体形変化予測装置
【課題】適度な身体運動量の運動を継続して実行した場合などの効果を事前に実感できるように予測し、モチベーションを高める。
【解決手段】個人の現在の身長、体重、年齢、および性別の個人パラメータと、個人の活動量を示す活動データとを得て、個人の体形変化を予測する体形変化予測装置10であり、個人パラメータ入力手段21から入力した個人パラメータおよび活動データ入力手段22から入力した活動データの中から、選択されたデータに基づいて経年後皮下脂肪厚演算手段29が経過期間後の皮下脂肪厚を算出し、輪郭補正値演算手段30がそれを頬部皮下脂肪厚に変換することによって輪郭補正値を算出して、経過期間後の顔の輪郭変化を予測する。
【解決手段】個人の現在の身長、体重、年齢、および性別の個人パラメータと、個人の活動量を示す活動データとを得て、個人の体形変化を予測する体形変化予測装置10であり、個人パラメータ入力手段21から入力した個人パラメータおよび活動データ入力手段22から入力した活動データの中から、選択されたデータに基づいて経年後皮下脂肪厚演算手段29が経過期間後の皮下脂肪厚を算出し、輪郭補正値演算手段30がそれを頬部皮下脂肪厚に変換することによって輪郭補正値を算出して、経過期間後の顔の輪郭変化を予測する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、個人の現在の身長、体重、年齢、および性別の個人パラメータと、個人の活動量を示す活動データとから、その個人の経過期間後の体形変化を予測する体形変化予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人口構成の高齢化と共に生活習慣病が大きな社会問題になり、生活習慣病に罹患しないように一人一人が健康増進に努めることが求められ始めている。特に生活習慣病と密接に関係しているといわれている肥満の防止には、食事や運動の管理が不可欠である。
【0003】
肥満の防止のためや、ダイエットや減量を行う際には、公開されている統計的な1日に必要なカロリー値を前提に、心拍計や歩数計による運動消費カロリーの目標や、食事メニューの摂取カロリーの目標値を決めて、それを実行することが望ましい。
【0004】
しかし、このようなカロリー値は、あくまで統計的な必要カロリーを目標基準としているため、実際には個人差が大きく、同じ運動量、同じダイエット食を実践しても効果が得られ易い人と、得られ難い人がある。
【0005】
ところで、人間は、生命活動を維持するために生体で自動的に行われる活動である基礎代謝と、仕事や運動など日常活動上必要な運動代謝と、食事を取ったときに消化や吸収が行われる活動である食事代謝との3つの代謝を行っている。
【0006】
それぞれの代謝を代謝量として見立てると、それぞれはエネルギーとして考えることができ、この3つの代謝量の合計が総必要エネルギーとなる。
【0007】
基礎代謝量は、標準的な生活をしている場合は、総必要エネルギーの約60%程度を占める。また、運動代謝量は約30%、食事代謝量は約10%となっている。
【0008】
心拍計や歩数計などを装着して運動を行っても、そもそも総必要エネルギーの約30%の部分である運動代謝量を消費しているだけであるから、総必要エネルギーの約60%程度を占める基礎代謝量に着目した食事や運動の管理を行う方が効率がよいという考えがある。そこで、近年では基礎代謝量を知って、それに応じて食事や運動の管理をすることが行われ始めた。
【0009】
基礎代謝量は、身体の基本的機能を維持するために必要なエネルギーであるため、その値を決める主たる要因は、各個人の身長、体重、年齢、性別であるが、体温によっても変わる。ここで「体温」とは、厳密には「基礎体温」であるが、代謝エネルギーを算定する上では重要ではないので、本明細書中では単に「体温」と称す。
【0010】
そのため、各人の体温差に基づく基礎代謝量の差を定量的に算出して、身体の監視や健康管理に役立てて行くことが必要である。
【0011】
そこで、各個人の身長、体重、年齢、性別に応じた標準基礎代謝量と体温から標準体温に対する体温差を考慮した推定基礎代謝量を算出し、その標準基礎代謝量との基礎代謝差分データを算出し、それを太り易さ指数に換算し、それを食品(例えば、1日に減らすおにぎりの個数)、運動量(例えば、1日の速歩運動の歩数)、または1年後の蓄積脂肪量などに換算して表示することができる代謝エネルギー算定装置を、本発明者が既に提案し
ている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
また、個人の身体データや健康状態を示す健康診断データ、個人の食生活及び嗜好品の内容を示す食生活データ、個人の生活行動に関する生活習慣データ、および病気に関する病気データを入力することによって、例えば5年後の状態をシュミレーションし、現在の分身と5年後の分身をイラストで表示し、そのときの健康状態や、太ることが予想させる場合にはそれに対する対処方法などを表示するようにした分身健康・体型予測システムも提案させている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−124873号公報
【特許文献2】特開2007−310632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、各自が生活習慣病を予防し、健康を増進するために、摂取カロリーを管理し、適度な身体運動量(エクササイズ)を実行しようとしても、それを継続するのが難しかった。それは、即効性がなく結果がよく分らないためや、生活習慣病予防という負のイメージだけではやる気を維持できないという問題があった。
【0015】
前述した特許文献1で提案した装置では、個人の推定基礎代謝量と標準基礎代謝量との差分データから太り易さ指数を算出し、それを例えば1日に減らすべき食品の量(おにぎりの数等)や実行すべき運動量(速歩運動の歩数等)で表示したり、それらを行わない場合の1年後の蓄積脂肪量などを表示することによって、モチベーションを高めようとしているが、その効果を充分に実感できず、モチベーションを維持できないという課題がある。
【0016】
また、特許文献2に開示されている分身健康・体型予測システムは、健康診断データ、食生活データ、生活習慣データ、および病気データなど多岐に亘る個人データを入力しなければならない煩雑なものであり、イラストで表示される現在の分身とシュミレーションされた5年後の分身とを対比すれば、ある程度は効果のイメージが得られるが、イラスト表示であるため自分のこととしての実感に乏しいものであった。
【0017】
この発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、適度な身体運動量(エクササイズ)の運動を継続して実行した場合などの効果を事前に実感できるように予測し、モチベーションを高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は上記の目的を達成するため、個人の現在の身長、体重、年齢、および性別の個人パラメータと、個人の活動量を示す活動データとを得て、個人の体形変化を予測する体形変化予測装置において、上記個人パラメータおよび活動データの中から選択されたデータに基づいて予測前後の皮下脂肪厚を算出する手段と、その予測前後の皮下脂肪厚を頬部皮下脂肪厚に変換することによって予測前後の顔の輪郭変化を予測する顔輪郭変化予測手段とを有することを特徴とする。
【0019】
上記顔輪郭変化予測手段は、皮下脂肪を頬部皮下脂肪厚に変換するための頬部予測係数を性別および年齢に応じたテーブルとして記憶し、上記個人パラメータによる性別および年齢に応じた頬部予測係数をそのテーブルから選択して、その頬部予測係数により上記経過期間後の皮下脂肪厚を上記頬部皮下脂肪厚に変換することができる。
【0020】
上記体形変化予測装置において、上記個人の予測前の体脂肪率を得て、その体脂肪率と上記個人パラメータのうちの予測前の体重及び身長とに基づいて予測前の皮下脂肪厚を算出する予測前皮下脂肪厚演算手段を有し、上記顔輪郭変化予測手段は、上記予測前皮下脂肪厚演算手段によって算出された予測前の皮下脂肪厚に上記選択した頬部予測係数を乗じて予測前の頬部皮下脂肪厚を、上記予測前後の皮下脂肪厚に上記選択した頬部予測係数を乗じて予測後の頬部皮下脂肪をそれぞれ算出し、その予測後の頬部皮下脂肪厚から予測前の頬部皮下脂肪厚を減じて輪郭補正値を算出して上記顔の輪郭変化を予測するようにするとよい。
【0021】
上記予測後の皮下脂肪圧を算出する手段は、上記個人パラメータおよび上記活動データに基づいて1日当りの余剰エネルギーを求め、その余剰エネルギーと予測前後の経年期間から予測後の皮下脂肪圧を算出するとよい。
【0022】
上記活動データは、個人の体温と、個人の1日の活動量を活動レベルとして表したデータであるとよい。あるいは、上記活動データは、個人の1日の活動量と、個人の1日の摂取カロリーであってもよい。
【0023】
上記予測後の皮下脂肪圧を算出する手段は、上記個人パラメータである予測後の体重または体脂肪率に基づいて予測後の皮下脂肪圧を算出してもよい。
【0024】
これらの体形変化予測装置において、上記個人の顔画像を撮像して入力する顔画像入力手段と、その顔画像入力手段によって入力された顔画像の輪郭基準点を設定する輪郭基準点設定手段と、その輪郭基準点設定手段によって設定された輪郭基準点に基づいて顔画像の輪郭の変形領域を特定する変形領域特定手段と、上記顔輪郭変化予測手段によって予測された上記顔の輪郭変化の予測結果に基づいて、上記変形領域特定手段によって特定された顔画像の輪郭の変形領域に対して輪郭画像変形処理を行う輪郭画像変形処理手段と、その輪郭画像変形処理手段によって輪郭画像変形処理を行った顔画像を経過期間後の推定顔画像として表示する推定顔画像表示手段とを有するのが望ましい。
【発明の効果】
【0025】
この発明による体形変化予測装置は、個人の現在の身長、体重、年齢、および性別の個人パラメータと、個人の活動量を示す活動データとから選択されたデータに基づいて予測前後の皮下脂肪厚を算出し、その予測前後の皮下脂肪厚を頬部皮下脂肪厚に変換することによって予測前後の顔の輪郭変化を予測することができる。それによって、最も実感し易い顔の輪郭変化の予測結果を知らせて、健康管理活動に対するモチベーションを高めることができる。
【0026】
その顔の輪郭変化を予測した本人の顔画像を、経過期間後の推定顔画像として表示するようにすれば、一層実感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明による体形変化予測装置の一実施形態を示す外観図である。
【図2】同じくそのハード構成を示すブロック図である。
【図3】同じくその機能構成を示す機能ブロック図である。
【図4】この発明による体形変化予測装置の一実施形態における操作及び処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図4におけるステップS2の太り易さ指数算出処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図6】日本人の性別および年齢に応じた基礎代謝基準値(kcal/kg/日)のテーブルデータの例を示す図である。
【図7】活動レベルと活動レベル係数との対応関係のテーブルデータの例を示す図である。
【図8】性別および年代(若年、中年、高年)別の頬部、上腕背部および肩甲骨下部の各皮下脂肪厚(mm)と皮下脂肪厚α(mm)および頬部予測係数Zのテーブルデータの例を示す図である。
【図9】日本人の性別および年代別の皮下脂肪厚の体部位ごとの配分データを示す線図である。
【図10】入力された顔画像とその輪郭基準点の設定に関する説明図である。
【図11】顔画像の変形領域の特定に関する説明図である。
【図12】輪郭画像変形処理を説明するための図である。
【図13】この発明による体形変化予測装置の図3に示した実施形態を一部変更した実施形態の機能構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
【0029】
〔実施形態の外観例〕
図1は、この発明による体形変化予測装置の一実施形態を示す外観図である。
【0030】
この体形変化予測装置は、携帯型情報端末や携帯型ゲーム機などと類似した形状及び構成であり、それらや携帯電話機、ノート型パーソナルコンピュータ等の各種のパーソナル情報機器を利用することも可能である。
【0031】
図1に示す体形変化予測装置10は、手の平に載るサイズの長方形で薄型のケース1の前面に、表示画面2が大きな割合を占めて設けられている。その表示画面2の下側に電源ボタン3と、上ボタンU,下ボタンD,左ボタンL,右ボタンRの4個のボタンからなる上下左右カーソル移動ボタン4と、決定ボタン5が配置されている。表示画面2の上側には、顔画像を撮影するためのカメラ6の撮影窓が設けられ、上側面にはそのカメラ6のシャッター7が設けられている。
【0032】
この体形変化予測装置10は、電源ボタン3を押されると起動して、例えばドットマトリクス形の液晶表示パネルによる表示画面2に、図1に示すように体温、身長、体重、年齢、性別、活動レベル、体脂肪率、及び予測する経過期間(予測○年後)の各項目とその各データを表示する。その各データは、以前に決定された入力データを記憶していればそれを表示し、それがなければ予め用意しているデフォルト値を表示する。そして、どれかの項目(最初は例えば「身長」)のデータの下にカーソルを表示する。
【0033】
そして、表示されているデータを変更しない場合は、使用者が決定ボタン5を押すとそのデータが入力データとして保持され、カーソルが次の項目のデータの下へ移動する。表示されているデータを変更したい場合には、例えば「身長」が173cmと表示されている下にカーソルが点滅表示されている状態で、上下左右カーソル移動ボタン4の上ボタンUを1回押すごとに表示される数値が1cmずつ増加し、下ボタンDを1回押すごとに表示される数値が1cmずつ減少するので、自分の身長に該当する数値になった状態で決定ボタン5を押せば、その数値が入力データとして記憶される。
【0034】
決定後、上下左右カーソル移動ボタン4によって、任意の項目にカーソルを移動させることもできる。また、「性別」においては上ボタンU又は下ボタンDを押すごとに「男」と「女」の表示が入れ替わる。経過期間の「予測○年後」においては年数が増減する。
【0035】
このようにして、表示されている各項目のデータを使用者の個人のデータとして入力することができる。そして、決定ボタン5を所定時間(例えば3秒)以上押し続けると、全項目の入力を終了する。
【0036】
〔実施形態のハード構成〕
この体形変化予測装置10のハード構成は、図2のハード構成を示すブロック図に示すように、操作部11、表示部12、カメラ7、および電源部13と、マイクロコンピュータを構成するCPU15、ROM16、RAM17、NVRAM(不揮発性RAM)18、およびそれら全てをデータのやり取り可能に接続するバス19とからなっている。
【0037】
操作部11は、図1に示した上下左右カーソル移動ボタン4と決定ボタン5とその各ボタンの押下検知回路等からなる。
【0038】
表示部12は、図1に示した表示画面2を構成するドットマトリクス形の液晶表示パネルとその駆動回路を含む液晶表示装置と表示制御回路等からなる。
【0039】
カメラ7は、CCD等の撮像デバイスと被写体の画像をその撮像デバイス上に結像させるレンズ系とからなり、被写体を撮像した画像データをデジタルデータとして出力することができる。
【0040】
CPU15は、ROM16に格納されたプログラムによって動作して、後述する各種の演算および判断・処理を実行する機能を有し、この体形変化予測装置10全体を統括制御する。
【0041】
ROM16は,CPU15の動作プログラムおよび後述する各種テーブルを含む固定データを格納した読み出し専用メモリである。RAM17は、CPU15のワーキングメモリとして使用されると共に、一時的なデータを記憶する書き込み及び読み出し可能なメモリである。
【0042】
NVRAM18は、給電が断たれても記憶データを保持できる不揮発性メモリであり、図1によって前述した身長、体重、年齢、および性別の個人パラメータ、個人の活動量を示す活動データである体温と活動レベル、体脂肪率及び経過期間等の各値がそれぞれ選択されて決定された各データを記憶(登録)する。また、これらの各データのデフォルト値およびそれを図1に示した上ボタンU又は下ボタンDが押されるごとに順次変更表示する一連の値も、このNVRAM18に記憶させておいてもよいが、それらはROM16に格納しておいてもよい。
【0043】
電源部13は、電源ボタン3の押下によって上述した各部に必要な電源を供給し、再度電源ボタン3が押下されたとき、あるいは所定時間以上何の操作もされなかったときにその電源供給を遮断するもので、電源として乾電池又は充電可能な二次電池を備えるか、外部のアダプターによって商用電源を降圧及び整流・平滑した直流が供給されるようにしてもよい。
【0044】
〔実施形態の機能構成〕
上述した体形変化予測装置10の機能構成を、図3に示す機能ブロック図によって説明する。この機能は図2に示したCPU15が他の各部と協働して実行する。
【0045】
この発明による体形変化予測装置は、前述したように、個人の現在の身長、体重、年齢、および性別の個人パラメータと、個人の活動量を示す活動データとを得て、個人の体形変化を予測する体形変化予測装置であり、上記個人パラメータおよび活動データの中から
選択されたデータに基づいて予測前後の皮下脂肪厚を算出し、それを頬部皮下脂肪厚に変換することによって予測前後の顔の輪郭変化を予測する機能を有している。
【0046】
そのため、この実施形態の図3に示す体形変化予測装置10は、入力手段として、個人パラメータ入力手段21、活動データ入力手段22、体脂肪率入力手段23、経過期間入力手段24、および顔画像入力手段(撮像部)25を有している。
【0047】
これらのうち、個人パラメータ入力手段21、活動データ入力手段22、体脂肪率入力手段23、および経過期間入力手段24は、図1の上下左右カーソル移動ボタン4と決定ボタン5を含む図2の操作部11と、図1の表示画面2を含む図2の表示部12と、CPU15およびROM16、RAM17、NVRAM18等によってなされる機能である。
【0048】
個人パラメータ入力手段21は、図1に示す表示画面に身長、体重、年齢、および性別の項目と現在NVRAM18に登録されている各項目のデータか、それが無い場合はデフォルトの各データを表示し、前述したように使用者が上下左右カーソル移動ボタン4を用いて、それぞれ自分の現在の身長、体重、年齢、および性別のデータを順次選択して、決定ボタン5を押すごとに、そのデータを順次NVRAM18の身長、体重、年齢、および性別の各記憶領域に記憶(登録)する。
【0049】
活動データ入力手段22は、図1に示す表示画面に体温および活動レベルの項目と現在NVRAM18に登録されている各項目のデータか、それが無い場合はデフォルトの各データを表示し、前述したように使用者が上下左右カーソル移動ボタン4を用いて、それぞれ自分の現在の体温および活動レベルのデータを順次選択して、決定ボタン5を押すごとに、そのデータを順次NVRAM18の体温および活動レベルの各記憶領域に記憶(登録)する。
【0050】
体脂肪率入力手段23と経過期間入力手段24も同様に、それぞれ図1に示す表示画面に体脂肪率、経過期間(予測○年後)の項目と現在NVRAM18に登録されているデータか、それが無い場合はデフォルトのデータを表示し、前述したように使用者が上下左右カーソル移動ボタン4を用いて、それぞれ自分の現在の体脂肪率、および予測したい時期までの年数のデータを選択して決定ボタン5を押すと、その各データをNVRAM18の体脂肪率および経過期間の各記憶領域に記憶(登録)する。
【0051】
顔画像入力手段(撮像部)25は、図1および図2に示したカメラ6によって、そのシャター7が押された時に、使用者の個人の顔画像を撮像(撮影)してデジタルの画像データとして入力し、その画像データをRAM17に記憶させる。
【0052】
次に演算手段として、太り易さ指数演算手段26、脂肪増加量演算手段27、現在皮下脂肪厚演算手段28、経年後皮下脂肪厚演算手段29、および輪郭補正値演算手段(顔輪郭変化予測手段)30を有している。
【0053】
これらの各演算手段は、図2に示したCPU15が、NVRAM18に記憶(登録)された各データに基づいて、ROM16に格納されているテーブルデータや固定データを用いて演算を行う機能である。その各演算内容の詳細は、図4のフローチャートの説明において後述するが、その概略を以下に述べる。
【0054】
太り易さ指数演算手段26は、個人パラメータ入力手段21および活動データ入力手段22によって入力された各データの中から選択されたデータに基づいて、1日当りの余剰エネルギーを太り易さ指数として算出する。
【0055】
脂肪増加量演算手段27は、太り易さ指数演算手段26によって算出された1日当りの余剰エネルギーと、経過期間入力手段24によって入力された経過期間(年数)とに基づいて経過期間後の脂肪増加量を算出する。
【0056】
現在皮下脂肪厚演算手段28は、予測前の皮下脂肪厚を算出する手段であり、個人パラメータ入力手段21によって入力された体重および身長と、体脂肪率入力手段23によって入力された予測前である現在の体脂肪率とに基づいて現在(予測前の)の皮下脂肪厚を算出する。
【0057】
経年後皮下脂肪厚演算手段29は、予測後の皮下脂肪厚を算出する手段であり、脂肪増加量演算手段27によって算出された経過期間(年数)後の脂肪増加量と、個人パラメータ入力手段21によって入力された体重および身長とに基づいて、経過期間後である予測後の皮下脂肪厚を算出する。
【0058】
輪郭補正値演算手段30は、経年後皮下脂肪厚演算手段29によって算出された経過期間後(予測後)の皮下脂肪厚と、現在皮下脂肪厚演算手段28によって算出された現在(予測前の)の皮下脂肪厚と、前記個人パラメータ入力手段21によって入力された性別および年齢とに基づいて、経過期間後である予測後の輪郭補正値を算出して顔の輪郭変化を予測する顔輪郭変化予測手段である。
【0059】
さらに、顔画像入力手段25によって入力した顔画像をその輪郭変化の予測結果に基づいて変形処理して表示するための手段として、輪郭基準点設定手段31、変形領域特定手段32、輪郭画像変形処理手段33、および推定顔画像表示手段34を有する。
【0060】
これらの各手段は、図2に示したCPU15が、RAM17に入力した顔画像のデータに対して、顔の輪郭変化の予測結果である輪郭補正値に基づいて、表示部12と操作部11を用いて行う機能である。その内容の詳細も後述するが、その概略を以下に述べる。
【0061】
輪郭基準点設定手段31は、顔画像入力手段25によって入力された顔画像を表示部12の表示画面1に表示し、操作部11の上下左右カーソル移動ボタン4と決定ボタン5によって、その顔画像の輪郭基準点を設定させる。
【0062】
変形領域特定手段32は、その輪郭基準点設定手段31によって設定された輪郭基準点に基づいて顔画像の輪郭の変形領域を特定する。
【0063】
輪郭画像変形処理手段33は、輪郭補正値演算手段30によって算出された経過期間後の顔の輪郭変化の予測結果である輪郭補正値に基づいて、変形領域特定手段32によって特定された顔画像の輪郭の変形領域に対してスプライン変形等によって輪郭画像変形処理を行う。さらに、皺強調処理や肌色補正等を行ってもよい。
【0064】
推定顔画像表示手段34は、その輪郭画像変形処理手段33によって輪郭画像変形処理を行った顔画像を経過期間後である予測後の推定顔画像として図1の表示画面2に表示する。このとき、対比の便宜のために現在の顔である入力された顔画像を並べて、あるいは予測前後の推定顔画像を交互に表示するようにしてもよい。
【0065】
〔処理手順の説明〕
図4は、この発明による体形変化予測装置の一実施形態における操作及び処理の流れを示すフローチャートであり、図5は図4におけるステップS2の太り易さ指数算出処理のサブルーチンのフローチャートである。これらの図にしたがって、上述した体形変化予測装置10による処理手順を詳細に説明する。
【0066】
図4のフローチャートに示すように、この体形変化予測装置10は電源ボタン3(図1)が押されると、電源がONになって動作を開始する。
・ステップS1:個人パラメータおよび活動データ等の入力
先ず、ステップS1で個人パラメータおよび活動データ等の入力を行う。そのため、図1に示したように表示画面2にそれらの入力用画面(各入力項目とその各既登録データ又はデフォルト値)を表示する。そこで、使用者が個人パラメータとして身長、体重、年齢、および性別と、活動データとして活動レベル(又は歩数)と体温の各データを、前述したように図1に示した上下左右カーソル移動ボタン4と決定ボタン5を使用して入力する。
【0067】
体温C1(℃)は、体温計で測定して入力してもよいし、自分の平熱(基礎体温)を記憶していればそれを入力すればよい。あるいは、体形変化予測装置に体温センサを接続して、それによる測定値を自動的に入力することも可能である。体形変化予測装置に無線通信機能を備えて、無線通信機能を有する体温計と通信を行って測定値を入力するようにしてもよい。
【0068】
さらに、体脂肪率FAT1(%)と予測時期までの経過期間(年数)も入力する。体脂肪率FAT1(%)は、体脂肪計で測定して入力してもよいし、自分の体脂肪率を記憶していればそれを入力すればよい。あるいは、体形変化予測装置に体脂肪計を接続して、それによる測定値を自動的に入力することも可能である。体形変化予測装置に無線通信機能を備えて、無線通信機能を有する体脂肪計と通信を行って測定値を入力するようにしてもよい。また、接続および通信によって体脂肪計に記憶されている個人パラメータや活動データも入力するようにしてもよい。
【0069】
その後、ステップS2〜S6の各算出処理を、図2に示したCPU15による自動演算で行う。
・ステップS2:太り易さ指数算出
先ずステップS2で太り易さ指数の算出を行う。この処理は、図5に示すサブルーチンにおけるステップS21〜S25の演算を順次行う。
【0070】
なお、図6に示すような日本人の性別および年齢に応じた基礎代謝基準値(kcal/kg/日)のテーブルデータと、日本人の平均体温である標準体温C0(℃)(10歳から50歳では36.89℃)、および体温が1℃低下した場合に基礎代謝量が低下する割合を示す体温係数θ(=13%)と、図7に示すような活動レベルと活動レベル係数との対応関係のテーブルデータを、予め図2に示したROM16に記憶させている。
【0071】
ステップS21:標準基礎代謝量算出
まず、入力された性別と年齢から、図6のテーブルによって基礎代謝基準値JAr(kcal/kg/日)を選択する。そして、その基礎代謝基準値JArと入力された現在の体重W1(kg)とから、標準基礎代謝量JA0(kcal/日)を。次式の演算によって算出する。
【0072】
JA0=JAr×W1(kcal/日)
ステップS22:推定基礎代謝量算出
まず、入力された体温C1(℃)とROM16に記憶されている標準体温C0(℃)とから差分体温Cd(℃)を、Cd=C0−C1の演算によって算出する。
【0073】
そして、ステップS21で算出した標準基礎代謝量JA0(kcal/日)と、上記差分体温Cd(℃)と、ROM16に記憶されている体温係数θ(%)とから、推定基礎代謝量JA1(kcal/日)を次式の演算によって算出する。
【0074】
JA1=JA0−(JA0×Cd×θ) (kcal/日)
ステップS23:標準必要総エネルギー量算出
ステップS21で算出した標準基礎代謝量JA01(kcal)と、標準活動レベル係数K0(一般に、図7に示したテーブルにおける活動レベルが普通の場合の活動レベル係数)から、標準必要総エネルギー量E0(kcal/日)を次式の演算によって算出する。
【0075】
E0=JA0×K0(kcal/日)
ステップS24:推定必要総エネルギー量算出
入力された活動レベル(1日の歩数)から図7のテーブルにより活動レベル係数K1を選択し、ステップS22で算出した推定基礎代謝量JA1(kcal/日)から、推定必要総エネルギー量E1(kcal/日)を次式の演算によって算出する。
【0076】
E1=JA1×K1(kcal/日)
ステップS25:1日の余剰エネルギー算出
ステップS23で算出した標準必要総エネルギー量E0(kcal/日)とステップS24で算出した推定基礎代謝量JA1(kcal/日)から、太り易さ指数として1日の余剰エネルギーEd(kcal/日)を次式の演算によって算出する。
【0077】
Ed=E0 −E1(kcal/日)
この演算処理を終了すると、図4のメインルーチンにリターンして、ステップS3に進む。
・ステップS3:経年後の脂肪増加量の算出
図4のステップS3では、ステップS2のステップS25で算出された1日の余剰エネルギー(kcal/日)と、入力された期間N(日数:1年であれば365日に換算する)と、脂肪量1kgあたりのカロリーef=7200(kcal) から、経年後の脂肪増加量である累積脂肪量F2(kg)を次式の演算によって算出する。
【0078】
F2=Ed×N/ef(kg)
なお図5におけるステップS23〜S25の演算に代えて、標準基礎代謝量JA0(kcal/日)と推定基礎代謝量JA1(kcal/日)の差分である差分基礎代謝量JAd(kcal/日)を、JAd=JA0−JA1の演算によって算出し、その差分基礎代謝量JAd(kcal/日)を太り易さ指数として、ステップS3の経年後の脂肪増加量算出に使用することもできる。その場合は、経年後の脂肪増加量である累積脂肪量F2(kg)を次式の演算によって算出する。
【0079】
F2=JAd×N/ef(kg)
・ステップ4:.予測前である現在の皮下脂肪厚算出
このステップ4では、体脂肪キャリパー法(皮下脂肪厚測定法の体脂肪率算出公式)を応用して、現在の皮下脂肪厚α1(mm) を算出する。
【0080】
まず、入力された現在の体重W1(kg)と身長H(cm)から現在の体表面積A1(m2)を、次式に演算によって算出する。
【0081】
A1=(W10.425)×(H0.725)× 0.007246
そして、入力された現在の体脂肪率FAT1(%)と現在の体重W1(kg)から、
現在の体脂肪量F1(kg)=(FAT1/100)×W1
現在の体密度D1=457/(FAT1+414.2)
を算出する。さらに、次式の演算によって、現在の皮脂厚係数X1を算出した後現在の皮脂厚α1(mm)を算出する
現在の皮下脂肪厚係数X1=(1.0923−D1)/0.000514
現在の皮下脂肪厚α1(mm)={X1×(W1/A1)}/100
・ステップ5:予測後である経年後の皮下脂肪厚算出
このステップ5では、入力された現在の体重W1(kg)と、ステップ3で算出した経年後の脂肪増加量である累積脂肪量F2(kg)とから、経年後の体重W2(kg)をW2=W1+F2の演算によって算出する。そして、経年後の体表面積A2(m2)を、次式に演算によって算出する。
【0082】
A2=(W20.425)×(H0.725)× 0.007246
そして、入力された現在の体脂肪量F1(kg)と、これまでに算出した累積脂肪量F2(kg)、経年後の体重W2(kg)、および経年後の体表面積A2(m2)を用いて、経年後の体脂肪率FAT2(%)、経年後の体密度D2、経年後の皮脂厚係数X2、および経年後の皮下脂肪厚α2(mm)を、次の各式の演算によって順次算出する。
【0083】
経年後の体脂肪率FAT2(%)={(F1+F2)/W2}×100
経年後の体密度D2=457/(FAT2+414.2)
経年後の皮下脂肪厚係数X2=(1.0923−D2)/0.000514
経年後の皮下脂肪厚α2(mm)={X2×(W2/A2)}/100
・ステップ6:予測後である経年後の頬部輪郭補正値算出(顔の輪郭変化を予測)
ここまでは、体脂肪率算出法のひとつであるキャリパー法の公式を元に、現在の体脂肪率と経年後の脂肪増加量から、現在と経年後の皮下脂肪厚を逆算している。ただし、この場合の皮下脂肪厚値は、上腕背部と肩甲骨下部の皮下脂肪厚値の合算値であり、輪郭補正値を算出しようとする顔の頬部の皮下脂肪厚値とは異なるため換算が必要である。そのため頬部予測係数Zを用いる。
【0084】
すなわち、このステップ6では、ステップ4で算出した現在の皮脂厚α1(mm)およびステップ5で算出した経年後の皮脂厚α2(mm)から、頬部予測係数Zを用いて、現在の頬部皮下脂肪厚T1(mm)および経年後の頬部皮下脂肪厚T2(mm)を、それぞれ次の各式の演算によって算出する。
【0085】
現在の頬部皮下脂肪厚T1(mm)=α1×Z
経年後の頬部皮下脂肪厚T2(mm)=α2×Z
そして、経年後の輪郭補正値ΔT(mm)を次式の演算によって算出する。
【0086】
輪郭補正値ΔT(mm)=T2−T1
このように、頬部皮下脂肪厚T(mm)=α×Zであり、これを現在の体脂肪率から求めた「現在の頬部皮下脂肪厚T1」と太り易さ指数による経過年数後の体脂肪率から求めた「経過年数後の頬部皮下脂肪厚T2」との差を取り、頬部輪郭の補正値ΔTとする。
【0087】
ここで使用する頬部予測係数Zは、図8に示すように性別および年代(若年、中年、高年)別にテーブルデータとして、図2に示したROM16に予め格納しておき、入力された性別および年齢に応じて選択する。
【0088】
この頬部予測係数Zは、上腕背部と肩甲骨下部の皮下脂肪厚値の合算値である皮下脂肪厚α(mm)に対する頬部の皮下脂肪厚の比率を示す係数である。そのため、図8のテーブルは、頬部、上腕背部、および肩甲骨下部の各皮下脂肪厚(mm)と、それを合算した皮下脂肪厚α(mm)と、頬部予測係数Zの例を示している。
【0089】
これは、例えば公知の論文である「日本人の体組成(健康科学 第19巻1997年):小宮秀一氏」に掲載されている、図9に示すような日本人の性別および年代別の皮下脂肪
厚とその体部位ごとの配分データから算出することができる。
【0090】
〔ステップS2〜S6による自動演算の実例〕
ここで、上述した図4のステップS2(図5のステップS21〜S25)〜S6による自動演算の実例示す。
【0091】
ステップS1で入力された個人パラメータが、性別:男、年齢:45才、体重:W1=67.0(kg)、身長:H=173(cm)、活動データが、活動レベル:普通(又は歩数10000歩)、体温:C1=35.89(℃)、および現在の体脂肪率:FAT1=20.0(%)、経過期間:N=1年の場合の各値の算出例を示す。
【0092】
10〜50才の場合の標準体温C0は36.89(℃)であるから、差分体温Cdは、
Cd=C0−C1=36.89−35.89=1.00(℃)
である。また、男性で45才の場合の基礎代謝基準値JArは、図6のテーブルデータからJAr=22.3(kcal/kg/日)であるから、標準基礎代謝量JA0(kcal/日)は、
JA0=JAr×W1=22.3×67.0=1494.1(kcal/日)
となる。
【0093】
体温係数θ=0.13であるから、推定基礎代謝量JA1(kcal/日)は、
JA1=JA0−(JA0×Cd×θ)
-=1494.1−(1494.1×1.00×0.13)
=1299.9(kcal /日)
となる。
【0094】
標準活動レベルを「普通」とすると、図7のテーブルデータから活動レベル係数K0=1.75である。そこで、標準必要総エネルギー量E0(kcal/日)は、
E0=JA0×K0=1494.1×1.75=2614.7(kcal/日)
となる。
【0095】
また、入力された活動レベルも「普通」であるから、図7のテーブルデータから活動レベル係数K0=1.75である。そのため、推定必要総エネルギー量E1(kcal/日)は、
E1=JA1×K1=1299.9×1.75=2274.8(kcal/日)
となる。
【0096】
したがって、太り易さ指数として1日の余剰エネルギーEd(kcal/日)は、
Ed=E0−E1=2614.7−2274.8=339.9(kcal/日)
となる。
【0097】
経過期間の1年は365日であり、脂肪量1kgあたりのカロリー:ef(kcal)=7200(kcal)であるから、経年後の脂肪増加量である累積脂肪量F2(kg)を次式の演算によって算出する。
【0098】
F2=Ed×N/ef=(339.9×365)/7200=17.23(kg)
の脂肪が1年間に蓄積する。
【0099】
入力値がW1=67.0kg、H=173cm、FAT1=20.0%であるから、現在の体表面積A1(m2)は、
A1=(W10.425)×(H0.725)× 0.007246
-=(67.00.425) ×(1730.725)×0.007246=1.8145(m2)
となる。
【0100】
現在の体脂肪量F1(kg)=(FAT1/100)×W1
=(20.0/100) ×67.0=13.4(kg)
現在の体密度D1=457/(FAT1+414.2)
=457/(20.0+414.2)=1.0525
現在の皮下脂肪厚係数X1=(1.0923−D1)/0.000514
=(1.0923−1.0525)/0.00051
=78.04
現在の皮下脂肪厚α1(mm)={X1×(W1/A1)}/100
={78.04×(67.0/1.8145)}/100
=28.8(mm)
経年後の体重W2(kg)=W1+F2-=67.0+17.2=84.2(kg)
経年後の体脂肪率FAT2(%)={(F1+F2)/W2}×100
={(13.4+17.23)/84.2}×100=36.3(%)
経年後の体密度D2=457/(FAT2+414.2)
=457/(36.3+414.2)=1.0144
経年後の皮下脂肪厚係数X2=(1.0923−D2)/0.000514
=(1.0923−1.0144)/0.000514
=152.75
経年後の体表面積A2(m2)=(W20.425)×(H0.725)× 0.007246
=(84.20.425)×(1730.725)×0.007246
=1.9996(m2)
経年後の皮下脂肪厚α2(mm)={ X2×(W2/A2)}/100
={152.75 ×(84.2/105.30)}/100
=64.3(mm)
頬部予測係数Zを、入力された年齢と性別から図8のテーブルデータにより0.7とする。したがって、
現在の頬部皮下脂肪厚T1(mm)=α1×Z
=28.8×0.7=20.2(mm)
経年後の頬部皮下脂肪厚T2(mm)=α2×Z
=64.3×0.7=45.0(mm)
輪郭補正値ΔT(mm)=T2−T1
=45.0−20.2=24.8(mm)
となる。
【0101】
〔図4のステップS7〜S12の処理〕
再び図4に戻って、ステップS7〜S12の処理について説明する。
・ステップS7:カメラで顔を撮影
ステップS6で輪郭補正値ΔTの算出が完了すると、ステップS7へ進み、図1に示した表示画面2に使用者に対してカメラ6による顔の撮影を促すメッセージを表示する。その後シャッター7が押されると、カメラ6が顔を撮影し、顔画像入力手段25が撮影された顔の画像データを図2のRAM16に記憶させる。
・ステップS8:撮影された顔画像を表示
そして、ステップS8で、その撮影された顔画像を表示画面2に表示する。使用者がその顔画像を確認して、気に入らない場合には撮影し直すこともできる。
・ステップS9:顔画像の輪郭基準点設定
次に、ステップS9では、図10に示すように表示された顔画像の輪郭基準点を設定す
る。このとき、図1における表示画面2上に入力された顔画像とともに位置ポインタ(カーソル)を表示し、それを使用者が上下左右カーソル移動ボタン4の操作によって任意の位置に移動させ、決定ボタン5を押すと、その時に位置ポインタが示す位置を、図3の輪郭基準点設定手段31が輪郭基準点の一つとして設定(記憶)する。
【0102】
この例では、図10に示すように、両耳穴の位置a,bと、下顎の位置cと、両眼の位置d,eの順次位置ポインタを合わせて決定ボタン5を押し、a,b,c,d,eをそれぞれ輪郭基準点として設定する。
・ステップS10:変形領域特定
次に、ステップ10で変形領域を特定する。この処理は、図3の変形領域特定手段31が輪郭基準点設定手段31(ステップ9)によって設定された輪郭基準点a,b,c,d,eに基づいて、顔の輪郭を変形処理するための変形領域を自動的に特定する。
【0103】
それを図11によって説明する。まず、輪郭基準点aとbを結ぶ線を一辺とする長方形の枠線と、輪郭基準点dからその一辺に直交する垂線とによって囲まれた左側の枠線L1内の領域を左側の変形領域A1として特定する。
【0104】
同様に、輪郭基準点aとbを結ぶ線を一辺とする長方形の枠線と、輪郭基準点eからその一辺に直交する垂線とによって囲まれた右側の枠線L2内の領域を右側の変形領域A2として特定する。
・ステップS10:輪郭補正値に基づいて輪郭画像変形処理
このステップS10では、輪郭補正値に基づいて輪郭画像変形処理を行うが、この処理も図3の輪郭画像変形処理手段33が、輪郭補正値演算手段30(ステップS6)によって算出された経過期間後の顔の輪郭変化の予測結果である輪郭補正値ΔTに基づいて、変形領域特定手段31(ステップS10)によって特定された顔画像の輪郭の変形領域に対して自動的に輪郭画像変形処理を行う。
【0105】
そのため、まずスケーリング基準算出を行う。日本人の両眼の間隔(図10に示した点d−e間の距離)は65〜70(mm)であるから、輪郭基準点d,e 間の距離を67.5(mm)と仮定して、図10における破線枠内の画像を絶対スケーリングする。
【0106】
そして、輪郭画像変形処理を行うが、それを図12によって説明する。
【0107】
まず、左頬変形処理を行う。そのため、図12の(イ)に破線で囲んで示す左側の変形領域A1の画像を切り出し、X,Y座標でY方向の下から1/4の点を輪郭補正値ΔT分だけ左方向(−X方向)にずらした点をピークとするスプライン曲線で変形した後、(ロ)に示すように元の画像位置に合成する。
【0108】
次に、右頬変形処理を行う。そのため、図12の(ロ)に破線で囲んで示す右側の変形領域A2の画像を切り出し、X,Y座標でY方向の下から1/4の点を輪郭補正値ΔT分だけ右方向(+X方向)にずらした点をピークとするスプライン曲線で変形した後、(ハ)に示すように元の画像位置に合成する。
【0109】
このようにして、輪郭画像変形処理を完了する。さらに、実感を出すために、皺強調処理や肌色補正等を行ってもよい。
・ステップS12:推定顔画像を表示
このステップ12では、図3の推定顔画像表示手段34が、上述のように輪郭画像変形処理を完了した図12の(ハ)に示すような顔画像を、経過期間後(例えば1年後)の推定顔画像として図1の表示画面2に表示する。このとき、対比の便宜のために現在の顔である入力された顔画像を並べて、あるいは経過期間後の推定顔画像と交互に表示するよう
にしてもよい。
【0110】
使用者が、この表示された経過期間後(予測後)の推定顔画像を確認した後、図1に示す電源ボタン3を一定時間以上押せば、電源がOFFになって処理を終了する。
【0111】
このように、予測期間後の自分の推定顔画像を見ることによって太り過ぎないように適度の運動などを行って健康管理をすることに対するモチベーションが高まる。
【0112】
上述の例では、輪郭補正値ΔTが正で頬の輪郭が膨らむ(太る)場合の例を説明したが、活動レベルが高く、太り易さ指数(1日当たりの余剰エネルギー)が負になると、輪郭補正値ΔTが負になって、頬の輪郭が引っ込む(細る)ように変形することになる。それによって、ダイエット効果を予測することもできる。
〔他の実施形態〕
この発明による体形変化予測装置の他の実施形態を図13によって説明する。
【0113】
この図13はその体形変化予測装置20の機能構成を示すブロック図であり、図3に示した前述した実施形態の体形変化予測装置10を一部変更したものである。
【0114】
この体形変化予測装置20では、図3に示した体形変化予測装置10における活動データ入力手段22に代えて、活動量入力手段41と摂取カロリー入力手段42を設けているが、これらがいずれも活動データ入力手段に相当する。そして、太り易さ指数演算手段43の機能が、図3の太り易さ指数演算手段26とは少し異っている。
【0115】
その他の各手段の機能及び外観やハード構成などは、前述の実施形態と同様であるから、それらの説明は省略する。
【0116】
活動量入力手段41は、活動データとして活動量計などで実際に計測した結果による1日の活動量Kout(kcal)を入力する。このとき、体形変化予測装置に活動量計を接続して、活動量を自動的に入力することも可能である。また、体形変化予測装置に無線通信機能を備えて、無線通信機能を有する活動量計と通信を行って測定値を入力するようにしてもよい。摂取カロリー入力手段42は、活動データとして飲食などのカロリー摂取活動による1日の摂取カロリーKin(kcal)を入力する。これは、例えば食品カロリー表などにより、1日の食事で摂取した食品をカロリーに換算した総量である。なお、活動量計との接続または通信によって活動量計に記憶されている個人パラメータや摂取カロリーも入力するようにしてもよい。
【0117】
これらの入力方法は、前述の実施形態と同様だが、図1に示した表示画面2のデータ入力用の表示項目として、「体温」と「活動レベル」に代えて、「活動量」と「摂取カロリー」を表示する。
【0118】
そして、太り易さ指数演算手段43は、入力された1日の摂取カロリーKin(kcal)と活動量Kout(kcal)から、必要総エネルギー差分Ed(kcal)を次式の演算によって算出し、それを太り易さ指数である1日の余剰エネルギーとして出力する。
【0119】
Ed(kcal)=Kin−Kout
したがって、図4に示したフローチャートにおけるステップS1とS2だけが前述の実施形態の場合と異なる。
【0120】
すなわち、ステップS1では個人パラメータ及び活動量と1日の摂取カロリー等を入力し、ステップS2では、必要総エネルギー差分Ed(kcal)=Kin−Koutの演算のみによって、太り易さ指数で(1日の余剰エネルギー)を算出する。したがって、図5に示したサブルーチンと異なる処理によって太り易さ指数で(1日の余剰エネルギー)を算出する。
【0121】
〔他の実施形態〕
上述の実施形態では、個人パラメータと活動データから、1日の余剰エネルギーを求めて経年後の脂肪増加量である累積脂肪量F2(kg)を算出し、現在の体重W1(kg)と、算出した経年後の脂肪増加量である累積脂肪量F2(kg)とから、経年後の体重W2(kg)を算出することによって、予測後である経年後の皮下脂肪厚を推定し、それを頬部皮下脂肪厚に変換して経年後の顔輪郭を予測していたが、経年後の体重を直接入力することによって経年後の顔輪郭補正値を算出するようにしてもよい。さらに、経年後の体重ではなく、経年後の体脂肪率を直接入力することによって経年後の皮下脂肪厚を推定し、それを頬部皮下脂肪厚に変換して経年後の顔輪郭を予測するようにしてもよい。
【0122】
このとき、直接入力する経年後の体重は、経年後に予測される体重でもよいし、目標とする体重でもよい。目標とする体重を直接入力することで、目標とする体重となったときの顔の輪郭変化の予測結果を知ることができ、健康管理活動に対するモチベーションを高めることができる。
また、上述の実施形態では現在と経年後の将来を体形変化の予測前後としているが、体形変化の予測前後は、過去と将来、過去と現在、将来のある時点とそれとは異なる将来の時点、過去のある時点とそれとは異なる過去の時点などとすることもできる。このとき、個人パラメータや活動データは、予測前後とした過去時点でのデータ、将来の予測値、将来の目標値とすることができる。
【0123】
以上、この発明による体形変化予測装置の実施形態について説明したが、その外観形状やハード構成なども種々に変更可能であることも当然である。
【0124】
他の機能を有する機器に、この発明による体形変化予測装置の機能を持たせるようした実施例も当然構成し得る。
【産業上の利用可能性】
【0125】
この発明による体形変化予測装置は、専用の装置として利用することもできるが、情報機器(パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話機、電子書籍等)、健康機器(電子血圧計、活動量計、歩数計、電子ヘルスメータ等)や、携帯型ゲーム機など各種の装置に組み込んで(ハード又はソフトで)、この発明による体形変化予測装置の機能を持たせて利用することも可能である。それによって、現在の活動量やカロリー摂取状態などを継続した場合の予測期間後の自分の顔の輪郭変化を知ることができ、健康管理活動に対するモチベーションを高めることができる。
【符号の説明】
【0126】
1:ケース 2:表示画面 3:電源ボタン
4:上下左右カーソル移動ボタン 5:決定ボタン 6:カメラ
7:シャッター 10,20:体形変化予測装置
11:操作部 12:表示部 13:電源部13 15:CPU
16:ROM 17:RAM 18:NVRAM(不揮発性RAM)
19:バス 21:個人パラメータ入力手段 22:活動データ入力手段
23:体脂肪率入力手段 24:経過期間入力手段 :25:顔画像入力手段
26:太り易さ指数演算手段 27:脂肪増加量演算手段27
28:現在皮下脂肪厚演算手段 29:経年後皮下脂肪厚演算手段
30:輪郭補正値演算手段(顔輪郭変化予測手段) 31:輪郭基準点設定手段
32:変形領域特定手段 33:輪郭画像変形処理手段
34:推定顔画像表示手段 41:活動量入力手段
42:摂取カロリー入力手段 43:太り易さ指数演算手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、個人の現在の身長、体重、年齢、および性別の個人パラメータと、個人の活動量を示す活動データとから、その個人の経過期間後の体形変化を予測する体形変化予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人口構成の高齢化と共に生活習慣病が大きな社会問題になり、生活習慣病に罹患しないように一人一人が健康増進に努めることが求められ始めている。特に生活習慣病と密接に関係しているといわれている肥満の防止には、食事や運動の管理が不可欠である。
【0003】
肥満の防止のためや、ダイエットや減量を行う際には、公開されている統計的な1日に必要なカロリー値を前提に、心拍計や歩数計による運動消費カロリーの目標や、食事メニューの摂取カロリーの目標値を決めて、それを実行することが望ましい。
【0004】
しかし、このようなカロリー値は、あくまで統計的な必要カロリーを目標基準としているため、実際には個人差が大きく、同じ運動量、同じダイエット食を実践しても効果が得られ易い人と、得られ難い人がある。
【0005】
ところで、人間は、生命活動を維持するために生体で自動的に行われる活動である基礎代謝と、仕事や運動など日常活動上必要な運動代謝と、食事を取ったときに消化や吸収が行われる活動である食事代謝との3つの代謝を行っている。
【0006】
それぞれの代謝を代謝量として見立てると、それぞれはエネルギーとして考えることができ、この3つの代謝量の合計が総必要エネルギーとなる。
【0007】
基礎代謝量は、標準的な生活をしている場合は、総必要エネルギーの約60%程度を占める。また、運動代謝量は約30%、食事代謝量は約10%となっている。
【0008】
心拍計や歩数計などを装着して運動を行っても、そもそも総必要エネルギーの約30%の部分である運動代謝量を消費しているだけであるから、総必要エネルギーの約60%程度を占める基礎代謝量に着目した食事や運動の管理を行う方が効率がよいという考えがある。そこで、近年では基礎代謝量を知って、それに応じて食事や運動の管理をすることが行われ始めた。
【0009】
基礎代謝量は、身体の基本的機能を維持するために必要なエネルギーであるため、その値を決める主たる要因は、各個人の身長、体重、年齢、性別であるが、体温によっても変わる。ここで「体温」とは、厳密には「基礎体温」であるが、代謝エネルギーを算定する上では重要ではないので、本明細書中では単に「体温」と称す。
【0010】
そのため、各人の体温差に基づく基礎代謝量の差を定量的に算出して、身体の監視や健康管理に役立てて行くことが必要である。
【0011】
そこで、各個人の身長、体重、年齢、性別に応じた標準基礎代謝量と体温から標準体温に対する体温差を考慮した推定基礎代謝量を算出し、その標準基礎代謝量との基礎代謝差分データを算出し、それを太り易さ指数に換算し、それを食品(例えば、1日に減らすおにぎりの個数)、運動量(例えば、1日の速歩運動の歩数)、または1年後の蓄積脂肪量などに換算して表示することができる代謝エネルギー算定装置を、本発明者が既に提案し
ている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
また、個人の身体データや健康状態を示す健康診断データ、個人の食生活及び嗜好品の内容を示す食生活データ、個人の生活行動に関する生活習慣データ、および病気に関する病気データを入力することによって、例えば5年後の状態をシュミレーションし、現在の分身と5年後の分身をイラストで表示し、そのときの健康状態や、太ることが予想させる場合にはそれに対する対処方法などを表示するようにした分身健康・体型予測システムも提案させている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−124873号公報
【特許文献2】特開2007−310632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、各自が生活習慣病を予防し、健康を増進するために、摂取カロリーを管理し、適度な身体運動量(エクササイズ)を実行しようとしても、それを継続するのが難しかった。それは、即効性がなく結果がよく分らないためや、生活習慣病予防という負のイメージだけではやる気を維持できないという問題があった。
【0015】
前述した特許文献1で提案した装置では、個人の推定基礎代謝量と標準基礎代謝量との差分データから太り易さ指数を算出し、それを例えば1日に減らすべき食品の量(おにぎりの数等)や実行すべき運動量(速歩運動の歩数等)で表示したり、それらを行わない場合の1年後の蓄積脂肪量などを表示することによって、モチベーションを高めようとしているが、その効果を充分に実感できず、モチベーションを維持できないという課題がある。
【0016】
また、特許文献2に開示されている分身健康・体型予測システムは、健康診断データ、食生活データ、生活習慣データ、および病気データなど多岐に亘る個人データを入力しなければならない煩雑なものであり、イラストで表示される現在の分身とシュミレーションされた5年後の分身とを対比すれば、ある程度は効果のイメージが得られるが、イラスト表示であるため自分のこととしての実感に乏しいものであった。
【0017】
この発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、適度な身体運動量(エクササイズ)の運動を継続して実行した場合などの効果を事前に実感できるように予測し、モチベーションを高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は上記の目的を達成するため、個人の現在の身長、体重、年齢、および性別の個人パラメータと、個人の活動量を示す活動データとを得て、個人の体形変化を予測する体形変化予測装置において、上記個人パラメータおよび活動データの中から選択されたデータに基づいて予測前後の皮下脂肪厚を算出する手段と、その予測前後の皮下脂肪厚を頬部皮下脂肪厚に変換することによって予測前後の顔の輪郭変化を予測する顔輪郭変化予測手段とを有することを特徴とする。
【0019】
上記顔輪郭変化予測手段は、皮下脂肪を頬部皮下脂肪厚に変換するための頬部予測係数を性別および年齢に応じたテーブルとして記憶し、上記個人パラメータによる性別および年齢に応じた頬部予測係数をそのテーブルから選択して、その頬部予測係数により上記経過期間後の皮下脂肪厚を上記頬部皮下脂肪厚に変換することができる。
【0020】
上記体形変化予測装置において、上記個人の予測前の体脂肪率を得て、その体脂肪率と上記個人パラメータのうちの予測前の体重及び身長とに基づいて予測前の皮下脂肪厚を算出する予測前皮下脂肪厚演算手段を有し、上記顔輪郭変化予測手段は、上記予測前皮下脂肪厚演算手段によって算出された予測前の皮下脂肪厚に上記選択した頬部予測係数を乗じて予測前の頬部皮下脂肪厚を、上記予測前後の皮下脂肪厚に上記選択した頬部予測係数を乗じて予測後の頬部皮下脂肪をそれぞれ算出し、その予測後の頬部皮下脂肪厚から予測前の頬部皮下脂肪厚を減じて輪郭補正値を算出して上記顔の輪郭変化を予測するようにするとよい。
【0021】
上記予測後の皮下脂肪圧を算出する手段は、上記個人パラメータおよび上記活動データに基づいて1日当りの余剰エネルギーを求め、その余剰エネルギーと予測前後の経年期間から予測後の皮下脂肪圧を算出するとよい。
【0022】
上記活動データは、個人の体温と、個人の1日の活動量を活動レベルとして表したデータであるとよい。あるいは、上記活動データは、個人の1日の活動量と、個人の1日の摂取カロリーであってもよい。
【0023】
上記予測後の皮下脂肪圧を算出する手段は、上記個人パラメータである予測後の体重または体脂肪率に基づいて予測後の皮下脂肪圧を算出してもよい。
【0024】
これらの体形変化予測装置において、上記個人の顔画像を撮像して入力する顔画像入力手段と、その顔画像入力手段によって入力された顔画像の輪郭基準点を設定する輪郭基準点設定手段と、その輪郭基準点設定手段によって設定された輪郭基準点に基づいて顔画像の輪郭の変形領域を特定する変形領域特定手段と、上記顔輪郭変化予測手段によって予測された上記顔の輪郭変化の予測結果に基づいて、上記変形領域特定手段によって特定された顔画像の輪郭の変形領域に対して輪郭画像変形処理を行う輪郭画像変形処理手段と、その輪郭画像変形処理手段によって輪郭画像変形処理を行った顔画像を経過期間後の推定顔画像として表示する推定顔画像表示手段とを有するのが望ましい。
【発明の効果】
【0025】
この発明による体形変化予測装置は、個人の現在の身長、体重、年齢、および性別の個人パラメータと、個人の活動量を示す活動データとから選択されたデータに基づいて予測前後の皮下脂肪厚を算出し、その予測前後の皮下脂肪厚を頬部皮下脂肪厚に変換することによって予測前後の顔の輪郭変化を予測することができる。それによって、最も実感し易い顔の輪郭変化の予測結果を知らせて、健康管理活動に対するモチベーションを高めることができる。
【0026】
その顔の輪郭変化を予測した本人の顔画像を、経過期間後の推定顔画像として表示するようにすれば、一層実感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明による体形変化予測装置の一実施形態を示す外観図である。
【図2】同じくそのハード構成を示すブロック図である。
【図3】同じくその機能構成を示す機能ブロック図である。
【図4】この発明による体形変化予測装置の一実施形態における操作及び処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図4におけるステップS2の太り易さ指数算出処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図6】日本人の性別および年齢に応じた基礎代謝基準値(kcal/kg/日)のテーブルデータの例を示す図である。
【図7】活動レベルと活動レベル係数との対応関係のテーブルデータの例を示す図である。
【図8】性別および年代(若年、中年、高年)別の頬部、上腕背部および肩甲骨下部の各皮下脂肪厚(mm)と皮下脂肪厚α(mm)および頬部予測係数Zのテーブルデータの例を示す図である。
【図9】日本人の性別および年代別の皮下脂肪厚の体部位ごとの配分データを示す線図である。
【図10】入力された顔画像とその輪郭基準点の設定に関する説明図である。
【図11】顔画像の変形領域の特定に関する説明図である。
【図12】輪郭画像変形処理を説明するための図である。
【図13】この発明による体形変化予測装置の図3に示した実施形態を一部変更した実施形態の機能構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
【0029】
〔実施形態の外観例〕
図1は、この発明による体形変化予測装置の一実施形態を示す外観図である。
【0030】
この体形変化予測装置は、携帯型情報端末や携帯型ゲーム機などと類似した形状及び構成であり、それらや携帯電話機、ノート型パーソナルコンピュータ等の各種のパーソナル情報機器を利用することも可能である。
【0031】
図1に示す体形変化予測装置10は、手の平に載るサイズの長方形で薄型のケース1の前面に、表示画面2が大きな割合を占めて設けられている。その表示画面2の下側に電源ボタン3と、上ボタンU,下ボタンD,左ボタンL,右ボタンRの4個のボタンからなる上下左右カーソル移動ボタン4と、決定ボタン5が配置されている。表示画面2の上側には、顔画像を撮影するためのカメラ6の撮影窓が設けられ、上側面にはそのカメラ6のシャッター7が設けられている。
【0032】
この体形変化予測装置10は、電源ボタン3を押されると起動して、例えばドットマトリクス形の液晶表示パネルによる表示画面2に、図1に示すように体温、身長、体重、年齢、性別、活動レベル、体脂肪率、及び予測する経過期間(予測○年後)の各項目とその各データを表示する。その各データは、以前に決定された入力データを記憶していればそれを表示し、それがなければ予め用意しているデフォルト値を表示する。そして、どれかの項目(最初は例えば「身長」)のデータの下にカーソルを表示する。
【0033】
そして、表示されているデータを変更しない場合は、使用者が決定ボタン5を押すとそのデータが入力データとして保持され、カーソルが次の項目のデータの下へ移動する。表示されているデータを変更したい場合には、例えば「身長」が173cmと表示されている下にカーソルが点滅表示されている状態で、上下左右カーソル移動ボタン4の上ボタンUを1回押すごとに表示される数値が1cmずつ増加し、下ボタンDを1回押すごとに表示される数値が1cmずつ減少するので、自分の身長に該当する数値になった状態で決定ボタン5を押せば、その数値が入力データとして記憶される。
【0034】
決定後、上下左右カーソル移動ボタン4によって、任意の項目にカーソルを移動させることもできる。また、「性別」においては上ボタンU又は下ボタンDを押すごとに「男」と「女」の表示が入れ替わる。経過期間の「予測○年後」においては年数が増減する。
【0035】
このようにして、表示されている各項目のデータを使用者の個人のデータとして入力することができる。そして、決定ボタン5を所定時間(例えば3秒)以上押し続けると、全項目の入力を終了する。
【0036】
〔実施形態のハード構成〕
この体形変化予測装置10のハード構成は、図2のハード構成を示すブロック図に示すように、操作部11、表示部12、カメラ7、および電源部13と、マイクロコンピュータを構成するCPU15、ROM16、RAM17、NVRAM(不揮発性RAM)18、およびそれら全てをデータのやり取り可能に接続するバス19とからなっている。
【0037】
操作部11は、図1に示した上下左右カーソル移動ボタン4と決定ボタン5とその各ボタンの押下検知回路等からなる。
【0038】
表示部12は、図1に示した表示画面2を構成するドットマトリクス形の液晶表示パネルとその駆動回路を含む液晶表示装置と表示制御回路等からなる。
【0039】
カメラ7は、CCD等の撮像デバイスと被写体の画像をその撮像デバイス上に結像させるレンズ系とからなり、被写体を撮像した画像データをデジタルデータとして出力することができる。
【0040】
CPU15は、ROM16に格納されたプログラムによって動作して、後述する各種の演算および判断・処理を実行する機能を有し、この体形変化予測装置10全体を統括制御する。
【0041】
ROM16は,CPU15の動作プログラムおよび後述する各種テーブルを含む固定データを格納した読み出し専用メモリである。RAM17は、CPU15のワーキングメモリとして使用されると共に、一時的なデータを記憶する書き込み及び読み出し可能なメモリである。
【0042】
NVRAM18は、給電が断たれても記憶データを保持できる不揮発性メモリであり、図1によって前述した身長、体重、年齢、および性別の個人パラメータ、個人の活動量を示す活動データである体温と活動レベル、体脂肪率及び経過期間等の各値がそれぞれ選択されて決定された各データを記憶(登録)する。また、これらの各データのデフォルト値およびそれを図1に示した上ボタンU又は下ボタンDが押されるごとに順次変更表示する一連の値も、このNVRAM18に記憶させておいてもよいが、それらはROM16に格納しておいてもよい。
【0043】
電源部13は、電源ボタン3の押下によって上述した各部に必要な電源を供給し、再度電源ボタン3が押下されたとき、あるいは所定時間以上何の操作もされなかったときにその電源供給を遮断するもので、電源として乾電池又は充電可能な二次電池を備えるか、外部のアダプターによって商用電源を降圧及び整流・平滑した直流が供給されるようにしてもよい。
【0044】
〔実施形態の機能構成〕
上述した体形変化予測装置10の機能構成を、図3に示す機能ブロック図によって説明する。この機能は図2に示したCPU15が他の各部と協働して実行する。
【0045】
この発明による体形変化予測装置は、前述したように、個人の現在の身長、体重、年齢、および性別の個人パラメータと、個人の活動量を示す活動データとを得て、個人の体形変化を予測する体形変化予測装置であり、上記個人パラメータおよび活動データの中から
選択されたデータに基づいて予測前後の皮下脂肪厚を算出し、それを頬部皮下脂肪厚に変換することによって予測前後の顔の輪郭変化を予測する機能を有している。
【0046】
そのため、この実施形態の図3に示す体形変化予測装置10は、入力手段として、個人パラメータ入力手段21、活動データ入力手段22、体脂肪率入力手段23、経過期間入力手段24、および顔画像入力手段(撮像部)25を有している。
【0047】
これらのうち、個人パラメータ入力手段21、活動データ入力手段22、体脂肪率入力手段23、および経過期間入力手段24は、図1の上下左右カーソル移動ボタン4と決定ボタン5を含む図2の操作部11と、図1の表示画面2を含む図2の表示部12と、CPU15およびROM16、RAM17、NVRAM18等によってなされる機能である。
【0048】
個人パラメータ入力手段21は、図1に示す表示画面に身長、体重、年齢、および性別の項目と現在NVRAM18に登録されている各項目のデータか、それが無い場合はデフォルトの各データを表示し、前述したように使用者が上下左右カーソル移動ボタン4を用いて、それぞれ自分の現在の身長、体重、年齢、および性別のデータを順次選択して、決定ボタン5を押すごとに、そのデータを順次NVRAM18の身長、体重、年齢、および性別の各記憶領域に記憶(登録)する。
【0049】
活動データ入力手段22は、図1に示す表示画面に体温および活動レベルの項目と現在NVRAM18に登録されている各項目のデータか、それが無い場合はデフォルトの各データを表示し、前述したように使用者が上下左右カーソル移動ボタン4を用いて、それぞれ自分の現在の体温および活動レベルのデータを順次選択して、決定ボタン5を押すごとに、そのデータを順次NVRAM18の体温および活動レベルの各記憶領域に記憶(登録)する。
【0050】
体脂肪率入力手段23と経過期間入力手段24も同様に、それぞれ図1に示す表示画面に体脂肪率、経過期間(予測○年後)の項目と現在NVRAM18に登録されているデータか、それが無い場合はデフォルトのデータを表示し、前述したように使用者が上下左右カーソル移動ボタン4を用いて、それぞれ自分の現在の体脂肪率、および予測したい時期までの年数のデータを選択して決定ボタン5を押すと、その各データをNVRAM18の体脂肪率および経過期間の各記憶領域に記憶(登録)する。
【0051】
顔画像入力手段(撮像部)25は、図1および図2に示したカメラ6によって、そのシャター7が押された時に、使用者の個人の顔画像を撮像(撮影)してデジタルの画像データとして入力し、その画像データをRAM17に記憶させる。
【0052】
次に演算手段として、太り易さ指数演算手段26、脂肪増加量演算手段27、現在皮下脂肪厚演算手段28、経年後皮下脂肪厚演算手段29、および輪郭補正値演算手段(顔輪郭変化予測手段)30を有している。
【0053】
これらの各演算手段は、図2に示したCPU15が、NVRAM18に記憶(登録)された各データに基づいて、ROM16に格納されているテーブルデータや固定データを用いて演算を行う機能である。その各演算内容の詳細は、図4のフローチャートの説明において後述するが、その概略を以下に述べる。
【0054】
太り易さ指数演算手段26は、個人パラメータ入力手段21および活動データ入力手段22によって入力された各データの中から選択されたデータに基づいて、1日当りの余剰エネルギーを太り易さ指数として算出する。
【0055】
脂肪増加量演算手段27は、太り易さ指数演算手段26によって算出された1日当りの余剰エネルギーと、経過期間入力手段24によって入力された経過期間(年数)とに基づいて経過期間後の脂肪増加量を算出する。
【0056】
現在皮下脂肪厚演算手段28は、予測前の皮下脂肪厚を算出する手段であり、個人パラメータ入力手段21によって入力された体重および身長と、体脂肪率入力手段23によって入力された予測前である現在の体脂肪率とに基づいて現在(予測前の)の皮下脂肪厚を算出する。
【0057】
経年後皮下脂肪厚演算手段29は、予測後の皮下脂肪厚を算出する手段であり、脂肪増加量演算手段27によって算出された経過期間(年数)後の脂肪増加量と、個人パラメータ入力手段21によって入力された体重および身長とに基づいて、経過期間後である予測後の皮下脂肪厚を算出する。
【0058】
輪郭補正値演算手段30は、経年後皮下脂肪厚演算手段29によって算出された経過期間後(予測後)の皮下脂肪厚と、現在皮下脂肪厚演算手段28によって算出された現在(予測前の)の皮下脂肪厚と、前記個人パラメータ入力手段21によって入力された性別および年齢とに基づいて、経過期間後である予測後の輪郭補正値を算出して顔の輪郭変化を予測する顔輪郭変化予測手段である。
【0059】
さらに、顔画像入力手段25によって入力した顔画像をその輪郭変化の予測結果に基づいて変形処理して表示するための手段として、輪郭基準点設定手段31、変形領域特定手段32、輪郭画像変形処理手段33、および推定顔画像表示手段34を有する。
【0060】
これらの各手段は、図2に示したCPU15が、RAM17に入力した顔画像のデータに対して、顔の輪郭変化の予測結果である輪郭補正値に基づいて、表示部12と操作部11を用いて行う機能である。その内容の詳細も後述するが、その概略を以下に述べる。
【0061】
輪郭基準点設定手段31は、顔画像入力手段25によって入力された顔画像を表示部12の表示画面1に表示し、操作部11の上下左右カーソル移動ボタン4と決定ボタン5によって、その顔画像の輪郭基準点を設定させる。
【0062】
変形領域特定手段32は、その輪郭基準点設定手段31によって設定された輪郭基準点に基づいて顔画像の輪郭の変形領域を特定する。
【0063】
輪郭画像変形処理手段33は、輪郭補正値演算手段30によって算出された経過期間後の顔の輪郭変化の予測結果である輪郭補正値に基づいて、変形領域特定手段32によって特定された顔画像の輪郭の変形領域に対してスプライン変形等によって輪郭画像変形処理を行う。さらに、皺強調処理や肌色補正等を行ってもよい。
【0064】
推定顔画像表示手段34は、その輪郭画像変形処理手段33によって輪郭画像変形処理を行った顔画像を経過期間後である予測後の推定顔画像として図1の表示画面2に表示する。このとき、対比の便宜のために現在の顔である入力された顔画像を並べて、あるいは予測前後の推定顔画像を交互に表示するようにしてもよい。
【0065】
〔処理手順の説明〕
図4は、この発明による体形変化予測装置の一実施形態における操作及び処理の流れを示すフローチャートであり、図5は図4におけるステップS2の太り易さ指数算出処理のサブルーチンのフローチャートである。これらの図にしたがって、上述した体形変化予測装置10による処理手順を詳細に説明する。
【0066】
図4のフローチャートに示すように、この体形変化予測装置10は電源ボタン3(図1)が押されると、電源がONになって動作を開始する。
・ステップS1:個人パラメータおよび活動データ等の入力
先ず、ステップS1で個人パラメータおよび活動データ等の入力を行う。そのため、図1に示したように表示画面2にそれらの入力用画面(各入力項目とその各既登録データ又はデフォルト値)を表示する。そこで、使用者が個人パラメータとして身長、体重、年齢、および性別と、活動データとして活動レベル(又は歩数)と体温の各データを、前述したように図1に示した上下左右カーソル移動ボタン4と決定ボタン5を使用して入力する。
【0067】
体温C1(℃)は、体温計で測定して入力してもよいし、自分の平熱(基礎体温)を記憶していればそれを入力すればよい。あるいは、体形変化予測装置に体温センサを接続して、それによる測定値を自動的に入力することも可能である。体形変化予測装置に無線通信機能を備えて、無線通信機能を有する体温計と通信を行って測定値を入力するようにしてもよい。
【0068】
さらに、体脂肪率FAT1(%)と予測時期までの経過期間(年数)も入力する。体脂肪率FAT1(%)は、体脂肪計で測定して入力してもよいし、自分の体脂肪率を記憶していればそれを入力すればよい。あるいは、体形変化予測装置に体脂肪計を接続して、それによる測定値を自動的に入力することも可能である。体形変化予測装置に無線通信機能を備えて、無線通信機能を有する体脂肪計と通信を行って測定値を入力するようにしてもよい。また、接続および通信によって体脂肪計に記憶されている個人パラメータや活動データも入力するようにしてもよい。
【0069】
その後、ステップS2〜S6の各算出処理を、図2に示したCPU15による自動演算で行う。
・ステップS2:太り易さ指数算出
先ずステップS2で太り易さ指数の算出を行う。この処理は、図5に示すサブルーチンにおけるステップS21〜S25の演算を順次行う。
【0070】
なお、図6に示すような日本人の性別および年齢に応じた基礎代謝基準値(kcal/kg/日)のテーブルデータと、日本人の平均体温である標準体温C0(℃)(10歳から50歳では36.89℃)、および体温が1℃低下した場合に基礎代謝量が低下する割合を示す体温係数θ(=13%)と、図7に示すような活動レベルと活動レベル係数との対応関係のテーブルデータを、予め図2に示したROM16に記憶させている。
【0071】
ステップS21:標準基礎代謝量算出
まず、入力された性別と年齢から、図6のテーブルによって基礎代謝基準値JAr(kcal/kg/日)を選択する。そして、その基礎代謝基準値JArと入力された現在の体重W1(kg)とから、標準基礎代謝量JA0(kcal/日)を。次式の演算によって算出する。
【0072】
JA0=JAr×W1(kcal/日)
ステップS22:推定基礎代謝量算出
まず、入力された体温C1(℃)とROM16に記憶されている標準体温C0(℃)とから差分体温Cd(℃)を、Cd=C0−C1の演算によって算出する。
【0073】
そして、ステップS21で算出した標準基礎代謝量JA0(kcal/日)と、上記差分体温Cd(℃)と、ROM16に記憶されている体温係数θ(%)とから、推定基礎代謝量JA1(kcal/日)を次式の演算によって算出する。
【0074】
JA1=JA0−(JA0×Cd×θ) (kcal/日)
ステップS23:標準必要総エネルギー量算出
ステップS21で算出した標準基礎代謝量JA01(kcal)と、標準活動レベル係数K0(一般に、図7に示したテーブルにおける活動レベルが普通の場合の活動レベル係数)から、標準必要総エネルギー量E0(kcal/日)を次式の演算によって算出する。
【0075】
E0=JA0×K0(kcal/日)
ステップS24:推定必要総エネルギー量算出
入力された活動レベル(1日の歩数)から図7のテーブルにより活動レベル係数K1を選択し、ステップS22で算出した推定基礎代謝量JA1(kcal/日)から、推定必要総エネルギー量E1(kcal/日)を次式の演算によって算出する。
【0076】
E1=JA1×K1(kcal/日)
ステップS25:1日の余剰エネルギー算出
ステップS23で算出した標準必要総エネルギー量E0(kcal/日)とステップS24で算出した推定基礎代謝量JA1(kcal/日)から、太り易さ指数として1日の余剰エネルギーEd(kcal/日)を次式の演算によって算出する。
【0077】
Ed=E0 −E1(kcal/日)
この演算処理を終了すると、図4のメインルーチンにリターンして、ステップS3に進む。
・ステップS3:経年後の脂肪増加量の算出
図4のステップS3では、ステップS2のステップS25で算出された1日の余剰エネルギー(kcal/日)と、入力された期間N(日数:1年であれば365日に換算する)と、脂肪量1kgあたりのカロリーef=7200(kcal) から、経年後の脂肪増加量である累積脂肪量F2(kg)を次式の演算によって算出する。
【0078】
F2=Ed×N/ef(kg)
なお図5におけるステップS23〜S25の演算に代えて、標準基礎代謝量JA0(kcal/日)と推定基礎代謝量JA1(kcal/日)の差分である差分基礎代謝量JAd(kcal/日)を、JAd=JA0−JA1の演算によって算出し、その差分基礎代謝量JAd(kcal/日)を太り易さ指数として、ステップS3の経年後の脂肪増加量算出に使用することもできる。その場合は、経年後の脂肪増加量である累積脂肪量F2(kg)を次式の演算によって算出する。
【0079】
F2=JAd×N/ef(kg)
・ステップ4:.予測前である現在の皮下脂肪厚算出
このステップ4では、体脂肪キャリパー法(皮下脂肪厚測定法の体脂肪率算出公式)を応用して、現在の皮下脂肪厚α1(mm) を算出する。
【0080】
まず、入力された現在の体重W1(kg)と身長H(cm)から現在の体表面積A1(m2)を、次式に演算によって算出する。
【0081】
A1=(W10.425)×(H0.725)× 0.007246
そして、入力された現在の体脂肪率FAT1(%)と現在の体重W1(kg)から、
現在の体脂肪量F1(kg)=(FAT1/100)×W1
現在の体密度D1=457/(FAT1+414.2)
を算出する。さらに、次式の演算によって、現在の皮脂厚係数X1を算出した後現在の皮脂厚α1(mm)を算出する
現在の皮下脂肪厚係数X1=(1.0923−D1)/0.000514
現在の皮下脂肪厚α1(mm)={X1×(W1/A1)}/100
・ステップ5:予測後である経年後の皮下脂肪厚算出
このステップ5では、入力された現在の体重W1(kg)と、ステップ3で算出した経年後の脂肪増加量である累積脂肪量F2(kg)とから、経年後の体重W2(kg)をW2=W1+F2の演算によって算出する。そして、経年後の体表面積A2(m2)を、次式に演算によって算出する。
【0082】
A2=(W20.425)×(H0.725)× 0.007246
そして、入力された現在の体脂肪量F1(kg)と、これまでに算出した累積脂肪量F2(kg)、経年後の体重W2(kg)、および経年後の体表面積A2(m2)を用いて、経年後の体脂肪率FAT2(%)、経年後の体密度D2、経年後の皮脂厚係数X2、および経年後の皮下脂肪厚α2(mm)を、次の各式の演算によって順次算出する。
【0083】
経年後の体脂肪率FAT2(%)={(F1+F2)/W2}×100
経年後の体密度D2=457/(FAT2+414.2)
経年後の皮下脂肪厚係数X2=(1.0923−D2)/0.000514
経年後の皮下脂肪厚α2(mm)={X2×(W2/A2)}/100
・ステップ6:予測後である経年後の頬部輪郭補正値算出(顔の輪郭変化を予測)
ここまでは、体脂肪率算出法のひとつであるキャリパー法の公式を元に、現在の体脂肪率と経年後の脂肪増加量から、現在と経年後の皮下脂肪厚を逆算している。ただし、この場合の皮下脂肪厚値は、上腕背部と肩甲骨下部の皮下脂肪厚値の合算値であり、輪郭補正値を算出しようとする顔の頬部の皮下脂肪厚値とは異なるため換算が必要である。そのため頬部予測係数Zを用いる。
【0084】
すなわち、このステップ6では、ステップ4で算出した現在の皮脂厚α1(mm)およびステップ5で算出した経年後の皮脂厚α2(mm)から、頬部予測係数Zを用いて、現在の頬部皮下脂肪厚T1(mm)および経年後の頬部皮下脂肪厚T2(mm)を、それぞれ次の各式の演算によって算出する。
【0085】
現在の頬部皮下脂肪厚T1(mm)=α1×Z
経年後の頬部皮下脂肪厚T2(mm)=α2×Z
そして、経年後の輪郭補正値ΔT(mm)を次式の演算によって算出する。
【0086】
輪郭補正値ΔT(mm)=T2−T1
このように、頬部皮下脂肪厚T(mm)=α×Zであり、これを現在の体脂肪率から求めた「現在の頬部皮下脂肪厚T1」と太り易さ指数による経過年数後の体脂肪率から求めた「経過年数後の頬部皮下脂肪厚T2」との差を取り、頬部輪郭の補正値ΔTとする。
【0087】
ここで使用する頬部予測係数Zは、図8に示すように性別および年代(若年、中年、高年)別にテーブルデータとして、図2に示したROM16に予め格納しておき、入力された性別および年齢に応じて選択する。
【0088】
この頬部予測係数Zは、上腕背部と肩甲骨下部の皮下脂肪厚値の合算値である皮下脂肪厚α(mm)に対する頬部の皮下脂肪厚の比率を示す係数である。そのため、図8のテーブルは、頬部、上腕背部、および肩甲骨下部の各皮下脂肪厚(mm)と、それを合算した皮下脂肪厚α(mm)と、頬部予測係数Zの例を示している。
【0089】
これは、例えば公知の論文である「日本人の体組成(健康科学 第19巻1997年):小宮秀一氏」に掲載されている、図9に示すような日本人の性別および年代別の皮下脂肪
厚とその体部位ごとの配分データから算出することができる。
【0090】
〔ステップS2〜S6による自動演算の実例〕
ここで、上述した図4のステップS2(図5のステップS21〜S25)〜S6による自動演算の実例示す。
【0091】
ステップS1で入力された個人パラメータが、性別:男、年齢:45才、体重:W1=67.0(kg)、身長:H=173(cm)、活動データが、活動レベル:普通(又は歩数10000歩)、体温:C1=35.89(℃)、および現在の体脂肪率:FAT1=20.0(%)、経過期間:N=1年の場合の各値の算出例を示す。
【0092】
10〜50才の場合の標準体温C0は36.89(℃)であるから、差分体温Cdは、
Cd=C0−C1=36.89−35.89=1.00(℃)
である。また、男性で45才の場合の基礎代謝基準値JArは、図6のテーブルデータからJAr=22.3(kcal/kg/日)であるから、標準基礎代謝量JA0(kcal/日)は、
JA0=JAr×W1=22.3×67.0=1494.1(kcal/日)
となる。
【0093】
体温係数θ=0.13であるから、推定基礎代謝量JA1(kcal/日)は、
JA1=JA0−(JA0×Cd×θ)
-=1494.1−(1494.1×1.00×0.13)
=1299.9(kcal /日)
となる。
【0094】
標準活動レベルを「普通」とすると、図7のテーブルデータから活動レベル係数K0=1.75である。そこで、標準必要総エネルギー量E0(kcal/日)は、
E0=JA0×K0=1494.1×1.75=2614.7(kcal/日)
となる。
【0095】
また、入力された活動レベルも「普通」であるから、図7のテーブルデータから活動レベル係数K0=1.75である。そのため、推定必要総エネルギー量E1(kcal/日)は、
E1=JA1×K1=1299.9×1.75=2274.8(kcal/日)
となる。
【0096】
したがって、太り易さ指数として1日の余剰エネルギーEd(kcal/日)は、
Ed=E0−E1=2614.7−2274.8=339.9(kcal/日)
となる。
【0097】
経過期間の1年は365日であり、脂肪量1kgあたりのカロリー:ef(kcal)=7200(kcal)であるから、経年後の脂肪増加量である累積脂肪量F2(kg)を次式の演算によって算出する。
【0098】
F2=Ed×N/ef=(339.9×365)/7200=17.23(kg)
の脂肪が1年間に蓄積する。
【0099】
入力値がW1=67.0kg、H=173cm、FAT1=20.0%であるから、現在の体表面積A1(m2)は、
A1=(W10.425)×(H0.725)× 0.007246
-=(67.00.425) ×(1730.725)×0.007246=1.8145(m2)
となる。
【0100】
現在の体脂肪量F1(kg)=(FAT1/100)×W1
=(20.0/100) ×67.0=13.4(kg)
現在の体密度D1=457/(FAT1+414.2)
=457/(20.0+414.2)=1.0525
現在の皮下脂肪厚係数X1=(1.0923−D1)/0.000514
=(1.0923−1.0525)/0.00051
=78.04
現在の皮下脂肪厚α1(mm)={X1×(W1/A1)}/100
={78.04×(67.0/1.8145)}/100
=28.8(mm)
経年後の体重W2(kg)=W1+F2-=67.0+17.2=84.2(kg)
経年後の体脂肪率FAT2(%)={(F1+F2)/W2}×100
={(13.4+17.23)/84.2}×100=36.3(%)
経年後の体密度D2=457/(FAT2+414.2)
=457/(36.3+414.2)=1.0144
経年後の皮下脂肪厚係数X2=(1.0923−D2)/0.000514
=(1.0923−1.0144)/0.000514
=152.75
経年後の体表面積A2(m2)=(W20.425)×(H0.725)× 0.007246
=(84.20.425)×(1730.725)×0.007246
=1.9996(m2)
経年後の皮下脂肪厚α2(mm)={ X2×(W2/A2)}/100
={152.75 ×(84.2/105.30)}/100
=64.3(mm)
頬部予測係数Zを、入力された年齢と性別から図8のテーブルデータにより0.7とする。したがって、
現在の頬部皮下脂肪厚T1(mm)=α1×Z
=28.8×0.7=20.2(mm)
経年後の頬部皮下脂肪厚T2(mm)=α2×Z
=64.3×0.7=45.0(mm)
輪郭補正値ΔT(mm)=T2−T1
=45.0−20.2=24.8(mm)
となる。
【0101】
〔図4のステップS7〜S12の処理〕
再び図4に戻って、ステップS7〜S12の処理について説明する。
・ステップS7:カメラで顔を撮影
ステップS6で輪郭補正値ΔTの算出が完了すると、ステップS7へ進み、図1に示した表示画面2に使用者に対してカメラ6による顔の撮影を促すメッセージを表示する。その後シャッター7が押されると、カメラ6が顔を撮影し、顔画像入力手段25が撮影された顔の画像データを図2のRAM16に記憶させる。
・ステップS8:撮影された顔画像を表示
そして、ステップS8で、その撮影された顔画像を表示画面2に表示する。使用者がその顔画像を確認して、気に入らない場合には撮影し直すこともできる。
・ステップS9:顔画像の輪郭基準点設定
次に、ステップS9では、図10に示すように表示された顔画像の輪郭基準点を設定す
る。このとき、図1における表示画面2上に入力された顔画像とともに位置ポインタ(カーソル)を表示し、それを使用者が上下左右カーソル移動ボタン4の操作によって任意の位置に移動させ、決定ボタン5を押すと、その時に位置ポインタが示す位置を、図3の輪郭基準点設定手段31が輪郭基準点の一つとして設定(記憶)する。
【0102】
この例では、図10に示すように、両耳穴の位置a,bと、下顎の位置cと、両眼の位置d,eの順次位置ポインタを合わせて決定ボタン5を押し、a,b,c,d,eをそれぞれ輪郭基準点として設定する。
・ステップS10:変形領域特定
次に、ステップ10で変形領域を特定する。この処理は、図3の変形領域特定手段31が輪郭基準点設定手段31(ステップ9)によって設定された輪郭基準点a,b,c,d,eに基づいて、顔の輪郭を変形処理するための変形領域を自動的に特定する。
【0103】
それを図11によって説明する。まず、輪郭基準点aとbを結ぶ線を一辺とする長方形の枠線と、輪郭基準点dからその一辺に直交する垂線とによって囲まれた左側の枠線L1内の領域を左側の変形領域A1として特定する。
【0104】
同様に、輪郭基準点aとbを結ぶ線を一辺とする長方形の枠線と、輪郭基準点eからその一辺に直交する垂線とによって囲まれた右側の枠線L2内の領域を右側の変形領域A2として特定する。
・ステップS10:輪郭補正値に基づいて輪郭画像変形処理
このステップS10では、輪郭補正値に基づいて輪郭画像変形処理を行うが、この処理も図3の輪郭画像変形処理手段33が、輪郭補正値演算手段30(ステップS6)によって算出された経過期間後の顔の輪郭変化の予測結果である輪郭補正値ΔTに基づいて、変形領域特定手段31(ステップS10)によって特定された顔画像の輪郭の変形領域に対して自動的に輪郭画像変形処理を行う。
【0105】
そのため、まずスケーリング基準算出を行う。日本人の両眼の間隔(図10に示した点d−e間の距離)は65〜70(mm)であるから、輪郭基準点d,e 間の距離を67.5(mm)と仮定して、図10における破線枠内の画像を絶対スケーリングする。
【0106】
そして、輪郭画像変形処理を行うが、それを図12によって説明する。
【0107】
まず、左頬変形処理を行う。そのため、図12の(イ)に破線で囲んで示す左側の変形領域A1の画像を切り出し、X,Y座標でY方向の下から1/4の点を輪郭補正値ΔT分だけ左方向(−X方向)にずらした点をピークとするスプライン曲線で変形した後、(ロ)に示すように元の画像位置に合成する。
【0108】
次に、右頬変形処理を行う。そのため、図12の(ロ)に破線で囲んで示す右側の変形領域A2の画像を切り出し、X,Y座標でY方向の下から1/4の点を輪郭補正値ΔT分だけ右方向(+X方向)にずらした点をピークとするスプライン曲線で変形した後、(ハ)に示すように元の画像位置に合成する。
【0109】
このようにして、輪郭画像変形処理を完了する。さらに、実感を出すために、皺強調処理や肌色補正等を行ってもよい。
・ステップS12:推定顔画像を表示
このステップ12では、図3の推定顔画像表示手段34が、上述のように輪郭画像変形処理を完了した図12の(ハ)に示すような顔画像を、経過期間後(例えば1年後)の推定顔画像として図1の表示画面2に表示する。このとき、対比の便宜のために現在の顔である入力された顔画像を並べて、あるいは経過期間後の推定顔画像と交互に表示するよう
にしてもよい。
【0110】
使用者が、この表示された経過期間後(予測後)の推定顔画像を確認した後、図1に示す電源ボタン3を一定時間以上押せば、電源がOFFになって処理を終了する。
【0111】
このように、予測期間後の自分の推定顔画像を見ることによって太り過ぎないように適度の運動などを行って健康管理をすることに対するモチベーションが高まる。
【0112】
上述の例では、輪郭補正値ΔTが正で頬の輪郭が膨らむ(太る)場合の例を説明したが、活動レベルが高く、太り易さ指数(1日当たりの余剰エネルギー)が負になると、輪郭補正値ΔTが負になって、頬の輪郭が引っ込む(細る)ように変形することになる。それによって、ダイエット効果を予測することもできる。
〔他の実施形態〕
この発明による体形変化予測装置の他の実施形態を図13によって説明する。
【0113】
この図13はその体形変化予測装置20の機能構成を示すブロック図であり、図3に示した前述した実施形態の体形変化予測装置10を一部変更したものである。
【0114】
この体形変化予測装置20では、図3に示した体形変化予測装置10における活動データ入力手段22に代えて、活動量入力手段41と摂取カロリー入力手段42を設けているが、これらがいずれも活動データ入力手段に相当する。そして、太り易さ指数演算手段43の機能が、図3の太り易さ指数演算手段26とは少し異っている。
【0115】
その他の各手段の機能及び外観やハード構成などは、前述の実施形態と同様であるから、それらの説明は省略する。
【0116】
活動量入力手段41は、活動データとして活動量計などで実際に計測した結果による1日の活動量Kout(kcal)を入力する。このとき、体形変化予測装置に活動量計を接続して、活動量を自動的に入力することも可能である。また、体形変化予測装置に無線通信機能を備えて、無線通信機能を有する活動量計と通信を行って測定値を入力するようにしてもよい。摂取カロリー入力手段42は、活動データとして飲食などのカロリー摂取活動による1日の摂取カロリーKin(kcal)を入力する。これは、例えば食品カロリー表などにより、1日の食事で摂取した食品をカロリーに換算した総量である。なお、活動量計との接続または通信によって活動量計に記憶されている個人パラメータや摂取カロリーも入力するようにしてもよい。
【0117】
これらの入力方法は、前述の実施形態と同様だが、図1に示した表示画面2のデータ入力用の表示項目として、「体温」と「活動レベル」に代えて、「活動量」と「摂取カロリー」を表示する。
【0118】
そして、太り易さ指数演算手段43は、入力された1日の摂取カロリーKin(kcal)と活動量Kout(kcal)から、必要総エネルギー差分Ed(kcal)を次式の演算によって算出し、それを太り易さ指数である1日の余剰エネルギーとして出力する。
【0119】
Ed(kcal)=Kin−Kout
したがって、図4に示したフローチャートにおけるステップS1とS2だけが前述の実施形態の場合と異なる。
【0120】
すなわち、ステップS1では個人パラメータ及び活動量と1日の摂取カロリー等を入力し、ステップS2では、必要総エネルギー差分Ed(kcal)=Kin−Koutの演算のみによって、太り易さ指数で(1日の余剰エネルギー)を算出する。したがって、図5に示したサブルーチンと異なる処理によって太り易さ指数で(1日の余剰エネルギー)を算出する。
【0121】
〔他の実施形態〕
上述の実施形態では、個人パラメータと活動データから、1日の余剰エネルギーを求めて経年後の脂肪増加量である累積脂肪量F2(kg)を算出し、現在の体重W1(kg)と、算出した経年後の脂肪増加量である累積脂肪量F2(kg)とから、経年後の体重W2(kg)を算出することによって、予測後である経年後の皮下脂肪厚を推定し、それを頬部皮下脂肪厚に変換して経年後の顔輪郭を予測していたが、経年後の体重を直接入力することによって経年後の顔輪郭補正値を算出するようにしてもよい。さらに、経年後の体重ではなく、経年後の体脂肪率を直接入力することによって経年後の皮下脂肪厚を推定し、それを頬部皮下脂肪厚に変換して経年後の顔輪郭を予測するようにしてもよい。
【0122】
このとき、直接入力する経年後の体重は、経年後に予測される体重でもよいし、目標とする体重でもよい。目標とする体重を直接入力することで、目標とする体重となったときの顔の輪郭変化の予測結果を知ることができ、健康管理活動に対するモチベーションを高めることができる。
また、上述の実施形態では現在と経年後の将来を体形変化の予測前後としているが、体形変化の予測前後は、過去と将来、過去と現在、将来のある時点とそれとは異なる将来の時点、過去のある時点とそれとは異なる過去の時点などとすることもできる。このとき、個人パラメータや活動データは、予測前後とした過去時点でのデータ、将来の予測値、将来の目標値とすることができる。
【0123】
以上、この発明による体形変化予測装置の実施形態について説明したが、その外観形状やハード構成なども種々に変更可能であることも当然である。
【0124】
他の機能を有する機器に、この発明による体形変化予測装置の機能を持たせるようした実施例も当然構成し得る。
【産業上の利用可能性】
【0125】
この発明による体形変化予測装置は、専用の装置として利用することもできるが、情報機器(パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話機、電子書籍等)、健康機器(電子血圧計、活動量計、歩数計、電子ヘルスメータ等)や、携帯型ゲーム機など各種の装置に組み込んで(ハード又はソフトで)、この発明による体形変化予測装置の機能を持たせて利用することも可能である。それによって、現在の活動量やカロリー摂取状態などを継続した場合の予測期間後の自分の顔の輪郭変化を知ることができ、健康管理活動に対するモチベーションを高めることができる。
【符号の説明】
【0126】
1:ケース 2:表示画面 3:電源ボタン
4:上下左右カーソル移動ボタン 5:決定ボタン 6:カメラ
7:シャッター 10,20:体形変化予測装置
11:操作部 12:表示部 13:電源部13 15:CPU
16:ROM 17:RAM 18:NVRAM(不揮発性RAM)
19:バス 21:個人パラメータ入力手段 22:活動データ入力手段
23:体脂肪率入力手段 24:経過期間入力手段 :25:顔画像入力手段
26:太り易さ指数演算手段 27:脂肪増加量演算手段27
28:現在皮下脂肪厚演算手段 29:経年後皮下脂肪厚演算手段
30:輪郭補正値演算手段(顔輪郭変化予測手段) 31:輪郭基準点設定手段
32:変形領域特定手段 33:輪郭画像変形処理手段
34:推定顔画像表示手段 41:活動量入力手段
42:摂取カロリー入力手段 43:太り易さ指数演算手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人の現在の身長、体重、年齢、および性別の個人パラメータと、前記個人の活動量を示す活動データとを得て、個人の体形変化を予測する体形変化予測装置において、
前記個人パラメータおよび前記活動データの中から選択されたデータに基づいて予測前後の皮下脂肪厚を算出する手段と、前記予測前後の皮下脂肪厚を頬部皮下脂肪厚に変換することによって予測前後の顔の輪郭変化を算出する顔輪郭変化予測手段とを有することを特徴とする体形変化予測装置。
【請求項2】
前記顔輪郭変化予測手段は、皮下脂肪厚を頬部皮下脂肪厚に変換するための頬部予測係数を性別および年齢に応じたテーブルとして記憶し、前記個人パラメータによる性別および年齢に応じた頬部予測係数を該テーブルから選択して、該頬部予測係数により前記予測前後の皮下脂肪厚を前記頬部皮下脂肪厚に変換することを特徴とする請求項1に記載の体形変化予測装置。
【請求項3】
請求項2に記載の体形変化予測装置において、
前記個人の予測前の体脂肪率を得て、その体脂肪率と前記個人パラメータのうちの予測前の体重及び身長とに基づいて予測前の皮下脂肪厚を算出する予測前皮下脂肪厚演算手段を有し、
前記顔輪郭変化予測手段は、前記予測前皮下脂肪厚演算手段によって算出された予測前の皮下脂肪厚に前記選択した頬部予測係数を乗じて予測前の頬部皮下脂肪厚を、前記予測後の皮下脂肪厚に前記選択した頬部予測係数を乗じて予測後の頬部皮下脂肪厚をそれぞれ算出し、該予測後の頬部皮下脂肪厚から前記予測前の頬部皮下脂肪厚を減じて輪郭補正値を算出して前記顔の輪郭変化を算出することを特徴とする体形変化予測装置。
【請求項4】
前記予測後の皮下脂肪圧を算出する手段は、前記個人パラメータおよび前記活動データに基づいて1日当りの余剰エネルギーを求め、該余剰エネルギーと予測前後の経年期間から予測後の皮下脂肪圧を算出することを特徴とする請求項3に記載の体形変化予測装置。
【請求項5】
前記活動データは、個人の体温と、個人の1日の活動量を活動レベルとして表したデータであることを特徴とする請求項4に記載の体形変化予測装置。
【請求項6】
前記活動データは、個人の1日の活動量と、個人の1日の摂取カロリーであることを特徴とする請求項4に記載の体形変化予測装置。
【請求項7】
前記予測後の皮下脂肪圧を算出する手段は、前記個人パラメータである予測後の体重または体脂肪率に基づいて予測後の皮下脂肪圧を算出することを特徴とする請求項3に記載の体形変化予測装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の体形変化予測装置において、
前記個人の顔画像を撮像して入力する顔画像入力手段と、
該顔画像入力手段によって入力された顔画像の輪郭基準点を設定する輪郭基準点設定手段と、
該輪郭基準点設定手段によって設定された輪郭基準点に基づいて顔画像の輪郭の変形領域を特定する変形領域特定手段と、
前記顔輪郭変化予測手段によって算出された前記輪郭補正値に基づいて、前記変形領域特定手段によって特定された顔画像の輪郭の変形領域に対して輪郭画像変形処理を行う輪郭画像変形処理手段と、
該輪郭画像変形処理手段によって輪郭画像変形処理を行った顔画像を経過期間後の推定顔画像として表示する推定顔画像表示手段と
を有することを特徴とする体形変化予測装置。
【請求項1】
個人の現在の身長、体重、年齢、および性別の個人パラメータと、前記個人の活動量を示す活動データとを得て、個人の体形変化を予測する体形変化予測装置において、
前記個人パラメータおよび前記活動データの中から選択されたデータに基づいて予測前後の皮下脂肪厚を算出する手段と、前記予測前後の皮下脂肪厚を頬部皮下脂肪厚に変換することによって予測前後の顔の輪郭変化を算出する顔輪郭変化予測手段とを有することを特徴とする体形変化予測装置。
【請求項2】
前記顔輪郭変化予測手段は、皮下脂肪厚を頬部皮下脂肪厚に変換するための頬部予測係数を性別および年齢に応じたテーブルとして記憶し、前記個人パラメータによる性別および年齢に応じた頬部予測係数を該テーブルから選択して、該頬部予測係数により前記予測前後の皮下脂肪厚を前記頬部皮下脂肪厚に変換することを特徴とする請求項1に記載の体形変化予測装置。
【請求項3】
請求項2に記載の体形変化予測装置において、
前記個人の予測前の体脂肪率を得て、その体脂肪率と前記個人パラメータのうちの予測前の体重及び身長とに基づいて予測前の皮下脂肪厚を算出する予測前皮下脂肪厚演算手段を有し、
前記顔輪郭変化予測手段は、前記予測前皮下脂肪厚演算手段によって算出された予測前の皮下脂肪厚に前記選択した頬部予測係数を乗じて予測前の頬部皮下脂肪厚を、前記予測後の皮下脂肪厚に前記選択した頬部予測係数を乗じて予測後の頬部皮下脂肪厚をそれぞれ算出し、該予測後の頬部皮下脂肪厚から前記予測前の頬部皮下脂肪厚を減じて輪郭補正値を算出して前記顔の輪郭変化を算出することを特徴とする体形変化予測装置。
【請求項4】
前記予測後の皮下脂肪圧を算出する手段は、前記個人パラメータおよび前記活動データに基づいて1日当りの余剰エネルギーを求め、該余剰エネルギーと予測前後の経年期間から予測後の皮下脂肪圧を算出することを特徴とする請求項3に記載の体形変化予測装置。
【請求項5】
前記活動データは、個人の体温と、個人の1日の活動量を活動レベルとして表したデータであることを特徴とする請求項4に記載の体形変化予測装置。
【請求項6】
前記活動データは、個人の1日の活動量と、個人の1日の摂取カロリーであることを特徴とする請求項4に記載の体形変化予測装置。
【請求項7】
前記予測後の皮下脂肪圧を算出する手段は、前記個人パラメータである予測後の体重または体脂肪率に基づいて予測後の皮下脂肪圧を算出することを特徴とする請求項3に記載の体形変化予測装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の体形変化予測装置において、
前記個人の顔画像を撮像して入力する顔画像入力手段と、
該顔画像入力手段によって入力された顔画像の輪郭基準点を設定する輪郭基準点設定手段と、
該輪郭基準点設定手段によって設定された輪郭基準点に基づいて顔画像の輪郭の変形領域を特定する変形領域特定手段と、
前記顔輪郭変化予測手段によって算出された前記輪郭補正値に基づいて、前記変形領域特定手段によって特定された顔画像の輪郭の変形領域に対して輪郭画像変形処理を行う輪郭画像変形処理手段と、
該輪郭画像変形処理手段によって輪郭画像変形処理を行った顔画像を経過期間後の推定顔画像として表示する推定顔画像表示手段と
を有することを特徴とする体形変化予測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−48649(P2012−48649A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192626(P2010−192626)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(507351883)シチズン・システムズ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(507351883)シチズン・システムズ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】
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