比させる理想的な体動軌跡C5,C6としては、他動運動機器6の座席部62の動きをもとに、座席部62に座った人の動きをシミュレーションして得た軌跡を用いても良いし、予め他動運動機器6の使用に習熟した複数の使用者の体動軌跡を測定し、その体動軌跡をもとに決定(例えば平均処理などを施して決定)した標準軌跡を用いても良い。
【0068】
さらに、演算処理部12は、記憶部15に蓄積した測定期間分の加速度の検出データを赤外線通信部17からセンターサーバ101へ送信させる。センターサーバ101では、体動検出装置1へモード切替信号を送信した後に、当該体動検出装置1から送信された測定期間分の加速度の検出データを受信すると、この検出データを2回積分して位置を算出し、算出した位置を繋ぎ合わせることで、体動検出装置1が取り付けられた体の部位の時間的な変化を示す体動軌跡を上記演算処理部12と同様に求めている。したがって、センターサーバ101においても、骨盤が前後方向に傾斜する動きを示す体動軌跡C1や、上方から見た時の腰部の動きを示す体動軌跡C2を求めることができ、これらの体動軌跡C1,C2を画面2b上に表示させる画面データを作成し、インターネット202を介して表示装置2に送信する。そして、表示装置2では、インターネット202およびセキュリティ機器3aを介して受信した画面データに基づいて、画面2b上に体動軌跡C1,C2を表示させているので(図7(a)参照)、他動運動機器1を使用した使用者は、表示装置2によっても自身の運動姿勢を視覚的に把握することができる。
【0069】
また、センターサーバ101は、体動軌跡の画面データを作成する際、上記演算処理部12と同様に、図8に示すように骨盤が前後方向に傾斜する動きを示す理想的な体動軌跡C5や、腰部の動きを上方から見た時の理想的な体動軌跡C6を、実際の体動軌跡C3,C4と対比させるように画面を作成しても良い。
【0070】
なお、本実施形態では「基本乗り」で他動運動を行った際の体動軌跡C1,C2を測定する場合について説明しているが、「ウェスト乗り」や「ヒップ乗り」で体動軌跡C1,C2を測定するようにしても良い。図7(b)は、「ウェスト乗り」で他動運動を行った際の骨盤の前後方向の動きを示す体動軌跡C1、腰部の動きを示す体動軌跡C2であり、「基本乗り」に比べて骨盤の動き、腰部の動きとも前後の振幅が小さく、後傾した状態で運動を行っていることが判る。また図7(c)は、「ヒップ乗り」で他動運動を行った際の骨盤の動きを示す体動軌跡C1、腰部の動きを示す体動軌跡C2であり、「基本乗り」に比べて骨盤の動き、腰部の動きとも前後の振幅が小さく、前傾した状態で運動を行っていることが判る。
【0071】
また本実施形態では、他動運動機器6として、使用者に乗馬を模した運動を行わせる乗馬型の運動機器を例に説明したが、他動運動機器6を乗馬型のものに限定する趣旨のものではなく、使用者の体の所定部位に負荷をかけて他動的な運動を行わせる運動機器(例えば座ったままの姿勢で歩行運動を実現できる機器など)であっても良い。
【0072】
次に、本システムにより事業者Bが提供する活動管理サービスの1つであるゴルフスイング軌跡の検出サービス(体動軌跡の検出サービス)を住宅A内の利用者が利用する場合について以下に説明する。
【0073】
まず、ゴルフスイングを行う使用者が、リモコン装置2aを用いてセンターサーバ101にアクセスさせる操作を行う。この操作により表示装置2とセンターサーバ101との間でLAN201およびインターネット202を介して通信が行われ、使用者に対して提供可能なサービスを紹介するWebページが表示装置2の画面2b上に表示される。このWebページには、ゴルフスイングを行う際の体動軌跡を検出するサービスを選択する選択ボタンが表示されており、この選択ボタンを選択する操作をリモコン装置2aにより行うと、表示装置2からLAN201およびインターネット202を介してセンターサーバ101へゴルフスイング軌跡検出サービスの実行を要求するサービス要求が送信される。
【0074】
このサービス要求を受け取ったセンターサーバ101は、インターネット202およびLAN201を介して表示装置2の表示を制御し、画面2b上に測定開始を促すメッセージ(例えば「体動検出装置を腰に付けて、準備ができたらスタートボタンを押して下さい」といったメッセージ)を表示させる。表示装置2に表示された上記のメッセージを見た使用者は、体動検出装置1を上記同様に腰に装着し、背骨位置に配置された加速度センサ11はゴルフスイングによる体動を精度よく検出することができる。
【0075】
そして、センターサーバ101では、ゴルフスイング軌跡検出サービスの要求を送信した後、所定時間が経過すると、体動検出装置1に対して動作モードをゴルフスイング軌跡測定モードに切り替えるためのモード切替信号を送信する。このモード切替信号は、インターネット202およびセキュリティ機器3aを介してネットアダプタ4に送られ、ネットアダプタ4からワイヤレス中継器5を介して体動検出装置1にワイヤレス送信される。この時、体動検出装置1の演算処理部12は、赤外線通信部17が受信したモード切替信号に基づいて、動作モードをゴルフスイング軌跡測定モードに切り替え、記憶部15に蓄積された過去の体動軌跡に関するデータを消去するとともに、検出データの取込周期を例えば20m秒に設定し、所定の測定期間(例えば30秒)が経過するまでの間、上記取込周期が経過する毎に、加速度センサ11から取り込んだ加速度の検出データを記憶部15に蓄積し、使用者はこの測定期間内にゴルフスイングを行う。なお本実施形態では、センターサーバ101から体動検出装置1へモード切替信号を送信することで、体動検出装置1の動作モードをゴルフスイング軌跡測定モードに切り替えて、ゴルフスイング時の体動を測定しているが、体動検出装置1を装着する使用者が入力操作部14を操作することで、動作モードをゴルフスイング軌跡測定モードに切り替えるようにしても良い。この場合、体動検出装置1の演算処理部12は、入力操作部14を用いて動作モードがゴルフスイング軌跡測定モードに切り替えられると、記憶部15に蓄積された過去の測定データを消去するとともに、取込周期を例えば20m秒に設定する。そして、演算処理部12では、ゴルフスイング軌跡測定モードに切り替えられた後から所定の測定期間(例えば30秒)が経過するまでの間、上記取込周期が経過する毎に加速度センサ11から取り込んだ加速度の検出データを記憶部15に蓄積しており、ゴルフスイングによる体動を測定することができる。
【0076】
そして、測定開始時より上記測定期間が経過すると、体動検出装置1の演算処理部12は、検出データの蓄積処理を終了するとともに、記憶部15に蓄積した測定期間分の検出データを2回積分して位置を算出し、算出した位置を繋ぎ合わせることで、体動検出装置1が取り付けられた体の部位の時間的な変化を示す体動軌跡を導出する。
【0077】
ここにおいて、体動検出装置1は3軸の加速度センサ11を備えているので、演算処理部12では、体動検出装置1の検出出力(すなわちX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の加速度検出値)をもとに、ゴルフスイング時の腰部の前後方向の動きを示す体動軌跡や、上方から見た時のゴルフスイング時の腰部の動きを示す体動軌跡を求めることができ、これらの体動軌跡を表わす画面データを作成し、この体動軌跡の画面データを記憶部15に格納するとともに、表示部16へ出力する。
【0078】
そして、体動検出装置1では、表示部16にゴルフスイング時の体動軌跡を表示させているので、ゴルフスイングを行った使用者は自身のゴルフスイングを視覚的に把握することができ、使用者に対しゴルフスイングの良否を判断する材料を提示して、ゴルフスイングを直すきっかけを与えることができる。
【0079】
また、体動検出装置1の演算処理部12は、体動軌跡の画面データを作成する際に、理想的な体動軌跡を、実際の体動軌跡と対比させるように画面を作成しても良く、ゴルフスイングを行った使用者は、自身の体動軌跡と理想的な体動軌跡とを比較することによって、自身のゴルフスイングの悪い点を客観的に評価することができる。ここで、実際のゴルフスイング時の体動軌跡と対比させる理想的なゴルフスイング時の体動軌跡としては、人のゴルフスイング時の動きをシミュレーションして得た軌跡を用いても良いし、予めゴルフスイングの上手な複数の使用者の体動軌跡を測定し、その体動軌跡をもとに決定(例えば平均処理などを施して決定)した標準軌跡を用いても良い。
【0080】
さらに、演算処理部12は、記憶部15に蓄積した測定期間分の加速度の検出データを赤外線通信部17からセンターサーバ101へ送信させる。センターサーバ101では、体動検出装置1へモード切替信号を送信した後に、当該体動検出装置1から送信された測定期間分の加速度の検出データを受信すると、この検出データを2回積分して位置を算出し、算出した位置を繋ぎ合わせることで、体動検出装置1が取り付けられた体の部位の時間的な変化を示す体動軌跡を上記演算処理部12と同様に求めている。したがって、センターサーバ101においても、ゴルフスイング時の腰部の動きを示す体動軌跡を求めることができ、これらの体動軌跡を画面2b上に表示させる画面データを作成し、インターネット202を介して表示装置2に送信する。そして、表示装置2では、インターネット202およびセキュリティ機器3aを介して受信した画面データに基づいて、画面2b上にゴルフスイング時の体動軌跡を表示させているので、ゴルフスイングを行った使用者は、表示装置2によっても自身のゴルフスイングを視覚的に把握することができる。
【0081】
また、センターサーバ101は、体動軌跡の画面データを作成する際、上記演算処理部12と同様に、理想的な体動軌跡を、実際の体動軌跡と対比させるように画面を作成しても良い。
【0082】
また、本実施形態において、センターサーバ101は、体動検出装置1から送信された加速度の検出データをもとに体動軌跡を求めているが、体動検出装置1で求めた体動軌跡の検出結果をセンターサーバ101へ送信するようにしても良い。
【0083】
また、ネットアダプタ4(図4参照)が、体動検出装置1から送信された加速度の検出データをもとに体動軌跡を求める演算処理手段を備えて、他動運動時及びゴルフスイング時の体動軌跡を表示装置2の画面2b上に表示させる画面データを作成し、ネットアダプタ4からLAN201を介して表示装置2に当該画面データを送信し、表示装置2では、LAN201を介して受信した画面データに基づいて、画面2b上に体動軌跡を表示させてもよい。このようにネットアダプタ4が加速度の検出データをもとに体動軌跡を求める構成では、体動検出装置1で体動軌跡を求める場合に比べて演算の処理能力の面で有利であり、さらにセンターサーバ101で体動軌跡を求める場合に比べて演算結果を表示装置2に表示させる即時性の面で有利である。
【0084】
また本実施形態では、体動検出装置1とワイヤレス中継器5との間で赤外線通信によりデータ送信を行うとともに、ワイヤレス中継器5とネットアダプタ4との間で電波通信を行い、ネットアダプタ4からLAN201およびインターネット202を介してセンターサーバ101へデータを送信しているが、赤外線通信ポートを備えた携帯電話HPを用いて体動検出装置1から体動軌跡の画面データを取り込むとともに、携帯電話HPから携帯電話網およびインターネットを介してセンターサーバ101へ体動軌跡の画面データを送信するようにしても良い。
【0085】
また上述の表示装置として、赤外線通信機能を備えた携帯電話HPを用いても良い。この場合、体動検出装置1から取得した体動軌跡の画面データを携帯電話HPのディスプレイ上に表示させる。
【0086】
さらに、本実施形態では、体動検出装置1、他動運動機器6、体組成計7とワイヤレス中継器5との間で赤外線通信によりデータ送信を行うとともに、ワイヤレス中継器5とネットアダプタ4との間で電波通信を行い、ネットアダプタ4からLAN201やインターネット202を介してデータを送信しているが、体動検出装置1、他動運動機器6、体組成計7とネットアダプタ4との間でBluetoothや特定小電力無線を用いた通信を直接行い(ワイヤレス中継器5は不要)、ネットアダプタ4からLAN201やインターネット202を介してへデータを送信する構成でもよい。この場合、体動検出装置1、他動運動機器6、体組成計7との間で赤外線通信を行わないので、通信の指向性が広がるとともに通信経路に障害物があっても通信可能となり、通信範囲が拡大される。
【0087】
また本実施形態では、体動検出装置1は、図1〜図3に示すように、矩形函状の装置本体1aと3軸の加速度センサ11とをベルト1bに別々に設けて構成しているが、図10に示すように加速度センサ11を他の回路構成要素と同一の器体1g内に納装し、当該器体1gを使用者の腰に装着されたベルトに着脱自在1bに取り付ける構成でもよく、体動検出装置1を利用する上で汎用性が向上する。
【0088】
また体動検出装置1は、加速度センサ11に付加して地磁気センサやジャイロセンサを設けて、加速度センサ11と地磁気センサ、または加速度センサ11とジャイロセンサの各検出データに基づいて運動強度の算出処理や体動軌跡の導出処理を行ってもよい。
【0089】
なお映像配信サーバ102には、他動運動機器6を用いた複数種類の運動プログラムについて、各々の運動内容を示す動画が蓄積されており、他動運動機器6を使用する使用者が、映像配信サーバ102に蓄積された運動プログラムの動画をダウンロードして表示装置2に表示させ、その動画を見ながら他動運動機器6を用いた運動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施形態の体動検出装置のブロック構成を示す図である。
【図2】同上の外観を示す図である。
【図3】同上の装置本体の構成を示す斜視図である。
【図4】同上の体動検出装置を用いた運動システムの概略構成図である。
【図5】同上の運動システムに用いる他動運動機器の概略的なブロック図である。
【図6】同上の運動システムに用いる体組成計の概略的なブロック図である。
【図7】(a)〜(c)は体動軌跡の表示画面の例図である。
【図8】同上の体動検出装置を示し、実際の体動軌跡と理想的な体動軌跡を対比させて表示させる表示画面の例図である。
【図9】(a)(b)は運動強度の演算方法を説明するための説明図である。
【図10】同上の体動検出装置の別のブロック構成を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
1 体動検出装置
1a 装置本体
1b ベルト
11 加速度センサ
12 演算処理部
13 計時部
14 入力操作部
15 記憶部
16 表示部
17 赤外線通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の体動を検出する体動検出部と、体動検出部から検出データを取り込むデータ取込部と、測定結果を記憶する記憶部と、測定モードを、運動強度を測定する運動強度測定モード、又は、体動の時間的な変化を示す体動軌跡を測定する体動軌跡測定モードの何れかに切り替える測定モード切替部と、運動強度測定モードにおいてデータ取込部が取り込んだ検出データから運動強度を算出して当該算出結果を前記記憶部に記憶させる運動強度算出部と、体動軌跡測定モードにおいて所定の測定期間内にデータ取込部が取り込んだ検出データを前記記憶部に蓄積し、蓄積した検出データから体動軌跡を導出して当該導出結果を前記記憶部に記憶させる軌跡データ収集部とを人体の腰位置に装着するベルトに設けたことを特徴とする体動検出装置。
【請求項2】
前記ベルトにおける人体の腹位置に操作部を設け、当該操作部は、少なくとも前記測定モード切替部を操作することを特徴とする請求項1記載の体動検出装置。
【請求項3】
前記ベルトにおける人体の腹位置に表示部を設け、当該表示部は、運動強度の算出結果又は体動軌跡の導出結果を表示することを特徴とする請求項1又は2記載の体動検出装置。
【請求項4】
前記体動検出部は、前記ベルトにおける人体の背骨位置に設けられることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の体動検出装置。
【請求項5】
前記体動検出部、データ取込部、記憶部、測定モード切替部、運動強度算出部、軌跡データ収集部を1つの器体に納装し、当該器体を前記ベルトに着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項1記載の体動検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか記載の体動検出装置と、
使用者に対して他動的な運動を行わせる他動運動機器と、
使用者の体動の軌跡を表示するための表示装置と、
少なくとも体動検出装置と表示装置とにネットワークを介して接続された制御装置とを備え、
体動軌跡測定モードにおいて記憶部に蓄積された検出データが体動検出装置からネットワークを介して制御装置へ送信されると、制御装置は、受信した検出データをもとに使用者の体の部位の体動軌跡を示す画像を作成して、表示装置に表示させることを特徴とする運動システム。
【請求項7】
前記他動運動機器は、使用者が跨いで着座する鞍状の座席部と、当該座席部を揺動させる駆動部とを具備して、乗馬運動を模した運動負荷を使用者に与える乗馬型の運動機器からなり、
前記制御装置は、使用者の腰部に装着された体動検出装置の検出データをもとに、上方から見たときの腰部の体動軌跡を表示装置に表示させることを特徴とする請求項6記載の運動システム。
【請求項8】
請求項1乃至5いずれか記載の体動検出装置と、
ゴルフスイングを行なう使用者の体動の軌跡を表示するための表示装置と、
少なくとも体動検出装置と表示装置とにネットワークを介して接続された制御装置とを備え、
体動軌跡測定モードにおいて記憶部に蓄積された検出データが体動検出装置からネットワークを介して制御装置へ送信されると、制御装置は、受信した検出データをもとにゴルフスイング時の使用者の体の部位の体動軌跡を示す画像を作成して、表示装置に表示させることを特徴とする運動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−125508(P2009−125508A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306605(P2007−306605)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】